人気の深夜番組「アメトーク」でこんな放送回がありました。タイトルの「腰が痛い芸人」です。腰痛を抱える芸人の皆さんが集まって、その苦労を語りあいました。不謹慎ながら大笑いしてしまいました。しかし実際に腰椎間板ヘルニアの切除手術を受け、完全回復していない芸人さんなど、本人にとっては笑い事ではありません。  日本人の5人に1人が慢性的な腰痛に悩まされていると聞きます。交通事故外傷の世界でも、かなり難儀するが外傷性腰椎間板症です。なぜなら急性腰椎症(ギックリ腰等)、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症は外傷では起こりえない、という学説が存在するからです。当然保険会社はこれを全面的に支持しています。しかし、年齢変成、経年変化が既存であっても、外傷によって発症、悪化することはいくつかの裁判判例で認められいます。そもそも40才を過ぎて腰椎に変化がない人の方が珍しいのです。しかしその年齢的・身体的な変性により外傷性を全面否定するのも暴論と思います。実際、「事故前はまったく痛みもなく、普通に生活できていたのに・・・」という被害者さんが後を絶ちません。

 さて、立証作業に入る前に、腰痛の検査と分類を整理します。  

■ 安静時の痛み ・・・この多くは「病気」なので交通外傷から外れます。

 それぞれ画像(MRI)検査にて描出します。 ・転位性脊椎腫瘍 ・化膿性脊椎炎 ・脊椎・馬尾腫瘍  

■ 前屈制限 ・・・主に前に屈んだ時の痛みです。

1、SLRテスト 

   

下肢を拳上したとき、ピリピリとした放散痛が走ります。 正常であれば 70 °以上あがります。坐骨神経(腰髄神経の L4 ・ 5 及び仙髄神経の S1 ・ 2 ・ 3 の神経根)に障害がある場合は、大腿・下腿の後面に痛みが生じ ...

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 本日はMRI検査同行です。被害者の症状を説明することが主目的ですが、初めて伺う病院なので、ご挨拶や勉強のためでもあります。  検査前の診断にて、医師から丁寧に説明とご教示をいただきました。早速その内容、私の質問とその回答のやり取りを紹介します。  

秋葉:Q.一般に頭部を打った事故では、頭蓋骨に骨折はないか、脳に損傷はないか、をCTで検査しますが、見落とすことはありますか?

医師:A.

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 5時起きで6時前には事務所をでました。朝一で小田原、その後昼には埼玉に戻り、病院をはしご・・・東奔西走、頑張っています。被害者さんも猛暑の中、必死で通院していますので、弱音を吐いている場合ではありません。

 本日はバレ・リュー症候群の症状で苦しんでいる被害者さんを連れ、専門医の診断に立会です。なんと諸々の症状から「脳脊髄液減少症」の疑いが持ち上がりました。これは事故との因果関係で、常に保険会社と厳しい折衝となる、やっかいな診断名です。健康保険適用になったもののブラッドパッチ等の治療に積極的な病院も限られます。私たち、協力行政書士の連携体制が試されます。気合いを入れて取り組みます!!!

※脳脊髄液減少症について・・・過去記事むち打ち損傷の病態分類 5

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 市町村や公的機関の無料相談、弁護士・行政書士の法律相談・・・交通事故相談はたくさん存在します。しかしそれらに足を運んだが、「悩みが解消した」「方針が定まった」「道が開けた」に至らず、あっちこっちまわっている被害者さんを見かけます。それは解決に向けての全体的な流れ(どの時期に何をするか?)や具体的な作業(どの病院で検査をするか?どの弁護士、行政書士が精通しているか?)に踏み込んでいないからです。  交通事故解決の道は、解決までの方針を固める事、具体的な機関に誘致できること、各分野の専門家を熟知していること、です。それらの施策は早ければ早いほど良いのは言うまでもありません。

 NPO法人、協力行政書士の交通事故専門家が対応する 「無料 首都圏・交通事故相談会」 続きを読む »

■ 腰部神経ブロック

 腰部への神経ブロックは、トリガーポイントブロック、硬膜外ブロック、神経根ブロック、椎間関節ブロックなどがあり、腰痛の種類によって使い分けています。硬膜外ブロックも腰椎の棘突起の間から注射する「腰部硬膜外ブロック」と、お尻の仙骨裂孔から注射する「仙骨硬膜外ブロック」がありあます。

 「腰部硬膜外ブロック」は、腰椎(せぼね)の中の硬膜外腔という所に局所麻酔薬を注入し、痛みを一時的に和らげ、腰部と下肢の血行を改善し自己治癒力を高める療法です。エピやエピドラと略することもあります。神経を包んでいる一番外側の膜(硬膜)より外側のスペースに注射をする神経ブロックで、神経に直接針を刺したりしませんから、痛みもほとんどなく、腰痛治療の代表的神経ブロックです。

 腰椎椎間関節症(ギックリ腰)は効き目が顕著にでます。交通事故外傷でおなじみの腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症は「硬膜外ブロック」より「神経根ブロック」の方がより直接的な効果が期待できます。しかし脊髄周辺の極めてデリケートな部分に針を刺すので、医師の技術がものをいいます。不慣れな医師はビビってしまい、ピンポイントで神経に注入できないと聞きました。

                                   ■ 最後に

 痛みやしびれの緩和に絶大な効果をもたらす、これらの神経ブロック療法。これはつまり根本的な治療というより、自然治癒能力を高める処置と言えます。大事なことは整形外科医の外科的治療と両輪で進めるべき処方で、整形とペイン、両医師の連携と治療情報の交換が必須です。

 もしこの記事をご覧のペインクリニックの先生がいらしましたら、今後バレリュー症候群や腰椎間板症等の交通事故の患者さんをお願いしたいと思いますので、ご一報下さり、適時ご指導を頂ければと思います。   <参考文献:「星状神経節ブロック療法」 若杉 文吉 先生 著>   

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 レーザーを星状神経節近傍に照射することで、局所麻酔薬を用いての星状神経節ブロックに類似の効果をもたらすレーザーSGBについて。

※ SGB…stellate ganglion block  訳すると「星状神経節ブロック」です。現場の麻酔医は星状神経節ブロックと言わず、SGBと言っています。

■ レーザーSGB

 星状神経節ブロックと同じ要領で、第6または7の頚椎(C6またはC7)横突起のやや内側に(胸椎T1付近が正しい)、半導体レーザーのプローブを圧迫気味に当てます。照射時間は、60mWでは5分間、150mWで3分間、1000mWで1分間が目安です。レーザー照射により、頭頚部および上肢の局所温度上昇に伴い、疼痛の軽減、しびれ感の改善および患部の温感を自覚します。つまり、星状神経節ブロックに近似の効果をもたらします。

 神経ブロックとは異なり、ホルネルの徴候(縮瞳、眼球陥没、眼瞼下垂)の発現をみることはほとんどありません。また、ブロックではブロック側だけの局所温度上昇を認めますが、レーザー照射では両側の温度上昇がみられます。

 ブロックと比較して、レーザー照射の場合には、手技が容易で、合併症がなく、局所麻酔薬を用いないので薬物アレルギーの心配もありません。注射針を使用しないので痛みや恐怖感もありません。浦和のペインの先生から聞きましたが、女性は「早くブロック注射を!」と言いますが男性は「まずはレーザーで・・」との傾向だそうです。男性は度胸がないようです。

 レーザー照射の効果はブロックに比較すれば穏やかですが、効果の持続時間は、ほぼ同程度です。レーザー照射は、星状神経節ブロックの適応となる非定型顔面痛、緊張性頭痛、偏頭痛、群発頭痛、レーノー現象などの有痛性疾患、無痛性疾患である顔面神経麻痺、突発性難聴、鼻アレルギー、網膜血管閉塞症などに応用できます。高齢者や年少者に対する適応は大きく、頻回の治療が必要となる場合には、とくに有用な手段となります。

 開心術後患者などの抗凝固治療中の患者や糖尿病患者などでは、ブロックに伴う出血や感染が危惧されますので、レーザー照射が有用となります。     バレリュー症状がひどい場合、やはりブロック注射が望ましいと思います。しかしペインクリニックの現場では、まずレーザー+投薬で様子を見て、次に注射とする傾向です。    次回 ⇒ 腰部への神経ブロック    

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■ 自律神経について

 バレ・リューの代表的な症状、めまい、ふらつき、不眠、吐き気、耳鳴り、倦怠感はどのようにしておこるのでしょうか?これは自律神経の異常からおこる症状です。

 自律神経系には、交感神経系と副交感神経系とがあり、その中枢は間脳の視床下部にあります。呼吸、脈拍、血圧、体温、発汗、排尿、排便など、みんな自律神経によってコントロールされています。早い話、眠っているときでもちゃんと呼吸をして、心臓も止まらず、生命が維持できるのは、自律神経が働いているからです。

 交感神経と副交感神経は、拮抗的に働き、心拍数は交換神経が興奮すると早くなり、副交感神経が働くと遅くなります。運動している時=交感神経、休んでいる時=副交感神経、両者の関係はアクセルとブレーキに例えられます。 バレリュー症候群のしくみは自律神経の失調でも、とりわけ交感神経、副交感神経両者の異常亢進があげられます。つまり、アクセルとブレーキを逆に踏む、両方踏む状態です。日中は副交感神経が働き、だるくなり、眠りに入る時は交感神経が興奮して眠れない・・・。

 これらの悪循環を断ち切らない限り、患者の体力は奪われ、回復どころではなくなるのです。星状神経節ブロックは交感神経の異常亢進を抑え込むことを目的とします。星状神経節は胸から上の皮膚、内蔵の交換神経が集まっている、交感神経のバスターミナルのようなところです。ここの交通整理をすることで、自律神経の失調を回復させます。    つづく ⇒  レーザーSGB?  

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■ 痛みのしくみ

 痛みには「有用な痛み」と「無用な痛み」の2種類があります。

 体に傷を受け、痛みが起こると、反射的に自律神経系の交感神経が緊張し、副腎(腎臓の上部にあるホルモン分泌器官)からアドレナリン(血管や内臓を支配し、全身の活動力を高める働きをする交感神経を刺激して、心臓や血管の収縮力を高めるホルモン。一般に興奮状態を促すものと解釈されています。)が分泌され、心臓の働きが早くなり、血圧が上がり、呼吸も大きくなります。血管が収縮し、障害された局所への血流が少なくなり、血管が固まり易くなって、血液が失われるのを防ぎます。

 こうした、自分の体で「痛み」を直そうとするものは「有用な痛み」です。これは、体を守るための応急処置といえます。しかし何日も、何か月も、何年も、続く慢性的な「痛み」となると話は変わります。

 もう警告の役目はとっくに終わっているのに、スイッチの切れた警報器のようにいつまでも続く慢性の疼痛は「痛み」そのものが病気です。これによって体力が失われ、ケガの回復を遅らせ、辛い状態が続きます。   ■ 神経を「ブロック」するとは?

 先に述べた通り、神経ブロックは皮膚の外から注射針を刺し、麻酔液を注入することです。つまり、脊髄から分かれる末端神経を麻酔液によって麻痺させ、抹消神経節から脊髄に渡る神経伝達を遮断します。これによって「無用な痛み」の伝導路を断ち切るのです。   ■ 星状神経はどこにある?

 先日の被害者さんは、「あれって喉から刺すんですね・・」と言っていました。頚部=うなじ、と思う方も多いです。頚部の交感神経節は上から、上頚神経節、中頚神経節、椎骨動脈神経節、そして星状神経節の4つです。星状神経節は長さ約3cm、幅1cm、厚さ0.5cmで、最新の研究で第一胸椎の横にあることがわかりました。(古い本では第7頸椎の横と記載されていますがこれは間違いです。)つまり首の付け根、鎖骨のすぐ上のあたりでしょうか。

(第7頸椎)の下がT1(第一胸椎)です

    次回 ⇒ 自律神経  

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■ 神経ブロックとは

 神経、またはそのそばに注射をして、神経の働きを一時的、あるいは永久的に休ませて、病気を治す治療法のことです。局所麻酔薬を使用し、一時的に神経を休ませることで、自己治癒力を高めます。麻酔薬はキシロカインが主で、カルボカイン、マーカイン、アナペイン、ステロイド剤があります。副作用を伴うステロイドは敬遠されています。

 「痛み」が発生すると、自律神経のひとつ「交感神経」が緊張していまい、毛細血管は収縮して血行が悪くなってきます。ところが、これは痛みを治すためには困ったことで、血行を良くしないと痛み物質が滞り、炎症は治りにくく、痛みはどんどん強くなってしまいます。そして、自律神経失調症をまねいてしまう原因ともなります。

 神経ブロック療法には、血行を良くする働きがありますので、この痛みの悪循環を断ち切ることができ、治癒を促進するのです。

                                      ■ 星状神経節ブロック

 目下、ペインクリニックで注目の神経ブロックです。喉にある交感神経を一時的にゆるめ、ヒトが本来持っている自己治癒力を高める治療法です。自律神経、ホルモン分泌、免疫力、抵抗力のバランスを整えますので色々な症状や病気に有効です。

 喉には星状神経節といって、脳・顔面・頭部・頚部・上肢・心臓・肺などに交感神経の細い線維を送っている交感神経の「中継所」のようなところがあります。この神経のターミナルに局所麻酔薬を注射し、交感神経の働きを一時的に遮断するのが「星状神経ブロック療法」です。この療法をすると、局所麻酔薬が効いている間、脳を初めとする支配領域の血行がよくなり、機能低下していた様々な器官が機能回復するのを助けます。そのため、痛みや様々な症状が楽になってくるのです。

 星状神経節ブロック療法の特徴は、繰り返していくと脳の視床下部の機能が改善され、自律神経、ホルモン分泌、免疫力(抵抗力)のバランスが整い、自己治癒力が高まってくることにあります。そしてその改善した自己治癒力により、さまざまな病気に適応できます。

 また、副作用がないことも「星状神経節ブロック療法」の特徴です。老若男女を問わず、妊娠中の女性でも、大丈夫です。ただ時々、ブロック注射のあと、声がかすれる、ものを飲みこみづらい、注射した部位が痛い、腕があがらない、といった症状がみられることがあります。これらは、一時的なものですから心配はいりません。1~3時間でもとにもどります。稀に、キシロカインにアレルギー反応を起こす人もいるので、注意が必要です。    星状神経節ブロックを詳しく ⇒ 神経ブロック 2

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 交通事故でムチ打ちとなり、頚部痛だけではなく、倦怠感、吐き気、めまい、不眠、耳鳴り・・・これらの症状が続く場合、バレリュー症候群を疑う必要があります。この症状の患者に、電気治療や牽引、マッサージを行っても改善がみられません。「痛みどめを出しておきます」といって病院を後にしますが、バレリューの症状が続く場合、頚部症共通の治療・処置=「安静」 をすることができません。    そこで治療法にペインクリニックの導入を検討します。

 今日からペインクリニックと神経ブロックの基本について解説します。

  ■ ペインクリニックとは

 「ペイン(Pain)」というのは「痛み」のことで、ペインクリニックというのは、頭が痛い、腰が痛いなどの「からだの痛み」だけでなく、やる気が出ない、イライラするなどの「こころの痛み」も治療する診療科です。 日本では1962年に、若杉文吉先生が、東京大学にペインクリニック外来をつくられたことに始まります。整形外科を経て麻酔科医になられた若杉先生は、当時整形外科、耳鼻科などで行われていた「星状神経節ブロック療法」を積極的に取り入れ、痛みだけでなく、全身のさまざまな病気に効果があることを研究しました。  麻酔科医がペインクリニックを担当するようになったのは、もともと、手術中の「痛み」をとることが専門だったことによります。痛みの原因は全身の病気に由来しますから、内科、外科、小児科、産婦人科など幅広い科の知識を持ち、全身を診ることが専門だったという点も合致したからです。  これらの経緯から、ペインクリニックは「神経ブロック療法」を中心に治療を行っています。中でも「星状神経節ブロック療法」は「痛みの病気」だけでなく、自律神経、免疫力、ホルモン分泌のバランスを整え、自己治癒力を高める治療法ということになります。

 明日に続きます。

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 昨日の病院同行で痛感させられました。交通事故外傷は奥が深い、ということです。

 被害者は事故後、肩周辺の筋萎縮と左腕の挙上不能(腕が上がらない)が続き、改善が見られません。これは頚部神経症状なのか、それとも肩腱板損傷なのか・・・画像所見も判然としません。そこで専門医の診断を仰ぎました。

 受傷後の頚部MRI読影、そして徒手筋力テスト、神経症状の問診が流れるように進みます。そして下った診断名が頚椎性筋力低下を伴った「脊髄前角障害」です。脊髄のMRI・T2画像に点状の高輝度所見がみられます。私も見落としていました。ヘルニアの圧迫や脊柱管・神経孔の狭窄にこだわっていたからです。そして肩のMRIばかり凝視して腱板損傷を探していました。  結果としてこの患者は「前方固定手術」とよばれる頚椎の手術で改善が図れるかもしれない、という道筋が立ちました。

 教訓です、教科書通りではダメなんです。やはり経験を積んだ専門医の診断の前には生兵法甚だしい結果となります。

  改善が見られない、診断名がはっきりしない、などの場合があります。このままでは治療方針が定まらず、有効な治療も行われず、患者の回復の助けにはなりません。後遺障害の立証の過程で、それらを見極め確実な診断と適切な治療に結びつけることも重要な仕事です。                 頚椎症を二分する脊髄圧迫型と神経根圧迫型、               しかしそれだけではないことを学習しました。           

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脊髄シリーズ、今日で終了です。神経の後遺障害はとても深い領域です。私のわずかな経験では語り尽くすことはできません。より経験を積んで学習を深めていきたいと思います。

 最後に画像以外での判定、診断について昨日の見学から報告です。この患者さんの症状は脊髄損傷を示していますが、画像所見では判然としません。既に受診した2~3名の医師も「う~ん・・・」状態でした。このような不確定な状態で漫然と治療を続けていても不安です。ついにその分野の第一人者たる専門医の診断を仰ぎました。  

<検査と診断>

 頚部神経症状か脊髄損傷か・・・上肢、下肢のしびれ、めまい、ふらつき、不眠等、神経症状の原因をまず判定しなければ治療方針も定まりません。

 この専門医師はしばらく患者の話を黙って聞いています。そしていくつか質問を行い、以下の検査、数項目をはじめました。 

1、首の左右の神経根圧迫の様子をみる

 まずはジャクソンテスト、スパーリングテストと呼ばれる検査です。医師が頭を上から垂直に押すジャクソン、首を左右に傾けて押すスパーリング、その結果で左右の神経根圧迫のサイン(指先にビリビリと痺れが走る)を観察します。  昨日の医師の場合、「首を左に傾けて下さい」、「次は右」、「指先まで痺れがきますか?」。それだけです。患者にまったく触れません。                 

                  

2、腱反射

 ゴムハンマーで膝などをコンッと叩く奴です。 上腕二頭筋と腕橈骨筋を叩きました。 神経根圧迫の場合、反射は「低下」、「消失」といった、無反応にちかい反応を示します。脊髄損傷の場合は「亢進」です。亢進とは異常反応のことで、ピクッと筋肉が緊張します。                 3、病的反射  (トレムナー、 ホフマン、ワテンベルク )

 ・ホフマン ・・・ 手の平を上に向け、中指を曲げて手のひら側にピンッと弾きます。  ・トレムナー ・・・ 今度は伸ばした中指の腹を指で数回弾きます。 ・ワテンベルク・・・ ...

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 おはようございます。この1週間世界で一番美しい日本を満喫しました。どこの病院へ行っても桜が満開でしたので。   むち打ちシリーズも本日記事で最終回にします。もちろん新しい情報や経験則が得られれば今後も記事にしたいと思います。交通事故外傷で半分以上を占める症状です。まだまだ語りつくせない分野です。  

6.脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)型

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 むち打ち週間が続きます。前日までの1.頚部捻挫、2.神経根型、3.脊髄症型、4.バレリュー型、いずれも実務上経験しておりますが本日からの病態はレアケースになります。もちろん担当したこともありません。したがってご覧の皆様もその辺をお含みおき頂ければと思います。  

5、胸郭出口症候群型

<症状>    頚部痛だけではなく、おもに片側の上肢にしびれと冷感が生じます。肩こり、倦怠感、様々な症状を起こします。症状はかなり広範囲です。  原因ですが少し長くなります。腕の神経は頚部から両上肢に左右にそれぞれ5本ずつ走行しています。 その通り道に胸の鎖骨下、第一肋骨に前・中・後斜角筋、斜角筋、鎖骨下筋、小胸筋が存在しています。 それらの組織の損傷、変形で血管や神経の通り道が狭くなり、血管や神経が圧迫されたり、引っ張られたりする結果、知覚鈍麻・筋力低下の神経障害が発生してくるのです。  神経根型は頚椎の位置によってしびれる箇所が分かれますが、肩の動きや角度でしびれが変わることが特徴です。  

<検査と治療>

 簡単にできる検査として以下を挙げます(事故110番抜粋)

・Morleyテスト  鎖骨上窩を圧迫すると、上肢が痛みます。

・Wrightテスト  肘のレベルまで両手を上げた状態で、橈骨動脈が触れなくなり、胸骨出口部が痛くなります。

・Roosテスト  Wrightテストの状態で、手・指の屈伸を3分間行い、腕神経叢に圧迫がある場合は、腕がだるくなり、指が痺れてきます。 静脈に圧迫がある場合は、上肢が青白くなり、チアノーゼが生じます。

・Edenテスト  両肩を後ろ下方に引っ張り、胸を張ってもらうと脈が触れなくなります。

 確定診断には容積脈波やサーモグラフィーの検査を行います。それにより病源を特定し運動療法を行います。痛みがひどい場合には薬物、可動制限が著しい場合は手術を検討しますが、保存療法が第一としています。

   <後遺障害認定>

 やはり画像所見や器質的損壊(骨折等)を伴えば12級13号、自覚症状のみでは14級と他の神経症状と変わりません。しかし岐阜の脳神経外科医・加納先生が血管造影検査と手術で成果をだした途端、全国の患者が加納クリニック殺到し一大キャンペーンの様相を呈しました。もちろん治療の成果はありましたが後遺障害等級認定は自賠責の基準外とし、相手にされませんでした。したがって勝負の場は裁判にもちこまれ、その後いくつか認定結果を得ています。

 当時の一大キャンペーンの患者さんの一人、別件の事故にて現在担当中です。今日病院同行中その時の”お祭り”話を聞きました。

 ある傷病名が有名になると患者や等級申請者が殺到する・・・病院も審査する側も大変ですね。                                                                  続きを読む »

 そもそもむち打ちは自覚症状(痛み、しびれ等々)のみで、画像所見もなく、医師も「頚椎捻挫ですから安静にすれば治ります」となるケースが多いのです。これが保険会社が「賠償病」「補償症」と呼ぶ理由です。しつこく症状を訴える患者に対し医師も最後には「精神的なものです」と言って心療内科への紹介状を渡します。医師も保険会社も、はたまた家族も誰も自身の症状を信じてくれません。この段階でどうしたらいいでしょうという相談者が後を絶ちません。お気持はわかりますが自分を助けるのは自分です。つまり正しい診断へ辿りつくべき努力が必要です。

4、バレ・リュー症候群

(症状)  たとえば痛み、しびれはもちろん、めまいやふらつき、吐き気、耳鳴り、不眠などの異常が長期間に及ぶ場合、バレ・リュー症候群の可能性があります。1925年にフランスの神経学者バレ博士が、「頚部の疾患、外傷でありながら頭部や顔面に頑固な自覚症状を訴える症例があり、これらの症例は頚部の交感神経機能と密接な関わりを持つ」と発表したものです。さらに「深部交感神経(椎骨神経)が責任部位であり自覚的所見が症状のほとんどを占める」と続きます。つまり「自覚症状だけ!?」なのです。そんな無責任な!と言いたいですが、バレ博士の教え子リュー氏(だからバレ・リューか!)が多くの症例を集め研究を続けましたが、完全解明されず現在に至ります。臨床上、その存在は知られていますが、原因や根治療法は確立していません。

(治療)  これは整形外科の分野から外れます。牽引や電気治療を続けても効果はありません。早めに神経内科、ペインクリニック等専門医に診てもうらう必要があります。症状の緩和にはやはり神経ブロックが有効です。その種類・方法は専門医の判断が大事です。  また受傷直後は安静が大事ですが、過度の安静は頚部・肩関節の関節拘縮や、抑うつ傾向によって痛みを強めてしまうので、ポリネックでの固定は避けたほうが良いとされています。この辺が単なる頚椎捻挫の治療と一緒にできないところです。

(後遺障害認定)  この傷病名が直接、後遺障害の対象とはなりません。あくまで頚部神経症状の一環として12級13号、14級9号の対象です。そして大事なことは神経症状の検査をきちんと行っていること、受傷後遅くとも3か月以内に神経症状の診断を受けてカルテに記入してもらうこと、そして専門医の治療を開始していること、これらを6か月後の後遺障害診断書の段階でやっても遅いのです。後遺障害等級申請のときになってはじめて神経症状と書いてもらっても、「受傷後6か月後に発生した症状で、事故との因果関係に乏しく・・(つまり認められません)」と毎度お決まりの審査回答となります。  

 私が相談を受けた被害者さんも泣く泣く非該当や低い等級を甘受し、ペインクリニックに自費で通っている方が何人かいます。不眠や耳鳴りはとても辛いとお察しします。この皆さんは受傷後1年たっての相談だったり、すでに等級申請を済ませていたり・・・つまり相談時期が決定的に遅いのです。   医師も万能の神ではありません。専門外の症状には素人と変わないかもしれません。周りが「むち打ちなんて」と甘く見ても、自分の事は自分でしっかり見極めて下さい。                                 

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 おはようございます。昨日の続きです。

3、脊髄症型

(症状)  事故後、頚部痛だけではなく両上肢、両下肢までしびれが生じている。例えば上肢については両手で顔を洗うときに両手が上手く動かない、ボタンがかけずらい、下肢については長時間の歩行はだるさを伴い困難、階段昇降で痛みが走る。神経根圧迫であれば片側の上肢のみに症状がでることに対し、両上肢下肢にまで及ぶ場合この脊髄症を疑うべきです。

(治療)  まずレントゲンで頚椎の損傷がないか確認します。そしてMRIでヘルニアの脊髄圧迫なのか、脊髄そのものに損傷があるのかを判断します。ヘルニアの圧迫であれば神経根型と類似の治療となります。脊髄に損傷がある場合、必ずT2(高輝度所見)で撮影します。この場合は脊髄に不自然に白く光る病変部が移ります。造影剤を使うこともあります。  受傷直後は安静、そして痛みの緩和にはやはり神経ブロックで、症状に応じて硬膜外ブロック、星状神経節ブロックが有効です。このブロック注射は手術扱いで点数(治療費)の高さから整形外科も積極的です。しかし腕の差がかなりでる技術なので医師選びが重要です。  脊髄麻痺が進行しているケースでは手術適用となります。前方固定術が代表的で、この手術は脊髄を圧迫している椎間板を除去し、腸骨の骨片を空いた隙間に埋め込みます。これも執刀する医師により判断したいところです。  ちなみに近所の整形外科で椎間板切除に積極的な医師がいます。あまり病態が深刻ではないのに勧めるので、ちょっと心配です。 下肢への症状があり同時に腰を受傷した場合、腰椎を損傷していないかも調べて下さい。

(後遺障害認定)  脊髄損傷はそもそも頚部症候群から外れており、中心性脊髄損傷、脊髄不全損傷、頚椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、後縦靭帯骨化症等として判断するべきです。なのでこれらは別の機会に譲ります。神経症状であれば神経根型に同じく12級13号、14級9号です。  神経根型と同じ検査を行い、さらにバビンスキー、膝・足クローヌス、ホフマン、トレムナー、ワルテンベルグ、手指の巧緻運動を加えます。脊髄に異常があるときにそれぞれ陽性反応を示します。

 むち打ちでも見逃してはならない深刻な病態もあります。漫然と治療を続けず、自身が何型のむち打ちなのか把握することが大事です。保険金や等級云々よりも後遺障害は残さない方がいいに決まっています。

 ではまた明日に続きます。

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 「むち打ち」とは俗称であり、正式にはいくつかの病態に分かれます。いずれも治療方法が確立されたとは言い難いものですが、「頚椎捻挫」であれば一定の回復が図れます。保険会社が賠償金交渉で逸失利益(将来にわたる損害)を認めない、もしくは2~3年とみる理由は「むち打ちは治るのだから・・」です。

 しかし、症状の残存は病態によって差があります。まず、自らの病態を把握し、適切な医師の治療を受ける必要があります。併せて、症状固定時に正しい後遺障害診断が得られるよう計画・準備をします。   1、頚椎捻挫型

(症状)  多くは追突事故を受けた後に頚部に違和感が生じます。当日はレントゲンで「骨に異常ないですね」と言われ、痛み止めの薬(ロキソニン、カロナールなど)を処方されて帰ります。翌日~3日後位になると、痛みに加え、こわばり、肩が重だるい、腕から手指にかけてしびれを感じるようになります。   (治療)  安静が第一です。無理に動かしたりせず、痛みが和らぐのを待ちます。   (後遺障害認定)  医師や保険会社の言う通り、多くは「治る」ものです。したがって、週1回リハビリに通った程度では後遺障害とはなりません。もし、1か月経っても症状が軽減しない場合、早期に下記2以下の病態を疑い、その際、MRI撮影をして下さい。   2、神経根型

(症状)  肩から手指にかけてしびれを自覚します。首を曲げるとピリピリとした感覚が走ります。これは頚椎のヘルニアや骨棘(頚椎の骨の角)が神経に触ることで生じます。これは、MRIで視認できます。しかしながら、事故の衝撃で椎間板ヘルニアになることはなく、多くは加齢によるものです。事故の衝撃で椎間板が飛び出したら、頚椎の骨折・脱臼、脊髄損傷になるはず、命に関わる外傷になります。

 理論的には、神経に元々圧迫があった部分に事故の衝撃が加わり、神経症状を発することになります。知覚障害、放散痛、筋力低下など、諸々の神経症状が現れます。神経の圧迫が続く限り症状は残存しますので、ひどいと手術適用になります。   (治療)  MRIの診断で頚椎(第1頚椎:C1~第7頚椎:C7)のどの部分が神経根を圧迫しているかを確認します。ケースとしてはC5/6、C6/7間、C8の部分が多いようです。そしてなるべく早い段階で医師にスパーリングテスト、ジャクソンテストをしてもらい、カルテに記入してもらいます。

 症状によっては神経ブロックが有効で、痛み・しびれを和らげる効果があります。硬膜外ブロック、星状神経節ブロックなど、注射を打つ場所は頚部になります。薬剤はキシロカイン、カルボカイン等の麻酔薬が主で、この注射は神経科の領域になります。最近では、ペインクリニックの呼称で個人開業医でも施行しています。

 軽度のヘルニアであれば保存療法ですが、ヘルニアの切除、レーザーで焼き切る術式があります。ヘルニアの突出や変形がひどければ、神経への圧を除去するための前方固定術や、椎弓形成拡大術が選択されります。これは、脊椎外来などを擁す、医大系の専門医の執刀になります。   (後遺障害認定)  MRI画像から、はっきりと神経根圧迫が認められれば、しびれや痛みの症状の根拠となりますので12級13号の対象となります。ただし、40歳を超えた人は大なり小なり頚椎の変形やヘルニアの膨隆(バルジング)があります。したがって、画像上微妙な場合は14級9号となります。いずれも整形外科に地道に治療を続けることが大事です。

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 桜が咲きました!悲しいニュースが続きますがそれでも花は咲き、季節は変わります。

                  

 土曜日はプライベートの外出でしたが携帯は鳴りっぱなしです。ありがたいことにこの土日で4件の相談をいただきました。したがって日曜はのんびりできず、それらのメール・電話返信、書類作成で平日と変わりません。相談内容はすべて外傷性頚部症候群でした。むち打ちなどと呼ばれることもありますが、実際は症状も細分化され深い分野です。交通事故の後遺障害で6割を占めるとのデータもあります。専門書も数多く出版されており、適時参考にさせていただいています。専門的な解説は明日からにしますが、とにかくまずMRIの画像所見です。そして接骨院や鍼灸、柔道整復師へのリハビリもよいですが整形外科にしっかり通って地道な治療を続けて下さい。なぜならほとんどの保険会社は「むち打ちは後遺障害とはなりません」との認識で待ち構えています。自身のケガは自分が一番よくわかっているはずです。そして自身の権利を守るのも自分です。

 交通事故110番のコンテンツを熟読して下さい。相談先を見極める目を養えます。そして私たち全国の110番行政書士が出番を待っています。

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 「100人に聞きました」・・昔こんなテレビ番組がありました。では「1000人に聞きました、体のどこかに痛みがありますか?」と統計をとると1000人中96.3人が腰痛を訴えたそうです。風邪の咳や痰を訴える人が56.2人ですからだんとつの一位です。(腰痛症ハンドブック 遠藤健司先生著 参照)   にわかに信じがたい数字ですが身近な一家、私の親戚を例にとると納得です。

 まず大学生の子供さんは高校時代サッカー部に所属、毎日ハードな練習をしていました。しかし接触プレーと過労で腰を痛め、「腰痛分離症」の診断で進学後サッカーを辞めました。深刻な症状ではないようですが、腰に爆弾を抱えていると言っています。  次にお母さんです。昨年転んで腰を痛めたそうで、念のためレントゲンを撮ったら「腰痛変性すべり症」と診断されました。痛みは大したことはないようですが画像を見てショックだったそうです。  次はお父さん。若いころルート運送の仕事で10年間2tトラックの運転をしていました。もうお分かりですね。お決まりのギックリ腰です。3度ほど寝込んだそうです。その地獄の痛みは我慢強い叔父でも涙ポロポロだったそうです。以来運転はせず、運動を心がけています。  最後にお爺ちゃん。年齢変性からの「脊柱管狭窄症」で、最近腰の痛みに加え排尿障害となったそうです。  昨年担当した高齢の被害者は外傷性の椎間板の突出による馬尾神経圧迫のため、下肢のしびれと排尿障害を発症しました。外傷性の立証に大変な苦労をして12級の認定となったのですが、高齢者は程度の差はあれど椎間板・脊椎・靭帯の肥厚によって脊柱管が狭くなります。これを年齢変性か外傷性かを判断することは大変難しく専門医の慎重な診断が必要です。椎間板ヘルニアの神経根圧迫も加齢による変性なのか外部からの衝撃による突出なのか、または両方か?これも同様に迷うところです。  ・・・腰は等級認定も外傷性頚部症候群(むち打ち等)と並び最も非該当(障害の原因は事故ではない!)となりやすい部位です。

 もしこの家族が交通事故で腰を受傷したら・・後遺障害立証が大変だなぁ、とため息がでます。  

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