前回 👉 妊婦の死亡事故 、胎児への罪    「妊婦の死亡事故」に関する記事に、追補する必要を感じましたので、以下、任意保険の面から続けます。   (1)事故による、胎児の流産・死産、中絶の場合      お母さんに対して、通常の慰謝料に表のように加算されます。これは人身傷害保険の規定ですが、この金額を基準として、対人賠償でも考慮されているはずです。その他、傷害保険に同様の規定は、各社・保険によってまちまちです。    続きを読む »

 たまに保険金額が変更されますので、時々確認する必要があります。2024年現在は以下の通りです。常に横並び意識の高い任意社ですが、近年、ばらつきがみられるようになりました。とりあえず、パターンとして代表的な5社を表に入れました。忘備録としてUPしておきます。  

 ※ 任意保険の介護1~2級、1~3級では、額の大きい方(右側)は「父母、配偶者、子がいる場合」です。    ◆ 近年の改定で増額した東海日動さんがトップです。何故かチャブも同額です。   ◆ 共済社が極端に低い事はないようです。   ◆ 通販社のほとんどは損保ジャパンに近い金額です。     毎度、被害者さんにこの表を見て頂きます。「保険会社(基準)の提示で示談することは、あまりにもお人好しです」との結論になります。    

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 年末の交通事故相談で、この特約についての質問がありました。以前から存在を知っておりましたが、実際の事故に関わることになると、約款の確認も含めて特約への理解が深まります。どのような特約(保険)なのか、まずは、あいおいさんのHPから確認してみましょう。   ○ 対歩行者等傷害特約 

ご契約のお車の自動車事故により、歩行中や自転車(原動機付自転車を除きます)乗車中の方を死亡させたか、ケガにより入院させた場合(注1)に、対人賠償保険で補償されない相手の方の過失部分を含んだ損害の額を保険金額(注2)を限度に補償します。 なお、自賠責保険等や対人賠償保険等の保険金、または共済金は、損害の額から除きます。

(注1)相手の方が通院のみによって治療された場合または通院のみによって治療された後に後遺障害が発生した場合は、保険金をお支払いできません。 (注2)対歩行者等傷害特約の保険金額は、被害者1名につき、対人賠償保険と同額です。   続きを読む »

 昨年の自賠責保険の改定ですが、地味ながら後遺障害慰謝料が増額しています。増額と言っても、支払い限度額が変わったわけでなく、慰謝料が増額した分、逸失利益が減りました。つまり、全体として支払い限度額は増額していません。

 これは、昨年の法定利息の引き下げ(長らく5% ⇒ 3%)の影響でしょうか? しかし、法定利息の引き下げは、逆に逸失利益の計算における、中間利息を控除する計算(ライプニッツ係数)上、被害者が有利になります。つまり、ライプニッツ係数が上がれば、逸失利益は増額することになります。以下、かみ砕いて説明しましょう。   裁判の判決で賠償金が決まる ⇒ 法定利息5%が加算される (原告=被害者は嬉しい!)   これが昨年4月より3%に下がったのですから、全体として被害者が獲得する賠償金は減ることになります(被害者、残念)。   逆に、後遺障害の逸失利益(将来に向けての損害)はこの金利引き下げの影響から、中間利息控除の計算上、その係数(ライプニッツ)は引き上げられました(被害者には朗報!)。   逸失利益の喪失期間10年間の場合、その係数7.7217が8.5302に引き上げとなりました。   新たな係数では、逸失利益10年分ですと、10-8.5302=1.4698が利息として差し引かれます。これは将来10年に渡ってもらうべきお金をまとめてもらうので、先に一括で受け取るのだからそのまま貯金すれば利息で得をしてしまいます。損害賠償の公平な負担の観点から、その利息分は差し引くべきとの考え方です。つまり、この係数が上がれば、逸失利益は増額することになるのです。   続きを読む »

 最近、キックボードに乗っている方をよく見ます。1990年代後半に流行しましたが、その後衰退の一途を辿った記憶があります。自転車の方が便利で速い(しかもキックボードほど疲れない)にもかかわらず、友達がキックボードで集合する風景が懐かしいです。今も小学生たちがキックボードを乗っている姿をたまに見かけますが、大人たちは電動キックボードです。電動キックボードはまだ法整備が追いついておらず、グレーな存在かと思っておりましたが、都市圏ではシェアリングサービスが普及し始めました。

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 ここ数年、各社、人身傷害の約款が整備され、平成24年2月最高裁「裁判基準差額説」を前提とした支払基準になってます。それでも、現場では裁判基準の満額を認めない、人身傷害基準での支払いを甘受するケースが多いものです。私は未だこの問題は未解決だと思っています。賠償社と人傷社が並存する過失案件では、今でもくすぶり続けている問題なのです。   参照 過去記事 ⇒ 人身傷害の約款改悪シリーズ 人身傷害保険の支払限度は結局、人傷基準 ①    そこで頼りになるのは、事故の解決を依頼した弁護士先生です。当然に加害者側保険会社と交渉してくれます。自身に弁護士費用特約の付保があれば、尚更、依頼しやすくなります。しかし、ここ数年の相談例では、既に弁護士に依頼中の被害者さんから以下の疑問・疑念、そして失望を聞くことが少なくありません。   ・「交渉の結果、自分にも過失があり、賠償金から20%の過失分を引かれるのは仕方ないと思いますが、その20%を人身傷害保険に請求したところ、0円回答でした。何故でしょうか?」

  ⇒ 弁護士:『???』   ・「なんとか人身傷害から満額の回収をしたいのですが・・・」

  ⇒ 弁護士:『約款で決められているので仕方ありません』    ・「先生、自分の保険会社にも交渉をお願いしたのですが・・・」

  ⇒ 弁護士:『それはご自身でやって下さい』       このようなやり取りから、「私では手に負えません」と被害者さんが駆け込んでくるのです。    つまり、相手(相手保険会社)との賠償交渉は受け持つが、自身加入の保険会社への代理請求はしない方針です。理由は、その代理交渉分には弁護士費用特約が使えません。この特約は「賠償請求行為」に適用されるもので、保険金請求行為はそもそも適用外です。また、弁護士への委任契約の契約書に目を通しても、保険金請求行為は入っていません。この弁護士への契約内容では、交通事故被害の完全回復が果たせないのです。

 契約だから仕方ない?そんなわけにはいきません。被害者自身の過失割合が大きい場合は、むしろ相手との賠償交渉より、人身傷害への請求こそ解決の本丸となります。

 やはり、交通事故被害者救済を謳う弁護士であれば、人身傷害への請求を含めた、総合的な解決プランを実行してもらいたいと思います。東海日動、損J、三井住友、これら3メガ損保の人身傷害約款の支払基準は違います。少なくとも3パターンに応じた対策が必要です。過失案件において、相手保険会社との交渉だけの弁護士(契約)では、まったくに片手落ちなのです。これらを熟知し、実行できる弁護士先生に依頼しないと、先の疑問・失望が待っています。

 手前味噌ですが、私達の連携弁護士さん達は常にグループで人身傷害対策について情報共有し、3メガ損保に対応したプランを実行しています。もちろん、依頼者さんを最後に突き離すような契約ではありません。

 賠償交渉のプロ? いえ、それ以上に求められるのは保険金請求のプロではないでしょうか。    

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オーローウォンチューバイミー♪

アーメルデスベーンツ♪

マーイフレーンオードライポールシェー♪

 

詩:マイケルマクルーア

歌:ジャニスチャプリン

 

どーも、金澤です!

今日は、代車使用料について判例を見あさっていると面白い判例を見つけたので紹介いたします!

 

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ファミバイについておさらいです

 ファミリーバイク特約とは、自動車にかけている保険に、被保険者やその同居家族が125CC以下のバイク(以下スクーター等)を搭乗中に事故をした場合にも適用できるようにする特約です。

 例えば、一家に一台、自動車はありますが、普段の買い物等で奥様が、または学生のお子さんが通勤等で、それぞれスクーター等を利用することがあります。このような場合、本来、バイクを運転する場合、そのバイクに保険をかけるものですが、一台一台保険をかけていると、その分保険料金がかかることになり、負担が大きくなっていきます。

 また、専業主婦や学生の場合、独自の収入がない可能性があり、すべてに保険をかけるのは現実的ではありません。

 そこで、自動車にかけている保険にファミリーバイク特約を付帯しておくことで、仮に、上記家族がスクーター等に乗ったときに事故に遭ったとしても、自動車保険で対応できるようになります。

 

 このファミリーバイク特約は2種類あります。一つは、自損型といい、もう一つは人身型と、それぞれ一般的に呼びます。

 前者の自損型とは、スクーター等に搭乗中で、相手方がいない自爆事故や、相手方に過失がまったくない事故(こちらが過失100%の加害者)で相手方の保険で補償が受けられない場合の、いわゆる自損事故の場合に定額の保険金を出して頂けるものです。

 これに対し、後者の人身型とは、上記自損事故以外の事故も対象になり、自動車保険でかけられている人身傷害補償特約が内蔵され、その保険金の範囲内で実際にかかった治療費等の費用分の保険金を出して頂けるものです。

 また、スクーター等で事故して相手方(加害者やその任意保険会社)と治療費や後遺障害で争った場合、自動車保険に弁護士費用特約が適用されており、かつ、ファミリーバイク特約も付帯していれば、弁護士費用特約も利用できます。

 スクーター等の購入を考えている方は、ご自宅に自動車があれば是非ご検討ください。そして、もし可能であれば、人身型をおすすめしたいと思います。  

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 今年も多くのセミナーを開催しました。中でも損保代理店さま向けのセミナーでは、交通事故最前線の皆様であるゆえ、たくさんのご参加、そして、ご質問を頂きました。久々のシリーズで、質疑応答例を紹介します。(個人情報に配慮し、内容を改変しています)   (質問:相手が保険を使わないと言って・・)

交差点で自動車同士の接触事故となりました。幸い、ケガもなく、自動車の修理費は30万円程でしょうか。当然、お互いの任意保険会社で交渉・示談しましょうと持ちかけました。ところが、相手は「俺は悪くない」の一点張りで埒が明かず、分かれて保険会社に事故報告しました。しかし、相手の保険会社は対応してくれません。相手の担当者が言うには、「契約者さんが保険を使わないと言っていますので、弊社としても対応できかねます」・・だそうです。こんなことが許されるのでしょうか(怒)!

(回答)

 契約者が保険を使わないのだから、対応できない・・・頭にきますが、一見、納得させられそうな理屈です。しかし、ほとんどすべての自動車保険約款には”直接請求権”という条項があります。これは、一定の条件のもとに被害者側が賠償請求してきた場合、保険会社は契約者の意向に関わらず、対応しなければならないルールです。

 例えば、被害者が裁判で訴えてきた場合、判決・和解がでたら、加害者の保険会社はその額を請求されたら応じなければなりません。また、加害者・被害者間でお互いに賠償金のやり取りをしないと書面で合意したケース(もっとも、この場合、最初から保険会社同士の交渉・示談になりますね)、加害者側が死亡や破産したケースです。

 つまり、先の相手損保担当者の(対応できないと言う)言い訳は約款違反です。「直接請求権の条件を満たせば対応できます」と回答すべきです。もっとも、保険会社のSC職員であっても、この条項を良く知らないようです。信じられないですが、すっとぼけているのではなく、本当に「初めて聞いた」との担当者さんに何人も出くわしました。     以下、約款(損保ジャパン)を転載します。対人、対物の第8条です。

 より詳しく知りたい方は ⇒  事故の相手が保険を使ってくれない を熟読して下さい。  

 第8条(損害賠償請求権者の直接請求権) (1)対物事故によって被保険者の負担する法律上の損害賠償責任が発生した場合は、損害賠償請求権者は、当会社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、当会社に対して(3)に定める損害賠償額の支払を請求することができます。 (2)当会社は、次の①から④までのいずれかに該当する場合に、損害賠償請求権者に対して(3)に定める損害賠償額を支払います。ただし、1回の対物事故につき当会社がこの対物賠償責任条項および基本条項に従い被保険者に対して支払うベき保険金の額(同一事故につき既に支払った保険金または損害賠償額がある場合は、その全額を差し引いた額)を限度とします。 ① 保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定した場合または裁判上の和解もしくは調停が成立した場合 ② 被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、書面による合意が成立した場合 ③ ...

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 保険業界ではお馴染みの言葉ですが、一般的に知られていない用語があります。例え弁護士先生といえど、通じないことがあります。ここに、交通事故を解決すべき法律家に専門性があるか否かの境界線を感じることになります。つまり、保険用語がすらすら解る法律家は交通事故に精通していることになりますが、その逆は専門性に疑い有となるわけです。

 事務所内でも、時折、保険用語について解説しています。交通事故に携わる者が当然に知るべき用語を、この業務日誌でも取り上げていきたいと思います。 ① ノンフリート契約とフリート契約 

 フリート{fleet}・・・ 艦隊、(一国の)全艦隊、(商船・漁船などの)船隊、船団、(飛行機の)機団、(輸送車・戦車などの)車隊、<英和辞典>

 このような意味を持つ英単語ですが、自動車保険の世界では、”同一会社所有の自動車群”の意味を持ちます。フリート契約とは自動車保険の団体契約のようなものです。一枚の契約書で複数車両の契約をします。個々の自動車は明細書で管理することになります。

 個人で契約する自動車保険の証券に、「ノンフリート等級」という言葉を見かけます。これは、フリートのようにまとめて複数台契約ではなく、1台の契約であること、その無事故割引等級を示しています。無事故割引であるノンフリート等級は、標準的な会社で、1等級~20等級となっており、新規契約は6等級からスタートします。同居家族内で2台目を購入・契約した場合は、複数所有割引の特典として、7等級からのスタートになります。契約期間の事故数(保険を使った事故に限定)によって、この等級がダウンします。事故が無ければ1等級づつ上がっていきます。4年前の改定では、事故(による支払い)があった契約者は特別に「デメリット等級」(これも保険用語)に移行し、割引率、あるいは割増率が厳しくされました。

 では、フリート契約の無事故割引ですが、事故の件数でカウントしません。契約期間内での支払金額から、翌年の割引・割増率が上下動する仕組みです。大きな支払事故がかさむと、翌年の掛金がうなぎのぼりです。担当する代理店さんは事故の抑制に気を使うことになります。最も、死亡事故など、一気に数千万~数億円が支払われた場合は、「ヘビークレーム」(これも保険用語)扱いとして、その支払金額が無事故割引の算定に直接影響しない仕組みになっています。  

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 代理店さんがお客様にお勧めした保険・特約が必ずしも、付保頂けるわけではありません。それでも、代理店さまにおかれましては、契約の際に、「お勧めしていたが、お客さまの判断で加入しなかった」と「その保険・特約の説明をしていなかった」では、大違いです。前者はお客様も納得するしかありませんが、後者では信頼が揺らぐ事は間違いありません。これは保険代理業を営むプロにとって、常態的なテーマと言えるでしょう。今年の事例から、注意喚起の意味も込めて紹介したいと思います。(個人情報に配慮して、内容を改変しています)    自動車保険に契約しているAさん、同居の父が(認知症の影響か)赤信号で交差点を横断して、自動車と接触して高次脳機能障害となった件がありました。当然、自身の過失を大きく取られ、相保からの一括対応はありません。しかしながら、契約していた自動車の人身傷害は「搭乗中のみ担保」です。これは、”契約している自動車に乗っている時”にケガをした場合のみ、保険金を支払うと限定したもので、その分、掛金が少し安くなります。人身傷害は、契約者及び同居の親族(別居の未婚の子含む)が、他の車に搭乗中だけでなく、歩行中や自転車搭乗中のケガでも人身傷害保険が支払われます。人身傷害の補償範囲の広さを実感するものですが、掛金を安くするためか、わざわざ契約車両に乗っている時のみに限定して契約してありました。本件事故では当然に免責=”支払いなし”となります。

 後遺障害は恐らく3級以上です。少なくとも相手の自賠責保険から2000万円は回収できますが、賠償総額は4000万円を見込めます。つまり、わずか2000円掛金を安くした結果、2000万円を失うことになりました。保険設計上、ご契約者さまの同居に高齢者や子供さんがいれば、「搭乗中のみ」は避けるべきでしょう。さらに弁護士費用特約も未加入で、弁護士にも頼めず、自身で相手の自賠責に被害者請求をする難儀となりました。    通販系の保険なら、自己責任で済まされますが、本件は代理店担当者がおりました。Aさんは事故後、初めて対応する保険契約があるにも関わらず、付保していないことを知ったのです。時既に遅しですが・・。担当者に責任はないとはいえ、悔やまれます。やはり、家族構成や自動車の使用範囲など、契約者さまの観察に遺漏無く、保険設計しなければなりません。保険契約とは、それだけ怖いものなのです。  

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山本さんイラストsj連日の登板!

 後遺障害等級の等級を決めるためには、基本的には自賠責調査事務所に申請をする必要があります。この自賠責調査事務所の申請先は、交通事故の加害者が加入している保険会社(共済)が窓口となります。申請先が知りたい場合、事故証明書で確認できます。

 自賠責保険(共済)は、自動車 やバイクを運転する際に、自動車損害賠償保障法によって加入が義務づけられている強制保険です。よって、滅多なことでは自賠責調査事務所に後遺障害等級の申請ができないということは生じません。しかし、例外的に自賠責調査事務所に申請ができないことがあります。

 例えば、そもそも加害者がいないような事故であることはもちろんですが、加害者がいても、ひき逃げ等で見つからなかった場合や、加害者の車検切れで自賠責保険(共済)切れにもなり、その後加入されていないような場合、自転車による事故等があげられます。

 後遺障害の審査は別として、保険未加入でも加害者に賠償金を請求できますが、大抵、そのような加害者はお金を持っていません。    ない袖は、c_y_56  そのような場合、被害者ご自身の保険会社(任意保険)の人身傷害特約や無保険者傷害特約への請求をしている場合があります。もしこのような任意保険の保険もない場合には、政府の保障事業を利用できる場合があります。

 政府の保障事業で治療をしている場合には、審査は自賠責調査事務所にすることになりますが、任意保険の場合、後遺障害等級の申請は、自社認定となります。自社認定とは、端的に言えば、自賠責に出さずに任意保険会社で等級を決定する方法です。よって、任意保険会社に後遺障害診断書や画像、診断書・レセプトをすべてそろえた上で提出することになります。

 ある相談者から指摘がありましたが、自社認定の場合、自賠責調査事務所のような第三者的(客観的)に等級を判断する機関ではなく、あくまで支払う側がする審査なので、公平に審査して頂けるのか不安があるとのことです。任意保険会社の担当者も専門的な判断が要求される場合、やはり、慎重になります。そこで、そのような場合には自賠責に諮問をかけます。

 自賠責に諮問をかけ、その意見によって等級が決まりますので、自社認定であっても、主治医にしっかりとまとめて頂いた後遺障害診断書や画像、必要な検査をした場合には、その検査表、診断書・レセプト等、自賠責調査事務所に申請をする場合と同じように書類等をそろえる必要があります。

 結局は遺漏なき提出書類の完備と、それに付随する十分な医療調査が必要です。どこで審査されようと、被害者側が損害を立証する基本は変わりません。  

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佐藤イラストsj佐藤です 意外なケースでした

 先日、弁護士さんから驚きの解決に至った事案の報告を受けたので、記事にさせていただきます。

c_y_164 本件の事案を簡単にご説明いたします。Aさんが営業車で外回り中に一時不停止の加害車両に側面衝突され、頚椎腰椎捻挫となりました。通常であれば、相手の任意保険会社に治療費を出してもらい、通院。リハビリに励み完全復活を目指し、症状が残るようであれば後遺症の申請?といったところでしょうか。

 しかし、今回は相手が無保険のため、任意保険会社がありません。運よく?Aさんは業務中であったため、会社から労災適用を許可してもらい、通院を続けました。

 その後、Aさんの自賠責と労災で後遺症申請をサポートし、両方とも14級が認定されました。危ういポイントがいくつもあったのですが、なんとか第一段階突破です。Aさんは仕事以外で車を使わない為、保険には加入していませんでした。幸い会社の保険があったので、上司を説得して、なんとか保険を使わせてもらえることになりました。「よかったぁ、これで無保険車傷害特約を使ってAさんにも慰謝料等がたくさん入り、いい解決になるなぁ。」と安心して弁護士さんにAさんをご紹介したのですが…。

 後日、弁護士さんから連絡がありました。「Aさんの件ですが、保険会社に確認したところ今回は無保険車傷害特約が使えないみたいですよ。」弁護士さんから資料をいただき、加入保険内容と約款を精査することに。なんと会社の保険には「傷害従業員就業中対象外特約」!!に加入していたのです。すぐにAさんに連絡して今回の報告をすると、「大事なときに使えない保険って意味あるのでしょうか。」・・確かにその通りです。本来であれば、人身傷害がない場合は「無保険車傷害特約」が付帯されているため、弊所も安心していたのですが、まさかこんな落とし穴が待っているとは…。

 しかし、気落ちしていてもしょうがありません。弁護士さん、Aさんと再度打合せを重ね、だめ元で加害者に直接請求をしてみることにしました。内容証明を打ち、しばらく様子を見ることに。すると1週間もしないうちに請求した金額を全額振り込んできたのです。弁護士さん曰く、「このようなことはあまり経験がない」との事でした。なにはともあれAさんは本件事故で満額の回収ができたので、Aさん、弁護士さんともに大満足の結果となりました。(請求額を満額払えるようであれば、任意保険に入ってくださいね。)  

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 続いて、JA(農協)、マイカー共済(全労災)の共済2社、通販社を見てみましょう。    内容的には国内社のBタイプとほぼ同じです。しかし、家族限定に関しては特約を設定していない会社(ソニー、チューリヒ)もあります。年齢条件不適用特約はあくまでイレギュラーな救済措置です。約款のどこにあるのか、探すのに一苦労でした。  

会社名

約款

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 まずは国内社からです。

 各社、概ねBタイプを標準としています。富士火災、AIU、全労災は古いAタイプを残したまま?と思います。それぞれ、内容・条件の違いではなく、約款構成・説明の違いです。

 ※ 家族限定(本人・配偶者限定)では2つの場面が想定されます。2段書きとなっている約款は、上段「本人限定で新たに配偶者・子供が増えた場合、本人・配偶者限定で新たに子供が免許を取った場合に、異動手続き漏れを救済する特約」と、下段「家族から外れた運転者が事故を起こした場合を救済する特約」です。

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 ご存知の通り、任意保険には「年齢条件」があります。高い年代ほど割引率が増し、掛け金が安くなります。 しかし、契約時に定めた年齢条件に合致しない運転者が事故を起こした場合、原則、保険金はでません。しかし、自動車保険の性質上、事故でケガをさせた場合の賠償金には一定の救済措置があります。ケガをさせられた方は、相手が任意保険の年齢条件に違反したことなど無関係ですから、保険が効かなかったら大変です。

 おさらい ⇒ 年齢条件違反でも保険は使える?

 それでは、一覧表に入る前に、久々に「年齢条件不適用特約」について、各社の最新約款を確認してみましょう。目まぐるしく改定の進む約款ですが、この特約は落ちついた感がします。しばらく改定はないでしょう。右側に家族限定等の不適用特約も加えました。 表を見る前にA、Bの内容をおさらいします。   A:『年齢条件特約の不適用に関する特約』

1.「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。 2.『対人賠償』と『対物賠償』のみ補償 3.「家族か否か」、「免許を取ってからの期間」などの条件はありません。 4.年齢条件に適合した本来負担すべき保険料と、実際に負担した保険料との差額に応じて保険金は減額されます。(全年齢と35歳未満不担保の掛金差はおよそ100:50なので、保険金も半分だけ払うイメージ) 5.最初から「記名被保険者・本人が年齢条件を満たしていない」契約の場合は、そもそも適用できません。   B:『運転免許取得者に対する「賠償損害」自動担保特約』

1.「新たに免許を取得した家族」が「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。適用には保険会社の承認が必要です。 2.補償の対象となるのは、 ...

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 産経ニュース、日経新聞の記事から    東京海上日動火災保険が、ハンドルやブレーキを自動操作する自動運転中の事故を自動車保険の補償対象に加えることが8日、わかった。

 来年4月から自動車保険の新規契約時や更新時の無料特約として、国内で初めて提供する。開発が進む自動運転車の普及を見据え、対応を進める狙いだ。補償は自動運転システムが誤作動や制御不能になった場合などを想定。ドライバーが全く関与しない「レベル4」を除く、レベル1~3の場合を対象とする。自動車会社や通信業者などの事故責任の最終的な特定の前に東京海上が保険金を支払い、特定が出来た段階で東京海上が業者側にまとめて賠償請求を行う。

 既存の自動車保険では運転者に過失がないケースでは保険が支払われないため、被害者が自動車メーカーなどに直接、賠償請求を行うしかなく、手続きなどの負担が大きすぎることが課題になっていた。   (11月8日 産経ニュース、日本経済新聞)

c_s_j_9  いよいよ実用化の自動運転車ですが、「車載のコンピューターの誤作動で事故が起きた場合、誰が責任をとるのか?」、この疑問が出発点です。業界に先駆けて、東海日動さんが先鞭をつけました。この特約は無料で付帯されるようです。誤作動を起こした自動運転車から事故に遭った被害者は、誰に賠償を求めるか(「加害運転者?それともメーカー?」)について、問題となっていました。この特約で第一に任意保険会社が担うことになります。これで、すみやかに被害者への救済がはかられます。次に、任意保険会社はメーカーに求償請求を行います。つまり、被害者側に立証の負担がなくなるのです。

 ちなみに自賠責保険の場合は、そもそも(自賠法3条から)加害者が「自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明」しない限り支払われるますので、法律上、メーカーが誤作動に責任がないと証明しない限り、保険適用は大丈夫です。自賠法はなにかと被害者に有利、東海日動が無料特約とした英断の根拠は、「まず、自賠で回収できるから」ではないかと・・・私達は職業柄、うがった見方をしてしまいます。

 自動車の進歩から、事故件数が減ったとしても、人間が運転する以上、事故は0にはならないでしょう。自動運転特約もこれからの補償です。おそらく、保険会社はメーカーのみならず、誤作動の責任の対象がソフトウェア会社やハッカーなど、求償先が多肢に渡り、(自賠責限度額を越えるような事故は)求償の負担が問題となるでしょう。結局、掛金に反映しそうです。

 今後も技術の進歩と、それに対応する保険に注目です。  

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 約款とにらめっこの8月でしたが、10年前と大きく違うことは・・各社、内容のバラつきが進んでいることです。

 保険会社は、昭和の時代から長らく「護送船団方式」と言って国の保護の下、「同じ内容・同じ掛金・同じ約款」で競争することなく、全社、守られてきました。その後、ご存知の通り、金融ビックバン・自由化を迎え、「自社の体力に応じて、補償内容・掛金を設定する」ことになりました。それでも、横並びが一瞬で解消することなく、同じような約款と大差のない掛金が続きました。

 しかし、近年、各社独自の特約の設定はもちろん、特に人身傷害特約での違いが顕著になりました。弁護士費用特約(以後、弁特)も然りです。 弁特は割りと簡素な約款でしたが、読み込むと各社、条件の違いが進行しています。    (例)タクシーやハイヤーなどのドライバーさんが仕事中、追突事故にあい、ケガをしました。相手との交渉を弁護士に依頼したいと思い、自身が加入しているマイカーの保険会社に問い合わせました。さて、仕事中の車両の事故でも弁護士費用特約は使えるのでしょうか? f_c_027

(答)このようなケースで弁護士費用特約が適用できるか? 約款を確認しましたが、免責規定に明記している会社もあれば、不明瞭な会社もあります。そこで、保険会社(サービスセンター)に直接聞いてみました。

1、ソニー ⇒ 「業務で使用する自動車は、常時使用する自動車となり、免責です。」

2、損保ジャパン日本興亜 ⇒ 「とくに免責事項になく、適応OKです」    私見では、「業務中および業務使用」の自動車にマイカーの保険が適用されるはずはない? との認識でした。しかし、このように保険会社によって違うのです。この違いが、保険約款の読み込みをより一層、ハードな作業にしています。    いずれ、「業務中および業務使用」の自動車に自家用車の弁護士費用特約が適用できるのか、について一覧表にしなければなりません。一覧表は弁護士さんから、非常にありがたいと好評ですので。  

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 続きまして、3メガ損保を比較してみましょう。まったくの横並びと思いきや、わずか違いがあるようです。もっとも、支払基準には社内マル秘運用マニュアルがあり、事案によって増減の調整があることもあります。そして、裁判となれば、和解・判決の額を渋々支払います。

 いずれも27.10改定約款を確認しました。地裁基準は「赤い本」です。

 かなり面倒、マメじゃないと出来ない作業です。   c_s_k_70

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