交通事故の交渉場面の多くは、保険会社VS被害者の構図です。被害者が弁護士を雇って、交渉にあたることがありますが、逆に保険会社が弁護士を雇って、(いえ、契約上は加害者が雇うことになりますが、たいてい保険会社から紹介された弁護士です)交渉にあたることがあります。    この保険会社から紹介された弁護士は、保険会社の顧問弁護士、あるいは正式名称ではありませんが、協力弁護士と呼ばれています。保険会社は賠償金を支払うにあたり、保険会社の基準内で、できれば低額に収めたい立場です。協力弁護士はそれを擁護する事がミッションになります。加害者側が代理人となる協力弁護士を立てる場面は、被害者の交渉態度に問題があるケースや、被害者側の希望する賠償金に折り合いがつかない場合でしょうか。

 この協力弁護士は保険会社の擁護者ですが、逆に被害者側の代理人になれば保険会社と戦うことにもなり得ます。 長年、議論になっていることは・・これって双方代理?、ダブルスタンダード? 節操がない? などの意見です。硬派な弁護士は、立場上、旗色を鮮明にするため、どちらかに専念しているようです。一方、代理人ですから、依頼者がどちらであっても、受任すればその立場で、誠実に業務遂行することになる・・これに、何ら問題はないとも言えます。弁護士は法律上の代理権を持った「依頼者の代理人」ですので。同一の事故で、双方から依頼を受けること(双方代理)はできませんが、別の事件であれば違法になりません。あくまで一方からの依頼に専念するかどうか、これは弁護士事務所の方針に過ぎないことで、どちらの考えが正しいかを問うているわけではありません。    さて、被害者さんが弁護士を選ぶ場合、どちらの弁護士を選びたいと思いますか? やはり、弁護士の立場が心配です。この先生は、平素から仕事をもらっている保険会社に対して、「ガチで戦ってくれるのか?」です。保険会社は民間企業・営利企業です。弁護士事務所も同じです。つまり、被害者の相手が協力先の保険会社となれば、取引先に弓引く構図になってしまいます。もちろん、顧問や協力先の保険会社なら、その被害者の依頼は引き受けないことになるはずです。逆に、取引のない保険会社が相手なら、引受OKとなりますでしょうか。ただし、将来、この保険会社からの顧問契約や、仕事の依頼に繋がらないことにはなると思います。保険会社からの顧問料や依頼は、弁護士事務所の経営上、安定収入になります。言わば有力な顧問契約先になります。これらの判断も、弁護士事務所の経営方針次第となります。

 かつて、ある弁護士に、この問題について見解を聞いたことがありました。協力関係にある保険会社であっても、被害者から依頼を受ければ正々堂々戦うそうです。なんでも、その保険会社の担当者から「先生、敵対する被害者からの依頼でも忖度せずビシビシ来て下さい。弊社は弁護士の立場を尊重しています」と言われたそうです。一見、フェアなやり取りに聞こえます。この弁護士先生はそれを受けて安心、双方の依頼を受けることに胸を張っています。しかし、長年、保険会社勤務&代理店経営をした秋葉は、この保険会社担当者のセリフが、「(熱湯風呂を前に)押すなよ、いいか、押すなよ」と聞こえてしまいます。これは、ひねくれた勘ぐりではなく、民間企業には”(元請・御店には逆らわない)=商売の仁義”が根底にあると思うからです。    

 

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 後遺障害14級9号「局部に神経症状を残すもの」の逸失利益ですが、地裁での相場は5年がMAXで、交通事故紛争処理センターでも5年が限度のようです。これは、弁護士が相手保険会社に5年MAXで請求した結果です。それ以前に、相手保険会社はまず2~3年での提示をしてくるものです。被害者自らの相対交渉では、なかなか5年に及びません。そこで、裁判あるいは弁護士を介しての交渉か、紛争処理センターの斡旋に付すわけです。

 もちろん交渉事ですから、相手との交渉で年数が決定されるものです。その交渉において、”5年が相場”を厳格に捉え過ぎている弁護士がみられるので、「逸失利益を〇年まで伸ばせないか」一提案をすることがあります。個別具体的な事情に沿って逸失利益を算定する必要があるからに他なりません。

 個別に症状をみて、それが重い場合ですが、痛みの程度はなかなか数値化できません。「すごく痛いから10年です」との物言いでは通りません。10年は12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」の相場です。そもそも12級は、画像や検査数値の基準を満たさねば認定されません。しかし、複数の14級の場合はいかがでしょうか? 頚椎捻挫で14級、膝の痛みで14級、これらは併合14級となります。複数の等級から合わせ技一本!で繰り上がるのは13級以上の場合で、14級はいくつ認定されても、14級のままなのです。これは自賠責保険のルールです。しかし、首も足も痛い、これでは苦しみが2倍ではないですか!

 繰り返しますが、個別具体的な事情を鑑み、民事上の損害賠償を請求する場合、やはり、個別の事情から年数を主張すべきと思います。弁護士であれば、その交渉ができるはずです。今までも、連携弁護士の粘り強い交渉から、5年を超える逸失利益を取ったことが何度かありました。秋葉事務所としては、綿密な医療調査から14級9号を複数取る為の後遺障害診断書を仕上げます。それはそれは丁寧な作業です。一つの実例を以下、掲載します。少し古い実績ですが。  

14級9号:右足母指剥離骨折(30代男性・千葉県)

  【事案】

バイクで直進中、交差点で対向右折自動車と衝突。転倒し右足の親指を骨折する。   【問題点】

母指の癒合状態は良好であるが、剥離骨折は何かと不具合が残る。幸い可動域に障害は残らなかったが、鈍痛や違和感が残存する。それを訴えた診断書が望まれるが、医師は面談を頑なに拒否する。癒合が良好で、何も自覚症状を訴えなければこの障害は非該当となってしまう。   【立証ポイント】

主治医に手紙を書く。数度の手紙で自覚症状を丁寧に説明する。指が非該当になった場合の保険として、頚椎捻挫の訴えも正確に記載していただく。結果、指と頚椎でダブル14級9号。面談叶わずともマメな手紙でこちらの誠意が医師に伝わったと思う。

ちなみに後の賠償交渉で逸失利益7年を勝ち取る。頚椎捻挫だけであれば、余程のことがない限り逸失利益は5年が限度。これも弁護士と気脈を通じた立証作業での好取組例と思う。   (平成25年1月)  

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 長年、交通事故に携わって、とうに30年を超えています。当然に、過失割合でもめにもめた事故をたくさんみてきました。多くは、一方あるいは双方の妥協で解決します。もちろん、根拠は『判例タイムス』の割合を、そのまま採用か、わずかに修正を加えたものでした。双方の気持ちは分かりますが、争い自体の労力と時間の無駄を感じてしまいます。

 その争いの中で、甲乙が入れ替わる(つまり、加害者と被害者が逆になる)ことはめったにありません。ここでは、重大な事実誤認や、一方の嘘から事故状況が変わってしまったケースは除きます。判例タイムスの原則や解釈にそぐわず、裁判官が個別具体的に過失割合に決着をつける場合のことです。裁判官独自の判断、実は相当に珍しいことなのです。それが、昨日のセミナーで目にしました。    まだ結審していませんので、詳しいことは書けません。この事故は、判例タイムスによると、当方80:相手20の事故形態でした。しかし、その担当弁護士は、ドライブレコーダーを解析し、現場検証から緻密に事故状況を明らかにしました。当方が悪くない事情を積み重ねて主張しましたところ、まだ和解提示ではありますが、担当判事は20:80と逆転の結論をしたのです。

 これは、大変に珍しいことなのです。多くの事故は、保険会社の担当者が判例タイムスを手に、その基準を相場として片が付くものです。裁判で争うにしても、それは死亡・重度障害など、大きな賠償金が絡む重大事件に限定されます。だからこそ、判例タイムスに載るような事例とならず、少額事故での弁護士の快挙は目立つものではないようです。    本件の依頼者さんは、この逆転劇に対して、「0:100にならないの・・」と未練が残るそうで、やや、やるせない気持ちではあります。しかし、本件の弁護士を誰よりも秋葉事務所は賞賛します。将来、AIの判断になるかもしれない過失割合です。それでも、人間のやることがまだまだあるようです。      

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 昨日の主婦休損ですが、もう一ネタ掘り下げましょう。     主婦の休業損害、その議論は深いものです。家族の形が多様化した現在、様々な家族の姿があるからです。内縁関係は、昔から損保も家族とみなしてくれます(※)ので、普通の夫婦・家族と同じ扱いです。主婦性の立証に関して、色々と検討を要するケースとして、同性カップルやルームシェアする他人同士があります。これらは、家計を担う就労者と、内助の功となる家事従事者の関係性を説明する必要があります。   ※ 損保は内縁関係の認定に対し、およそ郵便物だけで判断可能です。同じ家に、それぞれ内縁夫婦の郵便物が届いており、その宛先住所が同じならば、同居の証明としてくれるのです。    今までで、もっとも難しい議論となったのは、無職の高齢者や障害者を介護する無職の同居人です(この家族は社会保障で生活しています)。この場合の家事労働ですが、就業者への内助の功にあたりませんので、休業損害は認められないことになります。介護に支障がありながら、主婦性が否定されて0円はあまりに酷です。これらは、個別具体的な事情として、相手損保や委任した弁護士が検討を重ねることになります。ちなみに、このケースでは、主婦性の議論を捨てて、通院日に代替のヘルパーを雇用、その費用を損害額としました。    さて、主婦性の議論において、勉強不足となる損保担当者は、窮すると「何でもかんでも6100円」と決めこみます。これは、自賠責保険から回収する際、労働能力(労働意思も)を有する者として1日6100円が最低額となり、その額までならば容易に回収が可能だからです。まるで思考停止状態の損保ですが、被害者側も、その提案に乗ることが上策のケースもあります。ここで、担当者を勉強不足とまで糾弾できないでしょう。      一方、被害者の味方である弁護士さんも、主婦休損の立証から、一流~三流で以下のような差になります。   三流:これは、ずいぶん前の交通事故相談会に参加された被害者さんです。すでに弁護士に依頼済ですから、セカンドオピニオンになります。見せてもらった賠償請求書ですが、弁護士のポンコツぶりに落胆したものです。なんと、内縁関係の同居者である奥さんですが、ケガで休んだスーパーマーケットのパートの賃金を休業損害として、杓子定規に請求しています。週3日勤務で1日5時間・時給1100円です。つまり、1日あたり5500円。クソ真面目に職場へ休業損害証明書と源泉徴収票を取り付けて、相手損保に提出済ではないですか!

 このシリーズを読んで下さった方にお分かりと思いますが、「私は内縁ですが主婦です」と言って、主婦休損の1日1万数百円で請求すべきです。ケガでスーパーを休んだ日は、たったの5日です(合計27500円の請求)。一方、主婦となれば、通院実日数は60日ですから、少なくとも最初の30日は認められるとして、10700円×30日=321000円です。ところが、この弁護士先生、端から「内縁関係なので主婦は無理です。職場に証明書を書いてもらって下さい」との指示でした。この知識不足から、依頼者さんは30万円近く損するところだったです。慌ててその弁護士に陳情、請求額を訂正してもらいました。  対して、相手損保担当者さん、27500円なら喜んで支払うでしょう。しかし、最終的に自賠責の回収額を下回る支払いはご法度です(任意保険会社の不当利得になります)。慰謝料がそれほど延びず、支払いに余裕がある場合、弁護士先生に対し、「先生、休業は最低6100円みれますので、6100円×5日で計算しますね」と、おまけみたいに増額してくれます(相手損保に増額してもらってどうするの!)。こんな気の抜けたサイダーみたいなやり取りをたまに見かけるのです。     二流:損害賠償論に習熟した弁護士です。内縁関係であろうと、「実質、二人は家族です。旦那は勤務しており、パートとはいえ被害者の主業は主婦です。」ときっぱり、1日約10700円×実通院日数で請求します。相手担当者も難しいことは言わず、認める傾向です。

 ただし、認定日数は交渉となるでしょう。打撲・捻挫程度のケガであれば、ケガの回復が進む中、「60日まったく家事ができませんでした」は、さすがに通らないと思います。ケガ・症状によっては、30日以降は1/2、60日以降は1/4と、逓減した算定とする場合もあります。

 もう一つ、最近の損保担当者の反撃を紹介します。「主婦の休業は認めます。ただし、パートの休業損害証明書も提出して下さい。パートに出ているのに家事だけはできません、それはないでしょう」。そりゃそうです。パートに復帰以降、主婦休損の請求は説得力を欠きます。このように、損保担当者だって成長しているのです。        一流:上級者は、さらに主婦性の立証について、ノウハウを重ねています。例えば、郵便物届先や住民票の住所が別で、内縁関係を疑われたカップルであっても、町内会の会長さんに「あぁ、あの二人は同居しているよ」との証明書を発行してもらい、立証します。また、冒頭の主夫や同性カップルの場合、一方の勤務実態を職場に証明してもらい、奥さん(旦那さん・・同性カップルの場合はどっちでしょうか?)の主婦性を丁寧に立証します。この辺のノウハウは、交通事故を相当件数重ねたプロの仕事になります。秋葉事務所でも、幾度となく、お手伝いをしてきました。

 保険会社は、これらの事情を理解する為の「家族構成表」の提出を求めてくる場合もあります。立証する側の弁護士は、より踏み込んだ家族の関係性を説明、交渉にあたっています。   続きを読む »

 調子に乗って、もう1例挙げましょう。    主婦の休業損害です。これは、自賠責保険では1日あたり6100円と決まっています。任意保険もおおむね同額を提示してきます。弁護士が請求する金額は、赤い本の賃金センサスから計算します。こちらは1日あたり1万円を超えています。

 では、損害賠償上の主婦の定義ですが、単に家事従事者というだけに留まりません。東京地裁・民事27部(私どもは交通事故部などと言っています)が定義するところ、”内助の功”として、就業している家族の助けとなっていることを要求しています。ハウスハズバンド(奥さんが働いて、旦那が家事)は当てはまります。親子間でも、息子と二人暮らしで、”独身の息子が働き、母が家事”もOKです。息子夫婦が常勤で共働きの場合の同居の母も、主婦を認めさせました。兄弟姉妹や他人同士の同居でも、就労者と家事従事者の関係があり、内助の功がみられれば同様です。  「内助の功がない」とされるケースは、独居者(自分の為の家事でしかない)、それと、主婦休損の相談数トップとなる、シングルマザーです。

 シングルマザーは、働き手としての父、家事を担う母(それぞれ逆もしかり)の両者の役割を一手に担っておりますが、子供他の家族にとっては、働き手扱いとなります。したがって、お母さんの休業損害は、その勤務による収入から計算することになります。主婦としての6100円~では計算しません。シングルマザーはお父さんの役割・・ほとんど判決で一致をみせています。しかながら、シングルマザーでは、実収入より主婦休損の額が上回るケースが度々あります。まして、会社員は休んだ日だけの請求に対し、主婦は通院日(全日ではありませんが)からカウントするので、日数も多く算定できます。したがって、できれば、主婦として請求したいのです。    さて、当然に損保でも裁判所の定義を踏襲しており、シングルマザーに主婦休損の適用はありません。しかし、ここにも勉強不足の担当者がいます。シングルマザーに対し、その代理人弁護士が請求するところの1日あたり約10700円を、通院日数分の30日支払ってきました。大手損保の担当者では見たことがありませんが、小規模損保や共済、とりわけ地方の担当者で度々経験しています。要するに、勉強不足から裁判例や東京地裁の定義を知らないようです。いずれ、保険会社のすべてに浸透する原則論と思いますが、情報不足、勉強不足の担当者は間違いなく残っているのです。    一方、被害者の味方である弁護士さんも、レベルの差は歴然です。一流~三流で、以下のような差になります。   三流:シングルマザーで主婦休損を請求後、相手損保の担当者から、「先生、ご存じと思いますが、シングルマザーはお父さん扱いなので、その労働収入から休業損害を計算します」とピシャリ。依頼人に対して、当初は大盛の賠償額(一日10700円×通院日50日)から、「休業損害はお勤め先の1日6500円×会社を休んだ日の5日だけになりました」と大幅減額に・・最初の勢いはどこへ、段々小声になっていきます。    二流:最初から原則通り「シングルマザーでは主婦の休業損害になりません」と、まったく請求してくれない先生がおりました。交通事故の知識は豊富で裁判例にも詳しいのですが・・法律やルールに従順過ぎるのです。依頼者にも初めから「裁判でも無理とされています」とピシャリ。相手担当者の提示を待つことはしません。確かに正しい知識からの賠償請求なので、スムーズに交渉は進みます。

 それでも、一言残したいと思います。本来、民事上の示談とは、(公序良俗に反しない限り)双方の合意があれば、どんな金額・条件でも問題ありません。それが法律や原則に沿わないものであっても、です。相手あっての交渉事ですから、まず相手側の考えも探る必要はあったと思います。ご丁寧に原則通りの請求・・杓子定規に感じてしまうところです。 続きを読む »

 小説のタイトルにもなりそうな題目ですが、交通事故の解決で大変に含蓄のある賠償交渉の話です。もちろん、行政書士は賠償交渉をしませんので、連携弁護士の報告を交え、シリーズでまとめました。    例えば、鎖骨の変形で12級5号が認定された案件で、その逸失利益を請求する場合、相手損保は「鎖骨の変形から、とくに将来の収入が減りませんので、逸失利益は0円ではないですか」との回答になります。確かに、被害者さんのその後の仕事や日常生活で、大きな障害にならないことが普通です。裁判例でも、とくに事情が無ければ、逸失利益0円がスタンダードなのです。  

 逸失利益・・・障害による以後の労働能力低下を金銭化したもの

   そこは、交通事故に秀でた弁護士は慣れたもので、「痛みや不具合の残存があり、自賠責保険の認定理由でも、それら症状を含むとされています。したがって、逸失利益は〇年に及びます」と反論、いくばくかを獲得するわけです。

 しかし、小規模損保社の担当者は、知ってか知らずか、最初から逸失利益を認めて、「12級だから逸失利益は10年ですね」と、相対交渉でくれたことがありました。骨変形で逸失利益が生じない原則を知らなかったのか、12級ならすべて10年、と勘違いしているのか・・12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」なら、確かに10年が相場です。

 東京海上日動さんであれば、鎖骨のみならず腰椎圧迫骨折でも、その逸失利益は0円回答です。医学的な資料や、骨変形による逸失利益を否定した裁判例まで用意して、否定の論陣を張ってきます。損保担当者のレベルの違いを感じるところです。    被害者の味方である弁護士さんも、レベルの差は歴然です。一流~三流で、以下のような差になります。   三流:12級が取れてよかった! 逸失利益を原則通り67歳まで計算して請求も、相手担当者の反撃にあい・・・今度は依頼者に対して、「骨変形での逸失利益は裁判でも認められないので・・慰謝料は増額させますが・・ゴニョゴニョ」とトーンダウン、依頼者に減額の説得をすることになります。

 これも弁護士選びの失敗例ですが、最初から原則通り逸失利益は取れない事が正しいと、まったく請求してくれない先生がおりました。交通事故の知識は豊富で裁判例にも詳しいのですが・・法律やルールに従順過ぎるのです。依頼者にも初めから「骨変形での逸失利益は無理です」とピシャリ。相手担当者の提示を待つことはしません。本来、民事上の示談とは、(公序良俗に反しない限り)双方の合意があれば、どんな金額・条件でも問題ありません。それが法律や原則に沿わないものであっても、です。杓子定規を絵に描いたような先生でした。    二流:骨変形での逸失利益獲得の困難さを知っているので、後遺障害診断書の自覚症状に、「痛みや不具合」を記載させ、自賠責保険にもそれを含めた認定であることを認定票に明記させます。変形だけではない、障害の困窮点をしっかり把握し、「神経症状も含んでいる」と、逸失利益の根拠を示して請求します。   一流:さらに上級者は、相手損保がどこであれ、後遺障害診断書の自覚症状に「痛みや不具合」が記載とされている以上、勝手な判断で忖度せずに、最初から逸失利益を請求します。前述のように、普通に支払ってくる担当者もいるのです。まさに、原則を知りながら、憎いまでに臨機応変な請求をするのです。  事実、鎖骨骨折後に痛み等が残り、苦しんでいる被害者さんもいらっしゃいます。秋葉事務所の連携弁護士達も、お互い事例研究や情報交換に余念なく、”原則を知りながら原則に固執しない”請求をしています。   

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 長年、弁護士先生と仕事をしてきましたが、言葉使いから態度まで、弁護士は非常に気を遣っていると感じます。

 例えば、理不尽な要求する相談者さんや、わからず屋の依頼者さんであっても、腹を立てることなく、言葉に気を付けて丁寧に受け答えしています。私なら、すぐブチ切れますが、弁護士さんは我慢しているようです。何か、不適切な言葉や態度をした場合、弁護士会にそれがたれこまれると、懲戒などの処分を受けます。自律的に倫理機能を持つ団体と言えます。

 弁護士は代理権というその強大な権利から、総じて責任が重く、行動すべてを律する必要があるようです。法律に関する説明はとりわけ責任が生じます。例えば、あってはならないことですが、行政書士が依頼者さんに間違った説明をした場合、それが依頼者に重大な損害とならない限り、処分にまで至りません。損害賠償も発生しないことが大多数です。謝って修正すれば済むことが普通です。しかし、弁護士は間違った事を言ってはいけない「専門家」とされています。法律問題は、後から「間違ってました。すみません」では済まない事が多く、経済的損害に直結するからです。

 したがって、法律問題の回答に対して慎重にならざるを得ないのです。調べて裏付けを確認するまで、うかつに回答できません。じれったいことではありますが、言葉に対する責任の重さから致し方ないと思います。また、賠償金の見込みなどを質問されても、不確定な数字の明言は避ける傾向です。私などは、ズバズバ金額を言ってしまうので、それは気を付けるべきと思っています。    ご質問に対して、ズバリと明言、スピード感を持って回答を心がける秋葉事務所ですが・・それは、弁護士と比べて、行政書士の権利と責任に格段の違いがあるからなのかもしれません。  

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 先月のセミナーからのテーマです。地方で活躍している保険代理店さん向けの内容です。題目は「弁護士の選び方」です。60人を超える弁護士と仕事をしてきた経験から語りました。

 Zoomなど、通信手段が発達した現在、依頼者様との距離感はぐっと縮まった感があります。地元の先生を第一に考えることも捨てがたいと思いますが、弁護士を探す範囲を広げてはいかがでしょうかとの提案をしました。以下、レジュメから抜粋します。

 日弁連設立当初の弁護士人口は5,800人、その後増加し、2024年9月1日現在で45,694人となっています。2001年の司法制度改革の影響から、この20年で2倍以上に急増しています。その内、東京都の弁護士は22,655人ですから、日本の弁護士のおよそ半分が東京にいることになります。

 この統計から、専門性の高い弁護士は、東京に多く存在し、HPも豊富ですから選びやすいと言えます。もちろん、地域の法律事務所の存在こそ地元を支える、無くてはならないものです。ただし、地元先生は、ある分野に専門特化するより、幅広く地域の依頼・事件に当たる必要があります。何でも屋にならざるを得ない環境と言えます。一方、東京の弁護士は飽和気味、特徴のない何でも屋は埋もれてしまう傾向です。東京の弁護士は1~2つの分野に造詣深く、専門特化した事務所が切磋琢磨の状態なのです。

 秋葉事務所でも、この数年、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬のような通勤圏はもちろん、山梨、静岡、長野、福島を超えて、全国から普通にご相談・ご依頼があります。弁護士を探している被害者さんも、相談内容によっては選択を広げる必要があります。例えば、地元の先生に頼みづらい相続や家族問題、その代表的な案件は離婚です。これも、奥様からの希望の多くは「女性弁護士」です。理由はよくわかります。地場産業や地元企業と戦う場合も、地元の弁護士より、完全なよそ者の方がやりやすいことが多いのです。もちろん、交通事故においても、弁護士の力量に差が出る案件が少なくありません。    求められる代理店の理想像は、事故や悩み事の中継センターです。各種の専門家のネットワークが、直ちに顧客様の利益につながるはずです。多くの専門家を確保することが代理店様の実力であり、持続的なテーマと思います。  

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 誤解を恐れずに言いますと、多くの交通事故でそう感じます。

 連携弁護士と過失相殺、過失割合の交渉について、事前に打合せしますと、たいていは、「判例タイムスの割合通り」、「これ以上の修正要素はない」、「紛争センターや裁判で争っても、結果は同じになる」・・このような結論になってしまうのです。

 弁護士は法律や判例に則って、論理的に交渉します。したがって、裁判上でも幅を利かせている「判例タイムス」の相場に拘束されてしまう傾向なのです。法律や理屈を超えた主張は出来ないのです。したがって、「相手と過失割合で対立しているので、弁護士を入れて何とかしてほしい」との相談があっても、多くは保険会社同士で詰めた過失割合を激変させることは難しいのです。近い将来、過失割合の算定は定型化が進み、その行きつく先はAIが担うのでは?と思う次第です。

 もちろん、事故状態から双方の言い分に疑義があり、ドライブレコーダーを検証し、刑事記録を取り寄せ、あるいは交通鑑定に付すことによって、新しい事実が浮上すれば、弁護士に依頼する価値はあります。しかし、多くは、片方、又は両者が納得しない事で交渉が難航しているに過ぎません。

 この場合、弁護士以上に威力を発揮するのは、代理店さんの強交渉です。代理店さんによっては、積極的に契約者さまの主張を代弁してくれます。その主張は、必ずしも道路交通法の規定に縛られません。例えば、「この交差点は私も良く通るが、左角の見通しが悪く、皆注意している。相手はまったく確認していない。その点、5%でも修正できないか」。「この事故状態で相場通りの20:80では、被害者が可哀そうでしょう。ご近所同士なので、これ以上争いは避けたい。なんとか相手に譲歩してもらえるよう言ってもらえないか」。

 法律家ではない代理店さんの人情交渉、又は理屈抜きの強引さが功を奏する事があるのです。この点、弁護士費用があるからと言って弁護士に頼るより、話が早く、むしろ効果的と思います。

 プロ代理店さんは、人の機微を知り、交渉力の高い人がおります。私見では、弁護士以上に過失交渉をうまく進めている、頼れる兄貴分なのです。代理店さんは、日夜、弁護士以上に交通事故の解決に尽力していると思います。ただし、強交渉もやり過ぎると、相手担当者から「非弁ですよ(※)」と言われますので、その点は上手く交渉する必要があります。    ※ 非弁護士行為・・・簡単に言いますと、誰かの代理で交渉ができるのは、弁護士だけ、それ以外が有償(有償に準ずる)で代理交渉をしては、非弁護士行為となって違法となります。  

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 例の山口県阿武町の誤入金問題で大きな進展がありました。ニュースの通り、電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されたT容疑者さんの出金先、決済代行業者3社が町に約4300万円をあっさり返還しました。  

 阿武町側が田口容疑者が税金を滞納していたことから、税金滞納者に対する徴収法に基づき、同容疑者の口座があるA銀行に情報提供を求め、口座からの金の動きを把握、決済代行業者を揺さぶった結果です。回収を果たした阿武町の代理人弁護士である中山先生は、テレビでしらっと「どういうわけか全額振り込んできました」のような事を言っていましたね(正確には9割回収)。法律関係者は気付いています。「たかが地方税数万円の差し押さえ手続きのついでに、少し脅しをかけただけで・・4000万円が」と言う「してやったり」、あるいは皮肉が込められているのです。

 多くの識者、周囲の弁護士さん達が感心していることは、中山先生がT容疑者の地方税滞納(わずかな金額でしょうが)に着目し、その取り立て・差し押さえを可能とする国税徴収法に基づいて、決済代行会社に圧力をかけた点です。法知識は元より、法律を応用して回収を果たした力業は称賛です。

 国税徴収法に基づく財産調査であれば、迅速にお金の流れを調査でき、滞納処分は強い処分なので、滞納処分の税金が少額であっても、口座全体を押さえることができるようです。今後、様々な事案に応用できる手段だと思います。以下、この機に少し勉強しました。   続きを読む »

「ダメだと言うなら、それよりいい案を出しなさい」

   テレビ番組の企画から拝借しているみたいですが、これは田中 角栄 元首相の有名な言葉で、様々な場面で引用されています。この言葉の肯定感、半端ないです。    昨日まで、”人身傷害への請求をちゃんとやらない”ことに批判を続けました。最終回の今日、「出しましょう、対案」を。  

1、前提

 まず、意識改革が必要かと思います。  

① 弁護士は、人身傷害への請求代理を契約書に盛り込もう!

   昨日までの記事の通り、被害者自身に過失減額が予想される案件は、相手との賠償交渉だけでは完全解決にはなりません。最後までしっかり面倒を見て下さい。

 結局、依頼者さんが自分で人身傷害を請求し、その金額に満足だったら、それはそれで良いと思います。依頼者さんに頼まれて、弁護士が交渉によって増額したら堂々と報酬を頂く。契約上、うたっておくことこそ代理人の責任を全うできます。

 弁護士費用特約があっても、人身傷害への請求分は特約からでないことを契約者さまにご理解頂き、別途、保険金から報酬(10%、あるいは増額分の20%)を頂けばいいだけの話です。  

② 行政書士こそ、人身傷害への請求業務を受任しよう!

   事故相手への「賠償請求行為」は、ほとんど法律事務で、代理行為になります。資格上、行政書士ができないことは言うまでもありません。しかし、「保険金請求行為」はいかがでしょう? 代理人として請求さえしなければ、多くの面で被害者さんの助力は可能です。

 とくに、被害者さんが100%悪い事故など、相手は無関係ですから、賠償請求行為は生じません。自爆事故も当然そうです。ひき逃げで相手が不明の場合も、まず人身傷害への請求がセオリーです。この手の事案は弁護士先生がやるまでもなく、実際、ほぼ受任してくれません。

 もちろん、後遺障害以上の重傷の場合に限定されるはずです。通院〇回の請求など、保険金請求書を提出するだけですから。重傷者こそ、後遺障害の等級で運命が左右されます。取りこぼしのないよう、後遺障害の立証に長けた者に任せることが必須です。秋葉事務所でも、年間数件の受任を頂いています。

 問題は、お金を払ってまで任すほど、実力のある先生が少ないことでしょうか。そもそも、行政書士は「保険」業とは無関係、残念ながら専門外なのです。  

2、知識とテクニック

 約款の性質を知ること、とくに3分化した保険会社ごとの対策を熟知する必要があります。

 保険会社の約款が違うことに加え、サービスセンターの方針や担当者の約款理解がまったく統一されていないことも知るべきです。  

① 手っ取り早く、3つの対策

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この問題、保険会社はどう考えているのでしょうか?

   人身傷害保険に対して、裁判基準での支払いを要求された場合、まず一義的に「弊社の人身傷害基準で支払います」としています。それで済めば、良しですが・・

 この数年、対保険会社(人身傷害の請求)で、様々なケースから感じる保険会側の感触は・・     レアケースなので、よくわからない    その都度、センター内の合議で決めている    自社の約款を理解していない担当者さんなど、全然珍しくありません。被害者さん側の深刻度に比べ、実に肩の力が抜けた話です。

 各社、支払い部門(サービスセンター)の人身傷害保険の担当者は、対人担当者が兼務しているケース、サブ的に人身傷害専門の担当者がいる場合に分かれているようです。担当者は年間100件も処理していますので、大変に忙しい事と思います(最近のテレワーク「おつ」です)。その中で、この問題はそれ程起きていないのかもしれません。    これでは、今日の記事は終わってしまいます。そこで、以前から数度に渡って聞いた、東京海上日動さんの代理店、及びセンター担当者の見解を披露します。   (Q)自身にも過失がある場合、相手への請求と人身傷害への請求、両方をしたいのですが、どのような計算になるのでしょうか?   (A)この場合、過失分が差し引かれた相手(保険会社)からの賠償金と、過失分は引かれないが弊社基準の人身傷害保険金の、高い方を選択して下さい。    この選択にて、契約者さんへ理解を促しています。契約者さんも「そんなもんかなぁ」と、渋々納得です。稀に、「契約時の説明、『自分の過失分も100%でます』という保険ではなかったのでは?」と食い下がっても、代理店さんに説得されるようです。    物の道理から言って、正しくないと思います。それでも、センター職員も代理店さんも「正しい運用」と、まるで宗教的に信仰しているようです。    秋葉は、人身傷害保険の問題をテーマにした研修を、弁護士先生向け、代理店さん向け、合わせて16回も実施しました。弁護士先生の理解は当然として、一部の代理店からも、「確かに保険会社の運用はおかしい、今までも過失案件の顧客様と一緒に悶々としていました」との声を聞きました。しかし、残念ながら大多数は東京海上日動の回答・運用が幅を利かせているように思います。その点、もっと代理店さんが声を上げるべきではないかと思います。

 声を上げづらいのであれば、少なくとも、秋葉に相談して欲しいと思います。この10年、交通事故に本気で取り組んでいる連携弁護士達と勉強を重ね、「相手と自分の保険会社、その双方から裁判基準で満額回収」をほとんどのケースで成功させています。    続きを読む »

 昨日に続き、近時の相談から最悪例を紹介します。    担当した弁護士先生、実は完全な悪意があったわけではないのかもしれません。実は、解決方法をよくわかっていなかっただけで・・。本音を聞いてみたいところです。   2、加害者は無保険!、弁護士に依頼したものの・・    歩行中、無保険の加害者にはねられ受傷、脚を骨折、後遺障害は12級でした。相手は信号無視でしたから、過失割合は当然に0:100でした。幸い、自宅の自動車に東京海上日動の人身傷害保険がついていました。治療費はこれで賄うことができました。また、弁護士費用特約の加入もありました。できるだけ、人身傷害保険で出るものを先に受け取りました。  最低限、人身傷害で賄われたとしても、何もしてくれない相手を許せるはずがありません。後遺障害の請求から弁護士費用特約を利用、ネットで「交通事故に強い」と宣伝する弁護士事務所に依頼しました。弁護士は、まず、相手の自賠責保険に被害者請求をかけてくれました(無保険は任意保険で、自賠責だけはありました)。自賠責保険の後遺障害保険金を先に確保です。続いて、支払い能力が定かではない加害者に訴訟提起しました。

 裁判は相手の欠席もあり、公示送達(裁判所に審議内容を張り出し、欠席の相手から何も返答なければ審議を進めてしまう)で当然に勝訴、賠償金800万円の判決を取りました。

 よくぞやってくれました! これから返す刀で人身傷害保険への請求だ! ・・と褒めたいところですが、ここからががっくり。

 その弁護士さん、依頼者さんに判決文を渡して、「私どもの契約はここまです。人身傷害への請求はご自身で進めて下さい」と終了宣言。確かに契約書には、「加害者との交渉、訴訟まで」との記載です。    その後、依頼者さんは独力で人傷社へ判決文を提出、保険金請求をかけました。

 その回答は・・・   東京海上日動 担当者:「すでにお支払いした治療費、休業損害、傷害慰謝料、相手からお受け取りの自賠責保険金224万を差し引くと、0円です。」   依頼者さん:「えっ、判決で800万円ですよ、その金額から既払い分を受け取ったとしても、400万円以上あるじゃないですか!(怒)」と反論しました。   東京海上日動 担当者:「約款上、裁判の判決額を尊重するのは、”先に人身傷害保険金を受け取った後に、相手から賠償金を受け取り、損害総額からオーバーした金額を返してもらう”、つまり求償の場合における規定です。 本件のように、相手に求償できない場合については、約款に規定がありません。したがって、弊社の人身傷害基準で計算します。その結果、既払い分でMAXとなり、追加支払い金額はありません。(あしからず)」   依頼者さん:「何で全額もらえないの? 何のこっちゃ全然わからん!」      続きを読む »

 反面教師となる事例をいくつか紹介します。

 まさに、「人身傷害保険への請求が交通事故解決の最大の山場」の例です。   1、自身の過失が50%!、弁護士に依頼したものの・・

 バイクと自動車、交差点で出会頭の衝突事故で重傷、後遺障害も5級が認定されました。ただし、バイク側の不注意も大きく、過失割合の相場は50:50の事故です。

 この件ですが、依頼した弁護士は相手保険会社(以後、賠償社)と交渉を担って頂けたものの、自身加入の人身傷害へは及び腰、「まずは、相手保険会社への賠償請求を先に」と進めました。本件で契約している人身傷害の保険会社(以後、人傷社)は東京海上日動ですから、自身の過失が何割であろうと、先に人身傷害への請求がセオリーです。

 しかし、この弁護士さんは人身傷害保険の約款をよくご存じないのでしょう。具体的な戦略なしに、賠償社とだらだら交渉しています。交渉と言えばかっこいいのですが、単に相手保険会社の提示をのんびり待つだけです。催促も実にやわらかで、1年半でたった2度の賠償金額の提示を受けたに過ぎません。症状固定日から無為に1年半が経とうとしています。つまり、なめられています。

 依頼者さんへも、「(東海日動から)こんな提示(額)が来ましたが、どうしますか?」とお伺いしてくるだけです。まるで相手保険会社のメッセンジャーの役割です。業を煮やした依頼者さんは、「では、相手の提示に対する先生の考える最良の策は何ですか?」と聞いたところ、「まず、交渉で賠償金を受け取り、次いで、人身傷害に請求です。」とのこと。    不安に駆られたこの依頼者さん、ネットで検索、「自身の過失分を裁判基準で回収する方法」を目にしました。↓

人身傷害特約 支払い基準の変遷 ⑭ 訴訟基準をゲットするための3策(1)     本件における裁判基準での全額回収は、人傷先行か裁判です(両方がベスト)。人身傷害で先に(少ない人身傷害基準とはいえ)過失減額のない100%を先取しておく、できれば、裁判で損害総額を決定させることが大事です。元の弁護士の方法ではダメです。いくら賠償社から交渉で裁判基準に近い額を勝ち取ろうと、過失分50%分に対する人身傷害からの(人傷基準での)支払い額は半分以下です。その回収に責任をもってくれるのでしょうか?

 本件の裁判基準での総損害額は8000万円ほどです。自身の過失分が50%なら4000万円を人身傷害に請求する必要があります。しかし、人傷基準での回収では半分程度です。つまり、2000万円の取りそびれとなります。

 本件は、「人身傷害保険への請求が交通事故解決の最大の山場」の典型例なのです。賠償社との交渉で裁判基準に近づけることなど、弁護士バッチさえあれば、むしろ簡単な作業と言えます。    続きを読む »

   

 人身傷害の担当者と任せた弁護士・・・果たしてこのような解決でよいのでしょうか?      良いわけありません!(怒) 交通事故被害者は自らが被った損害を最大限に賠償してほしい。そして、決して安くない掛金を払って契約した自動車保険からも約束通り保険金を払ってほしい。これは当然のことです。

 それでは、解決策を提案する前に、なぜ、お願いした弁護士先生が人身傷害保険の請求に消極的なのか、これを分析しましょう。    理由(1)引き受けたのは加害者(≒相手保険会社)との交渉ですから・・

 委任契約した弁護士さんは、あくまで「相手との賠償交渉を担っただけ」なのです。確かに契約書を読むと、「依頼者の契約している保険への請求を代理して請求します」などの記載はありません。それは「自分でやって下さい」なのです。もちろん。アドバイス的なことはあるでしょうけど、保険金請求の代理までお金を取ってまで弁護士がすることではないのです。

 しかし、昨日の①の例のように、自身の過失分が満額回収できない事態になったら・・どうしたらよいのでしょうか?    また、労災や健保、障害年金や介護保険の公的保険、その他傷害保険、共済・・・全部、自分でやらなけれなりません。自分でサクサクできるビジネスマンはなんとかしますが、書類仕事が苦手な人や高齢者は難渋しています。重ねてケガのハンデがあり、中には障害を負った人も独力で頑張らなければならないのです。家族の助けがなければそれこそ大変です。   理由(2)その費用は弁護士費用から出ないので・・

 ご存じ弁護士費用特約、これがあれば被害者は弁護士への報酬を気にせず依頼できます。しかし、この特約は「損害賠償に関わること」にしか使えません。約款上にはっきり書かれています。したがって、加害者側ではない、公的保険や自身加入の保険への請求、諸事務は対象外なのです。

理由(3)だったら、弁特外で有償でやってもらえませんか?

 と希望する被害者さんも少なくないはずです。しかし、肝心の弁護士先生もすべての保険事務に精通しているわけではありません。やったことのない手続きは門外漢なのです。それに、時間食ってかなり面倒です。比べると、賠償交渉の方がむしろが楽な業務であることもあります。したがって、お金をもらってまで面倒をみる責任を負いかねるのかと思います。

 さらに、人身傷害の場合、約款には「人身傷害の保険金は人身傷害の基準で計算します」と書かれています。相手といくらで示談しようが、関係ありません。(保険会社各社で表現の違いがありますが、おおむね「裁判での決着であれば、その金額で計算する」とはしていますが。)  一定の弁護士は「約款に書かれているから、これは絶対で、交渉の余地はない」と解釈しています。交通事故をよく知る弁護士は交渉の余地があることを知っています。しかし、約款=文章化された約束ですから、契約の効力を知る弁護士こそ拘束されてしまう傾向なのです。

 結局、「人身傷害の請求は、依頼者と保険会社(人身傷害加入の)の交渉で」と、委任契約から、交通事故業務から、切り離してしまうのです。   理由(4)逆に依頼者さんが「人身傷害への請求は請求書を出すだけですから自分でできます」と・・

 頼もしい被害者さんではありますが、やはり、人身傷害の基準に阻まれます。自身の過失分を”裁判基準で”回収するのは簡単ではありません。この理屈を知るには、かつて、人身傷害の約款解釈で起きた”裁判基準差額説VS人傷基準差額説”の話からしなければなりません。そして、満額回収を実現するには、(平成24年2月最高裁判例後に改定された)各社約款に応じた対策が必要です。  たいてい担当者から「人身傷害の基準で計算しました」と押し切られます。ここに至って、任せていた弁護士に相談しても、やはり「仕方ない」との回答です。  続きを読む »

 ここ数年の相談例から・・・   「弁護士に交通事故の解決を依頼しましたが、その弁護士に『人身傷害保険への請求は自分でやって下さい』と言われて・・    人身傷害加入先の保険会社に請求したところ、『当社に基準で計算したところ〇〇円です(自身の過失分よりえらく少ない金額)。これ以上の支払いはありません』と言われました。

 弁護士に相談しましたが、『約款でそうなっているので仕方ありません』と言われました。なんか納得できません。保険代理店さんの説明では、自分の過失分は人身傷害保険ででると聞いて契約したはずです」こんなパターンです。    これは、弁護士が加害者(側の保険会社)に請求する、いわゆる裁判基準と、保険会社が計算する人傷基準の隔たりが大きいことを原因とします。   <計算例で説明します>   1、頚椎捻挫で14級9号となった被害者さん(主婦)は交差点での衝突事故で20:80での過失割合でした。

2、弁護士に依頼して相手保険会社と交渉しました。賠償金の総額は300万円でした。

3、相手からの賠償金から自身の過失分20%が差し引かれます。300万円×(1-0.2)=240万円となりました。この金額で交渉解決となりました。

4、お願いしていた弁護士に、「自身の過失分20%は自分の自動車保険(人身傷害)へ請求できます」と言われました。

5、300万円×0.2=60万円、相手からの賠償金は240万円ですから、その差額60万円が埋まるので、満額回収!となるはずです。

6、しかし、保険会社(人傷社)からの回答は、「当社基準で計算のところ30万円となります」と。あれっ、満額にならない。

7、これを弁護士に相談しましたが、「約款の決まりですから仕方ありません」と・・・。

8、理由は、総損害額の違いです。裁判基準では300万円のところ、人傷基準での算定はほぼ半額の150万円です。同じ損害でも、慰謝料や逸失利益などは、計算基準の違いで大きな差が生じるのです。裁判での相場と保険会社の算定基準を比べると、倍以上の差が出ることは珍しくありません。

 したがって、差し引かれた300万円の20%は60万円ですが、人身傷害からでるのは150万円の20%で30万円、(わかりやすく簡略しましたが)、つまり、人身傷害から全額回収ができないのです。    これが、自身に過失がある交通事故被害者の「あるある」解決です。このモヤ~とした気分でスマホを検索した結果、以下、秋葉のHPにたどり着くようです(下はその主な記事)。   続きを読む »

何の例えかと言いますと、ズバリ弁護士のことです。正確には保険会社から見た弁護士です。

保険会社 対 弁護士、この構図の多くは交通事故案件になるかと思います。この10年、弁護士と数多くの案件を解決してきました。連携した弁護士はそれこそ北海道から沖縄まで、全国18事務所、弁護士も50人に及びます。交通事故を専門に取り扱う先生もいれば多くのジャンルを扱う先生、業界の有名先生から若手まで、様々でした。良い解決もあれば、残念な解決もありました。残念な解決でも反省や進歩の無い先生とは、以降仕事はしません。それっきりになります。そして、案件を重ね、経験を積んだ先生は、ついに裁判で画期的な判決を取るに至ります。「交通事故のプロ」の誕生です。

交渉でも裁判基準相当額にならなければ、裁判や紛争センターに全件持ち込む、この硬派で頑固な姿勢を貫くと、保険会社も「この事務所は裁判基準じゃないと折れないんだよなぁ・・どうせ、裁判や紛センに持ってかれるなら・・」と交渉でも裁判基準まで払ってきます。保険会社は感情で仕事をしているわけではありません。ちゃんと弁護士の姿勢、所謂足元を見ているのです。

対して、効率・利益を第一に求める事務所は、一つ一つの案件に時間を割きません。交渉が続き、裁判基準満額まであと50万円増額の余地まできた場面では・・依頼者にとって大金であっても、弁護士の報酬はその10%=5万円なのです。その事務所にとって5万円の売上増加の為に、裁判で半年~1年、あるいは紛センで4~6ヶ月解決が延びるなど、経営効率が悪いのです。だからこそ、依頼者に「交渉で大分増額させました。どうしますか?」と聞きます。または「裁判となれば、この提示額の保証はなく、リスクがあります」と説明します。すると、大抵の依頼者は判断ができず、「先生にお任せします」となるのです。これで、安くあげたい保険会社と、早く案件を終えたい弁護士の利害が一致、簡単解決となるのです。

つまり、経営効率主義の弁護士事務所は、保険会社からこう見られているのです。「先生、どうせ裁判はしたくないでしょ、妥協を待ちますよ(依頼者を丸め込んで下さい)。」

交渉解決は楽です、電話とFAXあるいは郵便の往復で解決できますから、保険会社・弁護士共に楽なのです。裁判はそれこそ訴状の作成や証拠の集積、数回の期日に裁判所へ足を運び・・大変な手間と時間がかかります。信じられないかもしれませんが、裁判などしたくない弁護士が多いのです。それを、「紛争(裁判)を未然に防ぐことが弁護士の役目」と美化する先生もおりました。もちろん、その姿勢は人同士の争いでは大事です。しかし、交通事故に関しての請求相手は保険会社という民間企業・全国組織ですから当てはまりません。このような(裁判を避けたい)姿勢=弱腰は必ず保険会社に伝わってしまうのです。

保険会社はバカではありません。交通事故を扱う弁護士事務所への対応について、ある程度リスト化していると思います。依頼者に1円でも多く獲得すべく譲らない事務所、裁判基準の満額の7~8割で手を打ってくれる事務所を識別しています。前者はその姿勢を続けると、裁判や紛センに持ってかれる位なら、交渉でもほぼ満額支払をしてきます。だって、刀を抜かれる(裁判や粉セン)からです。 逆に、交渉である程度の増額で楽に収めたい先生が強気で賠償請求・交渉してきても、

「先生、どうせ竹光でしょ」となります。抜かない刀ではまったく脅しが効かないのです。 ここまで説明すればお判りと思います。交通事故被害者さんが弁護士を選ぶ場合、最初に解決方針をしっかり聞く事です。「先生、裁判基準満額が取れない場合はどうしますか?」この質問に対し、妥協なき方針、確固たる戦略を提示できない先生は、竹光を差した効率先生と思って下さい。

 

不可能を可能にする秋葉事務所と弁護士の連携記事 →実績投稿:異議申立 連勝中! ④ 頚部の運動障害の認定、弁護士との逆連携の成果

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弁護士の選び方 ① 交通事故弁護士にも2種類あります

弁護士の選び方 ...

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 最近のニュースで気になる事を取り上げていました。東大出身の政治家のNG発言をめぐる騒ぎ、その他高学歴者の失敗を例に、「何故、頭の良い人達がしでかしてしまうのだろう」とのテーマです。

 私も仕事柄、毎日のように医師、弁護士と接する機会があります。彼らは当然に高学歴です。医師の場合、自力で高学歴となったのか疑問に思う先生もおりますが、弁護士はほぼ全員、頭がいいなぁと感心します。今まで一緒に仕事をした弁護士先生は49人に及びますが、例外なく偏差値の高い有名大学卒でした。新司法制度で間口が広がったとはいえ、司法試験は文系最難関であることには変わりません。中卒・高卒の司法試験合格者もいないわけではないのでしょうが、知ってる限りドラマ「HERO」のキムタクだけです。

 冒頭の話に戻りますが、いくら学力・知的能力が高くとも、弁護士も人間、当然に感情がありますから、怒ったり笑ったり、失敗することがあって当然です。人間の感情から来る判断ミス、それが失言であったり、偏った信条であったり、また、ついカッとなって感情に流されることもあるでしょう。これは、能力の高低に限らず、誰もが場をわきまえて気を付けるべきことだと思います。    普段は仰ぎ見る立派な弁護士先生といえど、実に人間臭いものです。いい人もいれば、悪い人もいます。性格も色々、得意・不得意のある普通の人と変わりません。それが弱点、あるいは特技だったり・・私が今までに印象に残った、選りすぐりの弁護士先生を紹介します。(諸先生方、笑って許してください、訴えないでね。)

  1、日本一滑舌が悪いA先生

 お酒の席ともなれば、ほぼ何を言っているかわかりません。もはや英語の方が通じます(一緒に忘年会のステージで歌った経験から)。これでは、依頼者と意思の疎通ができるのか心配です。それでも、この先生の知識・知見は見事で、文章もすばらしく、勉強になることばかりです。独自の分野で一層の活躍が期待されます。

  2、日本一体の柔らかいB先生

 Y字開脚など余裕です。ダンスの経験から、体が体操選手並みなのです。かつての弁護士研修会、交通事故・後遺障害をテーマとする講座でした。関節可動域計測の実演をする際、B先生にモデルをお願いしました(弁護士に依頼する私もどうかと思いますが)。

 B先生、最初は遠慮されながらも、当日はジャージ姿(ブルースリーの死亡遊戯さながらの黄スーツ!)で登場、講義15分前に柔軟体操、UPを始めました(ほ、本気や!)。  続きを読む »

 相変わらず、既に弁護士事務所に相談、あるいは契約しながらの相談者様が多く、その訳は以下に集約されます。   1、契約が済むと、あとは放置。電話で問い合わせるも、担当弁護士は捉まらず、事務員の対応。折り返し電話も「ない」か「遅い」   2、後遺障害に強いと触れ込みで契約したものの、具体的な作業はなく、「後遺障害診断書を待っています」の対応   3、解決までの見通しなどの説明なく、質問しても、ただ「任せなさい」との回答    残念ながら、商売先行で経験薄い弁護士先生を選んでしまったようです。弁護士とて万能ではありません。すべての先生が交通事故に長けているわけではないのです。この当たり前の事実を、ネット広告などの過剰宣伝が覆い隠してしまうのです。弁護士が100人もいる事務所とて、すべての先生が交通事故業務を多く経験しているわけでなく、交通事故裁判を一度も経験していない先生が普通なのです。まして、後遺障害に連なる医療と保険の知識など専門外ですから、特別に経験を積んだ先生以外は素人同然なのです。しかし、ホームページでは、専門業者から買ったコンテンツで埋め尽くし、後遺障害の専門家に化けます。おそらく生まれて初めての交通事故に遭った被害者さんは、見抜くことなど無理でしょう。弁護士事務所側もそれを承知の戦略です。ネット広告費に、年間数千~億単位の経費を投入します。資本主義は玉(金)を持っている者が勝つのです。

 それでも、一定数の被害者さんは、「この事務所ではヤバい」と気付き、セカンドオピニオン=別事務所のドアを叩くことになります。今度は実力のある事務所をシビアに探します。秋葉事務所もご他聞に漏れず、そのドアになっています。

 表題の主張は被害者さんに向けたものではなく、交通事故にまだ知見の浅い弁護士事務所宛です。もしくは、賠償交渉に集中するため、事故直後から症状固定までの諸事務をアウトソーシング(外注)したい事務所向けです。紹介筋かネットから交通事故案件を受任したはいいが、未経験の重傷案件を手探りで進めるのであれば、秋葉が力を貸したいのです。できれば、前半の事務を任せてもらいたい。10年に及ぶ、この連携した被害者救済業務に絶対の自信を持っているからです。

 今まで20近い弁護士事務所に秋葉事務所の有用性を評価いただき、適時、連携業務を行ってきました。それでも、まだまだ少ないものです。窮している被害者さんはたくさん存在します。後は、弁護士先生の理解だけだと思います。しかし、多くの行政書士が弁護士法で禁じられた「賠償交渉」に介入した結果、行政書士は弁護士からの信用を失ったままなのです。本来、行政書士のすべてが適正な業務、具体的には医療調査、保険手続き、法律事務を除いた諸実務に絞って仕事をすべきだったのです。この失った信用を回復することは、並大抵の努力では叶いません。もはや時すでに遅し、行政書士はほぼ交通事故から撤退の憂き目のようです。秋葉事務所としては、実績ページをコツコツ積み上げて、仕事の有用性と実力を示していくしかありません。

 多くの被害者さんの相談が集まることも、その証明になり得ると考えています。ネット集客はもちろん、被害者さまへの声がけ・宣伝もより力を入れる必要があります。

 でなければ、「ぼーっと仕事してんじゃねぇーよ!」とチコちゃんに叱られます。  

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 若手に指導する立場となって数年・・事務所でも偉そうに訓戒をたれている毎日です。

 知識は文献をあさり、技術は経験で磨くものと思います。さらに、現場での応用力は、その人の持つセンスや人間性を加味した総合力の結集です。弊所の医療調査業務も、応用力が究極のスキルです。それは、まず原則を知ることから始まり、例外の経験を重ね、終には原則を打ち破る仕事を到達点と考えています。

 他事務所に目を向けると、以前から気になっていたことですが・・交通事故の経験浅い弁護士が、相場を大きく上回る慰謝料・逸失利益で賠償請求、結果として交渉が難航、解決まで大幅に時間を食っていることです。他事務所のことでもありますし、また、法律の専門家に対して苦言をできる立場ではないことは重々承知しています。しかし、明らかに知識の欠如に思えるケースが目につくのです。

 実例で説明します。交通事故・後遺障害の実に70%近くを占める、頚椎捻挫(腰椎捻挫含む)で相手の損保に逸失利益(将来の損害)を請求する場合、特殊な事情がない限り、通常、裁判上でも喪失期間は最長5年が相場です。当然、個々の症状に軽重はありますが、生涯その障害で苦しむ事は極めて稀で、神経症状は数ヶ月~数年で収まります。それを越えるものは、単なる頚椎捻挫を越えるもので、別の診断名で手術適用となります。単純なむち打ちであれば、相手損保も医学的なデータから、神経症状の残存をおよそ2年と主張してきます。対して、弁護士は交渉あるいは斡旋機関、裁判で5年の満額を目指して戦うことになります。ところが、赤い本の慰謝料満額である110万は良いとしても、なんと、むち打ちでほとんど生涯をふいにする=67歳までの逸失利益を請求する先生が今まで何人かおりました。

 おそらく、相手損保の担当者も苦笑していることでしょう。「ど素人先生」と内心小バカにしているかもしれません。世の中には相場というものがあります。確かに交渉ごとですから、最初は大きくふっかけるものでしょうが、度を越した山盛り請求は逆に、相手どころか斡旋機関や裁判官の心証を損なうリスクとなって跳ね返ってきます。これは業界における無知をさらす事になるのです。大体、捻挫の診断名で神経症状が一生続くなど・・医学・法律以前に、まず一般常識で考えればわかるでしょう?と言いたくなります。とりあえず単純に「最大限の請求を!」と、論拠乏しく計算したのかと思います。その点、事務所のボス・先輩弁護士が、あまりにも手放しで案件を任せていることは気になります。無法図な主張を放置ですから、しっかり監督・指導していないのでしょう。

 では、原理・原則に縛られ、判で押したように相場の範囲の主張に終始する姿はいかがでしょう?

 被害者の症状・事情を鑑み、個別具体的な賠償論を構築することこそ、法律家ではないかと思います。それらが成果となれば、判例ジャーナル等に掲載されますので、類似ケースを戦う者にとって大きな指標になります。もし、医学的常識を越えるようなひどい症状の被害者に対して、67歳まで神経症状が続く理由を立証し、賠償金を獲得すれば、それは画期的な仕事に生まれ変わります。それこそ、「常識を知って、常識を打ち破る」仕事かと思います。

 もちろん、法律家に限らず、あらゆる職業で応用力を発揮し、新しいアイデアを打ち立て、刮目すべき成果を残す者がおります。攻める姿勢は、原則を熟知したところからスタートします。原則を知らずに突っ走るなど蒙昧の徒に他なりません。まず、原則を知って、原則に拘泥することなく挑戦する姿勢はすべての仕事に通じると思います。    <最期に例題を> 

 ご存知、漫画・アニメのタッチから。17歳高校生で甲子園予選を前に、交通事故で亡くなった、主人公 上杉 達也の双子の弟 上杉 和也くん。彼の死亡による逸失利益を最大限に獲得する法理論構成をお願いしたいと思います。

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