毎度毎度のことですが、自損事故に対しての支払いは、入通院を除き厳しいものです。入通院の保険金は、1日いくらと保険金が決まっており、病院に行った日をカウントするだけですから簡単です。日数が少なければ、診断書もいらず、請求書の通院日欄に〇をするだけで、迅速に支払われます。

 ところが、後遺障害となると話は別です。審査自体が難しいこともあり、自賠責保険・調査事務所に諮問(何級になりすかねぇと質問)することによって、ある程度の精度をもった回答を期待しますが・・初回は非該当か低い等級で返ってくることが多いのです。その原因は、担当者が後遺障害に慣れていないこと、保険会社の支払いが大きいこと、とくに、相手がいないのですから、相手の自賠責保険に求償はなく、全額が保険会社の出費になることが大きいと思います。

 保険会社とは、常に支払いに対して慎重なのです。どうしても、秋葉事務所の出番が多くなります。問題は、その相談が弊所に届かないことです。多くの方は、保険会社の(初回の)回答で、あきらめてしまうと思います。    そんな事例集 👉 ちょっとアーカイブ ~ 自分の保険への後遺障害請求   簡単にあきめずに・・ご相談をお待ちしております。  

自損事故 12級6号:橈骨遠位端骨折 異議申立(40代男性・大阪府)

【事案】

バイクでツーリング中、路上の陥没にタイヤを取られて転倒、右手首を骨折したもの。手術でスクリュー固定とした。後に抜釘したが、安定の為に一部のスクリューを残した。原因の特定まで及ばないが、手関節の可動域制限が残った。

続きを読む »

 後遺障害14級9号「局部に神経症状を残すもの」の逸失利益ですが、地裁での相場は5年がMAXで、交通事故紛争処理センターでも5年が限度のようです。これは、弁護士が相手保険会社に5年MAXで請求した結果です。それ以前に、相手保険会社はまず2~3年での提示をしてくるものです。被害者自らの相対交渉では、なかなか5年に及びません。そこで、裁判あるいは弁護士を介しての交渉か、紛争処理センターの斡旋に付すわけです。

 もちろん交渉事ですから、相手との交渉で年数が決定されるものです。その交渉において、”5年が相場”を厳格に捉え過ぎている弁護士がみられるので、「逸失利益を〇年まで伸ばせないか」一提案をすることがあります。個別具体的な事情に沿って逸失利益を算定する必要があるからに他なりません。

 個別に症状をみて、それが重い場合ですが、痛みの程度はなかなか数値化できません。「すごく痛いから10年です」との物言いでは通りません。10年は12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」の相場です。そもそも12級は、画像や検査数値の基準を満たさねば認定されません。しかし、複数の14級の場合はいかがでしょうか? 頚椎捻挫で14級、膝の痛みで14級、これらは併合14級となります。複数の等級から合わせ技一本!で繰り上がるのは13級以上の場合で、14級はいくつ認定されても、14級のままなのです。これは自賠責保険のルールです。しかし、首も足も痛い、これでは苦しみが2倍ではないですか!

 繰り返しますが、個別具体的な事情を鑑み、民事上の損害賠償を請求する場合、やはり、個別の事情から年数を主張すべきと思います。弁護士であれば、その交渉ができるはずです。今までも、連携弁護士の粘り強い交渉から、5年を超える逸失利益を取ったことが何度かありました。秋葉事務所としては、綿密な医療調査から14級9号を複数取る為の後遺障害診断書を仕上げます。それはそれは丁寧な作業です。一つの実例を以下、掲載します。少し古い実績ですが。  

14級9号:右足母指剥離骨折(30代男性・千葉県)

  【事案】

バイクで直進中、交差点で対向右折自動車と衝突。転倒し右足の親指を骨折する。   【問題点】

母指の癒合状態は良好であるが、剥離骨折は何かと不具合が残る。幸い可動域に障害は残らなかったが、鈍痛や違和感が残存する。それを訴えた診断書が望まれるが、医師は面談を頑なに拒否する。癒合が良好で、何も自覚症状を訴えなければこの障害は非該当となってしまう。   【立証ポイント】

主治医に手紙を書く。数度の手紙で自覚症状を丁寧に説明する。指が非該当になった場合の保険として、頚椎捻挫の訴えも正確に記載していただく。結果、指と頚椎でダブル14級9号。面談叶わずともマメな手紙でこちらの誠意が医師に伝わったと思う。

ちなみに後の賠償交渉で逸失利益7年を勝ち取る。頚椎捻挫だけであれば、余程のことがない限り逸失利益は5年が限度。これも弁護士と気脈を通じた立証作業での好取組例と思う。   (平成25年1月)  

続きを読む »

 先日の実績投稿で予告の通り、近年、自身契約の人身傷害や傷害保険への後遺障害申請を振り返ってみたいと思います。

 それぞれ、初回申請は厳しい回答が多いようです。任意保険でも後遺障害の審査・認定は、自賠責保険の基準に照らしています。そこで、担当者は、自賠責保険の調査事務所に諮問(つまり、軽く審査をしてもらう)することになります。その結果は、比較的に読めるものです。ただし、軽易なケガでは、共済や通販系の保険会社などは、よくわかっていない担当者がお手盛りで認定するのでは・・との懸念があります。とくに、自損事故での初回申請はそう感じます。逆に加害者が存在し、その自賠責保険から回収の目途が立つ場合の人身傷害は、認定・支払いが優しく感じます。    以下の例は、幸い秋葉にたどり着く事で認定を得た方々です。全国では、保険会社の審査に従ってしまう方が多いと思っています。また、等級認定となっても、逸失利益の交渉が必須です。かなり低い額で提示してきますので…一発で合意しないように、秋葉事務所ご相談下さい。  

 自損事故 14級9号⇒12級13号:肩腱板損傷 異議申立(40代男性・埼玉県)

 

 14級9号⇒12級13号:腰椎捻挫 異議申立(30代男性・東京都)

 

 自損事故 11級7号:腰椎圧迫骨折(20代男性・東京都)

 

 人身傷害 12級6号 :橈骨遠位端骨折(60代女性・神奈川県)

 

 傷害保険 併合9級:両舟状骨骨折(40代男性・東京都)

 

 人身傷害 併合14級:頚椎・腰椎捻挫(50代男性・神奈川県) 

 

続きを読む »

 相手のいない事故、自分で転倒、ぶつかったなど、いわゆる自爆事故の認定について。やはり、初回では「非該当」が目立ちます。おそらく、「そんなもんかな・・」と、受け入れてしまう人が多いのではないかと思います。

 本件の被害者さんは、以前に被害事故でお手伝いさせて頂いた方です。その経験から、非該当はおかしいと、秋葉への再依頼となりました。結果は、毎度のごとく、丁寧に再申請を行って等級をつけました。

 経験上、自賠責保険なら初回で認定されるべき件でした。つまり、自身加入の保険(人身傷害、自損事故、搭乗者傷害)への後遺障害認定の方が、厳しく感じるのです。とくに自損事故の場合、相手がいません。これは、相手の自賠責保険からの回収が0円を意味します。途端に、保険会社の支払いが渋くなる・・とはうがった見方でしょうか。

自分の保険への請求依頼・・増えています。  PS.

続きを読む »

 昨日の主婦休損ですが、もう一ネタ掘り下げましょう。     主婦の休業損害、その議論は深いものです。家族の形が多様化した現在、様々な家族の姿があるからです。内縁関係は、昔から損保も家族とみなしてくれます(※)ので、普通の夫婦・家族と同じ扱いです。主婦性の立証に関して、色々と検討を要するケースとして、同性カップルやルームシェアする他人同士があります。これらは、家計を担う就労者と、内助の功となる家事従事者の関係性を説明する必要があります。   ※ 損保は内縁関係の認定に対し、およそ郵便物だけで判断可能です。同じ家に、それぞれ内縁夫婦の郵便物が届いており、その宛先住所が同じならば、同居の証明としてくれるのです。    今までで、もっとも難しい議論となったのは、無職の高齢者や障害者を介護する無職の同居人です(この家族は社会保障で生活しています)。この場合の家事労働ですが、就業者への内助の功にあたりませんので、休業損害は認められないことになります。介護に支障がありながら、主婦性が否定されて0円はあまりに酷です。これらは、個別具体的な事情として、相手損保や委任した弁護士が検討を重ねることになります。ちなみに、このケースでは、主婦性の議論を捨てて、通院日に代替のヘルパーを雇用、その費用を損害額としました。    さて、主婦性の議論において、勉強不足となる損保担当者は、窮すると「何でもかんでも6100円」と決めこみます。これは、自賠責保険から回収する際、労働能力(労働意思も)を有する者として1日6100円が最低額となり、その額までならば容易に回収が可能だからです。まるで思考停止状態の損保ですが、被害者側も、その提案に乗ることが上策のケースもあります。ここで、担当者を勉強不足とまで糾弾できないでしょう。      一方、被害者の味方である弁護士さんも、主婦休損の立証から、一流~三流で以下のような差になります。   三流:これは、ずいぶん前の交通事故相談会に参加された被害者さんです。すでに弁護士に依頼済ですから、セカンドオピニオンになります。見せてもらった賠償請求書ですが、弁護士のポンコツぶりに落胆したものです。なんと、内縁関係の同居者である奥さんですが、ケガで休んだスーパーマーケットのパートの賃金を休業損害として、杓子定規に請求しています。週3日勤務で1日5時間・時給1100円です。つまり、1日あたり5500円。クソ真面目に職場へ休業損害証明書と源泉徴収票を取り付けて、相手損保に提出済ではないですか!

 このシリーズを読んで下さった方にお分かりと思いますが、「私は内縁ですが主婦です」と言って、主婦休損の1日1万数百円で請求すべきです。ケガでスーパーを休んだ日は、たったの5日です(合計27500円の請求)。一方、主婦となれば、通院実日数は60日ですから、少なくとも最初の30日は認められるとして、10700円×30日=321000円です。ところが、この弁護士先生、端から「内縁関係なので主婦は無理です。職場に証明書を書いてもらって下さい」との指示でした。この知識不足から、依頼者さんは30万円近く損するところだったです。慌ててその弁護士に陳情、請求額を訂正してもらいました。  対して、相手損保担当者さん、27500円なら喜んで支払うでしょう。しかし、最終的に自賠責の回収額を下回る支払いはご法度です(任意保険会社の不当利得になります)。慰謝料がそれほど延びず、支払いに余裕がある場合、弁護士先生に対し、「先生、休業は最低6100円みれますので、6100円×5日で計算しますね」と、おまけみたいに増額してくれます(相手損保に増額してもらってどうするの!)。こんな気の抜けたサイダーみたいなやり取りをたまに見かけるのです。     二流:損害賠償論に習熟した弁護士です。内縁関係であろうと、「実質、二人は家族です。旦那は勤務しており、パートとはいえ被害者の主業は主婦です。」ときっぱり、1日約10700円×実通院日数で請求します。相手担当者も難しいことは言わず、認める傾向です。

 ただし、認定日数は交渉となるでしょう。打撲・捻挫程度のケガであれば、ケガの回復が進む中、「60日まったく家事ができませんでした」は、さすがに通らないと思います。ケガ・症状によっては、30日以降は1/2、60日以降は1/4と、逓減した算定とする場合もあります。

 もう一つ、最近の損保担当者の反撃を紹介します。「主婦の休業は認めます。ただし、パートの休業損害証明書も提出して下さい。パートに出ているのに家事だけはできません、それはないでしょう」。そりゃそうです。パートに復帰以降、主婦休損の請求は説得力を欠きます。このように、損保担当者だって成長しているのです。        一流:上級者は、さらに主婦性の立証について、ノウハウを重ねています。例えば、郵便物届先や住民票の住所が別で、内縁関係を疑われたカップルであっても、町内会の会長さんに「あぁ、あの二人は同居しているよ」との証明書を発行してもらい、立証します。また、冒頭の主夫や同性カップルの場合、一方の勤務実態を職場に証明してもらい、奥さん(旦那さん・・同性カップルの場合はどっちでしょうか?)の主婦性を丁寧に立証します。この辺のノウハウは、交通事故を相当件数重ねたプロの仕事になります。秋葉事務所でも、幾度となく、お手伝いをしてきました。

 保険会社は、これらの事情を理解する為の「家族構成表」の提出を求めてくる場合もあります。立証する側の弁護士は、より踏み込んだ家族の関係性を説明、交渉にあたっています。   続きを読む »

 調子に乗って、もう1例挙げましょう。    主婦の休業損害です。これは、自賠責保険では1日あたり6100円と決まっています。任意保険もおおむね同額を提示してきます。弁護士が請求する金額は、赤い本の賃金センサスから計算します。こちらは1日あたり1万円を超えています。

 では、損害賠償上の主婦の定義ですが、単に家事従事者というだけに留まりません。東京地裁・民事27部(私どもは交通事故部などと言っています)が定義するところ、”内助の功”として、就業している家族の助けとなっていることを要求しています。ハウスハズバンド(奥さんが働いて、旦那が家事)は当てはまります。親子間でも、息子と二人暮らしで、”独身の息子が働き、母が家事”もOKです。息子夫婦が常勤で共働きの場合の同居の母も、主婦を認めさせました。兄弟姉妹や他人同士の同居でも、就労者と家事従事者の関係があり、内助の功がみられれば同様です。  「内助の功がない」とされるケースは、独居者(自分の為の家事でしかない)、それと、主婦休損の相談数トップとなる、シングルマザーです。

 シングルマザーは、働き手としての父、家事を担う母(それぞれ逆もしかり)の両者の役割を一手に担っておりますが、子供他の家族にとっては、働き手扱いとなります。したがって、お母さんの休業損害は、その勤務による収入から計算することになります。主婦としての6100円~では計算しません。シングルマザーはお父さんの役割・・ほとんど判決で一致をみせています。しかながら、シングルマザーでは、実収入より主婦休損の額が上回るケースが度々あります。まして、会社員は休んだ日だけの請求に対し、主婦は通院日(全日ではありませんが)からカウントするので、日数も多く算定できます。したがって、できれば、主婦として請求したいのです。    さて、当然に損保でも裁判所の定義を踏襲しており、シングルマザーに主婦休損の適用はありません。しかし、ここにも勉強不足の担当者がいます。シングルマザーに対し、その代理人弁護士が請求するところの1日あたり約10700円を、通院日数分の30日支払ってきました。大手損保の担当者では見たことがありませんが、小規模損保や共済、とりわけ地方の担当者で度々経験しています。要するに、勉強不足から裁判例や東京地裁の定義を知らないようです。いずれ、保険会社のすべてに浸透する原則論と思いますが、情報不足、勉強不足の担当者は間違いなく残っているのです。    一方、被害者の味方である弁護士さんも、レベルの差は歴然です。一流~三流で、以下のような差になります。   三流:シングルマザーで主婦休損を請求後、相手損保の担当者から、「先生、ご存じと思いますが、シングルマザーはお父さん扱いなので、その労働収入から休業損害を計算します」とピシャリ。依頼人に対して、当初は大盛の賠償額(一日10700円×通院日50日)から、「休業損害はお勤め先の1日6500円×会社を休んだ日の5日だけになりました」と大幅減額に・・最初の勢いはどこへ、段々小声になっていきます。    二流:最初から原則通り「シングルマザーでは主婦の休業損害になりません」と、まったく請求してくれない先生がおりました。交通事故の知識は豊富で裁判例にも詳しいのですが・・法律やルールに従順過ぎるのです。依頼者にも初めから「裁判でも無理とされています」とピシャリ。相手担当者の提示を待つことはしません。確かに正しい知識からの賠償請求なので、スムーズに交渉は進みます。

 それでも、一言残したいと思います。本来、民事上の示談とは、(公序良俗に反しない限り)双方の合意があれば、どんな金額・条件でも問題ありません。それが法律や原則に沿わないものであっても、です。相手あっての交渉事ですから、まず相手側の考えも探る必要はあったと思います。ご丁寧に原則通りの請求・・杓子定規に感じてしまうところです。 続きを読む »

 小説のタイトルにもなりそうな題目ですが、交通事故の解決で大変に含蓄のある賠償交渉の話です。もちろん、行政書士は賠償交渉をしませんので、連携弁護士の報告を交え、シリーズでまとめました。    例えば、鎖骨の変形で12級5号が認定された案件で、その逸失利益を請求する場合、相手損保は「鎖骨の変形から、とくに将来の収入が減りませんので、逸失利益は0円ではないですか」との回答になります。確かに、被害者さんのその後の仕事や日常生活で、大きな障害にならないことが普通です。裁判例でも、とくに事情が無ければ、逸失利益0円がスタンダードなのです。  

 逸失利益・・・障害による以後の労働能力低下を金銭化したもの

   そこは、交通事故に秀でた弁護士は慣れたもので、「痛みや不具合の残存があり、自賠責保険の認定理由でも、それら症状を含むとされています。したがって、逸失利益は〇年に及びます」と反論、いくばくかを獲得するわけです。

 しかし、小規模損保社の担当者は、知ってか知らずか、最初から逸失利益を認めて、「12級だから逸失利益は10年ですね」と、相対交渉でくれたことがありました。骨変形で逸失利益が生じない原則を知らなかったのか、12級ならすべて10年、と勘違いしているのか・・12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」なら、確かに10年が相場です。

 東京海上日動さんであれば、鎖骨のみならず腰椎圧迫骨折でも、その逸失利益は0円回答です。医学的な資料や、骨変形による逸失利益を否定した裁判例まで用意して、否定の論陣を張ってきます。損保担当者のレベルの違いを感じるところです。    被害者の味方である弁護士さんも、レベルの差は歴然です。一流~三流で、以下のような差になります。   三流:12級が取れてよかった! 逸失利益を原則通り67歳まで計算して請求も、相手担当者の反撃にあい・・・今度は依頼者に対して、「骨変形での逸失利益は裁判でも認められないので・・慰謝料は増額させますが・・ゴニョゴニョ」とトーンダウン、依頼者に減額の説得をすることになります。

 これも弁護士選びの失敗例ですが、最初から原則通り逸失利益は取れない事が正しいと、まったく請求してくれない先生がおりました。交通事故の知識は豊富で裁判例にも詳しいのですが・・法律やルールに従順過ぎるのです。依頼者にも初めから「骨変形での逸失利益は無理です」とピシャリ。相手担当者の提示を待つことはしません。本来、民事上の示談とは、(公序良俗に反しない限り)双方の合意があれば、どんな金額・条件でも問題ありません。それが法律や原則に沿わないものであっても、です。杓子定規を絵に描いたような先生でした。    二流:骨変形での逸失利益獲得の困難さを知っているので、後遺障害診断書の自覚症状に、「痛みや不具合」を記載させ、自賠責保険にもそれを含めた認定であることを認定票に明記させます。変形だけではない、障害の困窮点をしっかり把握し、「神経症状も含んでいる」と、逸失利益の根拠を示して請求します。   一流:さらに上級者は、相手損保がどこであれ、後遺障害診断書の自覚症状に「痛みや不具合」が記載とされている以上、勝手な判断で忖度せずに、最初から逸失利益を請求します。前述のように、普通に支払ってくる担当者もいるのです。まさに、原則を知りながら、憎いまでに臨機応変な請求をするのです。  事実、鎖骨骨折後に痛み等が残り、苦しんでいる被害者さんもいらっしゃいます。秋葉事務所の連携弁護士達も、お互い事例研究や情報交換に余念なく、”原則を知りながら原則に固執しない”請求をしています。   

続きを読む »

 最初に言いますが、保険会社は悪意をもって払い渋りをしたわけではないと思います。後遺障害についての知識が無いがゆえに、保険請求を抑制しようとしたのだと思います。

 自動車保険に付保されている、自身のケガの為の保険は、1に人身傷害保険、2に搭乗者傷害保険、3に自爆事故に限定した自損事故保険です。1と2は、保険請求しても、翌年の無事故割引に影響がありません。3の自損事故だけ、割引等級が下がります。したがって、少額の保険金ならば請求しない、といった判断になります。ところが、本件は「少額ではない!」と、秋葉は画像を観て判断しました。その顛末は以下の通りです。 あらゆる保険請求、ご相談下さい

自損事故11級7号:腰椎圧迫骨折(20代男性・東京都)

【事案】

バイクで走行中、カーブでスリップ・転倒したもの。レントゲンで腰椎に圧迫骨折があり、コルセット固定とした。

  【問題点】

続きを読む »

 自らの過失が大きく、相手保険会社からの賠償金が少ない場合、自ら契約している人身傷害保険が頼りになります。本件も、当方に80%以上の過失がある故、相手への賠償請求は、弁護士費用特約を使って相手の自賠責保険へ後遺障害審査と、できるだけ治療費の自己負担分を回収するだけで終わりました。

 その後、人身傷害保険の提示があまりにも低く、その請求が一番の山場となったのですが・・追加書類を提出して交渉を続け、最後には平均賃金で算定・支払ってくれたので、ご英断下さった担当者様には感謝です。

 被害者さんにとっての教訓は、人身傷害の保険金請求と言えど、何もせず座していてはダメです。確実に後遺障害を立証し、丁寧に証明書・領収書を集めなければなりません。とりわけ本件のような重傷の場合は、約款を精読して精密な申立て書を作成・提出することが必要です。多くの場合、逸失利益の計算上、大きな差が生じます。それで数十、数百万円(本件は数千万円も増額!)も保険金が変わるのです。

保険約款に精通した秋葉ならではの仕事と言えます  

5級2号:高次脳機能障害(20代男性・東京都)

【事案】

自転車で交差点を横断、自動車と出合い頭衝突・・自転車側が完全な赤信号。直ちに救急搬送さ、診断名はクモ膜下出血、硬膜下血種、眼窩底骨折、鎖骨骨折など。高次脳機能障害が予想された。   【問題点】

・80%以上の過失が被害者に課せられる事故で、相手損保の一括対応は望めない。まず、健保利用とその手続きに追われた。

・脳外傷起因のせん妄(脳の興奮により、性格が衝動的、攻撃的になる)から、入院先の病院で様々な迷惑行為が生じ、早々に精神科への転院が促された。ご家族としては精神科を避けたいご意向もあり、転院先の選定が急務となった。

・なんとか紹介をつてにリハビリ科への転院を果たした。そこでは、せん妄も落ち着き、1カ月ほど療養を経て退院となった。その後、整形外科、歯科での治療が進み、神経心理学検査を実施後、医師に診断書類の記載をお願いしたが・・その主治医がなかなか記載せず、催促を続けて8カ月後にようやく記載となった。   【立証ポイント】

高次脳機能障害の立証においては、いつもの作業を丁寧に進めるだけであった。問題は、主治医への(診断書記載の)催促で、最終手段として、その院の理事長と副理事長に直訴の手紙を出すに至った。

続きを読む »

 弊所は、加害者の加入する自賠責保険に関する手続きが主要業務になります。しかし、事故とは常に相手がいるものでもなく、相手がいてもほんとんど自身の責任となる事故もあります。すると、頼りになる保険は、健保や労災はもちろん、自らの契約保険である自動車保険(人身傷害保険、自損事故保険)、その他傷害保険や共済でしょうか。それらに対する請求でお困りの方も少なくありません。これは今に始まったことではないのですが、微増傾向にあると思います。

 単なる入院・通院の日数から計算される保険であれば、それが間違っていなければ、増額交渉や手続きの必要はありません。やはりと言うか、お困りや相談の多くは後遺障害となります。何級が認定されるのか?に尽きるわけです。「保険会社に請求書と診断書を提出したところ、〇級との提示されました。これで良いのでしょうか?」とのことです。診断書の記載に問題があること、必要な検査が未実施であること、画像の評価が問題なしとされたこと・・・理由は様々です。それだけ、後遺障害の認定はシビアで、医師や保険会社に任せたままでは、思わぬ低等級、非該当を食らうこともあるのです。

 必要な検査を追加し、診断書に訂正・追記を依頼し、書面で詳しく事情を説明して再申請する・・被害者さんには中々にハードルが高いものです。そのお助けをする事務所は、地味ながら必要な存在と思います。秋葉事務所は保険金請求のプロを自負しています。今月も後遺障害案件で、自損事故の再請求について相談を受けています。    後遺障害に関する査定が低い・・保険会社の単なる払い渋りとは違うようです。専門的な審査が必要なので、自賠責保険へ諮問頂くと、認定精度は安定すると思います。  

続きを読む »

重要な事です!

 通勤中や業務中に交通事故にあった場合、相手方への請求に加え、労災への給付申請が可能なことはみなさんご存じかと思いますが、本来であれば双方から満額(逸失利益や休業損害など重複するものは控除されます)もらえるはずが、この知識が欠落したために労災の給付が満額もらえない!?といった可能性がございます。

 今回は被害者の方が行使するものというより、これを知っている弁護士に任せないと損しますよ?という内容です。

 例えば、通勤中にAさんは後続車に追突され、頚椎捻挫を負ったとしましょう。半年通院したが、症状が残存したため、自賠責保険に後遺障害申請をした結果、非該当という結果となり、弁護士さんに賠償交渉を依頼、示談になったとします。そのあと労災にも障害給付申請をしたところ、14級が認定されたとします。この場合、通常であれば、障害(補償)給付が56日分、障害特別支給金が8万円、障害特別一時金が56日分(ボーナスがある方のみ)をもらえますが、「ある一定の文言」が示談書になければ、障害(補償)給付がもらえなくなります。    なぜかというと、労災は示談を行う場合に下記説明をしているのです。    示談を行う場合について~東京労働局HPより抜粋~

 なお、労災保険の受給権者である被災者等と第三者との間で被災者の有する全ての損害賠償についての示談(いわゆる全部示談)が、真正に(錯誤や脅迫などではなく両当事者の真意によること。)成立し、受給権者が示談額以外の損害賠償の請求権を放棄した場合、政府は、原則として示談成立後の労災保険の給付を行わないこととなっています。      解決方法としては、示談の際に「労災の給付については除く」や「今後も労災保険による補償を受ける」という文言を明記する必要があります。もちろん示談前に労災を取り切ってしまっても問題ありませんが、自賠責保険での等級>労災での等級となった場合には、賠償交渉で弁護士が不利になりますのでその点も注意が必要です。

 何にせよ、適切な方法を知っている専門家を探していただくことが第一です。  

続きを読む »

 秋葉事務所では、あらゆる保険の申請業務を経験しています。その分野の専門性を自負するところです。自損事故保険の請求もいくつか経験していますが、その異議申立は初のケースでした。    自損事故保険について復習 👉 最後の砦 自損事故保険    人身傷害保険の普及で、あまり活躍の場がない自損事故保険ですが、たくさんの車両を持つ企業の団体保険や、個人のバイク保険では人身傷害まで入っていない契約も多く、相手のいない自爆事故の場合、見逃さず請求しなければなりません。

 自損事故保険はよく知られていない保険の一つと思います。さらに、無保険車傷害保険と並び、保険会社がすっきり支払ってくれない保険の代表に思えます。秋葉事務所にたどり着けず、低等級に甘んじている被害者さんは多いと思います。   自賠責保険と違って、任意保険の等級認定は信頼性に乏しく感じます。自社認定ですから、お手盛り感があるように思います。自賠責保険に諮問(何級になるか、質問する)して頂くよう、仕向けることが多くなります。  

自損事故保険 14級9号⇒12級13号:肩腱板損傷 異議申立(40代男性・埼玉県)

【事案】

バイクで山道を走行中、ぬかるみで転倒したもの。その際、右手を突いて肩を痛めた。その痛みの異常から、総合病院で精査したところ、肩腱板損傷と診断された。

【問題点】

半年の治療を経て、バイクに付保されている自損事故保険に請求したところ、14級9号の回答となった。より細かい診断名は棘上筋断裂であり、14級は保険会社のお手盛り判断に感じた為、秋葉への相談となった。

【立証ポイント】

早速MRIを拝見したところ、棘上筋に新鮮な断裂を示す高信号がみられ、恐らく自賠責保険だったらこれを認めるだろうと思った。その決め手となる画像をピックアップし、的確な申立書を作成、再申請に臨んだ。

自賠責保険・調査事務所に諮問を掛けたようで、大変に待たされたが、想定通り12級13号に変更された。これにて保険金は100万円以上の増額となった。  

続きを読む »

 相手損保が治療費を病院に直接払ってくれる、これを業界では「一括対応」と呼んでいます。高額な治療費を立て替えずに済む点で、被害者にとって大変に助かります。

 しかし、相手のお金で治療するのですから、治療内容を相手にすべてさらけ出す必要があります。その為、相手損保の担当者は「同意書を提出して下さい」となります。これは、お金を払う側の正当な権利です。ただし、同意書を得た相手損保は、病院に何かと質問や、書類を依頼することが可能となります。とくに治療が長びく場合、書面や面談等で、主治医に経過や症状を聞きます。およそ、治療経緯が良好であれば、治療費打ち切りの言質を取られることにつながります。油断できない点はここです。

 「加害者者側の医療調査」=治療費を払う側が治療の内容を調べてること自体、なんら問題はありませんが、いつも医師の回答が完璧に合っているかは疑問です。治療行為によって、改善が進んでいることを積極的に回答することが容易に想像できます。医師は、治療に全力を注ぎ、後遺症のことを軽視する傾向にあると思っています。だからこそ、症状をシビアに診断書に落とし込むため、秋葉事務所による「被害者側の医療調査」の存在意義があると思っています。    先日も、症状固定に向けて着々と進めていたところ、相手損保から医療調査の書類が届き、すでに医師が提出していることがわかりました。まったく悪意はないのですが、必要な記録が漏れておりました。秋葉側で再度、同じ書類を記載頂き、後遺障害申請の際に自賠責保険に提出しようと思います。もちろん、弁護士を通じて、そのコピーを相手損保に提出し、先の書類を更新させることも抜かりありません。    一括対応は大変に助かる制度ですが、このように、着々と相手損保のぺーすで進められ、不正確な情報が独り歩きすることもあるのです。厳しい見方をすれば、「他人任せ」は自らの立証責任を放棄しているとも言えるのです。  

続きを読む »

 全損となった物損請求で毎度、苦戦することは、相手損保の低い査定額です。一応、根拠はレッドブックの査定額ですが、自動車はそのグレードや装備などで大分値段が変わるものです。そのような事情を主張しない限り、損保はいつだって、最低額を示してきます。

 これを腕利きの弁護士が交渉しても、大幅な増額は難しいものです。弁護士は法的な根拠を基に主張しなければなりません。一方、保険畑出身の秋葉は、法律や理屈で戦いません。本件のように、被害車両に車両保険が付いていれば、車両保険に請求するまでです。恐らく、相手損保の提示する全損額より、車両保険の保険金額(アマウントと言います)が高めに設定・契約されているので、車両保険への請求が有利なるケースが多いのです。これを業界では「車両先行」と言います。

 さらに、本件は、同じ保険会社同士です。同じ保険会社なのに、対物の査定額と車両保険の査定額が大きく食い違う・・・「おかしいでしょ(怒)」と。結果、対物担当者は、車両保険と同額を認めてきました。恐らく、同じ保険会社ですから、双方の担当同士で妥結したのだと思います。車両保険だけではなく、人身傷害でも、自身の保険を先行させる策が功を奏す場合があります。面倒な交渉や弁護士頼みも要りません。交通事故の世界では、保険の駆使だけで片付く事が少なからず存在するのです。

まさに、弁護士要らず! だけど、認定後は弁護士の活躍に期待です  

非該当⇒併合14級:頚椎・腰椎捻挫(30代女性・静岡県)

【事案】

右折待ち停車中、後方から追突を受けた。直後から、頚部、腰部とも神経性の痛みが生じ、治療が長引く事に。   【問題点】

初期からの相談であったので、物損交渉から始まった。被害者・加害者共に同じ損保であったので、相手損保が提示するであろう低い査定額をけん制する為、車両保険の先行請求をほのめかしたところ、値切られることなくスムーズに対物の交渉は済んだ。

続きを読む »

 毎度、言い続けている事ではありますが、最近も頻出している問題です。

 弁護士が事故後、比較的早期に受任するも、症状固定まで、ただ「待っている」状態を指します。被害者さんは、事故後、自らの治療・回復努力はもちろん、健保や労災手続きや、物損交渉、その他手続きの洪水に晒されます。それが、重傷であったり、高齢者であったり、独居者であったりすれば、もう本当に大変なのです。

 もちろん、契約した弁護士さんにそれぞれフォローを期待したいのですが、実は、ほとんどできない、やらない先生ばかりなのです。「労災手続きは専門ではないので労基に聞いて下さい」、「物損交渉は契約に入っていませんので、ご自身でやって下さい」、「後遺障害手続きは、相手保険会社に任せれば十分です」、・・・最後の賠償交渉まで、一切の事務をしません。これで、本当に交通事故の専門家なのか疑問ですが、確かに契約書にうたわれた事務しかやらない事を責めることはできません。それでも、ほとんどの依頼者さんは、「人間的に冷たい」と感じるでしょう。

 だからこそ、秋葉事務所のような、交通事故の前段階、言わば”弁護士先生の交渉前の地ならし”をする存在が求められていると思います。問題は、その求めが「潜在的」であることでしょうか。生れてはじめて交通事故被害に遭い、四苦八苦する中、見栄えの良いHPにつられて弁護士先生に依頼したものの・・・秋葉事務所に電話・メール相談が入る数は決して少なくないのです。契約した弁護士先生が、全て助けてくれないことに気付いたようです。

 最近も、そのような先生に契約後、(契約上、「物損交渉はない」とやらで)物損は自分で交渉の結果、不利な過失割合で示談となりました。有利な割合なら横目で介入しない選択もありますが、その不利な過失割合を既成事実とされますから、その後の人損交渉で困ることになるはずです。また、相手損保に医療照会をやらせ放題(不利な記録を先取りされてしまった)、保険請求手続きも「契約外なので」と放置状態です。このように、事故の前半戦で失点だらけなのです。何事も先手必勝です。準備不足は最初の勝負所である後遺障害認定はじめ、最終的な過失交渉・賠償交渉にもろに影響します。つまり、数百万円の損失にもつながる、二次被害とも言うべき事態に陥るのです。

 明らかに(弁護士の)選択ミスです。このような先生に、最後まで交渉を任せるのか・・先が思いやられます。結局は着手金を捨てて解任、諸々やり直しの作業からお手伝いを始めました。早く手を打つべきことばかり、リカバリーに奔走しなければなりません。

 秋葉事務所のやっている仕事が、顕在化 → 普遍化 → スタンダード化、つまり、皆がやってくれればよいのですが・・現実は、弁護士・行政書士はじめ、場当たり的なアドバイスはしますが、実働が伴いません。「自らできない被害者さんであっても」・・手伝ってあげない、「適時相談したくても」・・ほとんど連絡がつかない、契約外の事は・・”意地でも”何もしない、およそ、被害者さんの不安を解消できない自称専門家ばかりです。もう、被害者さんの自力に期待するしかありません。毎度のことで愚痴っぽくなってすみません。    行きがけの駄賃ではないですが、契約外と言っても少しはフォローして下さいよ。もしくは、契約内に入れて下さいよ。依頼者さんは、交通事故の一切合切のフォローを期待しているのが普通なのですよ。  

続きを読む »

 障害を追った人は100%の人間ではない、よって、パフォーマンス低下分○%を差し引いて、その人の生産性とします。    実に人権を無視した考え方に聞こえます。    しかし、前日の自賠責保険のルールを基に逸失利益を逆算した通り、損害賠償の公平の為に障害分を将来収入から差し引いて計算すること自体、理にかなった仕組みです。事実、判決後、多くの法学者さんの見解や、連携弁護士先生の意見を聞くと、これは正当な理屈であり、むしろ、裁判所は被害者寄りに踏み込んだ判決をしたとの評価が多いようです。    そうであっても、本件被害者さんは生れてからご家族と共に、それこそ聴覚のハンデキャップを克服する努力を続けてきました。家族の思いは、「この子は普通の子と変わらない」 のです。    一方、賠償上の評価として、仮に障害やハンデがあっても、それを克服する「特別の努力」という概念があります。本人・家族の努力によって、あるいは職場の理解から、障害のマイナスを埋めた結果、他の同僚と同じ賃金、同じ地位の被害者さんも存在します。弊所の連携弁護士も、この「特別の努力」を立証することで、既往症など減額を防ぐ論陣を張っています。

 また、もちろん少数ですが、障害を持っていたとして、他の才能や努力から、健常者以上に稼いでいる被害者さんも存在します。当然、その収入実績を主張することになります。判例上、実態収入を基とした、高額判例も目にします。つまり、個別具体的な立証が必要であると言えます。    さて、子供さんの場合です。未就労者ですから、収入実績を示すことができません。ある程度、進学した場合は高校の成績から大卒の賃金センサスが採用されることがあります。また、何かスポーツや芸術分野で特別な才能を発揮した場合も考慮されるでしょう。しかし、しかし、、小学校の場合です。学業成績にしても、まだ実績が十分とは言えません。将来、大学進学する事や一部上場企業に就職することなど、まだわからないのです。    本件はまさに、将来どうなるかわからない子供を評価しなければならなかったのです。    障害を持った子供の将来を予想するに、普通の子の収入平均で良いのか? 大変、難しい議論なのです。逸失利益算定の難しさを集約する言葉があります。    それは 蓋然性 です。   👉 蓋然性とは?    本件の判示は、「年齢に応じた学力を身につけて将来さまざまな就労可能性があった」と、特別の努力、聴覚障害者でも健常者同様に活躍できる社会の進歩、技術の進歩を踏まえています。それでも、「将来どうなるかわからない」ことを完全に無視はできませんでした。「労働能力が制限されうる程度の障害があったこと自体は否定できない」とのことです。

 現状の法律である限り、蓋然性を検討して、どうなるかわからない将来を「推測する」しかないのです。その推測ですが、損害賠償は何処まで行っても公平な判断でなければならないのです。進歩的に考えて、将来のある子供さんの予想について、「蓋然性はバラ色にすべき」との人権的な意見が存在します。また、法律はそのままに、逸失利益は削っても、その分、慰謝料を増額させて、実質100%に近づける案も目にしました。まさに、人智を絞った、より被害者救済のアイデアが望まれます。    結論になりますが、秋葉の仕事としては1、弁護士の仕事は2です。     1、蓋然性を高める記録・証拠を集めて、弁護士に託す     2、弁護士は法解釈・テクニックを使って、実質の損害額を高める交渉に尽力する     本件は、控訴されるのかどうか、まだわかりません。秋葉への取材は3月4日、関西・読売テレビ「報道番組ten」で放送とのことです(関東では観れません。後日、ネット放送はあるようです)。今後も事件を見守っていきたいと思います。      

続きを読む »

 あくまで、自賠責保険基準からの検討になりますが、自賠責保険の基準=考え方は裁判にも踏襲され、裁判官の判断材料になることが多いものです。

 事件の経緯について、逸失利益計算から自賠責流に逆算していきます。   【1】まず、聴覚障害についておさらいします。    👉 耳の後遺障害 ⑤ 難聴 Ⅰ    本件被害者さんの聴覚障害の程度は不明ですが、

 4級3号:両耳の聴力をまったく失ったもの 

 6級4号:両耳の聴力が耳に接しなれば大声を解することができない程度になったもの    いずれかですが、本件の場合、逸失利益の額から6級4号が推測されます。   【2】次に、逸失利益についておさらいします。

 本件、最大の争点は、亡くなった女の子の将来の損害=逸失利益(うべかりし利益)です。逸失利益とは、「もし、障害がなければ、将来これだけの収入があったでしょう」を予想・計算するものです。    その計算式は以下の通りです。   事故前年の年収 × 喪失率 × ライプニッツ係数(喪失年数-中間利息)=逸失利益    詳しくは 👉 自動車保険の値上がりの言い訳・前編~まず、逸失利益を復習    6級の労働能力喪失率は67%です。      逸失利益の計算は、後遺障害と死亡の保険金算定に生じます。    Ⅰ. 

続きを読む »

 よく会社・法人様から相談される問題です。    従業員が現場への移動中の交通事故で、相手にケガをさせてしまった。この場合、会社が責任を問われないか?    このご質問・ご不安に関して、まず、顧問弁護士に見解を求めたそうです。法的には従業員が不法行為で第3者に損害を与えた場合、使用者である会社にも責任を問われることになります。法律の専門家である顧問弁護士は、法的根拠を検討し、過去の判例なども紐解いて、会社への訴えを回避する策を練ることになります。

 会社に責任を問うとなると・・従業員の指導・管理に問題があって起きた事故か否かが問われます。その交通事故が、単に従業員のハンドルミスではあれば、会社には責任がないように思います。しかし、被害者側に弁護士が立てば、加害者である従業員に対しては「会社の無理な超過勤務で疲労していた」、「会社がしっかり安全講習をしていなかった」などの理由から、会社へ難癖をつけて会社の責任にしようとします。それは、本音を言いますと、個人よりも支払い能力のある会社へ賠償金を請求する方が、回収の目途が立つからです。実際に裁判では、使用者責任が成立するかなどお構いなしに、加害者と会社を一緒に訴えることがマストなのです。    まるで、「飼い犬が噛んだら、その責任は飼い主や」 のようです。それだけ、会社の立場は弱く、使用者責任は容易に用いられる概念なのです。    もっとも、交通事故ですから、自動車に自賠責保険、任意保険がついていれば、従業員と会社共に、その責任を肩代わりして支払ってくれます。使用者責任などを真剣に問う、あるいは回避しようと思案する必要はなくなります。

 交通事故に係わらず、事故の多くは法律より保険で解決している現実があります。私どもは、もめ事や事故に対して、「加害者に賠償保険の加入があるか」に注目します。事故の多くはたいてい保険が解決するものと思っています。    他の例として、   (例1)小学生(10歳)のA君が公園で遊んでいて、他の小学生B君を押し倒して腕を骨折させました。Bくんの親御さん、「Aくんの親に治療費を払わせる!」とすったもんだの始まり・・。   ⇒ 確かにA君の親御さんの親権者責任が問われます。が、そんなことより、Aくんの家族に個人賠償責任保険があるのか、まずこれに注目、保険加入を調査します。個人賠償責任保険相手に、治療費や慰謝料など、賠償請求を突きつければ良いのです。

  (例2)A社の社員さんが市場でフォークリフトで作業中、他社Bの社員の足をひいてしまい、足の甲を骨折させた。「B社の労災の支払いでなんとか収めたい」   ⇒ フォ―クリフトに自賠責保険、任意保険の加入はわりとあるものです。構内事故であっても自賠法上、交通事故は成立するのです。A社B社、共に悩んでいないで、さっさと労災事故を交通事故に転換すれば良いのです。もちろん、治療費と休業補償はまず労災に請求、その不足分は慰謝料と一緒に自動車保険に請求します。A社の使用者責任を問う事より、円満に話は進むはずです。    

続きを読む »

 

 人身傷害の約款に、過失分を引かれた賠償金と、過失を引かれない人身傷害の保険金、「どちらか多い方に請求を」と書かれているのでしょうか?    結論から言いますと、そのような記述はありません。どちらかを選択するのはあくまで被害者(請求者)です。担当者は「どちらかに」と、アドバイスをしているに過ぎません。もしかしたら、保険会社内部では約款に書かれてはいない、イレギュラーに対応する”運用基準”としているのかもしれませんが・・。    それでは、約款の支払い基準を復習しましましょう。人身傷害の支払いは、過去いくつかの裁判でも争われた、難しい 解釈論になっていました。約款タイプは大きく分けて以下、3メガ損保の3種に大別しています。ところが、他の会社も含め、担当者やセンター長の解釈が定まっておらず、案件ごとにちょっとした会議をして悩んでいる節があります。共済などは、そもそも(何が問題か)理解が及んでいない様子もうかがわれます。担当者の解釈・運用がバラバラな会社もあります。人身傷害の支払いとは、かな~り難しい問題なのです。    また、それを承知の上で、交渉や裁判で裁判基準の満額を獲得できる弁護士がわずかに存在するも、人身傷害の請求には消極的と言うか、端から介入しない弁護士さんが多いようです。これが、(弁護士に依頼したのに)被害者を困らせている現実です。

以下は復習となります。    現在、この問題に直面している被害者さん、頑張って以下を熟読、対策を講じて下さい。     平成24年2月の最高裁判決後、各社、約款を改定しました。人身傷害保険に自身の過失分を請求する場合は「相手と裁判で決着ならその賠償金(裁判基準)で計算」がスタンダードになっています。ただし、各社の約款・運用は異なります。   (1)東京海上日動さんは「先に人身傷害を請求した場合のみ、相手との裁判基準を認める」と、判例に合わせていますが、「先に賠償金を受けとった後に、人身傷害保険を請求すると」、まず「自社基準で支払います」と回答します。突き詰めると、「先の判例は求償の場合ですので、単に人身傷害への請求では人身傷害基準です」とのことです。

 詳しくは 👉 人身傷害の約款改悪シリーズ 人身傷害保険の支払限度は結局、人傷基準 ③   (2)損保ジャパンさんは潔く、「裁判なら、人身傷害の請求の前後に関わらず裁判基準で」としていますが、その約款には制限が仕掛けてあります。相手と裁判した場合、人身傷害の支払い額は裁判基準で計算するとしていますが、その限度額は人身傷害基準の総額なのです。30:70程度の事故なら間に合いそうですが、自身の過失が大きいケース、例えば、自分の方が悪い事故で70:30ともなれば、限度額までで終りそうです。確かに自分が悪い事故で、人身傷害に助けてもらう立場としては理解できますが、もう少し被害者に優しい内容にできないでしょうか。

 詳しくは 👉 続きを読む »

お問い合せはお気軽に!

事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

代表者略歴を見る!

部位別解説 保険の百科事典 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

今月の業務日誌

2025年8月
« 7月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

月別アーカイブ