今年の事故統計の上半期さえ出揃っていない中、まだ、データからの分析はできません。

 しかし、4~6月の4半期をみると、緊急事態宣言による交通量の激減、一部では自動車の走行量が70%減ったと言われています。すると、当然、自動車事故もその数字に倣って減ることになるはずです。しかし、重傷事故の数は一定、むしろ微増との記事をみました。⇒ コロナ渦中での交通事故件数
 
 最近では、拡大する感染状況から、医療関係者のコメントをよく目にします。ある医師はテレビで、「4~5月は救急搬送される交通事故患者が0人、そのおかげで、救急救命のスタッフをコロナ対策に回すことができた」旨の発言をしていました。この病院だけの傾向とは思えません。やはり、交通事故の被害者は一定期間減っていたのだと。そして、6月以降、発生数が回復傾向とはいえ、今年一年は昨年までの数字には到底及ばないでしょう。

 テレワークや出勤制限もありますから通勤災害はじめ、労災事故も当然に減るはずです。深夜営業の飲食店への規制は、そのまま、帰宅上のタクシー事故の減少にもつながます。先日、タクシー運転手さんも、「お客さんは半減どころじゃなく、1/3以下だよ」と嘆いていました。転職も検討しているとのことです。

 経済活動の低下、これは全体的にはよくないことですが、副産物として、交通事故を含むケガ人の減少という好転もあったのです。

 一方、秋葉事務所の相談数・受任数もこの傾向が如実に数字に表れています。とくに、新規の相談数は前年比の55%です。連携先、弁護士事務所に聞くと、やはり一定の減少は間違いないようです。それでも、うちの事務所に限ってある傾向が浮かんできます。それは、交通事故の最多傷病名でもある、頚部・腰部捻挫の類、いわゆるむち打ちの相談・受任の減少が明確ながら、重傷者の受任、あるいは後遺障害等級12級以上の受任数は変わっていないのです。軽傷・軽症者が減っていることは、世間の統計と同じ傾向と言えます。しかし、それ以上に、私達の助力がより必要な被害者さんとは、そのご縁が強いことを示していると思います。

 交通事故外傷・後遺障害に特化した事務所、そのニッチな取り組みが世に浸透していないことは通年のテーマです。今年のような交通事故数の減少期も、それは変わらないものです。今後も、私たちをを必要とする被害者さんに、声が届くようにしなければなりません。一層の工夫が必要ですが、目の前の被害者さん個々を確実に助けていくルーティンこそ堅持したいものです。

 営業的に、短期では宣伝力が物を言いますが、長期では実力が評価されます。年々の紹介の増加こそ、長い目で見た実力のバロメーターではないでしょうか。日々、間違いのない仕事を重ねていくこと、今後もコロナや災害等、世の中の影響を受けながらも、それは変わらないと思っています。