14級9号の文例を分析します。    調査事務所の調査結果について、自賠責保険窓口会社(名)で文章回答がなされますが、大量処理の為、テンプレート(文章のひな型)を少し改造して作成している様子がわかります。  

段落 本文 解説 結 論

自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。 結果は最初に書かれます。

理 由

前 段

頚部が重だるく、左手先までシビレがある。重い物が左手では持てない等の頚椎捻挫後の症状については、 これは主に後遺障害診断書の自覚症状に書かれていることを抜粋しています。また医師の診断内容を抜粋することもあります。

中 段

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では昨日の解答から。Aさんの認定結果の全文を掲載します。

  <結論>

 自賠法施行令別表第二第14級9号に該当するものと判断します。   <理由>

 頚部が重だるく、左手先までシビレがある。重い物が左手では持てない等の頚椎捻挫後の症状については、提出上の頚部画像上、本件事故による骨折等の明らかな外傷性変化は認め難く、その他診断書等からも、症状の裏付けとなる客観的な医学的所見に乏しいことから、他覚的に神経系統の障害が証明されるものとは捉えられません。    しかしながら、治療状況等も勘案すれば、将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられることから、「局部に神経症状を残すもの」として別表第二第14級9号に該当するものと判断します。    Aさんは14級9号が認められました。赤字の部分は先日の<理由>に続く後段です。画像や診断がはっきりしなくても、「局部に神経症状を残すもの」と推定された結果です。つまり症状を信じてもらえた?ということです。ではもう一つのケースを。  

ある被害者Bさん(40才 男性 会社員)のケース

 この方も同じく停車中、追突を受け、首を痛めました。痛みがひどいのでその日のうちに病院へ。そこで頚椎捻挫、腰椎捻挫の診断を受けました。翌日から職場に出社しています。やはり首の痛み、腰の痛みがひどく、市内の総合病院でXP(レントゲン)を撮っていただきましたが、骨には異常ないそうです。この総合病院へは月に1回通院し、あとは土日も開いている近所の接骨院で治療を進めました。

 ・・・6か月を超過する頃、相手の保険会社は治療費の打切りを執拗に迫ってきました。Aさんに同じく、仕方がないので症状固定とし、腰に比べてよりひどい頚部痛の残存を訴えた後遺障害診断書を医師に記載してもらいました。通院日数は40日を超えた位でした。そして同じように後遺障害等級の申請を行いました。

 待つこと40日、「結果」が文章で届きました。今度は最初から全文を読んでみましょう。   <結論>

自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。   続きを読む »

ある被害者Aさん(38才 女性 事務職)のケース

 OLのAさん、停車中に追突を受け、首を痛めました。痛みがひどいので直後に病院へ。そこで、むち打ち「頚椎捻挫」の診断を受けました。

 数日で仕事に復帰したものの、首の痛みや手先のしびれが治まりません。医師もムチ打ち程度と軽く考えています。しかし念のため神経症状が長引くことを心配し、MRIだけは撮っていただきました。しかし目立った病変、異常は画像に出ませんでした。

 その後も依然として症状は良くなりません。少し症状が楽になるので、理学療法(電気治療)だけは継続しました。仕事で毎日の通院はできませんが、土曜日や仕事帰りに近所の整形外科に通うことができたからです。

 ・・・6か月を超過する頃、相手の保険会社は治療費の打切りを執拗に迫ってきました。さすがにムチ打ちで長期間の治療は気が引けます。仕方がないので症状固定とし、痛みとしびれの残存を訴えた後遺障害診断書を医師に記載してもらい、後遺障害等級の申請を行いました。    待つこと40日、「結果」と「理由」が文章で届きました。理由の上段落を読んでみましょう。   <理由>

 頚部が重だるく、左手先までシビレがある。重い物が左手では持てない等の頚椎捻挫後の症状については、提出上の頚部画像上、本件事故による骨折等の明らかな外傷性変化は認め難く、その他診断書等からも、症状の裏付けとなる客観的な医学的所見に乏しいことから、他覚的に神経系統の障害が証明されるものとは捉えられません。・・・・    ここで問題です。さて、この方、14級9号の認定はされたのでしょうか やはり非該当?   (答えは明日) ⇒ 後遺障害認定結果の文例 2  

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 毎回被害者さんに説明しています、「自賠責保険における後遺障害申請の流れ」を復習しましょう。    自賠責保険の契約手続きは通販を除く、任意保険会社と交わします。多くの場合、自動車購入時、車検時に自動的に契約しますので、任意保険ほど「契約した!」感はありません。

 交通事故の被害者が後遺障害を負った場合、相手の自賠責保険にまず等級の申請を行います。

 申請ルートは相手の任意保険会社を介した「事前認定」、被害者側で行う「被害者請求」に大別されます(稀に「加害者請求」、「仮渡金請求」もあります)。この申請書類は自賠責保険の引受会社・担当窓口に送られます。そこで提出書類のチェックを行い、不足・不備がなければ、「損害保険料算出機構」の下部組織である「自賠責損害調査事務所」に送致、そこで審査されます。

 そして結果は窓口である自賠責保険会社に戻り、そこから申請した被害者に通知がなされます。この通知は自賠法 16 条の 4 で「文章回答」が義務付けられています。

 自賠責側から見ますと、以下4段階となります。

 契約事務→保険金請求受付事務→審査は別機関→支払、認定結果通知事務

 自賠責保険は平成14年4月に国土交通省の管理運営を外れ、民営化されました。しかし昔も今も調査・審査業務は調査事務所です。上記の流れの通り、窓口業務を民間=損保会社が行うシステムの整備がなされた事、これが民営化の実質的な内容です。

   明日から実際の「文章回答」を載せます。今日の日誌はそのシリーズのプレリュードのつもりで書きました。被害者はもちろん、この業界の皆さんも興味津々、自賠責保険の回答パターンを特集します。一緒に考察しましょう。

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 週末は恒例となりました六本木会場での相談会でした。連携の弁護士、交通事故チームとも呼吸が合ってきました。どのような状況の被害者であっても、各分野の専門家の参加により、しっかり対応できていると思います。  無料とはいえ、相談者にとって有益な回答を行い、納得して帰っていただくことを目標にしています。なかには即時、行政書士、弁護士が有償対応すべき場面もありますが、アドバイスに留めるケースもあります。それはある程度解決の形が見えてきて、被害者本人で完遂できそうな場合です。もう一つは逆に高望みせず、現実的に進めるべきと判断されるケースです。

 例えば14級が認められた被害者ですが、「12級の可能性はないか?」、このような相談も毎回のようにあります。対して多くの専門家は「12級は難しいから・・・」曖昧な回答を行います。結果、被害者はさらにモヤモヤして帰途に着きます。私たちの場合は、症状と画像、診断内容を見比べ、さらに腱反射など神経症状を実際にテストします。なぜ12級ではなく14級なのか、しっかり検証します。多くの方はこれで納得しています。

 また、ここ数回で目立つのは「なぜに14級がとれず非該当なのか」です。以前も14級9号について独自理論で解説したことがありました。→14級9号を考える

 14級9号とは「画像や検査、診断内容から神経症状が医学的に証明されていないが、治療経過からそれなりに重篤な症状が推測できるもの」に対して認定されます。それはつまり被害者の窮状が信用してもらえたということです。それが認められなかったのは何故か?・・ズバリ、調査事務所に訴えている自覚症状を信用してもらえなかったのです。  14級すら取れず非該当となった相談者に対して、非該当の理由を資料から必死に読み取ります。それでも明確な理由が見当たらない時があります。よくよく聞いてみると受傷から現在に至るまで、その交渉過程や治療過程で信用されなかった「因果」がでてきます。

 基本は自覚症状を裏付ける医師の診断と画像・検査所見です。加えて症状の一貫性、治療経過の自然さも重要な審査項目です。そして明確な審査基準はないと思いますが、背景に浮かぶ被害者の素性や人間性、これらもしっかり審査されていると思って下さい。調査事務所は年間数万件の後遺障害を審査しているのですよ。どんなに後遺障害に精通した弁護士や行政書士が専門家を名乗ろうと、誰よりも後遺障害審査のプロなのです。私はその事実を謙虚に受け止めています。

 ツリーよりタワー派です。  

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 初の横浜相談会、首都圏会議も他士業を巻き込み拡大路線ばく進中です。

 今回印象に残った相談をいくつか箇条書きで。

1、上肢の短縮障害は?

 自賠責保険の認定項目に下肢の短縮障害があります。しかし上肢、腕の短縮については項目がありません。認定上、明らかな障害であれば「相当」という判断をすることがありますが、基準外としてばっさり非該当とする場合もあります。今回の相談者は重篤な骨折、筋損傷の為、可動域制限はもちろん、見た目でもわかる短縮障害となっています。この被害者の障害を立証するために、各士業の連携で総力をあげて取り組みます。

2、なぜに高次脳機能障害が認定されない?

 診断書にしっかり「高次脳機能障害」が書かれているのにまったく無視されています。何故か?  昨年の高次脳機能障害認定基準の改訂で、「疑わしき案件」は調査事務所が医療照会、本人・家族への照会用紙を送ることで「見落とされない」工夫が盛り込まれました。しかしそのような様子もなく、認定結果の理由書でも触れられてません。理由は実に明快でした。提出先はJA(農協)の自賠責共済だったのです。JAでは高次脳機能障害の特別な審査機関がありません。つまり審査担当者が「高次脳機能障害をさっぱりわからない」状態で事務的に判断、処理したものと思われます。  今後、自賠責保険の窓口がJAの場合、気を付けなければなりません。

3、なぜに14級が否定された?

 頚部神経症状、治療実績と一貫性、それなりに条件を満たしているのになぜか非該当の被害者の相談です。私たちもあれこれ非該当の理由を探します。そしてどうやら突き止めたのはMRIの提出がなされていない事でした。骨折等の明確な外傷がない場合で、「局部に神経症状を残すもの」を明らかにするのは軟部組織を描出するMRIが絶対的です。しかしこの被害者さんは「外傷性を明確にする所見がない」との医師のコメントから提出を控えてしまったのです。確かに外傷によるヘルニアや椎間孔の狭窄などは滅多な事では起きません。しかし年齢変性を伴った頚部に、外部からのショックによって神経症状を惹起(じゃっき)する・・・これが外傷性頚部症候群の「引金論」の説明です。  本例は深読みしすぎた失敗例と言えます。

4、何とかして14級を取れないものか・・・

 骨折、腱損傷等、器質的損傷が問われる後遺障害。しかしそれらがないと、いくら痛みが治まらなくても打撲・捻挫の扱いとして後遺障害は否定されます。医学的な常識では捻挫・打撲は一定期間で腫れが引き、「治るもの」なのです。  痛みの残存を訴えるご夫婦の相談者ですが・・・いろいろと知恵を絞って検討しましたが・・・最後には「同乗のワンちゃんはケガしませんでしたか?」と、犬のケガにまで及びました。「ワンちゃんで14級を取れないか」、一瞬真剣に考えてしまいました。  ちなみにペットのケガは法律上、所有物とされ、物損扱いの損害となります。      そして中華街へ・・・

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 続けます。まず14級の内容をおさらいします。

1一眼のまぶたの一部に欠損を残し又は睫毛はげを残すもの、

2 三歯以上に対して歯科補綴を加えたもの、

3 一耳の聴力が 1m 以上の距離では小声を解することが出来ない程度になったもの、

4 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの、

5 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの、

6 一手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの、

7 一手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することが出来なくなったもの、

8 一足の第三の足指以下の 1 又は 2 の足指の用を廃したもの、

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 今週はスケジュールがズタズタでした。この日誌を20日に書いています。日誌を欠いた日に遡っています。タイムマシンに乗ったつもりでいきます。

「憲法9条を考える」ではなく「14級9号を考える」と題し、意見展開します。

 今週の等級認定実績は山崎先生が手掛けたPTSD(心的外傷後ストレス症候群)も出色ですが、私の右足挫傷もレアケースと思います。これらは骨折等の損傷を伴わない非器質性障害です。精神的なダメージや打撲捻挫の類は、医学的に「治るもの」とされています。長期化しても後遺障害としては成立しづらく、客観的に障害を示すような画像や検査数値が表れにくいと言えます。いくら自分が「精神的におかしくなった」、「痛みが消えない」と主張しても、信じてもらうことは大変難しいのです。なぜなら多くの被害者はその被害者意識から、被害を強く訴えがちだからです。

 それら客観的な証拠がない場合(画像や検査数値がはっきりしない)でも、訴える症状やその治療経過から「障害がある」と推認、等級が認められることもあります。その最大パターンがむち打ち、頸椎捻挫、外傷性頚部症候群です。多くの場合、追突されて首を痛めるのですが、まず医学的な常識から言えば、捻挫は消炎鎮痛処置を施し、安静にすることで完治します。それは個人差がありますがおよそ3か月以上かかることはありません。保険会社をこれを根拠に治療費の支払いを打ち切ります。

 しかし、単なる捻挫ながら、それが頚部の神経になんらかのきっかけを与え、謎の神経症状が長きにわたり続くことがあります。これを外傷性頚部症候群と曖昧な傷病名で定義しています。具体的な症状は疼痛だけではなく、しびれ、首から上肢・指先にかけての放散痛(首を曲げると指先まで電気が走るようなしびれや痛み)、そしてこれまた医学的に曖昧な表現になりますが、不定愁訴(なんだか調子悪い)、そして自立神経失調症と同じような症状を示すバレリュー症候群となります。

 このような相談者を100人以上経験しています。この方達は「なんで大したケガでもないのにそんなに長く通院しているの?」、「単なる更年期障害じゃないの?」・・・周囲から理解されません。確かに精神的な鬱や更年期障害等、心や体の不調と交通事故が重なりやすいことも事実です。調子悪いときに事故に遭って、それが事故のせいと思い込む、または事故のストレスで余計悪化する・・・。私も多くの場合、内在的な理由かな?と思っています。しかし事故外傷の起因性が大きく、それが強く推察される患者も一定数存在します。これらを医学的な証拠の有無だけで判断すれば、すべて非該当(障害なし)です。後遺障害等級は1~13級までとなります。しかし障害認定において「推察」できる、つまりある程度被害者の訴える症状に耳を傾ける余地を残したのが14級9号ではないかと思います。

 つづく  

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 おはようございます。週末は打ち合わせ、会合等で休みとなりませんでした。休暇が必要なのはわかっていますが、この年度末の3月も月末にかけて研修会、首都圏会議が続きます。前倒しで事務処理が必要です。

 今日はあいにくの天候ですが、なんと外出先なし!これは天啓、一気に事務を片付けようと思います。

 子供のころから雨の月曜は憂鬱で、学校へ行くのが嫌でしたね。なんか体の調子も悪くなってきます。心と体はリンクしているもので、気分次第で体調も上下するものです。なぜ話がこの展開になったかというと・・・先日拝見した被害者の診断書にこのNGワードがあったからです。  

<診断名>    頚部捻挫

<自覚症状>   頚部から肩にかけて痛み 寒くなると痛みが増す  雨の日は肩が上がらない 

   この下線部は後遺障害を否定するものです。神経症状の後遺障害とは「事故後一定の治療を続けたが、痛みやしびれなどの症状が常時残ってしまった」状態をさします。暑さ寒さや天候で左右することもないとは言えませんが、一般的にこれは慢性痛、リウマチ、神経痛の症状です。この場合、五十肩、頚肩腕症などの既往症を匂わすものです。

 これでは自ら外傷による神経症状の残存を否定をしているようなものです。

 後遺障害の評価の基本は・・・

自覚症状:「痛い」    + 他覚症状:医師の診断   +  医学的証明:「画像所見、検査結果」  この3つが一致していなければならないのです。医師の診断や画像、検査が絶対であっても自覚症状もしっかりとした表現をする必要があります。                                 もっとも今回の診断書の被害者は事故前から神経痛があったようで、事故との直接因果関係が乏しいことは明白です。実通院日数も整骨院の通院が中心で、後遺障害等級の対象とは言えません。通院慰謝料のみで解決するようアドバイスを行いまいした。

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 最近の出来事から。

 むち打ちでなかなか症状が回復しない被害者Xさん。真面目に病院通い、リハビリをしていますが、痛みやしびれがなかなか改善しません。星状神経ブロックもこころみました。画像上や神経学的な所見も決して重篤な状況ではありません。主治医もいい加減、心因性を疑っています。保険会社担当者もそろそろ本気モードで打ち切りを迫ってきました。

 さて、この状況で私がとった対応。

 「さっさと事故を終わらせましょう」 です。

 真面目に半年治療を行っても改善しないわけですから、同じ治療を続けても急激によくなるわけはありません。Xさんも長いこと仕事から離れて、社会からの隔絶により精神的に自虐的になってきています。献身的な看護を続ける家族にも不穏な空気が流れてきます。

 これらを打破するには、思い切って医師の治療を減らしていき、自己回復努力にシフトすることです。

 事故前に好きだった趣味を積極的に行う、気分転換に旅行する、とくに温泉がお勧めです。自分で軽い運動、ストレッチ等を行い体力改善に努める。体力の向上が治癒向上の基本です。

       

 「治してもらう」 から 「自ら治す」 への転換が必要です。

 そして症状固定、示談し、一時金をもらい、保険会社ともさっさと縁を切ることです。

 いつまでも事故から頭が離れず、保険担当者とストレスのある交渉が続く・・・これでは症状も良くなりません。     ちょっと乱暴な体育会的な理屈ですが、以下のように進めます。

1、 さっさと症状固定させて、治療に目途をつけさせます。

  保険会社担当者は大喜びで私に感謝しきりです。(私の仕事は保険会社も大助かりなのです)

 また、病院側も打ち切り攻勢の保険会社と患者の板挟みにうんざりしていたので、おなじく歓迎。

2、 後遺障害14級を取って、弁護士による交渉、そして一時金をもらって解決。

  保険会社担当者は少し苦い顔ですが、案件終了にはなります。保険会社では長く案件を抱えることを最も「悪」としています。

3、 病院のリハビリは健康保険(自費)となります。 そして徐々に回数を減らしていきます。

  毎日病院通いでは気が滅入ります。   4、趣味で気分転換

  好きな山歩きを再開したら、嘘のように症状が改善した方がいます。また旅行、とくに温泉などもお勧めです。

5、 仕事に復帰

  ...

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続きます・・  

■ 治療

 1995年に雑誌『Spine』に発表された、ある論文があります。ケベックむち打ち症関連障害特別調査団の治療に関する知見、という長い題名の論文ですが、この論文が頚椎捻挫の治療に与えた影響は大きいと思います。

 この論文によれば、

(1) ほとんどの頚椎捻挫は自然経過が良好で、かつ現在行われている治療法のほとんどは、その有効性が科学的に評価されていない。

(2) 頚椎捻挫受傷後安静を保つ意味はなく、頚椎カラーは有用でない。頚椎を固定するような治療を長期間行うことは症状を長引かせ労働不能な状態を長期間持続させる。

 この論文以降多くの研究論文が発表され、やはり受傷後早期から活動性を維持することが有用である可能性が高いとされています。今でも漫画やドラマなどでは交通事故の患者が頚椎カラーをまいている描写をたまに見かけるかもしれませんが、現実にはそのような治療が行われることはほとんどありません。   固定をするよりも、動くこと。仕事や日常生活を制限するのではなく、出来ることは積極的に行っていくことが、早期回復、早期社会復帰には重要といえます。

← 安静がダメ?   ■ 予後

 交通事故における頚椎捻挫では、長期間症状が持続し仕事や日常生活に復帰できない人達が一定数存在するという問題があります。そして、そのような人達の多くは追突などをされた被害者というのが自分の印象ですが、いかがでしょうか。自損事故などはほとんど見かけません。画像検査で器質的異常を認めないにもかかわらず遷延化する交通事故被害者の疼痛、社会復帰不能期間の長期化の影には組織の損傷といった生物学的要因だけではなく、心理社会的因子が密接に関わっている可能性があります。

 リトアニアやギリシャでは追突事故被害者に対する補償が行われていないそうですが、それらの国で行われた研究によれば、交通事故が原因で生じた症状は全て回復し、症状が長期化した例は一例もなかったと結論づけられています。

 長期化する痛みの原因のすべてを補償問題などの疾病利得や、加害者への他罰的意識に結びつけるつもりはありませんが、治療時には考慮しておかなければいけない問題だと思います。  

<私的感想>

 否定論であっても、専門医の研究結果や数的データは拝聴に値します。客観的な考察も立証の現場では大いに役に立つものです。  しかし否定論文がすべての臨床、つまり現場で実際に起きていることを否定するほどの説得力はありません。外傷性頚部症候群の患者は、外傷的な衝撃を契機として、痛みやこりのみならず、今まで経験したことのないような手指のしびれ、めまい・吐き気・不眠の自律神経失調症状を起こします。これらは必ずしも器質的変化を伴ったものではなく、画像所見が乏しいものが圧倒的です。実際に画像上の変性がなくとも、神経検査等で数値化する作業を現場の医師は行っています。その医師も常に確定的な診断結果を導くことに苦労しています。つまり神経症状の客観化は常態的な問題なのです。  今後、研究も肯定・否定とブレながら進んでいくと思います。結論を急ぐ必要はないと思います。

 理論や研究結果が前提であっても、現場の事実とは必ず一致しないことは多いものです。医療の世界はまさにこれが当てはまるのではないでしょうか。

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 交通事故外傷で最大の勢力は「ムチウチ」の俗称でおなじみの「外傷性頚部症候群」です。

 外傷性について因果関係の争いが絶えない症状です。被害者は追突されても側突されても、それが軽い接触でもとりあえず「くび(頚部)を痛めた」と訴えます。詐病?心身症?の疑いのある相談者も存在しますが、事故を契機に神経症状に悩まされる患者が後を絶ちません。

 私達は被害者の利益追求のみで働く商売人ではありません。法律家を名乗る以上、倫理感を持って業務にあたっています。具体的には面談時、被害者の病態の見極めを最重要と考えています。それは被害者の訴えている症状を客観的に観察することです。「本当に訴える症状と診断名が一致しているのか?画像や検査の所見で説明できるのか?」・・・医師ではない私達にとって限界がありますが、細心の注意をはらっています。

 話が長くなりました・・・保険会社は頚椎捻挫・頚部症について、事故の外傷であることに否定的な論文を根拠とし、保険支払いに消極的です。しかし事故外傷を立証する立場の私達も、それら否定的な論文のチェックを怠りません。全否定vs全肯定の単純な図式とは思っていないからです。  否定的論文で比較的新しいものがありますので、掲載します。         【頚椎捻挫 最新の医学的知見】   整形外科医 北村 大也 先生

■ 病態

 頚椎捻挫の主な病態は筋や筋膜、靭帯、椎間板、関節包などの頚椎支持軟部組織の損傷で骨折は伴いません。症状としては頚部痛と可動域制限以外にも頭痛、めまい、視力低下、しびれ、上肢痛など多彩な症状を示すこともあります。しかし、その多くは原因としての器質的異常を見つけることが出来ません。

■ 検査

 器質的な異常が存在しないかどうかを調べることは大事です。主に用いられる検査はレントゲンとMRIです。

〇 レントゲン

 レントゲンでは骨傷がなければ頚椎捻挫の診断になります。しかしそれ以外にも、加齢による骨棘の形成や靭帯の骨化、側面像での湾曲の異常がみられることが多くあります。一般的には前弯消失(ストレートネック)や局所的な後弯変形は軟部組織損傷による一過性のものと考えられていますが、事実は違うようです。慶応大学の松本先生らは、健常者と頚椎捻挫患者のレントゲンを比較して、両者とも湾曲異常は同程度にみられたと報告しています。

〇 MRI

 MRI検査は骨以外の軟部組織の描出に非常に有用な検査です。麻痺や知覚鈍麻などがあり、神経症状を疑う場合には必須の検査になります。しかし頚椎捻挫の主病変と思われる軟部組織損傷を描出することはほとんど出来ません。また、レントゲンと同様に加齢による変化も多くみられます。椎間板変性や後方への突出、それらに伴う脊髄の圧迫などです。慶応大学の松本先生らは健常者と急性期頚椎捻挫患者(それぞれ約500名)のMRIを撮影し比較した結果を報告しています。それによると、MRIで前出の異常を認める頻度は両群とも変わりなく、患者の自覚症状とMRIの異常所見に関連性はありませんでした。また10年後の所見も両群で変わりはありませんでした。

 ・・・明日に続きます。

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  頚椎や腰椎のヘルニアの切除や脊柱管狭窄症の改善のため、前方固定術、後方固定術の手術名が頻繁に登場します。毎度医学書を参考にしていますので漠然とした知識です。しかし実際に執刀している医師からご教示頂くとイメージが変わってきます。おかげで文献ばかりの「頭でっかち」になることを防げます。  

■頚椎の前方固定術       腸骨とは骨盤の腰の部分です。

■腰椎の固定術いろいろ  ・・・主に後方からの固定術となります。

前方と後方・・・簡単ではありません。以下、正確な理解が必要です。

★脊椎手術における前方と後方

 脊椎手術における前方と後方には、手術展開としての前方(腹側からの手術)と後方(背側からの手術)の意味と、除圧あるいは固定を行う部位としての前方(椎体や椎間板)と後方(椎弓、黄色靭帯、椎間関節など)の意味があります。  たとえば後方経路椎体間固定術という術式では、背中側から手術を行い、後方要素である椎弓を切除して硬膜管を展開し、これを避けながら前方要素である椎体間に骨移植などを行って固定します。  つまり後方術で前方固定というわけです。

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交通事故外傷による腰痛で注意が必要なのは既存の腰椎変形です。特に腰椎分離症、すべり症は多数例です。これは脊柱管狭窄症に同じく、一瞬の外傷によって変形をきたしたものではありません。しかし青少年期のスポーツ活動での疲労骨折が原因ともされています。 多くはL5に発生し、X線では犬の首輪のように見えます。椎間関節突起部で骨連続性が絶たれるので、周辺の神経に圧迫が起こり、痛み、痺れ等の神経症状となります。また無症状例も多く、まったく何の影響もなく生活している人も多いのが特徴です。  

■ 脊椎すべり症

 分離症の中で、上位腰椎が下位腰椎に対して前方に偏位している状態を、とくに「すべり症」と呼んでいます。腰椎分離に続発する分離すべり症と、腰椎の退行変性を基盤に発生する変性すべり症に分類されます。  代表的な症状は、痛み、下肢の痺れ、間欠跛行です。 治療は消炎鎮痛薬投与、コルセット装着、腰椎周囲筋の筋力強化体操等です。  保存療法、薬物、運動療法に効果のない重症例では、神経切除術や脊椎固定術の手術が必要となります。

 立証については画像所見で描出し、神経学的検査を行います。しかしこれも脊柱管狭窄症に同じく、賠償については因果関係が争点になり、素因減額される判例が多くなります。

 後遺障害等級についても一連の腰椎症に同じく、神経症状を14と12級に区別します。12級となるのは、画像所見と神経学的検査所見が一致する必要があります。手術を伴う場合11級、可動域に2分の1以上の制限が残る場合8級となります。

  <まとめ> 

 年齢変成やすべり症のように古いケガが素因となって、交通事故で症状が発生するケースは多数です。立証の現場では、既存障害と事故外傷について慎重に考察する必要があります。保険会社の「(外傷性による症状の「全面否定」)、患者の「全面肯定(これは事故のせいだ!)」について隔たった考えによらず、「引金論」を加えて判断していく必要があります。

 腰椎シリーズは一旦終了します。将来さらに経験則を積んで語りたいと思います。     

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<神経学的検査>  

 腰椎間板ヘルニア等と同じく、神経学的検査を行います。(詳しくは腰椎間板ヘルニアの項を参照)

1、SLR、ラセーグ、FNS、バレーサイン

 特にヘルニアの圧迫による狭窄が強い場合、ヘルニア同様の陽性反応を示します。

2、徒手筋力検査

 ヘルニアの項と同じく参考程度に考えています。

3、腱反射

 アキレス腱、膝蓋腱の反射をみます。

4、知覚検査

 触覚、痛覚が 「鈍麻」 「消失」 するケースが多いです。

5、筋委縮

 大腿周径、下腿周径を計測します。 

6、膀胱、直腸障害

 ひどい場合は、泌尿器科で膀胱内圧検査、直腸内圧検査を行います。  

<後遺障害等級>

1、画像所見が微妙な場合・・・・それなりの神経症状を示し、診断名が脊柱管狭窄症とならずとも、整形外科で一定期間の治療が行われれば14級です。。

2、画像所見と一連の神経症状が一致し、検査上明らかになれば12級となります。

3、後方固定術を施した場合は、脊柱の奇形・変形で11級7号の審査となります。

4、固定術により、脊柱の可動域に2分の1以上の制限が認められる場合は、8級2号の審査となります。  

<賠償の実際>

 保険会社は交通事故外傷での脊柱管狭窄症をまず認めません。事実、外傷によって脊柱管の狭窄が一瞬で起こるはずもなく、年齢変成により病態が進むものだからです。  考え方としてヘルニア同様「外傷性の引金論」で語るべきと思います。一定の狭窄状態に外傷が加わり、神経症状が発症する、という理論構成です。

事実、裁判判例でも因果関係を 交通事故によるもの50 : 既存障害50 とグレーな判断が目立ちます。60:40のケースもよくみます。このように割合で賠償金を減らすことを素因減額といいます。もっとも自然な年齢相応の変成、元々の体型的特徴、これらによる起因の場合は判例で素因減額にならない、と決着されています。  しかし自賠責保険の調査事務所が因果関係まで言及し、認定等級に反映させている事が多いような気がします。気持はわかりますが自賠法に則った審査から勇み足と言えます。

  <まとめ>

 今年、81歳の男性で12級認定を受けました。調査事務所の公正な判断と賛辞したいケースです。しかしその後任意保険会社の猛烈な反発がありましたが・・・。でも認定された等級は厳然たる審査の結果です。もし高齢者で年齢変成が進んだ被害者であっても、基本通り検査を進めて下さい。保険会社担当者の説明(「歳のせいで、事故とは関係ないです」)で立証を諦めてはいけません。我々協力行政書士がお助けします。

 

無料相談会のご案内

 市町村や公的機関の無料相談、弁護士・行政書士の法律相談・・・交通事故相談はたくさん存在します。しかしそれらに足を運んだが、「悩みが解消した」「方針が定まった」「道が開けた」に至らず、あっちこっちまわっている被害者さんを見かけます。それは解決に向けての全体的な流れ(どの時期に何をするか?)や具体的な作業(どの病院で検査をするか?どの弁護士、行政書士が精通しているか?)に踏み込んでいないからです。  交通事故解決の道は、解決までの方針を固める事、具体的な機関に誘致できること、各分野の専門家を熟知していること、です。それらの施策は早ければ早いほど良いのは言うまでもありません。

 NPO法人、協力行政書士の交通事故専門家が対応する 「無料 首都圏・交通事故相談会」 にてお待ちしています。

【日時】 9月17日(土) am10:00~pm5:00

【会場】 赤坂エクセルホテル東急        東京都千代田区永田町2-14-3

【費用】 無料 

 

   

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<検査>

1、レントゲン → 椎弓間の狭小・消失、骨棘形成、椎間腔狭小、椎間関節の肥厚

     難しい言葉が並びましたが、とにかく脊髄の周辺が狭くなっている、ということです。

2、MRI → 下の写真のように描出されます。

       正常な脊椎&脊柱管、断面も白い楕円 → このようにギザギザ、断面も黒い三角 

3、脊髄腔造影 (ミエログラフィー)、CTミエログラフィー

4、筋電図

 3の造影剤使用、4の筋電図は奥の手です。たいていレントゲンとMRIで画像所見が得られます。  

<治療>

1、保存療法

(1) 薬物療法 → 消炎鎮痛剤、筋弛緩剤、プロスタグランディン製剤(PGEI)等

(2) 理学療法 → 骨盤牽引、装具療法、運動療法、体幹筋力強化、ストレッチ

(3) ブロック療法 → 硬膜外ブロック、選択的神経ブロック、交感神経ブロック

2、手術療法 

 適応は膀胱直腸障害、馬尾症候群、強度の麻痺、保存両方が効かない場合。

(1) 椎弓切除術、開窓術 → 神経の圧迫部分を除去

(2) 脊椎固定術 → 脊柱の不安定性を補正する  

 

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【会場】 ...

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 中高年の腰痛の原因として、ヘルニアに次ぐのが脊柱管狭窄症です。椎間板の膨隆、椎間関節の変形、黄色靭帯の肥厚、これらが複合的に生じ、神経根が圧迫され、様々な神経症状を惹起します。  代表的な症状は下肢について次のようになります。

・ 疼痛 ・ しびれ感 ・ 異常感覚 ・ 脱力        これらの総合的な結果として間欠跛行がおこります。

※ 間欠跛行・・・長時間の歩行ができず、すぐ疲れてしまう。前屈(しゃがんで膝を抱えるような姿勢で休む)し、少し休憩するとまた歩行可能となる。

・ 排便障害(頻便、便秘)、排尿障害(頻尿、閉尿) ・ ケンプ徴候・・・痛み、しびれのある足の側に上体を側屈すると、下肢痛を誘発する

 先天的な狭窄も(軟骨性無形成症)ありますが、経年変化によって後天的に変性性狭窄症となります。以下3分類されます。

1、馬尾型

 自覚的には下肢、臀部、会陰部の異常感覚、膀胱直腸障害、下肢脱力感などを主訴として疼痛は少ない。他覚的には他根性障害を特徴とする。

2、神経根型

 自覚的には下肢の疼痛を主訴とする。この型の脊柱所見や自覚症状は単一神経根ブロックで一時的に消失する。

3、混合型

 馬尾型と神経根型の合併例で、下肢の疼痛は単一神経根ブロックで一時的に消失するが、他の症状には変化が起こらない。

 

 脊柱管は日本人の平均で15mmといわれています。これが12mm以下が狭窄の指標です。

   腰椎椎間板ヘルニアと合併して起こることが多く、診断名もヘルニアか狭窄症かの記載、もしくは両名記載となります。

 

           

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お盆休みを挟んで腰椎シリーズを続行します。椎間板ヘルニアについては今日が最終回です。 私なりに現時点で一定の結論をしてみました。しかしより経験を積んで掘り進めていきたい分野です。それだけ「むち打ち」と「腰痛」は被害者数も多く、等級認定も悲喜こもごもです。  

<まとめ>

〇 腰椎椎間板ヘルニアと交通事故の因果関係

 事故前に、腰痛など出の医療機関受診既往歴がなく、事故後に腰痛、下肢痛が発生していたという状況下で、腰椎MRIにヘルニアが出現している場合でも、そのヘルニアと事故の因果関係を証明することは困難である。なぜなら、腰椎椎間板ヘルニアは、症状を出さなくても一般的な加齢変化としての突出は多くの人で認められいるからである。多くの場合はヘルニアの存在する状態で、事故による外力が誘因として症状が出現したと解釈するのが適当であると考える。  東京地裁の平成元年4月7日判決であるが、停止する被害乗用車に時速3kmで加害貨物車が追突し、被害者に乗車する被害者が、外傷性腰椎間板ヘルニアを発症した事案で、腰椎椎間板ヘルニアは日常生活における軽微な外力の積み重ねによって起こることも多く、本件事故で発症したことには疑念が残ることなどから、外傷性腰椎椎間板ヘルニアと本件事故との相当因果関係を否定されている。                                  遠藤 健司先生著 「腰椎症ハンドブック」 より  

〇 外傷性へのこだわり・・

 多くの相談者が腰痛の発症を事故を原因とし、MRIなど画像所見で「ヘルニアがありますね」と診断されると、「事故でヘルニアになった!」と主張を始めます。  前述、遠藤先生の言うように、実際外傷によるヘルニアは極めて少数例です。判例でもよほどの衝撃が加わった、重症患者しか認めらていません。保険会社が「外傷性」について全面否定することも十分理解できます。年齢的にヘルニアの膨隆がある人、慢性的な腰痛持ちの人、職業柄、腰に負担のかかる人、これらが事故での因果関係を主張しても説得力は薄れます。  

〇 では事故後発症した症状をどうとらえるか?

 一定の神経症状、たとえば下肢へのしびれ、放散痛、については事故前と変化が見られるはずです。とくに神経根型であれば、左右どちらかの足が細くなる筋委縮が表れます。馬尾型(脊髄圧迫)であれば排尿・排便障害を発生します。ただ「痛い」だけではないのです。これらが事故以来生じるのであれば、綿密な検査、後遺障害の立証を試みるべき案件と思います。  この事故後の異常発生を外傷によって引き起こされたものと分析し、腰部神経症状の「引金論」としています。  

〇 既存障害との区別

 「骨棘形成」といって、ある程度歳を経ると、腰椎の角が尖がってくる骨の変形を伴っている人も珍しくありません。またスポーツや他のケガで「分離症」又は加齢で「すべり症」といって腰椎のズレがある人もいます。このような方々はヘルニアを発症しやすいと言えます。もし交通事故でそれまでなんともなかったヘルニアが色々な症状を発症したとしたら・・・「もともとの体形や既存障害が原因としても、事故後悪化した症状すべてを外傷性ではない、とは否定はできない」という判例が存在します。

  〇 さいごに    交通事故立証を業とする者は、しっかり被害者と向き合い、事故との因果関係を考察し、事故外傷か否か、もしくは外傷による起因度を判断し、公正な立証作業をするべきと思います。交通事故外傷の60%を占めるともいわれる「むち打ち&腰痛」。これらに向き合う姿勢として、外傷性の「全面否定」や「全面肯定」の2分論は適切ではないと考えています。                                                

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<治療>

(1) 保存療法   2~3カ月の経過観察に付随して 

1、薬物療法 ・・・ 消炎鎮痛薬、筋弛緩剤など

2、理学療法 ・・・ 骨盤牽引、装具着用、運動療法、体幹筋筋力強化、ストレッチング

3、ブロック療法 ・・・ 硬膜外ブロック、神経根ブロック

  (2)中間療法    適応が限定される。すべての症例に有効ではない。

1、経皮的髄核摘出術

2、レーザー蒸散法による椎間板除圧術

  (3)手術療法    

 膀胱直腸障害や強度の麻痺、激しい疼痛を伴う、馬尾症候群など

1、ラヴ法 ・・・ 開窓して硬膜・神経根をよけ、ヘルニアを摘出する

2、鏡下手術 ・・・ 低侵襲手術としての顕微鏡手術、内視鏡手術

    <後遺障害等級>

1、画像所見が微妙な場合、ヘルニアの既存性が大きくてもそれなりの神経症状を示し、治療が長期にわたれば14級の可能性を残します。

2、外傷性を裏付ける画像所見、ヘルニアによる痛みや痺れ等、一連の神経症状が認められれば12級となります。

3、ラヴ法などの摘出手術を行った場合でも、上記1(14級)か2(12級)の審査が限度です。

4、ヘルニアを摘出後、脊椎の安定性が損なわれる場合は、腸骨の一部を採骨し、その腸骨片を椎体間に移植、後方固定術を行います。後方固定術が実施された場合は、脊柱の奇形・変形で11級7号の審査となります。

5、固定術により、脊柱の可動域に2分の1以上の制限が認められる場合は、8級2号が認定されます。

   

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