今年の秋、10月から各損保会社は自動車保険の約款改定を行います。昨年のノンフリート等級改定に比べれば細かな改定ですが、以前から要望が高かった弁護士費用特約もその対象です。以下、東京海上日動さんの内容を抜粋します。支払い内容についてより具体的な条項が加わった印象です。
 

弁護士費用等補償特約(日常生活)の改定

 
 弁護士費用を算定する場合において、一般的にはその費用算定の対象に含まれない以下a.b.の額に対する費用は、弁護士費用等補償特約(日常生活)の補償の対象外とします。
 

a.保険金の受取人が損害賠償請求を行った額のうち、補償を受けられる方の過失により減額された額
 

b.損害賠償の額のうち、既に保険金の受取人が受領済みの額
 

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<解説>

 a.の内容は「依頼者側の過失割合により減額された賠償金分は報酬計算の対象金額ではないですよ」とのことです。報酬とは相手から勝ち取った金額からのボーナスですから、常識的にa.の通りですよね。
 また、仮に自身が契約している人身傷害特約に「過失減額された分を請求・補てんしたとしても、この補てん額は弁護士の交渉で獲得した金額ではない」と念を押されそうです。

 b.の内容は、「依頼者側がすでに相手の保険会社から受け取ったお金や、自身が加入している人身傷害特約から受け取った保険金は報酬計算の対象から引いて下さい」との意味です。これらは弁護士の介入に関わらず支払いが受けられたお金なので、弁護士の仕事の成果ではなく当然に差し引くことになります。

 
 この2つの追加条項は今さら明記するまでもない、当たり前のことですよね。
 本改定については先日の研修会でも取り上げ、全国の弁護士先生から意見を聞きました。常識的な事を敢えて約款に盛り込む意味は?・・・いくつか現場からの報告がありました。

 「保険会社の担当者に聞いたのですが、ある弁護士は慰謝料のみならず、交渉以前に支払いを受けた治療費・休業損害も含めた賠償金総額に対して旧日弁連基準の報酬を請求したそうです。」・・これでは今回の約款改定を行った理由が頷けますね。

 このように実際にめちゃくちゃな請求をあげてくる弁護士が後を絶たないそうです。今回の約款改定はまるで「非常識先生対策?」の様相です。

 つづく