腰椎の骨折では圧迫骨折が多数例ですが、破裂骨折となると椎体の完全整復は困難、最悪、癒合不良となります。5つの腰椎のうち第4から第5腰椎が固定された、もしくは高度の不安定性を残す場合、前屈・後屈の可動域制限は必至となります。残念ながら完全回復は望めません。

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8級2号:第5腰椎破裂骨折(60代男性・千葉県)

【事案】

現場への移動で自動車に同乗中、高速道路で追突事故となった。自動車の前部は潰れ、しばらく自動車から脱出できない状態になってしまった。腰椎は破裂骨折、右下肢はダッシュボードに挟まれ、脛骨骨幹部、腓骨骨頭を骨折した。さらに、第2~5中足骨を骨折、リスフラン関節部脱臼を伴った。
緊急入院し、それぞれ手術で骨折部を固定した。1年にわたるリハビリでなんとか杖をついて歩けるようになった。

【問題点】

本人は「治るまで症状固定はしない」と、仕事へ復帰する執念をもっていた。しかし、腰の可動は失われ、右足へ全体重の荷重は困難であれば現場仕事は無理である。これだけ重傷であれば、リハビリは日常生活への復帰が限界、肉体労働は不可能である。したがって、後遺障害の認定へ向けて切り替えるよう説得を続け、納得した上で依頼を受けた。

【立証ポイント】

画像上、腰椎の癒合を確認するものの、不安定性は払拭できない。医師面談し、詳細に診断書内容を打合せ、続いて理学療法士と共に腰部、下肢の関節可動域を時間をかけて丁寧に計測した。受傷様態、癒合状態からすべての関節で「用廃」は確保できるので計測ミスを防ぐことに注力した。当然に腰の前屈・後屈は2分の1制限を計測、8級2号を確保した。結果として下肢の7級を併せ、併合5級となった。