てんかん薬シリーズを続けます。代表的なお薬、デパケンの登場です。

【6】バルプロ酸ナトリウム  (VPA)

 商品名:デパケン、セレニカ、バレリン、バルプロ酸ナトリウム

 てんかん発作の代表的な薬で、第一選択薬として広く使用されています。気分障害の改善効果もあります。また片頭痛にも使用されます。徐放性製剤があり、1日の服用回数を減らし、胃腸系の副作用を減少させることなどを目的に使用されます。飲み始めに一時的に消化器症状や眠気が生じることがあります。体重が増えることがあります。高用量は妊娠には適しません。

 経験ではてんかん発作を起こした患者さんに最も数多く使われていました。商品名のデパケンで知られています。
 
【7】エトサクシミド  (ESM)

 商品名:エピレオプチマル、ザロンチン

 欠神発作(※)に有効な薬剤です。稀にしゃっくりなどの副作用があります。ベンゾジアゼピン系(ジアゼパム、ニトラゼパム、クロナゼパム、クロバザムなど) 抗けいれん作用に加え、抗不安、催眠・鎮静、筋弛緩作用を持っており、てんかん以外の疾患の治療にも使用されています。他の抗てんかん薬の補助的な薬剤として使用されることが多い薬です。血中濃度と有効性の間にあきらかな相関が認められていません。ジアゼパムの注射はてんかん重積状態の第1次薬として使用されます。副作用には、眠気、ふらつき、流涎などがあります。

※ 欠神発作・・・子供さんに多いタイプで、5~15秒の短い意識消失発作が起こり、その間、患者さんは動作を一時的に止めてじっとしていますが、再びもとの動作に戻ります。
 
【8】ガバペンチン (GBP)

 商品名:ガバペン

 部分的な発作の付加薬として用いられます。ミオクローヌスは悪化することがあります。腎臓からほぼ100%排泄されることから、腎機能障害時には投与量を減らす必要があります。併用している抗てんかん薬の血中濃度に影響を及ぼさないといわれています。
 副作用は少ないですが、稀に眠気やめまい、体重増加があります。
 
【9】トピラマート  (TPM)

 商品名:トピナ、トピラマート

 部分的な発作の付加薬として用いられますが、すべてのてんかんの発作、小児のてんかん症候群(ウエスト症候群※など)の発作にも効果があります。併用している抗てんかん薬の血中濃度に影響を及ぼすことが少ないといわれています。錠剤を粉砕したときの苦味が強い薬です。
  食欲低下、体重減少、発汗減少、腎・尿路結石などの副作用があります。

※ ウエスト症候群・・・別名、点頭てんかん。生後4ヶ月~1歳以下の幼児に発症するてんかん症候群を指します。2歳以上での発症は稀で、5ヶ月~6ヶ月頃が発症のピークとなります。幼児のてんかんでは最も多く、日本に数千人の患者が推定されています。発症の男女差では男の子の方が多い傾向があり、点頭てんかんの発作は2歳~3歳くらいで治まりますが、他のてんかん発作に移行する子が多いと言われています。
 
【10】ラモトリギン  (LTG)

 商品名:ラミクタール

 てんかん全般及び、部分てんかんの発作に付加薬、あるいは単剤として処方されます。レノックス症候群の発作にも有効です。バルプロ酸により血中濃度が上昇します。錠剤は水分がなくても服用できます。
 稀にアレルギーのある人があります。妊娠時には血中濃度が下がることがあります
 
 <神経医療センターさま、日本神経学界さま HP引用>