近年、相談会で目立つ失敗例を紹介します。先日の相談会でも類似ケースがありました。

 肩関節や膝の関節に骨折があり、骨の癒合後、曲がりが悪くなる・・・可動域制限が残る後遺症があります。これは、機能障害として、○°以下なら○級、あるいはケガをしていない方の腕や膝と比べて3/4以下で12級、1/2以下で10級など、認定基準が定められています。それでは、計測値が1/2以下なら、直ちに10級が認定されるものでしょうか?  自賠責保険は、その後遺障害の審査上、診断書の計測値を必ずしも真に受けていません。必ず、関節が曲がらなくなる理由を画像に求めます。つまり、画像上、骨が曲がって癒合した、関節面に不整が残った、靭帯の断裂が影響したなど、物理的に曲がらないことが確認できなければ、可動域の数値を疑います。もしくは、神経麻痺で動かない場合も、筋電図検査で数値を確認できなければ認めません。関節の角度だけで判断してはいないのです。    詳しくは、7年前の記事をご覧下さい。⇒ 後遺障害認定結果の文例     たまたま、計測者がいい加減で1/2となってしまった場合もありますが、多くはあまり曲げないように装った(これも詐病の一種)と思います。自賠責保険は「演技したな!(怒)」と激おこになります。これは、被害者さんの責任ですから、仕方ありません。しかし、今回、この問題をあえて取り上げた理由は、すでに受任していた弁護士はじめ業者が、”不自然に曲がらない計測値のまま、後遺障害申請に提出してしまった被害”が増えているからです。  私達の場合、可動域制限の等級認定に対し、受任時や症状固定時に被害者さんの関節を実際に計測して、ある程度の見当をつけています。当然、その前提として、受傷時→手術時→抜釘後・症状固定時と、レントゲンやCT画像を経過的に確認した上で、計測値と照らし合わせています。そこに、不自然があってはダメです。癒合は問題なく、関節面もきれいで、靭帯損傷も軽微・・これで1/2の制限など起きるはずがありません。可動域性制限での後遺障害は、必ず、”曲がらなくなった”理由が必要なのです。

 その点、弊所では、整合性のある数値が記録された診断書と、それを裏付ける画像を整えてから審査に及びますから、間違った認定結果はほぼありません。

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