前日の被害者さんはその後どうなったのでしょうか・・
7、画像の請求のために医師に再度受診
保険請求に使いますので・・・、なんとか主治医の許可を得、画像の貸出を受けました。貸出料金は1枚500円。10枚ですので結構な出費です。
8、健康保険に開示請求
さらにレセプトですが、病院が出してくれないのであれば、提出先の国民健康保険に対し、開示請求しなければなりません。市役所の国民健康保険課を訪問し、開示請求関係の書類を記載します。しかし、さらに大きな問題が発生しました。
9、第三者行為による傷害届けが未提出だった
加害者のいる交通事故の場合、役所は相手からの賠償金(ここでは自賠責保険)が健康保険に優先されると考えます。本件は保険会社に打ち切られた後の健康保険使用なので、事故扱いか否か、これが曖昧な状態で病院にかかり続けました。今の今まで、健康保険使用に必要な届け出をしていなかったのです。そこで、数枚に及ぶこの書類の作成に奔走することになります。
10、添付書類にまたもや苦戦!相手への誓約書・・・
誓約書は加害者側が署名するものです。加害者本人と相手保険会社に署名をお願いしましたが・・・最初からなしのつぶて、まったく協力してくれません。「すでに賠償としての治療費は打切りです。その後の治療に責任は持てない。」と言われました。役所にはそれを説明し、事情により誓約書は免除してもらいました。役所では相手に打診し、拒否されてやっと誓約書の割愛を認めるルールとなっています(※)。
※ 令和7年、誓約書の廃止を確認しました 👉 健康保険の「第3者行為による傷害届」、誓約書の存在
11、ようやく追加書類の提出、そして結果は?
症状固定から書類の収集・作成・提出で半年も食ってしまいました。その後、ようやく自賠責から結果が届きました。
残念ながら接骨院中心の治療(正確には施術)だったので「非該当」です。したがって、相手の任意保険会社は、後遺障害保険金は当然、健康保険使用後の治療費や休業損害も一切認めてくれません。書類集めにかかった費用もほとんど認められず、膨大な時間とお金が無駄となりました。
12、通院のみの傷害慰謝料では・・
ここで、弁護士に賠償交渉を依頼すべく相談しましたが、どの弁護士も「等級認定は難しい・・」と。そして、「半年間の傷害慰謝料では弁護士を立てても経済的効果がないので・・」と受任に消極的です。
こうして、今までの努力はむなしく、泣く泣く二束三文の慰謝料で相手保険会社と示談です。
お気づきと思いますが、この被害者さんにおける賠償交渉は最後の11、12のみで、受傷から症状固定、後遺障害認定までの作業のほとんどは「書類集積」に費やしています。本記事のテーマがお解りですね。交通事故の厄介なところは書類集め=証拠集めであり、それが事故相手以外の様々な機関が介在するが故、非常に大変な作業になるのです。とくに本件の被害者さんは、本人の責任というにはあまりにも不運、各局面で面倒な方向に進んでしまいました。本例は、すべての交通事故被害者にとって他人事ではないのです。
いつも主張する「受傷直後から相談に来て!」は各局面で間違った選択をさせないよう、初めての作業で苦労をしないよう、私たちが寄り添って各機関と折衝し、スムーズな解決へ誘導するためです。そしてある意味、賠償交渉以前に、この初期対応の成否が勝負の決め手となるです。
初めての事故、運が悪ければ誰しも間違った方向へ進みます。もめてから相談、行き詰ってから弁護士に・・・これでは手遅れになることがあるのです。
結論ですが、交通事故の依頼をする際は「初期対応」を約束してくれる事務所を選んで下さい。契約前に、初期~後遺障害申請までの手続きに対して、積極的に取り組んでくれるか、逃げ腰ではないか、無駄な作業だと言っていないか、難しい事を言ってごまかさないか、しっかり質問をしてから判断して下さい。多くの弁護士は最後の賠償交渉の時まで、待っているだけになりますので。





