高次脳機能障害のチェックとしてお馴染み、ミニメンタルステーツ(MMSE)を取り上げます。

 長谷川式と同じく受傷初期に行う、見当識、記銘の簡易検査の位置づけです。これも健常者であれば30点満点となります。脳外科医や言語聴覚士から「長谷川式よりMMSEの方が使いやすい」と聞きます。
 

<被害者の家族からよく聞く質問>

.長谷川式もMMSEも30点満点なのですが、提出すべきでしょうか?

.9級の認定者でも共に満点のケ-スがあります。認知障害、記憶障害が軽度の場合、満点かそれに近い点数になります。それでも等級が認められたのはその他の障害、失語、遂行能力、社会適合性での障害が顕著だったからです。
ちなみに5級より重い被害者は30点満点とはならないはずです。
 

.これから検査をします。WAISⅢ(知能検査)、WMS(記憶検査)が予定されていますが、長谷川式やMMSEが予定に入っていません。「その2つの検査は必ずやって下さい」と相談した行政書士から聞きました。必要でしょうか?

.WAISやWMSの検査をするのであれば、今更、長谷川式やMMSEを行う必要はありません。同様の検査項目があり、総合検査であるWAIS、WMSを実施すれば十分な検査結果が得られるからです。
  長谷川式、MMSEは受傷初期において実施済みのケースをよく見ます。しかしあくまで診断上必要な検査に留まりますので、認知、記銘、記憶の評価データとしては不十分です。障害等級の審査にはWAIS、WMS他の検査が必要となります。
 「交通事故後遺障害獲得マニュアル」(交通事故110番)を棒読みしている法律関係者に質問のような誤解が見受けられるようです。
 

            ミニメンタルステーツテスト(MMSE)

設問 質問内容 回答 得点
(30点
満点)
1
(5点)

今年は何年ですか?
今の季節は何ですか?
今日は何曜日ですか?
今日は何月何日ですか?



曜日

0/1
0/1
0/1
0/1
0/1
2
(5点)
この病院の名前は何ですか?
ここは何県ですか
ここは何市ですか
ここは何階ですか
ここは何地方ですか?
病院



地方
0/1
0/1
0/1
0/1
0/1
3
(3点)
物品名3個(桜、猫、電車)
0~3
4
(5点)
100から順に7を引く(5回まで)。
0~5
5
(3点)
設問3で提示した物品名を再度復唱させる
0~3
6
(2点)
(時計を見せながら)これは何ですか?
(鉛筆を見せながら)これは何ですか?
0/1
0/1
7
(1点)
次の文章を繰り返す「みんなで、力を合わせて綱を引きます」
0/1
8
(3点)
(3段階の命令)
「右手にこの紙を持ってください」
「それを半分に折りたたんで下さい」
「それを私に渡してください」
0/1
0/1
0/1
9
(1点)
(次の文章を読んで、その指示に従って下さい)「右手をあげなさい」
0/1
10
(1点)
(何か文章を書いて下さい)
0/1
11
(1点)
(次の図形を書いて下さい)
0/1