障害部位が多い!!・・治療も大変ですが障害の立証・申請作業も膨大です。余すところなく丁寧に検査を進め、完璧な後遺障害診断書を作成し、漏れなく申請書類を揃える必要があります。一方、治療の現場では手術やリハビリの優先順位があり、それを把握した上て立証計画を立てなければなりません。

 本件は四肢中、両上肢・片下肢の重傷ですので気の抜けない作業となりました。幸い受傷初期からの受任でしたから、的確に病院同行・医師面談を重ね、検査を追加し、当初の予想を超える障害数の認定に導くことができました。私も大変でしたが、審査側の皆様も通常の3倍の作業量だったと思います。ご苦労さまでした。

下肢の認定はまた後日に   

9級相当:左橈尺骨遠位端骨折(40代男性・埼玉県)

【事案】

通勤でバイク運転中、交差点で左方からの一時停止無視の自動車と衝突したもの。両手首は粉砕骨折し、左股関節の後方脱臼を伴う骨折、さらに左高原骨折・内側側副靱帯損傷も重なり、まともな四肢は右脚のみとなった。長期のリハビリを余儀なくされた。 続きを読む »

 後遺症となった被害者さんと会うことも無く、電話で話を聞くわけでもなく、ただ、診断書類だけで判断する書面審査・・・時にはびっくりするような判定が帰ってきますが、8割方は「よく見ているなぁ」と感心しています。

 むち打ちに代表される打撲・捻挫は他覚的所見、医学的な証拠は乏しいものです。数値・データから判定<審査員の判断、ではないでしょうか。以下の例、治療経緯や結果もややイレギュラーなパターンと思います。

”人”が審査するものですから  

14級9号:頚椎捻挫(30代女性・東京都)

 

併合14級:頚椎捻挫・肩部痛(40代男性・茨城県)

 

ムチウチの後遺症の立証をする為には続きを読む »

 相談会で嘆息、「普通、これだけのケガなら12級以上は楽勝」なのです。同様の診断名で併合9級となった被害者さんも少なくありません。

 本件被害者さんの治療努力と中途半端な症状の残存を考えれば、14級程度では到底納得できないものです。あと数ヶ月、症状固定が早ければ・・など後悔しても仕方なく、むしろ、良好な回復は喜ぶべきことで、ご本人の治療努力こそ称えられるべきです。それでも、難易度が高騰した12級を目指して、策を講じました。

根性のある被害者さんこそ応援したいのです!  

12級6号:鎖骨骨幹部・肋骨骨折(50代男性・神奈川県)

【事案】

自転車で走行中、対抗自動車がセンターラインオーバーし、衝突を受け受傷。鎖骨・肋骨を骨折、さらに下肢は大腿骨を骨折した。通常、複数の後遺障害が視野に入るはず。

【問題点】

本人の「障害など残さない」強い意志から骨癒合後も懸命のリハビリを続け、明確な後遺障害等級に至らない状態で相談会に参加された。下肢には可動域制限などの機能障害はなく回復。肋骨の癒合状態は裸体でわかるほどの変形はなく、鎖骨の癒合も変形なく良好、わずかに肩関節の挙上に難儀があった。ただし、これも鎖骨骨幹部骨折からでは(肩関節への影響は少ないもので)説明が難しい。 続きを読む »

 神経の断裂等、不可逆的なものを除く神経障害は大別して、関節可動域の低下・筋力の低下となる「運動障害」と、しびれや感覚異常・低下を起こす「感覚障害」です。医学的にはそれ程単純でなく、正確に説明するには、まったく紙面が足りません。本件でも、意見書の作成のため、新たに専門書を購入することになりました。

 しかしながら、知識だけではダメです。障害の立証を目指すも、実際に専門的な検査に辿りつくのは容易ではありません。被害者さんを検査誘致できる医療ネットワークがなければ、知識も絵に書いた餅でしかないのです。秋葉事務所は豊富な病院情報を集積しています。その集積と医師の協力を引き出す技術によって、交通事故に限らず、本件のような傷害事件も含め、あらゆる障害の立証に力を発揮しています。

日々勉強(知識)と病院開拓(ネットワーク)です!  

個人賠償 14級9号⇒12級13号:上腕骨顆上骨折・正中神経障害(10代男性・神奈川県)

【事案】

公園で遊んでいる際、関係のない他の子に腕を引っ張られ受傷した。骨折部の癒合が進むが、しびれ、感覚麻痺、握力の低下が残存した。

【問題点】

相手方の親御さんに個人賠償責任保険の加入があったのは幸いも、相手方は単なる子供のケンカとして無関心、保険会社もケンカ両成敗=五分五分の責任と回答してきた。また、上肢の障害も軽度の神経症状と判断され、14級9号相当の回答がきた。確かに、診断書も記載ミスが散見され、症状の原因に踏み込んだ内容ではなかった。

【立証ポイント】

不当な対応にご両親は憤慨、相談会に参加された。上肢の骨折部のレントゲン、MRIを丹念に確認も明確な異常は見出せず、3DCTと神経伝導速度検査の実施を提案した。神経伝導速度検査の結果、とくに「SCV(感覚神経速度)に著明な遅延」との所見から、「正中神経障害」の診断名を確実にした。新たな検査結果を付して主治医に診断書の修正を依頼、これらの資料を基に詳細な意見書を作成して、連携弁護士に託した。

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 鎖骨の骨折・脱臼で後遺障害等級を取りこぼしている被害者さんは、全国に相当いるのではないでしょうか。

 本件は、ご本人が依頼した事務所に頼るも「非該当」となり、実は頼りない専門家とわかり、弊所に切替えて頂いたので命拾いしました。傷病名や症状によって、正しい立証方法というものが存在するのです。

 本件は、連携弁護士により、賠償金は数百万円単位で引き上げられるはずです。最初の事務所のままでしたら、それだけの損失を被ることになります。   令和になっても鎖骨は取りこぼしません!  

非該当⇒12級5号:肩鎖関節脱臼(30代男性・山梨県)

  【事案】

バイクにて走行中、左の脇道から出てきた車と衝突して負傷。別事務所の主導により、事前認定で後遺障害申請をするも、結果は非該当であった。

【問題点】

後遺障害診断書は、変形よりも「醜状痕と可動域制限」が主となっており的外れ、自覚症状についても一致しておらず、内容がちぐはぐであった。また、救急搬送されているにもかかわらず、「物件事故」扱いとなっており、全体的に疑問が多かった。

【立証ポイント】

主治医が既に転勤しているため、元勤務先の部長の診察を予約、面談となった。医師に今回の趣旨を説明し、両肩の写るXP撮影を依頼した。予想通り、XPにて関節の隙間が広がっていることを立証することができた。さらに、外見からも鎖骨の出っ張りを照明の加減を調整して撮影。内外両面から変形の立証を果たした。 続きを読む »

 こんにちは、金澤です    今日は交通事故被害に遭われた方にも多い、鎖骨の骨折について記事にしていこうと思います。

 整骨院では、鎖骨に限らず骨折直後に来院してくることは殆どありません。あったとしても、おばあちゃんが「さっき転んでから手が痛いの」 →コーレスじゃないですか!

 おばあちゃんが「朝起きて息したら痛い」 →おばあちゃんは寝返りや咳するだけで肋骨がイってしまう。 等々です。

 肋骨は、整形にいっても何もする事はないですが、一応は整形に送ります。ですので、整骨院に来る方としては、半年前に骨折をして治ったけど、どこどこが痛い。など訴えて来院されます。そして本題の「鎖骨骨折後、せおうことになる痛み」。鎖骨というのは、沢山の筋肉が着きます。 一つの骨につく筋肉の数で言うと上位です。

・三角筋  ・僧帽筋  ・大胸筋  ・胸鎖乳突筋  ・鎖骨下筋

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 今更のことですが、自賠責保険の後遺障害は、原則、診断書に書かれたことしか審査しません。医師がおざなりに書いて、うっかり記載漏れ、的外れの内容・・このような診断書で被害者の運命は左右されてしまいます。誰かが気付かなければ、等級は薄められてしまうのです。

 とくに、事前認定の場合、相手損保の担当者は診断書の内容など責任も興味もなく、忙しい中、渋々右から左へ、審査書類を転送するだけです。その点、被害者請求者は書類の収集・精査を、被害者自身、あるいは依頼した業者が担うので、慎重度が高まります。なにより、責任を持った審査に望むことができ、審査の透明性が確保できるはずです。

 本例では、診断書の記載がまずかったこともありますが、自賠責も非常に冷たい審査をしたと思います。稀に、親切な担当者なら、医療照会で医師に症状を正してくれたかも・・いや、重傷案件ならまだしも、等級が上がるようなこと(=余計なこと)は基本しません。連携弁護士による被害者請求で、ようやくしっかり見てくれた結果です。

だからこそ、私達の仕事があると言えますが・・

非該当⇒14級9号:上腕骨顆上骨折 異議申立(40代男性・山梨県)

【事案】

原動機付自転車にて走行中、交差点にて右折してきた車に衝突され受傷。事前認定で後遺障害申請をするも、結果は非該当であった。

【問題点】

上腕骨の癒合を待っていたが、不全癒合が続き、偽関節化してしまった。腸骨移植手術を受け、事故から4年後に症状固定となったが、自覚症状には骨採取した腸骨についての記載のみであった。診断書のお粗末さも原因の一つだか、自賠責は簡単に判断してしまったよう。 続きを読む »

佐藤、今日はバッターです。

 日本ハムファイターズの清宮幸太郎選手が怪我したことで一躍有名になった「有鉤骨」ですが、交通事故においては、傷病名として目にすることが少ないと感じています。手根骨の骨折は手関節機能に影響を及ぼしますが、有鉤骨についてはほとんど影響がありません。その為、14級9号を前提に進めていくことが望ましいと考えますが、様々なケースを考えてみましょう。

有鉤骨とは8つの手根骨の一つです 

 まず、有鉤骨とは手根骨と呼ばれる手首の8つの骨のうちの一つであり、薬指・小指の下に存在する骨です。主にスポーツで負傷してしまうことが多いでしょう。野球のバッティングやゴルフ、テニスのスイングで骨折することが多いようです。負傷の原因としては、外力によるものと、蓄積したダメージによるものに分かれます。交通事故は前者ですね。交通事故の場合には、バイクや自転車のグリップによって、転倒した際に地面に手を付いた等、骨折の可能性があります。症状は「腫れ」、「痛み」、「熱」が強くなると言われていますが、具体的には小指の痛みや痺れがひどくなるようです。ひどい場合には、握力低下や小指の可動域にも影響が出るとも言われています。

 治療法としては、他の骨折同様に「保存療法」と「手術」に分かれます。保存療法では、ギプス等で小指までしっかりと固定します。(有鉤骨には「短小指屈筋」と「小指対立筋」という小指を動かす筋肉がくっついているので)一方、手術では、「接合術」と「摘出術」に分かれます。「接合術」は、ネジを使って固定します。しかし、手根骨全般に言えますが有鉤骨は血流が悪い為、癒合がしにくいという点からこの手術はあまり一般的ではないようです。「摘出術」は、骨片を除去します。癒合を待つ必要が無い為、リハビリの開始時期も早めることが可能となります。    有鉤骨骨折により、小指に可動域制限が残存した場合には、13級6号「1手の小指の用を廃したもの」に該当する可能性がありますが、小指対立筋と短小指屈筋の損傷等を明らかにする必要があるでしょう。そうは言っても非常にハードルが高い為、14級9号認定となるケースが多いようです。    

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 その代表が、鎖骨の変形ではないでしょうか。

 例えば、交通事故で鎖骨を骨折し、癒合部が変形で盛り上ることがあります。あるいは、肩鎖関節が脱臼し、肩鎖靱帯や鳥口肩鎖靱帯が伸びてしまった為に、肩峰と接合する鎖骨遠位が盛り上る、いわゆるピアノキーサインとなることがあります。

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 久々に賠償論を

 「同じ等級でも最後に貰える賠償金がこんなに違うの!?」

 相談会に参加される方から、このようなお声をよく聞きます。今回は疼痛の残存である12級13号と、可動域制限である12級6号(上肢)、12級7号(下肢)の遺失利益について比較・説明します。

(例)Aさん(男性30歳 会社員 年収400万円)は横断歩道を歩いて渡っていたところ、前方不注意の車にぶつけられ、救急搬送。「左足関節脱臼骨折」と診断され、固定術が施行され約2週間の入院。その後、月1回の診察とリハビリにて経過観察中です。(過失はありません)

 さて、このような場合、今後どのように進めていけばいいでしょうか?

⇒ 答えは簡単です。まずは完治を目指して治療に専念しましょう。誰だって後遺症は残したくありませんから、一生懸命リハビリを頑張るでしょう。最初から後遺症を目指す人などいませんし、それは良いこととは思えません。(後遺症に特化した弊所が言うのだから信憑性がありませんか?(笑))後遺症に特化した弊所も最初から後遺症を狙うようなことはしません。但し、治療と並行して元に戻らなかった場合に備えることも重要です。    先の例の続きですが、骨癒合の経過もよく、事故から半年後に抜釘手術が施行されました。現在の症状としては、「まだ痛みが残っており、痺れや触った感覚も正常の右足と比べると鈍いように感じます。足首の曲がり具合も正常な足の半分程度は動くようになりました。」  さて、事故から半年が経過して良くなってきてはいるが、元には戻っていない。保険会社からも治療費についてはなにも言われていない。このような場合にどうしますか?

 ⇒ 色んな選択肢があると思いますが、弊所では迷わず症状固定に進みます。もちろん、症状固定してから治療費は一切出なくなりますが、その分メリットもあります。Aさんのお怪我と残存症状からすると足関節の可動域制限(12級7号 正常値の3/4制限)が認定される可能性が極めて高いと思います。12級7号が認定された場合には、逸失利益を相場である67歳まで請求・交渉しますので、Aさんの場合には37年(中間利息が引かれますが)となります。    一方、治療費は一切出したくないので、まだ事故として治療を続けます!と意気込んだAさんは、その後3ヶ月リハビリを行い、可動域も少し回復しましたが痛みや痺れ、感覚の低下はやはり元には戻りません。主治医からも症状固定を打診されたので、後遺障害診断を受けました。可動域は背屈15°、底屈40°で12級7号の対象ではなくなってしまいました。Aさんは12級13号が認定されたので、弁護士に示談交渉の依頼をしました。

 このAさんのような解決方法はよくあることですが、ここで号数による差額を計算してみましょう。(今回は遺失利益のみの差額を計算します)   <12級13号の場合>

年収400万円×労働能力喪失率14%×10年に対応するライプニッツ係数7.7217=432万4152円

<12級7号の場合>

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 骨折しても、予後の経過がよく、骨癒合を果たし、ほとんど完治するケースもあります。医療の進歩も日進月歩、プレート固定術の技術も向上していますので、むしろ、変形や機能障害を残すことは減っています。それでも、骨折で人体に高エネルギーの衝撃を受けたわけですから、数年は痛みはもちろん、何らかの不具合は残るものです。

 問題は、臨床上、医師は「後遺症無く治った」と判断することです。医師もある程度の不具合は残っても、それは完治の範囲、後遺障害が認定されるとは思わないのです。そこで、私達のようなメディカルコーディネーターが病院に同行し、医師の理解を促す、つまり、後遺障害診断書の記載を求める作業となります。

 医師は一生懸命、治療努力をしてくれたのです。医師への感謝と尊敬を持ちつつ、後遺障害認定のお手伝いを乞う・・・これも、後遺障害立証の困難の一つです。

患者1人で医師と折衝するのは難しいものです

14級9号:橈骨遠位端骨折(50代女性・埼玉県)

【事案】

原動機付自転車で、信号のない交差点に進入したところ、左方から来た自動車に衝突され転倒、手首を骨折した。直後から手の痛みやしびれ、強烈な神経症状に悩まされる。 続きを読む »

 むち打ちでの異時共同不法行為はたまにありますが、手関節捻挫のケースは珍しいと思います。異時共同不法行為とは、同じ箇所を1回目、2回目と2度の別の事故で痛め、後遺障害となることです。後遺障害は1回目+2回目の連続した事故で残ったもの・・としますので、前後の賠償義務者が後遺障害についてのみ按分して賠償金を負担することになり、賠償交渉がややこしくなることを防いでくれます。

 このように自賠責には特殊な認定方法があり、意識的に活用することで、後の解決の道筋を整理することができます。

自賠責特有のルールです

併合14級:手関節捻挫(50代女性・埼玉県)

【事案】

自動車運転中、直進道路で後続車の追突を受ける。通院を継続していたところ、再び追突事故に遭う。

【問題点】

ふたつの事故により、同じ個所をそれぞれ痛めたと相談に来たが、1回目事故では頚、腰部痛、手関節痛を認めていたが、2回目の事故は診断書上、手関節について途中から診断されているように記載されていた。なお、事故はそれぞれ別々ではあるが、同じ医師が治療していた。

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 鎖骨の変形が認められる条件は、外見でわかる変形です。

 肩鎖関節の脱臼で、鎖骨がポコッと飛び出てしまうことがあります。これは鎖骨と肩峰を繋ぐ靱帯が、引っ張られて伸びてしまったことから生じます。これをピアノキーサインと呼んでいます。その程度が深刻でなければ、手術をしてまで治しません。しかし、激痛はもちろん、肩関節の可動域制限が残ることもあります。変形については、鎖骨の左右差から判断します。

 ここでの問題は、ふくよかな人の場合、レントゲンでは鎖骨が上方に転位していながら、つまり、変形がありながら、外見に表れないことです。皮下脂肪で隠れてしまうのです。このような依頼者に対して秋葉事務所では、12級5号のためのダイエットを指導します。症状固定日まで、適時、電話で進捗を伺います。本件の依頼者さまも良く頑張りました。今までもきわどい例について、10人を越える鎖骨変形認定者=ダイエット成功者を輩出しています。

 かつて、このような等級認定への誘導に批判を頂いたことがあります。保険会社側にしてみれば、確かに恣意的に過ぎるかもしれません。しかし、よく考えて下さい、実際に事故外傷で鎖骨は上方転位しています。それが、たまたまその時点で太っている故に外見上目立たないだけです。将来、痩せて障害が外見上現れた場合、痩せたことを悔い、後遺症の泣き寝入りを容認すべきなのでしょうか?

 障害が改善するのか悪化するのか?先の事は誰もわかりません。だからこそ、後遺障害のジャッジは症状固定日の状態で決めているのです。反論もあるでしょうが、アキバ式ライザップは、障害の誇張ではなく、障害を可視化・顕在化しているのです。       治療中はストレスで太りやすいので、ケガの回復や健康の為にもよい事です  

併合11級:肩鎖関節脱臼(60代男性・福島県)

事案】

自転車に搭乗中、青信号で交差点に進入したところ、右方向から来た信号無視の車の衝突を受け受傷。

【問題点】

画像ではあまり分からなかったが、患部を触ってみると、確かに肩鎖関節の脱臼により肩鎖靭帯が伸びている可能性が伺えた。しかし、元々ふっくらとした体形であった為、鎖骨の変形が全く外見上に表れていなかった。可動域制限もあったが、早期の相談だったため回復の余地があった。また、主治医が鎖骨の変形を後遺症と思っておらず、診断書作成についても後ろ向きであった。 続きを読む »

 1年に2~3件は、審査を間違えたような認定に出くわします。それは、実態よりも軽く判断されることだけではなく、重めの等級が付いてしまうことも含みます。秋葉事務所でも、疑問の残る認定を今年上半期で既に3件カウントしています。

 もちろん、自賠責も労災も厳密な基準が存在し、また、微妙な案件については、自賠責は専門部会があり、13級以上の認定となれば、全件ではないようですが、上部審査を仰ぐことになります。この内部的な基準や審査過程は非公表なので、推察するしかありません。労災は顧問医の診断がありますので、書面審査を原則とする自賠責に比べて、やや安心感をもっています。

 冒頭に戻りますが、明らかな骨折等の器質的損傷があれば、明確な基準に当てはめやすいと思います。しかし、頚椎捻挫などによる神経症状は、客観的な数値がありませんので、症状の一貫性など、全体的に信憑性を判断します。しかし、これもどちらともいえない微妙な判断を強いられる案件もあるはずです。その場合、やはり、審査員の裁量如何になってしまうと思います。年間5万件ほどの14級9号認定に、より精密な調査・審査をすることに限界があります。これ以上、多くの人員や時間を割く事は不可能だと思います。恐らく、14級9号が一番、審査員によって、判断がぶれると思っています。

 その他、鎖骨の変形の判断も、やはり、基準は明確な左右差としていながら、微妙な差の場合は、判断する人の主観に委ねられます。醜状痕なども、○cm以上との基準がありますが、前提として「目立つか否か」を検討しますので、審査側の判断や面接官(1名ではなく、2名となっていますが)の主観で分かれることが少なからずありました。

 高次脳機能障害の等級判定も、専門的な審査会の合議を経ていますが、障害の実像を1、2、3、5、7、9の6段階で判別することは決して簡単ではないと思います。診断書はじめ、各種検査データ等、提出書類の充実が明暗を分けます。しかしながら、これら書類は自動的に集まるものではなく、医師も完全に把握していません。審査側も、審査上欠かせない書類は追加要請してくれますが、親切に提出すべき書類を教えてくれるわけではありません。したがって、主張していないこと=書面化していない障害は「存在しない」ことになります。ですから、私達のような業者が必要であるとアピールしています。個人的には、自賠責側が被害者さんとご家族に面接する必要性を感じていますが、これも、人的・時間的に不可能でしょう。

 人が審査する以上、このようなジャッジのぶれは仕方ないと言えます。ただし、その結果、数十万~数百万円の賠償金をほとんど決定してしまう、自賠責・後遺障害等級の怖さがあります。この分野のプロを名乗る以上、しっかり証拠や主張を揃え、審査側のぶれを少なくする努力をしていきたいと思います。   

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 鎖骨の障害認定、無敗記録を更新中です。「鎖骨が折れたら秋葉へ」、是非とも相談をお願いします。  さて、本件は「変形」を逃したものの、器質的損傷の残存、つまり、骨は元通りになっていないことが認められて12級13号となりました。仮に変形の5号が認定されたとしても、「痛み」の継続で、逸失利益10年獲得を目指し、神経症状を内包した認定結果を目指しますので、むしろ、連携弁護士はやり易いと思います。

 後遺障害を「狙って獲る」など、不謹慎に聞こえますが、後遺障害が自然に決まるなど、現場はそんな悠長ではありません。本件も、受傷初期から計画的に進めたものです。まず、骨折部位と様態から、機能障害の12級6号を逃すとしても、変形の12級5号、次いで、痛みの残存である14級9号を経過的に模索しました。運よく、12級5号と14級9号の中間、12級13号が評価されました。自賠責もよく考えていると思います。

 鎖骨は奥が深いのです  

12級13号:鎖骨骨幹部骨折(80代女性・静岡県)

【事案】

横断歩道歩行中、右方から左折進入してきた相手自動車の衝突を受け、受傷した。事故の衝撃で鎖骨を骨折し、救急搬送された。

【問題点】

骨の癒合が済んだら症状固定する方針であったが、年齢の影響か、事故から半年経過しても癒合しなかった。骨の癒合が出来ないと症状固定に踏み切れない。治療を継続するため、相手方保険会社に治療費を捻出して頂く。

鎖骨はプレートが入っている状態であったが、事故から約1年経過してようやく骨の癒合を確認、即座にCTを医師に依頼し、症状固定に踏み切った。画像確認したところ、変形癒合していたが、外観上、鎖骨変形はプレートによる突起であり、12級5号の認定は微妙であった。

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最新の認定結果が届きましたので、実績投稿:指シリーズ を再開します。

3本目は、骨折・脱臼に伸筋腱断裂が加わり、小指を除いた4本に障害が残ったケースです。比較的、手指の障害は少ないもので、前任の弁護士も手をこまねいていた様子。何度も言いますが、後遺障害申請を医師任せ、自賠責任せ・・つまり、他人任せ、運任せにしては危険です。事前に障害等級を設計して、計画的に検査・診断書作成を進め、審査側に遺漏なく症状を伝えなければなりません。これをサボると、「何級になるのかな?取りあえず申請してみよう」・・まるでくじ引きになってしまいます。認定漏れがあっても文句言えませんよ。 後遺障害を設計する気概が必要です!

10級7号:手指の骨折・脱臼、伸筋腱断裂(50代女性・神奈川県)

【事案】

バイク運転中、対向車線からの右折自動車の衝突を受ける。手指を損傷、診断名は以下の通り。

・母指(親指)→ 伸筋腱断裂

・示指(人さし指)→ 中手骨開放骨折、伸筋腱断裂

・中指 → 伸筋腱断裂

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 手指、足指は比較的、レアな障害です。しかし、これは昔からのジンクスですが、ある部位、ある傷病名の依頼が何故か連続する傾向があります。

 少し間をあけますが、認定結果を待って、このシリーズを続けたいと思います。

現在、手指1件、足指2件、申請中です

14級9号:中指末節骨骨折(30代男性・埼玉県)

【事案】

バイクで直進中、左折自動車に巻き込まれ受傷、右腕の肘(橈骨骨頭部)と第3指(中指)末節骨を骨折したもの。

問題点】

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 まずは、母指(親指)から。

 秋葉事務所では手指、足指での後遺障害認定を何例も経験しております。全指の用廃、もしくは一本づつ・・すべてのパターンでの認定を目指したいと思います。

何本目の認定だろう・・指折り数えて  

14級9号:母指基節骨骨折(50代男性・山梨県)

【事案】

バイク搭乗中、信号のない交差点で左方から飛び出してきた車に衝突され転倒、親指を骨折した。

【問題点】

救急の病院では骨折が発見されず、近隣の個人整形外科のレントゲンで判明した。何より、早々に相手保険会社は弁護士を介入、被害者もどのように進めていいか不安であった。

【立証ポイント】

すぐに病院に同行し、主治医に骨折について意見を求めた。続いてCT撮影を実施、初動は完璧であった。ただ、画像所見が微妙だった為、保険として頚椎捻挫でも14級を狙いに行く方針にし、様子をみることとなった。

症状固定日に再び病院同行し、後遺障害診断に立ち会ったが、異常なまでに書類記載に拘る主治医だった為、全ての計測や診断を終えるまでに1時間をかけた。今まで見てきた後遺障害診断書の中で、最も余白の少ない診断書だったのではないだろうか。医師の執念で14級認定がおりた、そんな感覚に陥った案件であった。  

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 TFCC損傷は珍しい傷病名のはずです。確定的な診断など、専門医以外は困難です。しかし、この10年、その診断名を口にする被害者さんが激増しました。昔は単なる手首の捻挫でしたが、今や交通事故関連のHPには必ず解説されています。ある傷病名がネット情報で拡散され、ブレイクするのです。おかしな現象と思います。これを業界では”宮尾シンドローム”と呼んでいます。  そんな診断名は、まぼろし~

 さて、本件のミッションは橈骨骨頭部の骨折を起因とする、尺骨突き上げによるTFCC損傷の立証です。過去に類似例を経験していますので、まずは12級を目指しました。しかし、そう簡単ではありません。

 かつて、日本でも指折りの手関節専門医である3名の医師に面談しましたが、MRIの画像上、断裂やはく離が明確なものは手術適用ですが、不明瞭なものが圧倒的多数であり、真のTFCC損傷の診断名とするかは、かなり慎重でした。専門医は口を揃えて、「MRI画像は一つの要素であり、自覚症状の聴取はもちろん、触診や検査を重ねて、ようやく確定診断に至る」そうです。

 あいまいな所見の場合、「手術をするか、しないか?」が問われます・・本当に痛みがひどいのか否か、ある意味、踏み絵のようです。    話を変えましょう。自賠責が画像所見を絶対とする理由は、事故受傷との直接因果関係を重視するからです。つまり、事故による人体の破壊(器質的損傷)にこだわります。一方、労災は経年性の変性が原因の一端であっても、「痛みがある」状態を大事にしてくれます。その点、労災は12級が取り易い。双方の審査基準の違いを感じるところです。とくに、(あいまいな)TFCC損傷を追求すると、自賠14級&労災12級の結果が定番に思えます。  ←誰だ?  TFCC損傷は、どんだけ~?   

14級9号:橈骨骨頭部骨折(30代男性・埼玉県)

【事案】

バイクで直進中、左折自動車に巻き込まれ受傷、右腕の肘(橈骨骨頭部)と第3指(中指)末節骨を骨折したもの。その後、尺骨突き上げ症候群を併発、手首のTFCC損傷の診断名が加わった。 ...

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   かつて、安西先生は言った・・・名作バスケ漫画、スラムダンクからの名言です。全国の体育会男子の胸を熱くしたこの言葉、学校を卒業して社会人になっても、様々な場面で蘇ります。

 秋葉事務所は、「後遺障害は認められるでしょうか?」と質問する相談者様に、あいまいな回答をせず「ダメなものはダメ」と断言するようにしています。認定が取れない仕事など、被害者さんに無駄な時間と費用を浪費させるだけです。なにより、期待を持たせる事自体、罪なことです。常日頃から、クールに認定率100%を目指すことがプロの仕事と思っています。それでも、本件はあきらめたくなかった。

 交通事故の解決において、警察・病院・保険会社の関与があまりにもシステム化して、被害者の症状・訴えに誰も耳をかたむけない。依頼者様の熱意もさることながら、そのような体制に抵抗したかったのです。クールな事務所も、時に熱血になってしまうのです。

  (私、佐藤は)野球部出身です。9回裏サヨナラ逆転タイムリーを打ちました!  

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