いずれ、解決後に実績ページにまとめようと思いますが、先んじて。
頭部外傷のあった被害者さんですが、急性硬膜下血腫の診断名があり、高次脳機能障害が心配されるケースでした。幸い、ご自身の自覚やご家族の観察からもそのような兆候はなく、安心したものです。最新の画像所見も深刻ではなく、意識障害もありませんでした。もちろん、私共もあらゆる角度から障害を探しましたが大丈夫でした。そして普通に、脳損傷以外の骨折他で後遺障害申請としました。
脳外傷の診断名があると、自賠責保険・調査事務所は、自動的に2つの医療照会(病院宛、ご家族宛)をしてきます。障害が見逃されないよう、審査側のご配慮ですから、ありがたいものです。代理請求の場合は弁護士が、「高次脳は大丈夫です」と回答して済むケースも稀にありましたが、事務的に医療照会の書類に対応することになります。無症状の場合は、ほとんど白紙回答になります。毎度、「高次脳機能障害はない」と判断するまでのルーティンと思っています。
さて、本件の認定内容ですが・・・なんと、脳外傷を起因とする「局部に頑固な神経症状を残すもの」12級13号が認定されました。
仮に高次脳機能障害はなくとも、頭痛やしびれ、その他諸症状を診断書に書いて、12級13号を計画的に取ることはあります。しかし、本件は脳損傷が起因となる症状は一切なく、自覚症状欄にも記載はありません。脳外科の先生も「何も障害がなく良かったけど、なんで診断書書くの?」との怪訝な顔でした。対して私は「骨折部の知覚障害、醜状痕のキズ計測を書いて下さい」とお願いしました。
その結果、確実に骨折部や醜状痕に等級はつきました。一方、まったくの無症状ながら脳に出血痕があったことをもって、神経症状の認定がされたのです。後遺障害とは、まず自覚症状があってのものであるはず・・この前提と常識が崩れました。確かに、いくら自覚症状で訴えようと、画像所見や意識障害のない脳損傷など、MTBIも含め疑われて非該当となります(症状の信憑性さえあれば14級9号認定の余地は残します)。自賠責は常に、画像所見=確固たる証拠に拘るのです。本件はそのリバース版です。画像所見さえあれば、「障害はあるはずだけど?」と神経症状の12級をつけたのです。
どこまで、画像所見だけで判定するのか・・もはや診断名も検査結果も本人や家族の訴えなど、どうでも良いのか・・と思える結果だったのです。自賠責の判断と言っても、それは審査員=人の判断です。まるでAIが判定したような、この結果に(私だけかもしれませんが)少し驚いています。

↑ 急性硬膜下血種のMRI画像。本件はこんなに出血がひどいものではありませんでした。もっとも、これだけの血種なら、高次脳は必至となります。





