交通事故被害者の損害で、携行品損害と言う部門があります。身に着けていた洋服やバックはじめ、時計やアクセサリーを含みます。もちろん、スマホやイヤホンなどもです。これらが交通事故で壊れたり、キズが付けば、しっかり見積と写真を提示して、できれば実物を提出して、賠償請求することになります。また、国内・海外旅行保険や傷害保険に携行品損害という項目で加入できます。
しかし、携行品の損害について保険会社は、まず疑います。どうしてキズが付いたのか、納得のいく事故状態や合理的な説明がないと、容易に損害認定しません。歩行中、車に跳ね飛ばされて路面に叩きつけられた場合は、当然に時計や眼鏡も割れるので、疑われることはないでしょう。しかし、自動車搭乗中、追突を受けたり、出会い頭で衝突した場合、自動車に相当の損害が無い限り疑われます。これまでに聞いた例を列挙しますと・・
・自動車で走行中、交差点でバイクと衝突、その時、ダッシュボードに腕時計(ローレックス)をぶつけて割れた。事故から2週間後に気付いて、保険会社窓口に提出してきた。・・・事故直後、時間(時計)を見なかったのでしょうか。
・自動車の運転中に追突され、その衝撃で指輪をハンドルにぶつけて、ダイヤに傷がついた。・・・自動車はバンパー交換程度の損傷です。ハンドルのラバーに擦ってダイヤに傷がつくものでしょうか。
・自動車の運転中に追突され、乗っていた家族4人のスマホがすべて壊れた。・・・車の修理費はさほどではありませんが、鞄やポケットに入れていた4台のスマホ全てが壊れる?相当な偶然です。
・近所のコンビニに行く際、ひき逃げにあい転倒、ケガは大したことはなかったのですが、シャネルのスーツ30万円が汚損・破損しました。傷害保険の携行品損害に請求してきましたが・・・保険会社は「コンビニにお茶を買いに行くのに、シャネルのスーツでは行かないでしょう」と。
これらはすべて疑われました。保険会社に請求後、数か月経っても支払う様子がありません。請求者が強硬に支払いを求めても、担当者は「損害調査中です」の一点張り、支払うとも支払わないともはっきりしません。業を煮やした請求者は、「弁護士に依頼する」、「訴訟するぞ」と迫りますが、担当者は「結構ですよ」と。保険会社はむしろ、裁判沙汰にして欲しいかのようです。
保険会社は顧問弁護士を立てて戦う気満々なのです。なぜなら「勝てる」からです。訴訟に上がっても、請求者の示す乏しい証拠や、破損に至った状況や経緯をみて、裁判官も保険会社に軍配を上げると思います。そもそも、請求者がこのような負け戦を弁護士に相談しても、まともな弁護士なら受任しません。まさか本人訴訟などもしないでしょう。本当に裁判になることなど少なく、多くはあきらめて請求を引っ込めるようです。
おまけとして、このような請求者は、保険会社も要注意人物としてリストアップするだろうと想像します。職業的な詐欺者・集団と違い、一般人が「詐欺サイト」で手口を学んで、これらの不正請求をするようですが、保険会社は毎度の手口としてお見通しです。チョイ悪感覚の保険詐欺など、堅気の衆はやめるべきです。社会的信用を失うだけだと思います。 ちなみに、4例目のシャネルのスーツ、この件は私のかつてのお客様でした。保険金詐欺などするわけもない人であることを承知していました。私(代理店)は疑わず、丁寧に前後の経緯と、事故状況を示して、担当者に信じてもらい、無事に支払いを受けられました。 ・・実は、友人の結婚式2次会の帰りでシャネルを着ていたのです。そのご友人の協力で、当日の集合写真(確かにシャネルを着ています)を提出、さらに「○子は本当に着ていました。○子の勝負服です」と、余計な情報も含めた陳述書を書いていただきました。経緯についても、”お酒を飲み過ぎたので、家に荷物を置いて着替えずにお茶を買いに行った”、さらに、その時間はイケメンの店員がいるので…など(私も余計な情報を入れてしまいました)、丁寧に説明したものです。

当たった人に対して誰も賞賛などしません。あるのは「嫉妬」だけです。親しい家族も豹変します。必ず、親兄弟・親戚から「お金を貸して」と言ってきます。友人は「奢れ」とたかってきます。断れば関係に亀裂が入ります。例え、おすそ分けをしても、「なんだ、たったの○万円だけか」と、半分ほどまであげないと文句が残ります。皆、不機嫌になるのです。
これは、交通事故被害者にもあてはまります。かつて、脚がズタズタに骨折した被害者さんがおりました。切断は免れましたが、一生片足が不便のままです。入院中からリハビリまで、奥様はもちろん友人まで、色々と助けてくれました。今後も家族の補助は続いていくでしょう。
最初は、気の毒な被害者だったのです。
ところが1年後、この被害者さんの人生は激変します。後遺障害は5級レベルで数千万円の賠償金をとりました。ついで身体障碍者手帳を取得し、大手会社に障害者雇用として就職しました。軽易な業務ながら、中々に良い給与をもらえます。賠償金でレクサスを購入し、高級腕時計を身に着け颯爽とドライブ、高級宿に障害者割引で頻繁に旅行です。それを見た友人は、「あの時、色々と助けてあげたのに、お見舞い返しのタオルしかもらっていない・・」と不満を漏らします。友人が一人、また一人と離れていきました。
タイトルの通り「それは相手保険会社にやらせるべき」と考える被害者さんは、言わば加害者に任せて白紙委任していると言えます。どうしても、被害者意識から「何でもかんでも加害者が負うべき」と考えてしまうのでしょう。それは間違いです。自らの損害を明らかにして主張する=立証こそ、被害者の役目なのです。「立証責任は請求者にあり」、民法でもそうなっています。
被害者さん達にとっては酷なようですが、自ら診断書はじめ書類に責任を持つべきです。人任せではなく、せめて後遺障害診断書だけでも自分で取得し、内容を吟味すべきです。そして、後遺障害の審査に際しては、被害者請求の流れが望ましいと思います。
いつだって、人任せとは責任と権利の放棄と心得るべきです。



そして、最も厄介なものは、「感情」です。ある日、交通事故被害で理不尽な目にあった被害者さんの怒りは、事故以来、詫びにも来ない加害者ではなく、保険会社にぶつけるしかありません。担当者の電話での口調や態度で、その怒りは心頭に達します。ついつい、激しい口調になるのが人間です。しかし、相手も人間です。よく、被害者さんの相談から、「保険会社担当者の態度が悪い」との相談を聞きますが、実は、その原因は被害者さんの口調にあることが多いようです。担当者を、「お前」呼ばわり、「ふざけるな!」などのライト暴言、「あんたじゃ話にならない、上の者をだせ」、「女じゃだめだ、担当者代われ」・・・これを言われた担当者は、紳士路線を捨てて、合わせ鏡の対応に切り替えるでしょう。担当者だってアウトレイジ化するのです。
② それでは、自営業の方は?
20年ほど前に、「対物全損差額費用」(対物超過費用など)特約ができたおかげで、加害者がその特約に加入していれば、どうしても修理して乗りたい被害者さんには、50万円を限度に時価額を超えてかかる修理費を出してくれます。法律の原則を特約でカバーする、この柔軟な特約のおかげで先のバトルは減ったと思います。
さらに、20:80など、被害者側にも過失がある場合は、より硬直した態度です。各社口をそろえて、「過失がある場合は代車代を支払いません」と言います。これは、業界で口を合わせていることは明確です。普通に考えて、「修理費で相手の責任分(例えば過失80%)しか出さないのはわかる。だったら、代車代だって過失分だけでいいからもらえないの?」と言いたくなります。
私達に任せて!



交通事故被害にあってケガをした場合、入院や通院の費用を加害者に請求することになります。支払いは多くの場合、加害者加入の保険会社になりますが、その費用が妥当か否か、つまり、過大請求ではないかを当然に検証します。その検証すべき根拠は第一に診断書になります。細かい費用項目は診療報酬明細書を確認します。これらの診断内容から支払いに移りますが、素直に支払われないことが往々にあります。







