【事案】

バイクで走行中、歩行者が歩道から横断の為に急に飛び出し、衝突を回避するためにフルブレーキをかけて転倒、肩を受傷したもの。診断名は肩鎖関節の脱臼。

【問題点】

相談時には既に受傷から2年が経過しており、治療も終了していた。外見上に明らかなピアノキーサインがあった。後遺障害申請を行いたいが、この時点では自損事故特約への請求しか選択肢がなかった。つまり、被害者バイクが自ら転倒しただけの自爆事故扱いとされていた。

【立証ポイント】

すぐに最終診察時の病院に同行し、後遺障害診断書の依頼を行う。主治医は「労災の顧問医をやっているから後遺障害には精通している。」と仰っているが、変形障害について全く知識がない。頑として体幹骨の変形を認めなかったが、説得の末、変形障害として記載頂き、脱臼のグレードについても記載を頂いた。

同時に弁護士から「相手歩行者に個人賠償責任保険加入がないか」確認を行う。案の定、保険の加入があったため、個人賠の保険会社に自社認定を行ってもらう。保険会社の担当者からは、治療経過を精査するべく、全期間の通院分診断書を依頼された。6ヵ所の病院を転々としていたため、書類収集に苦慮したが、提出後、鎖骨の変形が認められ12級5号となった。

本件は過失について争いがあり、バイク側の過失割合分の大幅減額が予想される。それでも、自損事故特約の保険金に比べても賠償金が大きくなる可能性があり、現在弁護士が保険会社と交渉中。単なる自爆事故から、個人賠償責任保険の有無によって解決の糸口を見出した案件となった。

(平成29年5月)  

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【事案】

歩行中、横断歩道で信号待ちしていたところ、自転車から衝突を受ける。直後から頚部痛や頭部痛、膝や肩の痛み、めまいや不眠に悩まされる。。

【問題点】

相談時には肩の痛みや頚部痛が特にひどいことから、これらが事故から半年後にまだ症状が残存しているようであれば後遺障害診断書にまとめて頂くことを勧める。また、頚部はMRI撮影検査を実施して頂いたが、肩についてはまだ実施されていなかったので(本件では骨折はしていなかった)、原因究明のために、撮影して頂くことを勧める。

本件は自転車事故であり、当然ながら自賠責の加入がない。しかし、本件では幸いにも加害者が個人賠償責任保険に加入しており、治療費は確保できていた。

【立証ポイント】

めまい、不眠等、神経症状は多肢にわたったが、後遺障害診断書は、純粋に頚部と肩部・膝からくる疼痛のみをまとめて頂いた。今後の交渉にあたって、自賠責の被害者請求と同様に、診断書・レセプト、後遺障害診断書を集積して、弁護士に託した。相手保険会社の自社認定の結果、14級が認められ、これを前提に交渉が継続中。

(平成29年3月)  

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【事案】

T字路で自転車同士自転車の出会い頭衝突。両手関節を痛め、特に右手関節は尺骨突き上げ症候群となった。下図青丸の部分が小指側の手関節部にある「三角線維軟骨複合体」を突き上げて激痛が起きるのです。前腕~手関節の骨折で発症し、これもTFCC損傷の原因と言えます。この場合、手術で尺骨を骨切りして短縮し、突き上げを抑えることになります。

【問題点】

幸い、相手に個人賠償責任保険の加入があったが、長期の治療・リハビリからか、弁護士が介入してきた。相手弁護士は治療費と入通院の慰謝料を認め、自賠責基準程度での示談を画策のよう。

【立証ポイント】

私達の対応は普通の自動車事故と変わりません。手術の効果及びリハビリ努力の結果、両手関節ともに可動域は回復傾向で、機能障害は断念した。病院に同行し、主治医は面談拒否するも、疼痛の残存を記録した診断書を記載頂いた。今までお会いした手関節の専門医は、何故かすべて職人肌で頑固です。

診断書を提出後、相手からの回答は、疼痛の残存を認めて14級9号となった。連携弁護士の賠償交渉によって、赤本満額の賠償金に引き上げ中である。

(平成29年5月)  

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【事案】

バイクで直進中、交差点で信号無視の自転車を回避して、転倒したもの。肋骨骨折と左鎖骨を折り、鎖骨は粉砕骨折のため、プレート固定とした。自らの国民健康保険を使って治療にあたる。

【問題点】

どの相談先でも「相手は自転車ですか・・・」と一様にトーンダウン。自転車のため、任意保険や自賠責保険は無く、確かに相手の対応は限られる。幸い、加害者の同居者に個人賠償責任保険の加入があり、賠償のあては確保できた。問題は後遺障害の認定と賠償交渉である。

【立証ポイント】

私達の対応は普通の自動車事故と変わりません。病院同行の末、鎖骨の変形で12級5号、肩関節の可動域制限12級6号を明らかにする診断書を完成させた。続いて、相手の個人賠償責任保険に診断書を提出、自社認定に付す。

相手からの回答は、変形のみの認定で12級5号となった。確かに肩関節の可動域は回復傾向、ここは変形障害のみで了承する。現在、連携弁護士の賠償交渉によって、赤本満額の賠償金に引き上げ中である。

(平成29年5月)   

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【事案】

自転車搭乗中、信号のない交差点で右方から来た車に衝突され転倒、肘と肋骨を骨折したもの。肘は手術でワイヤー固定した。

【問題点】

相談時には受傷から1年が経過しており、さらに、3か月前に保険会社から打切りをされていた。骨折部位・様態から、本来であれば肘関節の機能障害で申請を行うケースだが、可動域は既に12級を逃す数値まで改善していた。

【立証ポイント】

急ぎ、病院同行、症状固定とする。手術痕も残存したが、面積は等級認定には厳しい。可動域制限も若干は残存しているため、医師に計測していただき申請する。14級9号認定となったが、この診断名でムチウチと同様の等級は寂しい。少なくとも受傷から半年が経過する前に相談に来ていただければ、違った結果になったのではないかと考える。

※併合の為、分離しています

(平成29年6月)  

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【事案】

自動車に搭乗中、優先道路を直進中、信号のない交差点で右方から来た自動車に衝突される。直後から頚腰部痛のみならず、手足のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

相談時には治療費を打ち切られており、接骨院を併用していたため、通院回数もそれほど多くはなかった。

【立証ポイント】

初期から診断名のあった足関節のことは無視して、頚椎・腰椎に絞って後遺障害申請を行った。もちろん、足関節のMRI検査などするはずもない。頚椎捻挫での14級は狙い通りだが、ついでの腰椎認定はおろか、なぜか足関節まで14級が認定されている。足関節捻挫のみの診断名で申請すれば、すぐに非該当の回答が返ってくるのだが・・。

頚椎・腰椎の捻挫以外の部位で、捻挫の認定は立証が難しく、毎度苦労するものです。しかし、本件はここぞとばかりに14級をくっつけてくるあたり、なにか狙いがあるでしょうか? 調査事務所の担当者に意見を伺いたいものです。 ※併合かつ、稀なケースの為、分離しています

(平成29年6月)  

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【事案】

バイクに搭乗中、左車線を走行していた車の急な進路変更により、バランスを崩し転倒した。直後から全身の痛みに悩まされる。

【問題点】

外見上に軽度のピアノキーサインがあったが、現主治医は気にも留めていなかったよう。また、元々肩峰の高さに左右差があり、この先天性の左右差が、本件事故の鎖骨の突出よりも目立っていた。

【立証ポイント】

変形の等級を狙うべく、まずは優れた医師が揃う整形外科病院に転院をさせた。そこで、両肩のレントゲンと3DCTを依頼。初期は可動域制限もあったが、リハビリにより可動域はほぼ回復した。

したがって、鎖骨変形をターゲットに写真を撮影した。外見よりもレントゲンでの変形が分かりやすいが、自賠責は外見上での変形を認定理由にしているため、撮影角度を工夫し、写真を何度も撮り直した。さらに、先天性の変形について説明を加えた結果、なんとか12級の認定を受けた。

既存障害?と判断され、非該当の可能性も十分にあったが、審査側に伝わって良かった。本例も記憶に残る認定となった。

(平成29年6月)  

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【事案】

自動車に同乗し、信号待ち停止中、後続車から追突を受ける。直後から頚部痛のみならず、手の痺れ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

物件事故となっており、軽微な事故と判断されていた。また、相談に来られた時点で打切りを打診されており、MRI撮影も未実施であった。また、通院日数が少なく、このままでは非該当確実であった。

【立証ポイント】

急ぎ病院同行、MRI撮影依頼を行った。次いで、打切り後であっても健康保険で通院を継続してもらい、通院実績を積み上げていった。同乗者は十分な治療実績からすぐに申請し、問題なく併合14級認定となった。

その後、遅れて申請するもまさかの非該当となった。主治医にその旨をお伝えすると、「それは可哀そうだ。喜んで協力するよ。」とすぐに追加資料の作成をしてくださったため、スピード再申請(異議申立)を行った。事故概要から今までの経緯、事故の衝撃や症状の一貫性を説明、さらに、既に14級9号が認定されている運転手のご友人に協力していただき、なにより「自身は14級が認定されているのに、自分より症状がひどい同乗者が何故に非該当なのか?」との陳情書を添付書類として提出した。

結果、通常であれば審査に2ヶ月以上かかる異議申立だが、わずか20日間でのスピード認定となった。そんなことなら最初から14級をくださいと心の底から思った案件であった。

(平成29年6月)  

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【事案】

自転車で走行、道路を横断しようとしたところ、右方から自動車が衝突、受傷した。全身を強打し、頭部骨折、くも膜下出血、肋骨骨折、骨盤骨折した。複数の障害認定となったが、本件では、外傷性横隔膜ヘルニアについてまとめる。

【問題点】

救急搬送された病院で治療し、2か月後退院したが、さらにその2か月後に、リハビリ先の病院で背中の痛みを訴え、CT検査後、救急搬送された病院で緊急手術となった。横隔膜のヘルニアを原因とするイレウス(腸閉塞)が生じたため、小腸の部分切除を行った。ただし、事故から4か月後の病変であるため、因果関係で否定される恐れがあった。

【立証ポイント】

因果関係は辛うじて、”腸管外病変によるイレウス”と判断されたよう。 小腸の切除により、長さが100cmを超え、300cm未満となった場合には、11級10号が認定される可能性があったが、本件ではそこまで切除していない。しかし、術後の血液検査や体重変化からの評価となり、胸腹部臓器の機能に障害を残すものとして、13級11号が認定される。

 小腸くん

本件では、他にも、顔面陥没で7級12号が、高次脳機能障害で9級10号がそれぞれ認定され、併合6級となった。

※ 併合の為、分離しています

(平成29年3月)  

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【事案】

オートバイ走行中、交差点で対抗右折自動車と衝突、その衝撃で道路左側に逸脱、転倒したもの。直後から、両手首、左膝、右足首、臀部に強烈な痛みが生じる。

【問題点】

当初の診断名が右橈骨遠位端骨折、左手関節部挫傷・打撲となっていたが、その後すぐに自宅近くの病院に転院し、左手に関しては左有鉤骨骨折の診断名に変更された。その時点では前十字靭帯損傷、右距骨骨挫傷の診断名が記載されていなかった。

事故から2カ月経過後、ようやく左前十字靭帯損傷、右距骨骨挫傷の診断名が確認できた。その後、PTSD、網膜裂孔等次々に診断が増えていくことになった。

また、業務上支障が出ること、さらに転勤で大阪から東京に移転のため、手術などできる治療先の確保を急ぐ必要があった。

【立証ポイント】

相談会では、まず、現在の症状の確認と手持ちのすべての画像を確認することから始まった。網膜裂孔についてはすでに後遺障害診断書にまとめられていたが、診断書や症状・検査内容を確認して、PTSDと共に等級は認められない可能性を説明し、残りの両手首の疼痛・可動域制限、左膝の疼痛と不安定感、右足首の疼痛でそれぞれ等級を確保する方針とした。

手関節は左右共に受傷しているので、可動域は日本整形外科学会の標準値と比較することになる。症状固定の際には大阪の病院に同行し、左右の手首の可動域は正確な数値を確保できた。しかし、主治医は下肢については関心がなく、下肢は東京の専門医へ誘致、下肢の検査を平行して進める。

受傷直後の手関節CTを確認したところ、右手の豆状骨等を骨折し、その後癒合不全や骨片が残存している可能性があった。しかし、この点は事故から時間が経ちすぎており、追加の診断して頂くことはできなかった。そこで、症状固定後に撮影した3DCTと事故当初のCTと併せて画像打出しを作成して申請した。後日、調査事務所から「この打ち出し画像の診断はどこでされたのか確認したい」連絡があったが、診断名はどこにもないことを伝えたところ、上部審査に回す運びとなった。顧問医の判断に委ねられたのであろう。

申請から約4か月後、両関節の可動域制限が認められ、併合9級が認定された。尚、この件は左前十字靭帯損傷、右距骨骨挫傷でも等級が認定されている。大阪と東京を往復し、作業内容も大変なボリュームとなった。

(平成29年3月)

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【事案】

自動車に搭乗中、優先道路を直進中、信号のない交差点で右方から来た自動車に衝突される。直後から頚腰部痛のみならず、手足のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

相談時には治療費を打ち切られており、接骨院を併用していたため、通院回数もそれほど多くはなかった。

【立証ポイント】

打切り後も健康保険を使用して治療を継続していたため、まずは通院回数の底上げのため、申請は時期をみてからとした。一度お会いしている医師だったため、症状固定の話はスムーズだった。痺れが特にひどかったため、神経根誘発テストも実施していただいた。  後遺障害診断書が完成するまで特に時間を要する病院の為、症状固定日以降3ヶ月分の領収書を添付し、通院回数と一貫性を主張。狙い通りの併合14級認定となった。

(平成29年6月)  

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【事案】

自転車搭乗中、信号のない交差点で右方から来た車に衝突され転倒、肘と肋骨を骨折したもの。肘は手術でワイヤー固定した。

【問題点】

相談時には既に1年が経過しており、3か月前に保険会社から打切りをされていた。

【立証ポイント】

本件の主訴は頚椎捻挫ではなかったため、通院回数はそれほど重要ではなかった。治療中に念のためにとMRIを撮影していたため、主訴と合わせて申請し、見事?14級認定となる。他部位に等級が認められる場合には、極めて甘い等級審査が行われていること、いわゆる「ついでの認定?」に日々悶々としている弊所であった。

※併合の為、分離しています

(平成29年6月)  

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【事案】

自動車に同乗中、赤信号のため停止中に追突を受ける。直後から頚腰部痛のみならず、手足のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

相談時には治療費を打ち切られており、通院回数もそれほど多くはなかった。また、人身事故にはなっていたが当日に病院に行っていないことも分かった。

【立証ポイント】

打切り後も健康保険を使用して治療を継続していたため、早速病院同行をして主治医と面談。打切り時に後遺障害診断は行っていたが、話を伺うと他覚的所見が見られたため、遡って症状固定の依頼をする。私の見立てでは、打切り日から現在に至るまでに症状が改善されており、他覚的所見が薄まる懸念があったからである。その分、提出書類に症状固定日以降4ヶ月分の領収書を添付し、通院回数と一貫性を主張。狙い通りの14級9号認定となった。

(平成29年3月)  

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【事案】

自動車搭乗中、急な飛び出しを確認したため急ブレーキをかけたところ、車間距離をとっていなかったトラックに追突される。直後から頚腰部痛のみならず、手足のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

受傷日から1か月間は整骨院偏重型であった。しかし、後遺障害の対象となる症状を示していた。

【立証ポイント】

相談に来られたタイミングが事故後1か月程度だったため、すぐに整骨院の通院をやめさせた。その後、整形外科にのみ通院させ、狙い通りの併合14級認定となった。

※併合の為、分離しています

(平成29年1月)  

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【事案】

自転車で走行中、道路を横断しようとしたところ、右方からの自動車と衝突、受傷した。全身を強打し、顔面骨折、くも膜下出血、肋骨骨折、骨盤骨折となった。

【問題点】

面談当時、事故から額が陥没したことをご家族ご本人から伺った。見たところ凹みは確認できるが、外観上、元からと言われても違和感がない微妙な状態であった。

【立証ポイント】

額の凹みが受傷後からであることを立証するため、ご家族に事故前の写真を探して頂いた。最近に写真を撮っておらず、家族以外のサークルやご友人にも、写真を広く探して頂いた。幸いご友人との会合中の写真を見つけることに成功した。これで、受傷前後の比較が可能となった。

さらに、内部的にも頭蓋骨のCT画像を打ち出し、陥没骨折の様子を内側・外側の両面から明らかにする資料を作成した。その後、自賠責調査事務所の面談を経て、外貌醜状の陥没痕で7級12号が認定された。

 (参考画像)

本件では、他にも高次脳機能障害で9級10号、外傷性横隔膜ヘルニアで14級9号がそれぞれ認定され、併合6級となった。

※ 併合の為、分離しています。

(平成29年3月)  

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【事案】

自転車で走行中、道路を横断しようとしたところ、右方からの自動車と衝突、受傷した。全身を強打し、顔面骨折、くも膜下出血、肋骨骨折、骨盤骨折となった。

【問題点】

高齢から治療は長期化したが、高次脳機能障害をスルーするほど、他の症状がより重く、数が多い。

あえて、高次脳機能障害を挙げれば易怒性か。面談時は穏やかにお話しができたが、家族の話では事故後、怒りやすくなったことを確認した。病院同行にて主治医に話を聞くが、易怒性などの情動障害については、日常生活上、問題ないレベルと診られていた。

【立証ポイント】

高次脳機能障害がメインの障害とならない珍しいケースである。上記主治医とは別に、リハビリ先の別の病院の主治医に後遺障害診断書を書いて頂くことになった。高齢者であるため、神経心理学検査は限られ、ミニメンタルステート検査等のみとなり、易怒性など検査上数値として現れにくい点については、いつも通り日常生活状況報告書で説明した。結果、高次脳機能障害は微妙ながら9級10号の評価となった。

本件では、前額部陥没骨折の7級12号が主訴となり、これまたレアな障害である外傷性横隔膜ヘルニアの14級9号を追いかける作業に終始した。これらを併せて、最終的に併合6級とした。

(平成29年3月)   

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【事案】

自転車で道路を横断中、自動車と衝突、救急搬送された。診断名は、頭蓋骨陥没骨折、脳挫傷、急性硬膜下血腫、くも膜下出血。脳出血は止まり、安定をみせるも嚥下障害があり、胃ろう(胃から管を通して栄養接収する)造設となる。

その後、体力の回復に従い、ひどいせん妄(脳のダメージで興奮状態となり、暴れや暴言)を発症した。

【問題点】

せん妄から、暴言、乱暴、破壊行動があり、病院を追い立てられるように退院、転院先のリハビリ病院でも異常行動が続いた。医師からは、事故前からの認知症状が急進行したと認識されていれた。その後、急激に体力が低下、事故から半年を待たず、亡くなってしまった。診断名は肺炎による心不全だが、事故との因果関係なく「老衰」と診断された。

家族は「死亡は事故によるもの」と主張し、相手保険会社と対立、弁護士に依頼した。受任した弁護士は自賠責保険に死亡保険金の請求を試みるも、非該当の結果。これを受けて、弁護士から秋葉事務所へ相談となった。弊所は生前に「高次脳機能障害になった」との観点から、後遺障害での再請求を計画した。

つまり、既に亡くなった被害者さんに対して、”事故から亡くなるまでの6ヶ月間の後遺障害”を立証するミッションとなった。   【立証ポイント】

まず、すべての病院のカルテの検証から始めた。経験上、暴れるなど問題のある患者に対して、病院の目は冷たく非協力的となる。本件でも病院の協力を取り付ける苦労が続いた。とくに、診断書の記載について、当時の主治医に面談を申し入れたが、医師だけではなく病院スタッフ同席のもと、録音下での面談となった。これは、死亡事案であるゆえ、病院側が医療過誤の指摘を警戒しての緊張であったよう。懇切丁寧に事情を説明したところ、当方の目的を理解した病院側はほっとしたようだった。 続いて、緊張が解けた医師に、生前の記録を元に後遺障害診断書類の記載を依頼した。協力的に転じた医師は、限られた治療記録から、ギリギリの診断書を作成していただいた。

さらに、数百ページからなるカルテから有用な情報を抜粋したが、高次脳機能障害の等級を確定させるほどの客観的な情報は乏しく、神経心理学検査もわずかに長谷川式スケールのみ。十分なリハビリ・検査を経ずに、数ヶ月で亡くなったのだから当然である。かつて、これほどタイムマシンが欲しかったことはない。情報の空隙を埋めるべく、看護記録や本人の破壊した設備の見積もりなど、あらゆる記録を検証した。最後に家族からの聴取を十分に分析、日常生活状況報告書とその別紙を作成して、限界まで審査書類を膨らませた。

申請後、待つこと5ヶ月、審査上不十分であろう状態から、自賠責は介護を認めた2級を認定、望みうる最高の等級がでた。ようやく、ご家族の気持ちを形にすることができた。死亡との因果関係は別として、これで故人が事故で負った障害の苦しみを主張できる。

(平成29年5月)  

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【事案】

通勤帰宅中、原付バイクで交差点を直進のところ、対抗右折自動車と衝突した。脳挫傷、硬膜下血腫、くも膜下出血の診断で、救急搬送後、開頭手術で命を取り留めた。

その後、記憶障害、言語障害、注意機能障害、開口や嚥下にも異常があり、味覚・嗅覚の喪失も確認できた。また、てんかん発作もあり、長期のリハビリとてんかんへの警戒が続いた。

【問題点】

受傷一ヵ月後から、弁護士経由で受任となった。急性期治療が済めば、高次脳機能障害の評価ができる適切な病院を選び、リハビリと各種検査を進める必要がある。

また、てんかんの危険があるため、早期の症状固定は躊躇われた。

【立証ポイント】

秋葉の主導で、地域で懇意にしている医師の元に転院、以後、計画的に作業を進めることができた。受傷初期からの依頼は大変ありがたいのです。リハビリが続く中、他院で嚥下障害のVF検査、嗅覚・味覚の検査を備え、立証の困難は2年9ヶ月に及ぶ期間のみだったと言える。

症状固定時には、カルテ開示、労災レセプト開示他、膨大な検査結果の集積となったが、万全を期して申請した。高次脳は受傷直後に宣言した通りに3級の認定を確保(嗅覚の全脱失の12級相当とあわせ、併合2級)、弁護士にお返しした。

また、残った労災の後遺障害申請を実行中。労災は年金支給となるため、大変に重要である。こちらも併合2級をノルマとしている。

(平成29年5月)  

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【事案】

デパートの屋上駐車場内を歩行中、前方不注意の自動車の衝突を受け、頭部を受傷した。主な診断名は、頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫、くも膜下出血。救急搬送後、脳出血への対処から地元で有名な大学病院に急ぎ転院した。

ご家族の説明では、見当識に混乱があり、記銘、注意機能の低下、易怒性がみられた。

【問題点】

治療先では、脳出血さえ止まれば、案の定、痴呆扱い。また、大学病院ながら、検査設備のない病院。

入院先のご本人と面談を実施、明らかに認知症ではなく、高次脳機能障害と判断できた。しかし、高齢者ゆえ、認知症との関与だけでなく、介護状態が年齢相応のものか事故外傷によるものか、この問題も常に付きまとう。それでも、主治医は高次脳機能障害への理解があり、他院で検査データを完備さえすれば、正しい評価をしていただけると踏んでいた。また、他の持病を診てもらっている以上、完全な転院とできない事情もあった。

ところが、症状固定が近づく頃、主治医が変わってしまい、交代した医師は痴呆症が強いとの認識。これでは正当な診断書は無理。主治医には診断書の記載を断ろうとしたが、診断書を書くと譲らない。仕方ないので、他院での神経心理学検査の結果を託し、十分な説明の上、仕上がりを待った。しかし、それから半年以上、未記載放置。ある意味、願ったりなので、医事課に正式に診断書記載を断り、次いで、検査を実施した病院に戻り、専門医による正確な診断書の記載となった。

これで、問題をクリアと思いきや、数日後、断ったはずの医師から診断書が届いた。しかも、内容は9級レベル!。こんなものは提出できない。当然に提出書類から外した。恐らく、長く治療してきた大学病院の診断書も要求されるだろうが・・。

【立証ポイント】

申請後、やはり、自賠責調査事務所から、「主たる治療先の診断書(神経系統の障害に関する医学的意見)」が必要との追加提出依頼がきた。これには、医師に手紙を書き、”記載を見送る”内容の回答書に署名頂いた。また、調査事務所へは、この病院の特殊性と本件の事情を説明する文章を送付、どうやら理解を得ることができた。この病院、何かと問題が生じるので、保険会社や審査機関も承知しているのかもしれない。

技術面では、本件被害者元来の頭脳明晰さと、障害による低下を切り分ける作業となった。WaisⅢでは言語性IQ100を超える成績ながら、動作性IQが言語性との比較上、低い点に注目、読み書き・計算にはまったく衰えがないが、記銘力に明らかな低下があることを浮き彫りにした。ここで、三宅式記銘力検査、リバーミードが有効となった。その他、易怒性を主訴とした性格変化なども、以前から家族に克明な記録を促し、精密な文章を作成した。申請から5ヵ月後、当方の主張した症状のほぼ全てが反映され、随時介護の2級とすることに成功した。

本件は主治医交代から当初の計画が狂い、病院と医師に振り回された。最初から転院させることが安全ではあるが、できれば、主たる治療先で医証を完備するに越した事はない。しかし、高次脳の経験乏しい医師に漫然と診断書を任せたら・・9級になったかもしれない。これからも、この大学病院に運び込まれる高次脳機能障害・患者が大変に心配です。

(平成29年5月)   

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【事案】

通勤帰宅中、原付バイクで交差点を直進のところ、対抗右折自動車と衝突した。脳挫傷、硬膜下血腫、くも膜下出血の診断で、救急搬送後、開頭手術で命を取り留めた。

その後、記憶障害、言語障害、注意機能障害、開口や嚥下にも異常があり、味覚・嗅覚の喪失も確認できた。

【問題点】

受傷一ヵ月後から、弁護士経由で受任となった。急性期治療が済めば、高次脳機能障害の評価ができる適切な病院を選び、リハビリと各種検査を進める必要がある。

【立証ポイント】

秋葉の主導で、地域で懇意にしている医師の元に転院、以後、計画的に作業を進めることができた。受傷初期からの依頼は大変ありがたいのです。リハビリが続く中、他院で嚥下障害のVF検査、嗅覚・味覚の検査を備え、立証の困難は2年9ヶ月に及ぶ期間のみだったと言える。

嗅覚は問題なく完全脱失で12級を得たが、味覚は脳損傷との関連を直に認めず、等級はつかなかった。味覚は鼓索神経・舌咽神経領域での測定検査が望まれるようになった。これは最近の傾向のようです。

※ 併合の為、分離しています

(平成29年5月)  

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