平成23年3月に国土交通省が「高次脳機能障害認定システムの充実について」を発表しています。  この報告書により、認定基準の修正、新基準、医学的見地の整理が公表されました。以前から主張していますが、平成13年(15、19年修正)に認定基準がやっと形作られた分野なだけに、まだ確立しているとは言い難いのです。

 現実、明らかな症状を示しても、頭部外傷の画像所見が乏しいため入り口で非該当の患者が後を絶ちません。またMTBI(軽度外傷性脳損傷)との区別も医学的見地のばらつきから曖昧なままでした。                    続きを読む »

 前日に書いています。月曜は事務所を6時に出発、平塚の病院へ。その後横浜地方検察庁に寄って、夕方は事務所に来客2件です。ふぅ~。

 事故報告や相談など電話が殺到する月曜日ですが、なんとか対応していきます。移動中は携帯にでられない場合もありますので予めご了承下さい。

 先週の金曜日は行政書士会越谷支部の研修でした。講師は弁護士坂本先生です。行政書士の「代理」についての解釈は新鮮でした。

AさんとBさんで商談があるとします。

 Aさんの代理で行政書士がBさんに契約を持ちかけることは、民法でいう「意思表示」です。

しかし、Aさんの代わりに行政書士が自らの判断でBさんと契約してしまっては「代理権」行使です。

代理の意味も日常の言葉使いと民法上の定義では違いがあります。ここがまさに民法の勉強度が問われるところです。

 したがって、民法上の代理権行使でなければ、行政書士も相当の範囲で仕事ができるはず、との持論が続きます。    講義後の懇親会でも話は尽きません。「紛争性のある問題が仕事として利益性が高い。」、そして「しっかり民法を勉強するように」等々・・・。いろいろなヒントを与えてくださいました。    弁護士以外の各士業にはどこまでの「代理権」が許されるのか?学術上ではある程度整理できますが、実務上、法解釈はやっかいです。なぜなら3人いれば3通りの解釈が生まれる場合があります。商売上重なる部分があれば、例えば離婚業務や交通事故業務など、弁護士会としては代理権のない行政書士を排除する動きがあります。やはりこのような業際問題は全体的な働きかけ、行政書士会がきちんと有力学説を用い、理詰めで調整してくべきだと再認識しました。  まず個人としてできることは民法の勉強でしょうか。 

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 現在5名担当中です。症状は様々ですが、ご家族の協力のもと立証作業を進めています。

 とくに後遺障害診断書を作成する段階ですとやることがたくさんあるため、本人はもちろん、ご家族も大変です。  何かと行き詰ってしまうこともありますが、着実にクリアしていきましょう。  きちんとした医証を揃えば結果はついてきます。悔いのない申請をするために私も全力でサポートします。  

 少し息抜き・・・WCST(ウェスコンシン・カード・ソーティング・テスト)をやってみました。

 やべ、結構間違ってしまった・・・。

 これは高次脳機能障害や脳卒中患者に対してよく行われる検査です。神経心理学検査の一つとしておなじみです。

 内容はカードの共通点探しゲームです。色、形、並び方が一致している共通カードを4枚から選びます。要領がわかるまで少々苦戦します。

 これは前頭葉の働き、例えば変化に対応する力、固執性、遂行能力が試されます。 社会復帰はしたけれども仕事の算段、スピードが落ちた方などは決まってこの点数が悪いのです。とくに9級、7級レベルの障害で、知能検査や記憶検査での落ち込みが少ない患者でも低い数値がでます。軽度の方にとって必須検査の一つと思っています。

 2回連続して行います。所要時間は15~20分です。    もしご希望の方がいましたら当事務所でも実施が可能です。

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 つまり「自身が何等級であるか」分析する冷静さがないとダメなんです。そして認定理由を理解し、第3者が納得できる文章を書く国語力が必要です。  実践的な話に移ります。  

■ 異議申立の進め方

① 認定理由をよく読む  残存する症状についてなぜ認められないか、症状別に細かく書いてあるはずです。そこをしっかり読み取って下さい。

 例えば、「頚部が痛い、重い」 「腕がしびれる」 「関節が曲がらない」 「めまい、吐き気がする」 ・・・これらは自覚症状です。世の中の人間がすべて天使のように清純であればいいのですが、残念ながら嘘の症状、大げさな症状を訴える被害者も少なくないのです。審査する側はまず疑ってかかっていることを肝に銘じて下さい。つまり「どの主張が信じてもらえなかったのか?」を抽出します。

② 自覚症状と他覚症状を結び付ける

調査事務所 お決まりの非該当決め言葉 1 「同部に骨折、脱臼等の損傷が認められず ~ 自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しいことから、自賠責保険が認める後遺障害には該当しないと判断します」      否定の理由はようするに他覚的見地が乏しいのです。これはずばり医師の診断、検査・画像所見の不足を指します。

 ・ 不足している検査はないか    神経麻痺なら筋電図や神経伝達速度検査が行われていたか。

 ・ 症状を裏付ける画像は      骨折の場合レントゲンでOKですが、筋損傷はMRIじゃないと写りません。

 ・ 可動域制限が正しい計測か   間違った計測は測り直す必要がありますが、そもそも器質的損傷が伴わないのに「曲がりません」と言っても信じてもらえません。

③ その症状はいつから?

調査事務所 お決まりの非該当決め言葉 2 「これらの症状の出現時期は少なくとも受傷から約○日経過した平成○年○月○日以降と捉えます ~ したがって本件事故との相当因果関係を有する障害と捉えることは困難なことから、自賠責保険が認める後遺障害には該当しないと判断します」    これが一番やっかいです。受傷当時に医師が見逃した為に症状の発見が遅れたケースです。最近頻発しています。  症状の出現時期までの経過日数が長ければ長いほど絶望度は高まります。この場合、受傷当時からのカルテを回収し、せめて自身が痛みや症状を訴えていた時期を特定し、切々と確定診断が遅れた状況・理由を説明していくしかありません。  この項目がもっとも調査事務所からの信用度合が試されると思います。

④ 漏れている症状はないか

 複数のケガの場合、大きなケガの認定にスポットがあたり、見逃されている症状があります

 ・ 神経麻痺の場合   足首の可動制限だけか?足指の可動制限が見逃されているケースがあります。

 ・ 前腕骨の骨折で癒合良好    しかし痺れ、手首の可動制限が残っている場合、橈骨神経麻痺を精査します。

 ・ 高次脳機能障害が認定      体の麻痺等の症状をすべて高次脳の等級に含めますが、嗅覚脱出やめまいなどを別系統として併合する余地あります。  

 自信がなければ専門家に依頼するのも良いと思います。特に異議申立てに熱心な事務所も存在します。異議申立ての成功率も7割を超える優れた先生もいるそうです。

 最後に、 原則 異議申立ては受任しません。 続きを読む »

 原則 異議申立ては受任しません。

 しかしどうしてもやらざるを得ない気の毒な被害者さんも存在します。極めて限定的ですがお引き受けすることもあります。私たち協力行政書士や連携弁護士は仕事の基本を、「受傷から解決までを間違いなく案内する船頭たるべし」としているからです。    ご自身で動き、つまづきがあった結果、かなり厳しい状態からのスタートになります。幸い異議申立てに積極的な事務所も多いので、そちらへご紹介していこうと考えています。

 さて、それでも今年数件の異議申立て、再異議申立て、自賠責紛争機構への異議申立てといくつか手がけました。作業として最初に「なぜこの等級が認められなかったのか?」を分析します。そこで失敗続きの原因が浮き彫りになります。そして決まりきった失敗パターンの存在に気づきます。  

■ 異議申立てが不調となる理由

・ 非該当もしくは認定された等級の理由書をよく読んでいない。

 自賠責保険調査事務所は必ず「理由」を明示しています。自賠法16条の4および5 (最下段参照)で決められているからです。ですからその理由に対しての反論が必要です。それなのに「なぜ私のケガが○級なのか!非該当はおかしいのではないでしょうか!まったく理解できません!審査に納得がいきません、どうしてなんでしょうか?」・・・単に怒っている、愚痴をいっていっている、文句を言っている、再質問をしている類の文章が多いです。理由を理解しない被害者です。これでは会話になりません。

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 先週に続き週末3日間は赤坂のホテルに缶詰。相談会を挟んで打ち合わせも山盛りで、くたくたの3日間でした。

 この相談会、先日の具体例からどんな内容か少し紹介します。     ○まず可動域の計測をしちゃいましょう

 理屈よりまずその場でゴニオメーター(関節計測用定規)で測ってしまいます。

「ええと・・掌屈25°、背屈30°、このまま回復しなければ10級ですね」。 

 ここから後遺障害立証計画がスタートします。被害者は解決への道筋がぱっと開けます。

 

○ 画像を確認します

 「肩の腱板損傷?じゃ画像見せて」 (T2で高輝度所見がでています) 「おお、棘上筋が部分断裂してますね」 

 次に手術するか先に症状固定するか検討に移ります。

 器質的損傷が定かではないのに話を進めても意味ありません。画像を診ずに後遺障害を語るのはナンセンスです。

○ これが12級獲得の条件です

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 ゴニオメーター(関節計測用定規)を片手に都内の病院を梯子です。そして車の中は骨格模型で一杯です。

今回搭載した模型は以下の通り・・・事前に相談者のファイルを拝見しましたのでそれに合わせた準備です。

 ・ 頭蓋骨&頚部 

 ・ 体幹骨 (頚部~脊柱~骨盤)&大腿骨

 ・ 肩関節 (腱板付き)

 ・ 肘関節 (腱板付き)

 ・ ...

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 昨日の開放骨折に関連しますが、脛(すね)にそんなひどい骨折があれば、周辺の神経が損傷され、腓骨神経麻痺が強く疑われます。

(骨折シリーズはちょっと中断、今後散発的に取り上げていこうと思います。)

 今日の医師面談の目的はまさにこれ。数年前の事故ですが、すでに腓骨神経麻痺の後遺障害を取得している被害者さんの再検査の依頼です。

 腓骨神経麻痺で足首の可動に制限が残ってしまった方ですが、同時に足指にも制限が残っています。同じ神経で結ばれていますので足首、足指ともに障害を残すケースが多いのです。前回の検査では足首の可動域のみ計測されていましたが、足指は計測されていません。実際に症状を訊ねると案の定、動きが悪いのです。

 上図のように2本の腓骨神経、浅腓骨神経(腓骨の外側)と深腓骨神経(腓骨の内側)は足指までつながっています。

 上図のように2本の腓骨神経はそれぞれ内側足底神経、外側足底神経につながっています。

・内側足底神経は短母指屈筋、母指外転筋、短指屈筋を支配 ⇒ つまり親指の動きに影響

・外側足底神経は小指対立筋、短小指屈筋、小指外転筋を支配 ⇒ 小指の動きに影響

・中央の虫様筋、背側骨間筋は人差指、中指、薬指の動きに影響します

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 続いて開放骨折にについて。  

■ 開放骨折 (open fracture)

 開放骨折とは、折れた骨が外皮を突き破って飛び出ることです。説明しただけで痛そうです。初期治療では徹底的な洗浄、そして破傷風防止から抗生物質の服用が必須です。開放創からの感染に注意を払っていきます。  

ガステロ分類と感染リスク                        

   タイプ Ⅰ             タイプ ...

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 骨折シリーズ続けます・・・

(1)骨折の分類   まず学術的な分類から

1、完全骨折   

  完全に連続性が絶たれている。

2、不全骨折   

  骨梁が途絶しているが、骨全体の連続性は維持。若木骨折など。

3、病的骨折   

  骨腫瘍など局所の骨強度の低下による。

4、疲労骨折   

  健常な骨に繰り返し付加が加わり起こる。行軍骨折。 ・・・剣道部時代が懐かしいです。

5、脆弱性骨折 

  骨粗鬆症など脆弱な骨に軽微な外力が加わり生じる。・・・高齢者がリハビリ中に起こす例があります。

6、不顕性骨折 

  X線で検出できない骨折。MRI、骨シンチが有用。 ・・・立証にも力が入ります!

7、骨挫傷

  骨折に至らないが、骨内出血がみられる。MRIが有効。 ・・・器質的損壊と呼ぶには弱いです。

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 週末3日間の勉強会も最終日です。目下首都圏で大活躍中の先生3人が合流しました。

 交通事故業務の取組、問題点、展望と白熱の講義が続きます。被害者にとって最も実利ある、もしくは納得できる取組とは?打破すべき課題とは?マーケティングの問題は?士業の連携体制強化を!経験則の共有を!

 小難しい法解釈など披見する先生は一人もいません。目の前の被害者に対する実践的・効果的なアプローチ、有効なメソッドが飛び交います。

 感想は単に「勉強になりました」だけではありません。期待と遠望を得ることができました。それは被害者救済業務の将来を担うのは今日ここに集まった人材ではないか?と感じさせられるものでした。

 より前へ! 珠玉の経験を積みました。

     諸先生の皆様、お疲れ様でした。

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 今日から3日間お勉強です。

 交通事故に取り組んでいらっしゃる弁護士先生に交じって、交通事故外傷の勉強会に参加しています。講師はNPO法人交通事故110番の宮尾一郎 先生です。 この数か月、先生のご指導を仰ぎに全国から弁護士が参加しています。

 交通事故の裁判、賠償交渉を業務としている弁護士先生が毎度苦労するのが、医証の獲得です。医証とは医学的見地からの医師の証明、医学的根拠、医療立証資料を指します。これがなければ後遺障害の有無・程度を争点とする裁判では勝てません。  つまり「賠償金額=医療立証された後遺障害等級」、といっても過言ではないのです。裁判前にこの後遺障害等級について間違いのない認定がなされていれば良いのですが、しばしば不当な等級認定について、その妥当性が法廷で争われます。相手弁護士も原告側(被害者側)の障害について否定的な医証を提出してきます。いかにしっかりとした医証の獲得と医療立証がなされているか・・・これが弁護士の腕、能力です。

 現状ですがおよそ80%が和解となる交通事故裁判では、後遺障害の相当性が争点となっても、はっきりとした医証が不十分なため、グレーな判断に落ち着くことが多くみられます。被害者の立場としてはやはり「白黒つけて=戦って」欲しいのです。それは賠償金額の多寡のみならず、気持ちの上でも納得をしたいからです。事故で苦しんだ日々をうやむやな和解ではなく、きちんと決着をつけたい気持ちは理解できます。

 前置きが長くなりました。残念ながら医証の獲得、医学的な立証ができる弁護士は非常に少ないと思います。被害者もこれができる弁護士と巡り会えればラッキーです。したがって志ある弁護士先生はこの医療の知識に踏み込むのです。                                     

 この勉強会でも、交通事故外傷と後遺障害について実例を挿入しながら総覧していきます。

1日目: 後遺障害部位別総論・・・外傷性頚部症候群、体幹骨、                      醜状障害、目鼻口目、

2日目: 同じく・・・上肢、下肢、高次脳機能障害

3日目: 後遺障害立証・裁判上での取組       交通事故専門弁護士・行政書士の取組事例、       連携体制の確立、全体会議

 とくに3日目は楽しみです。現状の交通事故賠償の問題点に踏み込み、理不尽な等級認定・保険支払例を覆す、新判例の獲得を目指す取組を計画します。超未来志向です!!!                             

 参加する弁護士先生の皆様、よろしくお願いします。・・・N先生、O先生、K先生もここ見てるかな?  

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 骨折と一口に言っても、その折れ方にいくつかの分類があります。

 最近の例ですが・・・圧迫骨折なのか骨挫傷なのか? 

           骨幹部骨折なのか骨顆部骨折なのか?

           複雑骨折なのか粉砕骨折なのか?   

 このよう臨床での判断を迷っているケースを見ます。

 もちろんこれらは診断した医師が判断します。しかしどっちつかずの微妙な画像所見の場合、医師の主観で左右される結果となります。その骨折具合の判定も後遺障害の認定に少なからず関わってきます。

 したがって臨床においての骨折状態を正しい後遺障害診断に結び付けるため、骨折について正確な知識が必要です。

 例えば圧迫骨折における圧壊率は等級認定上の条件に重きをなします。また関節可動域制限も骨顆部(関節の部分)の骨折では説明がつきますが、骨幹部(骨の両端を除いた幹の部分)の骨折では可動域制限の根拠になりづらいのです。

 下肢の骨、大腿骨(太もも)と脛骨(すね)で見てみましょう

骨幹部 

骨顆部 骨の末端の一方ですが心臓から遠い方は 遠位端です 骨顆部 ...

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 恒例、国保の無料健康診断です。期限が11月10日までとなってしまいました。毎日のように病院に行っているのですが、自分の事となると面倒です。なるべく空いている病院がいいので、評判悪い?病院を選らんで受けてきました。           

 いやぁ~運動不足、不摂生、食事の偏り・・・これほど人生において不健康な毎日を送っているのは初めてです。結果が怖い怖い。

 少し余裕を見つけて運動とダイエットしたいところです。そんなわけで今朝は健康第一の宣言と反省で業務日誌を埋めました。

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 昨日の相談者を通じて実感しました。ご自身加入の自動車保険はもちろんですが、他にご契約の傷害保険、生命保険、共済も精査することです。

 その被害者さんの場合、職場でなんとなく団体加入していたSJ社の傷害保険を精査した結果、通院90日で99万円(日数協定 ※ がありそう)、後遺障害14級認定の場合、78万円にもなります。事故相手の保険会社に対して、苦労して賠償金を獲得することがメインの仕事ですが、ご自身の保険会社には診断書を郵送するだけで177万もらえるのです。

 この辺のアドバイスは保険業20年の私にとって「餅は餅屋」なのです。

 やはり事故解決には相手の保険会社はもちろん、自身契約の保険会社も密接な存在です。

 まず「使える保険を洗いだす」ことが基本ですよ!

  ※ 日数協定

 保険のパンフレットに 通院一日あたり 3000円 なんて記載があっても、約款の表現は少し異なります。一日あたり3000円は目安であって、症状の度合い・既往症の有無・ケガの部位・年齢 等で調整しますと書いてあります。つまり保険会社独自の判断が加味されるのです。したがって実務上では90日全日通院しても7割の63日分の保険金しか支払われない事があります。

 パンフレットにも小さく

 「ただし平常の業務または生活に支障がいない程度に回復したとき以降の通院はお支払いの対象になりません」 とあります。 また「頚部症(むち打ち)、腰痛などで医学的他覚的所見のないもの」も日数協定の対象です。

 なんか話と違うぞ、と思いますが、以下の実例を踏まえるとやや納得です。  

<実例>  例えば30才でバリバリ働いている営業マンのAさん、交通事故で足を骨折しても会社を休むわけにはいきません。足をギブス固定、松葉杖をつきながら仕事は休まず、合間に通院です。したがって通院合計30日続きを読む »

 交通事故で医療立証をする際、意外と軽視されている「受傷機転」について。

 医師が診断書に書くことは当然、ケガの具合や治療内容、画像所見、残存する障害等になります。しかし交通事故外傷とそれら症状・障害を結び付けるのは事故・受傷の状況です。

 例えば追突されてムチウチや頚部症となることは容易に想像できます。しかし ・・

① 「追突されて、肩腱板を損傷しました」

② 「追突されて、嗅覚がなくなりました」

・・・こう説明されても審査する者は 「?」 です。「なんで追突のショックでそうなるのよ?」と思うのが自然です。医師の診断書では客観的に医学的見地を証明しますが、そのケガに至った状況と合理的な説明が曖昧では入り口でつまづきです。せっかくの医学的所見も疑われてしまうのです。

 実際、先月の相談・受任でこのようなケースが2つありました。

 対応としては、 ①の場合、追突のショックで肩がダッシュボード附近に打撃する様子を写真を使って解説し、状況説明書の補助資料として後遺障害の申請に添付します。

②の場合は、すでに書きあがった診断書に受傷機転として、追突の反動で後頭部がバックレストに強く打ち付けられた様子を(脳神経の損傷に結び付いたとして)補記していただく予定です。  おそらく医師は「事故状況は診断とは関係ないのでは・・・」と難色を示すと思います。それに対してはきちんと必要性を説明し、ご納得いただきます。このやり取りが我々協力行政書士の腕の見せ所と自負しています。

                  

 後遺障害診断書を漫然と書いてもらうだけでは心配です。被害者の後遺障害を立証することは「一つの物語を紡ぐ」ことに似ています。ストーリー(もちろんノンフィクション=事実です)を描くことで客観的な判断(調査事務所の審査)に結び付けることが大事です。

 後遺障害診断書を書いてもらう前にご相談を! ぎりぎりで間に合いますよ

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電話相談でたまに専門外の相談が舞い込みます。

< リンリンリン ♪

  私   「はい!秋葉行政書士事務所です」

相談者 「すみません、交通事故の相談ではないのですが・・・」

  私   「?・・・人生相談ですか?」

相談者 「いえ、ケガなんですけど・・・たぶんヘルニアかも・・」

  私 ...

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 5回にわたって交通事故業務に関わる、弁護士、行政書士、保険会社について解説してきました。自分をアジテーターとは思っていませんが、それぞれの深部に踏み込む意見になったと思います。

 そろそろまとめに入らなければなりません。やはり語りたいのは交通事故業務に取り組む者の矜持です。

 交通事故を生業とする者にとっても、まず自身・家族の生活や事務所経営、営利追求が仕事のベースであることは言うまでもありません。しかしある日突然事故に遭い、理不尽な生活を強いられた被害者にとっては弁護士も行政書士も、そして保険会社も頼るべき・すがるべき存在です。その被害者にとって最適な方策でそれに答えることこそ、フェアな取引であり、誠実な契約であると思います。(それができないのなら他へ紹介しましょう。だから連携体制やネットワークが重要なのです。)

 昨日も書いたように、「皆それぞれの立場、それぞれの都合」を優先させてしまったら被害者は浮かばれません。

 例えば行政書士が、なんとしてでも賠償交渉を業務の中心として取組たいのなら、司法試験をパスして弁護士になればいいのです。代理交渉ができない行政書士が代理権獲得や業務拡張を大義名分に、業務のグレーゾーンに勇み足をするべきではありません。業務拡大や他士業との業界調整は行政書士会(団体)で運動するべきテーマであって、実際の業務上で被害者を弁護士との業界争いに巻き込む道理はないはずです。

 そして藁をもつかむ思いの被害者のみなさんにも警鐘します。盲目的に誰彼かまわず相談することで安心するのではなく、厳しく相談者を見極めていただきたいと思います。まったく自分に非のない事故に遭った悲劇の被害者だからと言って、自動的には誰も助けてくれません。事故と向き合って克服していくのは自らの行動からです。誰が一番自分に合った解決方法を提示してくれるのか?誰がパートナーとして一緒に戦えるのか?これを決めるのは被害者自身です。

 そして私たちが目指すところは・・・

 あらゆる交通事故解決の総合コーディネイトです。  昨日までの考察で示す通り、弁護士も行政書士も部分の専門家であり、その部分での活躍を生かすべきです。そして保険会社は敵対する壁ではなく、加害者に代わり、急場の助けと最低限の補償をしてくれる大事な存在です。  それらを有機的に結び付け、被害者にとって間違いのない道順を示すことが総合コーディネートです。

 具体的には、

1、事故直後、治療費、休業損害について相手保険会社との調整を図り、最適の治療環境に落ち着かせること。

2、事故状況、警察の届け出内容のチェック。物損事故扱いの場合で通院が長期にわたるなら人身事故扱いへ切替え。

3、労災や健康保険等、公的保険、その他加入保険や救済制度の吟味。

4、物の損害やその他被害の確認と請求。過失割合に争いがあるなら刑事記録や証拠、資料の取り寄せ。

5、病院の治療内容や検査内容が合わなければ転院を考慮する。

6、後遺障害診断に向けての検査計画の立案。間違いのない診断書の作成に漕ぎ着けさせる。

7、自賠責保険に被害者請求を行い、後遺障害等級を確定させる。

8、最適な賠償交渉について手段選定 → 直接交渉か代理人交渉か?示談か紛争センターの斡旋か裁判か?

これらについて道順を示し、適時修正するコーディネーターたることが必要と思います。この過程で弁護士や行政書士、病院、専門医、保険会社、お役所がそれぞれの役割を果たしてくれればOKです。多くの弁護士は1~7、行政書士は1~6までは場当たり的なアドバイスのみで何もしないのが現状です。

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 昔おばあちゃんに言われた言葉・・・「人のふり見て我がふり直せ」。私自身が昨日まで語ったような問題のある業務をしていないか?常に自問自答しながら業務にあたっています。自分の立場や都合優先で業務をしないよう、より勉強、経験を積む事はもちろん、上記のような総合コーディネートが可能なネットワーク作りに勤しむ毎日です。

   来週は都内で行われる弁護士勉強会に参加します。最近は研修、講習の機会が増えています。きっと志を同じくする先生に出会えると思います。                 

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問題のある業務シリーズとなってしまいました。今日はケーススタディで考察を進めます。

  <実例 3> 保険会社との直接交渉は有効か?

 交通事故の保険・賠償金の基準は大きく分けて以下3分します。

 自賠責保険基準 < 任意保険基準 < 裁判基準 ① 自賠責保険の支払基準については定額がほぼ明示されています。

② 任意保険基準は平成10年の保険料率の自由化以降、各社独自基準となっています。しかし各社大差なく旧基準を準用しているようです。

③ 裁判基準と呼べるような明確な基準はありませんが、弁護士会の「赤い本」「青い本」などが有名で、実際に用いられています。

 保険会社は当然、任意保険基準で提示してきます。しかし3か月以内の通院のケガではほぼ自賠責保険の基準と変わりがありません。単なるムチウチやちょっとした捻挫、打撲がこれにあたります。自賠責保険の範囲で支払が完了すれば、実質保険会社の支払は0円です。なるべくこの0円で押さえたいのが営利企業の本音です。  しかし後遺障害を残すケガなど賠償金がかさむ場合、会社の持ち出しが増えるので減額に必死となります。この理屈が被害者への低額な賠償提示となるわけです。  

 では保険会社と交渉する3者を見てみましょう・・・ (1) 交渉事に長けた被害者Gさん

  保険会社にあの手この手で理屈を持ち込み、賠償額の引き上げ交渉を本人が直接したとします。しかし保険会社の内部的な運用規定(代理店はおろか部外の社員でさえ見せてくれなかったです)で若干上乗せするにとどまります。裁判基準と同じ額を求めても例外(特殊事情です、例えば大型代理店やスポンサーの圧力、ヤクザ)などを除いてほとんど跳ねつけられます。裁判基準レベルは望むべくもありません。

 車屋さんで新車購入の際、「粘りに粘って(最初からある)値引き枠を引き出して満足!」と似ています。     (2) 次に交通事故専門をうたう行政書士のH先生

 この先生は自ら作った渾身の賠償請求書や判例、資料を持ち込んで交渉してみます。この分野には弁護士より精密に勉強をしている強者が存在します。素晴らしくよくできた賠償提示を行って成果を上げているようです。しかしその額が裁判や紛争センターの斡旋案を上回るものではありません。保険会社もこの交渉に応じる理由は、紛争センターに持ち込まれて裁判基準に近い額を取られるなら、その7~8割程度で手を打とう、といった時間短縮のための打算です。

  したがって、このH先生は被害者に保険会社との示談は裁判や紛争センターと比べ、2~3割少ないことを被害者に明示しなければなりません。紛争センターでは解決まで平均4か月を要します。この失った賠償金と4か月を天秤にかける相談が必要です。裁判の場合は半年~数年です。

 しかし、裁判になっては弁護士先生に報酬が発生するので、行政書士自身としては自らの報酬が減ります。ですので被害者に「早期解決」を説いて保険会社と示談し、増額した分から報酬を受け取ります。もしくは昨日の実例(交通事故業務について考察 4)のように、陰で紛争センターに介入、増額分から報酬請求します。

 はぁ~(ため息)。誠実に仕事している先生の方が少ないような・・・  

(3) 今度は弁護士法人のJ大手事務所が乗り出します

 全国組織で大勢の被害者を救っています。後遺障害等級が高ければいいのですが、14~12級程度に数か月もかけていられません。スピード解決&大量処理が命です。ですので被害者が保険会社と争いたくて門をたたいたにも関わらず、この保険会社と裁判基準の7~8割で妥協的示談をしてしまいます。スピード解決=被害者の利益ですが、もらいそこなった賠償額を被害者に明示したのか疑問が残ります。

 法律屋さんどころか法律ディスカウントショップのようです。このやり方も一概に問題とはいえず、紛争処理の一形態として社会的に有用かもしれません。あまりに合理的ではありますが・・・。      どうでしょう?結論を急ぐわけではありませんが、

 すべてそれぞれの立場で、それぞれの都合で事故が処理されていませんか?  

 もちろん、裁判や紛争センターを利用せず、保険会社との交渉がベストのケースもあります。最近の例では相手保険会社の担当者が何を血迷ったのか高齢者に高めの逸失利益や介護費用を提示したケースがあります。これは裁判で厳しく審議されては大幅に減る危険性のある項目です。また公務員で休業補償や傷病手当をたくさんもらった方に保険担当者が休業損害をまともに提示したケースです。これも裁判では賠償金から間違いなく引かれる項目です。・・・つまりお粗末な保険担当者により、裁判を避けることも得策となることがあります。

 その辺の臨機応変な判断がプロには望まれます。  

 明日はいよいよ結論です。

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前回は弁護士の実例でした。今度は行政書士の実例について触れたいと思います。

 行政書士で後遺障害の立証から賠償交渉まで、事故の解決までトータルな活動をしている先生がおります。2年前はその取組について実際に研修を受けたり、執筆された書籍を熟読したり、またその先生と直接お話をしたり・・。

 しかし、一抹の疑問、腑に落ちない点が澱のように心に残ったこともありました。

 それは行政書士が交通事故を解決するのは限定的な部分であって、賠償交渉に出しゃばり過ぎるのではないか?結果として被害者にとって最適な選択とはなってないのではないか?です。また実例で説明します。  

<実例1> 紛争センターに介入したおかげで・・

  後遺障害の認定12級を取れたFさん。それまで適切なアドバイスと自賠責保険の請求手続きをしてくれた行政書士Gさんに感謝しきりです。そして最終的に保険会社に赤本(弁護士会が編集している裁判判例から割り出した支払基準)で賠償金額を計算し、Fさんに賠償金請求書を持たせました。「これを紛争センターに持って行って、○×△こう交渉しなさい」とアドバイス。そしてFさん、月に1回合計3回の出席で斡旋案が提示され、無事交渉は成立しました。

 ただしその際、紛争センターの斡旋弁護士から「この書類誰に作ってもらったの?行政書士?いくら報酬を払うの?」と怪訝な顔で聞かれたそうです。そしてその斡旋弁護士はこう締めくくりました。「僕が苦労してあなたのために保険会社から弁護士基準の賠償金を交渉してあげているのに、なんでその行政書士に何十万も払うの?その報酬は払う必要はないよ!」。そう言われたFさんもびっくりです。

 確かに斡旋弁護士さんは「保険会社の基準で決まっていますから」と言いビタ一文賠償金を上げてくれない保険担当者相手によく話をまとめてくれました。行政書士の持たせた賠償金請求書と関連する証拠書類のおかげで話が早く進んだことは認めますが、それによって賠償金が上がった実感はありません。なぜなら斡旋の手順は斡旋弁護士が赤本の基準で斡旋案を計算し、減額主張をする保険会社との調整をする、といった流れだからです。  中には保険会社寄り?のような斡旋弁護士もおりますが、正義感や被害者救済意識の高い弁護士先生もたくさんおられます。このような先生にはいつも感謝しております。

 もうおわかりですね。書類を作って持たせたことで劇的に賠償金が上がったわけではないのです。紛争センターに同席して交渉をしてくれるならまだしも、紛争センターの廊下までの付き添い?・・・情けないと思わないのでしょうか。

 これは弁護士と違って代理権を持たない行政書士の限界を表します。代理権がないから同席して直接交渉ができない。したがって中途半端な賠償交渉を行う。これは行政書士法と弁護士法の間隙(グレーゾーン)でなんとか仕事しようとしているに過ぎません。

 もちろん中には紛争センターに行って独自に解決を図りたい被害者もおります。そして相場が知りたくて行政書士に書類作成を依頼することもありうることです。問題は斡旋弁護士の言うように、あたかも自分の仕事で賠償金を吊り上げたように姑息に報酬を得ることです。  これでは被害者さんも行政書士に騙された気分になってしまいます。事実そのような話を頻繁に聞きます。

 現在、東京の紛争センターでは行政書士立ち入り禁止が徹底されています。また利用者に対し「行政書士へ依頼していないか」と厳しく聞いています。

 交通事故業務から行政書士を排除する・・・このような流れを作ったのは紛争センター介入型の行政書士本人なのです。

   明日も実例を重ねます。

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