続いて上肢もまとめてみましょう。下肢に同じく、実際は認定等級にない7級の扱いは併合によって6級になります。
等級 上肢の障害 続きを読む »自賠責の後遺障害認定は交通事故被害者が加害側の自賠責保険に請求する際、自賠法によって定められたルールで認定されます。今回取り上げる身体障害者手帳とその等級は行政が障害者に対する福祉を目的として定めた制度です。したがって自賠責の等級とは意味合いも違い、認定される等級も関係ありません。
税金や医療費、交通機関の割引等のメリットがあります。内容は自治体ごとに異なります。
身体障害者手帳は、視覚、聴覚、平衡機能、音声・言語・そしゃく機能、肢体不自由、心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう又は直腸・小腸・肝臓・免疫機能に障害のある方に交付されます。 手帳の等級は、障害の程度により1級から6級までの区分があります。(7級は2つの障害が併合される場合に影響します=緑色太字)
障害のカテゴリーごとに随時見ていきたいと思います。今回は「下肢」を取り上げます。
等級
続きを読む »
後遺障害診断書の代金についてよく質問を受けます。教科書に載っていない実務的な回答をします。おなじみのQ&Aで。
Q. 後遺障害診断書の診断書代は非該当の場合、請求できるの?
むち打ちで6か月通院しましたがまだ痛みが残っています。相手の保険会社の勧めもあったので医師に後遺障害診断書を書いて頂き症状固定としました。病院で診断書代10500円を自費で支払いました。 後日、後遺障害の判定は「非該当」となりました。仕方がないので示談とすることにしました。しかし相手保険会社からの賠償金提示に診断書代10500円は含まれていません。担当者は「非該当だったのだから出ません」とのことです。本当なのでしょうか?
A.この回答は規則(法律)と実際(運用)の2側面から整理します。
民法の解釈で言えば、損害(本件の場合、後遺障害)の挙証責任(証拠を突きつける必要)は被害者にあります。そしてその立証にかかった費用は損害が認められない限り被害者の負担です。したがって後遺障害を立証すべく書いてもらった診断書の費用は、認定されればOK、非該当だったらNOとなります。以上、法的な結論です。
もう一つの論点は自賠責保険が絡んだ実際です。人身事故には民法より優先する場面の多い自賠法の存在があります。自賠法=自賠責保険の支払い内容において診断書の発行費用は治療関係費の項目になり、支払い基準は「必要かつ妥当な実費」とあります。 任意保険会社の一括払い(病院に直接治療費を払ってくれる)の場合、後遺障害診断書の診断書代が最終月の治療費の中に含まれていると、仮に審査結果が非該当でも払われてしまいます。これは任意保険会社が自賠責保険会社に求償(後に120万円の限度まで請求)する際、問題になるはずです。しかし後で自賠から出なかったので被害者さんへ請求をするケースに出くわしたことがありません。きっと自賠責側も(面倒なので)「必要かつ妥当な費用」として処理したのだと思います。
本件のように病院窓口で自費で診断書代を支払った場合も同じく、杓子定規に言えば「非該当」となれば認められません。しかしこれも相手保険会社に領収書を提出した結果、何も言われず支払ってもらったことは多いのです。症状固定後、「未精算治療費」の領収証とまとめて請求しますが、一緒に精算してもらっています。これも後に「非該当」が判明したとして、もはや治療費の一環として「必要かつ妥当な実費」として求償処理しているものと思います。
私は厳密なルールを回避するために、症状固定後すぐに未精算治療費と一緒に請求するようアドバイスをしています。あとは担当者次第といったところでしょうか。無責任な回答ですが何事も規則通りとはならない曖昧な流れもあるです。
今年7月に記事出しした「自転車事故での高額判例」、ふたたび産経新聞で特集されました。気になっていた賠償額の内訳がおおまかに判明しました。以下、記事から抜粋してまとめてみました。
記事の概要は・・・
当時小学校5年生だった少年(15)が乗った自転車と歩行者との衝突事故をめぐる損害賠償訴訟で、神戸地裁は、少年の母親(40)に約9500万円という高額賠償を命じた。5年近く前に被害に遭った女性(67)は、事故の影響で今も寝たきりで意識が戻らない状態が続いているだけに、専門家は高額賠償を「妥当」と評価する。 ただ、子を持つ親にとって、1億円近い賠償を命じた今回の判決は、驚愕でもあり注目を集める。9500万円の内訳はどうなっているのか。一方で、保険加入義務がない自転車の事故をめぐっては、高額な賠償命令が出されるケースも多く、自己破産に至る例も少なくないという。こうした中、自転車の保険制度拡充を目指した動きも出始めている。
「監督義務果たしていない」
子供の責任を親がとることになるのか?
事故は平成20年9月22日午後6時50分ごろ、神戸市北区の住宅街の坂道で起きた。当時11歳だった少年は帰宅途中、ライトを点灯しマウンテンバイクで坂を下っていたが、知人と散歩していた女性に気づかず、正面衝突。女性は突き飛ばされる形で転倒し、頭を強打。女性は一命は取り留めたものの意識は戻らず、4年以上が過ぎた今も寝たきりの状態が続いている。判決で田中智子裁判官は、少年が時速20~30キロで走行し、少年の前方不注視が事故の原因と認定。事故時はヘルメット未着用だったことなどを挙げ、「指導や注意が功を奏しておらず、監督義務を果たしていない」として、母親に計約9500万円の賠償を命じた。
高額な賠償となった9500万円の内訳はどうなっているのか
田中裁判官の判断は・・・
(1)将来の介護費約3940万円
女性の介護費を1日あたり8千円とし、女性の平均余命年数を掛け合わせるなどして算出。
(2)事故で得ることのできなかった逸失利益約2190万円
専業主婦の女性が入院中に家事をできなったとして月額約23万円の基礎収入を平均余命の半分の期間、得られなかったなどとして計算した。
(3)けがの後遺症に対する慰謝料2800万円
後遺障害慰謝料 「赤い本」の1級。
この結果について記事より・・・
これらに治療費などを加え、母親に対し、女性側へ約3500万円、女性に保険金を払った保険会社へ約6千万円の支払いを命じた。特に女性が意識が戻らぬままとなっていることで、慰謝料などが高額となり、賠償額が跳ね上がった。 交通事故弁護士全国ネットワークの代表を務める古田兼裕弁護士(第2東京弁護士会)は、今回の判決について「高額な賠償額だが、寝たきりで意識が戻っていない状況などを考えると妥当」と評価。ただ、「自転車だから責任が軽くなるとはいえないが、11歳の子供の事故で親がどれほど責任を負うかはもっと議論していく必要がある」と話す。
(まず前日の記事を読んで下さい)
<若手弁護士A先生> クレサラ方式の解決・・・う~ん、考えさせられますね。大量受任と早期解決、確かに事務所を経営する以上、経営効率は大事です。しかし依頼者に対して誠実な仕事とは言えませんね。
<秋葉> では誠実な仕事でありながら早期解決を達成している事務所を紹介します。
(C先生) C先生とは3年以上一緒に仕事をしています。交通事故を専門に受任しており、とくに14級9号を大量に解決してきました。C先生は赤本の満額獲得を必須目標として取り組んでいます。14級9号での平均的な賠償獲得額は赤本基準で300万前後です。
C先生は最初に損保会社に賠償提示を行い、損保の回答が「先生、訴外交渉なら提示金額の70%~80%でどうでしょう?」とくれば迷わず、「請求額から歩み寄る気はありません。交通事故紛争センターの斡旋にふしましょう」と宣戦布告します。また請求額や争点の性質からから裁判を選択することもあります。対して損保会社は「うっ、この事務所は(妥協解決に)乗ってこないな・・・」と印象を持ちます。
それではと、損保会社は紛争センターにおいて全力で応戦してきます。しかし紛争センターの性質上、斡旋弁護士は既に認定された後遺障害等級を審議なく踏襲する傾向にあり、細かな論点も時間の関係から避けがちです。もちろんC先生、ここでも妥協的な斡旋なら裁判を辞さない姿勢を堅持します。およそ月1回合計3~4回の協議でほぼ赤本基準の斡旋案に落ち着きます。損保側は紛争センターの斡旋案を尊重する立場なので、余程の反論がない限り飲みます。まれに審査会に進みますが、大きな変更は極めて限られたケースとなります。
費用対効果で見ると、交渉解決なら1~2か月で解決のところ紛争センターの斡旋により3~4か月解決が伸びてしまいます。しかし依頼者が手にする賠償金は、8割の妥協的交渉解決に比し60万ほど増額します。3か月解決が遅れる事と60万、どっちがいいか?依頼者は迷わず60万を待ちます。
こうしてC先生は100件を超える事案を紛争センターで解決させました。さて、こうなるとある変化が起きます。損保側は「C弁護士は赤本満額を譲らない→紛争センターに持ち込まれるので面倒だし時間の無駄→しょうがない満額支払うか」となります。C先生は主要損保からこのように評価されます。こうして早期交渉解決で満額獲得できる=実力ある弁護士となったのです。
現在C先生は受任の70%を交渉にて満額獲得しています。譲らない損保社には裁判、紛争センターの斡旋解決へ進めます。それが残りの30%になります。通販系損保も支払いを渋るので30%に入ります。結果としてクレサラ方式事務所に劣らない解決スピードとなりました。こうして交渉力(実力)と早期解決(経営効率)の両方を実現しているのです。
経営効率主義のクレサラ方式解決事務所:β事務所と赤本満額解決主義の実力交渉C先生、同じ交通事故弁護士でも違いが生じるのです。損保会社はこのC先生を手ごわい相手と感じ、逆に昨日のβ事務所へは足元を見た対応を続けます。そして依頼者は迷わずC先生を選ぶべきです。
さて、A先生はどちらの道を進みますか?
続きを読む »
人身傷害特約における休業損害のアドバンテージ
休業損害の請求について・・・自賠責基準ではでは1日6100円の定額、それ以上の場合は収入証明(源泉徴収票、申告書)を示し19000円まで(この上限額は、近年、主要社の約款から消えています)。また、加害者に請求可能でそれらの保険基準を上回る場合、収入に関する証明を示した結果、加害者側(多くの場合、任意保険会社)が納得すればその額の支払いを受けられます。しかしひき逃げでは相手(相手保険)はいません。ご自身が人身傷害特約へ加入していた場合、まっさきに請求します。
人身傷害特約の約款を読むと、休業損害は「別紙に定められた算定基準に従い算出」とあります。つまり、この別紙より実際の収入が高ければ「個別適用」となり、源泉徴収票や申告書など、現実収入の証明が必要になります。以下、別紙の平均賃金と自分の収入を損得を比べて高い方を請求します。もっとも、「現実収入が優先です」と言って、この平均賃金ではなく、(より低額の)現実収入で計算してくる担当者も多いものです。 まずは、自身の実収入と表と見比べて下さい(この表は平成23年当時の額で、現在は改定されてます)。
年令別平均給与額(月額)
年令
男性
女性
続きを読む »
昨年、某法人弁護士事務所にて事務所内研修の質疑応答から・・・
テーマ:交通事故の交渉解決について
Q、<若手弁護士A先生> 秋葉先生、保険会社と交渉を開始すると、まず「訴外交渉(裁判をしないで交渉解決)なら赤本の70%、80%でどうか」と回答しくることが多いようです。依頼者の希望で早期解決を目指すなら、多少妥協してもいいのではないでしょうか?
A、<秋葉> この保険会社への対応如何で交通事故業務における”弁護士事務所の格”を決定づけることになります。実在する2つの事務所のケースから説明しましょう。
(β法律事務所)クレサラ業務(過払い金返還請求等)を中心とした大手法人事務所β、クレサラ業務の減少に伴い、交通事故にも力を入れ始めました。この事務所の交通事故解決はほとんどが交渉解決です。まず賠償金請求書を保険会社に送り、赤本基準の70%位の回答が来ると、それでOKをだして示談成立します。多少は上乗せ交渉をするとしても、難しい交渉一切抜き、超スピード解決です。
ちなみに追突事故、主婦でむち打ち14級9号の案件について、賠償金を赤本基準で計算すると320万円ほどになります。この7~8割解決ですと230万~260万円です。赤本の満額で解決する金額から60万~90万円少ないことになります。β事務所の弁護士は依頼者に「相手保険会社から250万で回答を受けました。急いで解決するならこの金額です。」と説明します。満額は320万円になることについて依頼者へは言いません。そして多くの依頼者は「(解決の相場がわからないので)先生にお任せします」と答えます。何故なら保険会社は最初150万円位の提示をしてきましたので「100万円もUPした!さすがβ先生」と思います。 こうして簡単に早期示談解決が量産されていきます。事務は弁護士⇒保険会社、相互にFAXや文書のやり取りをおよそ3往復で終わります。そうです似ています、クレサラ業務に・・・。
毎月、莫大な広告費をかけて交通事故被害者を集め、裁判などを避けてどんどんこの方式で解決していきます。受任量を増やし、獲得金額より処理速度を重視します。経営効率としては良いでしょう。このような事務所に対し、保険会社は「先生、今回も7掛けでいかがでしょうか?」と水を向けてきます。保険会社も赤本満額から30%支払い削減でき、早期に案件処理ができますので歓迎です。それに敵であるはずの弁護士が「これ位の金額で手を打つべき」と被害者を説得してくれる(?)形となり、大助かり。このように損保会社とβ事務所は利害が一致するのです。まるで示し合わせたようなぬるい交渉で保険会社は「β事務所は7割が相場!」との対応をずっと続けていきます。
なにか腑に落ちない話ですが、早期解決だけは達成しています。しかし一方で赤本の満額を毎度普通に獲得している事務所も存在します。しかも解決スピードも決して劣りません。 (明日に続く)
弁護士へ、ひき逃げ事案の引き継ぎですが、本件は政府保障事業に申請をかけ、1年の審査の結果、ようやく高次脳機能障害5級が認定されました。今後の保険請求について、弁護士代理による保険を熟知したテクニカルな請求を遂行していくことになります。 毎年、数多くのひき逃げや加害者が無保険の相談を受けております。ひき逃げの場合、当然ながら相手からの補償は受けられません。そうなると、ご自身が加入している保険を総動員し、一番有利な支払いを受けるべく計画的に進めねばなりません。ケースによってたくさんの選択肢がありますが、まず人身傷害特約(以下、人傷)の加入がある場合とない場合で2分します。
1、治療費
<人傷がある場合>
人傷から支払いを受けられます。そして損保は安く抑えるために健保、業務中・通勤中であれば労災の使用を推奨します。通常、交通事故で相手の保険があり、自身の過失がなければ(少なければ)、病院が喜ぶので自由診療を原則とします。しかしひき逃げの場合の健保使用は病院も仕方ないと思ってくれます。したがって健保、労災の使用で大丈夫と思います。損保と病院の合意が取れれば一括払い(損保会社が病院に直接治療費を支払てくれる)も可能です。 相手がいないので求償することがでできず、損保は大変です(損保も最終的に自賠責に対して求償するように政府の保障事業に求償したいのですが、国は民間で払われるものですら控除すべきとして拒否しています。) <人身傷害がない場合>
健保、労災の使用は必須です。そして政府の保障事業への請求を進めます。政府の保障事業とは相手がいない場合、国が肩代わりして補償してくれる制度です。自賠責保険と同じく国土交通省の管轄で、審査も自賠責調査事務所で行います。厳密に言いますと自賠責の調査・支払事務は民営化されていますが、政府の保障事業の事務は国交省の公務員が行います。
支払い内容は、自賠責保険とほぼ同じと言っていいでしょう。120万円まで治療費や休業損害、入通院慰謝料が確保できます。限度額がある以上、入通院慰謝料の額を確保するために、健保、労災を使用し治療費を圧縮する必要があります。自由診療では健保の2~3倍の費用がかかりあっという間に120万円を使い切ってしまうからです。
何より、まずは人身傷害特約が入っているかを調べて
この保険の適用如何でその後の運命が分かれます。ご自身の自動車に乗っているときだけではなく、他の自動車や自転車、歩行中の交通事故にも適用できる可能性があります。多くの場合、ご自身だけではなく同居の家族、別居の未婚の子も補償対象に含まれます。 人身傷害特約の復習 ⇒ そして『無保険車傷害特約』は吸収された・・・ 別居の未婚の子の復習 ⇒ 「別居の未婚の子」とは・・・
昨日、ノルウェーから交通事故相談のメールが入りました。なんでノルウェーから???差出人は「ノルウェーの森です」とあります。誰だ?ノルウェーに知人はいません。おっかなびっくり開いてみました。メールの文字は日本語のフォントとなっています。読んでいく内にようやく思い出しました。
10年前、ロシアの旅先で会った日本人です。数日一緒につるんだバックパッカー仲間の森君でした。なんでもオスロで交通事故に遭い、日本のサイトを検索していたらこのHPにたどり着いたようです。相変わらず定職に就かず世界中を回っているようです。しかしよくみつけましたねぇ。 質問内容は、事故相手が無保険らしいのですが、日本の強制保険みたいなものはないのか?ということです。「そんなの知るか!」と思いましたが、一応調べて回答しました。
なんと最初に自動車の強制保険加入を義務付けたのはノルウェーです。さすが福祉大国というべきでしょうか。100年前の1912年には自賠責保険加入が強制化されています。その他ヨーロッパで自賠責保険が次々と制度化され、デンマークやスウェーデンの北欧諸国、そして西欧のイギリス・ドイツが続きました。現在東欧を除きヨーロッパのほとんどがほぼ制度化されているようです。(ちなみにアメリカは最低補償金額を任意保険で加入するよう義務づけられています。)補償内容は対人だけではなく対物も設定されているようです。日本の被害者請求に類似する請求も可能のようです。 幸い軽傷のでした。後は現地で調べてもらいたいとこです。オスロの日本大使館に相談すればなんとかなると思います。
10年前、私はウラジオストックの広場でほんの一日ですがギター弾き語りをしていました ・・・ビートルズの「ノルウェーの森」を歌うと、知り合ったばかりの森君は「じゃ北欧にでも行ってみるか・・・」ウオッカ片手につぶやいていたっけ。本当に行ったのだな。
昨日からつづき・・・ Z先生:「しかし、なんといっても早期解決を目指すべきでは・・・」 秋葉:「もちろん、被害者の希望が白黒はっきりした決着や、遅延利息5%+弁護士費用10%の増額より、何より一刻も早い解決を望むのならそうです。であれば、そもそも裁判などせずに交渉もしくは紛争センターで解決する道がベターと思いますが・・・。 ここである弁護士先生を例にとります。この先生、判決まで徹底的に争うことで有名で、相手の共済社も、この先生に何度も裁判で数億円を取られ、手強いことを知っています。昨年、私が担当した後遺障害3級被害者の案件をこの先生に引き継いだところ、相手共済社は請求額全額をあっさり認め、争わずさっさと保険金を支払いました。裁判で負けて、遅延利息や弁護士費用まで取られるくらいなら・・という判断です。
普段から判決まで争う姿勢の弁護士、または、判例や実績のある弁護士は『戦わずして勝つ』早期解決を成し遂げています。結局のところ、本気で判決による解決を基本姿勢にしている弁護士を保険会社はリスペクトしています。徹底的に戦う戦略の延長線上に「和解解決」が選択肢としてある・・・これこそ交渉力と思いませんか?」 Z先生:「確かに『戦わずして「早期に妥協した金額ではなく、勝訴に値する金額を取って勝つ』ことが一番の理想です。」 秋葉:「Z先生も頑張ってそのような弁護士になって下さい!」 訴えたい事はつまり、障害の立証は難しく手間がかかるので、それを避ける弁護士が多いということです。そして、Z弁護士に「和解」が普通・正当と思わせてしまった保険会社の脅威を語りたいのです。保険会社は若い弁護士を協力弁護士として雇い、交通事故の実務を依頼します。その内容は問題のある被害者への対応が中心です。まともに話し合いができない人、保険金詐欺・詐病者、心身症者などの対応ばかりです。問題のない被害者への対応、つまり被害者救済の仕事は経験しません。
またZ先生のように、ほぼ全件和解とする裁判の経験から交通事故裁判は和解が当然と認識してしまうのです。保険会社は誰より交通事故のプロです。それに戦えるのは弁護士だけです。その弁護士が、いつの間にか保険会社であたかも(骨抜きにするための?)研修、ではなく、経験をされている事実を保険会社にいるときから目の当たりにしてきました。そもそも、真に被害者のために戦う弁護士こそ、保険会社側から依頼される仕事をしないはずです。
もっとも問題なのは、裁判を避けがち、起こしても全件「和解」、基本姿勢が「交渉解決」前提のクレサラ方式事務所です。その事務所は、保険会社から先に「先生、今回も赤本の70%でどうでしょう?」と打診される始末、これでは依頼者への背信とも思えてきます。これを早期解決などと呼んではいけないと思います。 昨日から続く本記事は被害者に「和解が常道となってしまった交通事故裁判の実情」、それを「普通のことと認識してしまっている弁護士の多いこと」、さらに「早期解決の美名のもと、保険会社と談合的な示談をしている事務所があること」を知ってもらう目的で書きました。
単に知人の紹介で弁護士を選ぶのではなく、交通事故で戦ってくれる弁護士なのか否か・・・被害者自らがしっかり見極める必要があります。
最近、既に弁護士に依頼済であるにもかかわらず、裁判の進行についての質問が寄せられています。もちろん、賠償交渉は私の専門外です。しかし平素から座視できない交通事故裁判の現実について言及することがあります。それに対し、ある中堅弁護士Z先生からご意見をいただきました。そのZ先生との対話を(一部脚色が入りますが)披露します。
弁護士Z先生:「秋葉先生は80%以上の交通事故裁判が和解前提で、弁護士が戦ってくれないと言いますが、交通事故で多くの場合、判決まで争っても被害者の望む決着は難しく、裁判官も和解を強く勧めます。総合的に見て和解の方が被害者の利益となるケースが多いのでないですか?」
これは、交通事故裁判の80%以上が和解となることを憂慮する私の主張への反論と思います。
秋葉:「お答えする前に、Z先生にお聞きします。先生は保険会社の顧問弁護士、もしくは協力弁護士をやっておられましたか?」
Z先生:「ええ10年やりました。ここで交通事故の実戦を積みました。交通事故の審議は長引きがちです。多くの場合、保険会社との和解がベターであると経験しました。」
秋葉:「それは、ある意味当然です。保険会社との交渉では全件、和解となる構造になっているからです。なぜなら保険会社の提示する賠償基準は判例と比べ、半分以下のケースが多く、勝ち負けをはっきりつけなくても、相互の歩み寄りにより、つまり和解でも被害者の得る賠償金は大幅にUPするからです。そして後遺障害
の賠償金については、医学的な判断が非常に難解かつ時間を要します。対して、保険会社側は長年の蓄積により傷病に対して膨大なデータを持っています。それを使い顧問医の意見書としてすみやかに提出してきます。対して被害者側の弁護士は証拠=医師の意見書等の取得に苦戦し、なかなか提出してこないので審議が進みません。これを裁判官が嫌うのです。こうして、和解による相互歩み寄りが推奨されるのですね。」
Z先生:「そうです。医師の協力を得ることは至難です。障害の立証は医師次第となっている現実があります。」
秋葉:「おっしゃる通り、立証は医師次第です。だからこそ、私たちメディカルコーディネーターは早期から数度の医師面談を通じて、医師に対し障害の立証について協力を取り付けています。裁判に耐えうる証拠集めは、何と言っても医師の診断、検査結果を引き出すことです。そして、後遺障害等級の獲得がなによりの証拠となります。被害者側で医証を集めること=16条請求(被害者請求)は、そのような意味もあるのです。先生は事前認定(加害者側保険会社に障害認定作業を任せる)をしていませんか?」
Z先生:「・・・・・・。しかし、自賠責で認定された等級も裁判で再度検証されます。交通事故裁判はとても時間がかかります。被害者の経済的事情も考える必要から和解が良いケースもありませんか。」
秋葉:「その為に、16条(被害者)請求で自賠責保険金をまず確保する必要があると思います。話を戻しますが、もちろん経済的事情の他、戦略的に和解に持ち込むケースもあるでしょう。例えば、障害と既往症の関連が強く素因減額で不利になりそうなケース、または、自賠責の後遺障害認定が実情より有利な等級がついてしまったケース、これら白黒つける審議に耐えられないケースには和解が有効なオプションであることに変わりありません。しかし、いくらなんでも交通事故裁判全体の80%超はないでしょう。多くのケースで和解による早期解決を立証努力しないこととすり替えていませんか? 後遺症で苦しむ依頼者は、裁判で自分の窮状を認めて欲しいのではないですか? それに答えるのが弁護士であり、それをお手伝いするのが私たちです。」
つづく
それではダメなのです。最近の例を一つお話しします。 被害者Aさんは交通事故で顔面に線条痕を負い、さらに目や耳、視覚・聴覚にも障害を負っています。それぞれ治療を進める傍ら、知人の紹介の弁護士β先生に解決の依頼をしました。その弁護士の対応ですが・・・ 着手金はAさん加入の自動車保険会社C社に請求するのでご安心下さい、とのことです。β先生は、まず相手の保険会社ではなくC社に弁護士費用特約の請求で連絡をしました。しかし、数か月たっても動いてくれる気配がありません。問い合わせると、「後遺障害等級が取れないと着手金の請求ができないので、早く医師に診断書を書いてもらって下さい」と言いました。Aさんはまだ治っていないので、症状固定+後遺障害診断に進めません。それから数か月・・・。 その後相手の保険会社Dから治療費打ち切りの打診が入りました。D社は積極的に病院に働きかけ、打ち切りを進めてしまいました。頼んでいた弁護士に問い合わせたところ、「それなら症状固定とすべきです」とすげない返事。せっかく代理人を入れたのに、まったく間に入ってくれる気配はありません。さらに数か月・・・。 打ち切り後、病院から治療費の請求がされますが、自由診療なのでびっくりするくらいの金額です。健康保険を使いたくても、症状固定していないので病院から拒否されてしまいます。弁護士に相談しましたが、「まだ当方と正式な委任契約となっておらず、相談中の段階ですので・・・ごにょごにょ・・・。」 Aさんはてっきり委任していると思っていましたが、そうではなかったのです。 ここでようやく、β先生を見限りました。さてなぜこのような悪循環になってしまったのでしょうか? ① β先生は企業法務中心で、実は交通事故に不案内の事務所・弁護士であった。
当然ながら「何級となるのか?」後遺障害の予断がまったくできません。醜条痕や目や耳の立証など経験がありません。したがって、等級が認定されるまで何をしたら良いかわからないのです。 ② 着手金の請求にしどろもどろ・・
おそらく法外な着手金をC社に請求したところ、厳しい回答をされたのかもしれません。等級が定まり、訴額の計算ができないので、弁護士費用特約の請求に躊躇している様子が伝わってきます。しっかり弁護士費用が請求できない事務所=保険会社から信頼されていない事務所かもしれません。 ③ 治療費の打切り前に必須の検査をすべきところ、
目や耳の後遺障害など未経験なのでしょう。「ゴールドマン視野計の検査を」、「オージオメーター検査を」などのアドバイスができません。医者任せです。医師も保険請求や賠償問題に必要な検査などわかりません。だから先に進みません。 ④ 相手保険会社の打ち切り攻勢に、
①~②の結果、もたもたして正式に委任契約がなされていません。つまり、β先生は間に入って保険会社との交渉ができません。 結果として、Aさんの案件は迷走状態になってしまいました。やはり、受傷直後からしっかり被害者に寄り添い、保険会社との交渉、病院との折衝、後遺障害の立証と申請、これらができない弁護士先生は頼れる存在ではないのです。さらに、交通事故外傷、自動車保険に関する知識がなければかえって悪い方向へ流れてしまいます。 もっとも問題なのは、この事務所は「交通事故解決に自信」、「後遺障害はお任せ下さい」とホームページで謳っていることです。 代理人選び・・・これが被害者にとって解決の第一歩です。くれぐれも慎重にお願いします。
年間300人を超える交通事故被害者と面談をしています。
ある日交通事故に巻き込まれ、ケガの苦痛はもちろん、様々な事に日常生活が乱されます。皆それぞれ大なり小なり損害を被っています。そして多くの被害者が口にするのは「加害者に誠意がない」「加害者に誠意を求める」「加害者が許せない」等加害者への恨みです。
私は保険の代理店を20年以上やっていますが、私のお客様が加害者となった場合で相手の方がケガをしたら、一緒に謝罪に訪問します。一緒に行くことが大事です。なぜなら、加害者と被害者の2者での面会はトラブルの危険性があります。また、加害者側の保険会社は交渉の窓口となりますが、当事者間で勝手に約束をされてしまうことを懸念しています。「被害者と会っちゃダメ」と言う保険会社すらあります。もちろん、迷惑を掛けたら「ごめんなさい」と言うのが人のあるべき姿勢です。しかし、現実は一度でもお見舞いに来ることがあればましな方で、加害者から謝罪が実行されないことの方が多いのです。仮に何度もお見舞いに来たとしても、被害者が満足しないことも少なくありません。
多くの被害者はこの加害者への感情を訴え、先に進めなくなってしまいます。相談会でも私や弁護士に向かって、加害者に誠意がないことを30分は言い続けます。そのような被害者にはキッパリと言います。「相手の謝罪があれば満足でしょうか? 私達は謝罪や誠意を引き出すことを仕事としていません。身もふたもない言い方ですが、お金を取ることが仕事です」。つまり、損害賠償とはお金での解決に他なりません。誠意とはお金の隠語と解釈するわけではありませんが、被害者にできることは、自らの損害に見合った金銭を相手に支払わせること、これまた法律関係者が口からはばかられますが、俗語で「お・と・し・ま・え」をつけるだけです。

被害者さんの気持ちもわかりますが、加害者の誠意云々で立ち止まっていては、解決は遠のくばかりです。
台風一過、良い天気になりました。東京では大島の被害が深刻です。ここ数日は風水害のアクセスが多くなるので、過去の記事からの焼き直しとなりますが、台風に対応する保険を解説します。
火災保険の風水害支払
地震や津波、噴火は別途、地震保険に加入する必要があります。台風の被害も自然災害ですが、普通の火災保険でもカバーされます。住宅火災保険、普通火災保険、団地保険などでは風災は補償されますが水災の補償は付帯していません。「風災」「水害」共に補償しているのは住宅総合保険、店舗総合、住宅金融公庫特約火災保険、債権保全火災保険(ローンを組む時に強制的に加入された火災保険)などです。
1、「風災」
台風、旋風、暴風、暴風雨などで被害を受けた建物等の被害が対象です。
※ 長らく被害額20万円を超えた場合に有責となり支払対象でしたが、損保ジャパン他、いくつかの損保会社は数年前からこの20万円条件を無くしています。雨樋や窓の破損があった方は証券を再確認してください。
2、「水害」は以下のどちからで支払われます。
(ア)保険金額(再調達価額)の30%以上の損害生じた場合、実損額。
(イ)床上浸水もしくは地盤面から45cmを超える浸水の場合、保険金額の5%。
例・・・建物を1000万円評価で契約した場合、(ア)修理費実額、(イ)50万円となります。
※ (ア)の実損額、(イ)の5%の部分は最近明記していない会社が多いです。恐らく災害規模に応じて流動的な運用部分かもしれません。
★ 土砂崩れは「水害」として対象となります。
自動車保険(車両保険)
一般条件、エコノミー+A特約、共に台風での風災による被害(風で看板が飛んできてフロントガラスが割れた、ドアを開けた際にあおられドアが壊れた等々)、大雨や洪水の水没(修理費や清掃費)について保険金がおります。
明日朝の病院同行は台風による交通機関の混乱はもちろん、危険が伴うので延期としました。ニュースでは10~20年に1度の巨大台風と聞きました。22年前の19号を思い出します。
当時、私は保険会社社員で埼玉県の志木・朝霞市を中心に洪水地域を3日かけて回りました。これは被災者から事故報告、火災保険の請求を待つより、ローラー作戦で被災した家を1軒1軒回って、保険金請求手続きをしてしまう方が早いからです。訪問し、まず被害状況を確認します。多くは床上浸水か否かをみます。総合保障タイプや住宅金融公庫特約火災保険の場合、床上浸水で保険金額の5%(上限100万円)の保険が支払われます。写真を取り、請求書に印もしくは署名だけ頂き、2~3日後には振り込みます。スーツ3着泥だらけとなりましたが、困っているときに迅速な事故対応、迅速な保険金支払いをした結果、非常に感謝されました。この時の支払いがご縁で新規契約を頂き、以来お付き合いが続いているお客様もおります。
注意したのは火災保険未加入や総合タイプではないお客様です。つまり水災の保険金は払われません。隣は加入していたから払われるのにうちは”なし”・・・ご近所間で気まずくなる懸念がありました。そのために保険金支払い対象者には保険が入ることをなるべく伏せて頂きました。このような配慮を神戸、東北の震災同様、集中的な被災地において保険会社社員は心がけています。結果として保険金がでなくて怨嗟の声が上がる一方、感謝の言葉は聞こえなくなります。保険会社は損な役割だなぁと思いました。 保険会社の払い渋りや不祥事、そして交通事故被害者・・・仕事柄、被害者からの保険会社に対する敵対意識を常に感じています。しかし物事は良悪の二元論で語られるものではありません。何事も光と陰があるもの、見る角度や光の当て方でまったく違うものに写ります。この台風での保険金支払い業務から「物事を一方からの隔たった見方をしない」事が身に付いたように思います。交通事故も加害者がいて被害者がいて、さらに保険会社や病院など様々な利害者が関与します。隔たった立場・視点に固執しては単なる子供のケンカです。交通事故業務はそれぞれの思惑を理解し、全体を見渡す視点と相手の主張を想定し対処する知恵が必要と思います。
なめてはいけない県民共済。加入している場合、忘れずに請求しましょう。死亡や入院・通院はパンフレットを見れば保険金が確認できますが、後遺障害は細かく記載されていません。埼玉県、千葉県の約款から以下抜粋、一覧表にしました。障害内容は自賠・労災に準じていますので、それらを見て下さい。 これを作っておくと、「何級でいくら」とスムーズに回答ができます、誰より私が便利なのです。
等
続きを読む »
後遺障害が認定されました。自賠責保険、任意保険から保険金を受け取ってまずは一安心です。しかし私たちの仕事はそれで終わりではありません。被害者の加入している他の傷害保険、生命保険、共済等の支払いが可能か否かをチェックします。特に県民共済などは加入していることさえ忘れてしまいがちで注意が必要です。
この県民共済は共済の中でも特殊で、掛け金は毎月2000円を基本とし、子供にはこどもプラン、お年寄りには高齢者プランとリスク分散しています。また県ごとの共済組合ですので、その県の損害率から補償金額を増減することで調整を図っています。。そして掛け金が予定支払保険金を超えれば、余剰金として「割戻し」といって翌年度返金されます。およそ毎年平均30%が戻ってくるようです。
まずは月額2000円の総合保障プランを見てみましょう。
保障内容 (掛金2000円のプラン)
続きを読む »
私の地元越谷市を襲った竜巻から1週間が経ちました。損保ジャパンでも特別事故チームを設置、対応にあたっています。私の担当していたお客様で自動車の被害が2件ありました。先週は竜巻被害で対応する火災保険を説明しましたが、自動車保険、傷害保険もチェックする必要があります。便利な一覧表が日本損害保険協会の資料にありましたので、転記します。
続きを読む »
仕事中、通勤中にケガをすれば労災で治療費や休業補償がなされます。当たり前のことですが現実にはそうならないケースを嫌というほどみてきました。
「労災が認定されない」と会社から言われました。
まず、会社に労災の適用を断られるケースが多いようです。そもそも労災は会社の判断で適用するものではありません。基本は労働局へ「届出」することで労災の申請は完了します。もちろん業務中か通勤中かの判断があるにせよ、会社の許可などはなからありません。
ただしやっかいなのが申請書に会社の署名と印が必要なことです。これが現実的にハードルとなっています。
そもそも未加入の会社の場合
会社はたった一人でも人を雇えば労災へ加入する義務があります。加入していない状態で労働者がケガをした場合、罰則があり、近年罰則も強化されています。具体的には労災保険料の追加徴収と罰金です。
事業主(会社・個人事業主)が故意または、重大な過失により労災保険の加入手続きをしていない期間中に労災事故が起き、労災保険から給付が行われた場合、事業主は最大2年間遡った労働保険料及び追徴金と以下の費用を徴収されます。
1、労働保険の加入手続きについて行政機関等から加入勧奨や指導を受けていた場合
→ 事業主が故意に手続きを行わなかったと認定され、保険給付額の100%を徴収
2、1以外で労働保険の適用事業所となってから1年を経過していた場合
→ 事業主が重大な過失により手続きを行わなかったと認定され、保険給付額の40%を徴収







