続いて、足指の用廃=2分の1の可動域制限に至らずとも、疼痛の残存で評価されたものです。

 本件のように気付けばよいですが・・・骨折までしながら14級すら取らずに示談してしまっている被害者さんも多いのではないでしょうか。  

14級9号:中足骨骨折(30代男性・山梨県)

【事案】

自転車で直進走行中、後方より自動車の追突を受けて転倒した。脳挫傷、頚椎捻挫、顔面挫傷、そして第5趾の中足骨を骨折した。

【問題点】

ケガに比し回復は良く、深刻な後遺症が残らなかった。それでも12級を追い、少なくとも神経症状の14級をしっかり確保する必要がある。 c_g_l_86【立証ポイント】

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 可動域の計測で「指」ほど敬遠されるものはないでしょう。専用のゴニオメーター(写真の下 事務所内では三節棍などと呼んでいます)も使いづらく、小型のゴニオメーターで計測しています。

 今日、明日と足指の障害を取り上げます。

kansetu_4 上から大、小、そして三節棍?  

14級8号:中足骨・基節骨骨折(50代女性・神奈川県)

【事案】

横断歩道を横断中、自動車に足をひかれ、第4趾の中足骨と第5趾の基節骨を骨折した。

【問題点】

お医者さんが最も面倒がる足趾(足の指)の計測である。医師面談ではやはり協力的ではなかった。 続きを読む »

 プレート固定による骨整復の進歩から、近年、長官骨の変形は少なくなったと言えます。骨折部に張り付けるプレート、スクリューの形状・種類も増え、余程ひどい骨折(もしくはヤブ医者)じゃなければ変形癒合は起きません。 c_g_l_27  ↑ 医師の最悪例(変形の結果、脚が外側に開いてしまったのに・・)    本件は被害者さんの自覚症状から回旋変形を模索した結果、珍しく認定を得たものです。変形は逃すだろうと予想していましたがやってみるものです。  

併合11級:大腿骨骨折(40代女性・神奈川県)

【事案】

バイクで直進中、対抗自動車が駐車場に入るため右折してきて衝突、顔面と左大腿骨、両恥骨を骨折した。大腿骨は骨幹部を骨折、プレート固定後、抜釘を待って症状固定とした。

【問題点】

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 本件は足関節の立証はおまけ作業、顔面で悪戦苦闘した記録です。これは頭部・顔面の障害で改めて紹介したいと思います。  

12級7号:距骨骨折(30代男性・神奈川県)

【事案】 被害者は歩行者で道路を横断中、左方よりの自動車に跳ねられ受傷。右足首(距骨)、顔面(頬骨)を骨折した。 c_h_17-2 【問題点】

足は整形外科、顔面は形成外科、そして、噛み合わせに不安を残すため口腔外科と3科を受診した。各科の医師はそれぞれ後遺症に対する認識が違うため、後遺障害診断書を科ごと3枚に分けた。

足関節は歩行には問題が無いくらい回復したが、機能障害、つまり12級7号の数値の確保がミッション。

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 秋も深まり、今年の残り日数を数える時期になりました。まだ投稿していなかった下肢をシリーズで整理したいと思います。実績ページの改造・充実に併せ、珍しい案件ももらさず紹介していきたいと思います。全国の後遺症を検索している皆様に引っかかることを祈って。  

併合11級:両大腿骨骨折(80代女性・埼玉県)

【事案】

自転車後部座席に同乗中、その自動車がセンターラインオーバーして対抗自動車に正面衝突。ほぼ100:0の事故。運転手は死亡、同乗者もそれぞれ骨折等ケガを負った。中でも本件の被害者は4本の手足すべて骨折した。

【問題点】

高齢のために骨癒合に時間がかかった。可動域は回復傾向であるものの、自力歩行が不能、車イスとなる。それでも自賠責の基準上では手足の機能障害から等級を重ねるしかない状況。 kurumaisu3賠償金については運転手の任意保険(対人賠償)に請求した。被害者にとって運転手は親戚かつ好意同乗(みずから進んで乗せてもらった)、そして故人のため、裁判上のやり取りを避けたい意向があった。

【立証ポイント】

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20150305_1 腓骨神経麻痺について多くの症例を見てきました。足関節の自動運動(自分の意思で動かす)がまったく不能となったケースから、底屈はできるが背屈は不能、また、底屈・背屈共にやや動くものの制限あり、経験上この3ケースに分かれています。

 おさらい ⇒ 腓骨神経麻痺

 立証には2つのハードルが存在します。1に神経伝導速度検査を行うこと、2に正確な角度を記録するです。 これは医師の知識や人間性に大きく左右されます。  まず、神経伝導速度検査をしたからといって治るわけではありません。治す為、手術のためなら術前に検査を実施しますが、後遺障害の立証のために検査するなど、通常、医師は積極的ではありません。したがって、検査の必要性をご理解いただく作業が必要となります。さらに、神経麻痺の可動域制限について医師が正確な計測方法を知っているとは限りません。自賠責の審査上、規定の数字をオーバーすれば等級を取りこぼします。  自動的に後遺障害が立証されるわけではないのです。本件も「治療には熱心ながら後遺障害の基準を知らない」医師と、「相談を受けながら具体的な手を打たない」弁護士に任せたままでは危なかったのです。    「挙証責任は被害者にあり」・・腓骨神経麻痺はこれを実感する診断名です。

 

8級相当:腓骨神経麻痺(20代女性・千葉県)

【事案】

通勤時、自動車で直進走行中、対向車がセンターラインオーバーしてきて正面衝突したもの。自動車の前部は潰れ、左脛骨・腓骨を開放骨折、腹部を強打し、肝損傷の診断となる。 続きを読む »

 前回、足関節~足の各関節の名称、可動領域を確認しました。今日は専門医の臨床判断の方法です。病院同行の際にも医師の徒手検査に目を凝らして観察しています。損傷部の早期発見はここにかかっています。ここに医師の診断力が発揮されます。優秀な医師は以下の所見から即座にMRI検査の指示をします。 20150203_2 20150203_8    関節の所見の取り方の1例をご紹介します。時間的な目安として約5分ですべてをチェックできる事が理想です。

① 受傷機転を確認。

② ...

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 骨格模型のトワテックさんのメディカルレポートからいつも勉強させていただいています。足関節についてありがたい記事を拝見しました。(整形外科医 北村 大也 先生の記事から引用させていただきました。)

 骨折・脱臼がなかった場合、足関節の損傷は診断が難しく、いつまでも捻挫扱いで処置が遅れる傾向です。読影力のある医師はXP(レントゲン)から各関節の関節列隙を観察、靭帯損傷や軟骨損傷を予断します。そして、即座にMRI検査の指示となります。しかし、これは理想であって、相談会では正しい診断が成されないまま足を引きずって参加される方が少なくありません。適切な治療が遅れれば回復も悪く、さらに最悪なのは、診断の遅れによって外傷との因果関係が否定されます。つまり、後遺障害の補償すら逃します。

 誰かが気づいて、適切な検査・治療へ誘導しなければなりません。だからこそ、メディカルコーディネーターに医学的な知識が求められるのです。これはなにも素人が医者に勝ろうとすることではありません。医師疎通(医師と意思疎通する意味の造語、洒落?)、会話が出来るレベルの知識は必要だということです。    今日は足関節と関節機能について整理しましょう。

  20150303_1〇 距腿関節  脛骨・腓骨の下端と距骨の上面との間のらせん関節。狭義の足関節。足関節の背屈・底屈のほかに、底屈位でわずかな内・外転が可能。 〇 距骨下関節   距骨下面と踵骨上前面との間の顆状関節。内がえし・外がえしはこの関節で起こる。 〇 横足根関節(ショパール)20150203_1  踵立方関節と距舟関節からなる。わずかではあるが、背屈・底屈・内がえし・外がえしに関与。 〇 足根中足関節(リスフラン)  足根骨と中足骨との間の関節。わずかではあるが、背屈・底屈・外転・内転に関与。 〇 中足間関節  横アーチが形成される部分。 〇 ...

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 下肢の未投稿実績はまだ残っていますが、キリがいいのでシリーズはここまでにします。最後は、そのまま申請したら併合11級であったであろう案件を一つ引き上げた仕事です。等級一つでも数百万円賠償金が膨らみます。特別に私に依頼下さった弁護士先生&被害者さまの期待に応えることができました。

kaihou  本件はガステロ分類タイプⅢA(真ん中)

併合10級:脛骨・腓骨近位端骨折・下肢醜状痕(40代男性・神奈川県)

【事案】

ツーリング中、後続バイクの追突で転倒、右下肢の脛骨・腓骨を開放骨折。創外固定、受傷部の皮膚移植を施行。その後、危惧していた感染症を併発し、治療は2年以上を要した。既に弁護士に委任も、症状固定を前に後遺障害の医証まとめに特化した依頼を受けた。

【問題点】

重傷で苦しんだ以上、等級の取りこぼしは許されない。できうる最大の等級獲得を検討した。脛骨・腓骨が近位端骨折であるゆえに膝関節の可動域制限12級は余裕で立証できる。醜条痕も見ての通り。しかし、本件の問題は足関節の可動域制限の原因であり、その究明が必要であった。

【立証ポイント】

主治医と共に改めて読影を行い、脛腓骨・骨頭部の交差部の癒着が原因であると結論、それを診断書に落とし込んだ。足関節の機能に腓骨頭の可動が影響することを学んだ。これで膝関節と足関節でそれぞれ12級7号を確保、11級相当とした。

次に、実際に動かして検証してみた

続いて醜条痕を写真撮影、別紙にて詳細に大きさを計測・記載、万全の医証で提出した。その後、醜状痕の面接には念のため弁護士の立会いをお願いした。

結果、醜状痕でも12級相当をゲット、併合10級にまとめた。これがお金を頂くプロの仕事。  

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 毎度、早めの相談を呼びかけております。初期からの受任で安心して解決まで進んだ例を紹介します。  本件は受傷10日後からの相談・受任でしたので、すべて順調、つまづくことなく症状固定→等級認定→弁護士引継ぎ→解決が図れました。被害者は治療・リハビリの苦労だけではなく、事故に関する諸手続きで解決まで大変な手間とストレスにさらされます。本来、静かな環境で治療に専念すべきなのです。いらぬ心労は回復に障ります。そのような意味でもメディカルコーディネーターの役割は重要であると自負しています。 tc2_search_naver_jp

併合14級:腓骨骨幹部骨折・足関節挫創(60代女性・千葉県)

【事案】

自転車で道路を横断中、右方よりの自動車に衝突を受け、腓骨を骨折したもの。腓骨は保存療法とし、リハビリを継続、半年後に症状固定とした。

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 重傷事案です。立証作業は丁寧に進めれば目標等級に届くものの、本件最大の問題は労災の不使用です。さらに運転者は同僚なので自動車任意保険の対人賠償は「同僚災害免責」となってしまいます。まず基本通り、全画像を確保・精査し、可動域計測を正確に実施した。続いて自賠責に被害者請求、等級を固めた。その後は以下の文章通り。加害者や保険からの賠償金より、労災の年金支給が最大のターゲットとなります。被害者救済業とは「等級認定」と「賠償金の獲得」だけでは終わらないのです。

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7級相当:脛骨・腓骨・第2~5趾リスフラン関節脱臼骨折(60代男性・千葉県)

【事案】

現場への移動で自動車に同乗中、高速道路で追突事故となった。自動車の前部は潰れ、しばらく自動車から脱出できない状態になってしまった。腰椎は破裂骨折、右下肢はダッシュボードに挟まれ、脛骨骨幹部、腓骨骨頭を骨折した。さらに、第2~5中足骨を骨折、リスフラン関節部脱臼を伴った。 緊急入院し、それぞれ手術で骨折部を固定した。1年にわたるリハビリでなんとか杖をついて歩けるようになった。

【問題点】

本人は「治るまで症状固定はしない」と、仕事へ復帰する執念をもっていた。しかし、腰の可動は失われ、右足へ全体重の荷重は困難であれば現場仕事は無理である。後遺障害の認定へ向けて切り替えるよう説得を続け、納得した上で依頼を受けた。 続きを読む »

 一昨日の⑤廃用性症候群でも語りましたが、関節可動域制限の認定には「曲がらなくなった原因」をしっかり説明することが重要です。可動域制限の数値は審査上、最後に確認する数値です。自賠責調査事務所は先に画像を精査して可動域制限の等級を予断しています。私達、立証側もこれと同じプロセスでアプローチしています。そうしないと立証側と審査側で等級が一致しなくなります。受傷様態~症状固定までの画像、術式、経過をみて目標等級を策定します。

 基本中の基本なのですが、これを励行している業者は極めて少ないようです。相談会では毎度、等級を読み違えた他業者に対する苦情系の相談が多いからです。       c_h_17-2 完治が目標!だけどね・・

10級11号:足関節開放脱臼骨折(30代男性・埼玉県)

【事案】

自転車で交差点を横断中、左折するトレーラーに巻き込まれ、右手関節(尺骨遠位端、手根骨、第二中手骨)、右足関節(両顆部)を骨折した。手関節、足関節共にプレート固定を施行した。

【問題点】

本人の回復努力と長期のリハビリから、ケガの重篤度の割に骨癒合は良好、回復は順調であった。医師も可動域制限など残さずに治す執念を持っていた。それは当然のことであるが、これだけのケガで後遺障害を残さず完治するわけはない。中途半端な回復で手首12級、足首12級の併合11級の可能性があった。

【立証ポイント】

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 いくつか非接触事故の受任経験があります。相手を避けるために転倒した場合、相手がそのまま行ってしまえば最悪、自爆事故とされます。また、相手がそれなりに責任を感じていた場合でも20:80の事故であれば、非接触を考慮し10%の修正が加わって30:70となることが多いようです。まして、相手が歩行者や自転車の場合は大変です。相手に個人賠償責任保険の加入があるかないかがポイントとなります。

 最近、兵庫県で自転車の賠償保険加入が義務となったニュースがありました。義務化について是非の議論はありますが、自転車の賠償能力が担保されることは良いことです。

 本例は後遺障害の立証が主役ではありません。相手自転車の個人賠償保険から賠償金を勝ち取った好取組です。  

12級13号:足関節外顆骨折 訴訟認定(30代男性・埼玉県)

【事案】

バイクで交差点を青信号で直進中、信号無視の自転車が横断してきた。それを避けようと転倒し、右足関節の外顆を剥離骨折、後距腓靭帯を損傷、手関節もTFCC損傷の疑いがあった。

【問題点】

相手は自転車で、なおかつ非接触の事故であり、まったく賠償交渉の進展がないまま相談会に参加された。外傷についてはCTやMRIを撮っておらず、診断名があやふやで後遺障害が絞りきれなかった。まして、自賠責保険のような申請先がなく、そのまま相手加入の個人賠償責任保険への請求なので難航が予想された。

【立証ポイント】

同時並行して連携弁護士に個人賠償保険社への交渉を依頼した。非接触による過失減額が争点となったが、それ以上に後遺障害の残存が問題となった。それについては主治医と面談し、MRIの追加検査とリハビリ記録を精査するなど進めたが、微妙な所見に留まり、医証をまとめるのに苦慮した。

結局、訴訟に発展し、足関節は12級13号の賠償となった。後遺障害の立証は今一つであったが、非接触事故で相手自転車から1000万円超の賠償金を取ったことは評価できると思う。  

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 他の弁護士、行政書士からのセカンドオピニオンで目立つケースの一つに、「関節の可動域制限が2分の1なので、『10級が取れます!』と依頼した先生に言われました。でも、認められませんでした(怒)」があります。これは後遺障害の予断をするに際し、可動域制限の欄を見るだけで画像を観ない、または治療経過を注視しない先生に起こります。まさに交通事故110番の功罪の一つです。例えば「2分の1制限で10級、4分の3制限で12級・・」可動域制限のことは110番の本で学習済、得意顔で依頼者に説明します。しかし「それ程の可動域制限が起きる原因」に踏み込んでいません。だから結果がでてから赤っ恥、依頼者のクレームに発展するわけです。110番の本で学習しただけのにわか専門家なので仕方ありません。 

 今回紹介する実績はリハビリを中断し、関節硬縮が進んだケースです。これなど10級の期待など最初から持たせません。現実的な等級を目指します。もっとも、110番はじめ色々とHPを観て学習した、狡猾な詐病者も存在します。彼らは「ここまでしか曲がりません!」と可動域制限を装うのです。でも、自賠責調査事務所を欺くことはできませんよ。騙されるのは”画像を観ない・わからない”自称専門家のみです。

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12級13号:脛骨プラトー骨折(50代女性・神奈川県)

【事案】

自転車で交差点を横断中、対向右折自動車の衝突を受け転倒、左脛骨を骨折した。直後、プレート固定を施行、抜釘は1年後。その間、リハビリで膝関節の機能回復を図るも、相当に制限が残ってしまった。

【問題点】

相談会では2分の1以下はおろかほぼ用廃レベル。画像上、関節面にやや不整があるものの、それ程の可動域制限はあり得ない。本件は廃用性症候群、つまり、リハビリをサボったケースと思った。であるならば、計測値通りの認定は困難となる。原因を究明する病院同行となった。

【立証ポイント】

早速、主治医に面談し、理学療法士の可動域計測にも立ち会った。やはりというか、理学療法士の記録を見るとリハビリ中に相当の回復は図られていた。これでは機能障害は認められない。8級はおろか10級も認められないことを、申請前に十分に言って聞かせた。

結果は痛みや不具合について12級13号の認定。調査事務所の判定は正しい。これが妥当な結果である。可動域制限は自力回復を続けるよう、厳しく諭した。  

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 14級はいくつとっても併合の対象にはなりません。すると他に13級以上の障害があればつい軽視しがちです。しかし12級13号の神経症状は判例上、逸失利益10年が相場です。そこで逸失利益が67歳まで見込める14級を加えることが必須作業となります。この辺のセンスは弁護士へ引継ぎ後の賠償交渉まで見据えているからこそです。

c_g_s_6  上肢・下肢の醜条痕は手の平の大きさで14級、手のひら3倍の大きさで12級判断となります。

 

併合12級:脛骨・腓骨骨折(50代女性・埼玉県)

【事案】

自転車で交差点を横断中、対向左折自動車の衝突を受け、左足首を骨折した。脛骨、腓骨共に骨幹部を開放骨折、直後にプレート固定術を施行した。

【問題点】

医師の処置、特に手術は非凡な腕であった。おかげで回復は良好、可動域制限を残さず症状固定を迎えた。そうなると痛みやその他不具合を観察することになる。

【立証ポイント】

やはり可動域が回復したとしても正座はもちろん、極端な可動には無理がある。症状を丁寧に診断書に落とし込み、また開放創と手術痕を写真に撮り、醜状痕も加えるようにした。結果は神経症状で12級13号、醜状痕で14級5号の併合12級となった。おまけの14級と言えど逸失利益の伸長に重要、12級13号の喪失率14%で10年間、さらに67歳まで喪失率5%を請求するからです。  

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 不全骨折・・ポキンと折れていない骨折でしょうか。医師は曖昧な診断名を残すことがあります。レントゲンだけではなくCTやMRIを用いて精査すれば良いのですが、町の整形外科では設備がなく、また、重大な骨折でなければ、わざわざ大きい病院に検査を依頼することもありません。それでも丁寧に進めれば、お馴染みの14級9号「神経症状」を抑えることができます。「折れているのかどうか?」はっきりさせたいのは山々ですが、時として曖昧でも良いのです。白黒つけるだけが人生ではありません。

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14級9号:中足骨不全骨折?(20代女性・千葉県)

【事案】

歩行中、道路を横断の際、対向右折車に右足甲をひかれた。

【問題点】

レントゲンから初診の診断名は「右足打撲」。その後、転院先の病院で腰椎捻挫が加わる。足の痛みが尋常ではない事から、MRIで靭帯を観察、そこで中足骨の不全骨折が加わった。しかし、私が観たところ骨折は微妙、調査事務所もこれでは認めないであろうと予想した。初期の診断名が不確実、かつ後遺障害の狙いが絞れない・・

【立証ポイント】

知人の紹介を受けて受任、足と腰、共に神経症状の14級9号を念頭に立証作業を進めた。受傷から一貫した症状の推移を診断書に落とし込み、骨折の有無にはこだわらないようにした。さらに腰のMRIも施行、腰椎捻挫の14級を保険とした。 結果は足=”打撲による”、腰=”捻挫による”14級9号が認められ、併合14級となった。治療と立証作業を計画的に進めれば、調査事務所は曖昧な診断名でもきちんと見てくれるのです。

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 後遺障害の仕事で重要なことはズバリ「目利き」です。外傷の診断名だけで判断するのではなく、受傷直後からの画像を確認し、どのような障害が見込まれるか予断することです。本件も相談会で初めてお会いした時からしかるべき等級に向けて進めました。等級認定はもちろん、その後の連携弁護士による交渉解決まで、ほぼ読み通りの進行となりました。   c_g_l_12

13級8号:大腿骨骨幹部骨折(児童女子・神奈川県)

【事案】

私道を横断のところ自動車にはねられ太ももを骨折した。

【問題点】

日々成長著しく、骨折部はさすがに仮骨形成が良好であった。問題は仮骨部の変形が外見上に影響なく後遺障害とならない事、そして、子供さん特有の「病院嫌い」から治ったと言い張ること。また、成長期の症状固定は将来の成長障害の懸念から遅れがちであることがあげられる。心配をよそに数年も経てば障害は目立たなくなることが多い。

【立証ポイント】

機能障害や変形は見込めない。狙いを安易に神経症状に求めず、短縮障害に絞った。成人までは左右差は解消すると期待できるが、しばらくは1cm程度の差は続くはずである。主治医にCR上で大腿骨の計測をしていただき、しっかり13級を確保した。  

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 交通事故外傷ではまず、むち打ち、続いて腰椎捻挫、鎖骨骨折が多いと思います。それ以外ではやはり下肢の骨折が多いようです。現在、9級以上が見込まれる重傷案件を7件お預かりしています。症状固定までかなり時間がかかりそうです。逆に比較的回復程度の良かった案件に対してもしっかり等級を抑え込んでおります。基本に忠実ともいえる対応例をいくつか紹介しましょう。   kansetu_21 

12級7号:大腿骨・膝蓋骨骨折(20代女性・東京都)

【事案】

2輪車の後部座席に搭乗、交差点を直進中、対向右折車と衝突したもの。大腿骨の骨幹部と遠位端外顆、膝蓋骨を骨折、髄内釘で固定した。膝部は開放骨折であたことから感染症の観察と癒合で1年、膝関節可動域の回復でさらに1年のリハビリを要した。

【問題点】

本人の努力で可動域の回復は良好、このままでは12級13号止まり。ケガの重篤度から可動域制限の7号を抑える必要があった。

【立証ポイント】

早速、リハビリ先の医師に面談した。事情をご理解いただき、可動域の計測と診断書の記載を速やかに行った。膝関節可動域は「健側140°患側105°」と記録、ギリギリの数値で12級7号とした。  

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 異議申立ては等級の変更を主張するだけではありません。稀に同じ等級でも、誤った号が認定されることがあります。  これは調査事務所の単なるミスジャッジというより、提出した医証が不明瞭、不十分であるために起こります。12級であれば何号であっても自賠責保険金は同じ224万円です。しかし、号、つまり障害の系統は後の賠償交渉上、逸失利益の年数に大きく影響します。判例から12級13号(神経症状)は10年程度ですが、7号(機能障害)となれば67歳まで見込めます。若い被害者であれば差が何百万円にもなるのです。    号の変更申請はたまにあります。問題は等級が上がらないので私の成功報酬がないことです(泣)。   lachman ⇐ ラックマンテスト

12級13号⇒12級7号:脛骨近位端骨折 異議申立(40代男性・静岡県)

【事案】

 原付バイクでT字路前で停止中、左方より右折してきた自動車の衝突を受け受傷。その際、左膝脛骨を骨折した。骨折部をプレート、スクリューで固定し、1年半後に抜釘した。その後、リハビリを続けるものの、外出時に装具が必要で、疼痛も改善しなかった。さらに半年後に症状固定、後遺障害申請を行ったが、結果は12級13号。神経症状の評価に留まった。

【問題点】

 委任を受けた弁護士より、異議申立の依頼を受けた。まずは読影である。装具を必要とするほどの症状であれば、靭帯の損傷を最初にチェックしなければならない。また、骨癒合状態に相応の変形、転位があるか、関節面の不整等も抑えるべきである。やはりと言うか、CT、CR上で骨折した骨頭部が斜め下後方に転位している様子が確認できた。これを膝の不安定性の原因に加え、検査のやり直しを進めた。

【立証ポイント】

 まず最初に主治医と面談、事情を説明して立証作業の理解を得た。  MRIの再検査及びストレスXPを施行、靭帯を観察した。それらに動揺性をきたす程度の異常は認められなかった。関節面の不整は既にCT上で明らかだが、改めて確認できた。  次に伸展硬縮(膝がまっすぐ伸びない)による短縮障害も追求、下肢長の計測も加えた。左右の関節裂隙に差があるものの、脛骨自体の短縮は計測できなかった。 続きを読む »

 ”門前の小僧、習わぬ経を読む” 

 私たちは日々画像とにらめっこ、そして適時、放射線科医・専門医の指導を頂いています。これが障害立証の場面で大きな力となっています。こればかりは他の弁護士、行政書士や業者とは一線を画していると自負しているところです。年間の被害者面談は300人以上、さらに年間200件以上の医師面談を続けています。うち少なくとも100人の画像を観ています。

 メディカルコーディネーターはまさに”門前の小僧”、画像はもはや”習わぬ経”なのです。

 それでは、小僧の力量をお見せしましょう。

 

14級9号⇒12級13号:膝蓋骨骨折 異議申立(40代男性・神奈川県)

【事案】

バイクで直進中、左路外から飛び出してきた自動車と衝突。その際、右膝を自動車とバイクに挟まれ膝蓋骨、脛骨を骨折、さらに転倒の際に左手をつき手根骨(大菱形骨・小菱形骨)と橈骨形状突起(剥離骨折)を骨折。

【問題点】

事前認定での結果は「ゆ合は良好で変形や関節面の不整も認められず・・」とあり、14級9号、つまり、受傷様態と治療経過から神経症状の残存に留まる判断であった。

【立証ポイント】

まずは画像読影である。

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