毎回、うんちく、いえ専門的な知識を展開しています高次脳シリーズですが、たまには成果報告をします。

 高次脳機能障害の立証に必要な設備や検査体制の整っている病院はわずかです。さらに立証について理解いただける医師も多くありません。したがって検査先の確保が最重要課題です。やはり全国の協力行政書士間での情報網、紹介がものをいいます。

 しかし新しい病院の開拓も大事で、普段から心がけています。それに取り組む中、ある被害者さんの等級が認定されました。比較的高齢で、かつもっとも審査が困難といわれる3級です。高齢者は「もともと認知障害気味ではないのか?」という審査の壁があります。加えて、3級5級7級は一見健常者に見えながら、ある一面では深刻な症状を示すので、それを3分する審査は慎重かつ難解なのです。主観が入り込みやすいともいえます。寝たきりや常時介護状態の1~2級は診断・症状も明確になりますので、審査上判断しやすいのです。

 今回の立証が成功したポイントは・・

1、主治医と何度も面談・協議し、立証について最大限の理解、協力を得ることができた。   T先生は診断・執刀・お人柄、すべてにおいて一流でした。

2、家族、とくに後見人となった長女さんがしかっりしていて、私と二人三脚で進めることができた。

3、医療関連の映像制作経験のあるビデオスタッフをスカウト、私が監督となって立証ビデオを制作した。      

 このような盤石の協力体制と緻密な立証作業の結果、わずか2ヶ月と5日の審査期間で間違いの無い等級が認定されました。

 診断名+画像所見+自覚症状 が後遺障害立証、共通の3大要素ですが、自覚症状を自ら語れない高次脳機能障害は家族の観察がすべてです。その観察を医師の診断と検査結果に結びつけ、第三者(調査事務所)の信用を獲得する作業は一つの映画・作品を作るような気概が必要です。

 まだ確立されたとは言い難い高次脳機能障害の立証、それは医師をはじめ周囲の理解が及ばないが故に、最難関の後遺障害ではないかと思います。だからこそ私はライフワークとして取り組んでいるのです。                                

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<その他の優遇措置>

① 都立公園・都立施設の入場料免除   (手帳の所持者及び付添者)

② 携帯電話料金の割引

③ 駐車禁止規制からの除外措置(1級のみ)

 これは最新の特例です。担当する高次脳機能障害被害者のご家族の方から教えて頂きました。現在2級なので、この特例のために1級に格上げできないか再申請するかもしれません。 ・・1級なら駐車違反し放題???  問い合わせは申請者の管轄する警察署(交通課)です。

④ NHKの受信料免除

 その他、自治体ごとの特例もあります。

 こうして障害者にたいする優遇措置を列挙しましたが、いいことばかりではありません。物事の常ですが、メリットにはデメリットが付随します。また考えさせられる事も多いのです。

4、問題点

① 運転免許

 道路交通法で「免許の拒否又は保留の事由となる病気等」の規定により、該当する病気を持っていれば医師の診断書を提出し審査を受けます。事実上1、2級の人は運転免許は許可されません。 しかし、これは自己申告です。つまり病気を申告しなければ免許取得・更新が可能です。基本的人権として病気の告知を他人から命令される言われはないのです。しかし先日、てんかんの障害をもつドライバーが幼児数人を交通事故で死傷させる痛ましい事が実際に起こりました。このような事故が増えれば、運転免許など社会的に責任のある資格について病気告知義務化&違反者罰則へ向かうかもしれません。   ② 生命保険の加入制限

 生命保険加入には告知義務があります。これは契約者と保険会社の約束ごとなのなので人権云々は関係ありません。保険会社の基準にもよりますが、5年間の病歴が問われるので「5年前は手帳を持っていたが、それ以降障害は治っている」事が原則です。

③ 就職、就学への影響

 障害者受け入れの企業や障害者に対応できる学校はまだまだ少ないのが現実です。特に高次脳機能障害患者の多くは、自身の障害について自覚がありません。普通に働ける、学校へ行ける、と思っています。それを拒否する社会や、押し留める家族を思うと辛いものがあります。

④ 根強い偏見

 生まれつきの障害を先天性とすると、交通事故での障害は後天性です。しかしどちらにせよ精神障害となると、周囲の無知や無理解にさらされる事もあります。     

  被害者救済の仕事上、このような福祉制度は熟知していなければなりません。しかし健常者はもちろん障害者やその家族に対して、この制度が浸透しているとは言い難いと感じています。  被害者を含め、社会に福祉制度の周知、そして障害者理解への啓蒙が必要であると思います。   

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 優遇措置 を続けます。

<公共交通機関> 

① 東京都精神障害者都営交通乗車証の交付

東京都では、都内在住の手帳の所持者を対象に東京都精神障害者都営交通乗車証を発行しています。24区地域は都電、都営バス、都営地下鉄、舎人ライナーの乗車が無料となります。  この乗車証の発券は特定の駅でできます。市町村地域は各市町村窓口へ問い合わせます。

② 路線バスの運賃半額割引

(1) 対 象 者 東京都が発行する、写真が貼付された手帳をお持ちの方(ご本人のみ)介護人は、割引  対象になりません。  他の道府県から交付された手帳をお持ちの方は、対象になりません。

(2) 適用範囲  東京都内を運行する一般路線バスの都内区間。東京都内で乗車し、かつ東京都内で降車(下車)する場合にのみ適用されます。  高速バス、空港連絡バス、深夜急行バス等は除きます。

(3) 割引運賃  運賃が半額になります(10円未満四捨五入)。定期券は割引になりません。  小児運賃が適用される方で手帳をお持ちの方は、小児運賃が半額となります。 (例)運賃210円の場合 → 110円(小児60円)

(4) 利用方法  運賃支払の際に、手帳の写真が貼付されたページを開いて、乗務員に提示します。

  <生活補助>

① 生活保護の障害者加算(1級及び2級のみ)

 生活保護を既に受給している方のうち、障害の原因となった疾病について、初めて医師の診療を受けてから1年6か月以上過ぎている方で、1級又は2級の手帳をお持ちの方は、障害者加算がつくことがあります。  申請はお住まいの地域を所管する福祉事務所です。

②都営住宅の優先入居、使用承継制度及び特別減額(特別減額は1級及び2級のみ)

(1) 優先入居  5月及び11月の募集は、一部の地区で優遇抽選制度があり、一般世帯に比べて当選倍率が5倍(3級の方)又は7倍(1級又は2級の方)になります。8月及び2月の募集は、ひとり親、高齢者、障害者等の限定募集となっています。  窓口は東京都住宅供給公社募集センターです。

(2) 使用承継制度  都営住宅の使用承継は原則として名義人の配偶者のみですが、承継しようとする方又は同居者が手帳をお持ちの場合、名義人の三親等親族まで承継することができます。 ただし、収入基準等、一定の条件があります。 窓口は東京都住宅供給公社お客さまセンターです。

(3) 特別減額  既に入居している1級又は2級の方で、所得が一定額以下の場合は、使用料の特別減額が受けられます。  窓口は各地区を管轄する窓口センターです。

   優遇措置、明日に続きます。今日は小田原遠征なので7時には事務所をでます。

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昨日は高次脳機能障害被害者の病院同行でした。目的は精神障害者手帳取得で、医師へその診断書の依頼を行いました。  福祉関係の制度については漠然としたイメージだったので、この機会に調べてみました。各市町村でそれぞれ若干の違いはありますが、概ね以下のようになっています。長くなったら明日へ続きます。

1、障害の等級

1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度

2級 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要     とする程度

3級 日常生活又は社会生活が制限を受けるか、日常生活又は社会生活に制限を加える     ことを必要とする程度

 判定は医師の書く診断書によります。「常時介護」が必要か、「見守り」で済むか、医師が程度の判定をします。そして審査と等級認定は各自治体の判断となります。  

2、手続き

 お住まいの区市町村の担当窓口に次の書類を提出します。

① 障害者手帳申請書 ② 診断書(障害者手帳用)(精神障害に係る初診日から6か月を経過した日以後の日に作成され、作成日が申請日から3か月以内のもの) 又は精神障害を支給事由とした障害年金もしくは特別障害給付金を現に受給していることを証する書類(年金証書等)の写し  ③ 本人の写真

 更新は2年ごとで、有効期限の3か月前から申請できます。

  3、優遇措置   

 <税金>  まずは税制面から

① 所得税

 納税者自身又は控除対象配偶者や扶養親族が手帳をお持ちの場合、所得金額から、級に応じた額が控除されます。また、1級の方と同居している場合、上記のほか、配偶者控除・扶養控除に加算があります。   確定申告の場合は税務署、給与所得者の場合は勤務先が窓口です。

② 住民税

 納税者自身又は控除対象配偶者や扶養親族が手帳をお持ちの場合、所得金額から、級に応じた額が控除されます。 また、1級の方と同居している場合、上記のほか、配偶者控除・扶養控除に加算があります。  区市町村の課税担当課が窓口です。

③ 相続税

 障害者が相続した場合、税額から、年齢及び級に応じた額が控除されます。

④ 贈与税(1級のみ)

 1級の方への贈与に当たり、信託銀行との間で、「特別障害者扶養信託契約」を結ぶと、贈与額のうち6,000万円まで非課税となります。

⑤ 利子等の非課税

 少額預金の利子所得等の非課税制度(マル優)及び少額公債の利子の非課税制度(特別マル優)を利用できます。  これは税務署ではなく金融機関等の各営業所等が窓口です。

⑥ 自動車税・軽自動車税・自動車取得税(1級のみ)

 自動車税・自動車取得税について、「(1)障害者の方が所有又は取得し、日常生活のために使用する。」、「(2)障害者の方が所有又は取得し、生計を同一とする方が専ら障害者の通院・通学等のために使用する。」、「(3)生計を同一とする方が所有又は取得し、障害者の方が専ら通院・通学等のために使用する。」、「(4)生計を同一とする方が所有又は取得し、生計を同一とする方が専ら障害者の通院・通学等のために使用する。」のいずれかに該当する場合、減免されます    (平成21年度以降、減免額に上限が設定されます)。 対象者は、1級の方で、自立支援医療(精神通院医療)の支給認定を受けていることが要件となります。軽自動車税については、各区市町村の条例等によります。  自動車税・自動車取得税は都税事務所等又は自動車税事務所、軽自動車税は区市町村の課税担当課が窓口です。

⑦個人事業税

 本人又は障害者を扶養している方のうち、前年度の総所得額(事業所得以外の所得があるときは合算額)が370万円以下の方は、減免されます。 都税事務所等が窓口です。

   高次脳機能障害被害者の生活支援について必須の手続きです。税金以外のメリットについては明日に・・                           続きを読む »

 高次脳機能障害の患者で家族を悩ます症状に「性格変化」があります。症状も患者ごとに様々ですが、代表的な例をあげると・・・

 ・ 突然キレたり、原因なく不機嫌になる。 ・ 倦怠感がつよく、やる気がなくなり、ちょっとした家事でも途中でやめてしまう。 ・ 早起きだった習慣が変わり、朝なかなか起きず、日中でも寝てばかりいる。 ・ 何事にも無関心になり、以前趣味だったことにさえまったく興味を示さなくなった。 ・ 以前仲の良かった友人と会っても、知らない人のようにそっけなく対応する。  ・ 家族の誰かが意地悪をすると言う、被害妄想。  ・ 思いこみが強く、虚言や見当違いの事を言う。本人にその自覚はない。 ・ 以前は見向きもしなかった漫画やアニメをみている。ぬいぐるみを集めるようになった。幼児   退行性。

 これらは「遂行能力」や「社会適合性」の障害として審査の対象になります。関連する検査はたくさんありますが、その中から3つ解説します。

  ■ 遂行能力 検査

ウィスコンシン・カード・ソーティングテスト (WCST)

 前頭葉の損傷で行動力(計画・立案・実施)に障害が出現します。この検査はカードの組み合わせゲームのようなテストを行います。最近はパソコンのソフトになっており、画面をみながらマウス操作をする検査になります。 1組のカード数枚を色、形、数で分類させます。その分類させるルールを途中で変更し、その変更したルールに適応できるかをみます。変更前のルールに固執する「保続数」、前のルールにとらわれてミスをする「保続性誤り」をそれぞれ点数化します。 通常、ルールの説明と練習をし、それから1段階、2段階と2回繰り返します。検査のようすを見ていると、一つの事に固執してしまう様子や新しいルールへの適応の困難が伝わってきます。これでは会社に復帰しても通常の仕事は困難である事が予想されます。   知能検査でIQが平均的な点数を取っているのに、このテストではガタガタに低くなる場合、相応の(遂行能力)障害があると言えます。

② 注意機能スクリーニング検査 (D-CAT)

 ランダムに並んだ数字から指示された数字を消しこんでいく。3回繰り返し、見落としや間違いの数を見ることで注意力を数値化します。  この検査は見学したことがないので、今後機会があれば経験しておきたいところです。

トレイル・メイキング・テスト (TMT)

 紙面の1~25の数字、アルファベットを順番に線で結んでいきます。検査は2種類あり、パートAは数字のみ、パートBは関係のないひらがなも配列され、数字と交互に50音順で線で結ばせます。  これは簡単な作業ですが、だからこそ(遂行能力の)障害が深刻な患者ほど集中力が続かず、とくにパートAとBの差が歴然とします。健常者はほとんど差がありません。 

②と③は獨協医大越谷病院で治療期間に実施された検査です。D-CATもTMTも短時間でできるので、簡易検査の感がします。症状固定時の本格的な検査ではWCSTを遂行能力の必須検査と考えています。

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 前日のRBMT(リバーミード行動記憶検査)は文字通り「行動」に対して記憶しているかどうかを問う検査です。さらに細かい検査になりますが、「聴覚」や「視覚」についての記憶に焦点を当てたものもあります。例えば聞いたことをその場では理解したようでも5分後には、「聞いていない」と言ったり、まったく違う言葉に置き換えてしまうなど会話の内容を忘れている。このような症状には「聴覚」に特化した記憶検査をします。また一度見た建物を覚えられないので何度も訪問した家に「この家に初めて来た」と言う、「丸い大皿を取って」と言われても四角い小皿を渡してしまう、これらは「視覚」検査を徹底すると数値にはっきり表れます。

  ③ 三宅式記銘検査

 ある単語と単語のペアを聞かせ、それを覚えているかをみます。  その単語のペアは関連する組みあわせ(有関連追語)とまったく無関連な組み合わせ(無関連対語)、それぞれ10組行います。

<有関連対語> ・・つまり連想ゲームです

 まず「煙草」→「マッチ」といったの関係するペアの単語を聞かせます。その後「煙草」と言ったら「マッチ」と答えられるか3回テストします。他に「家」→「庭」、「汽車」→「電車」 など10組で10点満点です。  障害のない人は3回目まででほぼ正答となります。  平均値は 1回目8.5点 – 2回目9.8点 – 3回目10点

<無関連対語> ・・暗記力が問われます

 「入浴」→「財産」、「水泳」→「銀行」、「ガラス」→「神社」・・・関係のない言葉の組み合わせに健常者でも苦戦しそうです。  平均値は 1回目4.5点 - 2回目7.6点 - 3回目8.5点  障害者は無関連追語で特に点数が悪くなります。1回目から3回目まで点数が上がらない、つまり学習能力の低下を表します。

  ④ ベントン視覚記銘検査

 視覚性注意、視覚性記憶、視覚認知、視覚構成能力の4つの観点で評価します。○、△、□などの3つの図形が書かれた見本を見せて、その後それを同じ形、同じサイズ、同じ並び方で書かせます。これを10枚繰り返します。

1、省略は追加はないか? 2、歪みはないか? 3、同じ図形を繰り返し書いてしまわないか?(固執性) 4、上下逆に書いてしまわないか? 5、並び方を間違えないか? 6、大きさを極端に違えてないか?

 障害とされる点数は 15歳~44歳 5点以下          45歳~54歳 4点以下               55歳~65歳 3点以下

 また見本を見せる時間も5秒と10秒があり、即時記憶が可能かどうかも計れます。

 先週、担当している患者についてこれらの検査の結果を受け取りました。日常、家族が観察している記憶障害と検査結果が一致しました。家族が訴える症状の裏付けがされたのです。  記憶障害も「言語」「行動」「聴覚」「視覚」と観点を変えて観察することが大事です。なぜなら高次脳機能障害は、ある部分はケガの前と変わらないが、ある部分はガタッと欠落している、という特徴があります。全般的に認知能力や記憶力が低下するアルツハイマー型の症状との違いの一つです。

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 昨日の記憶障害検査について続けます。

リバーミード行動記憶検査 (RBMT)

 昨日のWMS-Rが科学的な考察とすると、リバーミードは日常生活に即した問題を使うのでより日常生活の問題点を浮き彫りにできます。高次脳機能障害の立証にはうってつけで、必須検査と思います。

検査項目 課 題 考えられる日常の生活上の問題 姓名 顔写真を見せて、その人の姓名を記憶させ、時間をおいてからその写真を見せ、覚えているか質問する。 主治医や看護師の顔は覚えてられるが名前が思い出せない。 持ち物 患者の持ち物を借りて、しばらくしてから「何を借りていたのか」質問する。 自分の持ち物の管理。大事なものをどこにしまったか忘れる。「物取られ妄想」の有無。 約束 時計のアラームをセットし、それを20分後に鳴らし、アラームをセットしたことを覚えているかをみる。 約束、服薬、通院日などを覚えていられない。 風景画を見せて、時間をおいても覚えていられるか。 慣れた病院内で迷子になる。売店やトイレの場所を覚えられない。 物語 短い物語を聞かせ、ストーリーを覚えていたかを聞く。 少し前の会話の内容を覚えていない。 顔写真 顔写真を見せて、時間をおいても覚えていられるか。 病院内のスタッフが覚えられない。 道順 設定されたコースを一緒に歩きながら教えて、間をおいて一人でたどらせる。 自宅から数百m離れると帰れなくなる。新しい場所に行くと迷子になる。 要件 道順の検査の際、ある用事を言いつけ、それを覚えているかみる。 毎朝掃除するなど、日課がこなせるか。 見当識 知能検査でやったような簡単な質問をする。 日付や曜日、住所に混乱がある。

 記憶障害とされる点数は、

標準プロフィール スクリーニングプロフィール 39歳以下 19点以下 7点以下 40~59歳 16点以下 7点以下 60歳以上 15点以下 5点以下

 検査は30分程度です。この検査の内容を見ると、ストレートに「日常生活状況報告表」の裏付けになると感じました。

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 記憶障害は高次脳機能障害でもっとも典型的な障害です。高次脳機能障害の場合、自分の名前や家族などを忘れてしまう、いわゆる「記憶喪失」とは違う症状を見せます。ほとんど事故前の記憶を留めるもののある一部分だけすっかり忘れている、または昨日の記憶、5分前の記憶が欠落してしまう・・・これらは短期記憶障害に分類されます。たとえば飼っていた猫の名前を忘れて思い出せなくなってしまう、昨日散々「明日は病院の日だからね」と言っておいたのに今日になったら忘れている、数分前の会話の内容が思い出せず、同じ事を聞いてくる。症状は患者によって千差万別ですが、これらが家族を悩ませ、職場復帰を困難にしています。これらを他人に承知してもらい、障害として立証するには専門の検査を受けなければなりません。

  ■ 記憶検査

日本版ウェクスラー記憶検査 (WMS-R)

 世界的に標準とされる記憶検査で、言語を使った問題と図形を使った問題を13項目行います。

指標項目 関連する下位検査項目 言語性記憶 論理的記憶 言語性対連合Ⅰ 視覚性記憶 図形の記憶 視覚性対連合Ⅰ 視覚性再生Ⅰ 一般性記憶 言語性記憶+視覚性記憶 注意/集中力 精神統制 数唱 視覚性記憶範囲 遅延再生 論理的記憶Ⅱ 視覚性対連合Ⅱ 言語性対連合Ⅱ 視覚性再生Ⅱ

100点を標準とし+-15点を正常値とします。所要時間は1時間程度です。現在は「WMS-Ⅲ」に改定されています。

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 おはようございます。先週はGW明けで激務の1週間でした。休暇の代償を感じた次第です。 先週よりの神経心理学検査について続けていきます。  

■ 言語機能に関する検査

 事故以来言葉をスムーズに発っせなくなった、極端にゆっくり話すようになった、こちらの言うことに対する理解が遅く会話が滞りがちになった…これらは一般に失語症となりますが、高次脳機能障害の場合、以下の2種が代表的です。

1、運動性失語  左前頭のブローカ領域の損傷。話し言葉の流暢性が失われます。

2、感覚性失語  左側頭に位置するウェルニッケ領域の損傷。流暢性は保つものの言い            間違いが多く、発言量の割に内容も乏しくなります。

 くも膜下出血で倒れた人が左脳の出血と損傷によって、言葉に障害が残ってしまったケースと似ています。しかし高次脳機能障害は程度の軽重に差があるため、軽い失語症は事故のショックのせい?と周囲も安易にみてしまいます。もっとも右側頭葉のみにダメージを受けた患者さんは、「会話・発言・読み書き」に関して以前と変わらないことも多いようです。  失語症に絞った専門的な検査がありますので挙げます。

標準失語症検査 (SLTA)

 失語症の有無、重症度、タイプの鑑別を行います。短文やまんがなど26項目についてそれぞれ読ませ、後に説明させます。正答から誤答まで6段階で評価します。リハビリ計画の策定の為に行われることが多く、リハビリ施設では定番の検査です。

WAB失語症検査 

 言語機能の総合的な検査(8項目、全38検査)を行います。自発語、復唱、読み、書字について0~10(自発語のみ20)点の得点を計ります。失語症の分類・軽重を明らかにします。全失語(重度の失語)、ブローカ失語(運動性失語、流暢性の喪失)、ウェルニッケ失語(感覚性失語、内容の乏しい発言)、健忘性失語(言葉のど忘れがひどい)と4段階の評価をします。

 言語に関する障害は「意志疎通能力」の低下として重要視されています。ただし言語聴覚士を擁する脳神経外科でもこれらの検査設備をもたないようです。この分野は失語症のリハビリ検査であると理解されているからです。  高次脳機能障害の失語症は、認知障害、記憶障害、右半身麻痺などの症状と重なって生じます。しかし失語障害の度合いが強い患者の場合で、認知障害、記憶障害などの程度が軽く、それらが検査で顕著に出ないと認定等級も低くなってしまいます。失語は意思疎通能力にとって重要なマイナス要素であると思います。このようなケースの場合、立証の補強として採用したいと考えています。

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 昨日も担当する被害者と病院へ同行しました。神経心理学検査の結果を聞くためです。  高次脳機能障害の程度を判定するには、大きく分けて4つの能力の低下を計ります。

1、意思疎通能力 (記銘・記憶力、認知力、言語力)  2、問題解決能力 (理解力、判断能力) 3、遂行能力 (作業負荷に対する持続力・持久能力) 4、社会行動能力 (社会適合性、協調性)

 これら4能力について6段階評価をして障害等級を判定します。したがってこれらの設備をもち、言語聴覚士等専門家のいる病院にて検査をする必要があります。 診断書に「高次脳機能障害」、「脳神経障害」、「認知障害」と書かれているだけではなんの判定もできません。残念ながらこの神経心理学が可能な病院は非常に限られています。「治療」と「障害立証」は別であることを強く認識して下さい。

 たくさんある検査の中から実際に見学もしくは体験?した検査を挙げてみます。今日から数回シリーズにします。  

■ 知能テスト

ミニメンタルステート検査(MMSE) 長谷川式簡易痴呆スケール(HDS-R)

 見当識、注意力、言語、模写などの認知、計算などを観察します。「今日は何月何日ですか?」「ここは何県ですか?」など簡単な質問に答えてもらいます。10分程度でできる簡単な検査なので受傷後即実施できます。正常な人であれば30点満点でほぼ満点近くになります。  この二つの検査はセットで行うことが多く、受傷初期に診断名を認知障害、高次脳機能障害と確定するために行っているようです。本格的な検査は③以降です。

ウェクスラー成人知能検査 (WAIS-R)

 世界で最もポピュラーな知能検査です。内容は上記ミニメンタル、長谷川式の豪華版で、一般に知能検査、IQと呼ばれているのはこれです。言語性(VIQ)と動作性(PIQ)に分けて測定します。

  言語性項目   動作性項目 知識 一般的時効の知識量 絵画完成 注意配分 集中力 単語 言語発達水準 社会的関心 絵画配列 時間的順序や概念の理解 出来ごとの流れと結果の予想 数唱 即時再生 注意覚醒状態 情報処理能力 積木 構成能力 分析能力 視空間認知 算数 計算力 注意維持 言語理解能力 組合 構成能力 視覚イメージと 操作視空間認知 理解 常識的行動知識 社会的成熟度 過去の経験についての 評価と利用 符号 注意維持配分 処理速度 学習能力 類似 論理的範疇的抽象的 思考    

 このように幅広く測定するので2時間ほどかかり、高齢者や障害者には大変辛い検査です。私も正直キツかったです。飽きてきて「IQ低くてもいいや」という気分になります。  現在は改訂版続きを読む »

 先週末の金曜日は私が所属する行政書士会の有志による勉強会でした。昨年から2か月置き位に実施しています。私のように交通事故といった一部門に特化した書士にとって、他分野の先生方から教えを頂く貴重な研修です。

 テーマは「成年後見人」についてでした。埼玉の行政書士会としても複数のNPO法人を立ち上げ、多くの先生が参加しています。交通事故と関わってくるケース・・・高次脳機能障害で自らの判断能力が不十分となってしまった方にいち早く手続きをする必要があります。後見制度について整理します。

  ■ 後見人の種類

1、法定後見人(法的根拠=民法)

判断能力が衰えて支援が必要になってから、後見人を家庭裁判所に選んでもらう制度。この判断能力は医師の診断によります。「日常生活に関する行為」以外のすべての法律行為を本人に代わって被成年後見人が行うことになります。

※ 日常生活に関すること・・・少量の食料品や日用品を買ったり、電車・バス等自らの交通費や医療費の支払など

※ 法律行為・・・代理権、同意権、取消権、追認権

 保佐人は同意権に、補助人は4つすべてについてそのつど裁判所の許可が必要。  

2、任意後見人(法的根拠=任意後見人に関する法律)

 元気な(判断能力のある)うちに、自分で認知症等で判断能力が衰えた時に備えて、「誰に」「どんなこと」を頼むか事前に決めておく制度。当事者(委任者と受任者)間で行う「契約」の一種で、契約書には必ず「公正証書」とする必要があります。

※ 公正証書・・・公証人役場で公証人立会・認定のもとで交わす契約書。法的な強い認証力をもちます。  

■ 成年後見審判の手続き(法定後見人の場合)

1、申立人調査  面接にて、申立の目的・経緯、本人の病歴・診断書、本人の財産・経済状況等を聴取されます。

2、親族調査 電話や書面照会で申立人、親族間の意見を聴取します。親族間の紛争の可能性をはらんでいるからです。

3、精神鑑定 家族暦・生活暦、生活状態・心身の状態、精神の状態、判断能力を調べます。鑑定には医師の診断が必要で、費用は5~10万円です。本人が植物状態のときは省略されることもあります。

4、本人調査  本人と面談します。入院している場合、調査官が出張してくれます。やはり意思疎通が完全に不可能の場合、省略されることもあります。

5、審判 家庭裁判所で裁判官が誰を後見人に選任するかを決めます。

6、登記 審判決定後2週間以内にだれも不服申し立てをしなければ確定し、法務局にて登記の依頼をする。選任された後見人は1か月以内の本人の財産目録、収支報告書を裁判所に提出しなければならない。

7、後見開始  家庭裁判所から照会・指示があれば必ず従い、報告する必要がある。  

 この手続きは行政書士が完全に代理として行うことはできませんが、十分お役にたてますし、得意とする分野です。他にも身体障害者手帳、精神障害者健康福祉手帳、障害者年金、介護認定・・・など必要となるかもしれません。高次脳機能障害の被害者を担当する場合、障害の立証以外にやることがたくさんあるのです。その対応ができるからこそ、この分野での名乗りをあげているのです。

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 後遺障害の症状を観察する場合、二つの見方があります。他覚的所見と自覚的所見です。簡単に言うと・・

○ 他覚的所見・・・専門家の見立て。つまり医師による診断です。   ○ 自覚的所見・・・言葉的には自覚症状というべきかもしれません。患者自らが訴える症状です。「ここが痛い」「関節が曲がらない」等々です。 

 調査事務所による審査は当然、他覚的所見を重視します。何故なら自己申告の症状は詐病(保険金目的のウソ障害)又は大げさに偽ることができるからです。審査側が性悪説(人は元来嘘つき)にのっとているのは仕方ないことかもしれません。  よって自分にしかわからない症状や苦しみをしっかり医師に把握してもらい、診断書に書いて頂く必要があります。ここまではどの障害にも共通することですが、高次脳機能障害では少し勝手が違います。それは高次脳機能障害の患者の多くが自身の障害の自覚がないため、認知障害、記憶障害、性格変化、社会適合性、など24時間365日一緒に暮らす家族の観察が重要となってくるからです。医師の観察だけではわからない細かな変化をきちんと申告、立証する必要があります。                        ほんの数年前やっと障害についての審査項目と書式が整理されました。医師の診断書とは別に日常生活報告書を添付して家族の観察結果を申告します。  「言葉による指示を理解できますか?」「タバコの火やガスの始末ができますか?」・・・50程度の質問に対し6段階の評価をしていきます。しかしこの書面はいくらでも恣意的、つまり実態より重めに書くことができます。やはり参考程度にしか見られないのでは・・という不安も尽きません。そこで最近ビデオによる日常観察というメソッドが一部でとられています。  もともと裁判で障害の有無・程度を争う際、証拠として映像を用いる方法でした。であれば後遺障害の認定にも有力な資料となるはずです。書面からでは書ききれない患者さん特有の症状や、書面からは伝わらない障害の事実・実態が強烈にアピールできます。先日担当の患者さんのビデオを撮影しました。その効果を実感しています。3~7級の症状を示しており大変微妙な審査のとなるはずだからです。

 高次脳機能障害を扱う弁護士・行政書士事務所はまだ少数です。もしご相談を考えるなら以下の3要件を指標として下さい。

1.5項目(MRI続きを読む »

       頭部を受傷、脳にダメージを負った結果、認知障害や記憶障害、性格変化、身体の麻痺などの後遺障害をもたらすのが「高次脳機能障害」です。10年前はその後遺障害等級の判断が整理されていませんでした。今でこそ知られるようになったこの障害ですが、立証・裁判の実例にかなりバラつきのある分野です。それは画像や計測値だけではなく日常生活の変化を正確に観察・申告するといった要素も加わるからです。そして立証も様々なハードルに直面します。

① 事故直後の意識障害の様子がしっかり記録されているか?

意識不明、昏睡状態と記録されていれば問題ないですが、記録が空欄もしくは混濁程度に書かれると、障害そのものが認定されなくなります。ここで「意識清明」と書かれたら100%非該当となります。これを覆すのは絶望的です。

② 運ばれた病院が高次脳機能障害に対応できているか?主治医の知識・理解があるか?    主治医も急性硬膜下血腫等で手術を行えば後遺障害の可能性を認識します。しかしレントゲン撮って「骨には異常ないですね」、CTで「脳挫傷はないです」、もしくは「わずかです」となると経過観察で入院して2週間で退院?なんて例もありました。脳のダメージは丁寧に画像診断しなければいけませんし、ダメージを受けた脳の特徴である脳委縮は徐々に進行して3か月後に顕著になるケースもあります。当然この病院での検査は無理です。設備のある病院での検査のやり直しが必要となります。

③ そして検査だけやってくれる病院はほんとんどありません。

 事故後1年。家族は回復の願いを込めて被害者に接していますが、忘れっぽい、外出すると迷子になる、家電の操作ができない、会話が成り立たない、キレやすい、趣味に興味を示さなくなった、無気力・・・そして多くの場合、本人に障害の自覚がない。この段階で等級認定に入るのですが、①②のつまづきがあると立証作業は困難を極めます。何故なら十分な検査体制のある病院は日本に数えるほどで、設備があったとしても「治療した病院の検査が不足していましたらから検査だけやって下さい」と言ってもほとんどの病院が嫌がります。強力なコネでもない限り遠まわしに断ります。その理由は単に治療での収入がないのに検査だけは損、検査機材の補助金の問題等様々な裏事情が絡みます。医療関係者の誰もが口をつぐむ問題です。

 

 上記は実際に経験した例です。いかに早めにご相談頂かなければならないかおわかりと思います。回復への希望、主治医への気遣い、保険会社担当者への過ぎる期待・・・ご家族の方はこれらから距離を置いて冷静に考えることが必要です。

 現在2名の高次脳機能障害案件を担当中です。この分野について適時解説していきたいと思います。 

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