最近の病院同行でのことです。膝の靱帯損傷による、動揺性(膝の関節がぐらぐら、階段を降りる際の膝崩れが怖い)について診断書に記載をお願いした際、主治医から計測基準に対する指摘がありました。    自賠責は、膝関節の動揺性の判断にまず画像所見を前提とします。相応の靱帯損傷、靱帯の部分断裂や伸びてしまった状態がなければなりません。装具の硬軟(堅い装具かサポーターのような装具か)なども、程度の判定に加味しているようです。そして、医師が徒手で行うラックマンテストや前方引き出しテストから、ぐらつき具合を、前方・後方・左右で「○cm」と計ります。医師は徒手検査の感触で○cmと判断します。また、ストレスXP画像に線を引いて、関節裂隙(かんせつれつげき・・・ 関節のすき間)を左右(健側・患測)比較して丁寧に計る医師もおりました。  動揺性、それが5mm前後であれば、多くは保存療法を選択します。リハビリでは、大腿四等筋を鍛えて弱くなった靱帯を助け、膝の安定性を確保することが目標となります。また、靱帯の完全断裂、又は1~2cmを越える高度な動揺性を示す場合、このレベルでは歩行に支障をきたすので手術(靱帯の再建術・・・膝蓋腱等から移植することもあります)の判断となります。

 しかし、医師によっては、「○cmとは、膝のどこを軸に計るのか」、「基準が曖昧で記載不可能」との声が上がります。これは実に正しい意見と思います。自賠責や労災では、具体的に等級判断の為の計測法や診断基準を公表しません、以下の表からでは、装具の使用状況のみです。労災は顧問医の診察から判断できますが、自賠責は画像と診断書から推察するのみ、医師に記載に必要なガイドを与えないのです。

 事前に示される基準は以下の通りてす。

 よく言えば「総合判断」、悪く言えば「曖昧」です。したがって、賠償上の判断基準と臨床上の計測・判断が繋がらない、または食い違うことが起きてしまいます。本例もその代表例です。これでは、明確な基準から正確な判断を求める、ある意味真面目な医師は記載に迷うと思います。一方、手で関節を引っ張って、なんとなく「前方1cm」と賠償上の目安に乗って記載して頂ける医師もおります。

 現場では、どちらが正しいか、議論の暇はありません。メディカルコーディネーターはどちらの医師であっても、審査側に明瞭な状態が伝わるよう、診断書の記載を誘う役割に徹します。原則、医師の判断に任せるも、等級基準に合致させる臨機応変な誘導をすることになります。それが、等級を取りこぼすレベルでなければ、医師との衝突は避けるべきです。本件の場合は12級確保が目的で、ストレスXP検査の了解を得たので、細かい数値にはこだわりませんでした。この調整力こそ大事で、単なる知識だけでは務まらないことが多いのです。  

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ようやく、メディカルコーディネーター候補の新入社員さんがやってきました!

このマニアックな世界へようこそ!です。さっそく、カキ鍋を囲んで歓談しました。

将来は地元に返って独立開業を目指しています。兄弟子達もおりますので、指導体制も充実してきました。東京でじっくり修行、実力を養ってほしいものです。

春からの事務所の陣容について、いずれ紹介ページを作りたいと思います。乞うご期待!  

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 ネット・広告の世界では、誰もが専門家を名乗っています。専門家をプロと読み替えてみると、専門技術でメシを食っている人との説明になるかと思います。

 スポーツや芸術の分野でプロになる事は大変です。才能だけではなく、途轍もない努力や運も加味されますので、それこそ何万人に1人の存在です。ある雑誌の特集にありましたが、人気絶頂期のモーニング娘に加入する確率は、アイドルを目指す子供達300万分の1に相当するとして、東大の試験に合格するよりも、高校野球で甲子園に行くよりも、難関だったそうです。ピンの歌手や俳優ならもっと大変な確率、難易度になるはずです。生まれつき運動神経がよくて、よちよち歩きからサッカーを始めてプロの選手になる、それも日本代表になることは、競技人口750万人分の11人です。その他、子供の頃から天才と呼ばれて画家になる、同じく小説家になるなども、数10~100万単位の確率になるかと思います。これらしょうもない比較をもてあそんでいますが、各々の平凡な仕事においてプロを目指す事は、スポーツ・芸術分野に比べてはるかに易しいことがわかります。

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 本日は東武鉄道の特急りょうもうに乗って、群馬県まで事故相談。

 本件はかなりひどいプラトー骨折です。脛骨骨頭が砕けていますので、10級レベルの機能障害が予想されます。現在はプレート固定術を経て、骨の癒合を待つ段階です。早速、受傷直後と手術後のレントゲン画像を観ました。感嘆したことに、術前の砕けた状態から人工骨を埋没し、脛骨の両側をバランスよく、隙間無く、しっかりプレートで挟み込んでいます。つまり、術後の画像が綺麗なのです。今までも高原骨折の様々な形態、程度を観て来ましたが、術前⇒術後の整復状態で、なんとなく医師の技術が計れます(おこがましい言い方で済みません)。もちろん、素人目の感想に限らず、執刀数の多い熟練の専門医も術前・術後の画像から、その執刀医の技術レベル、手術の出来栄えがわかるそうです。

 本件の被害者さんは12級レベルまでの回復を果たすのではないか、と最初の予想を変更しました。 一体、誰が執刀したのか? すぐさま、その医師名をチェックします。執刀数多く信頼できる、要するに腕のいい整形外科医の情報を集めることも、私達の仕事と思っています。難治性骨折で苦労している受傷者さんを見る度に、最初の手術で下手していないか、執刀医の選択を誤ったのではないか、このような疑問を持ってしまうからです。日々、地域の病院情報、専門医・執刀医情報収集は大切なのです。  

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【事案】

自宅で座っていたところ、車道から自動車が自宅に衝突してきた。直後から頚部痛、両手のしびれ等、強烈な神経症状を発症する。    ブロック塀でもあればよかったのですが・・・   【問題点】

交通事故での頚椎捻挫は自動車同士の事故(特に追突)ならよくある話であるが、本件は自宅で生活中に交通事故に遭うという稀なケースであった。

【立証ポイント】

事故直後に相談を受け、まず基本通り、半年は治療に専念し、治療費の打ち切りの打診の際に症状が残存した場合には症状固定して後遺障害申請手続きをする方針を固める。その後、半年経過したが残念ながら症状が残存したため、症状固定した。被害者請求では、自宅含む物損資料(自宅写真込)だけでなく、事故直後の自宅や自動車の写真を近所の方が撮影していたため、写真データを頂き、事故発生状況報告書に添付して申請する。結果、普通の交通事故に同じく14級9号が認定された。

ムチウチは、追突のような不意打ちの場合に多く発症する。自宅で突然事故に遭うというのは、自動車事故以上にまったくの不意打ちであったといえる。

(平成31年2月)  

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 自宅でくつろいでいる時に交通事故? 珍しいケースですが、昨年は2件も受任がありました。

 避け様のない究極の不意打ちである事故、むしろ、むち打ち程度で済んで良かったと思います。家屋の損害と併せて、相手の保険会社(対物担当)と連携弁護士が解決中です。    地震か何かの爆発か? びっくりしたそうです。

14級9号:頚椎捻挫(50代女性・埼玉県)

【事案】

自宅で座っていたところ、車道から自動車が自宅に衝突してきた。直後から頚部痛、両手のしびれ等、強烈な神経症状を発症する。  続きを読む »

 本日は出張相談で千葉県銚子市まで。東京駅から一直線、「特急わかしお」が早くて便利です。ただし、本数少なく、乗り遅れると大変です。

 あいにく、東京駅までのバスが遅れてピンチに。特急わかしおは、東京駅丸の内側の地下深くにあります。反対側の八重洲口前のバス亭から、およそ400mの激走となりました。発車10秒前に飛び乗りました。ふぅ~危なかった。

 おかげで運動になると共に、事務所立ち上げ時の1人で活動していた頃を思い出しました。あの頃も良く走ったものです。     

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 加害者が自動車ではなく、自転車あるいは歩行者ですと、当然に自賠責保険が無いことになります。本件での相手は個人賠償責任保険となりますが、自賠責に同じく、しっかり後遺障害の等級認定を突き詰めます。本件の場合、より慎重に、労災の等級認定を確保してしてから、相手保険会社(個人賠償責任保険)に審査を求めました。保険会社の機微を計るような手続きですが、弊所ではこのような繊細な仕事をしています。    保険の性質を熟知し、保険会社の機微を知ることが大事です。  

11級7号:胸椎圧迫骨折(40代男性・埼玉県)

【事案】

バイク搭乗中、青信号の交差点を直進中、相手方自転車が右方から侵入し、接触、転倒した。救急搬送された後、胸椎圧迫骨折の診断となった。  

【問題点】

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【事案】

バイク搭乗中、青信号の交差点を直進中、相手方自転車が右方から侵入し、接触、転倒した。救急搬送された後、胸椎圧迫骨折の診断となった。  

【問題点】

本件では相手方が自転車であったため、自賠責が使えなかった。他方で、本件事故は労災事故であったため、労災申請手続きを同時に実施することになった。さらに、相手方は個人賠償責任保険に入っていたこと、相談者は人身傷害特約に入っていたことから、後遺障害等級が認定された場合には、弁護士がそれぞれに慰謝料や逸失利益を請求することもできることを確認した。では、肝心の等級申請をどのようにするべきか・・・。

【立証ポイント】

圧迫骨折の変形所見を調べるためには、圧潰率をMRI画像等で確認する必要がある。受傷直後、症状固定時期にそれぞれMRI撮影して頂き、水分反応が確認された。また、主治医は後遺障害診断書に圧壊率についても丁寧に記載して頂いた。本件では自社認定のため、相手方の任意保険会社が審査すると、不正はなかったとしても公平性に疑問が残る恐れがある。そこで、本件ではまず労災の障害給付請求を先行し、労災の等級を固めてから、依頼者の加入している保険会社に等級申請する方針とした。請求の順番にも繊細な配慮が必要なのです。

結果、労災でまず11級5号が認められ、その後、依頼者の加入している保険会社に申請し、予定通りこちらでも11級7号が認定された。

(平成30年12月)  

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 これは、どの商売にも共通することと思いますが、ご依頼者が相談に訪れてきたら、まず、お話を傾聴し、信じることから受任者としての仕事を始めます。依頼を請け負うとは、相互信頼があって成立するものです。

 かつて保険販売の場面で、お客様のお話にどうも嫌な感じがして、契約を慎重に構えていました。上司に相談するも、「バカ、お客様を信頼しないでどうする!」と叱られたことがあります。至極、もっともなことです。しかし、とりわけ保険業界はそれ程単純ではありません。上司はこう続けました。「まず、信頼が基本だが、よく話を聞いて、慎重に契約判断をすることも大事だ」と。結局、契約を引き伸ばす私に見切りを付けて、そのお客様は去りました。後でわかったことですが、そのお客様は、(不自然な)保険金支払い歴が10回を越える要注意人物でした。今で言うところの、「保険支払、半端無い」保険会社が契約を拒んで当然のお客様だったのです。

 保険の営業マンは、このお客様を直ちに保険金詐欺者と断定する立場ではありません。それでも、正しい保険運営には、契約段階から未然に不当な支払を防ぐことが絶対に必要です。残念ながら、信頼してはいけない契約者、依頼者も一定数存在するのです。

 被害者救済業とはいえ、今もそのスタンスは変わらないと思います。交通事故の受任経験の少ない、若手弁護士さんなどが、依頼者を信じて受任してしまい、後に保険会社と裁判上で、(不正請求の)証拠を突きつけられて火達磨に・・少なからず聞いてきました。依頼者を信じるという、原則的な美徳を持ったこの弁護士さんを責めることはできません。しかし、迂闊に保険金詐欺の片棒を担ぐ事は、故意過失は無いにしろ、犯罪に加担することになります。その点、士業者は盲目的な受任を避けるべきで、犯罪を未然に防ぐ、助長を防ぐ、社会的役割があるように思います。

 昨年も、ある交通事故被害者さんが相談会にやってきました。相手保険会社の横暴な対応を切々と訴えています。実際、相手弁護士から債務不存在確認訴訟(「びた一文支払う言われはない!」と加害者側から逆訴訟されて・・)を打たれました。気の毒な被害者を救うべく、受任することになる寸前、「本当に助けるべき被害者なのだろうか?」私の頭を過ぎりました。・・・調べてみると、数度の保険金詐欺容疑で実刑判決を食った経歴がありました。本件事故の状況や経過も、過去の手口に類似しています。直ちに、弁護士に受任謝絶するよう伝え、事なきを得ました。

 依頼のお断りを伝えた際、その被害者さんは「今後、私は交通事故にあっても信じてもらえないのでしょうか?」と言いました。

 私はこう答えました。「そうですよ。イソップのオオカミ少年の童話を知っていますか? 人の信用を踏みにじった以上、仕方ありませんよ。 もっとも、まったく疑いのない事故状況で、それなりの大ケガをすれば別ですが。」

 実際にオオカミに食われるまで、信用の回復は難しいということです。

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 それほど、毎日チェックしている方は少ないと思いますが、土日祝日を除いた営業日に、欠かさず業務日誌を続けて丸9年になります(後からまとめてUPも度々ですが)。あまたの士業HPを観ても、これほど豆な事務所は稀有だと自負するところです。継続は力なり、何より筆まめになったと思います。

 先週までに昨年から堆積していた仕事、多くは案件の事後フォローですが、概ね終わりました。自賠責保険の手続きを済ませ、弁護士に引き継いだ後も、労災や障害年金、各種保険請求など、色々と相談事や事務が続きます。無料奉仕の仕事も含まれます。これら継続業務は、被害者救済業の完遂を目指すものです。経営効率を考えれば、それなりに区切りを付けるべきアフターフォローですが、有言実行、責任を全うさせて頂きました。

 一つ一つの案件に時間を割く事こそ、経営努力です。当然ですが、1人の力では限界があります。事務所の対応力が物を言います。今春も社員を増員予定、抜かりない対応を続けていきたいと思います。

 

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 縦に長い長野県、早朝、松本方面に向かう場合は長野まで新幹線で、篠ノ井線に乗り換えて南下するルートになります。本日は安曇野まで病院同行でした。

 その篠ノ井線は山裾を縫うように進みます。その眺望はすばらしいもので、日本3大車窓風景に数えられ、とくに姥捨駅付近の棚田は有名です。この景色を観るだけも心が晴れます。今回の写真は、山中に食い込むあえて雪を被った棚田です。

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 確かに、私達の医療調査や保険続きは「手続き」に終始する業務であり、その対価として費用をお預かりしてしています。しかし、それだけの事務所であれば、決して安くない費用を負担する依頼者様はより安い事務所を探すことになります。振り返るに、秋葉事務所に対して依頼者様が期待すること、それは単なる手続きだけではなかったと思います。それは、業務完了後、依頼者様の納得度に如実に表れます。

 交通事故に遭って相談先を探すも、被害者さん達の多くは、そもそもどのような手続きが必要か、どのような解決を目指すのか、具体的な方策すら定まっていない状態なのです。そこで、私達はまず、解決までのロードマップを説明します。これからどの段階でどのような手を打つかを知れば、先が開けてきます。人は先が見えない五里霧中が一番不安なのです。その解消が信頼関係の造成において第一段階となります。次に、作業中も様々なイレギュラーなことが起きますが、その都度、丁寧に事情を解説し、速やかに適切な対策をすることで、新たな不安を解消して差し上げます。そこに、言い訳や誤魔化しがあってはいけません。不誠実な態度は依頼者様にきっと見抜かれます。

 このように、人の気持ちを大事に業務を続けてきました。人によっては電話説明で即に理解する方もいれば、お会いになってじっくり説明しなければならない方、手紙やメールを希望する方、あるいは、ご家族にも一緒に説明しなければならないケース、様々な手段を使い分けることが必要でした。そこに、事務所の方針、やり方など、押し付けはありません。依頼者様のタイプや状況に合わせる事なくして、納得など得られません。依頼者様の理解・コンセンサスなしに解決を進めても、そこに感謝は残りません。人を相手のビジネスは、「手続きは完璧にやりました」では済まないのです。できるだけ、心情を汲んで進める「ケア」の仕事であるべきです。そこを蔑ろにすれば、依頼者様とのトラブルは必然で、その事務所の評価は凋落し、いずれAIに取って代わられる存在になるでしょう。

 人は「説得」されたくない生き物で、「納得」したい生き物です。これを仕事上の格言としています。  

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 自動車保険の契約中、新しい車に買い替えた場合、納車までに車両入替・異動手続を行う必要があります。

 最近はスマホから手続きの一部が可能です。従来通り、新しい車検証の提出は必要です。もし、手続きを怠ってしまった場合、新しい車で事故があっても、原則、保障されません。しかし、手続きの猶予があり、新車の納車翌日から30日以内に手続きを行い、保険会社の承認を得れば、納車日に遡って保障が適用されます。つまり、手続きを忘れて新車に乗って事故にあっても、30日以内なら保険適用OKとなります。(以下、損保ジャパン日本興亜 契約のしおりから抜粋)

 このルールは、ほぼ各社共通です。この他にも、契約更改や年齢条件など各種変更を怠った場合でも、救済措置は用意されています。しかし、これらの措置はあくまで救済であって、保険契約のルール通り、しっかり事前に手続きをすべきです。せっかく払っている掛金を無駄にできません。経験上、保険が漏れている時に限って事故は起こるものです。  

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 仲間の行政書士がめでたく結婚で、神戸まで一っ走りです(と言っても、新幹線のぞみで往復ですが)。3連休の中日でしたので、前後日は準備や休息にあてることできて助かりました。      神戸港を望む立地、瀬戸内海をバックにしたチャペルに感激です。久々に裏声で賛美歌を歌いました。アーメン♪    

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 交通事故被害者さまのご相談を頂く中で、もっともご回答に窮することは、被害者感情の持っていきどころです。

 車の修理費など物損の場合、被害者さんにとって、その修理費を相手から取ることで全てOKとはいきません。純粋に修理費は直接損害と呼ばれ、まともな見積もりを突きつければ、大抵の損保は支払いに応じます。しかしながら、細かいことになりますが、車の修理に出す手間や様々な書類や交渉ごとに割く時間、これらの損害・対価は法律上、認められません。また、買って間もない新車などは「修理ではなく、取り替えてくれ!」と言いたくなります。高級車となれば、「格落ち」も発生しているかもしれません。これらは間接損害と呼ばれ、これを相手保険会社に請求しても、すんなり支払いを受ける事は困難です。それこそ、裁判などで白黒をつけない限り取れないものです。もっとも、裁判でも負ければ取れません。

 つまり、自動的にすべての損害を回収することなど、そもそも無理なのです。手間暇・金銭をかけて、苦労を重ね、自ら戦わなければ実現できません。この原則をすんなり理解できるか?一般的に欧米人と日本人の意識の違いを感じるところです。とくにアメリカ人の場合、歴史やメンタリティから、他人に対する信頼は大変に薄いものです。交通事故の相手があっさり「すみません」と非を認めて、即座に賠償してくれる期待など持っていないのです。明らかに自分が悪い追突事故でさえ、加害者は「I’m sorry」とは言わないことが普通です。また、お金がなく、任意保険に加入していないかもしれません。一方の被害者も、相手の誠意と賠償資力を期待していませんから、しっかり車両保険・人身傷害保険に加入、あるいは弁護士を雇うのです。言葉さえ通じない多種多様の民族の合衆国ですから、自分が受けた被害は自助努力や戦いで回復することが身に染みているのです。

 その点、日本はほぼ単一民族、全国的に日本語が通じ法律も統一、島国ならではのご近所関係・相互扶助もあり、他人に対する信頼は世界一のレベルではないでしょうか。その証拠に、落とした財布が届く率は63%との統計があります。ちなみに他国の統計は目にしたことがありません。他国にとって、ほとんど0%のことなど数えないからだと思います。これは世界に誇るべき日本人と美徳と同時に、被害者感情に大きく作用しているのではないかと私は考えるのです。交通事故の被害にあったのだから、「(信用すべき他人が)すべて弁償してくれるはず・・これって普通でしょ!」と。

 残念ながら、こと交通事故の争いとなれば日本人の美徳は薄れます。相手保険会社はさながらアメリカ人になります。グローバルスタンダードを高圧的に押し付ける存在ですから、法律に従って決して甘くない対応となります。基本、被害者側が証拠を集めて突きつけなければ払いません。間接損害の請求など、端から拒否します。

 それでも、直接損害の支払ならかなり信頼できる存在です。また、ケガをすれば、治療費の一括払い(病院に直接、治療費支払い)など、アメリカ人のくせに、似合わないサービスをしてくれます。また、強制保険(自賠責保険)により、任意保険以前に被害者に多少の過失があっても、一定額まで100%の治療費が確保できます。ヨーロッパの福祉国家さながら、健保・労災・自賠責と、社会保障制度が確立しています。これらは、発展途上国が目標としている社会保障制度:3種の神器で、世界的にあたり前に実現しているものでありません。国民国家としての努力の賜物です。実に、世界の半分以上の国は自賠責保険がないのです。そして、任意保険の会社があっても、肝心の加入率は30%程度が普通なのです。日本は80%のようです。すると、5台に1台は無保険になりますが、80%以上は世界的に優秀な加入率なのです。これらの比較から、いかに他人から被った被害の回復は大変なことで、当たり前に助けてもらえる事ではない世界基準を知ることになります。

 落ちていた財布を拾って届ける優しく気高い精神の人が、ある日交通事故被害にあったとして、対する他人(加害者側)が決して優しくも道徳的でもないことに直面します。当然、感情的にすんなり受け入れられるものではありません。連携弁護士を含む私達はその意を汲み、できるだけ損害を回復するように働くことになります。それには、被害者さんの自助努力や費用負担も当然に必要です。そして、私達は被害者の皆様の怒りや失望を、戦いへ切り替えさせることから着手します。損害回復は当たり前のことではない、戦いであると理解することからのスタートなのです。    ちなみに、私は過去4度財布を拾い、届け出て無事に持ち主に届きましたが ・・・ 逆に、自身2度財布を落とすも、まったく届きませんでした。日本も信用できませんわ(怒)!  

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 相変わらず、他方面から様々なご相談が入って参ります。頼って頂くことは、私達の日頃の活動への評価でもあり、仕事冥利に尽きます。

 しかしながら、インターネットからの相談は確実に減った感があります。仲間内や連携士業の皆さんにも聞いてみると、同様の傾向です。やはり、大手の弁護士事務所がネット集客を独占しているのでしょうか。それは確かではありますが、ネット検索をすると、たくさんの交通事故相談がひしめき合っています。10年前はおろか、5年前に比べても競争は拡大していると思います。ネットの世界は宣伝過多の真っ只中だと思います。    私達の救いは、ご紹介の案件で、それは年々増加しています。一つ一つの仕事を丁寧に積み重ねてきたことが、尻上がりの成果を呼んでいます。ネット広告はそれとは逆の成果を辿ります。被害者さんは藁を掴む思いでスマホを検索します。信頼できそうな、実力がありそうな、家から近い、などを吟味して相談、依頼へ進みます。しかし、実際に依頼してみると、一定数は「広告とは違う」と感じることが生じます。解決に至っても、「こんなものかな」と満足度が低い場合、恐らく、再度の依頼や紹介はないでしょう。ネット集客は資本力が物を言いますが、やはり、結果・満足度は実力次第です。広告先行のやり方は商売上、理にかなっていますが、同時に対応力・実力を磨いていかなければ、長期的な収益にかげりが見えてくるはずです。

 それでも、生まれて初めて事故に遭うであろう被害者にとって、広告からしか選択の余地がないことが多いはずです。広告に予算を投入すること、どの業界でも必須の営業戦略であることは間違いありません。これが、私達のような小事務所には最大の課題と言えます。限られた予算でいかに事務所の良さをアピールするか? 日々の努力と工夫が必要です。   

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 本日は冷たい雨の中、セミナー講師で横浜に。会場に着く頃には雨もあがり、講義中、夕日が差し込みました。今回は私を含めて6人と参加者は少なかったのですが、具体的な事故相談もあり、有意義な2時間となりました。ご参加の皆様、ありがとうございました。

 終了後は恒例、中華街に繰り出して上海料理を堪能しました。関帝廟前の馴染みのお店は残念ながら昨年閉店しました。今日は目立つ外観ながら一度も利用したことのないこちらへ。

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 近い将来、否、既に各分野にAI(≒人工知能)導入が進み、これは規定路線と言えます。当然、交通事故の調査・解決の場面でも活用が期待されます。

 ドライブレコーダーと連動したシステムの開発が発表されました。新聞記事から引用します。  

損保ジャパンとジェネクスト、AIでドラレコ映像を解析 責任割合を自動算出へ

 ジェネクストは8日、損害保険ジャパン日本興亜と共同で自動車事故の責任割合自動算出システムを開発すると発表した。このシステムは、自動車事故の発生時、ドライブレコーダーが撮影した映像とGPSの位置情報をもとに事故の状況をAIが分析し、自動車事故の責任割合を自動的に算出する。これによって自動車事故の原因を正確に究明するとともに、事故対応の迅速化を目指す。

 あおり運転による交通事故の報道をきっかけに、ドライブレコーダーが一気に普及した。それに伴い、自動車事故が発生したとき、ドライブレコーダーが記録した映像を事故の責任割合の算出に活用する機会が増えている。一方で、ドライブレコーダーは広角レンズを通して撮影するため、映像に歪みが生じてしまう。事故発生時の速度や車間距離など、ドライブレコーダーをもとに事故発生時の状況を解析し事故の責任割合を判定するためには、解析に必要な専門の技術と多くの時間が必要であった。

 損保ジャパン日本興亜は事故原因追及のプロセス効率化と迅速な対応を実現するため、ドライブレコーダーの映像解析サービスを主要事業とするジェネクストと共同で自動車事故の責任割合自動算定システムを開発することにした。

 ジェネクストはドライブレコーダーが撮影した映像から、速度、車間距離、位置情報を正確に取得できる特許技術を持っている。この技術をもとに、今回開発のシステムではAIが事故発生時の映像から車両の動きや道路の状況を読み取る。そして、AIが事故発生時の映像から読み取った情報と、損害保険ジャパン日本興亜がこれまで蓄積した知見をもとに、自動車事故の責任割合の判定を行う。損害保険ジャパン日本興亜は今回のシステムの開発を通じて自動車事故における責任割合判定プロセスの明確化とともに、事故解決の迅速化を目指すとしている。  <財形新聞さま より>  

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 SJNKの代理店さまは既にご存知と思いますが、ついにベールを脱いだ、今年1月改定の弁護士費用特約を特集します。

 目玉は二つです。一つは、既に他社でも採用している、自転車による被害事故などを含む、日常生活の被害事故に係る法律上の損害賠償請求を行う=「日常型」の発売と、これは業界初となる、お客さまが加害者となった場合、負担する刑事事件の弁護士費用等を補償の対象とする「刑事弁護士費用」の新設です。これは、以前から隠れたニーズと思っておりました。

 もし、交通事故で加害者となって警察に拘留された場合、自責の念や衝撃で誰もがパニック、あるいは頭が真っ白です。その上、人生初となるであろう警察の取り調べが続くのです。以後の対策はもちろん、精神的なケアが急務です。急いで弁護士を警察署に接見に向かわせる必要があります。この特約、他社さんもデフォでお願いしたいと思います。

 また、弁護士の当てのないお客様には、LAC(簡単に言うと日弁連の対保険会社機関、弁護士費用もLAC基準で縛る事ができます)経由で弁護士紹介を可能としました。保険会社が抱える協力弁護士の紹介は、現場では既に各社共に行われてきたことです。

 以下、同社案内から抜粋・加筆します。  

1.開発の背景

 現在の「弁護士費用特約」について、お客さまから「自動車事故だけではなく、自転車事故などの日常生活被害事故も対象にしてほしい」というご要望をいただいていました。また、不慮の自動車対人加害事故を起こしてしまったお客さまから「裁判所から起訴状が届いたが、どうしたらよいか」などの刑事事件に関するご相談をいただくケースがありましたが、この場合には一般的な助言を行い、詳細はお客さま自身で弁護士にご相談いただくようご案内していました。今回、このようなお客さまのご要望にお応えするため、「弁護士費用特約」の補償範囲を拡大し、また同時に弁護士をご紹介することでお客さまの負担を軽減するサービスを提供します。  

2.商品概要

・「弁護士費用特約(日常生活・自動車事故型)」を新設し、日常生活被害事故および自動車対人加害事故の弁護士費用等を補償の対象に追加します。

・現在ご提供している「弁護士費用特約」を「弁護士費用特約(自動車事故限定型)」に名称変更し、自動車対人加害事故の弁護士費用等を補償の対象に追加します。

 

3.補償内容・金額

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