3/1~2の土日で第4回 法律家のための交通事故 実務講座」が東京大手町で開催されました。
 今回は実戦力がテーマです。私も今回は講師を受け持つことなく、オブザーバーとして参加、とくにロールプレイングを一緒に実践しました。 研修内容について報告します。

 

外傷性頚部症候群

 
(1) ロールプレイイング「相談者の後遺障害は非該当?何級?」
 

 今までの座学研修と違い、参加した弁護士先生にロールプレイングに参加いただき、交通事故外傷の最大勢力である「むち打ち」被害者の相談に対応します。目的は相談に訪れた被害者の症状を観察し、診断書、画像から「非該当」、「14級9号」、「12級13号」をそれぞれ予断し、適切な対応をすることです。
 従来、多くの事務所は「等級がとれてからまた来て」としてきました。これからはこのような事務所に被害者は戻ってきません。交通事故の専門家を名乗る以上、後遺障害(等級)の予断、そして初期対応ができなければ失格です。なにより真の被害者救済とはなりません。
 

① 非該当やむなしの被害者

 
チェック ⇒ 治療経過、治療先を確認、神経学的所見・しびれ等の症状の有無、程度から後遺障害申請をせずに解決を目指します。すると多くの場合、問題は以下に絞られます。

アプローチ  ⇒ 治療費の確保、休業損害の請求、物損の解決。これら対保険会社への適切な対応、よどみない交渉への誘導が必要です。
 

② 14級9号が見込まれる被害者

 
チェック ⇒  神経学的所見の発現あり。そして症状、治療の一貫性、実通院日数を確認。主治医の性格等を聞き込みます。

アプローチ ⇒  MRI検査の実施、治療日数の確保、神経学的所見の記録・記載の確認。確実に14級を抑えます。
 

③12級13号を目指すべき被害者

 
チェック ⇒ 相当の画像所見の有無。画像と自覚症状に矛盾ない神経学的所見、なにより被害者の症状の深刻度を観察します。
 
アプローチ ⇒ 自覚症状+神経学的所見の検査+MRI画像の一致を後遺障害診断書に落とし込む。医師の協力が必須となります。
 

 この3パターンをマスターすれば、むち打ち被害者に対して「非該当」「14級」「12級」の識別と正しい対応が可能になります。

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 ロールプレイも3パターン実施