本日は酷暑の中、ご参加の皆様、誠にありがとうございました。

 灼熱の埼玉セミナー、10年前の埼玉代協・総会のセミナー講師を拝命した日を思い出しました。その日は37°超えの危険な暑さでした。本日は35°なので、それよりましですが・・。

    さて、今年注力しております過失相殺、ある損保代理店さまからご質問がありました。   Q:「自転車通行OKの歩道があるにもかかわらず。車道を走っている自転車と事故を起こした場合、わざわざ車道を走っていることへの過失を問えるものでしょうか?」   A:「自転車は道路交通法上、軽車両になります。原則、車道走行となります。自転車通行できる歩道は、単に自転車もOKとしているに過ぎません。したがって、その道路の規制により例外はあるかもしれませんが、車道の走行自体に過失は生じません。」となります。     この問答に直接答える記事は見当たりませんが、自転車の歩道走行は例外規定であることが伺われます。以下、警察庁のHPから引用します。   <警察庁HP>  自転車安全利用五則(令和4年11月1日交通対策本部決定)から   1.車道が原則、左側を通行 歩道は例外、歩行者を優先

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注目の判決?

 先日、10歳児童が運転する自転車と乗用車の衝突事故で自転車側に過失100%を認める判決が下されたというニュースがありました。ニュースからの情報しかありませんため詳細は分かりませんが、少し記載してみたいと思います。   ~下記文章は11月18日の産経新聞より抜粋~

 事故現場は信号機のある交差点。男性が運転する乗用車の対面信号は青を示していた。向かって左側に塀があり、見通しは悪い。男性はアクセルペダルを踏まず、徐行して進入。すると左側から赤信号を無視した10歳児の自転車が飛び出してきて、車とぶつかった。車はほぼ停止状態だったため、児童にけがはなかった。

 乗用車の運転手は児童側に修理費用を求めて提訴。大阪簡裁は「本件事故の原因は児童にある」との判断を示し、児童側の過失を認定した。判決のポイントは3つ。1つ目は乗用車側が交差点の手前で速度を落とし、徐行していた点。

 2つ目はドライブレコーダーの映像から認定した児童側の運転の状況だ。自転車は歩道上を徐行せずに走行し、児童は前方の信号が赤であることを確認しなかった。

 3つ目は、車側の事故の予見可能性。この点について裁判所は、現場が見通しの悪い交差点で、赤信号を無視して自転車が飛び出してくることを予見できるとはいえないと指摘した。 児童側は判決を不服として控訴したが、大阪地裁で行われた控訴審でも「児童と男性の過失割合は100対0」と認定された。児童側は上告している。    今回の事故を判例タイムズで照らし合わせると、基本的には【236】自転車80:自動車20となり、そこに児童の修正要素-10が加わり、自転車70:自動車30になることが予想されます。これはお互いに走行していた場合を想定しており、今回の事故では、自動車側がほぼ停止状態にあったということから自転車が勝手に突っ込んできたということになります。また、子どもがケガをしなかったということもポイントかと思います。

 当初ニュースを見たときには、画期的な判例が出たと思いましたが、よくよく調べてみると、個別具体的な判断がなされただけであり、この判例をもって基本過失が変わるとは思えません。ちなみにですが、これがバイク対自動車だった場合は【161】0:100となります。やはり免許の有無が関係しているのかもしれません。今後、自転車にも免許が必要になったならば、過失にも変化が生じてくると思います。  

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道路交通法改正!    自転車による交通違反への反則金制度(青切符)の導入を柱とする道路交通法改正案が3月5日に閣議決定されました。成立すれば、青切符の反則金制度は公布から2年以内に施行され、今までくすぶっていた自転車の交通違反取締りが大きく変わると思います。

 今回提出された改正案では、青切符による自転車の取締りは16歳以上に適用され、112の違反行為が対象ですが、このうち重大な事故につながるおそれのある違反を重点的に取り締まることになるようです。尚、反則金の額は今後、政令で決まりますが、原付バイクと同等にする方針のようです。    具体的には、   ・信号無視(6,000円)   ・一時不停止(5,000円)   ・右側通行などの通行区分違反(6,000円)   ・自転車の通行が禁止されている場所を通ること(6,000円)   ・遮断機が下りている踏切に立ち入ること(7,000円)   続きを読む »

 相手が自動車ではない場合、自賠責保険がないことになります。後遺症が残った場合、誰が等級審査と認定をするのでしょうか? 

 本件加害者は自転車ですが、まず、個人賠償責任保険の付保を調べます。次いで、その会社に自社認定と言う形で、後遺障害の審査に付すのですが、その判断は簡単ではありません。困った保険会社は、専門機関としての自賠責保険・調査事務所に諮問します。このような経路で認定を導くことができます。本件の場合、それに先立って、共済での審査・認定を一つの根拠として示しました。このようなプロセスを使いこなせるか否か、事務所の実力が問われると思います。

弊所では毎度のやり方です

14級9号:頚椎捻挫(50代女性・東京都)

【事案】

自転車で歩道を走行中、車道から急に歩道へ乗り上げてきた自転車に衝突される。直後から頚部痛、右上肢の痺れ等、強烈な神経症状に悩まされる。

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「いつの間にか、渋っ!」

 先日、お客様の自転車保険を調べていたところ、au損保の自転車保険に加入しているとの事だったため、久々にHPを確認しました。これから相手方に後遺障害の請求をするのですが、認定された場合にはご自身加入の保険からも一時金が出るかもしれないと説明していたのですが、なんと!後遺障害保険金の補償範囲が縮小されていました。      ~au損保 HP参照~

<後遺障害保険金>

① 保険開始日が2017年10月1日以降のご契約

 事故によるケガのため、事故の発生の日からその日を含めて180日以内に後遺障害等級第1~14級のうち、第1~7級に掲げる保険金支払割合(100%~42%)を適用すべき後遺障害が発生した場合

(注)後遺障害等級第1~7級限定補償特約がセットされています。   ② 保険開始日が2017年9月30日以前のご契約

 事故によるケガのため、事故の発生の日からその日を含めて180日以内に後遺障害等級第1~14級に掲げる保険金支払割合(100%~4%)を適用すべき後遺障害が発生した場合    以前はムチウチを除く14級9号や醜状痕(14級~9級)でも保険金がおりたのですが、重度な後遺障害が生じない限り保険金を受け取れなくなってしまったのです。

 確かに掛金のわりに補償が充実していたこともありますが、自転車事故が日々増加し、後遺障害保険金の請求が多かったことが理由ではないかと思います。

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 私はあおり運転に遭遇した経験がないので、何とも言えませんが・・まさか、自転車によるあおり運転が存在したとはびっくりです。

 巻き込まれた人は大変だったと思います。世の中には色々な人がいるものです。

 

<Yshooニュース 読売新聞オンライン さまより>

 自転車で対向車線の車の前に飛び出すなどの「あおり運転」をしたとして、埼玉県警は26日、同県桶川市寿、パート従業員の男(33)を道路交通法違反(あおり運転)容疑で再逮捕した。

 県警によると、6月施行の改正道交法で創設された「あおり運転(妨害運転)罪」を自転車の走行に適用し、逮捕するのは全国で初めてだという。

 発表によると、男は今月5日午後2時5分頃、桶川市の市道を自転車で走行中、蛇行運転を行った上、対向車線を走っていた車の前に飛び出すなどの危険行為をして、車の通行を妨害した疑い。

 男はこれまでも同様の危険運転を繰り返していたとみられ、地域住民から「ひょっこり男」などと呼ばれていた。

 昨年9月と10月、自転車で車の前に飛び出し、急ブレーキをかけさせたなどとして暴行と傷害容疑で逮捕され、有罪判決を受けており、執行猶予中の今月5日にも自転車の蛇行運転を注意した男性の胸ぐらをつかんだとして暴行容疑で逮捕されていた。

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 自転車による加害事故は交通事故が全般的に低下傾向の中、微増との統計があります。他県ではすでに義務化が増えており、以下、産経新聞さま記事より引用。最後の関連記事も併せてお読み下さい。

多発する自転車事故 東京都が保険加入義務化へ

   東京都内で発生する自転車事故が近年、増加傾向にある中、都は自転車を利用する都民に損害賠償保険の加入を義務付ける方針だ。9月の都議会定例会に「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」の改正案を提出する。可決成立すれば、施行は来春になる見通し。自転車事故をめぐっては近年、大きな被害や多額の損害賠償が生じることもあり、都の担当者は「保険加入率アップを期待したい」と話す。

 自転車損害賠償保険などについては、現在は加入が「努力義務」とされているが、都の平成30年度の調査によると、加入率は53・5%。

 他自治体では義務化により、加入率が7割に上昇した事例があり、都の専門家会議も7月9日、「自転車は車両だという意識が高まり、安全利用の推進につながる」などとして、加入義務化の必要性を指摘する報告書を作成していた。

 条例改正案では、自転車の利用者に損賠保険(個人賠償責任保険を指す)の加入を義務化。ただ、義務違反に対する罰則などは盛り込まれていない。

 このほか、企業は通勤時に自転車を利用する従業員に対して、自転車販売店は顧客に対して、それぞれ保険加入の有無を確認する努力義務があるとされている。改正案は既に公表されており、8月2日まで一般から意見を公募をしている。

 警視庁などの調査によると、都内の自転車関連事故は30年で1万1771件。前年の1万949件より822件増、一昨年の1万417件より1354件増と多発傾向にある。交通事故全体に占める自転車関連事故(30年)の割合も36・1%を占め、全国平均の19・9%の約2倍に上る。

 自転車事故をめぐっては、神戸地裁で25年7月、歩行者の60代女性を自転車ではねて、重篤な状態にさせた当時小学5年の男子児童の母親に対し、約9500万円の支払いを命じる判決が出るなど、多額の賠償金を求める事例が続出している。   関連記事 ⇒ ...

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 加害者が自転車の場合、相手に個人賠償責任保険の加入があれば、その損保会社に対して後遺障害の”自社認定”を仰ぐことになります。重傷者ですと、その損保社は自賠責保険に照会をかけて審査しているようです。しかし、14級程度では、お手盛りの回答を覚悟しなければなりません。本件も、最初の本人申請では軽く袖にされました。そこで、満を持して連携弁護士を代理人として請求し直しました。

   秋葉事務所&連携弁護士のコンビは、個人賠への請求もお手のものです!  

個人賠償 非該当⇒併合14級:頚椎・腰椎捻挫(40代女性・東京都)

  【事案】

自転車を停めてコンビニエンスストアに入ろうとしたところ、歩道を走行してきた自転車に衝突され、負傷。直後から頚腰部痛のみならず、手足の痺れ、頭痛、めまい等、強烈な神経症状に悩まされる。 続きを読む »

 近年、自転車の加害事故の増加がニュースになっています。自転車は道路交通法上、軽車両とされ、自動車と同様に道路交通法で規制される”車”です。交通事故賠償の世界での自動車との違いは、「自賠責保険があるか、ないか」ではないでしょうか。

 自転車対歩行者、あるいは自転車同士の事故は交通事故相談の中でも、実はかなりの数なのです。私達が注目することは、やはり、個人賠償責任保険です。相手に保険があること、すなわち、回収の問題をクリアできるのです。加害者のお財布から治療費や慰謝料を取ることは非常に難しく、相手に資力がなければ「ない袖は振れん」と・・お手上げです。どんな敏腕弁護士でも苦戦必至、あるいはあきらめとなります。

 保険さえあれば・・解決の目処がつくのです。

日々、保険の勉強が大事です  

個人賠14級9号:頚椎捻挫(40代女性・東京都)

【事案】

歩行中、横断歩道で信号待ちしていたところ、自転車から衝突を受ける。直後から頚部痛や頭部痛、膝や肩の痛み、めまいや不眠に悩まされる。続きを読む »

 相手に自賠責なくとも対応は変わりません。これがこのシリーズの決め言葉でしょうか。

 本件はTFCC損傷+突き上げ症候群のケースで、同症状で何度も自賠責や労災に障害申請してきた経験の応用に過ぎません。自信を持って対応、連携弁護士と完全解決へまっしぐらです。

 国内事務所で最もTFCC損傷に取り組んでいるかも?です  

個人賠14級9号:TFCC損傷(50代女性・静岡県)

【事案】

T字路で自転車同士自転車の出会い頭衝突。両手関節を痛め、特に右手関節は尺骨突き上げ症候群となった。下図青丸の部分が小指側の手関節部にある「三角線維軟骨複合体」を突き上げて激痛が起きるのです。前腕~手関節の骨折で発症し、これもTFCC損傷の原因と言えます。この場合、手術で尺骨を骨切りして短縮し、突き上げを抑えることになります。

問題点】

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 秋葉事務所の特徴は、なんと言っても「後遺障害に特化した専門事務所」です。

 それは、自賠責保険の後遺障害に限ったことではありません。労災への後遺障害申請は毎度のこと、そして、保険金を回収するためには自身加入の諸保険・共済、人身傷害へ審査を求めます。これは業界用語で「自社認定」と言います。また、相手になんらか賠償保険の加入があれば、その保険会社に障害審査・保険請求を敢行します。

 加害者が自転車や歩行者の場合は、多くのケースで個人賠償責任保険がその対象となります。また、相手が企業であれば、施設賠償、請負賠償、生産物賠償・・会社加入の賠償保険を探すことになります。

 これら、いくつかの好取組が重なったので、シリーズで紹介したいと思います。    おさらい ⇒ 個人賠償責任保険をあらためて解説    保険に精通した事務所ならではの解決方法をご披露しましょう!  

個人賠12級5号:鎖骨骨折(20代男性・東京都)

【事案】

バイクで直進中、交差点で信号無視の自転車を回避して、転倒したもの。肋骨骨折と左鎖骨を折り、鎖骨は粉砕骨折のため、プレート固定とした。自らの国民健康保険を使って治療にあたる。

【問題点】

どの相談先でも「相手は自転車ですか・・・」と一様にトーンダウン。自転車のため、任意保険や自賠責保険は無く、確かに相手の対応は限られる。幸い、加害者の同居者に個人賠償責任保険の加入があり、賠償のあては確保できた。問題は後遺障害の認定と賠償交渉である。

【立証ポイント】

私達の対応は普通の自動車事故と変わりません。病院同行の末、鎖骨の変形で12級5号、肩関節の可動域制限12級6号を明らかにする診断書を完成させた。続いて、相手の個人賠償責任保険に診断書を提出、自社認定に付す。

相手からの回答は、変形のみの認定で12級5号となった。確かに肩関節の可動域は回復傾向、ここは変形障害のみで了承する。現在、連携弁護士の賠償交渉によって、赤本満額の賠償金に引き上げ中である。  

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自転車に衝突され負傷した時の慰謝料請求先は個人賠か施設賠償保険

 

近年、自転車による加害事故のニュースが目立つようになり、自転車事故の被害者からの依頼が多くなってきました。

 

秋葉事務所は自転車事故によるケガの場合も後遺症の等級をキッチリ獲得します

 

その後はキッチリ裁判基準満額の慰謝料を獲得できる弁護士へ引継ぎます。

 

 

自転車は道路交通法上、軽車両とされており、自転車での加害事故でも自動車と同じく損害賠償責任を負います。

当然ですが自動車には自賠責保険の加入義務があり、ほとんどに自賠責保険がついています。また走っている車の80%は任意保険が付保されています。

 

しかし、続きを読む »

 今年7月に記事出しした「自転車事故での高額判例」、ふたたび産経新聞で特集されました。気になっていた賠償額の内訳がおおまかに判明しました。以下、記事から抜粋してまとめてみました。

 記事の概要は・・・

 当時小学校5年生だった少年(15)が乗った自転車と歩行者との衝突事故をめぐる損害賠償訴訟で、神戸地裁は、少年の母親(40)に約9500万円という高額賠償を命じた。5年近く前に被害に遭った女性(67)は、事故の影響で今も寝たきりで意識が戻らない状態が続いているだけに、専門家は高額賠償を「妥当」と評価する。  ただ、子を持つ親にとって、1億円近い賠償を命じた今回の判決は、驚愕でもあり注目を集める。9500万円の内訳はどうなっているのか。一方で、保険加入義務がない自転車の事故をめぐっては、高額な賠償命令が出されるケースも多く、自己破産に至る例も少なくないという。こうした中、自転車の保険制度拡充を目指した動きも出始めている。

「監督義務果たしていない」

 子供の責任を親がとることになるのか?

 事故は平成20年9月22日午後6時50分ごろ、神戸市北区の住宅街の坂道で起きた。当時11歳だった少年は帰宅途中、ライトを点灯しマウンテンバイクで坂を下っていたが、知人と散歩していた女性に気づかず、正面衝突。女性は突き飛ばされる形で転倒し、頭を強打。女性は一命は取り留めたものの意識は戻らず、4年以上が過ぎた今も寝たきりの状態が続いている。判決で田中智子裁判官は、少年が時速20~30キロで走行し、少年の前方不注視が事故の原因と認定。事故時はヘルメット未着用だったことなどを挙げ、「指導や注意が功を奏しておらず、監督義務を果たしていない」として、母親に計約9500万円の賠償を命じた。

高額な賠償となった9500万円の内訳はどうなっているのか

田中裁判官の判断は・・・

(1)将来の介護費約3940万円 

 女性の介護費を1日あたり8千円とし、女性の平均余命年数を掛け合わせるなどして算出。

(2)事故で得ることのできなかった逸失利益約2190万円

 専業主婦の女性が入院中に家事をできなったとして月額約23万円の基礎収入を平均余命の半分の期間、得られなかったなどとして計算した。

(3)けがの後遺症に対する慰謝料2800万円

 後遺障害慰謝料 「赤い本」の1級。

この結果について記事より・・・

 これらに治療費などを加え、母親に対し、女性側へ約3500万円、女性に保険金を払った保険会社へ約6千万円の支払いを命じた。特に女性が意識が戻らぬままとなっていることで、慰謝料などが高額となり、賠償額が跳ね上がった。  交通事故弁護士全国ネットワークの代表を務める古田兼裕弁護士(第2東京弁護士会)は、今回の判決について「高額な賠償額だが、寝たきりで意識が戻っていない状況などを考えると妥当」と評価。ただ、「自転車だから責任が軽くなるとはいえないが、11歳の子供の事故で親がどれほど責任を負うかはもっと議論していく必要がある」と話す。

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 前回に続きます。まず下線部を解説します。

 保険会社にも6000万円の賠償を、とあります。これは被害者側に人身傷害特約(おそらくご家族加入の自動車保険)が加入されており、そこから6000万円の支払いを受けていたことを示します。保険会社もこの既払いにつき、加害者に求償を行うべく、この裁判に訴訟参加したものと思います。

 そして注目すべき論点が2つあります。

① 保険会社の人身傷害が9500万円の判決額全額を支払わない点です。

 人身傷害は保険会社の約款で「当社の基準で計算した額を払う」とありますので、普通は対人賠償とほぼ同額の基準で計算されます。つまり裁判の判決額はそれよりもはるかに高額な基準で計算されます。その差は2~3倍に及びます。この人身傷害が限度額(6000万円)いっぱいであれば問題はないですが、1億や無制限だったら・・・。

 私は判決額が決定したら、この判決額9500万円全額を保険会社に請求すべきと思います。 もちろん、保険会社は「当社の基準で支払うと決まっているので・・」と反論しますが、今まで同様のケースで判決額を全額請求した結果、なぜか保険会社は自社基準額を押し通さず、判決額を渋々支払います。人身傷害の支払基準は司法を介すると玉虫色となるのです。

 これは2年前、人身傷害の求償額をめぐった裁判で、「被害者救済上、約款基準より判決額を重視した」判決がでています。以降、保険会社は建前(約款)上は自社基準、司法が絡めば裁判基準とし、人身傷害の支払い基準は混とんとしたままなのです。

 この問題は「そして無保険車傷害は(人身傷害特約に)吸収された」のシリーズの続編として後日書きたいと思います。

★ しかし本件の場合、既払額6000万円はきりが良すぎる数字です。保険会社は既に契約限度額まで支払ったのかもしれません。ただし契約限度額=6000万円は半端な数字です。人身傷害特約は最低3000万円から無制限まで限度額を決めて契約しますが、もっとも多いのが5000万円、次に3000万円です。1億や無制限はかなり少ないはずです。したがって6000万円ちょうど、もしくはそれ以上の契約額もちょっと考えずらい。

 もしかしたら家族の車2台の人身傷害特約がそれぞれ限度額3000万円で、両方の限度額の合計6000万円を支払ったのかもしれません。であるならば既に支払った保険金で限度額いっぱいとなり、判決額全額を請求する議論とはなりません。  

② 現在の人身傷害特約では「自転車対歩行者」事故に関して、多くの保険会社は無責です。

 本件事故は今から5年前です。当時は自転車搭乗中のケガ、自転車による被害事故も対象となっていましたが、現在多くの損保会社はこれを補償から除外しました(三井住友、あいおいニッセイ同和、AIG、日新、全労災は補償範囲を堅持)。歩行中、自転車搭乗中のケガでは相手が自動車でなければ補償の対象外なのです。もしこの事故が現在に起きれば、被害者女性に支払われる賠償金に対応する保険は無く、加害者親子に丸々9500万円賠償金の支払いが請求されることになります。

 近年自転車の加害事故も重大化、賠償金も高額化しています。道路交通法上、自転車は軽車両となっております。自転車もある意味、自動車扱いなのです。再び人身傷害特約でこの部分も補償してもらえないものか・・・本件のような被害者はもちろん、加害者にとっても悲惨な事故から切に望まれます。

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親に9500万円賠償命令 少年が自転車で人はねた事故

 自転車で女性(67)をはねて寝たきり状態にさせたとされる少年(15)=当時小学5年=の親の賠償責任が問われた訴訟の判決が4日、神戸地裁であった。田中智子裁判官は「事故を起こさないよう子どもに十分な指導をしていなかった」と判断。少年の母親(40)に対し、原告の女性側と傷害保険金を女性に支払った損保会社に計9500万円を賠償するよう命じた。  判決によると、少年は2008年9月22日夜、神戸市北区にある坂をマウンテンバイクで時速20~30キロのスピードで下っていた際、知人の散歩に付き添い中の女性に衝突した。女性は頭の骨が折れ、現在も意識が戻っていない。  判決は「少年の前方不注意が事故の原因」と認定。少年側は「危険な走行はしておらず、日頃から指導もしていた」として過失責任を否定したが、判決は母親が唯一の親権者としての監督義務を十分に果たしていなかったと判断した。そのうえで、女性が事故に遭ったために得ることができなくなった逸失利益や介護費などを考慮し、母親には女性側へ3500万円、損保会社へ6千万円の賠償責任があるとした。 (25.7.5 朝日新聞より)

   本件は少年(15歳)の親御さんに「親権者責任」をずしりと科した点がポイントです。裁判では”親権者としての監督義務がちゃんと行われていたか否か”が争われました。でもどう考えても少年の事故における過失と、親の日ごろの指導は直接結びつかないように思います。つまり直接、事故に関与したわけではないが、少年に事故の責任がある以上、民事上の損害賠償責任を取るのは少年に代わって親、ということが本音でしょうか。確かに被害者側にとっては、「少年に支払い能力がないからチャラ」といわけにはいかないでしょう。

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 昨日夕方、近所のバーでビールを飲みました。事務用品の買い物の帰りです。明るいうちにビールは美味しいです。しかし一つ困ったことが・・・それは足が  だったことです。このままでは飲酒運転に???

 道路交通法上、自転車は軽車両に分類されます。れっきとした車両?なのです。したがって原則論で言えば、例えビール一杯でも酒気帯び運転で、違法行為になります。今までは厳密な法の適用がされない飲酒自転車でしたが、自転車の加害事故、被害事故の増大に伴い、東京都では厳しい取り締まりが行われ、実際に免停の処分(自動車免許の)を受けた話も聞きます。これは極端な例(泥酔かつ危険運転)と思いますが、やはり違法は違法です。

 仕方ないのでてくてく手押しで帰りました。

 交通事故においても最近目立つ過失割合の修正要素です。例えば交差点で横断歩道上を自転車で走行中、左折自動車が自転車を巻き込んだ事故の場合、普通歩行者では過失0となります。しかし「自転車走行中では過失が5~10ある!」と相手保険会社が主張してくる時があります。つまり自転車走行中は道路交通法上、歩行者扱いはしない=軽車両だということです。まさか幹線道路で自転車を手押しで渡らなければ車両扱いとなり、かつ注意義務ありとは法を逆手に取った主張に思えてなりません。実際に判例上、認めたケースもあるようですが、万人が納得できないケースと思います。

 確かに危険な走行をしている自転車が多いのは事実です。厳格な法の適用は、自転車事故の増加によりもたらされたようです。

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 保険営業時代、自転車通学の学生が多い高校に対し「自転車総合保険」の団体募集に力を入れていたことがあります。

 これは自転車搭乗中の自身のケガ、相手への賠償がセットになったものです。相手への賠償はつまり「個人賠償責任保険」の事です。自動車保険で言うところの「対人賠償」、「対物賠償」にあたります。自転車でも歩行者や他の自転車、はたまた自動車へ損害を与え、賠償義務を負うことがあるからです。最近でもワイルドな子供さんが止まっている自動車の側面に衝突し、ドアをへこませました。幸いご自身にケガはなかったのですが、修理費15万円を請求されました。これに対し個人賠償責任保険で対応、修理費を支払いました。近年自転車が加害者となる交通事故も多く、個人賠償責任保険も必ず入っておきたい保険の一つです。

 タイトルの「自転車総合保険」は一部損保を除き、現在ほぼ販売しておりません。団体ならともかく、一人一人に契約を勧めるには掛け金も安く、採算が合わない保険なのです。したがってご自身のケガの補償は普通の傷害保険等で賄うとして、個人賠償責任保険を別に確保する必要があります。傷害保険や火災保険に特約として付帯する方法がポピュラーですが、多くの損保が自動車保険にも付帯可能としています。家族全員に適用されますので、家族に自転車を乗る人がいる場合、漏らさず付帯することを勧めます。掛け金も最高3000万円補償で1200円くらいです。     ← トルコのカッパドキアにて。

 ツーリング中のスナップ。

 この時は海外旅行保険に個人賠償責任保険を付帯しました。

 ワイルドだろう?

 杉ちゃんより10年早くからこのスタイルだぜぇ

  

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