(4)損保の逆襲
兼業主婦は、その会社からの収入が1日あたり6100円(保険会社基準)ないし1万円(弁護士基準)に満たなければ、主婦休損で請求しましょう。かなり浸透した知識になったと思います。損保担当者でも親切な人に当たれば、そのようにガイドしてくれることもあります。
しかし、3カ月を超える通院で、実際の通院日数が60日を超えるような場合、保険会社基準でも366000円に上り、自賠責保険の上限120万円の内30%も食ってしまいます。治療費や慰謝料もこの120万円内で収めたいのです。もし、弁護士が介入すれば、休損は60万円を超えます。そうなると、1日あたりの金額を低減していくだけではなく、「そもそも主婦の休業損害が発生したのか?」との反論になるのです。
ここ数年の傾向、とくに東京海上日動さんの担当者から、「主婦休損で支払いますが、勤め先にも休業損害証明書を書いていただけませんか?」との要請が・・。主婦で請求するのですから、仕事先の証明書はいらないはず・・と思います。これは「仕事に復帰して働いているのに、家事だけ出来ないはずはないでしょう?」との、怒りのメッセージなのです。これって損保の言い分が正しいと思います。実際、この反撃から「主婦休損、減額止む無し」の件も経験しています。
このように、損保マンも日々学習していると言えます。ただし、中小損保や共済の担当者はそれなりですので、連携弁護士は復職した主婦でも、しれっと主婦休損・満額を請求、確保したことがあります。相手担当者の実力・練度をみての交渉が望まれると思います。 (5)主婦は奥様とは限らない
ハウスハズバンド(専業主夫)も珍しくなくなったと思います。弊所でも何例か経験しています。その主婦性の立証ですが、年に1回程度ご質問を頂きますので、以下、列挙しておきます。
① 実態
奥様が働き(常勤の会社員が望ましい)、ご主人が全面的に家事を担っている実態。当たり前ですが、この前提からスタートします。「髪結いの亭主?」・・得てして、ご主人の主婦性は疑われます。要するに「ヒモではないですか?(=単なる無職)」と毎度のように疑われるのです。かつて、家事負担の様子を事細かに文章にして説明したことがありました。奥さんを働かせ、日々パチンコ通いではないことを証明する必要に駆られたのです。
② 証明書
奥様の源泉徴収票、その配偶者欄に夫の名前があることは、真っ先に証明になります。この源泉徴収票や納税証明書で奥様の収入が家計を担えるほどあることを示す、とても有力です。これらは住民票の世帯主が奥様であることより有力と言えます。住民票の世帯主変更は、理由を問わず自由にできるからです。 ③ 家族構成を説明
最近の損保は、普通に奥様を主婦として請求する場合も含め、家族構成の一覧と役割を説明する書式フォームの提出を要請してきます。仮に、ご主人が主夫であっても、奥様以外で家計を担っている収入者が同居していることもあり得ます。すると、奥様が無職であれば、家事の担い手が二人存在することになりかねません。その場合、損保は主婦休損を1/2するなど、調整を検討することになります。 ◆ 兄弟間、同性愛カップル、ルームメイト・・・
基本的に、同じく上記①~③を用意して説明します。これらの皆様は、共働き&家事分担が多いので、主婦性証明の必要に至らず、実際のところ相談はほとんどありません。将来、同性愛カップルが法的に認知、婚姻制度の改正があれば増えるように思います。 (6)最後にシングルマザー
シングルマザーは主婦ではありません。シングルマザーはお父さんの役割になるのです。東京地裁・交通事故部(民事27部)他、各司法機関は、そう結論しています。したがって、単にお母さんの仕事の収入証明から請求することになります。
「どうして主婦ではないのですか!(怒)」、よく怒りのご相談をいただきます。主婦の定義とは、一家の稼ぎ手に対して家事を担う「内助の功」が必要とされています。シングルマザーはお父さん(稼ぎ手)とお母さん(家事)の両方を兼ねていますので、内助の功にあたらないことになります。納得できなかろうと、そういう事なのです。 ◆ とは言え、勉強不足の損保担当者も存在する
かつて、シングルマザーであっても、そのパート収入が6000円/1日だったので、主婦で請求したことがありました。この、連携弁護士の「しれっと請求」が成功しました。1日:10700円×50日を丸々獲得できました。後で、この担当者さんは上司から怒られたかもしれません。
対損保の交渉では、このようなことがしばしば・・主婦ではないことを解っていながら「しれっと請求」は、ある意味高度な交渉テクニックと思っています。一方、杓子定規な弁護士は、端から1日6000円で請求するのでしょう・・弁護士の実力が試される瞬間です。 参考 👉 勉強不足の損保担当者と杓子定規な弁護士 ③ ...





