最初に言います。

 私は無料が嫌いです。  

 なぜなら、「無料です」には必ず隠された意図があるからです。それがわかると少しキズつきます。そもそも「無料で」誰かに助けてもらおうなどとは、恐縮してできません。昔からタダほど高いものはないと言いますが・・・。

 巷には無料の文字が大氾濫しています。交通事故業界然り。かくいう当ホームページでも交通事故の相談会には無料で誘致しています。だからこそ言い訳じみていますが、相談会について綺麗ごとを並べず本音で語ります。おなじみQ&A方式で。  

Q1)「無料でも結局、商売目的でしょ?」  

A1)商売上の目的ですねと言われれば、「はい、そうです」と答えます。しかし職業上の倫理観とプライドは持ち合わせています。お金儲けで北海道から沖縄まで飛び回っていると思いますか?(ちなみに両方とも飛行機代・宿泊費は手弁当です。) 重篤な障害を負った被害者から、むち打ちの相談者まで、私の知識やアドバイスだけで上手く解決まで進めることができるのなら、それでいいと思っています。しかし残念ながら毎回、その中で一人ではどうにもできない状態の被害者も含まれるのです。その際、具体的な作業が生じれば、希望で有償対応とします。結果として残念ながら「今日は一日ボランティアで終わったね」という相談会は少ないのです。  

Q2)「しつこく契約を迫られるのでは?」  

A2) キャッチセールスであるまいし、人様の一大事に付け込んで・・・。そんなことをすれば士業は懲戒の対象となります。むしろ、私達ではお役にたてない、もしくは手助けの必要がない被害者が「なんとかお願いします!」と懇願してきた場合、それをお断りすることに苦慮しています。交通事故の場合、法律家が介入すべきか否かの判断が大切です。被害者の利益を考えると、御代を取ってまでお手伝いする必要のない事案も多いのです。すべてが契約の対象ではありません。  

Q3)「無料相談会はしょせん無料、それなりの対応では?」  

A3)そのような方こそ無料なのですから実際に来て下さい。交通事故相談は有料・無料で内容に差をつけることなどできません。差があるとすれば、それは相談を受ける者の力量の差と思って下さい。私も自分の仕事になるわけでもない遠隔地の相談会に勉強のために参加しています。昨年は一年で500人に及ぶ被害者とお会いしました。またグループの強みとして毎月複数都市の開催を可能とし、その規模、参加人数は日本でトップクラスと自認しています。必然的に膨大な経験則が得られるのです。常に実力をつけるべくチームで研鑽を図っています。  

 色々な交通事故相談があります。弁護士の法律相談、行政書士の後遺障害申請相談、保険会社の保険請求相談・・・でも色々と回る必要はありません。手前味噌ですが私たちは弁護士、行政書士、保険調査員、保険代理店、NPO法人等々、各分野のスペシャリストが揃っています。つまりワンストップサービスです。

 机上も専用アイテムで溢れています

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 本日は支部の行政書士有志の研修会です。今年から新人書士の方が4名新加入し、私もようやく新人を脱したような気分です。しかし後輩の皆さんに業務を教えられるほど、行政書士の業務の経験がありません。交通事故業務一筋でやってきたので、会社設立業務は、ほぼ素人です。新人の先生方と一緒に電子定款の作成について実務を勉強しました。

 行政書士が申請代理もしくは作成できる文章は2万種と言われています。大変すそ野の広い士業と言えます。そのなかで交通事故業務は比較的新しいジャンルです。しかし代理権のない行政書士にはできる業務に制限があります。メインとなる代理交渉は弁護士の仕事です。行政書士はある程度、代書行為ができるにすぎません。したがって、その業務範囲について法的解釈が分かれます。

 一般的に自賠責保険の代理請求は単なる保険請求手続きの代行で、「事実証明」と「意思表示」に分類される行為であり、「代理」ではないという法的解釈となります。しかし相手もしくは相手保険会社と賠償交渉のやり取りとなれば、これは「代理」交渉となりますので、代理権をもつ弁護士の業務範囲となります。学術的にはそうなりますが、なかなか線引きのあいまいなところもあり、いくつかの弁護士会では、「保険請求も賠償交渉の一環である」と解釈しています。長じて「交通事故の相談」、「後遺障害の申請」と銘打つだけで弁護士法72条違反と主張してきます。これはかなりヒステリックな解釈で、一般的に交渉とならなければ事実証明に留まるはずです。

 しかし、一部の弁護士は半世紀も前の判例(自賠責の代理請求は法律事務で非弁行為に当たる)を持ち出して来たり、これまた行政書士も半世紀前の自治省(現総務省)回答(こっちは遵法)を持ち出してきたり・・不毛な応酬が目につきます。法律家を名乗るのであれば学術的に法解釈すべきで、現況とかけ離れた半世紀前の規範に拘泥せず、時代の変化・要請に応じた自らの考察をしてほしいと思います。

 もちろん、そのようなことは弁護士会、行政書士会の双方はわかりきっています。双方の利害に関わる問題なので慎重、積極的に線引きをする気はないように思います。それは特に悪質な個人を取り締まるだけで、「自賠責請求業務は非弁である、もしくは遵法である」を双方、全体(会)に対して申し入れをしないことから伺えます。所詮、この問題は業際争いなのかもしれません。

 解釈上の問題がある以上、行政書士会でも積極的に交通事故業務を推進している支部、距離を置いている支部と分かれています。私はそのどちらに与するものでもありませんが、実務上の線引きは望まれます。あいまいなままでは被害者が迷ってしまいます。

 常に多くの交通事故被害者に接している私としては、行政書士でありながら、他の行政書士の交通事故業務には眉をひそめています。弁護士の分野までこそこそ介入している赤本書士が実に多いのです。毎度主張するように、それは被害者の利益に反すると思います。なぜなら仮に優秀であっても法的制限のある行政書士と、有能な弁護士の仕事を比べれば、後者の方が被害者の利益になるのは明白です。となると行政書士は事実証明、交通事故でいえば損害の調査、後遺障害の立証にその能力のすべてを注ぐべきと思います。

 残念ながら、これはかなり専門性の高い分野、行政書士の資格を取っただけの人には相当ハードルが高いと言えます。そもそも交通事故に関する知識は、行政書士試験にまったく関係ありません。「私は行政書士だから専門家です」という物言いは噴飯ものなのです。

 幸い私は学校を卒業してから20数年、交通事故業務一筋です。さらに弁護士と連携、一緒に仕事をしている私には非弁行為の問題は起きません。それでも、交通事故業務をする行政書士として、稀に疑いの目で見られることがあります。実にうっとおしい問題なのです。  

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 本日は某弁護士事務所にて打ち合わせ。

 交通事故専門事務所として大御所の先生、最近、他事務所を解除してくる被害者の多さに辟易しているそうです。その事務所とは、クレサラ業務(過払い金利息返還請求)で急成長した余勢をかって、交通事故に乗り出してきたカタカナ大手法人事務所です。私はそれら弁護士事務所のアグレッシブな姿勢と旧弊を破壊する若い力に共感をしています。しかし肝心の被害者対応については、実態を聞くと暗澹たる気分になります。

 大御所の先生によると・・・そもそも裁判経験が少なく、一度も判決を取ったことがない弁護士が、後遺障害が重度な事案を受任し、保険会社と妥協的な示談を進めたり、裁判となってもしっかり戦ってくれず、敗北に等しい和解にのってしまうそうです。重度の障害を持った被害者は、その交渉、裁判にその人の一生がかかっているのです。クレサラ方式で事務的に保険会社と示談されるわけにはいかないのです。また最初から戦う気のない和解前提の裁判など到底容認できるものではありません。  そのような被害者が既に契約している弁護士を見限って相談にやってくる件数がうなぎ上りだそうです。多くはその弁護士に不本意な進行をされ、ぐちゃぐちゃになっているそうです。これを先生は「被害者の二次被害」とまで断罪しています。

 やはり弁護士も私たちも人生を賭けた戦いを引き受ける覚悟、そしてなにより実力が必要と思います。安易にクレサラ方式で処理できるほど交通事故は甘くありません。なぜならいつも言うように東京海上や損保ジャパンは武富士やアコムではないのです。年間数万件の交通事故処理をしているプロ中のプロなのです。弁護士も相当の経験、実力がなければ太刀打ちできません。クレサラ業務は専用ソフトに入力すれば計算されて、後はサラ金に送りつけるだけです。それらの事務は事務所の補助者がやるので、弁護士はいるだけでいいのです。このような濡れ手に粟の業務ばかりしてきた弁護士になんの力があるのでしょうか?委任解除されても仕方ないと思います。そのくせ商才ばかり先立ち、弁護士費用特約で、不合理もしくは法外な費用を保険会社に請求し、保険会社から猛烈に嫌われています。その法人事務所を懲戒請求すると息巻く保険会社もあります。

 大手法人は莫大な資金でテレビ、ラジオ、ネットで派手な宣伝を展開し、出版やHPで専門家を謳っています。多くの被害者はまずそれに目を引かれてしまいます。マーケティングの観点でいえば、「多くの方は交通事故など初めてで、弁護士の比較ができない以上、宣伝で引っ張り込んでしまえば勝ち」となります。しかし交通事故はスマートホンを各社比較して買うのとは別次元の問題のはずです。被害者もその真贋を見抜く目を持たねばなりません。    もし弁護士事務所に相談する際、次の質問を用意して下さい。

 「先生はこのケガでの裁判を経験したことがありますか?」

 「先生は交通事故賠償で判決を取ったことがありますか?」

 これに対し納得のいく回答ができる弁護士は極めて少ないことを覚悟して下さい。これは専門家と名乗っている行政書士にも言えます。それだけ日本の交通事故業界は保険会社による示談交渉が80%を超え、超保険会社主導社会なのです。

 最後に知人の保険会社担当者の本音を。

 「カタカナ弁護士法人が被害者につくとある意味ホッとします。この交渉は安く上がりそうなので(笑)」

 すげぇー悔しいです。私自身はもちろん、連携する弁護士先生はこのように思われないよう、もっともっと実力をつけなければならないのです。

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 本日サッカーワールドカップアジア最終予選、日本vsオーストラリア戦です。引き分け以上で予選突破です。今夜決めたいですね。

 さて半月板損傷の長友選手が復帰しそうです。かつて本田選手も経験した半月板損傷、これはサッカー選手の職業病、かなり多いケガです。交通事故外傷でもおなじみで、大腿骨や脛骨の顆部骨折で一緒に痛める症例を何度も経験しています。その際、外傷による完全な断裂であれば、文句なく後遺障害の対象となります。しかし微細な損傷では陳旧性(古傷)の疑いとなります。これを読影するには専門医の力を借りねばなりません。最近、専門医の診断に立ち合い、初歩的な指導を受けてまいりました。

 まず復習→ 半月板損傷・・・専門医の診断から

 それではお待たせしました。「わさわさ」した画像を見てみましょう。

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 昨日夕方、近所のバーでビールを飲みました。事務用品の買い物の帰りです。明るいうちにビールは美味しいです。しかし一つ困ったことが・・・それは足が  だったことです。このままでは飲酒運転に???

 道路交通法上、自転車は軽車両に分類されます。れっきとした車両?なのです。したがって原則論で言えば、例えビール一杯でも酒気帯び運転で、違法行為になります。今までは厳密な法の適用がされない飲酒自転車でしたが、自転車の加害事故、被害事故の増大に伴い、東京都では厳しい取り締まりが行われ、実際に免停の処分(自動車免許の)を受けた話も聞きます。これは極端な例(泥酔かつ危険運転)と思いますが、やはり違法は違法です。

 仕方ないのでてくてく手押しで帰りました。

 交通事故においても最近目立つ過失割合の修正要素です。例えば交差点で横断歩道上を自転車で走行中、左折自動車が自転車を巻き込んだ事故の場合、普通歩行者では過失0となります。しかし「自転車走行中では過失が5~10ある!」と相手保険会社が主張してくる時があります。つまり自転車走行中は道路交通法上、歩行者扱いはしない=軽車両だということです。まさか幹線道路で自転車を手押しで渡らなければ車両扱いとなり、かつ注意義務ありとは法を逆手に取った主張に思えてなりません。実際に判例上、認めたケースもあるようですが、万人が納得できないケースと思います。

 確かに危険な走行をしている自転車が多いのは事実です。厳格な法の適用は、自転車事故の増加によりもたらされたようです。

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 最近、重篤なケガの依頼が続いています。毎度、初期対応が大事です!と訴えていますが、私の心配など無用とばかりに、特に問題も起きず、なんと言っても保険会社が優しく、支払いについて何も渋らないそうです。これらはつまり、誰が見ても重篤なケガで、重い後遺障害が確実な被害者です。

 最近でも脳障害で3級が予断できる被害者、両足の骨折と神経麻痺で用廃の6級が見込まれる被害者さんに対する保険会社担当者は実に親切丁寧な対応です。そして治療費や休業損害はもちろん、装具代、自宅改造費用、差額ベット代やタクシー代等、無茶な項目でなければ快く支払に応じてくれます。

 さて、このような保険会社担当者の対応を分析してみましょう。(つまり保険会社の本音を言います)

 重い障害が必至で症状に疑いのない被害者さんに対し、もし厳しい対応、支払査定など行ったらどうなるでしょう・・・確実に被害者の敵意は向上します。すると弁護士に依頼され、高額な賠償金を請求してきます。そうです、本当に重い被害者は絶対に怒らせてはいけないのです。高い後遺障害等級が認定されますので、数千万円の賠償金が発生します。これを裁判基準ではなく、保険会社基準で示談させることに成功すれば、仮に4000万円の支払いが2000万円に節約できます。つまり保険会社は2000万円の支払を防ぐためにどうすればいいか必死になります。それが「優しい対応」なのです。私はこれを「仏顔作戦」と呼んでいます。それだけ保険会社基準が安すぎるのがそもそもの問題ですが。

 この保険会社の作戦、もとい被害者救済的対応が成功すれば、被害者も示談のときに「大変、お世話になりました」と言わないまでも、保険会社の提示額をベースに交渉、少し上乗せしたくらいで判を押してくれるかもしれません。

 ちなみに示談までに支払った治療費、休業損害は当然ながら既払い分となります。問題となるのは様々な費用、雑費などが精神的損害である慰謝料から差っ引かれることがあることです。今までの気前の良い支払いは何のことはない、示談金の前払い、ということになります。「仏顔」の裏には「鬼の顔」も隠れていることがあるのです。最後に泣かされてはたまりません。

 保険会社と喧嘩するのは愚の骨頂ですが、懐柔されるのも問題です。

 被害者とは常に冷静、クールかつ賢明、クレバーでなければなりません。

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 昨日はつい2週間前に事故に遭った被害者と面談、入院先で本人はもちろん、ご家族、主治医とお会いしました。

 初動の内容について少し語ります。

① 本人・・・まずは症状の確認です。実際に傷を確認したり、関節の動きやしびれなどを聴取します。この先、予想される後遺障害の予断を行います。さらに既往症なども聞き取っておきます。ここまでは事務的な作業ですが、なんといっても解決に向けて少しでも早くお会いすることが、安心につながるのではないかと思います。まずはご不安、心配を取り除き、治療に専念していただきたいのです。

② ご家族・・・交通事故の解決に周囲の協力は欠かせません。動きが取れないご本人に代わり、事務が目白押しです。それらをサポート・代理するために、ご家族との協力体制を築く必要があります。さらに対保険会社、対病院等の対応について事前対策を授けておくのです。とくに健保や労災の使用について正しい選択を促すことが可能です。

③ 主治医・・・加療は当然として、今後の検査等でお世話になるのです。ご挨拶が叶えば僥倖です。あとは症状について2~3質問するだけでOKです。協力的な医師であれば私も安心です。                                          とかく被害者(相談者)はもめてから相談にお越しになります。取り返しのつかない状態になっている方も多いのです。しかし上記の①~③が受傷初期に成されていれば、今後、問題が生じても「あ、聞いていた展開だ、アドバイスに従って回答しよう」と余裕をもって対処することが可能で、間違った方向へ行かずに済むのです。

 そのために、受傷直後にご相談いただければ入院先へもお伺いします。

 今回の被害者も実利ある解決に向けてロードマップが敷かれました。

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事故を起こすと更新謝絶?

 代理店契約、通販型契約共に事故の常習者は保険会社から継続契約を断られます。毎年のごとく事故を起こした人、一年に2回以上保険を使った、その他モラルに問題のある契約者・・・これらが大同小異あれ、各社の内部規定で次年から契約謝絶となります。

 じつはここにも代理店契約と通販契約の数字や文章に表れない違いが存在します。私の代理店営業の経験では、1年に2度保険を使った契約者の更新は「営業社員の事前許可」が必要でした。例えば、ドアを車庫にぶつけて修理費10万円を保険を使って修理した契約者さんが、運悪くその年に交差点で出合頭事故となり、お互いの保険会社の示談で20:80で解決しました。これで2回事故となり、事前許可が必要な契約となります。

 しかし、私は会社の担当者に「善良な契約者さんでたまたま運が悪かっただけです」、「他に火災保険も加入してもらっています」、「次年度以降は無事故の指導を徹底します」・・・等々、大切な契約者さんを守ります。すると担当者も「秋葉さんがそこまで言うのならOKですよ」とほぼ継続許可となります。もちろん、契約者さんがあまりにも交通事故の常習者であったり、性格に問題あれば、私も更新契約はお断りです。ここに無味乾燥な契約関係に人間味が加味されるのです。

 対して通販にとっての契約者は知人の紹介でもなんでもなく、会ったことも見たこともないインターネットや郵便を介しただけの関係です。本音では「長い期間、事故がないから他社より安く引き受けているに・・・2度もかよ!」となります。そして数字だけでの判断(1年に事故2回)で更新契約は謝絶となるのです。さらに、

 いざという時の事故! さぁ解決で頑張って欲しいところですが・・・ここでも差がでると思いませんか?

〇 しっかりとした事故対応をして顧客の信頼獲得、来年も継続してもらおう!→代理店

● ややこしい事故を起こしてからに・・面倒な事になったら・・・来年は謝絶か?→通販

   このような構図にならないか心配なのです。継続してもらうために頑張る代理店、来年の更新を考慮しないかもしれない通販・・・。私の経験では、大きな事故を起こした人、保険会社に厳しい物言いをした人で、通販の契約者はほぼ次年度は違う保険会社に移っています。おそらく謝絶されたのでしょう。

 謝絶文を掲載します。  これを受け取った契約者は「失礼な!」と憤慨するわけです。

 私は決してアンチ通販ではありません。やはり安い掛金が最高の顧客サービスであるとも言えます。しかし安くても同品質ではないこと、そして契約も結局は人と人との信頼関係であること。それらを考えさせられるのが「代理店契約vs通販」の比較ではないかと思います。 

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 「自動車保険はどこがお勧めですか?」、「自動車保険はどこがいいでしょうか?」・・・交通事故で難儀した被害者の方からよく聞かれる質問です。

 各社、掛け金、補償内容とも違いがあり、一口に〇〇損保がいいですとは言い難いものです。契約者はネットや広告で色々と比較していますが、どこの会社もリスク細分型(細かく使用条件を絞る)ですので、大差はなく、どこの会社であってもしっかりと保険設計をすることが重要と思います。

 しかし、従来の代理店を介した契約といわゆる通販型では厳密な差が存在します。違いは以下の通りです。

① 代理店が契約を仲介する場合、その代理店は営業担当者となりますが、通販型は損保対顧客ですので、決まった担当者はいません。通販でも「専任制」とうたっていますが、これは事故が起きたら事故処理担当者が選任されることを指します。 ② 通販型は掛け金が大幅に安い。仲介する代理店の手数料分がないのが決定的な価格の差です。

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 飛行機代が安いと思ったら、沖縄は現在梅雨で連日雨です。東京はかんかん照りでしたが、奄美大島を超えるとどんよりした雲の中に・・・。 この時期は観光客も少なく、観光代金は安いようです。さらにタクシーが初乗り500円、居酒屋や飲食店も地元の方が利用する店は一様に安いのでびっくりです。

 さて、今回の相談者はむち打ち中心に10名あまり。傷病はむち打ちが中心でした。傷病の傾向について特に地域性は感じませんでした。接骨院偏重で後遺障害の認定困難、不定愁訴(なんだか調子悪い)が長期化した、骨折箇所がはっきりしない、などおなじみの相談が続きます。しかし自覚症状では「手指がしびれて三線が弾けない」など、沖縄ならではの訴えがありました。 他に気付いたことは、当地の損保は大同火災が多い。首都圏では珍しい損保会社ですが、那覇でのシェアは圧倒的のようです。それ以外ですとJAが多かった。付保内容については弁護士費用特約の付保率が低いように感じました。  やはり那覇は都会、より地域性を感じるには北部の名護や、離島の石垣島などが検討に値すると現地の弁護士先生の分析です。(スキューバ、釣りなどの準備が必要?)

 T先生、S先生、K先生、MCTさん、事務所の皆様、新鮮な環境で大変勉強になりました。ありがとうございました。うちなーとないちゃー共同の相談会でした。   

 翌日は国際通りをぶらぶら・・・

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 午後は被害者面談1件、弁護士と打ち合わせ後、羽田空港へ。明日の那覇相談会に向け、夜から現地入りです。

 昨年から勉強のため全国各地の交通事故相談会に参加していますが、沖縄は初です。日本は全国共通の法律、交通事故でいえば、道路交通法、刑法、民法を根拠に解決を図ることになります。しかし世界ではこれは当たり前のことではありません。アメリカには州法があり、場合によっては連邦法より優位に作用することがあります。道路交通法や軽犯罪法などは量刑に州ごとにかなり差があります。また極端な例ではパキスタンのアフガニスタン国境、カイバル峠の一帯”トライバルエリア”です。この地域はパシュトゥーン族の自治地域としており、パキスタンの法律は適用外としているのです。

 さて、話が飛びましたが、日本でも日本の法律で単純にくくれない地域があります。それは米軍の基地内です。特に基地の多い沖縄では大問題です。基地内はあくまでアメリカとしても、基地の外ではアメリカ人の法的な立場が問題となります。交通事故で説明しますと自賠責保険加入は日本では車を運転する上で法的義務です。しかしアメリカ人に厳密に適用できるかが議論となります。これについて憲法に詳しい弁護士の先生に質問したところ、法的な根拠を追究すると、ここに行きつくそうです。

 日米地位協定 U.S.

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 昨日は横浜での病院同行を終え、新幹線で芦屋へ。

 目的は関西の弁護士、行政書士と打合わせ&会食です。テーマは今夏の研修や今後の相談会についてです。有意義な打合せであれば新幹線の往復も苦になりません。

 関西の先生方は本当にユニークな方ばかりです。ついつい座が長くなってしまいます。 夜は久々のカラオケ。書類が溜まっているので、歌など歌っている場合ではないのですが・・・。

 初の芦屋でしたが、落ち着いている雰囲気、閑静な街でした。周辺の観光も兼ね、ゆっくり来たいところです。

 本日昼にアポがあるため、今朝は5時に起きて少し事務処理、7時には芦屋を後にしました。さすがに眠い!

 朝焼けの芦屋 ホテルの窓から。

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 前日の被害者さんはその後どうなったのでしょうか・・

7、画像の請求のために医師に再度受診

 保険請求に使いますので・・・、なんとか主治医の許可を得、画像の貸出を受けました。貸出料金は1枚500円。10枚ですので結構な出費です。

8、健康保険に開示請求

 さらにレセプトですが、病院が出してくれないのであれば、提出先の国民健康保険に対し、開示請求です。市役所の国民健康保険課に訪問し、開示請求関係の書類を記載します。しかしここで大きな問題が発生しました。

9、第三者行為による傷害届けが未提出だった

 そもそも加害者のいる交通事故の場合、役所は相手からの賠償金(ここでは自賠責保険)が健康保険に優先されると考えます。そもそも本件は保険会社に打ち切られた後の健康保険使用なので、事故扱い如何が曖昧な状態で病院にかかり続けました。今の今まで健康保険使用に必要な届け出をしていなかったのです。そこで数枚に及ぶこの書類の作成に奔走することになります。

10、添付書類にまたもや苦戦!相手への誓約書・・・

 誓約書は加害者側が署名するものです。加害者本人と相手保険会社に署名をお願いしましたが・・・最初からなしのつぶて、まったく協力してくれません。「すでに賠償としての治療費は打切りです。その後の治療に責任は持てない。」と言われました。役所にはそれを説明し、事情により誓約書は免除してもらいました。役所では相手に打診し、拒否されてやっと誓約書の割愛を認めるルールとなっています。

11、そしてようやく追加書類の提出、そして結果は?

 症状固定から書類の収集・作成・提出で半年も食ってしまいました。そしてようやく自賠責から結果が届きました。  残念ながら接骨院中心の治療(正確には施術)だったので「非該当」です。したがって後遺障害保険金はもちろん、健康保険使用後の治療費や休業損害は一切認めてくれません。書類集めにかかった費用もほとんど認められず、膨大な時間も無駄となりました。

12、通院のみの傷害慰謝料では・・

 ここで弁護士に賠償交渉を依頼すべく相談しましたが、どの弁護士も「等級は難しい」と。そして「半年間の傷害慰謝料では弁護士を立てても経済的効果がないので・・」と受任に消極的です。 こうして泣く泣く二束三文の慰謝料で相手保険会社と示談です。

 お気づきと思いますが、この被害者さんにおける賠償交渉は最後の11、12のみで、受傷から症状固定、そして後遺障害認定までのほとんど「書類集積」に費やしています。本記事のテーマがお解りですね。交通事故の厄介なところは書類集め=証拠集めであり、それが事故相手以外の様々な機関が介在するが故、非常に大変な作業なのです。とくに本件の被害者さんは、本人の責任というにはあまりにも不運、各局面で面倒な方向に進んでしまいました。これはすべての交通事故被害者にとって他人事ではないのです。

 いつも主張する「受傷直後から相談に来て!」は各局面で間違った選択をさせないよう、私たちが寄り添って各機関と折衝し、スムーズな解決に誘導するためです。そしてある意味、賠償交渉よりこの初期対応の成否が勝負の決め手となるです。

 初めての事故、運が悪ければ誰しも間違った方向へ進みます。もめてから相談、行き詰ってから弁護士に・・・これでは手遅れになることがあるのです。

 結論、交通事故の依頼をする際は「初期対応」がしっかりしている事務所を選んで下さい。

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 交通事故は「もめごと」です。単独事故を除き、加害者と被害者の(第3者も加わるケースもありますが)争いとなります。当然お互いが権利を主張し合えば難しい交渉に発展します。しかし単なる2者のもめごとで済む問題ではありません。交通事故の場合、保険会社、病院、修理工場、健康保険、仕事・通勤に絡めば労災・・・等あらゆる機関が介在してくるのです。これが事態を複雑にすることが多々あります。

 本日の市役所同行もまさにそのケース。注意喚起の意味を込めて紹介しておきます。(若干フィクションを織り交ぜています)

1、事案は?

 被害者は停車中、追突されて腰椎捻挫となりました。相手は任意保険に加入しており、治療費を自由診療扱いで病院に精算してくれました。ここまでは普通です。

2、治療先は?

 被害者は今までにない下肢の痛み、しびれに苦しみ、改善が進みません。遠距離の病院への通院も辛かったので、近所の接骨院をメインに治療を進めました。病院へは月一回の診察のみです。

3、長期化する症状

 それから半年、症状の改善がないまま、相手保険会社は一方的に治療費を打ち切りました。打撲・捻挫で半年を超える通院は非常識とのことです。しかし本当に痛み、しびれは治っていません。仕方がないので健康保険を使って通院を続けました。

4、一年が過ぎ、症状固定へ

 さすがに治療の効果も薄れてきました。このままではいつまでも解決しないので、ここで症状固定とし、後遺障害診断書を医師に依頼しました。接骨院では診断書が書けないので断られたからです。・・・しかし病院は今更、健康保険での通院と診断書の依頼に対しつっけんどんです。なぜなら保険会社から治療費の打ち切りをされている状態ですので、もめごとに巻き込まれたくない、さらに接骨院をメインに治療費を払い、病院へは月一回、これでは面白いはずがありません。

5、それでもようやく診断書を書いてくれました。

 散々待たせて適当な(?)診断書が出来上がってきました。相手の保険会社の担当者とも関係が良くないので、直接、自賠責保険の被害者請求で進めることにしました。

6、必要書類を集めなければなりません!

 一人で請求書類を集めてなんとか提出しましたが、自賠責保険から、「全治療中の画像、そして診断書・診療報酬明細書(レセプト)を提出して下さい!」と追加の催促がきました。保険会社から治療中の診療報酬明細書のコピーをもらいましたが、それは打切り前までの分。それ以後は病院に請求しなければなりません。しかし病院は「画像は主治医の許可がないとダメです」と。そしてレセプト類も「健康保険に対し提出してしまったので、二重発行はできません」と言って請求に応じてくれません。

 ここで、手続がストップしてしまいました。病院、保険会社を何度も往復しても一向に埒があきません。

 なんで被害者の自分がこんなに大変な思いをするのか・・・

 つづく

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 両日ともに相談者が10名を割り、少し寂しい相談会でした。年間を通して5月は毎年少ない印象です。しかしお困りになっている被害者さんはそれぞれ必死に解決を模索しています。こちらも否応なしに気合が入ります。恒例の所感をいくつか。  

■ ポイントをずらした後遺障害診断書

 肩が痛み、拳上困難が長く続いた被害者さんです。対して医師はまず肩甲骨、上腕骨、鎖骨などをXP(レントゲン)で確認しました。異常がないので、「様子をみましょう」と言い、保存療法の継続です。つまり打撲・捻挫の類と考えました。その後、症状が長引くため、腱板損傷を疑い、MRIを撮ります。しかしそこでも原因が特定できません。そして受傷後6ヵ月が経ち、症状固定を迎えることになりました。  後遺障害診断書でも「肩部打撲」のままです。一貫して治療・リハビリを続けて、通院も相当な日数です。しかし残存した症状について、結果は「非該当」。打撲・捻挫の類では極めて少ない例外を除き、ほぼ後遺障害は認められないのです。

 この相談者さんは実は14級9号を取りそびれています。受傷機転から頚部捻挫があり、肩の異常は頚部神経症状が原因と疑われるものです。外傷性頚部症候群、もしくは頸椎捻挫により、ヘルニアや骨棘で圧迫されている神経根が病原となります。昔から「頚肩腕症」という診断名がありますが、これの多くは頚部神経の根症状タイプです。上腕神経につながっているC4/5、5/6あたりの神経根に圧迫があると、首から肩にかけて、痛みや拳上不能など神経症状が起こる症例です。  どうやら本件の医師もそのような認識を持っていたようなのです。

  もし医師が神経症状に注目し、症状の主訴を頸椎捻挫からくる頚肩腕症としていたら、「局部に神経症状を残すもの」として14級9号の認定が得られた可能性があります。本件は医師の捉え方、診断書の表記で運命が分かれたケースと思います。  

■ 嗅覚障害と味覚障害

 匂いがしない?頭部外傷により、嗅覚喪失を訴える被害者さんがいらっしゃいました。詳しく聞くと「味」もしないそうです。しかし診断書上は「嗅覚喪失」とだけ書かれています。

 嗅覚障害を訴える被害者さんの対応で注意があります。嗅覚障害が残るような脳損傷、もしくは嗅覚神経の遮断が起きた場合、味覚障害も伴うケースを多く経験しています。嗅覚、味覚、どちらかに異常があれば、必ずセットで検査をすべきと思っています。

 ここで説明を一つ加えますが、通常、嗅覚に異常があると「風味障害」とも言うべき症状がおきます。人間の味覚は舌の神経による反応のみならず、香からくる「風味」とでも言うべき感覚に味が左右されることもあります。例えばコーヒーの舌上で感じる感覚は「苦味」が中心です。しかし風味で「香ばしさ」を感じ、これがコーヒーの美味さにつながります。  したがって嗅覚が減退、喪失すると味覚も当然に一部減退します。だからと言って嗅覚障害患者のすべてに対し、味覚障害は嗅覚障害からくるものと特定するのは早計です。嗅覚神経と味覚神経は頭蓋低骨の隙間を隣り合って通っています。外傷により、どちらかに損傷があれば、もう一方もやられている・・・決して珍しくありません。また脳の前頭葉にびまん性損傷があり、嗅覚を感じる脳組織が壊れた被害者で、味覚も一緒にダメになったケースを2件経験しています。

 両方に対し、しかるべき検査を行い、嗅覚「脱出」12級、味覚「脱出」で12級、併合11級とせねばならないのです。

 

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 本日は朝一で埼玉の事務所へ、その後都内に戻り自転車で郵便局に行き、さらに自転車を置いて地下鉄に乗って表参道へ。お昼休みの学生食堂で被害者さんと友人から症状の聞き取りです。都内でも有数のおしゃれキャンパスで良い雰囲気です。その後、新幹線に乗って群馬県高崎の病院同行、それが済むと再度東京駅へ戻り、タクシーに乗って赤坂へ。それから地下鉄で銀座オフィスに行って明日からの相談会に備えます。

 もう5分も座れば眠ることができます。ちょっと疲れたので記事は休みです。すみません。

                              電車、バス、タクシー、自動車に加え、自転車の利用により機動力UPを感じます。電車がアクシデントで遅れると隅田川を水上バス(船)で遡上したりもします。あらゆる交通手段を駆使する・・・かつてバックパッカーであったときの経験が生きています。

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 私の仕事は等級認定で一区切り、その後の賠償交渉は弁護士に引き継いで進めていきます。その賠償交渉も長びくことがあります。紛争センター等の斡旋機関に持ち込めば数か月で済みますが、裁判に発展すれば1年はかかります。その間、交渉が順調であれば見守るだけになりますが、追加の医証が必要となれば再び私も走り回ることになります。そして今月、数件の難交渉案件が解決を迎えました。苦しい戦いを共に戦ってきた被害者さんもようやく安堵し、弁護士も私も晴れ晴れしい気持ちになります。

 毎回、それら解決事案を検証します。どの案件にも共通するのは、交通事故の解決は早いうちに手を打つこと、一貫性をもつことです。つまり受傷後初期から解決までの全体的な戦略を立てることです。行き当たりばったりでは、実利ある解決は遠のくばかりです。難交渉となったものの多くは、最初のつまずきさえなければ、このような長く苦しい戦いにならずに済んだのでは?と思います。その悪い例として3つのパターンがあります。

・相手保険会社に任せっきり ・中途半端な代理人に任せたおかげで迷走した ・そしてなにより被害者自身が冷静に対処できなかった

 相手の保険会社は急場の治療費や休業損害を補てんしてくれるありがたい存在です。しかし自らの権利を守るのはあくまで自分自身です。保険会社には冷静な対応が必要です。そして自分に代わって動いてくれる代理人、多くは法律職者と思いますが、すべてが専門家ではありません。どの弁護士、行政書士も商売上、専門家を謳っていますが、本当に力があるのは、ほんの一握りです。被害者は依頼する相手をしっかり見極めなければなりません。

 良い解決事例のほとんどが、交通事故専門の優秀な弁護士の圧倒的な力、もしくは手前味噌ですが、私と連携した弁護士の連携・共同体制の好取組の成果です。  債務から企業法務やら何でも屋の弁護士事務所は専門性に疑問があります。後遺障害の知識のない弁護士では相手保険会社に負けてしまいます。また代理交渉のできない行政書士に任せても、尻切れトンボのように中途半端な状態に置かれます。後遺障害の立証と後の賠償交渉は一体の戦略で臨むべきです。それは連携先弁護士と気脈を通じて立証作業を進めることによって成し得ます。

 私たちメディカルコーディネーターは全国およそ20地域の弁護士事務所と連携体制を敷いています。この交通事故解決チームで続々と成果を上げています。

 来週は沖縄の相談会にお手伝いに行きます!

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 もう一日だけ無駄話を・・法律の講義みたいで実務に役に立ちませんが。

過料

 「過料」は3種に分かれ「秩序罰としての過料」「執行罰としての過料」「懲戒罰としての過料」があります。それぞれ行政処分の一環と解釈されています。これは行政書士試験にてお馴染み、行政書士の専門分野でもあります。

「秩序罰」というのは主に行政上の義務違反に対するもの、地方公共団体の条例・規則違反に対するものです。例えば地方税の未納者に対する強制徴収が代表的です。また自治体の条例で「歩きたばこ禁止」が定められていれば、違反者に対して罰金ではなく、過料として徴収します。もっとも支払う側は罰金以外の何物でもないと感じます。

「執行罰」は行政処分ですが、戦前の行政執行法では不作為義務(たとえば、許可を受けずに営業してはならない義務)または非代替的作為義務(たとえば、予防接種義務、医師の診療義務)の不履行に対する行政強制の一種として広く認められてきたものです。戦後になって、金額が高すぎれば強力すぎるし、金額が安すぎると機能しないとして一般には廃止され、今日では形骸化、砂防法第36条に法文の整理漏れの形で残っているにすぎません。

③ 「懲戒罰」としての過料は、規律維持のため、義務違反に対し制裁を科すことをいいます。 裁判官や公証人の懲戒があります。最近の例では、裁判員制度において裁判員(又は裁判員候補者)の虚偽記載や出頭義務違反等に科される過料も、懲戒罰としての過料に当たると解されています。

罰金と過料(反則金)の関係

 交通事故の反則金は行政処分、つまり過料に類似したものです。秩序罰に近い性質ですが、根拠が道路交通法違反ですので、法律違反に対するペナルティとなります。つまり違法行為に対する罰なので、法律(刑法)に乗っ取った処分でなければなりません。そうなると刑事処分なのか?このように解釈が定まらない、あくまで例外的な制度であり、行政処分と刑事処分の中間的存在のようになっています。

◎憲法では「二重処罰の禁止」がうたわれています。では罰金(科料を含む)と過料が同じ罪に対し、二重に適用されることに問題はないのでしょうか?

 第三十九条「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」がこれにあたります。

 しかし過料はあくまで刑罰ではありませんので罰金(科料)と過料が二重で科されることも理論上可能です。もっとも交通事故の反則金は、それを収めてしまえば刑事処分には進みません。つまり罪に問われないので、罰金は科せられなくなります。

 もちろん行政処分としての免許の違反点数、停止、取消は以前に説明した通り、刑罰と重ねて科されることがあります。これは判例で「行政処分」と「刑事処分」は別の性質のものと決着しているからです。

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 ついで罰金と反則金について法理論からも解説します。これは法律に興味のある方だけ読んで下さい。(注)理屈っぽくて、つまらない内容です。

 罰金は刑罰、免許停止や反則金は行政罰と区別しました。さらに罰金は単なる罰金と科料があり、また行政処分である過料も三種に区別されます。

 軽微な犯罪で、厳密な刑事罰の適用がなじまないケースがあります。この重い刑罰を科すことが適当ではない犯罪に科料が適用されます。

科料

 科料が適用される犯罪で代表的なものを挙げます。

公然わいせつ罪(刑法174条) 単純賭博罪(185条) 暴行罪(208条) 侮辱罪(231条) 器物損壊罪(261条)   その他 軽犯罪法違反など

 まず「科料」は刑罰の一種で、罰金と科料との違いは金額の相違です。罰金は1万円以上と規定され(刑法第15条/裁判官の判断で減軽し、1万円未満もあり)、科料は、1000円以上1万円未満です(刑法第17条/1000円が下限です)。1万円以下ですから、比較的軽い罪の罰則ということになります。  しかし1万円未満の軽い科料でも、納付しなければ、「労役場留置」といって、刑務所に収監されて、1日いくらと定められた額で払い終わるまで働かされます。例えば判決主文に罰金8000円(1日2000円)とあり、それを納付しなければ、4日間刑務所で労務に服することになります。

 比較的悪質度が高くない犯罪に対する財産刑が科料であれば、過料と同じようなものでしょうか?

「科料」と「過料」の違い

 両方とも読みは「かりょう」です。区別する意味で、「科料」は「とがりょう」、「過料」は「あやまちりょう」とも読みます。両者ともにお金を払うことですから、似たようなものに思えますが、法律構成上は異なったものです。  一般に、「科料」は「刑事罰」で刑事処分、「過料」は「秩序罰」で行政処分といわれています。実務においては、反社会性の強いものには、犯罪として刑事手続を経て法の下に科料の処分となり、逆に反社会性の弱いものは、義務の履行を促すものとして行政庁から過料を科すという傾向にあります。交通反則金はまさに秩序罰の性質を帯びます。

 問題は科料、過料の金額が刑罰の罰金に比べて低いため、刑法に規定されている犯罪に比べ抑止力はないといわれていることです。さらに過料は徴収コスト上、必ずしも厳格な執行は期待できないようです。実際、駐車違反の反則金を払わず、そのまま何もない・・ことも珍しくありません。もっとも悪質な未支払い常習者には刑事手続きをとることもあります。

つづく

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 前回の行政処分から間が空きました。続く罰金ですが、曖昧な解釈の方が多いようです。交通事故における罰金と言っても、交通反則金と罰金があります。この二つは法的性質が異なり、交通反則金は罰金とは別物です。まずこれを整理します。

 交通違反(ここでは軽微な人身事故を含む)に対し、一律に刑事手続きを行っていますと検察庁、裁判所はパンクします。なんといっても違反者の数が交通事故は桁違いです。そしてすべてに刑事処分を適用すれば、国民のほとんどが前科者になってしまいます。したがって交通違反の爆発的な増加に伴い昭和43年、交通チケット制度(俗に青切符)ができました。軽微な違反に対し、一定の金額を収めれば、刑事処分を免除しようとするものです。  この反則金は罰金ではなく、行政庁が課す一種の制裁金であり、分類も「行政処分」の一つとされています。しかし納付しなければ刑事処分に進みますので、厳密に言えば反則金は行政処分と刑事処分の中間に位置するものとも言えます。

 人身事故の場合、原則直ちに、刑事処分に進みます。したがって交通反則金(青切符)は無関係となります。しかし行政処分としての免許の違反点数、停止、取り消しは重ねて科されます。この辺がもっとも「★よくある間違い」なのです。

 罰金を中心に交通事故の刑罰を以下の表にまとめました。しかし軽傷(全治2週間以下)や物損事故はほとんどが不起訴となり、罰金が科されるケースは少ないものです。

 交通事故の刑罰 相場表

責任の重さ

ケガの重さ

刑事処分

故意、飲酒、悪質、 重大な過失

死亡 ※危険運転致死罪が適用された場合

懲役刑 1年~20年

過失によるもの 死亡 懲役刑もしくは禁固刑 7年以下 続きを読む »

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