鬱の検査シリーズ
 
 QIDS-Jとは、Quick Inventory of Depressive Symptomatology(※JはJapaneseのことだと思います。)の略で簡易抑うつ症状尺度と呼ばれています。この検査は、16項目の自己記入式の評価尺度で、うつ病の重症度を評価できるほか、アメリカ精神医学会の診断基準DSM-IVの大うつ病性障害(中核的なうつ病)の診断基準に対応しているという特長を持っているようです。世界的に知られた精神科医ジョン ラッシュ先生によって開発され、世界10ヵ国以上で使用されています。尚、日本語版は慶応大学医学部の藤澤大介先生のグループによって作成されました。
 
 それでは、質問について記載していきます。

第1. 寝つき

0. 問題ない(または、寝つくのに30分以上かかったことは一度もない)
1. 寝つくのに30分以上かかったこともあるが、1週間の半分以下である
2. 寝つくのに30分以上かかったことが、週の半分以上ある
3. 寝つくのに60分以上かかったことが、週の半分以上ある
 
第2. 夜間の睡眠

0. 問題ない(夜間に目が覚めたことはない)
1. 落ち着かない、浅い眠りで何回か短く目が覚めたことがある
2. 毎晩少なくとも1回は目が覚めるが、難なくまた眠ることができる
3. 毎晩1回以上目が覚め、そのまま20分以上眠れないことが週の半分以上ある
 
第3. 早く目が覚めすぎる

0. 問題ない(またはほとんどの場合、目が覚めるのは起きなくてはいけない時間のせい
ぜい30分前である)
1. 週の半分以上、起きなくてはならない時間より30分以上早く目が覚める
2. ほとんどいつも起きなくてはならない時間より1時間早く目が覚めてしまうが、最終
的にはまた眠ることができる
3. 起きなくてはならない時間よりも1時間以上早く起きてしまい、もう一度眠ることが
できない
 
第4. 眠りすぎる

0. 問題ない(夜間眠りすぎることはなく、日中に昼寝をすることもない)
1. 24時間のうち、眠っている時間は昼寝を含めて10時間ほどである
2. 24時間のうち、眠っている時間は昼寝を含めて12時間ほどである
3. 24時間のうち、昼寝を含めて12時間以上眠っている
 
第5. 悲しい気持ち

0. 悲しいとは思わない
1. 悲しいと思うことは半分以下の時間である
2. 悲しいと思うことが半分以上の時間ある
3. ほとんど全ての時間、悲しいと感じている
 
第6. 食欲低下

0. 普段の食欲と変わらない、または食欲が増えた
1. 普段よりいくぶん食べる回数が少ないか、量が少ない
2. 普段よりかなり食べる量が少なく、食べるよう努めないといけない
3. 24時間ほとんどものを食べず、食べるのは極めて強く食べようと努めたり、誰かに食
べるよう説得されたときだけである
 
第7. 食欲増進

0. 普段の食欲と変わらない、または食欲が減った
1. 普段より頻回に食べないといけないように感じる
2. 普段と比べて常に食べる回数が多かったり、量が多かったりする
3. 食事の時も食事と食事の間も、食べ過ぎる衝動にかられている
 
第8. 体重減少(最近2週間で)

0. 体重は変わっていない、または体重は増えた
1. 少し体重が減った気がする
2. 1キロ以上痩せた
3. 2キロ以上痩せた
 
第9. 体重増加(最近2週間で)

0. 体重は変わっていない、または体重は減った
1. 少し体重が増えた気がする
2. 1キロ以上太った
3. 2キロ以上太った
 
第10. 集中力/決断

0. 集中力や決断力は普段と変わらない
1. ときどき決断しづらくなっているように感じたり、注意が散漫になるように感じる
2. ほとんどの時間、注意を集中したり決断を下すのに苦労する
3. ものを読むことも十分にできなかったり、小さなことですら決断できないほど集中力が落ちている
 
第11. 自分についての見方

0. 自分のことを他の人と同じくらい価値があって、援助に値する人間だと思う
1. 普段よりも自分を責めがちである
2. 自分が他の人に迷惑をかけているとかなり信じている
3. 自分の大小の欠陥について、ほとんど常に考えている
 
第12. 死や自殺についての考え

0. 死や自殺について考えることはない
1. 人生が空っぽに感じ、生きている価値があるかどうか疑問に思う
2. 自殺や死について1週間に数回、数分間にわたって考えることがある
3. 自殺や死について1日に何回か細部にわたって考える、または具体的な自殺の計画を立てたり、実際に死のうとしたりしたことがあった
 
第13. 一般的な興味

0. 他人のことやいろいろは活動についての興味は普段と変わらない
1. 人々や活動について、普段より興味が薄れていると感じる
2. 以前好んでいた活動のうち、1つや2つのことにしか興味がなくなっていると感じる
3. 以前好んでいた活動にほとんどまったく興味がなくなっている
 
第14. エネルギーのレベル

0. 普段のエネルギーのレベルと変わらない
1. 普段より疲れやすい
2. 普段の日常の活動(例えば、買い物、宿題、料理、出勤など)をやり始めたりやり遂
げるのに、大きな努力が必要である
3. ただエネルギーがないという理由だけで、日常の活動のほとんどが実行できない
 
第15. 動きが遅くなった気がする

0. 普段通りの速さで考えたり、話したり動いたりしている
1. 頭の働きが遅くなっていたり、声が単調で平坦に感じる
2. ほとんどの質問に答えるのに何秒かかかり、考えが遅くなっているのが分かる
3. 最大の努力をしないと質問に答えられないことがしばしばである
 
第16. 落ち着かない

0. 落ち着かない気持ちはない
1. しばしばそわそわしていて、手をもんだり座り直したりせずにはいられない
2. 動き回りたい衝動があってかなり落ち着かない
3. ときどき座っていられなくて、歩き回らずにはいられないことがある
  
 実施された方については、ぜひ採点してみてください。睡眠に関する項目(第1~4)、食欲/体重に関する項目(第6~9)、精神運動状態に関する項目(第15・16)については、それぞれの項目で最も点数が高いものを1つだけ選んで点数化します。それ以外の項目(第5・10~14)はそれぞれの点数を書き出します。うつ病の重症度は、睡眠、食欲/体重、精神運動、その他6項目を合わせて9項目の合計点数(0点~27点)で評価し、原版のQIDSでは0点~5点が正常、6点~10点が軽度、11点~15点が中等度。16点~20点が重度、21点以上が極めて重度という判断になるようです。
 
 コロナ禍によって、うつ病・うつ症状の人が倍増したというようなニュースも散見しました。お一人で悩まず、まずは専門家にご相談してみてはいかがでしょうか。