人体は原則、左右対称となっており、極端な左右差がないものです。しかし、生まれつきや、利き手の影響、スポーツ歴から上肢の長さ、太さに左右差があることも普通です。本件は、肩関節に元々左右差があり、右肩関節の肩峰の位置が左肩より明らかに高いのです。そこに、肩鎖関節の脱臼で鎖骨の突出が残ったのですが、元々の左右差から目立たないのです。

 元々の人体の特徴と切り分ける作業となりましたが、自賠責に無事に伝わったようです。障害立証も一辺倒の作業では済みません。普通に写真を提出しただけでは認定は難しかったでしょう。    秋葉事務所は目下、鎖骨のケガの全件に障害認定を達成しています。本件も佐藤の活躍で、連勝記録を更新することができました。 鎖骨の障害は100%認定を更新中!

12級5号:肩鎖関節脱臼(30代男性・千葉県)

 【事案】

バイクに搭乗中、左車線を走行していた車の急な進路変更により、バランスを崩し転倒した。直後から全身の痛みに悩まされる。

【問題点】

外見上に軽度のピアノキーサインがあったが、現主治医は気にも留めていなかったよう。また、元々肩峰の高さに左右差があり、この先天性の左右差が、本件事故の鎖骨の突出よりも目立っていた。 続きを読む »

 未投稿であった上半期の認定例を紹介します。バラエティに富んだ部位が目白押しです。

 閲覧者の皆様のご参考になれば幸いですが、参考に留まらず、お声がけ下されば全力でサポートします。早期の相談だけでもお願いします。

山本、東京=大阪を往復、両手首の立証に成功!  

併合9級:右橈骨遠位端骨折10級10号・左有鈎骨骨折12級6号(40代男性・東京都)

【事案】

オートバイ走行中、交差点で対抗右折自動車と衝突、その衝撃で道路左側に逸脱、転倒したもの。直後から、両手首、左膝、右足首、臀部に強烈な痛みが生じる。

【問題点】

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20141203_2上肢でも二の腕以下の後遺障害は比較的、少数になります。しかしながら、秋葉事務所では数多くのご依頼を頂いております。

特にTFCC損傷は色々な異議申立の成功例があります。逆に認定を逃している被害者さんは、手首に骨折が無く、受傷しばらくしてから診断名が下ったケースです。それ以外では、受傷時に相応の衝撃を受けたのか疑問が残る場合でしょうか。単にMRIで所見がみられただけでTFCC損傷とは早計です。既往症の可能性があるからです。専門医の総合的な診断と、何より、受傷直後から激痛の訴えがなければ不自然です。「後にTFCC損傷が判明した・・」では説得力がないのです。

それでもTFCC損傷はじめ、腕~指の障害は見逃されがちと言えます。実績例からわかるように、再申請での認定には本当に苦労しています。早めの相談をお願いします。  

 

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joretsu0401-300x234上肢でも二の腕以下の後遺障害は比較的、少数になります。しかしながら、秋葉事務所では数多くのご依頼を頂いております。

特にTFCC損傷は色々な認定例があり、その認定にも軽重の差があることがうかがわれます。その他、医師が見落とした骨折後の変形や偽関節の発見から、等級認定を導いた例もあります。被害者の皆様は是非とも自身のケガに対して、類似例をご参考になさって下さい。

また、上肢の傷病名は以下の通り、英語が多いように思います。他にもコーレス骨折、ガレアッジ骨折などがあり、実績に加わることを待っています。  

    

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山本さんイラストsjシリーズを続けます   ⑥ 関節面に異物が入ってしまった場合

 交通事故で関節を脱臼する方もいらっしゃいます。しかし、それだけではなく、脱臼と同時に骨折する方も中にはいらっしゃいます。診断名には脱臼骨折と記載されています。脱臼骨折の場合も治療方法は、基本的には脱臼や骨折と同様、関節をはめて(整復)、骨の癒合を目指すことになります。  

<脱臼の整復~肘関節の場合>   ①           ②           ③ IMG11続きを読む »

 指が切断されたのであれば、特に後遺障害の立証作業は必要ないでしょう。

 しかし、機能障害(曲がりが悪くなったケース)では、その可動域の正しい計測だけではなく、なぜ曲がりが悪くなったのかを証明しなければなりません。しかし、自動的に証明されるのでしょうか。医師に診断書の記載を促し、検査を任せればいい?・・それは、無理です。診断書はたいていおざなり、まして、障害の立証のための検査など医師の仕事ではないからです。医師は治療の終わった患者に対して、関わっている時間も情熱も無いことが普通です。

 それでは、誰が助けてくれるのか? 残念ながら、本件の弁護士先生はできませんでした。交通事故外傷はそれだけ奥が深い、専門分野といえるのです。 山本さんイラストsj本件は山本の仕事 「指はお任せ下さい!」

非該当⇒10級7号:母指基節骨粉砕骨折 異議申立(40代男性・東京都)

【事案】

バイクで交差点を直進のところ、右方よりの自動車と出会いがしら衝突。衝突により、母指基節骨、膝蓋骨、肋骨をそれぞれ骨折した。このうち、母指基節骨については粉砕骨折であった。

【問題点】

症状固定時期には母指、膝の各箇所に痛みが残存し、かつ、母指のIP関節(指節間関節)に可動域制限が残存した。前任弁護士が後遺障害の申請をするも非該当であった。IP関節の機能障害の立証・・経験のない先生では限界か。前任弁護士を解任した上で受任した。なお、異議申立をする頃には、膝の痛みは軽減していた。

【立証ポイント】

相談会で母指の基節骨をCTで確認したところ、関節面の不整を確認した。後遺障害診断書にもその旨の記載及び、それによる可動域制限についても記載があるにもかかわらず、可動域の数値が2分の1以下になっていなかった。日本整形外科学会の計測方法でもう一度計測を主治医に依頼したところ、2分の1以下の数値を計測した。ここまでは基本作業である。 続きを読む »

山本さんイラストsj久々の登場!

④ 神経が切断された場合

 交通事故外傷により、身体を強打し、治療後リハビリを開始しようとしても、関節が動かないもしくは腕や足そのものが動かないことがあります。交通事故外傷により腕や足を動かすための神経が切断もしくは、絞扼(こうやく=締め付けられて)され、神経の通りが悪くなり、程度によっては完全に四肢が動かなくなります。また、麻痺の結果、関節が曲がり切らないことがあります。神経のケーブルが引き抜かれた場合、とくに「引き抜き損傷」といいます。 20151708_2

 このように神経がうまく働かないと、運動神経麻痺や感覚神経障害などが生じ、関節が動かず、拘縮が生じ、関節が曲がらなくなることがあります。ひどい場合には神経が損傷した上肢や下肢がやせ細った状態で拘縮することがあります。  なお、診断名に神経叢(しんけいそう)損傷とある場合がありますが、これは、神経の集まり部分が損傷したり、引き抜かれたりする場合の診断名です。

 治療としては、脊髄造影、神経根造影、自律神経機能検査、電気検査などを行って神経がやられているかを確認し、確認できましたら、早期に神経縫合や神経移行術等を受ける必要があります。

 外観上(骨折していたとしても)、神経がやられているかどうかは不明確です。軽度の引き抜き損傷の場合、ムチウチのような症状として現れることもありますので、上記した検査を受けられる病院で専門医に診て頂く必要があります。  

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山本さんイラストsj年をまたぎましたがシリーズを続けます。   ② 関節の脱臼後に転位が生じた場合

 関節を脱臼した後、関節をはめても関節の位置がずれた状態で戻ることがあります。関節や骨の位置がずれて変わったことを転位と言います。転位によって外観上、変形が現れることもあります。

※ 例えば、肩関節の鎖骨を脱臼した後、肩の先端にこぶが出てくる状態になった場合、これをピアノキーサインといいます。 47187cc4続きを読む »

 等級は狙って取るものでしょうか?

 毎回、被害者さまの症状を観察、画像や診断書を精査して、目標等級を定めます。その意味では狙っていると言えます。一方、審査側である自賠責調査事務所は申請側の狙いとは裏腹に、基準に則って判断します。しかし、審査側も私達と同じ視線で、あたかも同じ過程を踏むように等級を決定しています。等級申請の仕事は審査側と意を同じくする作業かもしれません。

 本件は1回目の申請で、申請側と審査側の的が違ったケースです。再申請(異議申立)を行い、同じくしました。多くは2次的な主張である神経症状(12級13号)を初回で認めてくれるものですが・・自賠責調査事務所は見落としたのか、意図的に蹴ってきたのか・・やはり、人間が審査するものです。少々、感情的?に感じてしまいます。

佐藤イラストsj本件も佐藤が逆転劇を演出!  

非該当⇒12級13号 異議申立:橈骨茎状突起骨折(50代男性・東京都)

【事案】

自動車搭乗中、交差点内で右折待ち中、前方から飲酒運転の車が右折専用レーンを直進してきたため、正面から衝突を受ける。骨折した手関節を主訴に後遺障害申請をするも、結果は非該当であった。

【問題点】

相談に来られた時点で受傷から1年以上経過しており、病院にも5ヶ月以上行っていなかった。他にも多数骨折していたが、後遺障害の対象部位は手関節のみ、しかし、時間の経過と共に可動域制限は回復していた。  続きを読む »

 ojigi5 ojigi15  新年、明けましておめでとうございます。本年も変わらず、交通事故外傷一筋、被害者救済業を推進していきます。どうぞよろしくお願いします。    さて、昨年から「今年の実績は今年のうちに」とシリーズで実績投稿を続けておりますが、年をまたいでしまいました。恥ずかしながら、続けさせて頂きます。とくに、重傷例が漏れましたので、肘・手首に続いて、高次脳機能障害も取り上げていきたいと思います。    新年最初の実績UPは、秋葉事務所の真骨頂です。器質的損傷がない、つまり、骨折がなく、靱帯損傷も不明瞭ながら、神経症の14級9号の認定を導いたものです。本来、このケースは圧倒的に異議申立の依頼が多く、再申請で等級を得ることに毎回、難儀していました。これらの経験から、初回ですっきり認定を取った好取組例です。   山本さんイラストsj続きを読む »

 今年は肘・手関節の障害が7件ありました。それ程、数が多くない部位ですので、例年より多めでしょうか。未投稿の実績を3件紹介します。    1件目は手関節の機能障害で12級6号を得たものです。文中にあるように、治療・リハビリが終えたら、さっさと症状固定することです。機能回復は長期戦ですが、だらだら漫然とリハビリを続けると、機能障害の基準である可動域制限が中途半端な数値にあり、後遺障害を取りこぼします。もちろん、リハビリの継続と回復努力は大事です。しかし、被害者はひたすら回復のみを目指すだけではなく、自身の損害に見合った賠償金も視野に入れるべきです。毎度、言っていますが、これは後遺障害狙いのズルい作戦ではありません。

 理由はこの通り⇒早期の症状固定を推奨する理由 。   佐藤イラストsj佐藤が担当しました

12級6号:橈骨遠位端骨折(40代男性・千葉県)

【事案】

自動車搭乗中、前方からセンターラインオーバーの自動車に衝突され受傷。

【問題点】

相談に来られた時点で受傷から半年以上経過しており、病院には既に3ヶ月行っておらず、その間は整骨院で治療をしていた。ただちに症状固定に進めるべき。

【立証ポイント】

まず、手首のCT撮影依頼。Drも協力的であり、快諾。手首には依然として痺れや痛みがあるものの、癒合状態等は大丈夫とのこと。しかし、可動域制限が残存している。早速、可動域を計測していただき、12級の数値となった。後遺障害診断書には、患側の数値のみの記載だったため、健側の数値の追記を頂いた上、申請する。

癒合状態や治療経過を踏まえると14級9号になってしまうのではないかとハラハラしたが、機能障害(可動域制限)の認定を得て、依頼者も大満足の結果となった。  

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 バイク乗りで鎖骨を折ったことの無い人の方が少ないと思います。最高記録で左2回右1回の合計3回折った依頼者さまがおりました。

 懲りない人達です。転倒による自爆事故も多く、人身傷害保険への加入は絶対と思います。   akiba秋葉が担当 「鎖骨が折れたら相談を」「あと、バイク乗りこそ人身傷害に加入を!」  

労災10級9号:鎖骨骨幹部骨折(50代男性・埼玉県)

【事案】

50ccバイクで通勤中、左折の際にスリップして転倒、鎖骨を粉砕骨折したもの。プレート固定術を施行、1年後、癒合を果たす。知人伝いに事故を聞き、おせっかいながらこちらから「鎖骨の後遺障害を申請すべき」と声をかけた。

【問題点】

変形は微妙、審査する人によって判断が分かれる。労災は顧問医の面接があるのでそれ如何か。また、痛みから挙上、とくに外転に可動域制限を残していた。

【立証ポイント】

変形か機能障害か神経症状か、はたまたそれらの併合か?・・痛みの残存も含め、全方位の立証作業となった。結果は機能障害(可動域制限)だけの認定ながら10級9号を得る。

ちなみに、バイクの自損事故保険では変形(12級5号)と神経症状(14級9号)で併合12級、県民共済は9級(労災・自賠の10級に相当)となった。認定もちぐはぐ、各保険それぞれ認定基準が違うものの、やはり、人が審査するものだからか。

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 続いて、申請書類を取り戻して、再調査の上、申請し直した案件です。相談会に参加されなければ・・・鎖骨の障害は見逃されていくのです。

佐藤イラストsj本件も佐藤が担当しました 

14級9号:鎖骨遠位端骨折(80代男性・静岡県)

【事案】

バイク搭乗中、直進していたところ、点滅信号の交差点で右方からの衝突により受傷した。直後から全身の痛みに悩まされる。

【問題点】

相談時に既に後遺障害診断書が完成しており、事前認定で保険会社に提出していた。後遺障害診断書の内容が悪く、このままでは非該当の可能性が極めて高いと判断した。

【立証ポイント】

すぐに保険会社から後遺障害診断書を回収し、修正依頼をするため病院同行する。手術を行った医師の協力が得られず諦めかけたが、転勤予定の情報を伺い、転勤後に後任の医師に協力を仰ぐ。後任の医師も変形については否定的であったが、他覚的所見に変形の記載をいただき、自覚症状に疼痛も追記していただく。

認定結果は変形の12級5号は逃すものの、痛みの14級9号を確保、危機一髪の認定となった。  

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 年頭より重要受任科目としていた「鎖骨の障害」ですが、受任は8件、認定は5件と平年並み、もう一息の成績となりました。

 鎖骨は癒合さえすれば、医師は「完治」と判断します。それでもわずかな変形や痛みは残るものです。その時、障害申請に気付き、適切な立証作業を辿った者だけが障害認定を得ることができます。やはり、見逃されやすい障害と言えます。 佐藤イラストsj本件は佐藤が担当しました  

併合11級:肩鎖関節脱臼(30代男性・千葉県)

【事案】

50ccバイクに搭乗中、右方向から来た車の衝突を受ける。直後から全身の痛みに悩まされる。

【問題点】

画像ではあまり分からなかったが、患部を触ってみると、確かに肩鎖関節の脱臼により靭帯が伸びている可能性が伺えた。しかし、事故による休業とストレスにより太ってしまい、鎖骨の変形が全く外見上に表れていなかった。可動域制限もあったが、早期の相談だったため回復の余地があった。

【立証ポイント】

鎖骨変形での等級認定を受けねばならない。3ヶ月、10kgのダイエットをお願いした。

ダイエットの経験がある方であれば、いかに過酷なダイエットか容易に判断できるが、本人の努力の甲斐もあって症状固定時には脂肪で埋もれていた鎖骨が外見に表れた。仕事復帰のためにリハビリを頑張ったが、可動域制限は改善及ばず、3/4以下の数値で申請、こちらでも12級6号の認定を受けて併合11級、望外の成果を得た。

「結果にコミットする」弊所の十八番認定となった。 続きを読む »

PIC00016w 新ドラマーは以前バンドを組んいた女性ドラマーにヘルプをお願いしました。女性ながらタイトなビート、リズム感抜群の腕利きです。安いギャラながら快諾してくれました。

 O君はその間、腕が挙がるよう、リハビリの毎日でした。当時、近所の温泉のスーパー銭湯によく一緒に行ったものです。kansetu_12    さて、それから1年、いよいよ後遺障害申請と賠償交渉です。後遺障害は右腕神経叢損傷による肩関節の機能障害です。外転(右図)が肩上まで上がるように回復しました。それでも3/4制限ですので、12級となるはすです。

 しかし、主治医が可動域の計測をしたところ、ほとんど正常値で、肝心の外転の記載がないのです!知識も無くそのまま提出し・・14級9号の認定となってしまった。

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 さて、ある日のスタジオリハーサル、いくら待てどもドラマーが来ません。電話をかけてもでません。寝てるのか?いずれにしても、その日はドラムなしでリハを行いました。   HE7D9649web  当時の所属バンドは70年代のディスコソングをカバーする”Rosso Nero”でした。ドラムはプロデビューを目指して岡山から上京のO君、年齢詐称の怪しい素性でしたが、気のいい奴で誰からも好かれていました。    心配で翌日アパートを訪ねると、同居者から、「前日、交通事故で重傷、即入院した」ことを聞かされました。早速、病院に行くと、包帯でグルグル巻きのミイラ男が横たわっていました。「あ、こりゃダメだ・・しばらくライブはできないな」と覚悟しました。診断名は右鎖骨粉砕骨折だったでしょうか、あと、いくつか骨が折れていたようです。    O君は当初、痛みでひぃひぃ言ってましたが、しばらくすると右腕がまったく動かないことに気付きました。上腕神経麻痺を併発したようです。わずかながら手首・指先の自動運動できますので、正確には神経の完全断裂や引き抜き損傷のない不全麻痺でしょうか。リハビリ次第で、ある程度の回復の希望は残ります。それでもドラムの演奏は致命的、本人も「これで音楽人生は終わった」と・・。     <上腕神経麻痺を解説>   続きを読む »

 上腕神経叢(じょうわんしんけいそう)とは、頚部から鎖骨下を通り、上肢まで伸びる神経の束です。    上腕神経麻痺は麻痺の程度によりますが、軽度では上肢のしびれ、重度では肩~指先の自動運動が失われます。上肢、手の運動は、頚髄から出ている5本の神経根、C5頚髄神経根からT1胸髄神経根を通過して、各々の末梢神経に伝えられており、左鎖骨下動脈部を指で圧迫すると、左上肢が痺れてくるのは鎖骨下動脈の下に、上肢に通過している5本の上腕神経叢が存在しているからです。   c_byo_k_15   神経の損傷が微細、もしくは絞扼性(こうやくせい:神経が締め付けられる)の場合は、リハビリや手術で回復の目処が立ちますが、神経の切断や引き抜き症候群(神経が引っ張られて千切れてしまう)の場合は、手術での改善も難しく、腕は一生動かなくなり、「1上肢の用廃=5級6号」が認定される深刻な後遺障害となります。

 一定の回復が見込める12級レベルですが、過去に一度、上腕神経麻痺を担当しました。当時のバンドメンバーです。

   <片腕のドラマー> 

hisreria メンバーの上腕神経麻痺に入る前に・・・。ハードロック、ヘビメタファンにはおなじみ、80年代英国を代表するバンド、デフレパードをご存知でしょうか。

 ツインギターの凝ったアンサンブル、美しいコーラスワークからヘビメタファンに留まらず、幅広い人気を誇り、私もアルバム「ヒステリア」が大のお気に入りでした。       このバンドと交通事故に何の関係が?とお思いでしょう。それは、ファンなら誰でも知っている、ドラム担当のリック・アレンの自動車事故による片腕切断です。1984年、リック運転の自動車が壁に激突・横転しました。後続車に煽られていたようですが、自損事故です。ちなみに、片腕の欠損による後遺障害は「1上肢を肘関節以上で失ったもの=4級4号」となります。

 アルバム「ヒステリア」製作開始直後の事故でしたので、バンドもレコード会社も大困りです。当然、代わりのメンバーで製作を進めるところ、メンバー一同「ドラムはリック以外いない!」と、解散を辞さないほどの強い希望から、アルバム製作を中断し、リックの復帰を待ちました。

 リックもメンバーの心意気に応え、わずか1ヶ月で退院しました。そして、当時の楽器メーカー、シモンズに片腕で叩けるドラムセットを特注しました。シモンズもバンドの意気を感じ、リック専用セットを急造しました。こうして、アルバムの製作が再開され、かの大ヒットアルバムが生まれたのです。その第一弾シングル「アニマル」のPVで片腕でドラムを叩くリックと、シモンズのドラムセットを観ることができます。

  rick続きを読む »

 相談会に参加される方だけではなく、全国からのメール・電話も含め、月2~3件はTFCC損傷の相談を頂いております。  c_g_j_42  秋葉事務所HPでは、TFCC損傷の認定実績を数件掲載していますので、それをご覧になったからと思います。確かに数件でも、日本中の交通事故関連のHPでは多いほうです。それも、異議申立てによる認定が3件あり、毎度、苦労しています。

 交通事故に注力している弁護士、行政書士のHPでは、一様にTFCC損傷の解説を載せていますが、実際に受任・解決した例となると0件、もしくは1~2件の掲載に留まるようです。それは当然です。TFCC損傷自体、それなりに珍しい傷病名だからです。

 多くの相談者さまは、TFCC損傷における等級認定の可否、方法を調べているようですが、何度も手関節の専門医と面談している私からすれば、そのほとんどが認定は不可能と思っています。なんと言っても訴える症状が、その激痛から比して弱いのです。そして、受傷直後ではなく、数ヶ月経過してから「MRIで判明した!」との経過なのです。確かにMRIのない、個人開業医での受診では発見が遅れるでしょう。だとしても、不自然に遅れた診断は、相手保険会社に因果関係を疑われます。後の後遺障害審査では、高い確率で否定されます。

 手関節の酷使による、もしくは加齢による、微細な損傷が事故前から存在し、事故で初めて発見されることも珍しくありません。また、本来、TFCC損傷の激痛は尋常ではなく、手術の適用を検討するほどの重傷なのです。何故、数ヶ月も遅れて騒いでいるのか?との疑問はもっともなことです。

 このような、遅れたTFCC診断の大量発生、その原因は何でしょうか? 一つ思い当たるのは、ネットに溢れる情報です。

 ここ数年、TFCCのみならず、RSDなど、珍しい症例がネット情報によって、知られるようになりました。これは、弁護士はじめ、交通事故に参入した士業者のHPを抜きに語れません。被害者も日夜、ネット検索にて知識を蓄えていると言ったところでしょうか。自分の症状はどんな障害に当てはまるのか?もしくは、どれに当てはめようか?  20121025

 ここで、業界の裏側を一つばらします・・どの事務所もHPの解説から、珍しい症例にも詳しいように見えます。しかし、実際は違います。どの事務所の弁護士、行政書士も、実のところ、HPに掲載しているような傷病名に、ほとんど接する機会などないのです。なぜなら、TFCCやRSDの患者はそもそも少ないからです。年に1回か、数年に1回の相談しかないはずです。それも、真性の被害者さんとなると、さらに少ないと思っています。

 HPに掲載された医療知識は、実はそのほとんどが「買った」コンテンツなのです。ウェブ製作会社の知人から聞いたのですが、弁護士向けに、交通事故、債務、離婚など、ジャンル別のHPの雛形と、そのコンテンツの完成品が売られているのです。多くの先生は、そのコンテンツを買いこんでHPを作り、集客しているに過ぎないのです。

 マメな弁護士さんなら、そのままの掲載を躊躇い、少し改造を加える程度はしています。対して、自ら専門書に接し、自身の経験を基に記述している先生が稀に存在はしますが・・。

 コンテンツの制作者さんは、さらにばらします。とくに、交通事故用のコンテンツは、ほとんど「交通事故110番」のHPを転用、参考にしているのだそうです。パクっていると言われない程度に。    レアな傷病名が氾濫しているのは、結局、交通事故110番の功罪に帰結するようです。  

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 昨日は静岡まで病院同行でした。夜8時位まで病院に滞在することになりました。    ミッションはTFCC損傷の後遺障害診断書の依頼です。尺骨突き上げ症候群を併発しましたので、尺骨の骨きり術を行い、症状固定が大幅に遅れました。症状は軽減しましたが、完治・治癒とはならず、残存した痛みを診断書に落とし込まなければなりません。 20141203_2   尺骨突き上げ症候群での骨きり術・・・TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷の場合、関節鏡視下手術により損傷した靱帯の縫合・再建術や滑膜切除術を実施します。尺骨突き上げ症候群を併発すると、手首の小指側の激痛で苦しみます。橈骨に比べて尺骨が長すぎると、尺骨茎状突起がTFCC部を突き上げるからです。そこで尺骨の長さを縮める、骨きり術を行います。    この手術は専門医の高い技術が要求されます。術式を行った医師は当然に高いプライドを持って手術をしています。したがって、術後、「この程度まで回復すれば、日常生活に影響はない」、イコール「後遺症はない」と判断します。治そうと技術を駆使し、努力を重ねてきた医師にとって、当然の思いです。

 それでも、被害者さんは残存した症状について補償を求めなければなりません。私達は治療の成果とは切り離して、後遺症の診断を医師に促すのです。特に手関節の専門医は何故か厳しい先生が多く(過去3人すべて!)、なかなかにヘビィな仕事です。本件も面談拒否で一切、話を聞いてくれませんでした。それでも、医師は患者さんにはやさしく、依頼者さんも上手に対応したようです。なぜなら、面談拒否を予想し、事前に私と打合せを重ねていたからです。

 結果として、可動域は該当等級に及ばずとも、痛みを主訴とした診断書が仕上がりました。    帰りは新幹線を待つ時間、居酒屋で金目鯛の煮つけを頼みました。事務所のある築地で食べたら、とんでもない値段ですが、駿河湾までくれば気軽なお値段です。

2016100319110000続きを読む »

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