どんでん返し…

1.忍者屋敷の扉のからくり。 2.歌舞伎の強盗返のこと。 3.上から転じて、フィクションなどのストーリー展開技法の一つをいう。同様に、話や形勢、立場などが正反対にひっくり返って逆転したことにも用いられる。

 ストーリー展開におけるどんでん返し(どんでんがえし)は、小説や映画の中で用いられる技法のひとつである。

 大方の読者や視聴者の予想を大きく裏切ったり、一旦終結したかに見えたストーリーを大きく覆したりするような結末が用意されているものが典型である(この種の結末の付け方は、英語ではsurprise endingにあたる)。芝居を途切れさせることなく大規模な舞台転換を短時間で行う歌舞伎のどんでん返しから転じて名付けられた。どんでん返しはエンディングに限らず、次々に事態が変遷し、推測、推理が何度も覆されていく様態を意味する場合もある。 <出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』>    どんでん返しの一般的な意味は以上のようです。さらに、”大”がつくと、ものすごい急展開、大逆転の結末と、どんでん返しの程度を強調するだけでなく、ある昔のアニメにたどり着きます。   『巨人の星』の 大どんでん返し とは?    昭和の野球漫画・アニメ、スポ根ものの元祖です。主人公、星 飛雄馬は、父親によって幼少から野球の超英才教育を施され、巨人軍のエースに成長しました(この父、ちゃぶ台返しで有名な星 一徹は太平洋戦争従軍で肩を負傷し、プロ野球選手の夢を絶たれていました)。努力と根性を地で行く、野球漫画の草分けでしょうか。

 その英才教育で象徴的だったのは、左投げピッチャーにするための、右利きから左利きへの矯正です。野球はじめ、多くのスポーツでは左利きが有利とされています。したがって、左利投げ・左打ちへの矯正は、実はそう珍しいものではないのです。

 さすがに、ピッチャーで右利きの選手が左投げに変えるのは大変です。しかし、バッターでは右利きながら左打ちは普通に大勢います。大谷 翔平選手、イチロー選手、松井 秀喜選手、巨人の阿部 慎之助選手と一流どころが名を連ねます。

 さて、『巨人の星』の劇中、この左投げ矯正を「大どんでん返し」と呼んでいました(本来の意味とちょっと違うと思いますが)。さらに後の続編『新・巨人の星』では、(前作最終回で魔球によって酷使した左肩が壊れてしまい)引退した星 飛雄馬が、元々右利きであったことから、今度は右投げピッチャーで復活します。これもまた、「大どんでん返し」、しかも、リバース。    かなり、長い前置きですみません。言いたかったことは、上肢の後遺障害についてです。    今年は上腕・前腕のおケガ、等級認定必至の件を7件受任しています。上肢の障害では、圧倒的に肩関節が多く、手関節がそれに続きます。実は腕の後遺障害は珍しい部類に入るのです。私たちの業界では、同じ傷病名が重なるジンクスがありますが、腕のみにあらず、肩や手首・手指の件も加算すると、今年は上肢の当たり年と言えます。

 上肢・下肢の後遺障害において、利き腕のケガによる等級の差はありません。仕事や日常作業では、当然に利き腕のケガの方が不便が多いと思います。しかし、自賠責保険や労災に限らず、世の障害制度の評価では、左右差は関係ありません。そうなると、後の賠償交渉上で、利き腕の障害による困窮点を強調しなければなりません。これは、損害の個別具体的な事情になります。したがって、私達は医療調査や障害申請の段階で、利き腕を必ず聴取して、弁護士にその情報を引き継ぐことになります。等級に結びつかなくても、具体的な被害者独自の困窮点の調査も、私達にとって大事な業務なのです。単に手続きを担うだけでは片手落ちです(洒落?)。    さて、最近の被害者さんで、左腕にひどいケガを負った方がおりました。利き腕は左腕とのことです。しかし、ここで「大どんでん返し!」。実は、幼少期に親御さんから右利きに矯正されていたのです。これも珍しいことではなく、世の道具が圧倒的に右利き仕様になっていることから、親が子供の将来を思って、大どんでん返しをするのです。左利き専用の道具が増えた現在でも、ドアノブやボタンの配置を見れば・・右利き優先社会を実感しますよね。

 この被害者さん、お箸や筆記用具は両手が使えるそうです。前から気付いていましたが、左利きの人は器用で天才型が多い。ちょっと練習すれば両手使いにもなるのです。多くの右利きさんは両手使いができません。ちなみに、サッカー選手は両脚が使えると有利なので、左右どちらでも蹴れるように練習するそうです。優秀なストライカーは、左右どちらの脚でも得点しています。左利きの名手と言えば、メッシ、マラドーナ、中村 俊輔選手と、もはや挙げるまでもありません。ちなみに、格闘技でもその傾向は同じく、ボクサーの左利きは相手にとって超やりにくいそうです。    以上、本日の記事は「大どんでん返し」を知らない、うちの若い社員向けに書きました。

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どーも、金澤です。

私は、TFCC損傷の患者を何人か施術したことがあります。

整形外科でMRIを撮影して、明らかにTFCC損傷で診断名が付き、整骨院に来た患者。

これはTFCCだろ。と言うことでMRIを撮らせた患者。

 

今は交通事故被害者救済の為に日々身体と向き合っているわけではありますが。

今日はTFCC損傷について掘り下げていこうと思います。

 

TFCC損傷とは何か(TFCC損傷=Triangular Fibrocartilage Complex injuries)

 

三角繊維軟骨複合体損傷です。

では、三角繊維軟骨複合体とは何か。

 

➀三角線維軟骨

②三角靱帯

③尺骨三角骨靭帯

④尺骨月状骨靭帯

⑤掌側橈尺靭帯

⑥尺側側副靱帯

⑦背側橈尺靭帯

 

主にこの7つの組織が複合して、尺骨と手根を支えています。

写真で見る通り、橈骨側は手首にピッタリ関節しているのですが、尺骨側は少し隙間が空いていますね。そこを、この4つの組織が支えているのです。

 

この三角繊維軟骨複合体(=以下TFCCと呼ぶ)は、意外と簡単に痛めます。

外傷型と変性型があります。

変性型はテニス等、手首を酷使するスポーツや年齢が上がるにつれて軟骨がすり減っていったり、靭帯が固くなり何かの拍子で炒めたりします。

 

外傷型は、交通事故や転倒して手をついた際に良くおこります。

 

 

TFCC損傷にも程度がある

 

同じTFCC損傷でも、受傷起点や痛めた場所により、完治までの期間や治療方法、損傷の程度が変わってきます。

 

一番重症なのが、やはり尺骨突き上げ症候群を合併したTFCC損傷です

尺骨突き上げ症候群とは、強い外力により、尺骨が手関節にめり込むように突き上げられ、その結果、手根骨と尺骨の隙間を埋める軟骨を壊してしまうのです。

この状態だと、手術になる事が多いです。

突き上げられた尺骨を短縮させるため、尺骨を切り、傷付いた組織を修復します。

ここまでの重篤なTFCC損傷であれば、12級か14級は付くでしょう。

 

 

TFCCの靭帯損傷の場合は保存療法・手術療法どちらの可能性もあり。

これは受傷起点や、痛みのレベルにもよりますが、

通常TFCC損傷の第一段階の治療は炎症を抑える飲み薬と固定による安静から始まり、痛みが酷い場合は直接ステロイド注射を打ち込みます。

ステロイド注射と固定の治療を続けると、通常であれば2~3ヶ月で収まります。

 

手首を動かした時に痛みが出るのがTFCC損傷ですが、急性期や、症状が酷い場合は安静にしていても痛みます。

ステロイドと固定を続けても安静時痛がひかない場合は、手術になる事が多いです。

 

つまり、もしもTFCC損傷で後遺症が付くとしたら、はっきりとした受傷起点(この衝撃なら靭帯もやられるな。軟骨もやられるな)とイメージできるだけの受傷起点。

身体なので、稀に軽微な受傷起点で重症化する事もありますが

治療内容は最低でもステロイド注射を定期的に打っていると、それだけ痛みがあるのかと、私なら思います。

手術をしているのも、非常に辛い状況なのだと分かりますね。

 

 

ちなみに整骨院でTFCCの施術は、靭帯などが炎症が起きていたら、超音波などで深部の血流をよくして炎症を早く収め、組織の修復を早める効果があります。

その後は硬くなった靭帯を柔らかくする施術。

関節液が足りなければ補い、多ければ吸収させる。

固定はピンポイントで必要最低限の固定で最大の効果を発揮できるようにします。

こうして関節の状態を常に良好に保つことで、回復は早くなり、治った後も良好です。

 

整形ではここまで時間をかける暇はないので、サブ的な役割で整骨院を利用するのがいいかなと思います!

 

今日はTFCCについてまとめてみました。

 

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佐藤、今日はバッターです。

 日本ハムファイターズの清宮幸太郎選手が怪我したことで一躍有名になった「有鉤骨」ですが、交通事故においては、傷病名として目にすることが少ないと感じています。手根骨の骨折は手関節機能に影響を及ぼしますが、有鉤骨についてはほとんど影響がありません。その為、14級9号を前提に進めていくことが望ましいと考えますが、様々なケースを考えてみましょう。

有鉤骨とは8つの手根骨の一つです 

 まず、有鉤骨とは手根骨と呼ばれる手首の8つの骨のうちの一つであり、薬指・小指の下に存在する骨です。主にスポーツで負傷してしまうことが多いでしょう。野球のバッティングやゴルフ、テニスのスイングで骨折することが多いようです。負傷の原因としては、外力によるものと、蓄積したダメージによるものに分かれます。交通事故は前者ですね。交通事故の場合には、バイクや自転車のグリップによって、転倒した際に地面に手を付いた等、骨折の可能性があります。症状は「腫れ」、「痛み」、「熱」が強くなると言われていますが、具体的には小指の痛みや痺れがひどくなるようです。ひどい場合には、握力低下や小指の可動域にも影響が出るとも言われています。

 治療法としては、他の骨折同様に「保存療法」と「手術」に分かれます。保存療法では、ギプス等で小指までしっかりと固定します。(有鉤骨には「短小指屈筋」と「小指対立筋」という小指を動かす筋肉がくっついているので)一方、手術では、「接合術」と「摘出術」に分かれます。「接合術」は、ネジを使って固定します。しかし、手根骨全般に言えますが有鉤骨は血流が悪い為、癒合がしにくいという点からこの手術はあまり一般的ではないようです。「摘出術」は、骨片を除去します。癒合を待つ必要が無い為、リハビリの開始時期も早めることが可能となります。    有鉤骨骨折により、小指に可動域制限が残存した場合には、13級6号「1手の小指の用を廃したもの」に該当する可能性がありますが、小指対立筋と短小指屈筋の損傷等を明らかにする必要があるでしょう。そうは言っても非常にハードルが高い為、14級9号認定となるケースが多いようです。    

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 自賠責や労災の後遺障害には厳然とした認定基準が存在します。仮に、症状が重い被害者さんであっても、その認定基準に合致しなければ障害の認定はありません。

 それでも、一連の症状に信憑性があり、説明がつけば14級9号の認定は得られます。これは自賠責保険がある種の「遊び」の余地を残しているものと捉えています。つまり、自動車のハンドルでいうところの「遊び」=自由幅と例えられるでしょう。

 世の中、すべての事象にくっきり白黒はつかないものです。交通事故外傷、後遺障害の世界も例外ではありません。  

14級9号:橈骨遠位端骨折+頚部捻挫(40代女性・神奈川県)

 【事案】

原動機付自転車で交差点を通過、右方よりの自動車と衝突、受傷したもの。左手首(橈骨遠位端)を骨折し、しばらくしてからカウザルギー(複合性局所性疼痛症候群のうち、骨折など器質的損傷から神経の異常をきたし、激痛が続く症状)と類似した症状を示した。

【問題点】

カウザルギ-が回復傾向であり、また、骨萎縮など目立った所見はなく、自賠責の認定基準には満たない。長く続く症状からドクターショッピング(転院を繰り返す)に陥っていた。

【立証ポイント】

弁護士より依頼を受けて、早速、専門医の診断に誘致した。幸い、難治性とされるCRPSには至らず、軽快が期待された。そこで、長く続く頚部痛、上肢の痺れを神経症状に丸めて14級9号の認定に切替えた。

当然にCRPSは否定されたが、頚部受傷由来の14級9号「局所に神経症状を残すもの」は確保した。

CRPS(複合性局所性疼痛症候群)の相談は数多く受けていますが、真性の患者にはめったに会いません。それだけレアな外傷です。また、本当になってしまったら、激痛が生涯続き、本当に大変なのです。   c_g_ne_40←「痛み」の構図  

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 いきなり何のことやらわからないタイトルですが、何を意味するか?    

 これに即答できた方は後遺障害のプロ、認定でしょう。      

 答えは上肢の醜状痕の範囲です。

 

 下図の赤塗りの部分がそれぞれの範囲です。   

労災基準 自賠責基準 裁判 労災 自賠続きを読む »

 現在の骨折整復は観血的手術にて、プレート、スクリュー、Kワイヤー固定を行うことによって、変形治癒を少なくしています。

 これは以前にも述べましたが、とくに、長官骨(腕や脚の長い骨)の骨折では破裂骨折、開放骨折などの重度骨折でない限り、まっすぐくっつくはずです。しかし、50年以上前の整形外科では、現在に劣る治療環境からとにかく骨をくっつけることが優先され、日常生活に深刻な問題を残さない「変形」「転位」など軽く見られていたようです。 c_g_j_24

 その様子は数十年間に骨折した経験のある、お年寄りの被害者さんのレントゲンにしばしば見られます。当時は石膏で外固定するか、添え木で固定して骨をくっつけていたのでしょう。今の労災・自賠の基準では、ほとんど後遺障害等級がつきそうです。    

12級6号:上腕骨骨折(80代女性・埼玉県)

【事案】

自転車後部座席に同乗中、その自動車がセンターラインオーバーして対抗自動車に正面衝突。ほぼ100:0の事故。運転手は死亡、同乗者もそれぞれ骨折等ケガを負った。中でも本件の被害者は4本の手足すべて骨折した。

【問題点】

高齢のために骨癒合に時間がかかった。可動域は回復傾向であるものの、右肘の変形が気になった。幼少の頃、腕を骨折したそうで、当時の医療環境と処置ではこの変形は仕方ないと言える。この変形の影響を本件事故と区別・排除する必要があった。

【立証ポイント】

高齢者とはいえ、できるだけ早期の固定を目指し、受傷1年で症状固定とした。しっかり可動域計測に立ち会い、幼少時の骨折による尺骨の変形ついて医師と相談した。これを既往症として区別、機能障害:12級6号を確保した。左上腕については、幸い機能障害等残らず回復した。  

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 前腕骨折の重傷例を解説します。骨幹部がポキッと折れた骨折は比較的、障害を残さずに治癒しますが、関節の脱臼を含むような骨折は何かと障害を残しがちです。  

病態

 モンテジア骨折とは、尺骨骨幹部骨折と同時に肘部の橈骨頭の脱臼したものです。原因は、転倒によって手を地面に強く突く、もしくは強くねじると、腕の中で尺骨と橈骨が強制的に回内運動、つまり内側にねじれを起こします。逆に回外、外側にねじれて脱臼することもあります。その時に尺骨は橈骨と強く衝突して骨折し、その衝撃が元になって橈骨は橈骨頭が脱臼してしまうのです。

 下図のようにねじれの方向によって伸展型(左)と屈曲型(右)に分かれます。 c_g_j_43    montejia ← 伸展型のXP

治療

 徒手整復を基本とします。多くはまず骨折した尺骨をプレート固定します。次に肘部脱臼の整復ですが、橈骨輪状靱帯や方形靱帯(それぞれ尺骨と橈骨をつなぐ靭帯)の断裂を伴う場合、再脱臼を防ぐためワイヤーで固定します。  

後遺障害

〇 橈骨の脱臼部により肘関節の可動域や、尺骨の長さが変わることにより手関節の可動域制限が起こる可能性があります。したがって肘関節は必須、その他、手関節や回内・回外の可動域制限の有無を確認します。

部位

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 中断していた指シリーズ5選完結です。最後はいわゆる突き指のひどい病態、マレット変形です。指先へ垂直に衝撃を受ける「突き指」は正確には「槌指(つちゆび)」と呼びます。野球、バレーボールでボールが指先に当たり受傷することが多数例です。もちろん交通事故外傷でも可能性があります。      【病態】

 DIP関節部への外傷が原因でDIP関節の伸展機能が損傷を受けたり、DIP 関節が亜脱臼となったものを言います。屈曲を強制されて生じるもの、軸圧によって生じるものの2種があり、治療法も異なるので注意が必要です。  放置すると関節が固まってしまい、いわゆるスワンネック変形を及ぼします。

swan←白鳥の首変形(スワンネック)  ※meddic様から拝借  

【治療】

 軽度であれば亜脱臼を整復後、消炎鎮痛処置します。しかし伸筋腱損傷や骨片を伴うもの、特に軸圧損傷で脱臼骨折となった場合はスワンネックにならないよう、手術で整復する必要があります。代表的な手術は以下、石黒法です。

マレット変形石黒法続きを読む »

【病態】

 PIP関節はMP関節脱臼に同じく背側への脱臼が普通です。また脱臼の際に骨折を伴うことが多いのが特徴です。つまり脱臼骨折ということになります。中節骨の近位端(=基部:根本の関節に近い方)が脱臼すると、基節骨の掌側に骨片が付着したままになります。理由は側副靭帯が引っ張っているからです。(下図)

PIP脱臼20140418_0000

【整復】

 まずは徒手整復してシーネ、テーピングで固定します。PIP関節脱臼は多くの場合、靭帯の損傷を伴っています。固定期間が長いと関節硬縮が起こりやすいので徒手整復後は早めに可動域訓練に進ませます。  脱臼骨折の場合は、骨片との癒合が得られるよう観血的手術も必要となります。靭帯に引っ張られて分離した骨片をきれいにくっけることはなかなか難しいのです。固定には専用のアルフェンスシーネが便利なようです。

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【病態】

 指が逆関節、つまり外側に強く曲げられて起きます。母指以外でのMP関節は頻度が低く、過伸展外力(指を逆関節=外側に開く)による背側脱臼がほとんどを占めます。ちなみにPIPも外側への脱臼が多いです。 MP

【整復】

 MP関節過伸展位をとっていますが、亜脱臼例の方が脱臼例よりも外見上の変形は高度です。しかし亜脱臼例は徒手整復が可能ですが、完全に脱臼をしてしまうとkaplanの井桁状の絞扼(下図)として知られる軟部組織の締め付けのために徒手整復は困難であり、ほとんど場合観血的手術が必要となります。 続きを読む »

【病態】

 中手骨は手の甲の5本の骨です。中手骨骨折は5番目である小指側に頻発します。中手骨の頚部骨折はボクサー骨折と呼ばれ、固いものを殴ると折れるようです。  

【整復】    10°以上の転位例では患指を牽引しながらMP関節、PIP関節を90°屈曲し、掌側より骨頭を押して整復します。 この固定法ですと皮膚壊死、屈曲硬縮が生じる可能性があるため、整復後はMP関節60°、PIP関節30°屈曲位で外固定します。

中手骨  

【後遺障害】    ベネット骨折は母指(親指)の表でしたが、母指以外の指の表を参照します。2分の1制限で「用廃」=12級10号となります。もっともこの骨折から2分の1程の関節可動域制限が起きること稀で、きちんと整復がなされれば、変形の12級相当や変形・転位が残存したの場合の疼痛=12級13号もめったにありません。やはり癒合状態が良好ながら痛むケース=14級9号の判断が多いようです。

部位

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【病態】

 第1中手骨基部関節内斜骨折のことです(下図左参照)。母指外転筋の牽引により骨片が近位に転位(ずれる)すると手術の適用になります。

【整復】

 母指をけん引しながら外転、伸展し中手骨基部を橈側(親指側)・背部より圧迫して整復します。ベネット骨折は折れた基部が脱臼しやすい構造となっています。中手骨自体が長母外転筋の作用で外側に引っ張られ、逆に折れた基部が第2中手骨側に引っ張られるからです。このように牽引・圧迫を緩めると転位するため経皮ピンニングが必要です。経皮ピンニングとは鋼線を指に差し込んで折れた骨を固定する手術です。

ベネット

【後遺障害】

A:やはり可動域制限の計測が第一です。2分の1制限で「用廃」10級7号となります。もちろん関節可動域制限の基本通り、曲がらなくなるほどの変形、転位が前提条件です。もちろん対象はMP関節です。IP関節は受傷部から離れているのでベネット骨折と関係ないはずです。その場合は他の理由を追究しなければなりません。   B:可動域に制限なく痛み等が残れば、14級9号を抑えます。変形の12級相当や神経症状の12級13号は画像次第、相当の転位・変形がなければダメです。

 

部位

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 手指の後遺障害はそれほど数は多くありません。いくつか経験したもの、よくあるものを5つ選び明日からシリーズで解説します。(参照・抜粋 『図解 整形外科 』 金芳堂)

 その前にまず手の骨と関節の名称を確認しましょう。

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【母指(親指):第1指】

中手骨と基節骨の関節をMP関節 基節骨と末節骨の関節をIP関節

 

【その他の指:第2指(示指)第3指(中指)第4指(環指)第5指(小指)】

中手骨と基節骨の関節をMP関節 基節骨と中節骨の関節をPIP関節

中節骨と末節骨の関節をDIP関節

 

 このように親指以外は中節骨が存在します。欧米の医学界では親指を特に「サム」と呼び人差し指から第1指~4指とし、区別しています。  

【英語】 続きを読む »

 本日は可動域制限の追加計測の立会いです。お忙しいDr.に再び計測の労を取らせてしまい、恐縮しきりに短時間でささっとお願いしました。    さて、手首から前腕部や肘の受傷で、手首や肘に可動域制限が起きた場合、それぞれ対応する後遺障害は下表の通りです。さらに前腕部には回内・回外という計測項目があります。通常、手関節、もしくは肘関節の可動域制限と比べて、高い方の等級が認定されます。骨折と癒合状態、神経麻痺の場合、手関節と肘関節が「〇級相当」として、上肢内で併合されることもあります。    経験では、TFCC損傷の被害者さんは回外がきついようです。TFCC損傷でも軽度の損傷、もしくは手術で修復が進んだ場合、掌屈・背屈はかなり改善します。実際、尺屈(参考数値)のみに制限を残し、掌屈・背屈は正常値になってしまった被害者さんがおりました。このままですと14級9号止まりです。この被害者さんは医師からも「治って良かったんだよ」と言われ、諦めていたところで相談にいらっしゃいました。その後、私が病院同行して回外の計測を追加依頼し、12級6号を確保しました。

 普通、治療者である医師はこのような考えまで及びません。後遺障害は医師にとって別分野なのかもしれません。   kansetu_15 kansetu_16

部位

主要運動

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【病態】    肘関節は、上腕骨(じょうわんこつ)と2本の前腕骨(ぜんわんこつ)(橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃっこつ)が組み合った関節で、上腕骨内側の滑車(かっしゃ)という部分と、尺骨の肘頭とカギ型の部分とが強くからみ合って、曲げ伸ばしの運動が行われています。この部分がはずれることを肘関節脱臼と呼びます。多くの場合、転倒した時に手をついて起こります。  尺骨が上腕骨に対して後ろ側に脱臼して(後方脱臼)、肘関節の屈伸ができなくなります。外側の橈骨頭だけがはずれる場合は、単に橈骨頭脱臼になります。    

※ 骨折と脱臼の合併

 肘の脱臼骨折は橈骨頭骨折を合併した肘関節脱臼と、腕尺関節の不安定性を生じる近位橈骨、尺骨骨折に大別されます。これらを含む骨折のパターンは以下の4つに分類できます。

1、橈骨頭骨折+肘関節後方脱臼

2、橈骨頭骨折+鉤状突起骨折+肘関節後方脱臼、いわゆるTerrible triad

3、前方への肘頭脱臼骨折、いわゆる経肘頭脱臼骨折

4、後方への肘関節脱臼骨折、Monteggia 骨折の最も近位のタイプ  

【治療】

 徒手整復が基本です。肘関節を軽く屈曲して、前腕を後方に押し下げながら牽引すると、通常は簡単に整復されます。整復後、肘関節を安定度に応じて1~3週間程度ギプス固定をします。その後固定を解除し関節の自動運動を行います。  整復されても、すぐに再脱臼を起こすような場合は、肘関節の広範囲な靭帯(じんたい)損傷が疑われます。この場合、動揺性を残す後遺障害となる可能性がありますので、靭帯の損傷具合によって、手術による靭帯縫合も検討します。

    ①           ②           ③   続きを読む »

■ 病態

 上腕骨遠位端骨折は肘周辺骨折の中で最も頻度の高いもので、転落や転倒により手をついた場合生じます。一般に診断は容易ですが、適切な治療を行わないと後遺障害を残すことがあります。  肘過伸展位(肘関節が反対側に曲がり過ぎて…)で手をつくと、骨皮質が薄く、また骨の断面積も小さい上腕骨の顆上部にストレスが集中し骨折を生じます。通常末梢骨片は伸展位をとり、程度が強い場合には後内側へ転位し、回旋を伴います。    顆上骨折、顆部骨折が多く、顆部は外顆骨折、内顆骨折に分かれます。 

■ ...

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■ 病態

 橈骨神経は正中(せいちゅう)・尺骨(しゃくこつ)神経と並び、腕を走る大きな神経のひとつです。橈骨神経のはたらきは大きく分けて3つです。  

1、肘関節を伸ばすこと(上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)の収縮による)    2、上腕二頭筋と協力して肘関節を収縮すること(腕橈骨筋(わんとうこつきん)の収縮による)    3、手首と手指を伸ばすことです。  

 感覚領域は手の背部で親指、人差し指とそれらの間の水かき部を支配しています。  橈骨神経麻痺は、上腕中央部で上腕骨のすぐ上を走っている神経が、骨と体の外の硬い異物との間で圧迫されることで起こります。

■ 症状    症状は、手指や手首が伸ばしにくく(下垂手)なり、しびれ感と感覚の鈍さが親指と人差し指の間にある水かき部に起こります。橈骨神経麻痺は圧迫性末梢神経障害(あっぱくせいまっしょうしんけいしょうがい)のなかでも代表的なものです。例えば、深酒をしたあとに腕枕をしたり、ベンチに腕を投げ出すような無理な姿勢をすることや、腕枕をすること(フライデーナイト症候群、ハネムーン症候群といったしゃれた俗称もあります)、これら上腕で神経が圧迫されることにより発症します。

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■ 病態説明

 二の腕の骨折です。骨幹部は骨顆部(骨の両端、関節部分)に比べ癒着後も偽関節(くっつかない)や変形を残しづらいと言えます。しかし骨折の種類によって油断ならない特有の後遺障害を残すこともあります。

骨折の形態を復習しながら続けます。

■ 治療

 わずかな亀裂なら保存療法で済みますが、左図のような骨折となると観血的手術でプレート固定となります。  また、開放骨折(折れた骨が上皮を突き破って露出)の場合も当然に手術療法となります。  保存療法では吊り下げギプス固定(ハンギングキャスト)や肩や肘の動きの邪魔にならない機能的装具が用いられます。  

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 骨、筋肉、靭帯、神経と解剖が続きました。いよいよ症状別各論に入ります。やはり図・写真の多用は避けられません。長い文章より如実に語ることができます。

■ 病態説明

 顆部骨折(長管骨の両端、関節部分)の骨折すべてに言えますが、骨粗鬆症に関連した中高年に多く、転倒の際、肩からはもちろん、手をついて転倒した際にも受傷がみられます。 <上腕骨近位端の部位名称>

① 上腕骨頭  ② 小結節

③ 大結節   ④ 骨幹部

a: 解剖頚  b:外科頚 

 

 

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 ムチ打ち、外傷性頚部症候群の症状の多くに単に首の痛みだけではなく、上肢~手指にかけての放散痛(電気が走るようなしびれを伴った痛み)がみられます。何故でしょうか?それは首の神経が鎖骨の裏を通り、腕から手指にかけてつながっているからです。

 また上肢の拳上が不能となるようなケースもあります。これは首の左右の神経根の圧迫、神経孔の狭窄(きょうさく)、つまり首の頚椎と頚椎の間を通る神経がヘルニアや変形した骨の圧迫を受けたり、神経を通る隙間自体が狭くなるために起こります。稀に脊髄自体に頚椎やヘルニアの圧迫がある正中型神経圧迫でも発症するケースがあります。ひどい例ですと肩が上がらなくなった被害者(脊髄前角障害)も経験しています。

 腕の拳上不能の原因は、肩腱板か? 上腕筋の損傷か? 頚部神経症状か?…医師の診断力が試されるところです。   

5、腕の支配神経

腕神経群

 前述のとおり、頚部の神経節を発し、鎖骨の裏側を通り抜け腕に達します。ちなみに胸郭出口症候群ではこの鎖骨裏の神経群が圧迫を受けて症状を発します。

  A.腋窩神経(えきかしんけい) 続きを読む »

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