先日に続き、弁護士費用特約(以下、「弁特」と略)もう一つの追加条項をみてみましょう。東京海上日動さんを例にとりましたが、今後、他社も類似条項を追加すると予想します。  

行政書士への報酬は明確に制限

 これまで弁護士費用等補償特約(日常生活)で補償していた「行政書士または司法書士による保険会社に提出する損害賠償請求のための書類作成費用」については補償の対象外とし、自動車に関する補償をご契約いただいている場合に限り、自動付帯される法律相談費用補償特約(上限10万円)で補償することとします。  

<解説>    行政書士に対して制限が加わると予想したことが現実となりました ⇒ 過去記事 

   ご存知の取り、弁特は発売後すぐに支払い対象を司法書士、行政書士に拡大しました(国内社に多く、外資・通販の多くは非対象)。しかし代理権を持たない、もしくは制限のある両資格について何をどこまで支払えるか?特に行政書士については、保険会社担当者又はセンター長の裁量により対応・解釈がバラバラでした。これは仕方のないことです。そもそも弁護士・行政書士間の業務範囲そのものに議論があるのです。これでは保険会社も迷いますよね。

 以前、損保ジャパンの担当者に行政書士に対する弁特の支払い範囲を訊ねたところ、「法律相談費用(10万円)までは担当者の判断で割と寛容ですが、本費用は要検討でしょうか・・」と歯切れ悪く答えました。特約の明文化を待たず、今までも多くの行政書士が10万円制限を受けていたようです。

 対して弁護士の報酬に対しては保険会社と弁護士会が申し合わせをしたLAC基準が存在します。また、LACを通さなくても多くは旧日弁連基準を相場としてきたようです。このような申し合わせを行政書士会から働きかけるのは困難と思います。まず先に業務範囲の線引きを弁護士会としなければなりませんが、そのような積極的な動きは皆無です。やはり交通事故における行政書士のスタンスはその権限からあくまで補助的です。

 しかし保険会社の示す制限について私は好意的に受け止めています。なぜなら、先日の「非常識弁護士」以上にめちゃくちゃな報酬請求をしている行政書士の話を多く耳にするからです。報酬自由の原則があるにせよ、自賠責保険の請求書の代書だけで弁護士並の報酬を設定している先生が多いのです。やはり報酬に見合った仕事、依頼者が納得する仕事が求められます。そして「弁特があるから契約を」=依頼者さまはお金がかからないのだからとりあえず契約をしましょう・・このような契約勧誘は不健全ではないでしょうか。  

 弊所の依頼者さまは弁特加入の有無、さらに弁特からの支払い額如何で依頼を躊躇しません。すべての依頼は病院同行や検査誘致、診断書・画像分析等、専門性を評価いただいた結果です。資格云々を評価しているわけではありません。弁護士事務所からの依頼についても同様で、常に技術的に高度な調査業務が期待されています。そこには弁特の有無など考慮している場合ではない被害者の窮状があるからです。   20140508  20140508_3続きを読む »

 今年の秋、10月から各損保会社は自動車保険の約款改定を行います。昨年のノンフリート等級改定に比べれば細かな改定ですが、以前から要望が高かった弁護士費用特約もその対象です。以下、東京海上日動さんの内容を抜粋します。支払い内容についてより具体的な条項が加わった印象です。  

弁護士費用等補償特約(日常生活)の改定

   弁護士費用を算定する場合において、一般的にはその費用算定の対象に含まれない以下a.b.の額に対する費用は、弁護士費用等補償特約(日常生活)の補償の対象外とします。  

a.保険金の受取人が損害賠償請求を行った額のうち、補償を受けられる方の過失により減額された額  

b.損害賠償の額のうち、既に保険金の受取人が受領済みの額  

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<解説>

 a.の内容は「依頼者側の過失割合により減額された賠償金分は報酬計算の対象金額ではないですよ」とのことです。報酬とは相手から勝ち取った金額からのボーナスですから、常識的にa.の通りですよね。  また、仮に自身が契約している人身傷害特約に「過失減額された分を請求・補てんしたとしても、この補てん額は弁護士の交渉で獲得した金額ではない」と念を押されそうです。

 b.の内容は、「依頼者側がすでに相手の保険会社から受け取ったお金や、自身が加入している人身傷害特約から受け取った保険金は報酬計算の対象から引いて下さい」との意味です。これらは弁護士の介入に関わらず支払いが受けられたお金なので、弁護士の仕事の成果ではなく当然に差し引くことになります。

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 昨日の例の他、弁護士の仕事について等級認定後の賠償交渉によって獲得した金額のみを成果とし、「自賠責保険の金額を成功報酬の対象計算から控除して下さい」とする保険会社が少なくないようです。実例から説明します。(やはり仮名)  

後遺障害等級は自然に決まるもの?

 大島先生率いるAKB法律事務所は本格的に交通事故業務に力を入れています。

『これからの交通事故は等級認定前から受任して、しっかり等級認定からお手伝いすること、初期対応することです。これこそ被害者救済であり、「等級が認定されてからまた来てください」などと言う旧来の事務所の姿勢ではダメです!』  大島弁護士はこのような交通事故対応を掲げて、受傷直後から被害者に寄り添い、物損の解決、休業損害の請求、労災の手続きなど手続きはもちろん、病院同行を繰り返した末に後遺障害・被害者請求を行いました。そして12級を獲得、その後は紛争センターに持ち込み、あっさり赤本満額で解決を果たしました。  依頼者は想像以上の高額の賠償額でびっくりです。何より大島先生は受傷直後から色々な手続きをしてくれた上、病院にまで一緒に来てくれ、一生懸命、等級の認定に尽くしてくれたので大満足です。

 大島弁護士は最後に弁特社(被害者側の保険会社)に弁護士費用特約を請求しました。後遺障害12級(自賠責で先に224万円獲得)に加えて最終受取額が700万円です。合計924万円に対して成功報酬を計算、1656000円の請求額です。  

 しかし弁特社の担当者の支払い回答は・・・  

担当者:「大島先生、自賠責の224万は報酬計算から引いて下さいよ」  

大島弁護士:「えっ?うちは受傷直後から等級認定も含めて仕事をしているのですよ」  

担当者:「いえ、等級認定は医師が書いた診断書を出すだけなので先生の仕事ではないですよね?」  

大島弁護士:「失礼な!本件は病院同行して、検査先に誘致して、陳述書を添えて・・・大変な作業で乾坤一擲、12級認定を勝ち取ったのですよ!」  

担当者:「それなら事前認定(相手保険会社に認定業務を任す)すればよかったのではないですか」   

大島弁護士:「キーッ!」

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 等級認定後の受任ならば当然として、確かに等級認定作業を「事前認定」つまり加害者側保険会社に任せれば、その事務所は立証作業を放棄しているのですから報酬計算に自賠責保険金額を含めないことは正当な考えです。しかし本件のように等級認定に関する立証作業と書類集積作業が代理人の腕の見せ所であり、むしろ賠償交渉より大変な作業となることもあります。

 後遺障害は被害者請求を基本とし、交通事故の初期対応を売りとしているAKB事務所のような弁護士事務所も増えてきました。さらに私のように「後遺障害の立証作業が事故解決の勝負どころ」と捉えている業者も存在します。「後遺障害の立証など無用、何もしなくても自然に等級が決まる」など、保険会社のあまりにも建前的、独善的な発想と思います。もちろん立証作業の効果薄い案件(足の切断のように見たままの障害)は除きますが。

   このように、なんとしても保険金支払いを削減したい保険会社と法律家の弁護士費用特約をめぐる争いは続きます。いい加減な仕事で多額の弁護士費用を請求する弁護士、行政書士が大勢存在するのが問題の根底です。それらの困った先生が存在する以上、保険会社の意地悪な支払い対応はなくなりません。真面目な大島先生の苦労は絶えないのです。  

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 弁護士費用特約は交通事故で代理人を雇う場合、被害者にとって重宝する特約です。しかし普及率は上昇するも使用率は低く、まだ一般的な印象は受けません。しかも保険会社の支払い基準は不明瞭で、各社、各担当者、案件ごとにまったく統一的な運用が成されていません。また、依頼を受けた弁護士・行政書士が費用を依頼者からではなく、直接、保険会社に請求することから、保険会社ともめることが多いようです。

 さて、最近の払い渋り、いえ、支払額提示で面白い対応をした保険会社をある弁護士先生から聞きました。今回はそれを紹介します。(仮名とします)  

弁護士に支払う報酬は人身傷害特約の支払い基準を超えた額から計算します

 AKB法律事務所の前田先生は被害者の後遺障害の申請を代理し、被害者請求にて等級獲得後、賠償交渉を経て解決させました。最終的な賠償獲得額は1500万円です。ここから着手金と成功報酬を合わせて252万円(旧日弁連基準報酬)を保険会社に報酬を請求したところ、請求額全額に応じられないとの返答です。その保険会社の計算とは・・・  

担当者:「本件の場合、弊社の契約に付帯していただいている人身傷害特約に先に請求して下されば700万円を支払うことができました。したがって弊社の特約を使わずに相手から獲得した賠償額は実質800万円と考えます。よって800万円に対する報酬を旧日弁連基準で計算します・・・

 800万円×(5%+10%)+9万円+18万円= 147万円 をお支払いします。  

前田弁護士:「えーっ! 頑張って後遺障害認定業務も行ったのですよ!」  

担当者:「いえ、頑張ってもらわなくても弊社の人身傷害特約を使っていただければ、700万まではお支払できたのです。それを敢えて被害者請求を行ったので、弊社としては700万円を超えた額である800万円を対象として計算します。」

  前田弁護士:「そりゃないよ~」

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 この担当者の払い渋り、いえ、報酬計算には思わず「座布団一枚!」、一休さんのとんちを見るようです。このような鮮やかな(へ)理屈を持ち出す保険会社、さすがとしか言いようがありません。

 しかし本例の場合、契約者(代理人 弁護士)の意向は、あえて人身傷害特約を請求せずに相手に賠償請求をすることです。契約者の代理人が行った一連の作業とその成果を尊重しない保険会社の姿勢はやはり問題があると言えます。これを弁護士費用特約のスタンダードな報酬計算とすれば、金融庁だけではなく契約者からも非難は避けられないと思います。   

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 もう一度この特約の約款をみてみましょう。(T社)

第2条 (4)この特約において、弁護士費用および法律相談費用とは下表のとおりです。

①弁護士費用 あらかじめ当社の同意を得て弁護士、司法書士、行政書士、裁判所またはあっせんもしくは仲裁を行う機関に対して支出した弁護士報酬、司法書士もしくは行政書士報酬、訴訟費用、仲裁、和解または調停に必要とした費用 ②法律相談費用 法律相談の対価として弁護士、司法書士または行政書士に支払われるべき費用

 どこの会社もこの定義とほぼ同じです。払われるのは訴訟・仲裁・和解・調停に必要な費用、相談費用です。対象は弁護士、司法書士、行政書士、裁判所、斡旋機関です。かなり広範囲のようです。しかし「あらかじめ当社の同意を得て」と条件がありますので、支払い担当者の解釈で支払い範囲が広がったり、縮まったりします。実際、その保険会社の解釈というよりは、担当者の解釈で支払いOKだったり、ダメだったり・・・統一された解釈がないようです。    このような環境下、弁護士、行政書士が常識的な請求をしていれば、おのずと保険会社の支払い基準、相場が固まってくるのが健全な姿と思います。しかし、法律事務所のHPでは「弁護士費用のある方」、「弁護士費用のない方」と二重表記が目立ちます。その分け方に、商売上の理由が露骨に見える事務所があります。これを保険会社は想像以上に問題視しています。

 そして、某社の担当者から「当社としてはA事務所に対し、弁護士費用の支払いはしません」との宣言!

 A事務所は保険会社を甘く見た報いを受けました。そして保険会社の体質を知らないことが、さらなるペナルティを受けることになります。かつて護送船団方式で全社、同じ約款、同じ掛け金であった体質の名残でしょうか、この保険会社の対応は、他の会社にも飛び火します。少なくとも国内大手の保険会社から、同じ対応をうけることが予想されます。外資系通販は同調しないと思いますが、もともと弁護士費用の支払いを渋る体質なので・・。

 私が心配していることは、A事務所だけの対応に留まればよいのですが、真面目な請求をしている他事務所にまで厳しい目を向けられることです。

 最近はLAC(日弁連の弁護士紹介機関)を受け皿とし、そこでの弁護士費用の基準・相場を多くの保険会社が推奨しています。なんとか弁護士費用特約と弁護士の関係存続は大丈夫と思います。しかし、今のところ行政書士会ではそのような申し合わせはありません。政治力から考えても、行政書士は約款から外れ、排除の危険性があると思います。

 B保険会社などは「行政書士は法律相談費用(10万円限度)のみ!」と請求内容の妥当性など無視、ヒステリックにまで行政書士の業務を否定しています。

 これはズルい請求をする法律家さんたちが招いた、自業自得かもしれません。

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 先日、仲間のMC山崎先生から情報をいただきました。それはある保険会社の担当者さんが弁護士費用特約の支払いに対し、厳しい目を向けざるを得ない、不届きな法律家さん、事務所を名指しで挙げたことです。以前にも記事に取り上げましたが、「保険会社の特約があるのだから・・・」と無茶な請求、アンフェアな請求をする弁護士、行政書士が少なからずいるのです。 困ったものです。

 

弁護士費用特約が出なければ、後は保険会社に文句言ってね

 これはある行政書士事務所の対応ですが、被害者に弁護士費用特約が使えます(使える可能性があります)と言っておきながら、費用が出なくても責任は取らない、やり方です。

① 契約の際は「弁護士費用特約で私どもの報酬はまかなえますので」と言います。被害者は迷わず「お金がかからないなら!」と即断、契約します。

② 仕事の完了後、相手が保険会社なのだから・・と普通より高額の請求をします。

③ 保険会社が支払いを渋ると、

④ すでに委任請求(被害者に代わって請求しますので、自賠責保険金を事務所口座に振り込ませています)で保険金を握っていますので、そこから報酬を抜き取った差額を被害者に支払います。その際、「保険会社が払わないのが悪い、うちには責任ありません」の姿勢。

⑤ すると弁護士費用特約から費用が出ると思っていた被害者は怒り心頭、保険会社に文句を言います。

⑥ ...

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三井住友さんは特約を細分化している

① 弁護士費用特約

 ・・・日常生活で事故にあい、ケガをしたりモノが壊れるなどの被害を受けたとき、弁護士に相談する費用などを補償します。日常生活の事故には、自動車に乗っていて衝突された事故や、歩行中に自動車にはねられた事故も含みます。

 つまり交通事故だけではなく、事故や犯罪により第三者から被害を被った場合、弁護士に相談、交渉の依頼について費用がでます。例としてイベント会場で下敷きになりケガをした場合や、マンションの階上の水漏れで家具に損害が生じた場合も、弁護士などに相談する費用を補償します。従来の弁護士費用特約は交通事故限定でしたが、補償が拡大したと言えます。

② 自動車事故弁護士費用特約

 ・・・自動車に乗っていて衝突された事故や、歩行中に自動車にはねられた事故で、ケガをしたりモノが壊れるなどの被害を受けたとき、弁護士に相談する費用などを補償します。

 つまり、自動車事故にまつわる交渉に限定します。注意しなければならないのは、ご自身が契約している車両に搭乗中以外の場合です。他の家族の自動車に乗っているときは適用外です。他人の車はOKですが、奥さん所有の自動車に乗っていて被害事故にあった場合はその自動車に特約がついていなければ適用外です。また家族内で50ccバイクに乗っている子が事故に遭った場合、そのバイクにもこの特約が付いていなければ補償外です。従来の弁護士費用特約は、①のように家族内の一台の自動車にについていれば全車両(他人の車も含む)補償内でした。これは①とは逆に補償が限定された形になります。

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さらに弁護士費用の第2条(4)について。

第2条 (4)この特約において弁護士費用および法律相談費用とは下表のとおりです。

①弁護士費用 あらかじめ当社の同意を得て弁護士、司法書士、行政書士、裁判所またはあっせんもしくは仲裁を行う機関に対して支出した弁護士報酬、司法書士もしくは行政書士報酬、訴訟費用、仲裁、和解または調停に必要とした費用 ②法律相談費用 法律相談の対価として弁護士、司法書士または行政書士に支払われるべき費用

    弁護士費用が支払われる対象者と内容についてさらに詳しく規定しています。T社他、国内損保はおおよそこのような内容となっております。外資系通販損保は司法書士や行政書士が対象外となっている会社もあります。

ここでのポイントは下線「あらかじめ当社の同意を得て」の部分です。これは弁護士等が依頼者と先に報酬を取り決め、契約したとして、その金額を無条件で支払うことはしません、ということです。あくまで保険会社の納得する金額までしか払いません、という意味です。これは保険会社の約款には欠かせない、毎度おなじみの条件です。この条件をめぐって、以下のやり取りが繰り返されています。  

依頼者:「先生、交通事故で依頼をしたいのですが、費用はどのくらいかかりますか?」

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 最近、弁護士費用特約についての質問が重なりました。どのような場面で使える保険か?少し約款に踏み込んでみましょう。

 まず、弁護士費用特約を簡単に説明します。

 交通事故で被害者となり、事故相手との交渉や賠償金請求行為をするために代理人を使ったり、公的機関を利用した費用について、自分がかけている自動車任意保険のこの特約からその費用が支払われるものです。  各社多少違いがありますが、限度額は以下の通りです。

弁護士費用

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 弁護士費用特約については適時取り上げています。

 この特約の内容についてはまず過去記事をご参照下さい  → 弁護士費用特約

 会社によって弱冠内容が違います。例えば弁護士のみで司法書士、行政書士には適用されないケースもあります。これは外資系通販に多い傾向です。また法律相談費用10万円がなく費用保険300万円のみの会社もあります。変わったところでは東京海上日動のように法律相談費用10万円が自動付帯(自動的に保険に含まれている)となっています。

 私もある保険会社の資料からおおむね加入率は30%程度と読み取っています。では全体ではどうでしょう。特約の付保率、そして使用率までは完全に内部資料となっており、各社公表しづらいようです。昨日産経新聞に関連記事が載っていましたので、以下抜粋します。

「弁護士費用保険」利用者わずか0.05% 加入1430万件も…

 

 交通事故の被害に遭った際などに弁護士費用を保険金で賄える「弁護士費用保険」の加入者が、年々増え続けている。自動車保険などの特約として販売されており、平成22年度の契約件数は1400万件を超え、全国の総世帯数の3割近くを占めるまでに普及した。一方で、利用件数は年間1万件未満と低調。「いざというときのために安心はしたいが、実際に裁判沙汰にするのは避けたい」。背景にはそんな複雑な消費者心理もあるようだが、勧められて加入したものの、契約内容をよく理解せずに使わない人も多いとみられる。     弁護士費用保険は年額2千円前後の保険料で、相談費用や示談交渉、訴訟などの弁護士費用が300万円を上限に保険金から支払われるタイプが一般的。自動車保険だけでなく、火災保険や傷害保険の特約としても販売されており、保険会社を通じて弁護士会から弁護士を紹介してもらうこともできる。加入するメリットが大きいのは、信号待ちをしていて追突された場合など、自分にまったく過失がないケース。保険加入者に過失があれば、保険会社は保険金を支払う当事者として、示談交渉を行ってくれるが、「もらい事故」は被害者側に賠償責任がないため、利害関係のない保険会社は弁護士法の規定で示談交渉を代行できない。このため弁護士を依頼しなければ、被害者自らが示談交渉を進めなければならないからだ。また、被害額が少なく、弁護士費用の方が高額になりかねない事故の場合でも、費用を気にせずに弁護士に依頼できる。

 弁護士費用保険は日本弁護士連合会(日弁連)と損害保険会社が連携し、平成12年にスタート。日弁連によると、12年度の契約件数は約7400件だったが、その後、取り扱う保険会社も増え22年度は約1430万件になった。現在は11の保険会社が取り扱っている。一方で実際に保険を利用した件数は、年々増加しているものの22年度でも約8200件。契約件数に占める利用件数の割合は、自動車保険の中で利用率の高い車両保険はもちろん、対人賠償保険や搭乗者傷害保険をも大きく下回っている。ある大手損保会社では、自動車保険の全契約のうち弁護士費用の特約がセットされたものは半数に上る。にもかかわらず利用が少ない理由について、担当者は「弁護士に頼むと角が立つ場合もあり、トラブルが手に負えなくなって初めて弁護士に、という人が多いのでは」と分析する。   続きを読む »

 恥ずかしながら、私の交通事故体験からお話します。     数年前、直進道路を走行中、右の路外(駐車場)から車が飛び出してきました。危ない!と思って急ブレーキ、それでもぶつかる!と思い左にハンドルを切りました。そして左の電信柱に自車の左角が接触しました。飛び出し車とは50cmを残し接触を避けることができましたが、こちらの車は損傷、50万程度の修理費がかかりました。現場で、「あなたの飛び出しを避けた為の事故なので原因はあなたです。責任をとって下さい」と主張しましたが、「自分は悪くない」と頑な態度です。言い争いをしても仕方ないので「保険会社同士の話し合いに委ねましょう」と同意してわかれました。   双方の保険会社の話し合いでは、私30:相手70 の過失割合が提案されました。まぁ妥当な線だな、と私は納得するつもりでしたが、しかし相手は「自分には責任ない!」と突っぱねました。相手にしてみれば自分の車に損害がないので、そのままでいいわけです。予想はしていましたが、相手保険会社の説得に期待しても無駄なので、法的手続きをする旨を伝えました。     ← 左目わずかにウインクとなった愛車

 法律家相手に虎の尾を踏んだな、と言いたいところですが、大船に乗っていられるのは弁護士費用特約を付けていたからです。この軍資金でいかようにも法的手続きがとれます。その時は「支払督促」を選びました。

■支払督促とは

 正式な裁判手続をしなくても、判決などと同じように裁判所から債務者に対して金銭などの支払を命じる督促状を送ってもらえる制度です。  この制度は、民事訴訟法382条で定められたもので、債権回収(お金を取り返す)の有効な手段です。申立ては金銭債権の額にかかわらず、簡易裁判所で行います。

 普通の人なら裁判所からの「払いなさい!」って通知でビビります。案の定、相手は「取り下げて!(慌)」と泣きついてきました。そして元通り保険会社同士の示談に戻って解決となりました。  結局無駄な回り道をしただけです。そもそも車両保険を付けていた私は自分の保険で車を直せるので意味のない手続きです。しかし「支払督促を一度やってみたかった」ので。(不謹慎ですみません)

■支払督促の費用と手続き

 100万円以下の訴額(請求額)ではその0.5%  今回は請求額が50万円なので   50万×0.5%=2500円 + 切手代  安いです。弁護士費用で支払いました。   1、管轄(通常相手方の住所)の簡易裁判所に出向きます。 2、書類(申請書、事故証明書、事故状況説明書、損害見積、通知はがき)を書いて提出するだけです。 3、1週間ほどで相手に支払督促通知が届きます。 4、2週間以内に相手が異議申立をしない場合、債務を認めたことになり仮執行宣言の手続き(30日以内に)ができます。 5、それでも2週間以内に相手が異議申立をしなければ差し押さえができます。

 書記官さんが書き方等教えてくれます。

 ちなみに司法書士や弁護士にこの手続きを任せて5~10万円払ったとしても弁護士費用でまかなえます。

■ 支払督促の注意点

 債権回収の一手段としてなかなか使えます。しかしこの支払督促、注意があります。それは今回は「相手が泣き付き→保険会社へ任す」という読みどおりでしたが、保険未加入で支払い能力がない、もしくは変な人?には脅しは通用せず、督促に対して異議を申し立ててきます。その場合正式な裁判となります。脅しのつもりが本戦になってしまうわけです。  それでも弁護士を雇う軍資金(弁護士費用特約)を手にしていれば大丈夫ですが。

 双方任意保険に入っていても相手が賠償に応じない、保険を使いたくないとごねるケースもあります。その場合「保険の保険」ともいうべき存在です。思ったより使い勝手がいいのですよ。   

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 先日のメールフォームで触れました弁護士費用特約について。

 発売してから6年ほどでしょうか、まだこの特約を自動車保険についけている方は30%程度との統計を目にしました(特約を販売している会社と販売していない会社もあり全体統計がとれていません)。内容もよく周知されていないようですので少し詳しく解説します。

■ 保険契約者 (契約者本人だけではなく、同居の親族別居の未婚の子契約自動車に搭乗中の方を含みます)が、

1、歩行中、自転車搭乗中、他の自動車・バイクにより、ケガや物(自転車・持ち物)へ被害を受けた 2、自動車・バイク搭乗中、他の自動車により、ケガや自動車・バイク、車内の所持品へ損害を受けた 3、他の自動車のにより家屋に被害を受けた ・・・車が家や商店に飛び込んできた事故です。

■ この場合、相手への損害賠償請求について、

・弁護士 ・司法書士 ・行政書士 ・裁判所 ・斡旋・仲裁機関

 に対して委任または相談を行った場合に負担する費用を支払います。   ただし、保険会社の同意を得て支出した費用に限ります。

■ 保険がでないケース

・相手に損害賠償責任がない。 悪くもない相手に「単なる言いがかり」、ではダメです。 ・自分に重大な過失、犯罪、故意、自殺、飲酒等があれば当然ダメです。 

■ 限度額は、

○ 法律相談費用  10万円 ○ 費用保険金  300万円 

■ 掛け金は、

 月々140円/年間1600円 程度が各社標準です。 注:当時の掛金、現在は各社バラつきあり、およそ1.5倍上がっています。

 どうでしょう?被害事故で相手と単独で交渉するのは心身ともに大変な労苦となります。 事故相談の時に「弁護士費用に入っていますね。これで行政書士や弁護士に頼めますよ!」と言った時、相談者の皆さんの安堵の表情がすべてを語っています。                                   続きを読む »

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