win  以前、大結節骨折について触れました。その際、触れた棘上筋についてまとめたいと思います。

 棘上筋とは、肩の腱板の一部で、肩の上下運動のメインとなる筋肉です。棘上筋が断裂した場合、肩の外転運動の可動域に影響がでる可能性があります。棘上筋の断裂は、完全に断裂している場合だけではなく、部分的に断裂している場合もあります。完全断裂の場合、縫合手術を行う場合があります。部分的な断裂の場合であれば、手術ではなく、三角巾で外固定し、安静にする方法がとられる場合があります。  20141126_2  肩の可動域制限が後遺症(後遺障害)として残存するか否かは、断裂具合によります。完全に断裂していれば肩をあげる筋肉が損傷しているので、主に外転運動での可動域制限が生じます。一方で部分的な断裂の場合、程度によっては可動域制限が生じないこともあります。その場合には、14級9号、12級13号のいずれかが認定される可能性があります。

 以上から、治療方針にしても後遺症(後遺障害)手続きにしても、いずれにしても画像を撮る必要があります。

 棘上筋は筋肉ですので、レントゲン画像上でははっきり写りませんが、MRI画像であれば棘上筋が写ります。これで断裂具合を確認できます。なお、前回の大結節骨折でも述べましたが、棘上筋に衝撃を受けて、そのバネのような筋肉に引っ張られることで介達外力タイプの大結節骨折をしていることがあります。骨折により骨片が残り、痛みが続いているかもしれませんので、(3D)CTも撮る必要がある場合もあります。

 しかし、医者の中には、レントゲンのみで棘上筋等の腱板損傷を診断する場合があります。ある医者によると、肩峰と骨頭の間が通常より狭くなっていることを指摘して腱板(棘上筋)損傷を勘で診断?する場合があります。しかし、腱板等を専門的に診察している医者はMRIを撮った上で慎重に診断していました。

 我々は医者がMRIを撮らずに棘上筋損傷を診断した場合には気を付けるようにしています。当然ですが、「勘の診断名」など自賠責は認めてくれません。ちなみに、今までお会いした専門性を持ったお医者様は様々な検査をした上で慎重に診察しております。  

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 少し難解な話になりますが、自賠責保険の独自ルールとして「加重障害」があります。加重障害とは、交通事故で後遺症を残すケガに対して後遺障害等級を認定はするが、そのケガ以前に既にあった後遺症の影響を考慮するものです。

 具体的な計算として、今回のむち打ち事故で14級9号が認定され、75万円が支払われることになりますが、数年前の事故で14級の障害認定があった場合、75万-75万=0円となります。つまり、「既に14級の障害者に14級が加算されても0ですよ」との結果になります。もし、新しい障害が14級を上回る重い障害であれば、差額が支払われます。新しい障害が12級として、224万-75万=149万となります。    交通事故治療中、事故受傷が連続、同じ部位に後遺症が残った場合、

1、2回目事故で、治療が伸びた場合 ⇒ 異時共同不法行為として申請

2、2回目事故で、より悪くなった場合 ⇒ 異時共同不法行為として申請

3、1回目はほぼ治癒で2回目が明らかに重い場合 ⇒ 2日目事故のみ申請

4、1回目事故が明らかに重く、2回目は軽傷の場合 ⇒ 1回目事故のみで申請    多くのパターンが想定できますが、この4パターンの検討からスタートします。最終的に被害者が受け取る賠償金に大きく影響しますので、このような検討は専門家の出番となります。

 最も認定を受け易い、最大の賠償金が望める選択をしなければなりません。「加重」は自賠責独自のルールであり、後の賠償交渉では個別具体的な事情を主張すべきです。それを睨んで申請方法を策定する必要があります。医師も保険会社も、(交通事故に精通している弁護士を除き)弁護士ですら、正しい解答を持っていません。相談を早くして欲しいのです。

 本例は「加重」を遡る?計画を立てました。ちょっとしたいたずら心です。  

14級9号:頚椎捻挫(50代女性・東京都)

 【事案】

自転車に乗車し、交差点で一時停車していたところ、右折してきた自動車が衝突してきた。事故直後から頚部から肘、手に至るまでの痛み、痺れの神経症状に悩まされる。

【問題点】

1回目の事故ではそもそも後遺症(後遺障害)申請にあげておらず、2回目の事故では申請したが等級が認められなかった。今回3回目の事故で以前にも増して首の症状が増悪した。1、2回目事故で等級が認められていないことから既往症ではないとしても、症状が重なる点があることは否定しきれない。

【立証ポイント】

当初、2回目事故の非該当を異議申立する相談でしたが、まず3回目事故で等級を申請することにした。受傷時点では衝撃が軽かったが、初期から症状を訴えており、MRIも撮っていたことから調査事務所に症状を信用され、14級9号が認定された。

実は、2回目事故について、3回目の認定後に異議申立てを行うプランを立てていました。遡って14級となれば、「加重」がなし崩しに・・このような職業的興味があったのです。しかし、2回目事故の症状固定日以降、3回目事故までの間に病院に通院していない空白期間があったことから、2回目事故の認定の可能性はなく、断念しました。

 

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 教訓じみていますが、昨年の実績から学習しましょう。こちらをご覧になった被害者さん、特にむち打ち、頚椎捻挫、腰椎捻挫の皆さんは、是非とも事例から対処を検討して下さい。     交通事故の相談で上位にくるもので、「相手保険会社が治療費の打ち切りを迫ってきています!」があります。

 まだ痛みがあり、治療を継続したいのに、何たる横暴!、一気に保険会社とケンカモードに突入です。しかし、ここで争っても益はありません。保険会社の担当者は、治療費の支払いをいつでも勝手に終わりにできます。さらに、弁護士を入れて、「これ以上、治療費が欲しくば、裁判所で待ってます」と、より強硬になるだけです。残念ながら、いつだって払う方が強いに決まっています。

 ここで被害者の運命は分かれます。相談会に参加されたクールな被害者さんは、治療費打ち切りに対して「あぁ、そうですか」と健保や労災で治療を継続します。そして、しかるべき時期に症状固定、後遺障害等級を獲ってから、保険会社と交渉を再開します。結果として、しっかり賠償金を確保します。    「ケンカは等級を獲ってから!」が鉄則です。

 本例は、治療費打切を渡りに舟と、労災に切り替え、14級を獲ってから弁護士の交渉に切替えました。もちろん、赤本満額の賠償金を勝ち取ります。  

14級9号:腰椎捻挫(30代男性・埼玉県)

【事案】

高速道路を走行中、渋滞の為、停車していたところ、後方から自動車が追突してきた。さらに、追突してきた自動車の運転手はアクセルとブレーキを間違えたらしく、2度もぶつかってきた。事故直後から頚部・腰部痛・手の痺れの神経症状に悩まされる。

【問題点】

とくに腰痛はひどく、仕事は休業が長期に。しかし、業務中の事故であったにもかかわらず、労災を請求していなかった。毎度のことだが、「労災か相手保険か」の2択ではない。両方に請求を上げる必要がある。 c_h_25 また、相手保険会社から打ち切りの打診が続いていた。連携弁護士から治療費の延長を働きかけたが、担当者は打ち切りを強行。

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 年内にできなかった歓迎会を、先日、事務員の補助者登録を機に正式に実施しました。  お店は近所の鉄板焼・Kurosawaです。隠れた有名店です。翌日のテレビで有吉さんが紹介していました。

2016010821260000 ( ← )築地の路地裏、古民家を改造したレストランです。風情があります。店内は黒澤 明監督の写真が随所にかけてあります。  お料理は前菜、スープに続き、フォワグラ、市場から上がった新鮮な魚、伊勢海老、契約牧場からの特上牛肉、そして、ワインリストも充実しています。スパークリング、白、赤と・・せっかくの事務所公式行事なので、奮発してシャトーマルゴー(サードですが)を開けました。さすがに○万円のワインはありがたい味です。

 贅沢は今日だけ、明日から経費削減にうるさくなります。そして、これから一年間、毎日勉強、馬車馬のように働いてもらいます。  

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 先日の記事はつまり、「交通事故・行政書士のレゾンデートル(存在意義)が揺らいでいる」状況を解説したものです。いずれ、「別に行政書士が交通事故を扱わなくてもよいのでは?」が世間の声となるかもしれません。

 それでも、未来を失ったわけではありません。私が推進しているのはあくまで「被害者救済業」、単なる「行政書士業」では括れません。根本に帰って、将来を展望、決意を表明します。  

 平素から訴えている通り、被害者側の損害立証が手薄なのです。特に後遺症です。これは専門性を要する業務で、それ程簡単にできるものでなく、また、簡単に扱われても困ります。

 前提ですが、弁護士にとって交通事故は数十ある業務の一つでしかありません。交通事故だけに専門特化した事務所などほんのわずか、全国でも数えるほどです。法律の専門家であっても、交通事故に精通している先生はごく一部なのです。”弁護士=交通事故のプロ”という構図は約束されてはいません。このような中、被害者にとって、本当のプロ=後遺症のエキスパートは潜在的に必要なものと断言します。

 保険会社を見ればわかります。保険会社には対人・対物事故の交渉担当者がいて、さらに自動車の査定を行うアジャスター、医療査定を行う医療アジャスターがおります。それだけではありません、顧問医、顧問弁護士、協力弁護士、そして、外注の医療調査会社・・完璧なチームを形成しているのです。

 翻って被害者の周りに味方はいるでしょうか?警察も病院もお役所も、裁判所も無料相談の窓口も、それぞれの立場で対処しているに過ぎません。被害者がお金を払って雇った専門家だけが、唯一味方と呼べるはずです。このように、被害者さんは”圧倒的に不利な戦いを強いられている”現実を自覚しなければなりません。

 現状の大手事務所によるクレサラ解決では埒の明かない、不慣れな弁護士による、間違った誘導で路頭に迷う被害者さんは大勢いるはずです。事実、毎回のように相談会に参加されています。今後もセカンドオピニオンが増加、大手事務所を見限った被害者さんの相談・依頼が続くでしょう。

 また、どれだけ大手事務所が毎月100件の受任を果たそうと、まだまだ後遺障害が見込まれながら立証不足で、もしくは賠償金も保険会社の基準額にて、保険会社と残念な金額で解決をしている被害者さんは水面下で大勢ひしめいています。未だ、被害者の皆さんに声が届ききってはいないのです。これは、多くの損保代理店さんからの情報、地方相談会の反響から確実にそう思います。その意味で、まず、ニーズを喚起している大手事務所のネット攻勢は、広く業界として歓迎すべきことかもしれません。そう、(交通事故被害者の)裾野は大変「広い」のです。

 そして、この業務、それ程軽薄ではありません。交通事故の知識は法律に留まらず、保険、医療が分厚い2枚壁として存在します。とりわけ、人体1000種にも及ぶ後遺障害の深遠があり、(交通事故業務は)とっても奥が「深い」のです。簡単に専門家になどなれません。高い専門性を持った業者でなくては、繊細な立証作業が求められる、深刻な被害者さんを救うことはできません。「より専門性を持った事務所へ」、被害者さんの賢明な選択に期待します。

 交通事故業界、もはや、「弁護士なら(誰でも)安心」の幻想から、「弁護士は選ばなければならない」現実に移行中です。    その潜在的なニーズに応える為にも、保険会社に対抗できる専門的、かつ強固な後遺症の立証体制を、被害者側に構築しなければなりません。これは、すべての弁護士事務所には期待できないものです。私がこの業界に入って、まず、弁護士との連携を率先して説いて回ったのは、弁護士はこの分野が手薄であり、それを補うべく、自らを技術集団とする構想を最初から持っていたからです。弁護士会に追い込まれて、「付き添い代理交渉⇒書面交渉⇒自賠責保険・代理請求」と変節してきた行政書士とは根本的に違います。

 どこまで行っても交通事故を解決させる権能を持つものは弁護士です。しかし、その守備範囲の外を補う役割は用意されているのです。問題はそれが顕在化していないこと、職業として確立していないことです。

saiga 弊事務所も組織化の過程にあります。目指すは専門家集団の確立です。例えるなら傭兵集団や軍事顧問でしょうか。

 戦国時代、戦国武将の影には雑賀・根来の傭兵集団や甲賀・伊賀の忍者が存在しました。それら技術集団が戦を陰ながら決したと言われています。そのような頼られる存在として認知されなければ、私達の存在価値はありません。この5年間だけでも、10を超える弁護士事務所と連携関係を結び、技術協力を継続してきました。    今年は今まで以上に、単なる行政書士事務所の枠に囚われず、被害者側の医療調査チームとして、存分の働きをお見せしたいと思っています。世の中に本当に必要なものは残るはずです。目指すはデニムのように強くしなやかな生地であり、世に広く定着した「定番」と思っています。

 現状をまったく逆境とは思っていません。常に新機軸を打ち出し、質の高い実績を積み重ねるだけです。そして、有意な人材をじっくり育て、輩出させていきたいと思います。    どうか、被害者の皆様はもちろん、業界の皆様も弊事務所に瞠目、そして、長い目で見守っていただければと思います。ご期待は重くも励みになるのです。    以上、暑苦しくなりましたが、今年の覚悟です。(このシリーズ、将来、出版の原稿になるかな)

 一年間、よろしくお願いします。   

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 「交通事故は行政書士に」、「後遺障害の専門家」、もうこれらの看板は傾いているかもしれません。

 交通事故分野に独自の努力で手を広げてきた先達は、確固たるものを残せたのでしょうか? 尚も看板を掲げる交通事故・行政書士の将来は?

 5年の回顧では足りませんので、もう少し歴史を辿りましょう。

 交通事故・行政書士は以下、3段階の過程を経て今日に至ります。10年前は賠償交渉を含んだ業務を行ってきました。    【第1段階】 付き添い代理交渉

 加害者側保険会社に被害者と同行して、「被害者の付き添いなので代理交渉ではありません」を建前として堂々と賠償交渉を行ってきました。違反ですが、保険会社は「あくまで裁判基準満額をよこせ!」と強交渉しない限り、割りと寛容に交渉に応じていました。行政書士の介入で示談が進めば、それなり解決スピードが上がります。弁護士と違って、安めで示談金もまとまりますし・・。何といっても強硬姿勢の行政書士には「先生、非弁行為ですよ」と言えば、黙りますので、やり易いのです。     これなら弁護士に任せた方が良かったのに・・

   【第2段階】 書面交渉

 賠償金請求書を作成し、被害者にその「書類=ペーパー」を相手保険会社と往復、交渉させます。もしくは、被害者に賠償金の計算書を持たせて紛争センターに送り出します。紛争センターも当初は第1段階のように付き添いをしていましたが、「行政書士、同席禁止」となってから、もっぱら「ペーパー」を使った、遠隔操作に移行しました。

 「書面を作成しただけなので、賠償交渉ではない」と、「とんち」で弁護士法違反を回避したつもりでした。しかし、詭弁は通らず、弁護士会が「けしからん!」と言えば、縮み上がります。逆に反抗、訴訟に訴えでた行政書士は悉く敗訴、誰がどう考えても「とんち」では切り抜けられません。一休さんの時代ではないのです。 8603563    交渉ができないのなら最初から弁護士に任せた方が良かった

  【第3段階】 自賠責保険の代理請求

 「賠償交渉」がいかなる手段でも駄目なら、「保険請求」なら順法であると、多くの赤本書士(書面による賠償交渉を行う)は徐々に「後遺障害の専門家」と看板をすげ替えだしました。

 自賠責保険は賠償保険ですが、審査は一方が行うので片面的、性質に争訟性がないと解釈できます。「ここまでは行政書士でも順法、OK」と、多くの弁護士に理解を得ることができました。一方、あくまで「自賠責保険請求も法律事務の一環である」と解釈する弁護士先生と意見が二分しました。

 それでも弁護士の多くが後遺障害認定業務を忌避してきた歴史があり、ある意味、ここでようやく行政書士は安住の地を得たのです。事実、弁護士を上回る造詣を持つ行政書士が、一定の地位を築いたと言えます。

 しかし、近年、弁護士も積極的に後遺障害に関わるようになっており、自然、業際問題が浮き彫りに。そのような中、会として交渉することなく、個別に訴訟に訴えた行政書士が自爆的敗訴、またしても安住の地は失われそうです。     【地位固めができなかった理由】

 結局、業界に確固たる地位を築けなかった理由は、

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ojigi5 ojigi15新年明けましておめでとうございます。

 営業日に欠かさず業務日誌を更新し続けてもうすぐ5年です。交通事故・被害者の皆様のお役に立つページを堅持すると共に、今年からは、より多くの皆様からご依頼をいただけるよう、事務所一同、より積極的なアプローチを心がけ、質の向上と努力を怠らず、勤めて参りたいと思います。     それでは、年をまたぎ、前回の続きを書きます。    行政書士ですが、10年ほど前から隙間産業的に交通事故分野に参入してきました。当時、弁護士はほんの一部を除いて、交通事故には積極的ではありませんでした。しかし、現在、交通事故分野の行政書士の命脈は儚いものになりつつあります。  ご存知の通り、保険会社の提示する賠償額と裁判で用いられる基準額があまりにも乖離しているので、行政書士による、「賠償請求を書面作成でサポートする」業務が生まれたのです。しかし、どう詭弁を弄しても、これは賠償交渉なので弁護士法違反のそしりを受けてきました。 続きを読む »

 年末年始恒例、一年の総括と一年の抱負ですが、今回は年末ギリギリまで業務が続いたため、年始にまとめて書くことになりました。少し大風呂敷なタイトルですが、年末・年始の4回に分けてUPします。例年のごとく、業界全体を俯瞰するような話で僭越極まりません。あたかも、熱湯風呂に手がかかった状態、後ろから押されるだけです。     さて、この一年の交通事故業界ですが、出入りしている十数事務所の状況を見るに、弁護士5~10人の中堅事務所は軒並み相談数・受任数が減ったようです。交通事故被害者の皆さんは多競争の中、相談・依頼先が分散したのでしょうか。私が見る限り、勤務弁護士3人以下の個人事務所は、そもそも相談・受任数が少なく、あまり変わっていないようです。やはり、中堅事務所はどこも大きく減少しているようです。昨年まで順調に受任を増やしていた優良事務所のボスも一様に嘆いています。やはり、大手に流れたと言わざるを得ません。つまり、この一年が分岐点、大手法人事務所の莫大な資金力が勝敗を決したと思います。

 この5年間、交通事故被害者向けホームページが雨後の竹の子のように林立してきました。まさに交通事故バブルの状態でした。背景を見ますと、元々、宣伝・広告に制限のあった弁護士が、数年前にようやくそれらが解禁されたこと、続いて、過払い金利息返還業務(クレサラ業務)の終焉を睨んで、二匹目のドジョウを交通事故に求めたことです。また、行政書士等、他士業の参入もささやかながら一因に入るでしょう。  c_y_184  特に大手法人事務所は毎月1000万円を超えるリスティング広告料金でwebを席巻しています。クレサラ業務の膨大な利益を税金でもっていかれるなら、交通事故の宣伝に投資できるのです。これは5年前から予想できた結果と言えます。  一生の内に交通事故に遭う事はそう何回もありません。しかも、97%は弁護士を使うほどでもない軽微な事故、保険会社の対応で解決します。つまり、依頼者は事務所ごとの業務内容や弁護士の力量を比べることができません。事務所側にとっては被害者をとにかく宣伝で引っ張り込めば、業務の中身や結果など二の次なのです。

 個人の弁護士さんでよい仕事をする先生は少ないながら存在します。弁護士の成績とも言うべき判例を獲得している先生は、頼もしい限りです。対して大手法人の場合、ボス弁はじめ、数10人~100人も弁護士がいながら、交通事故でたった一つの判例も獲ったことがない先生ばかりなのです。そもそも、交通事故裁判でガチンコの戦いなど皆無、せいぜい、ぬるい和解程度の経験です。ちょっと前まで、利息の計算しかしていなかった先生ですから無理もありません。

 その事務所の弁護士集団も他事務所を落ちた若手ばかり、そのしくじり先生?を毎年大量採用しています(聞くと、ほとんどの弁護士はその入所した大手法人が第一希望ではないそうです)。不幸なことに、この事務所には交通事故(仕事全般も含め)を教えてくれる力量を持った先輩弁護士は少ないはずです。危機を感じた先生は急ぎ出て行きますので、弁護士の入れ替わりが頻繁なのが頷けます。

 それでも被害者は事務所の規模や宣伝に釣られて、この事務所に依頼してしまうのです。いくら大量処理のクレサラ解決に対して、仕事の内容で勝る力量がある弁護士がいても、それは被害者に届かず、大手の宣伝に誘導されてしまいます。これはどの業界、他の商売でも一緒ですね。  大手法人の経営者は冷徹に商売の本質を理解・実践しているのです。限定的ながら、”経営者として”、素直に賞賛すべきと思います。最大の目的である「利益」を出しました。おまけに、広く浅くは被害者を救済しているのですから。

 大手法人は今後も毎月100件に届く受任を続けるでしょう。そして、その経験則は膨らむばかり、依頼者を取られっぱなしの弁護士はジリ貧状態のまま、いつまでも交通事故の経験則が上がりません。  

 現在、弁護士は36,415人(平成25年)。5年間、大勢の弁護士さんと仕事をしてきました。優秀な先生もいれば、駄目な先生もおりました。専門性の差、商売偏重か否か・・残念ながら弁護士も他のすべての職業に同じく、能力や対応には差があるということです。当たり前のことなのですが・・。

 明日は行政書士を反芻します。

 つづく  

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 ロシアに行ったのは最初のバンドが解散してからだから、ずいぶん前のことです。今年、社員にもっともウケた、ロシアの小話を披露します。年末なので、業務関係外記事もよいでしょう。    ある夏休みに長期休暇を取って、伏木港を出港、船でウラジオストクからロシアに入国、極東地域に遊びに行きました。一人旅なので、行く街々の広場や公園でギターの弾き語りをしました。ソビエト時代はもちろん、10年ほど前までは政治的に西側音楽を締め出していましたが、この時はビートルズもマイケル、マライヤも解禁、何の心配もいりませんでした。  特にビートルズは人気、リクエストも多かった。投げ銭で夕食代は賄えましたから!   IMG yjimage続きを読む »

win大結節骨折で可動域制限は認められるかについて。 kansetu_12  大結節骨折は肩付近に痛みが生じます。ひどい場合、人によっては肩が上がらないレベルの痛みにもなります。相談者の中には、肩が上がらないことで可動域制限による後遺症(後遺障害)はできないかと相談される方もいらっしゃいました。その方の画像を確認したところ、骨の癒合状態は良好でしたが、遊離骨片が残っていました。

 この相談者は、結論として、可動域制限は認められませんでした。

 何故なら、大結節は腕の肩付近のでっぱり部分にすぎず、この部分のみを骨折しても関節部分がやられているわけではないので、可動域制限は理屈上生じないからです。強い痛みが生じているため、肩が上がらないのはわかりますが、痛みが原因で肩が上がらない以上、ある程度の期間が経過すれば痛みが和らぎ、肩が上がるようになるといえます。

 痛みがある程度緩和しても肩が上がらないと主張される相談者ももちろんいらっしゃいます。その場合、大結節を含んで大きく骨折している場合や、大結節に付着している棘上筋が断裂している場合もあります。仮に筋肉や靭帯が断裂してしまうと、肩をあげるためのばねのような筋肉の伸び縮みができなくなってしまいます。 続きを読む »

win  大結節とは、上腕骨の骨頭部分(肩のところ)で、外側にあるでっぱり部分です。

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 大結節の骨折原因は、主に、直接大結節部分に衝撃を受けて骨折する直達外力タイプ(上腕骨が肩甲骨の関節窩に衝突して骨折する、大結節が肩峰に衝突して骨折する等。)と、衝撃そのものは大結節に生じてはいないが、別の部分に生じた衝撃によって結果的に骨折する介達外力タイプ(肩が脱臼し、それに伴う棘上筋の牽引によって骨折する等。)があげられます。

 前者は骨が砕けるイメージ、後者はバネのような筋肉の引っ張られる力によって骨が剥がれるイメージです。

 交通事故でも歩行者や自転車搭乗中、バイク運転中に衝突して転んだり壁に激突したりした際等で大結節骨折をすることがあります。

 症状である痛みは大まかにいえば肩付近に生じます。痛みの原因は骨折によるものがメインですが、それだけとは限りません。病院ではまずレントゲンを撮って骨折や脱臼を確認します。次に、介達外力タイプであれば特にいえることですが、骨折以外に、棘上筋等の筋肉や靭帯を痛めることがありますので、可能であればMRIを早期に撮ってもらうようにしてください。

 また、大結節骨折の骨の折れ方は、砕けたり剥がれたりするようなイメージです。このような骨折では、後に(遊離)骨片(骨のかけら)が残る可能性があります。そこで、MRIの他に、(3D)CTを撮ってもらってください。

 棘上筋そのものが大結節はく離骨折に伴ってはがれてしまった場合、靱帯に引っ張られて容易に癒合しません。その場合は手術で固定、スクリューではがれた棘上筋を上腕骨に打ちつける必要があります。    骨折や脱臼の有無はレントゲンのみで十分ですので、医師はMRIやCTを撮るという非常に面倒くさいことをやりたがらないのですが、保険手続きや後の後遺症(後遺障害)手続き等で是非とも協力してもらってください。症状固定時期の癒合状態は後の後遺障害等級に関わってくるからです。  20140508_3続きを読む »

 本日は埼玉代協南部支部から講師の拝命をいただきました。

 テーマは「超・約款解説~人身傷害保険」です。難しいテーマながら、気合十分、豪腕を振るいました。

2  人様の前でお話をすることは、何より自身の学習を促すことになります。レジュメを作成し、細部を調べ直し、一心不乱に解説を加え、時には講習参加者の皆様の表情から論調に変化を持たせ、質問を募り答えていく・・・これで勉強にならないわけはありません。

 習得した知識、経験は研修講師をすることにより、整理・体系化されていきます。経験則は正に講師を務めることで完成するものと思います。それでも反省点、かえって疑問が生じた点、講義が終わったあとに改めて調べ直すことも多々あります。また、参加者の皆様から示唆に富むご指摘や、業界の最新情報を得ることができます。

 今年は講師業もコンスタントに行うことができました。来年も2ヶ月に1回程度は研修を実施していきたいと思います。    お呼び下さったI社長、開催準備に奔走下さった理事の皆様、そして参加された皆様、ありがとうございました。懇親会も二次会も楽しかったです!   

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 続きまして、3メガ損保を比較してみましょう。まったくの横並びと思いきや、わずか違いがあるようです。もっとも、支払基準には社内マル秘運用マニュアルがあり、事案によって増減の調整があることもあります。そして、裁判となれば、和解・判決の額を渋々支払います。

 いずれも27.10改定約款を確認しました。地裁基準は「赤い本」です。

 かなり面倒、マメじゃないと出来ない作業です。   c_s_k_70

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近年、目まぐるしく毎年改定をしている保険約款ですが、割と保険金の額は一定でした。それでも、各社、わずかな変更があるようです。最新の慰謝料額を下記にまとめました。

地裁基準は「赤い本」から。任意保険は損保ジャパン日本興亜を参照。

これは今月の研修でレジュメに挿入したものです。(平成27年10月~約款を確認)

 

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win 前回の続きです。

4:保険会社と揉めてしまい、弁護士を入れられた後の相談

 物損の交渉で、金額が納得いかないで保険会社と揉めてしまうことがあります。その金額が相場通りであったとしても、納得できずに争ってしまうことがあります。

 ある相談者は、物損の金額が相場通りであっても納得いかずに保険会社と揉めてしまい、弁護士まで入れられたことがあります。弁護士を入れられると、その後の治療費はおろか、後遺障害の申請にも影響が出かねません。特に、ムチウチ等の場合、神経症状が医学的にはっきり出ることは少なく、つまり、証拠が乏しいものです。したがって、調査事務所に症状を信じてもらうことが最大のテーマです。保険会社と揉めていることや弁護士を入れられる等、その被害者は揉める人だと見られてしまうと症状を信じるのに抵抗を覚えられかねません。   20120120_1  納得いかない点があって争うにしても、感情的に走らず、喧嘩せず、周囲の意見を集めてからでも遅くはありません。   5:漫然と通院し続けた後の相談

 治療をしても症状が緩和せず、辛い思いをし続ける交通事故被害者が相談に来ることがあります。持参して頂いた画像や診断書、本人の症状を確認していくと、現在通っている病院の医師(主治医)の診断のみではなく、他の専門医や専門的な検査ができる病院を紹介して頂く必要があった場合もあります。

 早期に相談に来られた方は余裕をもって検査や転院、セカンドオピニオンが可能です。しかし他方で、事故から半年経過し、保険会社から治療費を打ち切られてしまってから、あるいは打ち切り寸前で、まだ症状が緩和せずに相談に来られた方もおります。

 当然診断書には該当しそうな診断名が無く、専門医に診てもらえず、とても申請にあげられる状態ではありませんでした。なお、中には漫然と通院し続けた後で、かつ前回述べた、後遺症(後遺障害)の申請をしてからの相談者もおりました。   6:長く治療を受けすぎた後の相談

 交通事故で保険会社は、打ち切りにならない限り、基本的に症状固定日まで治療費を出してくれます。特に重傷者の場合、保険会社は治療費を長期間出してくれる傾向があります。治療費を出してくれるのであれば、打ち切られるまで通院した方がいいのではないか、完治を目指して通院を継続したいのだから治療は長いことに越したことはないのではないか、そのような声をよく耳にします。勿論、私達は交通事故被害者の怪我が完治することを望んでおります。しかし他方で、治療にはお金がかかること、保険会社はいつまでも治療費を出してくれるわけではないこと、また、医者は懸命に治療をしても怪我によっては治療費が打ち切られても完治しきれず、長期間治療をする必要がある場合もあることを知っています。

 ある程度まで治療した後、症状が安定したころ、医師から症状固定の話が出てきます。保険会社は傷病名から社内的な基準の治療期間で、医療照会等をかけて治療費の打ち切りを検討します。そして、被害者は怪我が完治しなかった場合、遺症(後遺障害)が残ったまま治療費支払い終了を迫られます。

 しかし、長期にわたった治療で治りかけた怪我の症状が残った場合、後遺症(後遺障害)の等級が低いレベルで出される可能性があります。すると、将来にわたって治す予定の怪我の治療費がその分安くなってしまいます。最悪、低い等級のために将来の治療費を賄うことが困難になってしまうこともありえます。被害者は治療をしつつ、相手方加害者や相手方保険会社等を相手に損害賠償請求をする必要もあります。よって、被害者は怪我を完治したい場合、怪我の重さから後遺症(後遺障害)について視野に入れつつ治療を継続し、医師の治療の見通しや保険会社との折衝について考えなければなりません。  f_c_031続きを読む »

 鎖骨の骨折は手術でプレート固定をすることにより、変形なく癒合させている傾向です。しかし、プレート固定術が一般化する以前は、鎖骨はほって置いてもくっつくし、多少、変形しても日常生活に影響ないものとして、医師も積極的な治療をしないものでした。  sakotsu001_20130629132258←プレート固定  したがって、プレート固定術は現在であっても高齢者の場合、手術・麻酔の負担から避ける傾向にあります。すると、クラビクルバンドで外固定しますが、多くの場合、変形が残ります。それを知っているのか、いないのか?これが運命の分かれ道です。

 医師は臨床上、「この程度の変形は”変形癒合”とは言えない」と判断します。また、示談前に保険会社が親切に「鎖骨に変形が残っていませんか?」と心配してくれる事などないのです。  

12級5号:鎖骨骨折(80代女性・神奈川県)

【事案】

交差点を歩行横断中、対抗左折車に衝突された。骨折は左鎖骨骨幹部、左肋骨、両恥骨。肋骨と恥骨は亀裂骨折なので保存療法、鎖骨も高齢から観血的手術によるプレート固定を避け、クラビクルバンドで固定とした。

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 昨日から秋田へ病院同行のため逗留。

 ボスは寒風吹きすさぶ東北遠征「みちのく一人旅」、部下は暖房の効いた事務所でぬくぬくとクリスマス気分で事務仕事に従事しています。これが秋葉事務所の実情です(泣)。  

namahage「交通事故被害者はいねぇが~」

   まともな休日は皆無ですので、出張のついでに温泉に浸かり、移動中に寝る、仕事の合間に休む、これがすっかり身について5年です。日本一イスに座っていないリーダーかも?

 事務所スタッフは厳しい研修の中、日々成長中です。被害者さまの窮地を救う実力者の育成には時間がかかります。今はただ、部下の成長をじっくり待っています。

 本日、夕方に戻ります。電話の折り返し、メール返信は夜までにします。  

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 最近はどのホームページでも後遺症の解説が充実してきました。以前のように、とりあえず「交通事故110番」で調べる?、作業も減ったようです。それは「交通事故・弁護士」用のホームページ雛形が販売されていることと無縁ではないでしょう。(似たようなフォームなのですぐわかると思います。専門家を名乗りながら”買った記事”で勝負するなど、少々恥ずかしい感じがしますが・・)その雛形を作成している業者さんは、はっきり「交通事故110番」のHPや書籍を参考にして書いていると言っています。

 さて、自賠責保険の認定基準は公表されている労災基準に準用としているだけで、詳細を明かしていません。私達、弁護士や行政書士はあらゆる専門書を頼るも、結局、経験から割り出していることが多いのです。

 醜状痕の認定等級は以下のとおりです。完全な一覧表のUPは業界初ではないでしょうか。  

自賠責保険 醜状障害の新認定基準後遺障害認定等級(平成23年改正)

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win  毎月交通事故の無料相談会を開催しております。 012-1  相談内容を聞きますと、時機を逸してしまっているケースもありました。それらを遅かった、遅すぎた相談案件として、以下に主なものをまとめました。お心当たりがありそうな方は、本当に手遅れになる前に一度ご相談下さい。   1:示談した後の相談

 相談者の中には、既に示談してしまった方もおりました。この点、交通事故の損害は物損と怪我等の治療費や慰謝料の二つに分けられます。保険会社の物損の提示額は、基本的に可もなく不可もない金額で収まることが多く、大抵は物損のみを先に示談します。

 しかし、相談者の中には怪我の後遺症(後遺障害)を示談してから相談される方もおりました。通常、一度示談してしまえば二度と交渉できません。例外的にできるのは、新たな証拠(示談するまでに分からなかった怪我があったこと)が出てきた場合ですが、認められる可能性はほぼゼロに等しいです。

 示談するかどうかについては、後遺症(後遺障害)の場合特にいえますが、一度弁護士等に相談してみてください。相談のみであれば無料の事務所は多く存在しています。   2:後遺症(後遺障害)の申請をしてしまい、等級の結果が出てしまった後の相談

 申請した結果認められた等級が正当であれば、後は弁護士に交渉して頂くのみですが、等級の結果に納得がいかない場合や低すぎる等級が認められる場合もあります。

 一度申請をしてしまうと、異議申立で等級を覆すのは非常に困難です。日本全国でも異議申立の成功率は約7%です。申請する前には一度後遺障害診断書を相談会にご持参ください。まだ必要な検査が残っているかもしれません。   3:主治医に後遺障害診断書を書いて頂いた後の相談

 これは、上記した申請した後の相談よりも大変な場合があります。医者が一度書いた診断書は加筆修正してもらえないことが多いのです。何故なら、医者は多くの患者を診ており、とても多忙だからです。

 一度診た後、医者はカルテを見返しながら診察状況を確認しつつ治療していきます。そのような中で医者が最も書きたくないであろう後遺障害診断書を書いたにも関わらず、後から「検査をもう一度やって欲しい」等とお願いした場合、医者の機嫌を害する可能性は極めて高いといえます。 続きを読む »

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事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

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部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

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