■ 内側側副靭帯損傷

 

 膝の左右の安定性を保つのは側副靭帯です。外側・内側にそれぞれありますがスポーツや交通事故の怪我では圧倒的に内側側副靭帯損傷(MCL= medial collateral ligament injury)です。膝の靭帯損傷でもっとも多く、前十字靱帯とペアで痛めるケースも多くなります。  

<診断>

 毎度ですがX線では写りません。MRIで描出します。自覚症状は痛みと膝内側の腫れです。

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 今日は病院で膝関節の可動域測定に立ち会います。以下日誌を書いたら出発です。   ■ 膝関節の可動域について

膝の痛み、しびれの残存は自覚症状です。後遺障害の認定は当然、他覚症状重視です。そして数値化できて分かりやすいのはやはり可動域制限です。  可動域制限とは膝が曲がらなくなることです。医師の手によって曲げてもらう他動値と、自らの意思で動かす自動値の計測をします。この自動値は演技?できるので、参考程度とし、他動値にて可動制限を判定します。

      日本整形外科学会の測定法にのっとります。       屈曲 (膝を普通に曲げる) は平均値で130°

 伸展 (膝を逆に曲げる) は平均値で0° です。

 医師の診断書を見ると、たまに屈曲180°?と書かれています。物理的そんなに曲がりません。また。伸展で20°?とありえない数値を診ます。関節は逆に曲がりません。もっとも骨折等で偽関節を残す場合や前十字靱帯損傷ではあり得ます。その場合は後遺障害云々より早く手術すべきです。

 正常値を 屈曲130°+伸展0°= 130°とすると…

8 級 7 号 15°以下・・・ケガをしていない方の膝と比べてほぼ硬直で動かない

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■ 後十字靭帯損傷 

    ↓ 膝を裏側から見ます   膝の真ん中後ろに、前十字靱帯(ACL)と交差するようにある靱帯が後十字靱帯  PCL= posterior cruiciate ligament です。

 ACLに同じく膝の前後の安定を保つ働きをします。特に脛が膝から後方へずれないように引っ張っている様子が左の模型図からもわかります。     <損傷の原因>

 前十字靱帯に比べ2倍の強度があるため、その損傷には強大な力が必要です。膝を90°に曲げた状態で、膝下の脛骨に前方から力が加わり生じます。スポーツ外傷や交通外傷などによることが大半を占めます。自動車では衝突の際、膝をダシュボードに打ちつけて受傷することが多いとききます。また膝蓋骨・脛骨顆部骨折や側副靭帯の損傷と併発することも多く、周辺組織の修復術が伴います。

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サッカー女子日本代表の丸山桂里奈選手は先日中国戦試合終了後、ピッチに崩れるように倒れこみました。どうも膝を痛めているようです。今朝のニュースで右膝十字靭帯損傷で全治6カ月と発表されました。サッカー選手には多いケガです。

<立証>

1、ストレスXP撮影

 先日の<診断>の項目ではレントゲンよりMRIが有用と書きましたが、膝の動揺性について立証するためにはストレスXPが必須検査です。  簡単に説明しますと、下写真のように関節を引っ張り、異常可動の状態でレントゲン写真を撮ります。

(写真は福岡・上野先生より拝借です)

2、MRI

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<手術>

1.自家組織(自分の靱帯、健)を用いる方法

  (1)半腱様筋、薄筋を用いる方法   (2)骨付き膝蓋腱を用いる方法   (3)大腿筋膜を用いる方法

2.人工靱帯(Leeds-Keio人工靱帯)を用いる方法  

3.亡くなった人の組織(Allograft)を用いる方法(日本ではあまり行われてない)。

 3の故人の組織移植ですが、先日テレビで頚部の前方固定術に亡くなった夫の骨を使ったケースを観ました。外国では抵抗ないのかもしれません。  いずれの方法においても手術をすればそれですべてが治ったというわけではなく、手術後のリハビリテーションが手術以上に重要です。

  なお、靱帯再建には、骨付き膝蓋腱がよく用いられますが、これは膝蓋骨(膝のお皿)周囲にある靱帯を用いたもので、これにより術後6ヶ月~1年でのスポーツ復帰が可能となっています。人工靱帯を用いれば更に早期のスポーツ復帰が可能となることもありますが、再断裂や異物反応(アレルギー)による関節水腫の合併などの問題点も指摘されています。

 ← 前十字靱帯損傷 術後単純XP画像   膝蓋腱を用いて前十字靱帯を再建しています。    前十字靭帯が付いていた上下(脛骨と大腿骨)にトンネルを掘り、そこに前十字靭帯の代わりとなるように採取してきた腱を張り、上下を固定します。

 そのトンネルが大腿骨と脛骨に白く写っていますね。

    <リハビリ>  術後1~2週間(創部の閉鎖まで)はギブスまたは装具による固定を行うが、術直後より創部の痛みが我慢出来る範囲で、大腿四頭筋、ハムストリングス(大腿部後面の筋肉の総称)のリハビリを行います。術後1~2週より可動域訓練、その後より部分体重負荷(松葉杖を用いる)を行います。その後、固定装具を用いながら可動域訓練、筋力増強訓練などを行い、最終的にはスピード、耐久力、俊敏性などをスポーツ種目に合わせて訓練し、術後8ヵ月から1年でスポーツに復帰します。

                 これは金属入りの硬性補装具です。→            靭帯損傷のみですと軟性補装具使用が一般的です。            ちなみにドンジョイ製がよく勧められます。

  参考・引用文献  看護必携シリーズ7・整形外科               成人看護学 骨・関節・筋肉疾患              図解・整形外科

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 昨日届きました!膝の人体模型です。(おもちゃが届いた子供のようですみません。)

 普段は専門書の平面図を眺めていますが、立体物を手に取ることによって構造の理解が深まります。  明日から靭帯損傷を解説しますので、その準備として膝を構成する骨について確認しましょう。     <骨>  4つの骨から構成されます。

1、大腿骨(だいたいこつ)  ・・・太ももの長管骨です。

2、脛骨(けいこつ)  ・・・すねの長管骨です。

3、腓骨(ひこつ)   ・・・すねの外側にもう一本長官骨があります。

4、膝蓋骨(しつがいこつ)  ・・・いわゆる膝のお皿です。続きを読む »

<治療>

〇 保存的治療

 半月板を損傷してから2週間以内の新鮮な損傷の場合、半月板辺縁1/3部のの血行がいい部分で若い人の場合は、小さな断裂や剥離は癒合して治癒しやすいため、2週間ぐらい膝を固定することにより、自然治癒に至る場合があります。  一方、痛みやロッキングが見られ膝の伸展制限や液体貯留が見られるような場合、あるいは保存的治療で改善が見られない場合などでは、手術による治療が必要になってきます。 また保存療法と安易な判断をして、変形性膝関節症となる危険性もあります。整形外科医の診断も絶対とはいえないので、膝関節に精通した専門医の診断をお勧めします。

〇 手術

 半月板損傷の手術治療には、部分切除術と縫合術とがあります。

1、部分切除術 … 傷んだ部分を切り取り、形を整えます。

2、縫合術 … 断裂部を縫い合わせます。

 近年診断方法の一つである関節鏡を使った、鏡下手術も増えています。

     <後遺障害>

 微細な損傷で痛みの残存したケースは14級9号の判定を狙います。損傷が画像上明らかなもの、手術を伴ったもので疼痛の残存は12級の審査にふします。

 完治できる傷害なので、深刻な可動域制限や痛み、動揺性が残存するとは思われていません。それらの症状は周辺靭帯の損傷や骨折を伴ったケースで起こります。したがって6ヶ月後、早急に症状固定とし、残存する症状の審査を図るべきと思います。

 ちなみにサッカーの本田選手は先週バルセロナで手術をし、全治3ヶ月の診断です。年内には復帰予定なのです。  

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 膝半月板とは軟骨の一種で、太ももの大腿骨とすねの脛骨の間にあり、双方のクッションの働きをしています。膝がなめらかな可動を保つのはこの半月板のおかげです。これが断裂したり、潰れたりすれば、運動痛や可動制限、ひっかかり感、膝くずれ現象を引き起こします。

    外側半月板と内側半月板があります      半月というより三日月ですね  

<病態>

 10~20の歳代の男性によくおこります。おそらくスポーツでのケガが多いからでしょう。発生機転は下腿が固定された状態での膝の内外旋や内外反が多い。つまりサッカー選手が他選手との接触や転倒で、膝をひねってしまった時に痛めます。

〇 損傷形態

 以下6つが代表的です。診断書の中にもこの断裂の状態を明記して頂きたいところです。

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 今日からサッカーワールドカップアジア3次予選がはじまります。第1戦はホームで北朝鮮戦です。地元のさいたまスタジアムが会場です。夕方から青いユニホームを着たサポーターが街にあふれます。   残念なことに本田選手は故障でチームを離れました。右膝半月板損傷です。これはサッカー選手はもちろん、スポーツ選手に多いケガです。また交通事故外傷でも膝の軟骨や靭帯は傷めやすい部位です。

 これから数日、膝について掘り下げてみようと思います。まずは膝の構造から。来週には立体模型も届きます。人体の関節部ですが、 下図を見ての通り、平面図では分かり辛いのです。

 大きく分けて、「骨折」、「軟骨損傷」、「靭帯損傷」を器質的損壊として後遺障害が認められます。いつものことですが単なる捻挫、打撲、(診断名のない)関節可動域制限、痛み、等の症状では等級が認定されません。他に既存障害、つまり慢性的な関節炎やリュウマチを疑われるものもあります。  またスポーツ選手の例では、骨折、半月板損傷や靭帯断裂があっても、手術して数か月後に復帰し、ほぼ障害を残さないケースが多いことも特徴です。  明日から各論に入ります。 

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 最近の相談事例から・・・

 事故で足首を痛めました。捻挫ですが、腫れと痛みがかれこれ1か月以上も続いています。主治医も初診時にレントゲンを撮り、「骨に異常はないですね」と言ったきりです。湿布による消炎と電気治療が続きます。しかし回復せず、関節もよく曲がりません。医師に相談しても、「様子をみましょう」と・・・

 さて、このまま漫然と治療を続けるとどうなるでしょう。半年後の症状固定時になっても足首の可動域は回復していません。底屈30度、背屈10度と計測し、後遺障害診断書に書いて頂きました。しかし傷病診断名は右足首捻挫です。画像もレントゲンのみ、骨に異常なしのままです。

 これでは確実に「非該当」=後遺障害はなし、です。

 この段階になって、異議申立をして、いくら関節の痛みや可動域制限を訴えてもダメです。

 骨折や靭帯損傷など器質的損壊がないもの、例えば「捻挫・打撲」は治るもの、と解釈されています。そして可動域制限があったとしても、その原因となる傷病名が診断されていなければ無視されます。

 この方は、足首の靭帯に損傷があるものと疑う必要があります。丁寧に足首の靭帯をMRIで描出する必要があります。それも受傷直後、遅くとも3か月以内に。そして「後距腓靭帯、踵腓靭帯、前距腓靭帯の損傷」のような確定診断の記入が必須です。    

 もうおわかりですね、医師の指示は絶対ではないのです。あとで泣くのは自分自身です。「おかしいな?」と思ったら、自分から医師に検査の依頼をしなければなりません。それでも「患者は医者の言うことを聞いていればいい!」と相手にしてもらえないのなら、残念ながらただちに転院です。

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 昨日の筋電図に続いて神経伝導速度検査を。 筋電図ができないときに実施します。既に筋電図検査を行っている場合は必要性は薄れます。 

■ 神経伝導速度検査とは

 末梢神経を皮膚上で電気刺激し、誘発された電位を記録し、伝導速度、振幅などを測定するものです。これによって末梢神経疾患、脊髄疾患の診断、病態の把握に活用できます。運動神経刺激によって筋肉で誘発される波形を検査する運動神経伝導検査と、感覚神経自体の電位の波形を検査する感覚神経伝導検査とに大別されます。  刺激をすることで神経や筋肉の反応が得られ、得られた反応を用いて伝わる速さを測定したり、波形の分析を行います。検査中ピリッ、ピリッと感じます。正常の場合にはある程度の決まった速さで伝わる興奮の速さが遅くなるか、もしくは反応が出ないなどの所見が認められます。障害がある場合には、障害の部位や障害の程度、障害の範囲を判断することができます。

■ 上肢、下肢の場合

 皮膚の上に電極を貼り,神経に体表から刺激を加えます。腕では通常正中神経か尺骨神経でそれぞれ運動神経線維と感覚神経線維を調べ、足では後脛骨神経で運動神経線維、腓腹神経で感覚神経線維、腓骨神経で運動と感覚神経線維を調べます。

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 昨日は「腓骨神経麻痺」の疑いのある被害者さんと主治医面談でした。足首が完全に動かないわけではないのですが、背屈(足首を上にそらす)が不能なので「不全麻痺」が正確な表現でしょうか。しかしその可動域の制限だけでは後遺障害の認定は得られません。それを裏付ける検査数値と確定診断が必要です。そこで主治医先生にタイトルの検査依頼となるわけです。

 中には「なんで治療が終わったのに検査するの?必要ないよ」、「保険請求のため?それは医者の仕事じゃないよ(・・めんどうだなぁ)」という対応の医師もいます。ましてや、「むち打ち」ごときでは、通常、医師の協力は得られません。

 医師の言う事もごもっともと思いますが、後遺障害を残した患者にとっては切実な問題なのです。毎度苦労させられますが、昨日の医師は検査の必要性に御理解をいただき、誠実に対応して頂けました。本当にありがたいです。    では針筋電図について・・・   ■ 筋電図とは  筋線維が興奮する際に生じる電気活動を記録することで、末梢神経や筋肉の疾患の有無を調べる検査です。筋電図検査といった場合には,筋肉の活動状態を調べる針筋電図と筋肉・末梢神経の機能や神経筋接合部を検査することができる誘発筋電図の両者を含める場合もあります。   ■ 脊髄損傷に対しては  脊髄にある前角細胞と呼ばれる運動神経以下の運動神経と筋肉の異常を検出するために行われます。これらの部位に疾患がある場合には,その障害がある部位や,疾患の重症度などを評価することもあります。異常を示す筋肉が限局している場合には,その分布により末梢神経が原因か脊髄が原因かなどをある程度推定することができます。   ■ 顔面神経麻痺に対しては  表面筋電図検査は四肢や顔面などに不随意に起こる運動が見られる場合に時として有用です。この検査の利点は、針電極や電気刺激を用いないので、疼痛を伴わないことです。                                     

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 昨日は歯の後遺障害も忘れず請求して!でしたが、今日は逆の発想です。

 受傷後、神経麻痺や動揺関節の後遺障害を負った場合、関節の固定に硬性補装具の使用が必要になります。まず代金をだしてもらい、症状固定後、後遺障害として賠償金をもらいます。ここまでは普通の流れです。しかし、ここからは盲点が潜んでいます。それは硬性補装具が消耗品である、ということです。ですので将来にわたって必要なものであれば、当然買い替え代金を請求します。

 したがって耐用年数が5年、代金69800円 なら・・・

 後遺障害の逸失利益年数 or 平均寿命 ÷ 5 = 将来必要な個数   個数 × 代金69800円 - 中間利息 = 一時金としてもらう

このような計算が成り立ちます。もし40歳で逸失利益が27年の人なら・・・

 27 ÷ 5 = 約6個 × 69800 - 中間利息は「無」とする = 418800 円 

 黙っていてはもらいそびれます。「お足」は抜け目なく請求しましょう。                                     

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 先ほど事務所に戻りました。今日は早朝から病院です。

 被害者は受傷1ヶ月を経過せず相談にきました。受傷以来、奇妙にも足の腫れがずっと続いています。診断は打撲、捻挫、挫傷・・・等々。もし半年経っても足の痛みやしびれ、可動域の制限が残ったらどうなるでしょう?

「打撲、捻挫は治るものです。後遺障害は認められません」  後遺障害は非該当確実です。

 もしこの被害者さんが「半年も治らない?」→詳しく検査したら「靭帯損傷が原因でした!」となった場合・・・半年後になって慌てて検査をしても遅いのです。受傷時からの一貫した診断、治療が行われないと靭帯損傷そのものが疑われてしまうのです。

 先ほどのお医者さんも「今MRI取らないと保険上、問題あるの?」と聞いてきました。それで上記の説明をさせて頂きました。ご納得いただけ、即MRI検査の紹介状を書いて頂きました。  これでひとまず安心です。

 何も後遺障害が残らず、完璧に治れば問題ありません。しかし後遺障害に備えて、受傷から3ヶ月以内にやるべき検査、手を打つべき作業があるのです。

 気が短いようですが、このあと3時から池袋で即MRI検査です。したがってこれからまた事務所を出ます。    やるべきことはさっさと片付けます。被害者さんには治療に専念し、仕事への早期復帰をしてもらいたいからです。これがグループ行政書士の仕事です。のんびり症状固定時期を待っていません。

                 

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 腓骨神経麻痺。すねの外側を走る神経が断裂や損傷を受け、足首や足指の自動運動が不能になる症状です。  浅腓骨神経と深腓骨神経の2本の神経が前頚骨筋、長指伸筋、長母指伸筋、第三腓骨筋、長腓骨筋、短腓骨筋、短指伸筋、を支配しています。

 腓骨や脛骨の骨折の影響で神経が損傷するケースが多く、これらが損傷すると自分の意思で足首・足指を曲げられなくなります。程度の軽重はありますが、以下の後遺障害となります。   ○ 足首 → 1下肢の3大関節中の1下肢の用を廃したもの(著しい障害を残すもの =10級)   ○ 足指 → 1足の第一の足指又は他の4の足指の用を廃したもの =12級   ・・・ この場合、上記二つの認定から、併合7級となるはずでした。    この障害の立証で、被害者は2つの壁を経験しました。  

第1の壁 整形外科の仕事は骨をくっつけること?

   脛骨骨折の手術で有名なある名医の手術を受けました。プレートとねじで折れた脛骨をしっかり固定、10か月後見事に骨をくっつけプレートを摘出しました。腕は評判通りです。レントゲンを見ながら、「どうだね、元通りになったろ」と自画自賛です。しかし患者は「あれ足首が動かないな・・」、踏ん張りが利かなくて杖がないと歩けません。足首はだらんと下がったまま動きません。スリッパも自然に脱げてしまう。

 対する医師は、「あとはリハビリを頑張ることだね」と。満足げにリハビリ科に引き継ぎました。足首が曲がらない事には責任がないようです。

 後に後遺障害の審査となり、保険会社に言われるまま、そのレントゲン写真を提出しました。結果は 「骨の癒合は正常で、変形癒合、偽関節は見られないので・・・云々。しかしながら痛みや運動不能は認められるので局部に頑固な神経症状を残すものとして12級13号・・・えっ、杖なしに歩けなくなったのにそんな軽い障害?となりました。

 確かに脛のレントゲンを見ますと、骨折の癒合は問題ないのですが、MRIでは、周辺の筋組織の損傷がはっきり残っています。さらに外見からも筋委縮がはっきり見て取れます。左右の足の太さが違っているのです。そして、いくらリハビリしても足首も足指も曲がりません。これらの事実は審査されていません。   

第2の壁  治療は終わったのに、今頃になってなんで検査を?

   12級13号では異議申立の必要があります。必要な作業は・・・   1、足首・足指の可動域について再度計測します。骨をきれいにつなげる名医でさえ、計測を間違えています。   2、徒手筋力テストを行い、筋力低下を数値化します。   3、筋委縮を立証するため左右の足の外周を計測します。 ※ 私は写真も添付しました。   4、そして、必須は神経伝導速度検査。 麻痺が確実なら「誘導不能」となります。   5、できれば、針筋電図検査。 神経麻痺立証の決定版です。これができれば、4の必要性は下がります。    主治医にお願いして、検査をやり直しです。しかし、この名医である主治医は「可動域の計測は正しい」と自らの間違いを認めません。さらに「筋電図は必要ない」と紹介状を書いてくれません。「私の治療に問題はなかったのだ!」と依怙地になっています。患者さんはこれ以上逆らうこともできず、すごすごと帰ります。手術でお世話になったのだから当然です。    これら困難な2つの壁を乗り越えるのが私の仕事です。もちろん、医師の技術と尽力には敬意を表します。しかしベストな流れは骨の癒合の時点で上記1~5の検査を実施させ、間違いのない診断書を作成することです。そのために、頑なな主治医を説得するか、場合によっては別の病院へ誘導する必要があります。    ちなみにこの被害者のケースでは異議申し立てを行い、腓骨神経麻痺で9級、股関節可動域制限や膝関節硬縮による短縮障害とも併合しなんとか7級までこぎつけました。悪戦苦闘、9か月もかかったのです。    ありのままの真実を立証する・・・名医のおかげで茨の道でした。   続きを読む »

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