今朝早くから札幌に発ちます。戻りは土曜夜です。すみません、有用な記事出しがかないません。ご猶予下さい。
真駒内の病院に同行です。
症状固定を急かすのは治療費を抑制したい、案件を早く消化したい保険会社の専売特許ではありません。被害者側でフォローする私達も必要があれば、被害者を説得します。理由は色々ですが、いたずらに長い治療期間が好ましい結果を生まない事例をたくさん見てきているからでしょう。
【事案】
信号待ち自動車搭乗中、交差点で後続車の追突を受ける。直後から頚部痛のみならず、両手のしびれ、下肢裏のしびれが続いた。
【問題点】
通勤中の事故であり、労災請求が先行されていた。労災で治療費がでると、相手保険会社は負担する治療費が抑えられるため、治療費打切り攻勢が和らぎます。よって、だらだらと長い治療期間となるケースが多い。治療効果があれば良いが、社会復帰の遅れや体力・気力の低下など、患者にとって必ずしも好ましいものではない。
【立証ポイント】
おかしな話ですが本件は私が症状固定を急かすことになりました。 中途半端な回復による等級認定の危惧もさることながら、事故が長引き、社会復帰が遅れるマイナス面を感じたからです。患者の多くは治したいが故、長い治療を志向します。しかし、外傷性頚部症候群の神経症状は、医学だけに頼っては治らず、長期となれば日常のリハビリが効果的であると、どの医師も口を揃えます。被害者とて甘えてばかりでは失うものが多いと思っています。
前回説明した内容から、事前認定は、加害者側の任意保険会社が、サービスで後遺症(後遺障害)の申請をしてくれるものです。この事前認定が多くなされる理由(視点)として、以下の(1)~(4)が挙げられるとみています。これらはそれぞれ重なり合う箇所があります。 (1)交通事故被害者が手続方法を調べることにまで手が回らないこと。
交通事故に遭われた方は、ご自身の治療で大変な思いをされています。中には治療するために通院していくだけでも体力がすり減っていく者もいます。そのような方ですと治療途中で後遺症(後遺障害)の申請方法を調べる余裕がない場合があります。そのような状況で、保険会社がサービスとして申請しますといえば、頼んでしまうことも無理はありません。 (2)交通事故被害者が交通事故での手続の流れをそもそも知らないこと。
交通事故について調べるのは、実際に交通事故にあってからであることが通常です。そして、交通事故で大怪我をし、治療しながら交通事故の手続き等を調べることは、とても困難です。ご自身の治療で忙しい中、交通事故について調べる余裕がない方の場合、次の(3)で説明致しますが、専門の方から勧められる楽な事前認定を選択することがあります。また、調べる余裕がある幸運な方は、被害者請求と事前認定とを比較できる場合もありますが、後述する(4)であげられるように、手続きが面倒で複雑であることがわかると、やはり手続きが楽な事前認定を選択することがあります。 (3)相談した弁護士や保険会社の人から事前認定を勧められたこと。
治療で忙しいと交通事故の手続きを調べられない方もいます。そのようなときは誰かに相談します。その際に思い浮かべやすい各交通事故の専門の方として、いつも連絡が来る加害者側の任意保険会社や、ご自身が契約している任意保険会社が筆頭としてあげられます。
これらの保険会社がアドバイスする際に、事前認定のみを勧められることが多く、またそれしか説明されないことが多いのが現状です。そうなると、被害者にとってはその情報のみが唯一の答えになりますので、事前認定を選択することが多くなります。
では、何故、事前認定を勧めるのでしょうか。
理由の1つとして、保険会社の担当者が、事前認定の方法しか知らない場合が多いことがあげられます。交通事故で実際に後遺症(後遺障害)が認められるレベルの大怪我をする人の割合は、交通事故全体からすると少ないのが現状です。このことから、保険会社の担当者は後遺症(後遺障害)が認められない人の処理が大多数となります。また、その担当者は年間に交通事故の処理をおよそ100件もしています。そのような多忙な中で、被害者の一部が交通事故の後も症状が残存していると相談してきたとしても、そもそも後遺症(後遺障害)が認められる可能性が低い現状、さらに、審査するところは同じなのでどちらを選択しても結果は変わならい故、担当者は被害者にとって煩雑な被害者請求よりも、簡易な事前認定をアドバイスすることが多くなります。
また、別の回で説明致しますが、事前認定は申請者が任意保険会社であることと関連して、任意保険会社が後に交渉しやすくなる場合があることもあげられます。そして、このような事前認定を普通とする歴史を繰り返してきた保険会社からすると、相手が無保険(任意保険に入っていない)の場合しか被害者請求はしないものだと担当者は思っています。そのような方の場合ですと、事前認定しか紹介されません。 (4)交通事故被害者にとって被害者請求の手続が非常にめんどくさいこと。
交通事故のことについて、親切な任意保険会社の担当者や、詳しい士業者の説明によって、被害者請求と事前認定とを比較して調べることができる方も近年では増えつつあります。しかし、手続きで取得する必要のある書類は多く、また怪我の内容・症状によっては、特殊な書類も必要になることもあります。そして、被害者請求の申請者は被害者自身です。よって、交通事故に遭い、怪我で大変な思いをしており、治療で忙しい被害者はそれらの書類を回収する必要があります。常識的に考えて被害者は嫌がります。しかも、事前認定は保険会社が申請してくれるのでとても楽です。よって、仮に被害者請求と事前認定とを比較できたとしても、事前認定を選択するは無理もありません。
後遺症(後遺障害)の申請については、被害者請求と事前認定と比較して説明していきます。
被害者請求とは、端的に言えば、交通事故の被害者が、ご自身の怪我によって残存した症状(後遺症)が、等級が認められるレベル(後遺障害であること)である旨の主張を被害者自身で自賠責調査事務所に申請することです。
自分の怪我について、一番詳しいのは医者と本人ぐらいなので、その本人(被害者)自身が申請をするのは自然な流れです。これだけ聞くと、何を当たり前のことを言っているのかと思う方が多くいらっしゃると思われます。しかし、この被害者請求は現実的には行われないことの方が多いのです。
この点、後遺症(後遺障害)が残るレベルの怪我をする者の絶対数の割合は、交通事故全体の割合からすると多くありません。よって、後遺症(後遺障害)の申請数自体は少ないといえます。ここでは、交通事故の被害者のうち、後遺症(後遺障害)が残ってしまった者のみを前提にして説明させて頂きます。
※交通事故の発生件数 警視庁の発表によれば、平成24年は66万5,138件、25年は62万9,021件、26年は57万3,842件、と減少傾向にあり、損害保険損率算定機構(平成25年度の事業概況)によれば、交通事故による死亡者、負傷者も年々減少してきています。
後遺症(後遺障害)の申請方法には、被害者請求の他に事前認定という方法があります。事前認定とは、通院するために治療費等を出してくれた加害者側の任意保険会社が、サービスの一環として、自賠責調査事務所に後遺症(後遺障害)の申請をしてくれるものです。後述しますが、後遺症(後遺障害)の申請方法として一番多く選択されるのはこの事前認定です。
以上から、被害者請求と事前認定との違いとして、
申請者が、 前者の場合は被害者、 後者の場合は加害者側の任意保険会社、 であることがわかります。
このことのみでは単に申請者が異なるだけで別に変わらないようにも見えます。しかし、この申請者が誰であるかが、その後の交通事故被害者の行方に大きく影響してしまうことがあります。
次回から、この申請者の違いによる観点を中心に、被害者請求と事前認定について述べていきたいと思います。
本日の病院同行は新幹線に乗って他県まで足を伸ばしました。本件むち打ちの依頼者さまは、当初、弁護士に依頼して進めてきたのですが、等級審査の結果は「非該当」。やり直しの仕事となりました。
詳しく事情を聞くと、その弁護士からMRIについて「所見がないから提出は止めましょう」と留められ、相手保険会社に後遺障害診断書のみを提出するよう指示を受けたそうです。つまり、交通事故の知識がお粗末ゆえ、提出書類不足まま「事前認定」としてしまったのです。おまけに、弁護士は単なるむち打ちながら、主治医に電話でカルテ提出を要請したそうです。
その主治医と面談したのですが、当然ですが、法律家への不信感から苦言をいただきました。
主治医よると・・その弁護士から電話で高圧的にカルテ開示を求められ、理由を尋ねると、「何で出せないんだ!」と逆切れされたそうです。この弁護士って・・調べてみると案の定、悪いことをして懲戒を受けている先生でした。
この弁護士の是非は言うまでもないのですが、問題は根底にある人間性、言い換えると歪んだ職業意識ではないでしょうか。
その日の夜、BSで映画『おくりびと』が放映されました。2度目ですがしっかり鑑賞しました。ご存知と思いますが、本木 雅弘さん演じる主人公は「納棺士」という、この映画によって認知が広まったマイナーな職業です。亡くなった人をきれいにして棺桶に治める仕事です。劇中、主人公の妻である広末 涼子さんはその仕事に偏見を持ち、最初は反対します。しかし、夫の仕事に立会い、その真摯な姿勢をみて・・その職業への意識を改めます。
この映画で特出なことは、納棺士の所作の美しさではないでしょうか。死者を送る作業随所に誠心が感じられ、凛とした緊張感だけではなく、清清しさ、暖かさやユーモアすら感じます。そして、周囲の遺族のすべてに追悼の念が沸き起こります。この映画が宗派を越えて、世界中から評価された理由がよくわかります。そこには誰にでも訪れる死に対し、”人間の尊厳”が宗教を超えて普遍的に謳われているからではないでしょうか。
このように、真に仕事に打ち込む姿は職種に限らず「美しい」ものだと思います。「心は所作に表れる」と言いますが、心を尽くして作業に没頭する姿は人間の一番美しい姿ではないでしょうか。仕事はそのような境地で取り組むことが理想と思います。そこには損得計算、傲慢など、雑念はありません。
そのような仕事人は美しく見えるはずです。しかし、驕慢心があっては決して美しく見えない。また、人の仕事に敬意を払っていなければ美しさを見出すこともできない。「職業に貴賓なし」と言われる通り、他人や他人の職業に敬意を払えない人には何も写らないでしょう。そして、そのような人は自らを醜く描出してしまうと思うのです。これは、医師、弁護士、どのような職業でも同じです。 私の仕事、メディカルコーディネーターも世間的にはマイナーな仕事です。人知れず日々病院に同行しています。医師にご迷惑をおかけすることもあります。なかなか周囲に理解されないかもしれません。
それでも、私の所作は美しく見えているでしょうか?
埼玉県代理店協会のセミナー講師を拝命、無事、務めてまいりました。事務所の総力をあげて準備し、灼熱の大宮に昼過ぎに入りました。37度を記録する猛暑日、空気が重いのなんのって・・。
テーマはむち打ちを中心とした交通事故・後遺障害を取り上げました。県内、各社をリードする錚々たる大型損保代理店さま、およそ70代理店のご参加をいただきました。随所にギャク炸裂、ご質問も活発に頂き、楽しい勉強の時間となりました。普段は弁護士先生を対象とする講義が多い中、やはり代理店さんは昔からの仲間、親和性を感じます。
続きを読む »
被害者に責任のない事務上のミス。これが病院内で生じれば等級は認定されません。たとえ医師の書く診断書や医療回答書であっても、絶対に正確とは言えません。誰かがチェックしなければなりません。間違ったままでも一人歩きします。
T字路で自動車停車中、後続車の追突を受ける。さらに、治療中、自転車で直進中に左側道から飛び出した自動車の衝突を受けた。1回目事故の症状は回復傾向であったが、2回目事故から頚部痛と右上肢に痺れがしぶとく残った。
【問題点】
異時共同不法行為とするか否か?まずはここから検討、回復の経過から2回目事故のみで申請した。医療照会が入ったところ、訴えていた主訴「痺れ」の記載が受傷初期からないことを理由に非該当となった。
【立証ポイント】
そんなはずはない。カルテを回収・確認したところ、折り悪く電子カルテへの移行の際、手書きの所見が電子カルテに移転載されていないことが判明した。医師に「神経学的所見の推移」を記載いただくと共に、新旧カルテを付した異議申立書で事情を説明した。
このような被害者に責のないミスで等級を取りこぼすことがあります。本件は運が悪かったとしか言いようがない。それでも私の油断が招いたこと、しっかりリカバリーしました。
(平成27年5月)
一回目の事故で治療中、再度事故に遭い、同一受傷箇所に更なるダメージが加わって・・・2度の事故が重なって障害が残った場合、自賠では特別ルールとも呼ぶべき「異時共同不法行為」の申請が可能です。
この場合、14級であれば後遺障害保険金の75万円が×2で150万円の支払いが受けられます。もっとも、最終的にもらえる額が倍になるわけではなく、後遺障害はあくまで一連の事故の結果として1つで考えます。それでも先に保険金を多く確保できます。また、自己の責任が大きい事故の場合や後遺障害の賠償金がそれ程伸びない場合など、この2回分支払いは大いに助かることになります。
本件は2つの事故を併せて障害が等級相応にまとまった印象を受けます。
【事案】
信号待ちで自動車搭乗中、後続車の追突を受けて受傷したもの。直後から頚部痛、右上肢のしびれが生じた。治療中、さらに同様の追突事故で悪化、異時共同不法行為である。
【問題点】
神経学的所見がややや甘い。検討の結果、双方の衝撃が加重されたことによる症状と判断、自賠責に「異時共同不法行為」として申請した。
【立証ポイント】
治療中に再度事故に遭う事は意外とよくあります。申請方法も事案ごとに最良の選択を検討します。
早期相談=確実な勝利です。本例のように解決すれば、被害者の苦労は少ないのです。
【事案】
交差点で信号待ち停車中、後続車の追突を受ける。
【問題点】
比較的、受傷初期に相談会に参加された。やるべき事を指示し、症状固定まで順調に進んだ。 マイナス要素は「物損扱い」の事故証明書くらい。
【立証ポイント】
頚部、腰部それぞれMRI検査を実施し、症状固定時は医師面談にて確実な診断書を仕上げる。認定後も連携弁護士の交渉でスピード解決。
未投稿の実績例を総ざらいします。特にむち打ち、腰椎捻挫は交通事故外傷の最多例です。なかなか全件UPできませんが、それぞれ思い出深いものがあります。
さて、保険会社の打ち切りに対し、病院側は患者と板ばさみで毎度苦労するものです。医師・病院によって打ち切りへの対応が別れます。およそ以下、3パターンでしょうか。 ① 患者と保険会社の争いに巻き込まれるのは面倒なので、保険会社から打診あると即座に患者を説得にかかる、または「交通事故(むち打ち)治療は3ヶ月までです!」と最初から決めてしまう、保険会社の顔色重視型
② 「保険会社の打ち切りは横暴だ!」「症状固定は医師が決める」と抵抗、治療を出来るだけ続ける戦闘型
③ それなりの所見を示し、保険会社の打切りをある程度伸ばす、もしくは相応の所見なければ、やんわりと打ち切りを患者に納得させる(健保切替えするなど)、柔軟型 しかし、本例はその例外です。医師の情熱には頭が下がりますが・・・。
【事案】
自動車搭乗中、直進道路で後続車の追突を受ける。直後から頚部痛のみならず、手のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。
【問題点】
むち打ちながら治療に積極的過ぎる?医師はなかなか症状固定としない。おかげで1年8ヶ月の通院となった。その間、相手保険会社の打ち切り打診に決してケンカするわけでもなく、のらりくらりとかわし続ける医師に脱帽、ある意味すごい医師。当然ながら立証側の私達も待つしかなく・・。
【立証ポイント】
このような医師なので神経学的所見については、黙っていても詳細に記載下さった。また、上肢の温度低下を示すサーモグラフィーを添付いただくなど、斬新な試みもあった。もっとも、自賠責の審査では参考程度にしかならず14級9号に留まる。私としては早期に症状固定し、12級を狙いたかった案件でもある。
これは私が25歳の時、上司から言われた評価です。
23歳で安田火災(現・損保ジャパン)に入社以来、気が狂ったように保険を売りまくっていた時代でした。その時の上司は頭が切れるものの、あまり周囲から好かれていなかったようです。その性格ゆえか、私達若手へは容赦ない指導をしていただきました。当時の私は保険営業の常識である、いわゆる”縁故営業”を嫌い、自らの企画で契約を取り続けました(もっとも縁故がなければ、23歳ではお手上げの業界です)。企画と言えばかっこよいですが、要するに、飛び込み営業、電話営業、チラシなど、ひたすらを汗かき、足を使い、体と精神を酷使するやり方です。それでも売上は上位、一人悦にいっていたものです(若いころは格好がすべてのアホでした)。
しかし、このような無茶な方法は長く続くものではありません。若さと人の3倍の体力にものをいわせても、もって3年のやり方です。それを傍目に縁故やコネ、保険を売る市場を確保している人たちは悠々と売上を伸ばしていきます。そもそも平等な条件で競争しているわけではありません。社会における競争は同じスタートラインではないのです。やはり、長いレースでは敵いっこありません。そのようなことはわかっていましたが、仕事のやり方にこだわって気位が高かった、つまり、生意気だったのでしょう。この時期に上司から冒頭の人物評を頂きました。褒められたのか貶されたのか・・当時はどう受け取って良いかわかりませんでした。別の上司から噛み砕いて「バカ正直、ズルさがない」と言われました。
それから20年以上が経過して、まったく進歩していない自分に気付きます。ご依頼を断れず、体力ギリギリの業務が続いています。性格的に手を抜けない。効率よりやり方にこだわる、格好しいのスタイルは健在です。それが、自分一人の事務所で職人気質でやっていくなら良いでしょう。しかし、現在は事務所に補助者が毎年のように増えています。頑固一徹の職人ではなく、スマートな経営者に変わらなければなりません。
経営で大事なことは多くの啓発本で「理念と効率」と言われています。「理念」はともかくとして、「効率」については経営者失格でしょう。いくら技術があろうと、効率的に利益をだしていかなければ事業の発展はありません。俗な言い方ですと、「要領よく稼ぐ」ことが経営上、奨励されます。
職人から経営者へ・・日々、迷いの中、まさに生みの苦しみの中にいるようです。 それでも、利口と言われるよりバカと言われる方がましな気がします。歳を重ね経験を積んだ今、周囲を見るに、利口な人は単なる「ズルい人」となり、結局は評価が下がって憂いき目に陥るようです。対してバカは愚直でも、貫けば「信念の人」に成ります。単なるバカは困りますが、信念を転じて職業者の矜持・経営理念に昇華できれば、もはや尊敬の対象です。
私の、いえ、会社社員の、効率に流れない真っ正直な仕事は、弁護士、医師、保険会社、何より依頼者の皆様に評価されているはずです。そして、そのような評価とそれを成しうる社員が集えば、いずれ「効率」すらも凌駕する力=「信用」を獲得すると思います。その信用を長い年月積み重ねれば、いずれ恒久的な利潤を引き寄せると信じています。
少々、甘いでしょうか? 採用した社員・補助者さん達は、決して優れた能力を持っているわけでありません。採用は人間がまっすぐであることを最大評価としています。技術など私が徹底的に仕込めば大丈夫です。変えようがないのはハートの部分です。誰しも、何年経っても譲れないものがあるはずです。私はそこを見ていきたいのです。
20数年経った今、人物評を言い換えましょう、
バカは困るが、中途半端な利口もいりません
3:人身傷害特約と無保険車傷害特約双方を使う。
前回のまとめですが、 1:では5000万円、 2:でも5000万円を回収できますので、結論としては変化がないと説明させて頂きました。
しかし、皆様はここで一つ疑問が出てくると思います。
過失分は人身傷害特約で回収し残りの分は無保険車傷害特約から回収できないのか?
本件では人身傷害特約で2500万円、残りについては、無保険車傷害特約で回収し、合計5000万円を回収できないかという流れです。この流れでは手続きも早く、交通事故の早期解決が出来そうです。では、実際にそのようなことができるのでしょうか。
結論から申しますと、保険会社は実際の運用段階では、約款上、併用を認めない記載があり、人身傷害特約と無保険車傷害特約のいずれかしか適用を認めないようにしているところが大多数です。
仮に約款やホームページ等でいずれも適用できるようなことが記載されていても、保険会社の担当者はどちらかのみ適用させるか、若しくは人身傷害特約を適用させて運用していこうとします。後者は、保険会社に勤めていた方からのお話では、担当者が無保険車傷害特約を知らないからであると言われています。何故なら、担当者は無保険車傷害特約を使ったことが無く、保険会社も研修や業務で教える機会があまりないことが多いことが理由として挙げられます。
よって、 3:人身傷害特約と無保険車傷害特約双方を使うことは現実的ではないのかもしれません。
しかし、無保険車傷害特約は、死亡もしくは後遺症(後遺障害)が認められないと利用できないという特徴があります。 この点、交通事故の内容によっては、当初は重傷でも、腕のいい医者に巡り合うことができて、外観上完治しているような場合がありますが、目に見えない障害が残存してしまうようなケースもあります。また、治療期間が一定期間あるものの、死亡してしまったケースもあるでしょう。このように、死亡、後遺症(後遺障害)が残存するかどうかがわからない時期に保険会社が人身傷害特約と無保険車傷害特約のどちらを適用すべきかが判断できないことがあります。
そのような場合はどのように保険会社は運用していくのでしょうか。
元保険会社社員の方のお話ですと、この場合には、保険会社は先に人身傷害特約を適用させます。治療費(実額損害)を人身傷害特約で支払った後、後遺症(後遺障害)申請をして等級が認められた場合には、まずそのまま人身傷害特約で保険会社は運用していき、人身傷害特約の支払いで足りない分(慰謝料等)を無保険車傷害特約を適用して支払う運用をするようです。
上記したように、無保険車傷害特約を保険会社の社員は知らないことが多く、後で気がつく場合が多いことからこのような事態が生じることもあるのです。
前回からの比較をまとめますと、相手方加害者が保険に入っている場合には過失分、支払限度額で人身傷害特約、無保険車傷害特約のどちらが得になるのかを判断することになります。
これに対して相手方が無保険車であった場合、弁護士の運用次第ですが、人身傷害特約、無保険車傷害特約のいずれも同額回収できますので、結論としては変化がありません。後者の場合で皆様に必要なのは、弁護士がこれらを知っているか否かを判断する力です。
近時の臨床結果を踏まえ、あえて、テンソルを再評価してみましょう。 拡散テンソル画像とは
近年、脳疾患に対する画像診断技術は著名な進化を遂げており、中でもMRIの拡散強調画像を応用した拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging :DTI)が注目されている。DTIとは生体内水分子の拡散の大きさや異方性を画像化したものであり、従来の撮像法と比較して脳白質の構造変化を鋭敏にとらえることができる画像診断法である。主なパラメータとしてはfractional anisotropy(FA)が用いられており、さまざまな脳白質病変の評価に応用されている。またDTIにはfiber-tractographyという神経線維の走行方向を描出できる技法もあり、臨床や研究で多く利用されるようになってきている。
びまん性軸索損傷に対する拡散テンソル画像の有用性
高次脳機能障害や運動機能障害を有するにもかかわらず、従来の画像診断では異常所見を認めないDAI症例に対し、DTIで評価を行った自験例をいくつか紹介する。
① MRI上明らかな異常を認めないが高次脳機能障害を有するDAI患者11名と、年齢をマッチングした健常者16名との比較、対象者すべてのDTI脳画像を標準化し、DAI群と健常群に分けてFA値の比較を行った。DAI群では、従来のMRIでは異常を認めないにもかかわらず、脳内の非常に多くの部位に散在性にFA値低下部位を認めた。これはDAIによる神経損傷を描出している所見と考えられる。 ② 23歳、男性:19歳時に交通事故で頭部外傷を受傷。記憶障害、注意障害、遂行機能障害等の高次脳機能障害を認めるがMRIで明らかな異常所見を認めない。しかしfiber-tractographyでは同年代の健常者と比較して能梁繊維、脳弓線維の描出不良所見を認める。これはDAIによる神経損傷を描出している所見と考えられ、高次脳機能障害の原因と考えられる。 ③ 37歳、女性:35歳時に階段から転落して頭部外傷を受傷。受傷時は記憶障害、注意障害等の高次脳機能障害を呈したが、リハビリテーションにより改善し、現在は高校の英語教師として復職している。しかし左不全片麻痺を認め、歩行のためには杖と短下肢装具が必要な状態である。MRIでは左片麻痺の原因となるような所見は認められない。しかしfiber-tractographyでは同年代の健常者と比較して錐体路の描出不良所見を認める。これはDAIによる神経損傷を描出している所見と考えられ、左片麻痺の原因と考えられる。
② 23歳の例
続きを読む »
今更ですが、高次脳機能障害認定の3要件は、
1.画像所見 2.意識障害 3.診断名 です。 特に画像所見はCT、MRIで描出されていることが条件です。診断名が脳挫傷、硬膜下血腫、硬膜外血腫、くも膜下血腫、脳内血腫 等、局在性の損傷であれば、受傷部がCT、MRIで明確に描出されるでしょう。
しかし、脳障害が疑われる患者すべてにその損傷が視認できるとは限りません。例えば、びまん性軸索損傷(DAI:deffuse axonal injury)のように、脳の神経線維の断裂は損傷が微細で、MRIでも描出が難しくなることがあります。その場合、多くのDAI患者は意識障害が伴いますので、意識障害にて脳障害を推定することになります。しかし、意識障害がない、もしくは軽度の場合、やはり画像所見を追求する必要があります。
まずは、画像所見のおさらいをします。 【井田医師の意見陳述】 現在の画像診断の主役はCT、MRIであるが、画像診断において重要なことは、適切な時期にきちんとした検査が行われるということである。(中略) 拡散テンソル画像は脳内の神経線維に沿った水分子の拡散の動きを見ることによって神経線維の状態を推定しようとするものであり、病変の位置が特定できている場合には脳機能と病変の関係を見ることについて有益である。ただし、形態学的に異常がない微細な脳損傷の有無を拡散テンソルだけで判断することはできない。
過去記事から ⇒ 23年3月「高次脳機能障害認定システムの充実」から井田医師の意見
季節は巡り、何度目の山梨でしょうか。昨年は記録的な大雪もありましたが、夏は盆地特有の灼熱地帯です。
本日の病院同行は石和温泉です。駅舎が2階建ての近代的な駅に変わっていました。以前は下の写真のように風情があったのですが・・・

補助者を連れて高次脳機能障害の被害者さまの入院先に同行です。来月、症状固定となります。ドクター、ご家族と打合せを済ませ、暑さから逃げるように特急電車に乗り込みました。うれしい事に依頼者さまからお弁当を頂きました。帰りの電車で昼食を頂くことが出来きましたので、東京に戻ってからただちに仕事ができそうです。Iさま、ありがとうございました。 明日は関東の灼熱地、埼玉・大宮です。頑張って乗り切ろう!
毎年、7月は相談会の回数が多くなります。相対的に参加者が多いようです。8月はまったく相談会を実施しないことも影響しますが、夏休み前にしっかり対策しておきたいところです。 さて、昨年からセカンドドオピニオン(既に、契約もしくは相談している法律家・業者があるにも関わらず相談をご希望されるケース)の増加について、何度も言及してきたところです。今年上半期も相変わらず増加の一途です。すっかり珍しいことではなくりました。もう、この流れは普遍的なのでしょう。 多いパターンは以下の通り・・
1、依頼したが、何も動いてくれない。等級がでるまで場当たり的な対応の先生。
2、一度も弁護士に会ったことがないが契約が成立している事務所。
3、異議申立てを希望も「医学的なことはわからない」と居直り、対応しない先生。
4、HPの解説が詳しいので会ってみたけれど、何もわかっていない先生。
5、以上から委任解除を求めると、弁護士費用特約にどう考えても(何もしてくれないにも関わらず)法外な違約金?を請求する事務所。 これらの相談に、毎回、頻繁に出くわします。 2、のように違法性を帯びるケースは問題外ですが、このような対応をしている専門家(?)を責めても仕方ないでしょう。結局のところ、そのような業者を選んだ依頼者(被害者)さんにしっぺ返しが帰ってくるということです。事故の解決に向けて、しょっぱなからしくじっています。お金を出して依頼しているのにも関わらず、何かと書類を書かねばならず、方々に動き回って・・何事も自分でやらなければならず、へとへとになってしまいます。肝心の先生は最後になって賠償交渉をちょこっとやっておしまい。もちろん、交通事故はそんな簡単な業務ではありません。そのようなコンビニ感覚の先生の解決では結果も芳しくないでしょう。早く気付いて依頼先を代えることができればよいのですが、手遅れになることも往々に起きます。
いずれにしても、事務所、先生によって対応に差があることを認識しなければなりません。専門家にもそれぞれ守備範囲があるのです。実は後遺障害の立証や初期対応をまったくしない事務所が普通なのです。もっとも、より問題視すべきは宣伝でそれをうたいながら、実際は出来ない・やらない事務所でしょうか。

やはり、後遺障害認定手続き、保険知識がどの業者にとってもハードルが高いようです。いままで弁護士・行政書士合わせて50名近くと仕事をしてきましたが、数分野を除けば、私より後遺障害や保険に詳しい先生に会った事がありません。決して驕っているわけではありませんが、残念ながら力量を示すものがない以上、経験からそう言わざるを得ません。事故直後から解決まで安心して任せられる弁護士先生はほんの数名しかいないのです。
であれば、弁護士先生も私達のような専門特化した事務所を大いに活用すべきではないかと思います。しかし、近時、特に行政書士の交通事故業務に関しては非弁行為を指摘する声も多く、協業体制の確立には何かと法的問題が立ちふさがります。つまり、苦手や出来ないことを抱え込み、かと言って他士業を締め出すことを続けている交通事故業界によって・・・被害者の(2次的)受難は続くことになります。 被害者さんに賢明な判断を期待します。
そして、現在、依頼もしくは相談中の事務所に疑問があれば、遠慮なくご相談下さい。今後は普通の相談に同じく、セカンドオピニオンをお受けするようにします。
紳士的ルールを重んじ、既契約の先生に対して遠慮、腰が引けていましたが、そのような事を言っていられない状況なのです。
前回の記事で、人身傷害特約と無保険車傷害特約との比較を説明しました。
今回は、以下の事例(相手方加害者が完全な無保険者である場合)から、どのように保険を使ってお金を回収するのかを検討したいと思います。
<事例>
Aさんは自転車で横断歩道を赤信号であるにもかかわらず進み、無保険のBさんが横断歩道上でAさんをはねてしまいました。Aさんは脳挫傷で後遺症(後遺障害)が残りました。Aさんの損害額は、裁判所の基準で合計1億円になりました。しかし、Aさんにも5割の過失が認められました。
しかし、Bさんは保険に入っておらず、貯金もまったくありませんでした。そこで、幸いにもAさんには人身傷害特約(支払限度額は5000万円)と無保険車傷害特約がありました。
では、これらの特約をどのように使った方が良いでしょうか。
使い方としては、以下の3つに分けられると考えております。
1:人身傷害特約を使う。 2:無保険車傷害特約を使う。 3:人身傷害特約と無保険車傷害特約双方を使う。
今回は 1:、 2:についてまとめさせていただきます。
1:人身傷害特約を使う
ここでは以前に説明した人身傷害特約を先に使ってから裁判で解決する流れで検討していきます。 本件事故がAさんの任意保険会社の算定基準ですと総額5000万円であったとします。その額から過失分を差し引いた2500万円が、まず人身傷害特約で出ます。その後、弁護士が裁判で決着をつけても、Bさんは無保険、無一文であるいから、仮に裁判所の基準で総額が1億円であったとして、過失分を差し引いた5000万円を請求できたとしても、金銭の回収は出来ません。 この場合、2500万円を回収して終わりそうです。 ただ、支払限度額が5000万円であり、2500万円については上記5000万円の請求権が認められたことを盾にAさんの任意保険会社に交渉する余地があります。何故なら、以前に説明しました通り、約款で裁判所の算出額を尊重する旨が記載されていることがあるからです。 よって、ここでの金額は5000万円とします。
2:無保険車傷害特約を使う
この場合でも、本件事故がAさんの任意保険会社の算定基準で総額5000万円であったとします。過失分を差し引いた2500万円が、無保険車傷害特約で出ます。そしてBさんは無保険、無一文であり、裁判所の基準で総額1億円、過失分を差し引いた5000万円を請求しても、金銭の回収は出来ません。
但し、懇意にしている弁護士によりますと、全額を回収できる方法もあるとのことです。 手続きの流れは簡単に言いますと、以下の通りです。
① 後遺症(後遺障害)の認定。 ↓ ② 加害者(Bさん)に損害賠償請求訴訟を起こし、確定判決を得る。 この場合、加害者が裁判を欠席したら、判決が公示されて終わります。 ↓ ③ 確定判決書を添えて自身の任意保険会社に保険請求をする。