「人身傷害」と「無保険車傷害」の併存問題、続いて東京海上日動の整理を見てみましょう。
 
(3)東京海上日動

人身傷害条項 第5条(支払い限度額に関する特則)

(1)第4条(お支払いする保険金)(1)ただし書の規定にかかわらず、下表のすべてに該当する場合は、1回の人身傷害事故について当会社の支払う保険金の額は、被保険者1名について2億円を限度とします。

① 第1条(この条項の補償内容)(2)の表の①に該当する事故のうち、無保険車の運行に起因する事故により人身傷害事故が生じ、その直接の結果として、第4条(お支払いする保険金)(2)の表の②または同表の③に該当すること。
② 賠償義務者があること。
③ 保険証券記載の保険金額が無制限以外であること。
 
 ①は読みづらいですが、従来の無保険車による傷害事故を指しています。②は事故の相手がいること、つまり、自爆事故ではないとの意味です。③は人身傷害の限度額が無制限であれれば、無保険車による被害は2億円ではなく無制限とします。

 要するに内容は三井住友と同じです。人身傷害約款に無保険車傷害を吸収させました。すると、三井住友同様、人身傷害を付保していない契約はどうなるのか?東海日動はしつこく?、いえ、論理的に整理しています。
 
18  無保険車事故傷害特約

第1条 (この特約の適用条件)
 この特約は、この保険契約に対人賠償保険が適用され、かつ、人身傷害保険が適用されていない場合に適用されます。

19  無保険車事故傷害特約不適用に関する特約
第1条 (この特約の適用条件)
 この特約は、保険証券にこの特約を適用することが記載されている場合に適用されます。
第2条  (無保険車事故傷害特約の不適用)
 当会社は、この特約により、無保険車事故傷害特約第1条(この特約の適用条件)の規定にかかわらず、無保険車事故傷害特約を適用しません。

 
 19の特則は人身傷害付きの自動車保険すべてに、自動的に適用されます。人身傷害で無保険車傷害も補償されているので、無保険車傷害特約はいらないことになります。ただし、人身傷害がない契約は、従来どおりの無保険車傷害(2億円限度)が必要であり、18 無保険車事故傷害特約を残しています。

 その他の保険会社はどのように整理しているのか・・現在、確認中ですが、東海日動、三井住友の「吸収型」か、損保ジャパンのように、旧来の約款に「人身傷害を先に請求、足りなければ無保険車」、とした「序列型」に分かれるようです。いずれも約款を作成している方々の苦労がしのばれます。
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 このような時、大事なのです、無保険車傷害は・・
  
 約款の整理は済んだとしましょう。しかし、どうしてもぬぐい切れない矛盾と、それに対する各社の回答は次回に。 続き⇒