過去の事故相談から~   、犬を事故で死傷させてしまいました。

 先日、自動車走行中、犬を跳ねてしまいました。即、動物病院に搬送しましたが、手当のかいもなく亡くなってしまいました。当然ながら飼い主様の悲しみは大変なものでした。できるだけの償いをしたく、加入していた保険会社と相談しました。すると「対物賠償で時価相当額の弁償ができます」との回答。しかし飼い主様にとっては大切な家族です。「物」として扱い、お金で賠償とは・・・。

 予想通り、飼い主様は「お金なんていらない」と言っています。どうしたらよいでしょうか。   A、これは答えのないデリケートな問題です。

 まず、保険会社の回答は正しいです。民法上、ペットなどの生き物も所有「物」とみなします。そして損害賠償の原則から実損填補となります。この場合、時価額相当の金銭弁償です。

 しかし法律通りペットショップで金額を調べて提示するなど、被害者の神経を逆なでする行為でしかありません。では相手が「いらない」、つまり損害賠償請求権を放棄したのだから、そのままでいい、も心無い対応です。被害者の心を癒すこと、また加害者の贖罪の心をも汲み取った解決が望ましいと思います。    具体的に私が指示した方策は・・   1、ワンちゃんの葬儀、お墓について全面的に支払いをさせて頂くこと。

 葬儀費用の領収書をとり、あとで自動車保険の対物賠償から請求をします。   2、葬儀に参列し、献花とお線香の御許可を頂く。

 香典支払い分は保険請求しません。結局、替わりの犬の買替え代金について触れませんでした。   しかし、これで被害者、加害者とも納得の解決に至りました。保険会社支払い担当者も丁寧に協力して下さりました。    このように両者の心の機微を感じながら進めることが大事です。杓子定規な法律論ではダメなのです。                          

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 おはようございます。毎度のことですが、交通事故相談で「相談者自身の保険契約を精査すること」、これを忘れないようにしています。  

<実例>

 自転車で走行中、交差点で自動車と出合い頭で衝突し、足を骨折しました。そして自分にも事故の責任を指摘され、相手との過失割合が10:90となりました。結果として最終的に賠償額から10%削減されて支払われることになりました。 

 「悔しいです・・なんとか0:100にできませんか」  

★ ポイント1

 しかし、必死になって過失割合の交渉をしなくても、ご自身が契約の自動車保険の人身傷害特約でその削減分を請求し補填することが可能です。これは自動車との事故であれば、契約自動車に乗っていない場合、歩行中や自転車搭乗中でもOKなのです。

 ※ ただし「搭乗中のみ担保特約」となっていれば、契約自動車搭乗中に限定されます。   通販型の保険はこれが多いので注意です。  

★ ポイント2

 この自身契約の自動車保険ですが、自分が契約していなくても、「同居の親族」の誰かが契約していれば、保険が適用されます。

★ ポイント3

 さらに、被保険者(保険が受けられる人)の欄に「同居の親族」だけではなく「別居の未婚の子」が記載されていませんか?この別居の未婚の子とは、通学のために別居に下宿している子などが代表例です。しかし、学生に限らず、独身の40歳OL一人暮らしも範囲に入ります。このOLさんが東京で交通事故でケガをして、なんと!九州の実家の親の自動車保険が使えるケースが有り得るのです。

※ 「別居の未婚の子」に年齢制限はありません。婚姻歴無のみが条件です。  一度結婚し、離婚して独身になってもダメです。ですので18歳で結婚し、19歳で離婚バツ1となった人は、未成年であっても「別居の未婚の子」から外れます。なんか腑に落ちませんが、保険約款が民法の「成年擬制」の条項に準じているためと思われます。

<民法第753条>

未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

民法上、未成年でも婚姻すれば成年と同じように行為能力者とみなします。男子の場合18歳、女子の場合16歳になると婚姻をする事ができますが、婚姻によっても成年に達したものとみなされます。これによって親権者の同意を得ずに単独で法律行為が可能になります。この効果は離婚しても消滅しません。つまり、法律上20歳で大人ですが、未成年でも1度結婚したら大人と扱う、ということです。

  ★ ポイント4

 この「別居の未婚の子」の解釈は他の特約や保険でも共通です。

・ 弁護士費用特約   ・ 無保険車傷害特約 ・ 個人賠償責任保険 ・ 家族傷害保険(共済)      <まとめ>   保険適用に気付かずに請求漏れが多いと推測します。請求しなければ保険会社は払ってくれませんので。また、弁護士や行政書士に相談しても、その先生方が保険に精通していなければ見落とします。

事故相談で必ずすること・・・「自身の保険契約を洗い直す!」です。

  

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 すごい雨と風でしたが、今朝からすっきりとした秋晴れです。各地の被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。

 震災直後の地震保険シリーズが好評でしたので、台風の保険について少し。   〇 火災保険の風水害支払

 地震や津波、噴火は地震保険でカバーされます。台風の被害も自然災害ですが、これは火災保険の総合タイプで補償されます。項目は「風災」と「水害」です。   1、「風災」

 台風、旋風、暴風、暴風雨などで被害を受けた建物等の被害が対象です。

※ 長らく被害が20万円以上の場合の超過額が対象でしたが、損保ジャパン他、いくつかの損保会社は数年前からこの20万円条件を無くして0円からOKとなっています。

 雨樋や窓の破損があった方は証券を再確認してください。   2、「水害」は以下のどちからで支払われます。   (ア)保険金額(再調達価額)の30%以上の損害生じた場合、実損額。   (イ)床上浸水もしくは地盤面から45cmを超える浸水の場合、保険金額の5%。    例・・・建物を1000万円評価で契約した場合、(ア)修理費実額、(イ)50万円となります。   ※ (ア)の実損額、(イ)の5%の部分は最近明記していない会社が多いです。恐らく災害規模に応じて流動的な運用部分かもしれません。   〇 自動車保険の車両保険

 一般条件、エコノミー+A特約、共に台風での風災による被害、大雨や洪水の水没について保険金がおります。

※ 水没の場合、修理費と清掃費用が認められます。

 

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<その他の優遇措置>   ① 都立公園・都立施設の入場料免除   (手帳の所持者及び付添者)   ② 携帯電話料金の割引   ③ 駐車禁止規制からの除外措置(1級のみ)

 これは最新の特例です。担当する高次脳機能障害被害者のご家族の方から教えて頂きました。現在2級なので、この特例のために1級に格上げできないか再申請するかもしれません。 ・・・1級なら駐車違反し放題?、もちろん、駐車の理由次第と思います。

 問い合わせは申請者の管轄する警察署(交通課)です。   ④ NHKの受信料免除

 その他、自治体ごとの特例もあります。

 こうして障害者にたいする優遇措置を列挙しましたが、いいことばかりではありません。物事の常ですが、メリットにはデメリットが付随します。また考えさせられる事も多いのです。   4、問題点

① 運転免許

 道路交通法で「免許の拒否又は保留の事由となる病気等」の規定により、該当する病気を持っていれば医師の診断書を提出し審査を受けます。事実上1、2級の人は運転免許は許可されません。しかし、これは自己申告です。つまり病気を申告しなければ免許取得・更新が可能です。基本的人権として病気の告知を他人から命令される言われはないのです。

 先日、てんかんの障害をもつドライバーが幼児数人を交通事故で死傷させる痛ましい事が実際に起こりました。このような事故が増えれば、運転免許など社会的に責任のある資格について病気告知義務化&違反者罰則へ向かうかもしれません。  

② 生命保険の加入制限

 生命保険加入には告知義務があります。これは契約者と保険会社の約束ごとなのなので人権云々は関係ありません。保険会社の基準にもよりますが、5年間の病歴が問われるので「5年前は手帳を持っていたが、それ以降障害は治っている」事が原則です。   ③ 就職、就学への影響

 障害者受け入れの企業や障害者に対応できる学校はまだまだ少ないのが現実です。特に高次脳機能障害患者の多くは、自身の障害について自覚がありません。普通に働ける、学校へ行ける、と思っています。それを拒否する社会や、押し留める家族を思うと辛いものがあります。   ④ 根強い偏見

 生まれつきの障害を先天性とすると、交通事故での障害は後天性です。しかしどちらにせよ精神障害となると、周囲の無知や無理解にさらされる事もあります。          被害者救済の仕事上、このような福祉制度は熟知していなければなりません。しかし健常者はもちろん障害者やその家族に対して、この制度が浸透しているとは言い難いと感じています。 被害者を含め、社会に福祉制度の周知、そして障害者理解への啓蒙が必要であると思います。     

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 優遇措置 を続けます。   <公共交通機関> 

① 東京都精神障害者都営交通乗車証の交付

 東京都では、都内在住の手帳の所持者を対象に東京都精神障害者都営交通乗車証を発行しています。24区地域は都電、都営バス、都営地下鉄、舎人ライナーの乗車が無料となります。

 この乗車証の発券は特定の駅でできます。市町村地域は各市町村窓口へ問い合わせます。   ② 路線バスの運賃半額割引

(1) 対 象 者

 東京都が発行する、写真が貼付された手帳をお持ちの方(ご本人のみ)介護人は、割引対象になりません。 他の道府県から交付された手帳をお持ちの方は、対象になりません。   (2) 適用範囲

 東京都内を運行する一般路線バスの都内区間。東京都内で乗車し、かつ東京都内で降車(下車)する場合にのみ適用されます。 高速バス、空港連絡バス、深夜急行バス等は除きます。   (3) 割引運賃

 運賃が半額になります(10円未満四捨五入)。定期券は割引になりません。 小児運賃が適用される方で手帳をお持ちの方は、小児運賃が半額となります。(例)運賃210円の場合 → 110円(小児60円)   (4) 利用方法

 運賃支払の際に、手帳の写真が貼付されたページを開いて、乗務員に提示します。    <生活補助>   ① 生活保護の障害者加算(1級及び2級のみ)

 生活保護を既に受給している方のうち、障害の原因となった疾病について、初めて医師の診療を受けてから1年6か月以上過ぎている方で、1級又は2級の手帳をお持ちの方は、障害者加算がつくことがあります。

 申請はお住まいの地域を所管する福祉事務所です。   ② 都営住宅の優先入居、使用承継制度及び特別減額(特別減額は1級及び2級のみ)

(1) 優先入居

 5月及び11月の募集は、一部の地区で優遇抽選制度があり、一般世帯に比べて当選倍率が5倍(3級の方)又は7倍(1級又は2級の方)になります。8月及び2月の募集は、ひとり親、高齢者、障害者等の限定募集となっています。

 窓口は東京都住宅供給公社募集センターです。   (2) 使用承継制度

 都営住宅の使用承継は原則として名義人の配偶者のみですが、承継しようとする方又は同居者が手帳をお持ちの場合、名義人の三親等親族まで承継することができます。ただし、収入基準等、一定の条件があります。

 窓口は東京都住宅供給公社お客さまセンターです。   (3) 特別減額

 既に入居している1級又は2級の方で、所得が一定額以下の場合は、使用料の特別減額が受けられます。

 窓口は各地区を管轄する窓口センターです。  

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 福祉関係の制度については漠然としたイメージだったので、この機会に調べてみました。各市町村でそれぞれ若干の違いはありますが、概ね以下のようになっています。長くなったら明日へ続きます。   (1)障害の等級   1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度   2級 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度   3級 日常生活又は社会生活が制限を受けるか、日常生活又は社会生活に制限を加えることを必要とする程度    判定は医師の書く診断書によります。「常時介護」が必要か、「見守り」で済むか、医師が程度の判定をします。そして審査と等級認定は各自治体の判断となります。   (2)手続き

 お住まいの区市町村の担当窓口に次の書類を提出します。   ① 障害者手帳申請書

② 診断書(障害者手帳用)(精神障害に係る初診日から6か月を経過した日以後の日に作成され、作成日が申請日から3か月以内のもの) 又は精神障害を支給事由とした障害年金もしくは特別障害給付金を現に受給していることを証する書類(年金証書等)の写し

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 搭乗者傷害保険とは、読んで字のごとく「車に乗っている時にケガをしたら」支払われる保険です。自動車に運転中、あるいは同乗中の交通事故でケガをした場合はもちろんですが、色々なケースを想定してみましょう。今日はクイズ形式でいきます。面倒がらず考えてみて下さい。   ■ 次の場合、搭乗者傷害保険はおりるでしょうか?    <Q1> 法事の帰り、お清めをした(ビールを飲んだ)主人に代わり、お酒を飲んでいない奥様が運転していて電信柱に衝突する事故を起こしました。2人とも1週間ほど通院するケガを負いました。この場合2人に保険はおりるでしょうか?   <Q2> 運送業に勤めるAさんは運転中居眠りをしてしまい、追突事故を起こしてしまいました。幸い相手にはケガはあ りませんでしたが自身は顔面を3針縫うケガを負いました。この場合は?   <Q3> 東北大震災の津波で車が横転、幸い自衛隊のヘリに救助されたが、右腕を骨折するケガを負った。   <Q4> 信号待ちをしていて、後続車に追突されケガをしました。相手は任意保険に入っており、通院10日の治療費、休業補償、慰謝料、車の修理費などすべての損害を支払ってくれました。その場合でも重ねて搭乗者傷害保険はおりるのでしょうか?   <Q5> ゴミ収集車で作業補助をしているBさん、車を降りようとドアを開けて足を降ろした際、先に車から降りていたCさんが誤ってドアを閉めてしまい、足を挟んでしまいました。足首の靭帯を痛めてしまい通院しています。この場合は?   <Q6> 若い時やんちゃだったCさん、久し振りに昔の仲間と会ってはめを外しドライヴ、走行中ドアから上半身を乗り出し、ドアに腰かけてた状態(いわゆる箱乗り)の時に電信柱に肩をぶつけケガをしました。この場合は?   <Q7> GWに伊豆へドライヴに行きました。天気が良いので窓を開けて走行していましたが、山道で蜂が車内に飛んできて腕に止まりました。払いのけようとしたら刺されてしまい、腫れがひどかったので病院によって消毒してもらいました。この場合は?        ■ 答え   {A1} 夫婦両方とも支払われます。

 飲酒や薬物、無免許運転でのケガはでません。しかし同乗者はお酒を飲んでいても問題ありません。

 ちなみに、もしご主人が飲酒運転をして同乗の奥様がケガをした場合、これはご主人は当然免責ですが、奥様は飲んでいようといまいと有責(保険はでます)です。巻き添えはOKなのです。   {A2} 居眠り運転は支払われます。    故意(自殺目的で海に飛び込む等)は免責です。居眠り運転は「故意」にあたらないからです。   {A3} 地震、噴火、津波は免責です。保険はでません。     他に、戦争、内乱、暴動、放射能汚染も免責です。

   {A4} 重ねて支払われます。     相手からもらうお金は賠償金、つまり償い・弁償ですが、自身が契約して掛け金を払っている搭乗者傷害保険は別物です。請求漏れのないようにしましょう。

 人身傷害特約は相手からの支払が得られないとき、足りない分に対して支払われます。ここが搭乗者傷害保険との一番の違いです。   {A5} 払われます。     一見、交通事故とは思えない事故でも対象です。実際ドアの開け閉めのケガが意外に多いのです。降りる際の転倒も多いものです。しかし、車外からドアを締めようと自分の指を挟んだ場合はダメです。これは乗っていないからです。

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 昨日に引き続き、搭乗者傷害保険の後遺障害保険、重度後遺障害保険金、死亡保険金について解説します。   ◆ 後遺障害保険金

 「部位・症状別定額払い」と違い、急いで請求するものではありません。ケガによって違いますが、おおむね180日経過後、後遺障害診断書を提出して請求します。保険会社所定の診断書を使うケースが多く、認定基準はその保険会社の内部規定に照らします。その基準は、ほぼ自賠責保険の認定基準に準じたものと思います。

 経験上、自賠責保険より甘いケース(その会社の契約者に対してだからか?)もあれば、逆に厳しいケースもあります。とくに、変形癒合の場合、12級の慰謝料は支払いますが、まず逸失利益は0回答です。逸失利益については、全般的に辛く、毎度交渉を要することになります。          等級と金額は以下の表の通りです。(損保ジャパン)

等級 保険金割合 死亡保険金1000万円とした場合の金額 1級 100% 1000万円 2級 89% 890万円 3級 78% 780万円 4級 69% 690万円 5級 59% 590万円 6級 50% 500万円 7級 42% 420万円 8級 34% 340万円 9級 26% 260万円 10級 20% 200万円 11級 15% 150万円 12級 10% 100万円 13級 7% 70万円 14級 4% 40万円

   ■ 重度後遺障害保険金

 上記の表の1級、2級、または3級3号(神経系統の障害)もしくは4号(胸腹部臓器の障害)が生じ、かつ介護を必要と認められた場合、死亡保険金額の60%=1000万円の場合600万円が加算されて支払われます。2000万円契約の場合でも600万円が限度となります。   ■ 死亡保険金

 保険証券に書いてある通りの金額です。    

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 搭乗者傷害は人身傷害保険の発売以来、古い保険と化しましたが、まだ、バイクなどについているケースが多いものです。改めて復習しておきます。    ◆ 支払項目    ① 死亡保険金   ② 後遺障害保険金及び重度後遺障害保険金   ③ 医療保険金    今回の例で支払いを受けたものは、③の医療保険金です。以前は日額払い(死亡1000万円で契約の場合、入院1日15000円、通院1日10000円)が主流でした。これは治療が完了した段階で日数を数えて支払います。しかし最近は部位・症状別定額払いが一般的です。これは治療が5日以上に及べばケガの症状によって5万円~95万円(各社若干の違いあり)が即座に支払われます。さらに別枠で治療給付金1万円もおります。   ◆ 医療保険金の支払金額 (部位症状別払いの初期例)

1、打撲・捻挫・挫傷は全身どこでも5万円均一

2、挫創は部位によって5~35万

3、骨折は部位によって10~60万

4、筋断裂は部位によって10~30万

5、欠損は部位によって5~55万

6、脳内出血は部位によって5~55万

7、神経の損傷は部位によって10~95万

8、臓器の損傷は部位によって50~85万

9、熱傷は部位によって5~35万

     事故後、まず請求したい保険です。明日は肝心の②後遺障害保険金を解説します。  

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 おはようございます。週末も相談者が事務所にいらしゃいました。たまに交通事故以外の相談もあります。ケガを負うのは交通事故とは限りませんので当然と言えば当然です。なかでもご自身が契約している保険の請求や内容についての質問が目立ちます。  後遺障害となる大きなケガをした場合、自分が契約している生命保険からはどんな条件で、いくら、払われるのだろうか???意外に盲点です。早速、日本生命、損保ジャパンひまわり生命、プルデンシャル生命の約款を確認してみました。

 呼び名は各社多少の違いはありますが「高度障害保険金」が一般的のようです。

 赤字は自賠責保険に相当する等級です。これ以上の重篤な障害が対象となっています。

■ 高度障害保険金の支払条件   ○ 両眼の視力を全く永久に失った

1級1号

○ 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失った

  3級2号

○ 中枢神経系または精神に著しい障害が残り、終身常に介護を必要とする

  別表1の1級1号

○ 胸腹部臓器に著しい障害が残り、終身常に介護を必要とする

  別表1の1級2号

○ 両上肢ともに、手関節以上で失った、またはその用を全く永久に失った

  欠損 2級3号   用廃 1級4号

○ 両下肢ともに、足関節以上で失った、またはその用を全く永久に失った

  欠損 2級4号   用廃 1級6号

○ 一上肢を手関節以上で失い、かつ一下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失った

  一上肢欠損 5級4号 と 一下肢欠損 5級5号 又は 一下肢用廃 5級7号 ...

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 先週末の金曜日は私が所属する行政書士会の有志による勉強会でした。昨年から2か月置き位に実施しています。私のように交通事故といった一部門に特化した書士にとって、他分野の先生方から教えを頂く貴重な研修です。

 テーマは「成年後見人」についてでした。埼玉の行政書士会としても複数のNPO法人を立ち上げ、多くの先生が参加しています。交通事故と関わってくるケース・・・高次脳機能障害で自らの判断能力が不十分となってしまった方にいち早く手続きをする必要があります。後見制度について整理します。

  ■ 後見人の種類

1、法定後見人(法的根拠=民法)

判断能力が衰えて支援が必要になってから、後見人を家庭裁判所に選んでもらう制度。この判断能力は医師の診断によります。「日常生活に関する行為」以外のすべての法律行為を本人に代わって被成年後見人が行うことになります。

※ 日常生活に関すること・・・少量の食料品や日用品を買ったり、電車・バス等自らの交通費や医療費の支払など

※ 法律行為・・・代理権、同意権、取消権、追認権

 保佐人は同意権に、補助人は4つすべてについてそのつど裁判所の許可が必要。  

2、任意後見人(法的根拠=任意後見人に関する法律)

 元気な(判断能力のある)うちに、自分で認知症等で判断能力が衰えた時に備えて、「誰に」「どんなこと」を頼むか事前に決めておく制度。当事者(委任者と受任者)間で行う「契約」の一種で、契約書には必ず「公正証書」とする必要があります。

※ 公正証書・・・公証人役場で公証人立会・認定のもとで交わす契約書。法的な強い認証力をもちます。  

■ 成年後見審判の手続き(法定後見人の場合)

1、申立人調査  面接にて、申立の目的・経緯、本人の病歴・診断書、本人の財産・経済状況等を聴取されます。

2、親族調査 電話や書面照会で申立人、親族間の意見を聴取します。親族間の紛争の可能性をはらんでいるからです。

3、精神鑑定 家族暦・生活暦、生活状態・心身の状態、精神の状態、判断能力を調べます。鑑定には医師の診断が必要で、費用は5~10万円です。本人が植物状態のときは省略されることもあります。

4、本人調査  本人と面談します。入院している場合、調査官が出張してくれます。やはり意思疎通が完全に不可能の場合、省略されることもあります。

5、審判 家庭裁判所で裁判官が誰を後見人に選任するかを決めます。

6、登記 審判決定後2週間以内にだれも不服申し立てをしなければ確定し、法務局にて登記の依頼をする。選任された後見人は1か月以内の本人の財産目録、収支報告書を裁判所に提出しなければならない。

7、後見開始  家庭裁判所から照会・指示があれば必ず従い、報告する必要がある。  

 この手続きは行政書士が完全に代理として行うことはできませんが、十分お役にたてますし、得意とする分野です。他にも身体障害者手帳、精神障害者健康福祉手帳、障害者年金、介護認定・・・など必要となるかもしれません。高次脳機能障害の被害者を担当する場合、障害の立証以外にやることがたくさんあるのです。その対応ができるからこそ、この分野での名乗りをあげているのです。

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 交通事故を警察に届けると、その事故が起きた事実を証明する「事故証明」の発行が可能になります。これは警察や裁判所が発行するものではなく、交通事故安全センターが発行業務を行っています。事故後3週間~1か月で発行可能となります。

 「交通事故証明書」は自賠責保険の請求、労災の請求、健康保険への届け出(第3者行為届出)で必須添付です。通常、事故相手に任意保険会社がついていれば、その担当者が取り寄せをするので、こちら(被害者側)で必要な場合、写しを下さいと言えば入手できます。  加害者が任意保険をかけていない場合、交番で事故証明書請求の申請用紙をもらい、郵便局で振り込んだものです。料金は600円+120振込料だったと記憶しています。

 本日のポイントは「この事故証明がインターネット請求ができるようになっていた!」です。最近まで知りませんでした。ただし請求は本人のみで代理人は今まで通り郵便用請求書の使用となります。ということは保険会社の担当者はインターネット申請ができないはず?です。今度聞いてみます。

 交通事故安全センター http://www.jsdc.or.jp/index.html

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 恥ずかしながら、私の交通事故体験からお話します。     数年前、直進道路を走行中、右の路外(駐車場)から車が飛び出してきました。危ない!と思って急ブレーキ、それでもぶつかる!と思い左にハンドルを切りました。そして左の電信柱に自車の左角が接触しました。飛び出し車とは50cmを残し接触を避けることができましたが、こちらの車は損傷、50万程度の修理費がかかりました。現場で、「あなたの飛び出しを避けた為の事故なので原因はあなたです。責任をとって下さい」と主張しましたが、「自分は悪くない」と頑な態度です。言い争いをしても仕方ないので「保険会社同士の話し合いに委ねましょう」と同意してわかれました。   双方の保険会社の話し合いでは、私30:相手70 の過失割合が提案されました。まぁ妥当な線だな、と私は納得するつもりでしたが、しかし相手は「自分には責任ない!」と突っぱねました。相手にしてみれば自分の車に損害がないので、そのままでいいわけです。予想はしていましたが、相手保険会社の説得に期待しても無駄なので、法的手続きをする旨を伝えました。     ← 左目わずかにウインクとなった愛車

 法律家相手に虎の尾を踏んだな、と言いたいところですが、大船に乗っていられるのは弁護士費用特約を付けていたからです。この軍資金でいかようにも法的手続きがとれます。その時は「支払督促」を選びました。

■支払督促とは

 正式な裁判手続をしなくても、判決などと同じように裁判所から債務者に対して金銭などの支払を命じる督促状を送ってもらえる制度です。  この制度は、民事訴訟法382条で定められたもので、債権回収(お金を取り返す)の有効な手段です。申立ては金銭債権の額にかかわらず、簡易裁判所で行います。

 普通の人なら裁判所からの「払いなさい!」って通知でビビります。案の定、相手は「取り下げて!(慌)」と泣きついてきました。そして元通り保険会社同士の示談に戻って解決となりました。  結局無駄な回り道をしただけです。そもそも車両保険を付けていた私は自分の保険で車を直せるので意味のない手続きです。しかし「支払督促を一度やってみたかった」ので。(不謹慎ですみません)

■支払督促の費用と手続き

 100万円以下の訴額(請求額)ではその0.5%  今回は請求額が50万円なので   50万×0.5%=2500円 + 切手代  安いです。弁護士費用で支払いました。   1、管轄(通常相手方の住所)の簡易裁判所に出向きます。 2、書類(申請書、事故証明書、事故状況説明書、損害見積、通知はがき)を書いて提出するだけです。 3、1週間ほどで相手に支払督促通知が届きます。 4、2週間以内に相手が異議申立をしない場合、債務を認めたことになり仮執行宣言の手続き(30日以内に)ができます。 5、それでも2週間以内に相手が異議申立をしなければ差し押さえができます。

 書記官さんが書き方等教えてくれます。

 ちなみに司法書士や弁護士にこの手続きを任せて5~10万円払ったとしても弁護士費用でまかなえます。

■ 支払督促の注意点

 債権回収の一手段としてなかなか使えます。しかしこの支払督促、注意があります。それは今回は「相手が泣き付き→保険会社へ任す」という読みどおりでしたが、保険未加入で支払い能力がない、もしくは変な人?には脅しは通用せず、督促に対して異議を申し立ててきます。その場合正式な裁判となります。脅しのつもりが本戦になってしまうわけです。  それでも弁護士を雇う軍資金(弁護士費用特約)を手にしていれば大丈夫ですが。

 双方任意保険に入っていても相手が賠償に応じない、保険を使いたくないとごねるケースもあります。その場合「保険の保険」ともいうべき存在です。思ったより使い勝手がいいのですよ。   

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 先日のメールフォームで触れました弁護士費用特約について。

 発売してから6年ほどでしょうか、まだこの特約を自動車保険についけている方は30%程度との統計を目にしました(特約を販売している会社と販売していない会社もあり全体統計がとれていません)。内容もよく周知されていないようですので少し詳しく解説します。

■ 保険契約者 (契約者本人だけではなく、同居の親族別居の未婚の子契約自動車に搭乗中の方を含みます)が、

1、歩行中、自転車搭乗中、他の自動車・バイクにより、ケガや物(自転車・持ち物)へ被害を受けた 2、自動車・バイク搭乗中、他の自動車により、ケガや自動車・バイク、車内の所持品へ損害を受けた 3、他の自動車のにより家屋に被害を受けた ・・・車が家や商店に飛び込んできた事故です。

■ この場合、相手への損害賠償請求について、

・弁護士 ・司法書士 ・行政書士 ・裁判所 ・斡旋・仲裁機関

 に対して委任または相談を行った場合に負担する費用を支払います。   ただし、保険会社の同意を得て支出した費用に限ります。

■ 保険がでないケース

・相手に損害賠償責任がない。 悪くもない相手に「単なる言いがかり」、ではダメです。 ・自分に重大な過失、犯罪、故意、自殺、飲酒等があれば当然ダメです。 

■ 限度額は、

○ 法律相談費用  10万円 ○ 費用保険金  300万円 

■ 掛け金は、

 月々140円/年間1600円 程度が各社標準です。 注:当時の掛金、現在は各社バラつきあり、およそ1.5倍上がっています。

 どうでしょう?被害事故で相手と単独で交渉するのは心身ともに大変な労苦となります。 事故相談の時に「弁護士費用に入っていますね。これで行政書士や弁護士に頼めますよ!」と言った時、相談者の皆さんの安堵の表情がすべてを語っています。                                   続きを読む »

 交通事故被害者は自動車運転、同乗中、2輪車、自転車、歩行者と分類されますが、常に被害者であるとは限りません。 たとえば自転車がいきなり路外から道路に飛び出して車に衝突した場合、自転車の過失の方が大きくなる場合があります。また自転車で走行中、歩行者に衝突の場合もです。

 15年位前でしょうか自転車総合保険の団体契約を扱っていたとき、契約者の女子高生が自転車で歩道を走行中、お年寄りにぶつかり転倒させてしまいました。そのおばあちゃんは骨盤を骨折し、これをきっかけに寝たきりの状態になってしまいました。この場合、自転車総合保険に付帯された個人賠償責任保険にて対応が可能です。しかし当時この保険は自動車保険のように示談交渉付きではありませんでした。あくまで保険会社が認定した額を限度に支払う保険です。治療費など請求金額が明確なものについては問題ないのですが、慰謝料や介護費用など当事者同士が直接、または保険代理店が間に入って交渉するしかありません。事故から10か月くらいのち、当事者の高校生と父親を伴い3人で相手宅にお伺いしました。

 交渉相手は息子さんです。事故が原因で寝たきりになった、との主張は予想通りでした。これについては因果関係が問題となり保険会社もすんなり認めないことはわかっています。お祖母ちゃんの若いころの話やお孫さんの話や雑談が続きます。一向に核心に話が進みません。  そして1時間が過ぎ、息子さんも「保険では厳しいんでしょ、かといって直接払ってとは言えない。秋葉さん、なんとかならないの?」と。そして自賠責保険の基準での金額を提示し、「なんとかこれでお許しいただけませんか」と3人で平謝りです。  幸い、諦め気味に納得して示談に応じていただきました。契約者親子はほっとしたと思います。しかし私は漠然とした不満を感ました。 自動車保険のように示談代行ができない賠償保険は欠陥商品ではないかと。

 数年後、東京海上日動は示談交渉ができる内容に約款改定しました。保険会社にとって大きな一歩と思います。しかしまだすべての損保はこの示談交渉付きにしていません。自転車事故だけではなくスキー場での接触事故や子供同士のけんかや細かなもめごとは日常茶飯事です。軽微な事故では弁護士を介入させることなく保険を使った解決が図れるのならそれに越したことはありません。

 個人賠償責任保険、3000万円限度で年間1500円位の掛け金です。この保険、示談代行付きを必須とし更なる改良が望まれます。

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 阪神大震災以来加入率が上がり内容の周知も進んでいます。  この機会に基本的なことをおさらいしますね。

○ 契約方法

・ 火災保険を加入し、それに付帯して契約します。地震保険単独の契約は全保険・共済を通じてできません。

・ すでに加入の火災保険に中途付帯は可能です。

・ 居住用建物、店舗併用住宅が対象で、工場や専用店舗、施設は付帯できません。

・ 補償額は火災保険金額の半分まで、さらに上限が建物5000万円、家財1000万円です。→そもそも全額掛けられないのです。

※ 損保ジャパンでは地震火災費用特約の拡張が可能で、その特約付帯により地震による火災で全焼した場合(あくまで火災のみ)100%の補償が可能です。

○ 補償内容

 地震・噴火による損壊、火災、津波 による家屋・家財の損害に対して支払われます。

 全損で保険金額の100%、半損50%、一部損5% の3段階で査定されます。

○ 注意点

 通常の火災保険では地震による火災の補償は対象外です

 毎回地震で火災となった後に問題となる規定です。阪神大震災の際も何件か契約者対保険会社の訴訟となりました。

※たとえば地震の揺れが収まって11時間後の火災は?・・・暖を取るためにたき火をした不始末?放火?残り火の出火? いろいろな原因が考えられますが、すべて免責です。裁判判旨では「それらは地震災害を原因とするもの・・」とはっきり「通常の火事」であることを否定しています。

※ このような問題が多発するのも、加入率が低いからです。地域差もありますが多くて30%台、低い地域は5%前後です。

○ 掛金例    1000万円の補償(火災保険2000契約) 埼玉県

・鉄筋コンクリート造/鉄骨造  10500円 / 1年間

・木造                18800円 / 1年間

※ 平成23年3月現在。 地域・密集度によって料率を設定していますので県によって掛け金は違います。

※ 2年前の改正で地震保険の掛け金が課税所得から全額控除となりました。その替わり火災保険の控除は廃止となりました。

○ 最新情報

現在、罹災地域だけでなく全国的に引き受け謝絶です。当然といえば当然ですが、まったく関係ない遠隔地では徐々に引受謝絶は解除されていくはずです。この時期・地域については気象庁の終結宣言が目安ですが、各社の判断のようです。

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 津波によって流される自動車が連日放送されています。早速質問がきております。

 国内の損保会社の車両保険(一般条件、車対車限定+A特約)では 地震 噴火 津波 は免責(お支払できません)です。 しかし、地震・噴火・津波危険「車両損害」補償特約 が存在します。この特約、各社年間+2000円前後の追加掛金にて設定しています。ただ保険案内のパンフレットに記載されていることは稀で存在はするが積極的にお勧めしていない特約です。  ネットや通販の外資系損保ではほとんど扱っていません。一応扱い損保は・・

 東京海上日動、三井住友、損保ジャパン、日本興和、富士、朝日、共栄 が確認できます。

 しかし、すべて「要会社承認」となっております。これは契約・お引き受けに関して会社の事前の了解が必要とのことです。実際私も一度しか扱ったことがありません。それは保険に関心の強いお客様の要望を受け、事前照会で会社のOKを取り付けて契約しました。これは埼玉県内の使用で地震後ではなく、何の問題もないという保険会社の判断です。  したがって現時点での特約の追加や契約はほぼどの損保会社も謝絶すると思います。そもそも地震国の日本では地震に関連する保険を損保会社は積極的に販売しません。国からはしっかり勧めるように!と言われているようですが・・。明日はずばり建物に対する地震保険についてお話します。                                        

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