前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)

(1)病態

 めまいは内耳にある前庭、半規管、それらからの情報が伝わる前庭神経、脳幹、小脳のいずれかが障害されるものです。前庭神経炎の場合、内耳から脳へ情報を伝える前庭神経が、なんらかの原因で障害されてめまいを生じると考えられています。発症前に風邪症状がある人が多いため、ウイルス感染が原因と疑われていますが、それ以上は不明です。
 
(2)症状

 激しい回転性のめまいが急に起こり、普通それが数日〜1週間程度続きます。めまいの他、吐き気や嘔吐、冷や汗が生じます。この疾患は、難聴や耳鳴りなどの聴覚の症状を伴わないのが特徴です。安静にしてもなかなか収まりませんが、動くとさらに悪化する傾向です。

 めまいは発症から3週間くらいでほぼおさまりますが、体を動かした時や歩く時のふらつきは、しばらくは持続するのが一般的です。ときには、6カ月位経っても、ふらつきが持続することがあります。
 
(3)治療

 安静と薬による治療が主体になります。早期に治療すれば、一度障害を受けた前庭機能が回復することがあります。このような時には、比較的早くめまいが軽くなります。

 しかし、早期の治療にもかかわらず、症状がだらだらと長く尾を引くことがあります。このような時は、その状態に早く慣れるためにも、めまいに対するリハビリが必要となります。
 
(4)後遺障害?

 内在的な疾患なので交通事故によるケガとは結び付きません。
 
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