先日の実績投稿で予告の通り、近年、自身契約の人身傷害や傷害保険への後遺障害申請を振り返ってみたいと思います。

 それぞれ、初回申請は厳しい回答が多いようです。任意保険でも後遺障害の審査・認定は、自賠責保険の基準に照らしています。そこで、担当者は、自賠責保険の調査事務所に諮問(つまり、軽く審査をしてもらう)することになります。その結果は、比較的に読めるものです。ただし、軽易なケガでは、共済や通販系の保険会社などは、よくわかっていない担当者がお手盛りで認定するのでは・・との懸念があります。とくに、自損事故での初回申請はそう感じます。逆に加害者が存在し、その自賠責保険から回収の目途が立つ場合の人身傷害は、認定・支払いが優しく感じます。    以下の例は、幸い秋葉にたどり着く事で認定を得た方々です。全国では、保険会社の審査に従ってしまう方が多いと思っています。また、等級認定となっても、逸失利益の交渉が必須です。かなり低い額で提示してきますので…一発で合意しないように、秋葉事務所ご相談下さい。  

 自損事故 14級9号⇒12級13号:肩腱板損傷 異議申立(40代男性・埼玉県)

 

 14級9号⇒12級13号:腰椎捻挫 異議申立(30代男性・東京都)

 

 自損事故 11級7号:腰椎圧迫骨折(20代男性・東京都)

 

 人身傷害 12級6号 :橈骨遠位端骨折(60代女性・神奈川県)

 

 傷害保険 併合9級:両舟状骨骨折(40代男性・東京都)

 

 人身傷害 併合14級:頚椎・腰椎捻挫(50代男性・神奈川県) 

 

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 相手のいない事故、自分で転倒、ぶつかったなど、いわゆる自爆事故の認定について。やはり、初回では「非該当」が目立ちます。おそらく、「そんなもんかな・・」と、受け入れてしまう人が多いのではないかと思います。

 本件の被害者さんは、以前に被害事故でお手伝いさせて頂いた方です。その経験から、非該当はおかしいと、秋葉への再依頼となりました。結果は、毎度のごとく、丁寧に再申請を行って等級をつけました。

 経験上、自賠責保険なら初回で認定されるべき件でした。つまり、自身加入の保険(人身傷害、自損事故、搭乗者傷害)への後遺障害認定の方が、厳しく感じるのです。とくに自損事故の場合、相手がいません。これは、相手の自賠責保険からの回収が0円を意味します。途端に、保険会社の支払いが渋くなる・・とはうがった見方でしょうか。

自分の保険への請求依頼・・増えています。  PS.

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 全国体育会系の皆様、大好物のドラマです。昨日から放送開始しました。自衛隊の航空救助隊、教官と訓練生の成長物語です。大好きなんですよ、この設定。まさに筋肉系、一緒に筋トレしたいです。

 主演の内田 聖陽さんはさすがの演技、熱いです。訓練生たちも個性豊かで、キャラも立っています。訓練場面は最新の仕様を盛り込み、リアリティもあると思います。しかし、しかし、なんでです。    出演者の筋肉量が・・(泣)    ドラマでは上半身脱いでの訓練場面がありますが、みんなひょろいです。ガリガリではないにしろ、まったく鍛えが足りません。ドラマ出演の決定は数カ月前のはずですが、とても追い込んだように思えません。役作りが足りないのか、それほど鍛えるよう要望がなかったのか・・実際の自衛隊員は失笑していると思います。

 もちろん、ドラマに過剰なリアリティを求め、粗探しする意図はありません。しかし、アメリカや韓国のドラマ・映画では、この手の出演者は普通に筋肉モリモリです。日本だけが、ひょろいのです。おそらく、日本の芸能界特有の現象で、男性タレントは、そのスタイルとして女性的な細身のラインを保つ必要があり、筋肉を抑制しているのかもしれません。鈴木 亮平さんなど、数少ないタレントにしか、事務所が筋トレを許していないのではないかと・・。    では、自分は人に言うほど鍛えているのか? 私のような中高年にとっての筋トレは、血糖値の上昇を防ぐ為、言わば生活習慣病対策、健康管理に必要なルーティンです。なんとかジムに通わずとも、週2回45分程度の自重トレーニングをしています。最近は便利なもので、youtubeにてトレーナーのガイドを見れますので、大変に助かっています。その程度の運動でも、ドラマ出演者よりはずっとマッチョです。

 ドラマの進行に伴って、訓練生の筋肉も成長していくことを期待します。  

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 「主治医が後遺症と診断したのに、なんで非該当なんですか(怒)!」

 後遺障害の審査で「非該当」の結果となった被害者さん、その憤慨です。

 その怒りの矛先は、第一に保険会社、第二に医師ではないでしょうか。医師にしてみれば、保険請求のことなど知ったこっちゃない立場です。であっても、真面目な医師こそ、患者と保険会社の板挟みに苦慮しているのです。

 そもそも、後遺症とは「治らなった状態」を指します。自賠責保険が認定する後遺障害は、「治らなかった状態の中から、自賠責保険が規定する障害の基準を満たすもの」です。つまり、独自の基準で絞られていると言えます。だからこそ、医師が後遺症と診断したからと言って、イコール後遺障害ではないのです。

 本件の医師も、後遺障害診断書の記載の際に、口酸っぱく釘を刺しているのです。      正直、再請求を覚悟してましたので、初回で取れてよかったです  

14級9号:頚椎捻挫(70代女性・茨城県)

  【事案】

自動車の助手席に搭乗中、後続車の追突を受けたため、負傷した。直後から頚部痛、左上肢の痺れ等、強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

事故から1週間後に縁あってご相談を頂くことができたため、適切な治療・保険請求方針を設計することができたが、事故前から腰部の症状でかかっている整形外科への通院だったため、既往症が気になった。また、担当する理学療法士から「150日が経過すると、リハビリ回数に制限が出る。」と言われ、予約が取りにくくなる可能性を秘めていた。   【立証ポイント】

既往症については、診断名に加えず、主たる頚椎の症状に特化してリハビリをしていただくこととした。また、「150日~」という問題については、医師への伝え方を入念に練習させて、本人から伝えてもらったところ、「健康保険を使っている訳ではないので、保険会社から何か言われない限りは、現在の治療頻度で問題ない。」という言質を取った。また、早い段階で医師からMRI検査を打診されるなど、順調な経過を辿っていた。

いよいよ後遺障害診断になって、主治医から「仮に後遺障害が認定されなかったとしても、判断するのは私ではないから責任は持てないよ!」と何度も言われてしまった。責めるつもりは毛頭ないが、過去に「非該当」を責めてきた患者がいたことは想像に難くない…。

事故当日から症状固定まで、1箇所の整形外科に通院していたため、医療照会の恐れもなく、通常通り40日で14級9号が認定された。  

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【事案】

自動車走行中、山道のカーブでスリップし、曲がり切れずに電柱に衝突、鎖骨を骨折したもの。   【問題点】

 折れた鎖骨はプレート固定術を施した。相手がいない自損事故となるので、自らの人身傷害保険への請求となった。当然に治療費等の支払いを受けていたが、後遺障害については「非該当」の結果となった。   【立証ポイント】

 骨折後に変形や、可動域制限を残さなかったことは良いとして、痛みの残存はあった。いつも通り、リハビリ先へ出向き、症状の一貫性を示す意見書に記載頂き、申立書を丁寧に作成した。

 提出後、今度は神経症状の残存=14級9号を認めて頂けた。相変わらず、自損事故に対する保険会社のお財布は固い、再請求での認定がデフォルトではないかと文句を言いたくなる。   (令和6年4月)  

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 今月になって、そろそろ10年のお世話になっている保険関係者様が2名、ご病気で入院となりました。私と佐藤、それぞれお見舞いに伺うことになりました。緩解と1日も早いご退院をお祈りする次第です。    週末に健康診断を控えて、目下、体を作っています。酒を断ち、食事のバランスとカロリー制限中です。体重は落ちますが、筋肉を保つために筋トレも欠かすことができません。齢50を超えてみますと、健康でいることが一つの目標となっています。なにせ、剣道部の同期達の中で、卒業以降、入院や手術していないのは私だけです。唯一、薬もまったく飲んでいなません。これは、日ごろの健康管理や節制の効果だけではなく、生まれついての健康体に感謝すべきと思います。

 しかし、ちょっと油断すれば血糖値は上がりますし、LDLコレステロールは慢性的に高値です。毎年、健康診断の数値をみて、糖質制限や脂質制限などテーマを決めて取り組むことになります。残念ながら、それが中高年の姿、病院知らず・薬知らずは、地道な努力を重ねるしかないのです。      

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 に病院同行でした。なんの名所や自慢のない、典型的なベットタウンの越谷市でしたが、今やレイクタウンは越谷の顔です。      治水対策の人工湖と一緒に都市を作る、これがコンセプトでした。越谷在住の頃は、わりと頻繁にお買い物に訪れたものです。専門店が充実していたので、都心に出向かなくても済むので大助かりでした。土日は激混みなので、平日の昼間にのんびり回っていました。なにせ、オープン当時は東洋一の売り場面積のショッピングモールでしたので。

 さて、周辺にはマンションや一戸建がどんどん拡大、外食チェーンも続々開店しています。一大ニュータウンのおかげで、旧市街の越谷駅周辺は寂れている印象です。そんなレイクタウンですが、かつては田園地帯で、その中心に火葬場と古墳公園がありました。夜になると、人気も車通りもなく、実に寂しい荒野でした。シラサギが飛び交い、キツネやタヌキ、野ウサギも近年まで住んでいました。そして、幽霊がでることでも有名でした(小学校時代、目撃証言が多数)。そんな越谷の片隅も、今や全国区の知名度になりました。  

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 根治療なので約2ヶ月を要しました。数年ぶりの歯科通いでしたが、大きな変化として、クラウンに対する健保適用の拡大です。    歯の後遺障害、復習 👉 顔面の後遺障害 ⑧ 歯の後遺障害    元々、金ピカ・銀ピカの金属を被せる場合は健保適用です。セラミックや、インプラントなど、白く仕上げるものは自由診療で高くついたのです。今回、白いプラスチック製でも健保OKとなっていました。自費負担が5000円位と、大変に経済的です。今度、別の歯のクラウンがダメになったら、健保で白くできます。よかった。   (以下、厚生省のHPより)

 CAD/CAM冠(キャドキャムかん)・・歯の模型をコンピューターでスキャン、プラスチックとセラミックの混合材で形成する被せ物(歯)です。自由診療となるセラミック製よりは強度が落ち、将来的に変色することがデメリットです。しかし、白い歯を安価で保つことのメリットが上回ると思います。

 それでも、自由診療でバリバリ稼ぐぞ!と言った歯科医では、この健保治療をしてくれそうにありません。通っていた歯科医は大丈夫ですが、都心の歯科医にて健保治療を押し通すのは、過酷な戦いを強いられます。    戦いの記録 👉 夏休み特別企画~歯医者の恐怖    最近のニュースで、きぬた歯科へのグーグル(だったかな?)の書き込みで、患者に成りすまして悪評を書いた都内の歯科医が、開示請求によって明らかになったそうです。同業者の嫉妬、どの業界でも怖いものです。    

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 いやぁ、やろうやろうと思って10年、やっと写真他を更新しました。また、補助者の佐藤のプロフィールも追加しました。

 見てくれより中身と思いますが、やはり見栄えは大事です・・今後も、丁寧にアピールしていこうと思います。        こちら 👉 https://www.jiko110-akb.com/office/

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 長年、交通事故に携わって、とうに30年を超えています。当然に、過失割合でもめにもめた事故をたくさんみてきました。多くは、一方あるいは双方の妥協で解決します。もちろん、根拠は『判例タイムス』の割合を、そのまま採用か、わずかに修正を加えたものでした。双方の気持ちは分かりますが、争い自体の労力と時間の無駄を感じてしまいます。

 その争いの中で、甲乙が入れ替わる(つまり、加害者と被害者が逆になる)ことはめったにありません。ここでは、重大な事実誤認や、一方の嘘から事故状況が変わってしまったケースは除きます。判例タイムスの原則や解釈にそぐわず、裁判官が個別具体的に過失割合に決着をつける場合のことです。裁判官独自の判断、実は相当に珍しいことなのです。それが、昨日のセミナーで目にしました。    まだ結審していませんので、詳しいことは書けません。この事故は、判例タイムスによると、当方80:相手20の事故形態でした。しかし、その担当弁護士は、ドライブレコーダーを解析し、現場検証から緻密に事故状況を明らかにしました。当方が悪くない事情を積み重ねて主張しましたところ、まだ和解提示ではありますが、担当判事は20:80と逆転の結論をしたのです。

 これは、大変に珍しいことなのです。多くの事故は、保険会社の担当者が判例タイムスを手に、その基準を相場として片が付くものです。裁判で争うにしても、それは死亡・重度障害など、大きな賠償金が絡む重大事件に限定されます。だからこそ、判例タイムスに載るような事例とならず、少額事故での弁護士の快挙は目立つものではないようです。    本件の依頼者さんは、この逆転劇に対して、「0:100にならないの・・」と未練が残るそうで、やや、やるせない気持ちではあります。しかし、本件の弁護士を誰よりも秋葉事務所は賞賛します。将来、AIの判断になるかもしれない過失割合です。それでも、人間のやることがまだまだあるようです。      

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 本日のセミナーは、ほとんど毎年励行の沼津会場でした。沼津市は市をあげて萌えキャラを押し出しています。駅から会場、電車まで萌えキャラがみられます。      弁護士による損害賠償論の講義の後、秋葉は今年の一押し、過失相殺を担当しました。かなり修正が進んだQ&A形式です。これは、正誤を競うものではなく、交通事故の過失割合には人それぞれの見解があること、判例タイムスはあくまで過去の解決例であること、何より皆で色々な見解を”考える”ことを主眼に置いています。また、それぞれのケース毎にテーマを内在させました。将来、次号の判例タイムスで改定が予想される割合、訴訟で逆転した割合など、単なる知識の確認には収まりません。我ながら完成に近づいたと思っています。

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 久々のお肉、上手かったっす。およそ八重洲口で用が足りる秋葉事務所ですが、めったに西口、つまり丸の内へ行く事はありません。事務所から徒歩20分余りの近場でしたので、そぞろ歩きで会場へ。T事務所様ご主催の宴席に座しました。良いお肉と良いお酒、今日はダイエット休業日となりました。      T先生ご馳走様でした。  

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 昨日の主婦休損ですが、もう一ネタ掘り下げましょう。     主婦の休業損害、その議論は深いものです。家族の形が多様化した現在、様々な家族の姿があるからです。内縁関係は、昔から損保も家族とみなしてくれます(※)ので、普通の夫婦・家族と同じ扱いです。主婦性の立証に関して、色々と検討を要するケースとして、同性カップルやルームシェアする他人同士があります。これらは、家計を担う就労者と、内助の功となる家事従事者の関係性を説明する必要があります。   ※ 損保は内縁関係の認定に対し、およそ郵便物だけで判断可能です。同じ家に、それぞれ内縁夫婦の郵便物が届いており、その宛先住所が同じならば、同居の証明としてくれるのです。    今までで、もっとも難しい議論となったのは、無職の高齢者や障害者を介護する無職の同居人です(この家族は社会保障で生活しています)。この場合の家事労働ですが、就業者への内助の功にあたりませんので、休業損害は認められないことになります。介護に支障がありながら、主婦性が否定されて0円はあまりに酷です。これらは、個別具体的な事情として、相手損保や委任した弁護士が検討を重ねることになります。ちなみに、このケースでは、主婦性の議論を捨てて、通院日に代替のヘルパーを雇用、その費用を損害額としました。    さて、主婦性の議論において、勉強不足となる損保担当者は、窮すると「何でもかんでも6100円」と決めこみます。これは、自賠責保険から回収する際、労働能力(労働意思も)を有する者として1日6100円が最低額となり、その額までならば容易に回収が可能だからです。まるで思考停止状態の損保ですが、被害者側も、その提案に乗ることが上策のケースもあります。ここで、担当者を勉強不足とまで糾弾できないでしょう。      一方、被害者の味方である弁護士さんも、主婦休損の立証から、一流~三流で以下のような差になります。   三流:これは、ずいぶん前の交通事故相談会に参加された被害者さんです。すでに弁護士に依頼済ですから、セカンドオピニオンになります。見せてもらった賠償請求書ですが、弁護士のポンコツぶりに落胆したものです。なんと、内縁関係の同居者である奥さんですが、ケガで休んだスーパーマーケットのパートの賃金を休業損害として、杓子定規に請求しています。週3日勤務で1日5時間・時給1100円です。つまり、1日あたり5500円。クソ真面目に職場へ休業損害証明書と源泉徴収票を取り付けて、相手損保に提出済ではないですか!

 このシリーズを読んで下さった方にお分かりと思いますが、「私は内縁ですが主婦です」と言って、主婦休損の1日1万数百円で請求すべきです。ケガでスーパーを休んだ日は、たったの5日です(合計27500円の請求)。一方、主婦となれば、通院実日数は60日ですから、少なくとも最初の30日は認められるとして、10700円×30日=321000円です。ところが、この弁護士先生、端から「内縁関係なので主婦は無理です。職場に証明書を書いてもらって下さい」との指示でした。この知識不足から、依頼者さんは30万円近く損するところだったです。慌ててその弁護士に陳情、請求額を訂正してもらいました。  対して、相手損保担当者さん、27500円なら喜んで支払うでしょう。しかし、最終的に自賠責の回収額を下回る支払いはご法度です(任意保険会社の不当利得になります)。慰謝料がそれほど延びず、支払いに余裕がある場合、弁護士先生に対し、「先生、休業は最低6100円みれますので、6100円×5日で計算しますね」と、おまけみたいに増額してくれます(相手損保に増額してもらってどうするの!)。こんな気の抜けたサイダーみたいなやり取りをたまに見かけるのです。     二流:損害賠償論に習熟した弁護士です。内縁関係であろうと、「実質、二人は家族です。旦那は勤務しており、パートとはいえ被害者の主業は主婦です。」ときっぱり、1日約10700円×実通院日数で請求します。相手担当者も難しいことは言わず、認める傾向です。

 ただし、認定日数は交渉となるでしょう。打撲・捻挫程度のケガであれば、ケガの回復が進む中、「60日まったく家事ができませんでした」は、さすがに通らないと思います。ケガ・症状によっては、30日以降は1/2、60日以降は1/4と、逓減した算定とする場合もあります。

 もう一つ、最近の損保担当者の反撃を紹介します。「主婦の休業は認めます。ただし、パートの休業損害証明書も提出して下さい。パートに出ているのに家事だけはできません、それはないでしょう」。そりゃそうです。パートに復帰以降、主婦休損の請求は説得力を欠きます。このように、損保担当者だって成長しているのです。        一流:上級者は、さらに主婦性の立証について、ノウハウを重ねています。例えば、郵便物届先や住民票の住所が別で、内縁関係を疑われたカップルであっても、町内会の会長さんに「あぁ、あの二人は同居しているよ」との証明書を発行してもらい、立証します。また、冒頭の主夫や同性カップルの場合、一方の勤務実態を職場に証明してもらい、奥さん(旦那さん・・同性カップルの場合はどっちでしょうか?)の主婦性を丁寧に立証します。この辺のノウハウは、交通事故を相当件数重ねたプロの仕事になります。秋葉事務所でも、幾度となく、お手伝いをしてきました。

 保険会社は、これらの事情を理解する為の「家族構成表」の提出を求めてくる場合もあります。立証する側の弁護士は、より踏み込んだ家族の関係性を説明、交渉にあたっています。   続きを読む »

 調子に乗って、もう1例挙げましょう。    主婦の休業損害です。これは、自賠責保険では1日あたり6100円と決まっています。任意保険もおおむね同額を提示してきます。弁護士が請求する金額は、赤い本の賃金センサスから計算します。こちらは1日あたり1万円を超えています。

 では、損害賠償上の主婦の定義ですが、単に家事従事者というだけに留まりません。東京地裁・民事27部(私どもは交通事故部などと言っています)が定義するところ、”内助の功”として、就業している家族の助けとなっていることを要求しています。ハウスハズバンド(奥さんが働いて、旦那が家事)は当てはまります。親子間でも、息子と二人暮らしで、”独身の息子が働き、母が家事”もOKです。息子夫婦が常勤で共働きの場合の同居の母も、主婦を認めさせました。兄弟姉妹や他人同士の同居でも、就労者と家事従事者の関係があり、内助の功がみられれば同様です。  「内助の功がない」とされるケースは、独居者(自分の為の家事でしかない)、それと、主婦休損の相談数トップとなる、シングルマザーです。

 シングルマザーは、働き手としての父、家事を担う母(それぞれ逆もしかり)の両者の役割を一手に担っておりますが、子供他の家族にとっては、働き手扱いとなります。したがって、お母さんの休業損害は、その勤務による収入から計算することになります。主婦としての6100円~では計算しません。シングルマザーはお父さんの役割・・ほとんど判決で一致をみせています。しかながら、シングルマザーでは、実収入より主婦休損の額が上回るケースが度々あります。まして、会社員は休んだ日だけの請求に対し、主婦は通院日(全日ではありませんが)からカウントするので、日数も多く算定できます。したがって、できれば、主婦として請求したいのです。    さて、当然に損保でも裁判所の定義を踏襲しており、シングルマザーに主婦休損の適用はありません。しかし、ここにも勉強不足の担当者がいます。シングルマザーに対し、その代理人弁護士が請求するところの1日あたり約10700円を、通院日数分の30日支払ってきました。大手損保の担当者では見たことがありませんが、小規模損保や共済、とりわけ地方の担当者で度々経験しています。要するに、勉強不足から裁判例や東京地裁の定義を知らないようです。いずれ、保険会社のすべてに浸透する原則論と思いますが、情報不足、勉強不足の担当者は間違いなく残っているのです。    一方、被害者の味方である弁護士さんも、レベルの差は歴然です。一流~三流で、以下のような差になります。   三流:シングルマザーで主婦休損を請求後、相手損保の担当者から、「先生、ご存じと思いますが、シングルマザーはお父さん扱いなので、その労働収入から休業損害を計算します」とピシャリ。依頼人に対して、当初は大盛の賠償額(一日10700円×通院日50日)から、「休業損害はお勤め先の1日6500円×会社を休んだ日の5日だけになりました」と大幅減額に・・最初の勢いはどこへ、段々小声になっていきます。    二流:最初から原則通り「シングルマザーでは主婦の休業損害になりません」と、まったく請求してくれない先生がおりました。交通事故の知識は豊富で裁判例にも詳しいのですが・・法律やルールに従順過ぎるのです。依頼者にも初めから「裁判でも無理とされています」とピシャリ。相手担当者の提示を待つことはしません。確かに正しい知識からの賠償請求なので、スムーズに交渉は進みます。

 それでも、一言残したいと思います。本来、民事上の示談とは、(公序良俗に反しない限り)双方の合意があれば、どんな金額・条件でも問題ありません。それが法律や原則に沿わないものであっても、です。相手あっての交渉事ですから、まず相手側の考えも探る必要はあったと思います。ご丁寧に原則通りの請求・・杓子定規に感じてしまうところです。 続きを読む »

 小説のタイトルにもなりそうな題目ですが、交通事故の解決で大変に含蓄のある賠償交渉の話です。もちろん、行政書士は賠償交渉をしませんので、連携弁護士の報告を交え、シリーズでまとめました。    例えば、鎖骨の変形で12級5号が認定された案件で、その逸失利益を請求する場合、相手損保は「鎖骨の変形から、とくに将来の収入が減りませんので、逸失利益は0円ではないですか」との回答になります。確かに、被害者さんのその後の仕事や日常生活で、大きな障害にならないことが普通です。裁判例でも、とくに事情が無ければ、逸失利益0円がスタンダードなのです。  

 逸失利益・・・障害による以後の労働能力低下を金銭化したもの

   そこは、交通事故に秀でた弁護士は慣れたもので、「痛みや不具合の残存があり、自賠責保険の認定理由でも、それら症状を含むとされています。したがって、逸失利益は〇年に及びます」と反論、いくばくかを獲得するわけです。

 しかし、小規模損保社の担当者は、知ってか知らずか、最初から逸失利益を認めて、「12級だから逸失利益は10年ですね」と、相対交渉でくれたことがありました。骨変形で逸失利益が生じない原則を知らなかったのか、12級ならすべて10年、と勘違いしているのか・・12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」なら、確かに10年が相場です。

 東京海上日動さんであれば、鎖骨のみならず腰椎圧迫骨折でも、その逸失利益は0円回答です。医学的な資料や、骨変形による逸失利益を否定した裁判例まで用意して、否定の論陣を張ってきます。損保担当者のレベルの違いを感じるところです。    被害者の味方である弁護士さんも、レベルの差は歴然です。一流~三流で、以下のような差になります。   三流:12級が取れてよかった! 逸失利益を原則通り67歳まで計算して請求も、相手担当者の反撃にあい・・・今度は依頼者に対して、「骨変形での逸失利益は裁判でも認められないので・・慰謝料は増額させますが・・ゴニョゴニョ」とトーンダウン、依頼者に減額の説得をすることになります。

 これも弁護士選びの失敗例ですが、最初から原則通り逸失利益は取れない事が正しいと、まったく請求してくれない先生がおりました。交通事故の知識は豊富で裁判例にも詳しいのですが・・法律やルールに従順過ぎるのです。依頼者にも初めから「骨変形での逸失利益は無理です」とピシャリ。相手担当者の提示を待つことはしません。本来、民事上の示談とは、(公序良俗に反しない限り)双方の合意があれば、どんな金額・条件でも問題ありません。それが法律や原則に沿わないものであっても、です。杓子定規を絵に描いたような先生でした。    二流:骨変形での逸失利益獲得の困難さを知っているので、後遺障害診断書の自覚症状に、「痛みや不具合」を記載させ、自賠責保険にもそれを含めた認定であることを認定票に明記させます。変形だけではない、障害の困窮点をしっかり把握し、「神経症状も含んでいる」と、逸失利益の根拠を示して請求します。   一流:さらに上級者は、相手損保がどこであれ、後遺障害診断書の自覚症状に「痛みや不具合」が記載とされている以上、勝手な判断で忖度せずに、最初から逸失利益を請求します。前述のように、普通に支払ってくる担当者もいるのです。まさに、原則を知りながら、憎いまでに臨機応変な請求をするのです。  事実、鎖骨骨折後に痛み等が残り、苦しんでいる被害者さんもいらっしゃいます。秋葉事務所の連携弁護士達も、お互い事例研究や情報交換に余念なく、”原則を知りながら原則に固執しない”請求をしています。   

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【事案】

信号待ち停止中、後続車に追突され、負傷。直後から頚部痛、左手の痺れ等強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

ご連絡を頂いたときには事故から既に1年4ヶ月が経過していたが、相手保険会社が打ち切ることを忘れていたらしく、中途半端に回復が進んでいた。受傷機転は軽微だったが、通院回数がものすごいことになっていたため、ギリギリ14級認定はされるだろうと思いきや、2週間で非該当通知が届いた。   【立証ポイント】

症状固定後もリハビリを継続していたこともあり、初診時から直近時までも推移の書類を医師に依頼し、ご協力いただくことができた。しかし、通院期間が長すぎた弊害なのか「不変」に〇をしてはもらえず、全ての項目において「軽減」との記載しか頂けなかった。

それでも、症状の一貫性を取り繕い、非該当通知到着から1ヶ月も経たないうちに再申請したところ、1ヶ月も経たずに14級9号が認定された。今回の事案は通院先が1箇所しかなく、医療照会をするまでもないため、審査に時間がかからなかったのかもしれない。

(令和6年12月)    

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【事案】

自動車で交差点を直進中、信号無視で侵入してきた自動車に衝突され、負傷。直後から頚部痛腰痛等、強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

乗っていた自動車は自走不能でレッカー対応となったほどの衝撃だったにもかかわらず、なぜか保険会社が4ヶ月ちょうどで治療費を打ち切ってきた。また、主治医もそこまで重い症状だと思っていなかった。   【立証ポイント】

打ち切られてからは健康保険を使って継続することとなり、通院頻度やMRI検査の手配等、遠隔でサポートした。医師面談にて、主治医に後遺障害診断書の記載を依頼した際、非常に理解ある医師だったため、記載内容についても親身になってくださり、シンプルで好感度の高い診断書が完成した。

本件は治療費がそこまでかさんでいなかったため、後遺障害に加え、傷害部分についても請求、申請から1ヶ月も経たないうちに、14級の75万円と傷害部分の保険金が入金された。

通常、保険会社が半年間の一括対応をして、無事に後遺障害認定までいくような被害事故だと思われたが、「保険会社が嫌う職業」ということが、早期打切りという対応に繋がったのではないか・・と思ってしまうような案件であった。    保険会社が嫌う職業 👉 後遺障害診断書に無駄な記載 ②   (令和6年10月)  

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【事案】

自動車で信号のない交差点を直進中、左方から走行してきた自動車に衝突される。直後から頚部痛、腰痛等、強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

半年で治療費を打ち切られていたが、症状が残存しているということで、事故治療のまま半月以上、健康保険を使って継続していた。   【立証ポイント】

弊所での面談時に、① 後遺障害診断書を依頼すること、② 症状固定日を打切り日に遡って作成する旨を説明し、日程調整後に病院同行した。患者に協力的な医師のため、過剰な診断名までつけられてしまったが、大勢に影響はないものと判断(多少の修正は施したが)し、受け取った診断書を自賠責へ提出した。

不要な診断名の影響からか審査に2ヶ月以上かかったものの、なんとか初回申請で14級9号認定がおりた。「プランニングを見誤ると非該当まっしぐら」という状況であったため、いかに「14級9号」という認定が危ういものか依頼者自身がまざまざと感じる案件となった。

  (令和7年1月)   

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【事案】

信号待ち停止中、後続車に追突された。同乗していた家族2名と共に受傷した。   【問題点】

① すでに、別件の事故で通院中であった。異時共同不法行為での申請とした。

② 他の家族2名は14級が認定されたが、一人だけ非該当。   【立証ポイント】

異時共同不法行為での申請は正しい方策であったが、一人だけ非該当は納得のいくものではない。初回申請での必勝を期して意見書を提出済で、再請求に提出する書類は限られていた。そこで、秋葉流と言うべき家族の陳述書を付しての再申請とした。

提出した連携弁護士に対して、1回目事故の資料の追加要請があったが、無理くり認定をもぎ取った。14級認定の要素は・・担当者の印象に左右されると思う次第。

(令和7年2月)    

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