交通事故を契機に、肩関節の不調を訴える被害者が後を絶ちません。むち打ち・腰痛の次に多い症状かもしれません。 多くの場合、むち打ちを契機とした、いわゆる頚肩腕症候群の範ちゅうに入ると思います。40~50代が圧倒的に多く、若年層はほとんどいません。中高年ともなれば、体が硬く、頚椎にも年齢変性がみられ、首から肩にかけて過緊張の状態になっています。交通事故外傷以前に、中高年の4人に1人は何等かの症状を持っていると言えます。
さて、毎度、賠償問題となるのは、これらの症状が事故を原因とするものか否かです。保険会社は受傷の状況に不自然がなければ、およそ3か月の治療は容認します。しかし、それ以上となると・・「打撲・捻挫でいつまで通っているの(怒)」とは言いませんが、治療費打切りを切り出してきます。通常、打撲捻挫の類は消炎・鎮痛処置をすれば、1か月もすれば軽快するものです。3か月でも十分、それ以上は長過ぎると思うわけです。これは、単なる”保険会社の払い渋り”とは言えません。
しかし、3か月でも症状が治まらない被害者さんは、確かに一定数存在します。さらに、その一定数からも大きく2つに分かれると思います。一つは、頚椎捻挫から頚部の神経症状が発症したタイプです。これは単なる捻挫を通り越して、上肢のしびれを代表に、様々な不定愁訴(頭痛や吐き気、肩の重だるさ、その他不調でなんだか調子悪い)が半年から数年続くことになります。肩関節も痛みから動かさないので、関節が拘縮し可動域制限が残る方も含みます。これを、「90°までしか肩が挙がらない! 肩腱板不全断裂ですから!」と、10級10号の診断書を提出したら・・自賠責保険の怒り(非該当)を買うこと必至です。絶対に10級を認めないと思います。
このような被害者さんは、痛みの継続をもって、後遺障害14級9号「局部に神経症状を残すもの」の認定を受け、その賠償金を得て、長期間の治療・リハビリに備えるべきと思います。この程度(と言っても200万円~)で手を打つべきなのです。治らないからと言って、いつまでも保険会社と戦争すべきではありません。この解決の流れを作ることが私達の仕事でもあります。
もう一つのケースは、事故受傷を契機に頚部や肩の痛みは当然として、肩にそれ程のダメージがないであろう受傷状況から、「どんどん肩が挙がらなくなった」人です。先の説明、神経症状の一環とも思えず、いわゆる四十肩・五十肩、老化による自然な肩関節周囲炎の症状そのままです。この場合、事故受傷により、その衝撃から発症してしまう不幸なケースもあれば、実は事故前から不調だった、あるいは事故後から拘縮が進むケースですから、ケガと言うより年齢変性・運動不足による疾病に近づきます。事故との因果関係について、保険会社は当然に否定します。肝心の医師も判断に困ります。それがわかるほど、現代の医学は進歩していません。そして、賠償問題に関わりたくないので、患者と距離を置きます(逃げ出します)。
単なる打撲・捻挫、挫傷の類で、「肩が半分までしか挙がらなくなったのは事故のせいだ!」と保険会社と対峙しても、その争いは自賠責保険の後遺障害審査はもちろん、裁判でも負けると思います。骨折や脱臼、棘上筋断裂で手術でもしていれば別ですが、ズバリ、証拠がありません。その点、この問題をさらに複雑にするのが、医師の診断名です。半分も肩が挙がらないことのみをもって、「肩腱板断裂(損傷)」の診断を下してしまうのです。画像検査もなしに確定診断?は軽率に過ぎますが、そもそも町医者の先生に、MRI画像を正確に読影して頂くことなど高望みなのです。
独り歩きを始めた診断名(診断書)ですが、賠償問題で保険会社と争う段階になれば、「肩腱板断裂」→「肩腱板不全断裂」→「肩腱板損傷の疑い」と、だんだん自信喪失、薄まっていきます。本来、慎重な医師であれば、予想的な診断名を口にしません。肩関節の専門医にコンサル(紹介)します。その専門医も安易に断定しません。問診・徒手検査を経て、MRIやエコー検査の画像を基に丁寧に診断を下します。そして、たいてい「年齢変性による肩関節の拘縮ですね」となりますが。
このように、中高年にとって、事故外傷と(年齢変性による)諸症状の切り分けこそ、交通事故解決の宿命と思います。私達は日夜、被害者さん・保険会社・医師の3者の交通整理をしているようなものです。
かく言う、私も肩の痛みに悩まされています。私には無縁と思っていた(根拠のない自信)五十肩になったのでしょうか? この件はまた、後日レポートしたいと思います。

多くの経験値を誇るも、まだ未経験の症例や知らない事も多いのです

神経麻痺など難しい案件、どんと来い!
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自賠責保険は、その後遺障害の審査上、診断書の計測値を必ずしも真に受けていません。必ず、関節が曲がらなくなる理由を画像に求めます。つまり、画像上、骨が曲がって癒合した、関節面に不整が残った、靭帯の断裂が影響したなど、物理的に曲がらないことが確認できなければ、可動域の数値を疑います。もしくは、神経麻痺で動かない場合も、筋電図検査で数値を確認できなければ認めません。関節の角度だけで判断してはいないのです。
詳しくは、7年前の記事をご覧下さい。⇒
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継続治療のついでに膝の等級も上げときました
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治療中はストレスで太りやすいので、ケガの回復や健康の為にもよい事です

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当時の所属バンドは70年代のディスコソングをカバーする”Rosso Nero”でした。ドラムはプロデビューを目指して岡山から上京のO君、年齢詐称の怪しい素性でしたが、気のいい奴で誰からも好かれていました。
心配で翌日アパートを訪ねると、同居者から、「前日、交通事故で重傷、即入院した」ことを聞かされました。早速、病院に行くと、包帯でグルグル巻きのミイラ男が横たわっていました。「あ、こりゃダメだ・・しばらくライブはできないな」と覚悟しました。診断名は右鎖骨粉砕骨折だったでしょうか、あと、いくつか骨が折れていたようです。
O君は当初、痛みでひぃひぃ言ってましたが、しばらくすると右腕がまったく動かないことに気付きました。上腕神経麻痺を併発したようです。わずかながら手首・指先の自動運動できますので、正確には神経の完全断裂や引き抜き損傷のない不全麻痺でしょうか。リハビリ次第で、ある程度の回復の希望は残ります。それでもドラムの演奏は致命的、本人も「これで音楽人生は終わった」と・・。








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