win  労災で療養(補償)給付により、怪我を治療し、残存した症状について障害(補償)給付を受けた後、症状が悪化することもあります。

 症状が悪化した場合に備えて、労災では「再発」という制度が整備されています。

 再発として認められるためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要がります。   ① 症状の悪化が、当初の業務上・通院による傷病と相当因果関係があると認められること、

② 症状固定(治ゆ)時の状態からみて明らかに症状が悪化していること、

③ 療養を行えば、症状の改善が期待できると医学的に認められること、    例えば、通勤中に交通事故に遭い、膝の前十靱帯を損傷して、治療から半年した後、治ゆとなったが、その怪我が悪化して半月板までも損傷してしまった場合に、人工関節に置き換える手術を行う必要があった場合に、再発として認められることがあります。

 再発の手続きとしては、療養給付たる療養の請求書を管轄の労働基準監督署に提出する必要があります。業務中での怪我の場合であれば、様式第5号、通勤中の怪我の場合であれば、様式第16号の3の書類になります。 c_h_32  

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 労災での怪我を治療し、「治ゆ」となった場合、療養(補償)給付として支給は終わります。それでも症状が緩和せず残存している場合には、健康保険に切り替えて通院を考えることになります。

しかし他方で、残存した障害(症状)が労災の障害等級表に該当する場合、障害(補償)給付を受けられます。

 給付方法は、障害の等級が1~7級の場合は年金給付、8~14級の場合は一時金給付、にそれぞれ分かれます。また、等級に応じて障害特別支給金が給付されます。 c_h_2888 業務中の場合は様式10号、通勤中の場合は様式第16号の7の各診断書を病院に提出し、その後、会社や労働基準監督署に提出することになります。

 障害(補償)給付についての手続きが終わりましたら、基本的に労災からの給付はここで終わりです。しかし、「治ゆ」の後に症状が残存するだけではなく、悪化したり、悪化を防ぐために検査を受けたい場合等、給付が終わった後も治療費や検査費用が掛かる場合があります。

 そのような場合、労災は再び療養(補償)給付を受けられたり、検査等を無料にしたりする制度があります。

 前者を「再発」、後者を「アフターケア制度」といいます。

 つづく  

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win  業務中の事故もしくは通勤中の事故の場合、労災を適用して治療することができます。

 交通事故の場合は、第三者行為災害届出、念書(兼同意書)(3枚)、交通事故証明書、をそれぞれ提出する必要があります。

 労災適用された場合、業務中の場合は、様式第5号を、通勤中の場合は様式第16号の3を、労災指定病院に提出した後、管轄の労働局に出すことになります。すると、病院でかかる治療費を療養(補償)給付として支給されます。

 ※ もし通院先が労災指定病院でない場合、業務中の場合は、様式第7号(1)を、通勤中の場合は様式第16号の5(1)を提出することになります。

 交通事故の場合、保険会社(多くは加害者側)が治療費を出しますが、労災適用の場合、保険会社が負担した分を労災に求償することになります。

 この治療費(療養給付)は、いつまでも支給されるわけではありません。支給されるのは、症状が安定し、医学上一般に認められる医療を行っても、回復・改善の効果が期待できなくなるまでです。これを「治ゆ」といいます。自賠責でいう「症状固定」と基本的には同じです。

※ 医学上一般に認められた医療とは、ここでは労災保険の療養の範囲で認められた医療を指します→実験や研究中の治療方法は含まれません。

(例1)打撲で3カ月通院して痛みがなくなった場合には、「治ゆ」となります。

(例2)ムチウチでリハビリ治療等を半年継続しても手のしびれ等の神経症状が残存してしまった場合に、医師と相談して「治ゆ」となります。

 上記例2のように、症状が改善されていないのに労災での治療ができなくなってしまう場合があります。  もし「治ゆ」となってもまだ症状が残存している場合、障害(補償)給付を受けられる可能性があります。また、健康保険に切り替えて通院を継続できます。

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rousai 労災の『障害認定必携』から抜粋します。改定は平成23年3月の第15版からの改定です。大変に遅ればせながら、内容を確認してみましょう。

 まず、7級の認定基準から線状痕(5cm以上)が消えました。5cm以上の線状痕は「9級11号の2」として新設されたことになります。

 自賠責は近時の認定例から、ほぼ間違いなく、そのまま労災の変更に合わせて変更・準用しているようです。興味深い点は労災は9級の場合、「9級11号の2」としているのに対し、自賠は「9級16号」としています。号の整理で相違が見られるようです。

 

旧基準

(1)外ぼうの醜状障害 

イ 「外ぼう」とは、頭部,顔面部,頸部のごとく、上肢及び下肢以外の日常露出する部分をいう。

ロ  外ぼうにおける「著しい醜状を残すもの」(=7級12号)とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。

(イ) 頭部にあっては、手のひら大(指の部分は含まない。以下同じ。)以上の瘢痕又は頭蓋骨の手のひら大以上の欠損

...

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 最近、労災事故であるのにも関わらず、「健康保険を使って通院しています。」という相談をよく耳にします。実はこの行動、健康保険法違反だということをご存知でしょうか?   第一章 総則

第一条 この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

第四章 保険給付

第五十五条 被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費若しくは家族埋葬料の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法、国家公務員災害補償法又は地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例の規定により、これらに相当する給付を受けることが出来る場合には、行わない。    要約すると、労災事故に関しては労災を使いなさいということです。

 労災を適用することによって、会社が不利益を被ることはないのですが、進んで労災を適用してくれる会社が少ないことも事実です。通常、労災は届出だけで使用できます。しかし、会社での立場等を考えて、自ら労災を適用しない被害者の方も多いようです。 c_h_22続きを読む »

 

 いきなり何のことやらわからないタイトルですが、何を意味するか?    

 これに即答できた方は後遺障害のプロ、認定でしょう。      

 答えは上肢の醜状痕の範囲です。

 

 下図の赤塗りの部分がそれぞれの範囲です。   

労災基準 自賠責基準 裁判 労災 自賠続きを読む »

 重傷事案です。立証作業は丁寧に進めれば目標等級に届くものの、本件最大の問題は労災の不使用です。さらに運転者は同僚なので自動車任意保険の対人賠償は「同僚災害免責」となってしまいます。まず基本通り、全画像を確保・精査し、可動域計測を正確に実施した。続いて自賠責に被害者請求、等級を固めた。その後は以下の文章通り。加害者や保険からの賠償金より、労災の年金支給が最大のターゲットとなります。被害者救済業とは「等級認定」と「賠償金の獲得」だけでは終わらないのです。

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7級相当:脛骨・腓骨・第2~5趾リスフラン関節脱臼骨折(60代男性・千葉県)

【事案】

現場への移動で自動車に同乗中、高速道路で追突事故となった。自動車の前部は潰れ、しばらく自動車から脱出できない状態になってしまった。腰椎は破裂骨折、右下肢はダッシュボードに挟まれ、脛骨骨幹部、腓骨骨頭を骨折した。さらに、第2~5中足骨を骨折、リスフラン関節部脱臼を伴った。 緊急入院し、それぞれ手術で骨折部を固定した。1年にわたるリハビリでなんとか杖をついて歩けるようになった。

【問題点】

本人は「治るまで症状固定はしない」と、仕事へ復帰する執念をもっていた。しかし、腰の可動は失われ、右足へ全体重の荷重は困難であれば現場仕事は無理である。後遺障害の認定へ向けて切り替えるよう説得を続け、納得した上で依頼を受けた。 続きを読む »

 仕事中、通勤中にケガをすれば労災で治療費や休業補償がなされます。当たり前のことですが現実にはそうならないケースを嫌というほどみてきました。

「労災が認定されない」と会社から言われました。

 まず、会社に労災の適用を断られるケースが多いようです。そもそも労災は会社の判断で適用するものではありません。基本は労働局へ「届出」することで労災の申請は完了します。もちろん業務中か通勤中かの判断があるにせよ、会社の許可などはなからありません。  ただしやっかいなのが申請書に会社の署名と印が必要なことです。これが現実的にハードルとなっています。

そもそも未加入の会社の場合

 会社はたった一人でも人を雇えば労災へ加入する義務があります。加入していない状態で労働者がケガをした場合、罰則があり、近年罰則も強化されています。具体的には労災保険料の追加徴収と罰金です。

 事業主(会社・個人事業主)が故意または、重大な過失により労災保険の加入手続きをしていない期間中に労災事故が起き、労災保険から給付が行われた場合、事業主は最大2年間遡った労働保険料及び追徴金と以下の費用を徴収されます。

1、労働保険の加入手続きについて行政機関等から加入勧奨や指導を受けていた場合

→ 事業主が故意に手続きを行わなかったと認定され、保険給付額の100%を徴収

2、1以外で労働保険の適用事業所となってから1年を経過していた場合

→ 事業主が重大な過失により手続きを行わなかったと認定され、保険給付額の40%を徴収

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 労災でも後遺障害の補償があります。通勤中・業務中の交通事故で、後遺障害を負った場合は忘れず請求しましょう。   ★ まず鉄則を   1、「相手から後遺障害保険金が出れば重ねて労災はでません」 ⇒ 嘘です。

 正確に言うならば、後遺障害保険金の逸失利益と障害給付金がかぶるだけです。両方から満額を受け取ることはできません。「支給調整」と言って、相殺します

 加害者(の保険会社)から賠償金が払われる予定で、その逸失利益の額が分かっていれば、「控除」と言ってその分が差っ引かれて支払われます。先に労災を全額支払ってしまった場合は、今後、支払われるであろう保険金から、被害者より先に返してもらう=「求償」をします。   2、「障害年金と一時金」 ⇒ 以下のように整理します。   ○ 第1級から第7級に該当するとき→ 障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金   ○ 第8級から第14級に該当するとき→ 障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金    

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