<損傷部位の分類 >

1、上位脊髄損傷

 首は7つの骨が積み重なっています。上からC1~C7です。このC1(環椎)~C2(軸椎)に並走する脊髄に損傷が起こると、その支配する肋間筋と横隔膜の運動不能となります。これは呼吸するための機能が失われることを意味します。多くは死亡となる深刻な部位です。  助かったとしても自然呼吸ができないため気管切開し、人工呼吸器を通すことによって生命維持をはかります。

2、下位脊髄損傷

 首の部分では頚髄損傷、胸の部分では胸髄損傷、腰の部分では普通に脊髄損傷と呼びます。  多くは両上肢、両下肢、排尿排便障害の症状となります。寝たきりで随時介護が必要ななものから、一定の仕事の影響を及ぼす程度のものまで軽重の幅があります。

3、中心性脊髄損傷

 器質的損傷を伴わず、脊髄の損傷自体も発見づらいが上肢にのみ症状がおこる場合があります。首や胸や腰といった脊髄の位置をさすのではなく、円柱型の脊髄を輪切りにしてその中心部と外側(辺縁部)をわけて損傷部位をみます。神経線維は中心よりに上肢、外側よりに下肢とつながっています。したがって病変部を探し当てる?MRI撮影が必要となります。

                      脊髄に少し脊椎やヘルニアが圧迫しているだけで脊髄損傷と診断する医師がいると聞きました。見ての通り脊髄の損傷は生命や四肢運動に関わる重篤な障害です。患者の自覚症状をしっかり観察し、画像の精査と描写の工夫が大事であると実感している次第です。

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 ・・昨日に続きます。

 医師は脊髄損傷における合併症とその予防に注意を払っています。代表的な4つは、

1、褥瘡(じょくそう)・・・寝たきりの高齢者に要注意の床ずれです。

 動作不能の患者は寝たきりの状態になります。頻繁な体位変換、専用予防マットの使用、皮膚清拭が必要です。

2、尿路感染症

 排尿障害は閉尿(尿の出が悪くなる)や頻尿(回数が増える)に2分します。それぞれ症状に応じて、間欠導尿、排尿訓練、自己導尿訓練が必要です。カテーテルを用いるケースもあります。

3、呼吸器感染症

 痰の吸引、タッピング(背中を叩いて痰を切る)、肺理学療法を行います。

4、関節拘縮

 関節可動域訓練、安静時の良肢位保持。  脊柱の可動域が2分の1となれば8球2号の障害が認定されますが、これは関節拘縮を直接の傷病名とするものではなく脊椎・脊髄の器質的損傷を条件としています。

  <検査>

1、MRI

 とにかく画像所見ありきです。医師も脊髄損傷を確認しないことには治療方法を選択できません。T1、T2でそれぞれ病変部を明らかにします。共に3.0テスラのような高精度が望まれます。また技師が脊髄損傷の撮影に慣れていることもポイントです。

2、ミエログラフィー   脊髄(もしくは馬尾神経)の圧迫病変を探します。腰椎もしくは頸椎から造影剤を脊髄腔内に注入し、X線でその拡散の様子を透視・撮影します。造影剤が途中で完全ブロックする部分、つまり中枢側の病変位置を知りたい時に用います。近年MRIの高精度化で役割は薄れました。  しかし、MRIではリアルタイムに前後・左右に屈曲・伸展させた時の髄腔の変化を撮影することができないため、MRIで画像所見が得られない場合、未だ有用とされています。

3、SSEP (体幹部の神経伝達速度検査)  手や足の感覚神経に電気的な刺激を与えることによって、誘発される反応を記録するもので、手や足から脊髄、脳幹、大脳皮質に至る感覚神経の機能を見ます。頭、首、腰、などに電極を数個つけて、手や足の末梢神経を軽く電気刺激します。低周波マッサージ器の様なピリッピリッとした刺激痛があります。

4、針筋電図検査  神経から筋にかけて、刺激電極と測定電極(関電極)、不関電極(基準電位用、いわゆるアース)を持ち、電気の流れを表示します。神経麻痺検査の決定版ですが、どの病院でもこの検査に積極的ではないようです。相当の症状を示さない限り医師の指示がでません。  ちなみに腕や足の神経麻痺では画像所見が取れないケースが多いので、これに頼ります。

5、膀胱内圧検査・肛門内圧検査続きを読む »

 まず一枚の画像から。左がMRI・T2画像、右が同じくT1画像です。C6/7(赤い矢印)の部分がそれぞれ病変部で、T2では白く(高信号)、T1では黒く(低信号)描写されています。これはバイクの自損事故で外傷性脊髄損傷を負った18才患者です。

 バイクで転倒した際、頚部を路面に打ち付け、そのまま救急車で搬送、入院となりました。首はまったく動かせず、両腕が無感覚で手指のしびれがひどく、足もだるくなり長時間の歩行は困難です。その後リハビリを続け、下半身の回復は進みましたが、両上肢の麻痺は残存し、トイレが異常に近くなる症状が残存しました。

1、脊髄損傷    脊椎に軸圧、屈曲、回旋、伸展、剪断、伸延などの協力な外力が加わり、脊髄の神経伝導路が遮断され、運動麻痺、知覚麻痺、自律神経障害、排尿排便機能障害を起こします。原因としては交通事故が多く、次いで高所からの転落、転倒、スポーツ外傷です。実際に先月、3階のベランダから落下し、障害を負った方の相談がありました。   <受傷タイプ> ① 伸展損傷・・・最も多発するタイプ。X線所見では軽微でも、麻痺は重篤なケース          もあります。 ② 屈曲損傷・・・椎体圧迫骨折や亜脱臼、完全脱臼となります。 ③ 伸展回旋損傷・・・外力が加わた方向と反対側の椎間関節に脱臼や骨折が生じる。 ④ 屈曲回旋損傷・・・外力が加わった方向と同側の椎間関節に脱臼や骨折が生じる。 ⑤ 側屈損傷・・・少数例。小さい子に稀にある。

<状態の分類>

■ 完全損傷

 脊髄が完全に脊椎や椎間板によって遮断されたり、脊髄そのものが引きちぎれるので、非可逆性で回復はしません。とくに環椎・軸椎部分の場合、呼吸困難で多くは死亡となります。奇跡的に全身麻痺で寝たきり状態です。

■ 不完全損傷  重篤度に分けて4つの症状に分類します。

① 前部脊髄損傷・・・運動麻痺はあるが、触覚、位置覚、振動覚は保ちます。 ② 中心性脊髄損傷・・・下肢より上肢の運動障害がひどく、温覚と痛覚が麻痺、触覚は保ちます。 ③ 後部脊髄損傷・・・少数例。触覚、位置覚は麻痺しますが、運動障害はありません。 ④ ブラウン・セカール型損傷・・・脊髄の片側損傷、損傷側の運動麻痺と反対側の温覚、痛覚の障害。

<治療>

 初期は救急処置と全身管理、損傷脊椎の整復と固定を行います。徐々に関節可動域と筋力の維持を目的とした早期リハビリテーションを行います。 慢性期では座位立位の保持、移動動作、車椅子操作、歩行能力、日常生活活動動作の確保のために残存筋力の維持、増進を進めます。  

 出かける時間になってしまいました。続きは明日に・・・

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 おはようございます。

 先週の土曜日は全国の協力行政書士、メディカルコーディネイター総勢12人が集合、ちょっとした全体会議と研修を行いました。  それぞれ担当する被害者さんへの対応事例、最新医療・病院情報、保険の改正情報、時間がいくらあっても足りません。尽きない話は夜遅くまで続き、大変勉強になった一日でした。  やはり感じたことは全国展開の力強さと情報網です。自分のテリトリーの、そのわずかな案件だけでは様々なケガ・症状への経験が不足します。これは個人の行政書士、弁護士では決定的な弱点だと思います。

 協力行政書士は全国の最新情報や業務経験を共有しています。被害者救済活動を全国的に推進しているのです。

           

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(1)遂行機能

 遂行機能の障害とは、物事を順序立てて実行することが難しくなり、仕事や家事の段取りが悪くなります。1つの行動なら出来ても、2つ以上の行動になると同時にはできません。

 かつての子供の被害者さん(3級)の例で説明します。冷蔵庫からの飲み物を持ってきてとお願いしました。「お父さんには麦茶をパックごと、お母さんにはジュースをグラスに注いで持ってきて」と、二つ同時に頼みましたが、固まってしまい、動けなくなってしまいました。もちろん、まず「麦茶を」持ってきてもらい。次いで、「ジュースを」と分けて、一つ一つ頼めばできます。

 脳のマルチタスク(同時作業)が苦手になってしまったのです。当然、洗濯をしながら料理など、二つ同時にできません。野菜を切りながら、スープを温めることも苦戦してしまいます。

 プランニングもできません。目標 ⇒ 計画 ⇒ 実施 のプロセスが難しくなってしまうのです。段取りが組めませんから、仕事や家事以外でも、旅行の計画、スケジュール管理、乗り物の乗り換え、これらが苦手となってしまうのです。   (2)注意機能

 注意機能の低下とは、「以前やっていた仕事のミスが増える」、「周囲の音や動きで気が散って、落ち着かない」、逆に「反応が鈍い」、「目の前のことに固執して、他に気が向かない」などです。高次脳機能障害の中でも発現頻度が高く、様々な種類に分かれ、軽重の幅も広いものです。医学的に分類しますと、

① 持続性注意障害  注意力が持続できなくなります。注意の強さに波があり、維持が困難な場合があるため、活動全体に一貫性がない、まとまりが乏しくなります。

② 選択性注意障害  対象物に対し注目できなくなくなります。適正な情報のみを見つけることができません。

③ 転換性注意障害  注意を向ける対象から、別の情報に切り替えることができません。目的と関係ない情報の影響を受けやすく、物を選ぶ行為の際、取捨選択が難しくなります。

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 前日のRBMT(リバーミード行動記憶検査)は、文字通り「行動」に対して記憶しているかどうかを問う検査です。さらに細かい検査になりますが、「聴覚」や「視覚」に焦点を当てた記憶検査もあります。

 例えば、聞いたことをその場では理解したようでも、5分後には「聞いていない」と言ったり、まったく違う言葉に置き換えてしまうなど、会話の内容を忘れている。このような症状には「聴覚」に特化した記憶検査をします。

 また、一度見た物を覚えられないので、何度も訪問した家に「この家に初めて来た」と言う、「丸い大皿を取って」と言われても、四角い小皿を渡してしまう、これらは「視覚」検査を徹底すると数値にはっきり表れます。   ③ 三宅式記銘検査

 ある単語と単語のペアを聞かせ、それを覚えているかをみます。その単語のペアは、関連する組みあわせ(有関連追語)と、まったく無関連な組み合わせ(無関連対語)で、それぞれ10組行います。   <有関連対語> ・・連想ゲームです

 まず「煙草」→「マッチ」といったの関係するペアの単語を聞かせます。その後「煙草」と言ったら「マッチ」と答えられるか3回テストします。

 他に「家」→「庭」、「汽車」→「電車」 など10組で10点満点です。

 障害のない人は3回目までで、ほぼ全問正解となります。平均値は 1回目8.5点 – 2回目9.8点 – 3回目10点   <無関連対語> ・・暗記力が問われます

 「入浴」→「財産」、「水泳」→「銀行」、「ガラス」→「神社」・・・関係のない言葉の組み合わせに、健常者でも苦戦しそうです。

 平均値は 1回目4.5点 - 2回目7.6点 - 3回目8.5点

 障害者は無関連追語で特に点数が悪くなります。1回目から3回目まで点数が上がらない、つまり、学習能力の低下を表します。   ◆ 現在、三宅式の単語が(作成当時の言葉から)古くなったので、SP-A 検査 にリニューアルされています。   ④ ベントン視覚記銘検査

 視覚性注意、視覚性記憶、視覚認知、視覚構成能力の4つの観点で評価します。

 ○、△、□などの3つの図形が書かれた見本を見せて、その後それを同じ形、同じサイズ、同じ並び方で書かせます。これを10枚繰り返します。

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  ② リバーミード行動記憶検査 (RBMT)    昨日のWMS-Rが科学的な考察とすると、リバーミードは日常生活に即した問題を使うので、より日常生活での問題点を浮き彫りにできます。記憶障害の立証には大変参考になります。  

検査項目 課 題 考えられる日常の生活上の問題 姓名 顔写真を見せて、その人の姓名を記憶させ、時間をおいてからその写真を見せ、覚えているか質問する。 主治医や看護師の顔は覚えてられるが名前が思い出せない。 持ち物 患者の持ち物を借りて、しばらくしてから「何を借りていたのか」質問する。 自分の持ち物の管理。大事なものをどこにしまったか忘れる。「物取られ妄想」の有無。 約束 時計のアラームをセットし、それを20分後に鳴らし、アラームをセットしたことを覚えているかをみる。 約束、服薬、通院日などを覚えていられない。 絵 風景画を見せて、時間をおいても覚えていられるか。 慣れた病院内で迷子になる。売店やトイレの場所を覚えられない。 物語 短い物語を聞かせ、ストーリーを覚えていたかを聞く。 少し前の会話の内容を覚えていない。 顔写真 顔写真を見せて、時間をおいても覚えていられるか。 病院内のスタッフが覚えられない。 道順 設定されたコースを一緒に歩きながら教えて、間をおいて一人でたどらせる。 自宅から数百m離れると帰れなくなる。新しい場所に行くと迷子になる。 要件 道順の検査の際、ある用事を言いつけ、それを覚えているかみる。 毎朝掃除するなど、日課がこなせるか。 見当識 知能検査でやったような簡単な質問をする。 日付や曜日、住所に混乱がある。

   記憶障害とされる点数は、

標準プロフィール スクリーニングプロフィール 39歳以下 19点以下 7点以下 40~59歳 16点以下 7点以下 60歳以上 15点以下 5点以下

   検査は30分程度です。この検査の内容を見ると、ストレートに「日常生活状況報告表」の裏付けになると感じました。 

   本記事をアップデートしています 👉 リバーミード行動記憶検査 解説(改定版)改訂版       次回 ⇒ 神経心理学検査 記憶の検査Ⅲ  

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 記憶障害は、高次脳機能障害でもっとも典型的な障害です。高次脳機能障害の場合、自分の名前や家族などを忘れてしまう、いわゆる「記憶喪失」とは違う症状を見せます。ほとんど事故前の記憶を留めるものの、ある一部分だけすっかり忘れている、または昨日の記憶、5分前の記憶が欠落してしまう・・・これらは短期記憶障害に分類されます。

 例えば、飼っていた猫の名前を忘れて思い出せなくなってしまう、昨日散々「明日は病院の日だからね」と言っておいたのに、今日になったら忘れている、数分前の会話の内容が思い出せず、同じ事を聞いてくる。症状は患者によって千差万別ですが、これらが家族を悩ませ、職場復帰を困難にしています。この状態を障害として、客観的に示すには、専門の検査を受けなければなりません。      記憶障害の短期・長期? 👉 円楽師匠、短期記憶障害も「昔覚えた落語は忘れてない」   ■ 記憶検査

日本版ウェクスラー記憶検査 (WMS-R)

 世界的に標準とされる記憶検査で、言語を使った問題と図形を使った問題を13項目行います。

指標項目 関連する下位検査項目 言語性記憶 論理的記憶 言語性対連合Ⅰ 視覚性記憶 図形の記憶 視覚性対連合Ⅰ 視覚性再生Ⅰ 一般性記憶 言語性記憶+視覚性記憶 注意/集中力 精神統制 数唱 視覚性記憶範囲 遅延再生 論理的記憶Ⅱ 視覚性対連合Ⅱ 言語性対連合Ⅱ 視覚性再生Ⅱ

 

 100点を標準とし+-15点を正常値とします。所要時間は1時間程度です。WMS-Rは記憶障害の基本検査です。この検査から、全体の中で比較的IQの低い項目に注目、より絞った検査を追加しています。    続きを読む »

 主に左側頭葉の損傷で言語障害が発症します。言語障害の検査を解説します。   ■ 言語機能に関する検査

 事故以来言葉をスムーズに発っせなくなった、極端にゆっくり話すようになった、こちらの言うことに対する理解が遅く会話が滞りがちになった…これらは一般に失語症となりますが、高次脳機能障害の場合、以下の2種が代表的です。   〇 運動性失語

・・・左前頭葉のブローカ野(領域)の損傷。話し言葉の流暢性が失われます。   〇 感覚性失語

・・・左側頭葉に位置するウェルニッケ野(領域)の損傷。流暢性は保つものの言い間違いが多く、発言量の割に内容も乏しくなります。    くも膜下出血で倒れた人が、左脳の出血と損傷によって、言葉に障害が残ってしまったケースと似ています。しかし高次脳機能障害は程度の軽重に差があるため、軽い失語症は事故のショックのせい?、いずれ治るはず?と、周囲も安易にみてしまいます。失語症に絞った定番の検査は以下の通りです。   ① ...

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1、意思疎通能力 (記銘・記憶力、認知力、言語力)

 

2、問題解決能力 (理解力、判断能力)   3、遂行能力 (作業負荷に対する持続力・持久能力)   4、社会行動能力 (社会適合性、協調性)

   これら、4能力について6段階評価をして障害等級を判定します。したがって、これらの設備をもち、言語聴覚士等専門家のいる病院にて検査をする必要があります。診断書に「高次脳機能障害」、「脳神経障害」、「認知障害」と書かれているだけでは、なんの判定もできません。残念ながら、この神経心理学が可能な病院は非常に限られています。「治療」と「障害立証」は別であることを強く認識して下さい。    たくさんある検査の中から、実際に見学もしくは体験?した検査を挙げてみます。   ■ 知能テスト   ① ミニメンタルステート検査(MMSE)   ② 長谷川式簡易痴呆スケール(HDS-R)    見当識、注意力、言語、模写などの認知、計算などを観察します。「今日は何月何日ですか?」「ここの場所は?」など簡単な質問に答えてもらいます。10分程度でできる簡単な検査です。正常な人であれば、30点満点でほぼ満点になります。

 この二つの検査は、高齢者の認知症やアルツハイマー型認知症の簡易検査として用いられています。高次脳機能障害の場合はベッドサイドでも実施可能なので、受傷初期に実施されるようです。本格的な検査は、ある程度の回復をみせてからです。それらの検査は③以降になります。    令和5年のコラム 👉 長谷川 和夫 ...

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 搭乗者傷害保険とは読んで字のごとく「車に乗っている時にケガをしたら」支払われる保険です。自動車に運転中、あるいは同乗中の交通事故でケガをした場合はもちろんですが、色々なケースを想定してみましょう。今日はクイズ形式でいきます。面倒がらず考えてみて下さい。  

次の場合、搭乗者傷害保険はおりるでしょうか? 

<Q1> 法事の帰り、お清めをした(ビールを飲んだ)主人に代わり、お酒を飲んでいない奥様が運転していて電信柱に衝突する事故を起こしました。2人とも1週間ほど通院するケガを負いました。この場合2人に保険はおりるでしょうか?

<Q2> 運送業に勤めるAさんは運転中居眠りをしてしまい、追突事故を起こしてしまいました。幸い相手にはケガはありませんでしたが自身は顔面を3針縫うケガを負いました。この場合は?

<Q3> 東北大震災の津波で車が横転、幸い自衛隊のヘリに救助されたが、右腕を骨折するケガを負った。

<Q4> 信号待ちをしていて、後続車に追突されケガをしました。相手は任意保険に入っており、通院10日の治療費、休業補償、慰謝料、車の修理費などすべての損害を支払ってくれました。その場合でも重ねて搭乗者傷害保険はおりるのでしょうか?

<Q5> ゴミ収集車で作業補助をしているBさん、車を降りようとドアを開けて足を降ろした際、先に車から降りていたCさんが誤ってドアを閉めてしまい、足を挟んでしまいました。足首の靭帯を痛めてしまい通院しています。この場合は?

<Q6> 若い時やんちゃだったCさん、久し振りに昔の仲間と会ってはめを外しドライヴ、走行中ドアから上半身を乗り出し、ドアに腰かけてた状態(いわゆる箱乗り)の時に電信柱に肩をぶつけケガをしました。この場合は?

<Q7> GWに伊豆へドライヴに行きました。天気が良いので窓を開けて走行していましたが、山道で蜂が車内に飛んできて腕に止まりました。払いのけようとしたら刺されてしまい、腫れがひどかったので病院によって消毒してもらいました。この場合は?

   ■ 答え

{A1} 夫婦両方とも支払われます。

 飲酒や薬物、無免許運転でのケガはでません。しかし同乗者はお酒を飲んでいても問題ありません。 ちなみにもしご主人が飲酒運転をして同乗の奥様がケガをした場合、これはご主人は当然免責ですが、奥様は飲んでいようといまいと有責(保険でます)です。巻き添えはOKなのです。

{A2} 居眠り運転は支払われます。

 故意(自殺目的で海に飛び込む等)は免責です。しかしこれは「故意」にあたらないからです。

{A3} 地震、噴火、津波は免責です。保険はでません。 

 他に、戦争、内乱、暴動、放射能汚染も免責です。

{A4} 重ねて支払われます。

 相手からもらうお金は賠償金、つまり償い・弁償ですが、自身が契約して掛け金を払っている搭乗者傷害保険は別物です。請求漏れのないようにしましょう。  ちなみに人身傷害特約は相手からの支払が得られないとき、足りないときに支払われます。ここが搭乗者傷害保険との一番の違いです。

{A5} 払われます。 

 交通事故とは思えない事故でも対象です。実際ドアの開け閉めのケガが意外に多いのです。しかし車外からドアを締めようと自分の指を挟んだ場合はダメです。これは乗っていないからです。

{A6} 支払われません。

 これは乗り方が問題です。約款上「正規の乗車構造装置のある場所に搭乗中の者」とあります。ドアはイスではありません。またトラックの荷台に乗っている場合もダメです。

{A7} 支払われます。

 傷害保険支払いの3要件…「急激」かつ「偶然」かつ「外来」の事故です。虫刺されはこの3要件に当てはまってしまうのです。保険の不思議さを感じます。

 ちなみに・・   ・ 長時間運転していて腰痛になった → × これは「急激」にあたりません。  ・ 運転中、盲腸炎になった → × これは体内なので「外来」にあたりません。  ・ 運転中、O157に感染した → × 何故か普通の傷害保険はでます。上の3要件にあてはまるからです。しかし搭乗者傷害はダメです。運転中の感染なのか判別不可能だからです。

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 昨日に引き続き搭乗者傷害保険の後遺障害保険、重度後遺障害保険金、死亡保険金について解説します。  

■ 後遺障害保険金

 「部位・症状別定額払い」と違い急いで請求する必要はないです。基本通り180日経過後、後遺障害診断書を提出して請求します。保険会社所定の診断書を使うケースが多く、認定基準はその保険会社の内部規定に照らします。その基準は約款上明記されていませんが、おそらく自賠責保険の認定基準に準じたものと思います。そして自賠責保険の等級認定ほどシビアな審査ではないと思います。

      等級と金額は以下の表の通りです。(損保ジャパン)

等級 保険金割合 死亡保険金1000万円とした場合の金額 1級 100% 1000万円 2級 89% 890万円 3級 78% 780万円 4級 69% 690万円 5級 59% 590万円 6級 50% 500万円 7級 42% 420万円 8級 34% 340万円 9級 26% 260万円 10級 20% 200万円 11級 15% 150万円 12級 10% 100万円 13級 7% 70万円 14級 4% 40万円

    ■ 重度後遺障害保険金

 上記の表の1級、2級、または3級3号(神経系統の障害)もしくは4号(胸腹部臓器の障害)が生じ、かつ介護を必要と認められた場合、死亡保険金額の60%=1000万円の場合600万円が加算されて支払われます。2000万円契約の場合でも600万円が限度となります。

■ 死亡保険金

 保険証券に書いてある通りの金額です。死亡保険金1000万円=1000万円  

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 私たちグループ行政書士が巷の法律家の行う交通事故相談と一線を画すわけ・・・それは実践的な戦略会議であることです。「・・・この場合は法律的にはこうなります」といった被害者の疑問にお答えするだけで終わらず、さらに解決までの手続き・やるべき事を列挙して、具体的な作業に及ぶことです。 典型的な例をお話します。ある相談者さんは自動車通勤途上の交差点事故で首を痛め、それが原因で会社を辞めざるをえなくなりました。当座のお金にも困っています。そして「無料相談」にひかれ、先に弁護士と行政書士にそれぞれ相談に行きました。しかし労災や健康保険の手続き、自動車保険の請求に話が及ぶと「それは各窓口で聞いて下さい」と言って知識のないことを露呈したそうです。そして弁護士は賠償金、行政書士は自賠責保険請求の話に終始しました。本人の主張も過失割合(20:80じゃ納得できない!)のことばかりです。

 この方がまず先にやるべき事は・・・

 1、治療費の労災変更手続き 2、主治医と面談し、初診時から頚部神経症状の確定診断がとれているかの確認と検査 3、自身の自動車保険から搭乗者傷害保険の請求  4、労災又は相手保険会社へ休業損害の請求  5、加害者側保険会社と物損の示談   このようにたくさんの手続きをお手伝いする必要があります。特に法律家に依頼したくても経済的に困難であれば、3の搭乗者傷害保険の部位・症状別定額払いを有効活用します。これは治療日数が5日以上になれば請求可能です。自身契約の保険会社に連絡し、即6万円の支払を受けられました。これを使って着手金に充当しました。これでバリバリ作業が進められます。既に職場の担当者に話をつけて労災対応に切り替えています。返す刀で相手保険会社に労災使用の宣言と物損(車の修理費)の請求です。労災使用なら対応も友好的になります(治療費の支払手続きをしないで済み、自由診療と違って安く上がりますから)。物損は15:85でさっさと示談、すぐ修理費を払わせました。並行して主治医へ面談し、想定される後遺障害について検査や記録をお願いします。漫然と治療を続けるだけではなく、立証作業への理解を得ることが大事なのです。  あとは半年後の症状固定日に向けて間違いのない後遺障害等級認定へまっしぐらです。この間被害者は安心して治療やリハビリに専念、再就職へ向けて歩みだします。

 これが普通の法律家では成しえない戦略的解決方法です。ほとんどの弁護士先生は後遺障害が認定されるまで動きません。行政書士も半年後の自賠責の被害者請求と賠償金の計算で報酬を得ようとしています。被害者自身もいつまでも僅か数万円しか増減しない過失割合でだらだらもめていて肝心の手続きをしないとどうなるか?・・後遺障害立証自体が手遅れになってしまいます。

 話がテーマから逸れました。この搭乗者傷害について・・

  搭乗者傷害保険 (自動車任意保険に付帯して契約します)

■ 支払項目

① 死亡保険金 ② 後遺障害保険金及び重度後遺障害保険金 ③ 医療保険金

 今回の例で支払いを受けたのは③の医療保険金です。以前は日額払い(死亡1000万円で契約の場合、入院1日15000円、通院1日10000円)が主流でした。これは治療が完了した段階で日数を数えて支払います。しかし最近は部位・症状別定額払いが一般的です。これは治療が5日以上に及べばケガの症状によって5万円~95万円(各社若干の違いあり)が即座に支払われます。さらに別枠で治療給付金1万円もおります。

③医療保険金の支払金額 (簡略)

1、打撲・捻挫・挫傷は全身どこでも5万円均一 2、挫創は部位によって5~35万 3、骨折は部位によって10~60万 4、筋断裂は部位によって10~30万 5、欠損は部位によって5~55万 6、脳内出血は部位によって5~55万 7、神経の損傷は部位によって10~95万 8、臓器の損傷は部位によって50~85万 9、熱傷は部位によって5~35万

 使い勝手がいい保険なので忘れずに真っ先に請求したいところです。 明日は肝心の②後遺障害保険金を解説します。

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 おはようございます。週末も相談者が事務所にいらしゃいました。たまに交通事故以外の相談もあります。ケガを負うのは交通事故とは限りませんので当然と言えば当然です。なかでもご自身が契約している保険の請求や内容についての質問が目立ちます。  後遺障害となる大きなケガをした場合、自分が契約している生命保険からはどんな条件で、いくら、払われるのだろうか???意外に盲点です。早速、日本生命、損保ジャパンひまわり生命、プルデンシャル生命の約款を確認してみました。

 呼び名は各社多少の違いはありますが「高度障害保険金」が一般的のようです。

 赤字は自賠責保険に相当する等級です。これ以上の重篤な障害が対象となっています。

■ 高度障害保険金の支払条件   ○ 両眼の視力を全く永久に失った

1級1号

○ 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失った

  3級2号

○ 中枢神経系または精神に著しい障害が残り、終身常に介護を必要とする

  別表1の1級1号

○ 胸腹部臓器に著しい障害が残り、終身常に介護を必要とする

  別表1の1級2号

○ 両上肢ともに、手関節以上で失った、またはその用を全く永久に失った

  欠損 2級3号   用廃 1級4号

○ 両下肢ともに、足関節以上で失った、またはその用を全く永久に失った

  欠損 2級4号   用廃 1級6号

○ 一上肢を手関節以上で失い、かつ一下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失った

  一上肢欠損 5級4号 と 一下肢欠損 5級5号 又は 一下肢用廃 5級7号 ...

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 肩の後遺障害、その基本解説は本日の6回目で一旦終了します。最後に、肩と言っても腕の骨、上腕骨の肩関節部分を取り上げます。   6、上腕骨近位端骨折   ■ 治療

 上腕骨近位端は4つの部位に分かれており、①上腕骨頭 ②小結節 ③大結節 ④骨幹部です。

 大結節には棘上筋腱部が付着しており、棘上筋が切れたり延びたりすると、肩関節の機能障害となります(肩の後遺障害2~3 参照)。小結節には、肩甲下筋腱部が付着しています。

 上腕骨近位=肩関節部が折れてしまうと、脱臼を伴うことが多く、骨折の部位、骨片(折れて転位した骨)の状態によって治療法が分かれます。軽度で転位がない場合、ハンギングキャスト(キブス包帯)、機能的装具で固定します。

 関節内の骨折は、骨膜性仮骨(※)が期待できないので、転位(ズレ)がひどいと、骨頭壊死といった怖い症状が続きます。したがって横骨折、粉砕骨折、開放骨折では手術による整復が必要です。     骨幹部(上腕部分)の骨折は橈骨神経麻痺を残す可能性もあります。   ※ 骨膜性仮骨・・・骨折部に新しい骨組織が作られて自然修復していきます。これが関節内の骨折では上手く機能しないので深刻なのです。    ■ 後遺障害

 やはり、運動制限を残すことが多く、可動域制限、あるいは動揺性によって、12級6号、10級10号の選択となります。     ここから先は「腕の後遺障害」に続きます。   

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 かつての代理店時代ですが、自動車保険(バイク)のお客さんが、高速道路で車へ追突する事故を起こしました。ケガは鎖骨骨折です。幸い命に別条なく、骨がくっつきさえすれば大丈夫と思っていました。その時は後遺障害についての知識が浅く、損保の研修でも「プレート固定等の手術が進歩しており、鎖骨骨折は後遺障害にならな」と、教わっていたような気がします。

 しかし癒合部分の鎖骨が盛りあがってしまい、それが外見上からも確認できます。結果的に鎖骨の変形癒合で12級6号が認定されました。「後遺障害の審査は厳しいものなので、審査の結果に期待しないで下さい」と、このお客様に説明していましたが、割とすんなり12級5号の認定となって、ホッとした事が思い出されます。

 鎖骨は、胸鎖乳突筋により上方に引っ張られているため、骨折すると骨折部内側が上方へズレやすいのです。プレートやワイヤーで固定する手術がとられますが、完全に元通りに修復されず、変形を残しやすい骨といえます。   5、鎖骨骨折・脱臼   1、鎖骨遠位端骨折   (骨折部分の呼び方) 

・遠位端 ・・・ 心臓から遠い部分。鎖骨の場合、肩よりの方。 

・近位端 ・・・ 心臓に近い部分。鎖骨の場合、首よりの方。

・骨幹部 ・・・ 骨の中心部分。    ひびが入った程度では保存療法。しかし鳥口鎖骨靭帯損傷を伴う場合、手術が必要となります。そして肩の可動域に制限が残りやすくなります。

 注意が必要なケースは関節内骨折です。肩鎖骨節(鎖骨と肩関節の結合部)にひびが入るケースで、レントゲンでも見逃されやすい部分です。自然癒合せず関節症変化となると決定的に可動制限が残ります。

※ 肩鎖骨節・・・鎖骨と肩関節の結合部。鎖骨は肩甲骨の肩峰と鳥口突起に挟まれ、肩鎖靭帯、鳥口鎖骨靭帯で結合されています。   2、鎖骨骨幹部骨折

 冒頭の例のあるとおり、上方へ転位(ズレる)しやすく、ひどいと骨折部が皮を突き破り、飛び出す(開放骨折)こともあります。その為、手術による整復が後の癒合具合を左右します。また神経血管損傷も伴うケースもあり、上腕神経叢麻痺のチェックも必要です。

 プレート固定で鎖骨の転位(ズレてくっつく)や、変形(癒合部が盛り上がるなど、曲がるなどの変形)を防ぎます。高齢者の場合、手術を敬遠しますので、変形が残り易いと言えます。

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 最近読んだ小説 「忍びの国」は面白かったです。著者は「のぼうの城」(近日映画公開します)ですっかり有名となりました和田 竜さんです。舞台は戦国時代、織田勢の伊賀攻めを史実織り交ぜ、物語は進みます。伊賀・・御存知の通り忍者の里で、作中で忍者が「縄抜けの術」を使いました。これは捕縛され縄で縛られていても、肩の関節を外して縄から抜けてしまう技です。

 現在でも体操選手で可能な人がいるそうです。ケガの頻発で脱臼ぐせとなり、自らの肩をぶつけて肩の関節を外すことができると聞きました。これは医学上、「随意性肩関節脱臼」と呼び、ほとんどが後方脱臼です。

 交通事故では自転車、バイクの運転者に多く、衝突の衝撃や転倒の際に手をついた時に肩に負担がかかり起きることがあります。これは「縄抜けの術」と違い、前方脱臼が圧倒的多数です。   4、外傷性肩関節前方脱臼   ■ 病態

1、バンカート病変 (関節窩前下縁の関節唇剥離)

 関節唇とは肩甲骨(受け皿側)の関節面周囲にある、軟骨で出来た土手のようなものです。これが脱臼時にはがれるので、脱臼する道が出来てしまい、脱臼を繰り返すと言われています。

 治療は保存療法とられますが、手術(内視鏡の一種で見ながらこの病変部を修復する方法=鏡視下バンカート修復術)も広まりつつあります。   2、ヒル・サックス病変 (上腕骨頭後外側の陥没骨折)

 これは肩甲骨側ではなく、上腕骨側に発生する病変です。脱臼時に関節窩前下縁部に上腕骨の後方が押し付けられることによって上腕骨のその部分に陥没骨折を起こすことがあります。その陥没骨折を完全に修復できなかった場合、脱臼ぐせとなってしまいます。   ■ 後遺障害

 習慣性脱臼では、12級6号の後遺障害等級が認められます。重篤で腋下神経麻痺が合併すると、さらに運動制限が加わります。ほとんど肩が動かなくなった場合10級10号となります。高齢者では腱板断裂や大結節骨折も伴うケースもあります。その場合も運動障害の残存から等級を計ります。脱臼癖は程度問題でもあり、不安定性程度の診断では12級13号止まりです。   ■ 立証

 亜脱臼位まで圧をかけた、ストレスXPが有効でしょう。弊所の連携先の弁護士さんが、この立証に成功、12級をとりました。動揺関節の場合も圧をかけた結果、亜脱臼位まで不安定性がないと、12級6号以上の障害とはなりません。     多くの体操選手や名横綱 千代の富士を悩ませた症状です。肩の周辺の筋肉を鍛えたり、技を工夫したり、脱臼と付き合いながら競技を続けたようです。

 

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 先週末の金曜日は私が所属する行政書士会の有志による勉強会でした。昨年から2か月置き位に実施しています。私のように交通事故といった一部門に特化した書士にとって、他分野の先生方から教えを頂く貴重な研修です。

 テーマは「成年後見人」についてでした。埼玉の行政書士会としても複数のNPO法人を立ち上げ、多くの先生が参加しています。交通事故と関わってくるケース・・・高次脳機能障害で自らの判断能力が不十分となってしまった方にいち早く手続きをする必要があります。後見制度について整理します。

  ■ 後見人の種類

1、法定後見人(法的根拠=民法)

判断能力が衰えて支援が必要になってから、後見人を家庭裁判所に選んでもらう制度。この判断能力は医師の診断によります。「日常生活に関する行為」以外のすべての法律行為を本人に代わって被成年後見人が行うことになります。

※ 日常生活に関すること・・・少量の食料品や日用品を買ったり、電車・バス等自らの交通費や医療費の支払など

※ 法律行為・・・代理権、同意権、取消権、追認権

 保佐人は同意権に、補助人は4つすべてについてそのつど裁判所の許可が必要。  

2、任意後見人(法的根拠=任意後見人に関する法律)

 元気な(判断能力のある)うちに、自分で認知症等で判断能力が衰えた時に備えて、「誰に」「どんなこと」を頼むか事前に決めておく制度。当事者(委任者と受任者)間で行う「契約」の一種で、契約書には必ず「公正証書」とする必要があります。

※ 公正証書・・・公証人役場で公証人立会・認定のもとで交わす契約書。法的な強い認証力をもちます。  

■ 成年後見審判の手続き(法定後見人の場合)

1、申立人調査  面接にて、申立の目的・経緯、本人の病歴・診断書、本人の財産・経済状況等を聴取されます。

2、親族調査 電話や書面照会で申立人、親族間の意見を聴取します。親族間の紛争の可能性をはらんでいるからです。

3、精神鑑定 家族暦・生活暦、生活状態・心身の状態、精神の状態、判断能力を調べます。鑑定には医師の診断が必要で、費用は5~10万円です。本人が植物状態のときは省略されることもあります。

4、本人調査  本人と面談します。入院している場合、調査官が出張してくれます。やはり意思疎通が完全に不可能の場合、省略されることもあります。

5、審判 家庭裁判所で裁判官が誰を後見人に選任するかを決めます。

6、登記 審判決定後2週間以内にだれも不服申し立てをしなければ確定し、法務局にて登記の依頼をする。選任された後見人は1か月以内の本人の財産目録、収支報告書を裁判所に提出しなければならない。

7、後見開始  家庭裁判所から照会・指示があれば必ず従い、報告する必要がある。  

 この手続きは行政書士が完全に代理として行うことはできませんが、十分お役にたてますし、得意とする分野です。他にも身体障害者手帳、精神障害者健康福祉手帳、障害者年金、介護認定・・・など必要となるかもしれません。高次脳機能障害の被害者を担当する場合、障害の立証以外にやることがたくさんあるのです。その対応ができるからこそ、この分野での名乗りをあげているのです。

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 交通事故を警察に届けると、その事故が起きた事実を証明する「事故証明」の発行が可能になります。これは警察や裁判所が発行するものではなく、交通事故安全センターが発行業務を行っています。事故後3週間~1か月で発行可能となります。  「交通事故証明書」は自賠責保険の請求、労災の請求、健康保険への届け出(第3者行為届出)で必須添付です。通常、事故相手に任意保険会社がついていれば、その担当者が取り寄せをするので、こちら(被害者側)で必要な場合、写しを下さいと言えば入手できます。  加害者が任意保険をかけていない場合、交番で事故証明書請求の申請用紙をもらい、郵便局で振り込んだものです。料金は600円+120振込料だったと記憶しています。

 本日のポイントは「この事故証明がインターネット請求ができるようになっていた!」です。最近まで知りませんでした。ただし請求は本人のみで代理人は今まで通り郵便用請求書の使用となります。ということは保険会社の担当者はインターネット申請ができないはず?です。今度聞いてみます。

交通事故安全センター http://www.jsdc.or.jp/index.html

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