事故証明書の取得方法

 発行は警察ではありません。交通事故安全運転センターで行います。この証明書は事故の解決まで何かと必要になってきます。取得方法は3つあります。

① 郵便振替による申し込み

 郵便振替用紙に必要事項を記入のうえ、最寄りの郵便局(振替窓口)に手数料を添えて申込みます。専用の振替用紙は交番や警察署にあります。交付手数料は1通につき540円です。 申請書1通で、何通でも申し込めます。

② 直接窓口での申し込み

 交通事故安全センター事務所の窓口において、窓口申請用紙に必要事項を記入、手数料を添えて申込みます。交通事故資料が警察署等から届いていれば、原則として即日交付します。事故資料が届いていない場合は、後日、申請者の住所又は郵送希望宛先へ郵送します。

③ web請求 http://www.jsdc.or.jp/certificate/accident/index.html

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 交通事故の現場検証も警察官により完了しました。もし重症で救急車で運ばれ即入院となった場合の現場検証や供述の聞き取りは、後日行われます。後日の検証であっても、被害者と加害者の同時立ち合いが原則ですが、それが入院等で不可能な場合、それぞれ別に行うこともあります。

1、物損扱いと人身扱い

 事故証明書の右下に「人身」か「物損」かの扱いが記載されています。この違いについては読んで字のごとくですが、問題なのはどちらにするかの選択を迫られた時です。明らかなケガ人がいれば当然「人身扱い」ですが、ケガが軽い、念のため1回だけ診断を受けてこよう・・・実際このような場面の方が大多数と思います。その場合、立ち合いの警察官がどちらにするか聞いてくるのです。迷っているとお巡りさんは「とりあえず物損扱いにしておきます。人身にするなら後で連絡して」と去ってしまいます。なぜなら警察は人身事故として受理すると、自動車運転過失致傷罪、つまり刑事事件として捜査をしなければならず、実況見分調書・供述調書などの刑事記録を作成して、検察庁へ送付しなければなりません。刑事記録の作成は、司法警察職員という資格を持った警察官でなければならないため、立ち合った交通課の警官が資格がない場合や、書類の作成が面倒などの理由で敬遠されがちなのです。    また加害者側へのペナルティも関わります。物損扱いなら罰金や減点はありません。しかし人身となると「刑事罰」の対象となります。さらに免許の点数が減点される「行政処分」が課されます。これはこのシリーズ中、表にまとめますね。

 このように病院へ行くならなるべく「人身扱い」が良いのすが、何かと周囲の影響を受けます。

★ よくある間違い

 追突してしまいました。被害者は大したことはないようなのですが、後になって治療費を請求されるかもしれません。運転の仕事をしていることもあり、なるべく物損扱いとしたいのですが、人身事故扱いにしないと保険がでないと言われました。

 原則として、物損事故では保険会社の対人賠償は生じません。しかし人身事故と言っても数回の通院で済む軽傷事故が大多数なのです。すべて律儀に人身事故にしていては警察もパンクします。保険会社も杓子定規な対応はできません。そこで物損の事故証明に「人身事故取得不能理由書」を添付し、物損事故にとどめた理由を説明します。これによって治療費や休業損害など傷害の支払いを可能とします。これは自賠責保険の請求でも同じです。  人身扱いとしなかった理由の多くは「軽微なケガであったため・・」となるはずです。では大ケガの場合、問題が生じるのか?実際は後遺障害を残すような事故でも物損証明+人身事故取得不能理由書で通しています。これは調査事務所も審査する際、「今更、届出を変更できないし、事実障害があるのだから・・」としているようです。本音と建前の世界ですが、相当の治療が必要なケガの場合は必ず人身事故とすべきです。

人身事故取得不能理由書→http://www.jiko110.com/topics/syoshiki/higaisya_seikyu/1-12.pdf

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 先日、仲間のMC山崎先生から情報をいただきました。それはある保険会社の担当者さんが弁護士費用特約の支払いに対し、厳しい目を向けざるを得ない、不届きな法律家さん、事務所を名指しで挙げたことです。以前にも記事に取り上げましたが、「保険会社の特約があるのだから・・・」と無茶な請求、アンフェアな請求をする弁護士、行政書士が少なからずいるのです。 困ったものです。

 

弁護士費用特約が出なければ、後は保険会社に文句言ってね

 これはある行政書士事務所の対応ですが、被害者に弁護士費用特約が使えます(使える可能性があります)と言っておきながら、費用が出なくても責任は取らない、やり方です。

① 契約の際は「弁護士費用特約で私どもの報酬はまかなえますので」と言います。被害者は迷わず「お金がかからないなら!」と即断、契約します。

② 仕事の完了後、相手が保険会社なのだから・・と普通より高額の請求をします。

③ 保険会社が支払いを渋ると、

④ すでに委任請求(被害者に代わって請求しますので、自賠責保険金を事務所口座に振り込ませています)で保険金を握っていますので、そこから報酬を抜き取った差額を被害者に支払います。その際、「保険会社が払わないのが悪い、うちには責任ありません」の姿勢。

⑤ すると弁護士費用特約から費用が出ると思っていた被害者は怒り心頭、保険会社に文句を言います。

⑥ 保険会社にしてみれば、「当社の許可なく勝手に行政書士と契約された内容」など、守る必要はありません。

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 よくある質問の一つに完璧にお答えしましょう。  

Q:「後遺障害の申請をするのですが、相手の保険会社に診断書を出して任せてしまう方がよいのでしょうか?ネットで検索すると、被害者請求の方がいいと聞きますが・・・」

 

 事前認定とは、後遺障害診断書を相手の任意保険会社の担当者に提出し、審査機関である自賠責調査事務所へ送達してもらうことです。被害者請求とは直接、自賠責保険に被害者が診断書等、必要書類を提出することです。

 どちらがいいのか?これに対して、有利・不利などの単純な優劣ではなく、論理的に回答しなければなりません。被害者が客観的な情報から選択すべきと思うからです。まずは以下の表をみて下さい。  

事前認定

被害者請求

手続き面 どちらが簡単? 楽です。相手の保険会社が書類を集積して審査先である調査事務所に送ります。 ご自身で、診断書、画像、他、集めて回らねばなりません。 審査面 全件必須ではないですが「一括社意見書」が添付されるケースがあります。被害者にとって有利・不利な情報となるかは担当者次第ですが、被害者に不利な情報があれば漏らさず伝えるでしょう。

また、何か検査が不足していても、立ち止まって親切に教えてくれません。形式上の書類さえ揃えばさっさと提出します。任意保険・担当者の業務範囲では、後遺障害の申請内容など吟味する必要ないからです。 ご自身の障害について積極的に検査や画像を集めることになります。立証上、足りない検査があれば追加します。

また、熟知した専門家に依頼すれば、間違いのない立証作業が望めます。逆を言えば、低レベルの先生に任せると、単に書類を右から左へ、わざわざ被害者請求する意味などない申請となります。 保険金 自賠責保険金は? 自賠責で認定された保険金は任意会社が提示する賠償額に合意、つまり示談するまで、手にできない。 相手と示談する前に、自賠責保険金を手にできる。結果として、その後余裕をもって賠償交渉に臨めます。つまり長期戦も可能となります。 費用面 経費は? かかりません。相手保険会社が無料でやってくれます。 ご自身で動く場合は最低限の経費で済みますが、代理人(弁護士、行政書士)に依頼する費用がかかります。

   この表を示すと被害者の80%以上が被害者請求を希望します。ご自身に弁護士費用特約がついていれば、ほぼ100%が被害者請求を選択します。問題は費用対効果(業者に依頼するか否か、業者の選定)でしょうか。ちょっと考えればわかりますよね、被害者に保険金をなるべく払いたくない相手(保険会社)にその保険金が増えるかもしれない作業を任す?・・やはり気持ちのいいものではありません。相手任意社は露骨な妨害や不正などはしないでしょうが、少なくとも被害者の利益の為には頑張らないでしょう。あくまで事務的です。

 誤解のないように言いますが、どちらの手続きかで勝負が決まるということではありません。提出・審査先は同じ自賠責調査事務所です。審査結果は提出する書類の内容および、必要書類の完備次第です。それらが同一ならば結果は同じです。

 正しい等級は「間違いや遺漏のない診断書の記載内容と必要な検査資料の完備」にて決定します。しかし、現実は・・完璧に正しい診断書、不足のない検査資料が自動的に揃うことの方が少ないのです。協力してくれるであろうお医者さんは治すことが仕事、障害の立証など興味ないからです。そして、審査上、定型書類以外の情報がまったく検討されないわけではありません。意見書の存在も気になるところでしょう。

 ならば、自らの主張を徹底すべく、自ら書類集積・申請をしたいのが人情です。もしくは、精通した先生にお願いしたいのです。

 連携先の弁護士事務所はどちらかの派に分かれていますが、経験を積むと被害者請求中心になっていくようです。なぜなら書類を集める立証過程でいち早く認定後の交渉戦略を構想しているからです。申請前から障害の全容を把握したいのでしょう。このような先生は「等級認定が最初の勝負!」と石橋を叩くように慎重になります。そして、自ら書類を精査・集積する過程を通して自然と被害者請求中心になっていくようです。

 経済的な面も無視できません。症状固定後、被害者は治療費を絶たれます。仕事に復帰できなければ休業補償もなくなります。被害者さんは賠償金を得るまで長い交渉期間を待つ身なのです。先に自賠責保険金を確保する、このような権利を使わない手はありません。

 やはり、被害者は自らの窮状を明らかにする作業を人任せにするのは心配なのです。実際、被害者請求すれば調査事務所から追加調査や不足書類の打診が直接、自分もしくは依頼している弁護士事務所に届きます。調査内容にもよりますが、事前認定では多くの場合、任意社や病院に打診されて、追加調査の内容・進行が不明となります。この医療照会で勝負が決まることが往々にしてあるのです。

 相手任せ、不透明な手続き、それで認定結果に納得できますか?  

 一方、どっちを選択しても結果は同じですよ、被害者請求は面倒なだけです。」と依頼者を説得している弁護士も少なくありません。

 私はなぜこのように考える弁護士が多いか考えてみました。そこで思い当たるのが、このような考えの弁護士はほぼ保険会社の顧問弁護士、もしくは協力弁護士の経験者ではないか?です。

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 最近、弁護士費用特約についての質問が重なりました。どのような場面で使える保険か?少し約款に踏み込んでみましょう。

 まず、弁護士費用特約を簡単に説明します。

 交通事故で被害者となり、事故相手との交渉や賠償金請求行為をするために代理人を使ったり、公的機関を利用した費用について、自分がかけている自動車任意保険のこの特約からその費用が支払われるものです。  各社多少違いがありますが、限度額は以下の通りです。

弁護士費用

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 A君は早速、会社の事務に「自損事故保険が出るそうなので、手続きお願いします」と願い出ました。しかし事務の担当者も、「それ何ですか?良くわからないので・・・」困ったようです。そこで上司に同じようにお願いしても、「上に言っておくよ」と言いましたがそれっきり。会社はなんだかよくわからない保険だし、労災でA君を補償したのだし、障害で会社を辞めるようだし、・・・親身になってくれないのです。

 仕方ないので私が会社の担当者に説明を申し出ました。まずは会社の事務、続いてその上司に説明、すると会社の弁護士がでてきて、「労災で十分でしょ」と頓珍漢な対応、まったく自動車保険を知らないようです。まるでA君が会社相手に訴訟を起こそうとしているとでも思っているのか、変に力が入っています。

 弁護士を相手にしていてもダメなので、会社の保険を担当している代理店さんに話を通しました。自損事故保険については、さすがに代理店、多少(多少では困りますが・・)知っています。「早速保険会社に聞いてみます」と返答、そしてN保険会社も「出る可能性があります」との返答になりました。

 しかしさらに障壁、会社の部長が「会社に許可もなく勝手に保険を使っては困る!」そして「掛け金が上がるのでは?」と横槍です。会社には再三請求のお願いをしています。そしてすでに対人・対物賠償の適用・支払となっており、追加請求が出ても来年の等級ダウン、掛け金UPは決まっています。

 この部長にしっかり説明し、「会社には一切迷惑がかかりません」と約束し、理解を得ました。これでようやく保険の請求手続きです。 保険金請求書と後遺障害診断書を提出しました。

 障害の内容から後遺障害保険金10級280万円、入院1か月で18万円、通院40日で16万円、合計314万円となるはずです。しかしここに至ってもすんなり支払ってくれません。

N保険会社 担当者:「自損事故保険は相手の自賠責保険からの支払のない場合に支払われます。したがって相手にも過失の可能性があるので、ごにょごにょ・・・」

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 ハンドルを誤って崖から転落、電信柱に衝突などの自爆事故や、止まっている前車に追突してケガ=100:0(100%自分責任)事故などでは当然ですが相手からなんの補償もされません。そうなると自分の加入している保険からのでるものを探します。この場合、自動車任意保険からは自損事故保険(特約)が適用されます。しかしかなりの受傷者が保険をもらいそびれているのではないかと危惧しています。

 では実際にあった自損事故保険(特約)が適用されたエピソードで解説します。

 

 A君は運送会社の新米ドライバーで入社半年目、ようやく2tトラックの運転も慣れてきました。しかしあるときハンドル操作を誤ってセンターラインをオーバーし、対向車に衝突、右足首を骨折してしまいました。幸い対向車も大型トラックで、相手ドライバーも軽傷でした。  てこの2tトラックには会社で加入している任意保険があったので、ここから相手のケガに対人賠償を、相手の車の修理費に対物賠償をそれぞれ適用し、無事に解決できました。ただし、運送会社ではたくさんの車両に任意保険をかけているので、自動車保険を最低限に切り詰めています。相手への補償は対人:無制限、対物:1000万まで掛けていますが、運転者に対する補償である、人身続きを読む »

 最近の受任案件から、再度警鐘を鳴らします。

 交通事故のケガで後遺障害を残してしまうことは。人生最大級の痛恨事です。いくら加害者や保険会社を恨んでも、もう事故前には戻りません。しかるべく等級認定を受け、お金で解決するしかないのです。最初の関門である自賠責保険への等級申請について、初回申請の方と異議申立申請の方、それぞれの被害者と昨日、電話やメールで意見交換しました。

1、初回申請Aさん

 上がってきた後遺障害診断書をみると、一部不記載、関節可動域の明らかな誤計測がありました。どちらも等級の認定基準に関わることながら大勢には影響は薄いかな?と思っています。しかし初回で正当な等級にぴたっと収めるために、わずかな妥協が影響してはいけません。石橋を叩いて渡る慎重さも必要です。  症状固定後、仕事へも復帰し、再度の医師面談と診断書修正に対し、Aさんも及び腰です。しかし悔いのないように進めるために「一緒にもう一度医師面談をしましょう!」と説得しました。この病院は予約制でなかなか医師面談がかないませんので、まず医師に誠意を込めた手紙を書き、ご判断を仰ぎます。より良い診断書の完成に力は抜けません。後遺障害診断書の作成が勝負なのですから。

 初回勝負!はこちら側の事情ですが、審査する調査事務所も正確な審査をするため、正しい情報を必要としています。したがって正確な診断書を提出することは双方にとってよいことなのです。

2、異議申立てBさん

 無料相談を回りながら、ご自身で学習し、初回申請に臨みました。結果は非該当。しかし膝の痛みは受傷以来続いており、医師から手術の必要性すら示唆されています。

 この状態で私へ依頼がきたのですが、「なんでこのような重篤な症状で、きちんと検査もせず申請してしまったのですか!」と半ば怒ってしまいます。保険会社や医師に症状固定を急かされた云々・・・言い訳は続きます。厳しいことを言いますが、この被害者は交通事故賠償という戦いの初戦で「負けた」のです。勝手に自分で進めて、失敗してから専門家のドアを叩く・・・こちらとしては「私に最初から依頼しなかったのだから、最後まで自分でやって下さい」と喉まで言葉が上がってきます。

 Bさんはじめ異議申し立ての被害者は、この「負け」を認めることから再スタートです。中には「認定されなかったこと」を保険会社に対する恨みつらみに変えて、自身を悲劇の主人公のように思っている被害者さんもいます。このような方は冷静さを欠きますので、単なる自覚症状を羅列した感情的な異議申立文章になりがちです。新たな医証すら得ていないのに、延々と愚痴を並べても話になりません。これから数年、異議申立の連続となります。

 「負け」を「リベンジ」するためには、周到な準備と現実的な戦略が必要です。そしてある程度妥協も必要です。

 そのような事情から異議申立ては積極的に受任しません。Aさんのような初回申請の方を助けるために、日々全力疾走しているからです。幸い異議申立てを積極的に受任している専門家さんも多数ネットでみられるので、心配ないと思っています。

 交通事故賠償も「戦い」である以上、「先んずれば人を制す」の格言のとおりです。受傷から早期の相談をお待ちしています。  

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 昨夜は全国のMCとスカイプ会議でした。集合せずとも、様々な議案について同時に意見交換ができるので便利です。  それぞれ地域、環境が違う中、抱えている問題にも若干の温度差を感じました。その中で各地の行政書士会が推進するADRに話題が及びました。

 ADRとは「裁判外紛争解決手続」の略で、訴訟社会のアメリカでは広く知られています。アメリカは桁違いに訴訟が多く、裁判所の渋滞を防ぐため、軽微な紛争はこのような斡旋・仲裁機関での解決が必要とされています。これの日本版を行政書士会が認証機関となり主宰するのです。つまりもめごとの解決を当事者がADRに申し込み、そこで話し合いがなされ、合意された内容を公に認めるものとする働きをもちます。

 司法制度改革の一貫でADR法が制定されて以来、各地の行政書士会が続々と組織を立ち上げています。私の所属する埼玉会でも「行政書士ADRセンター埼玉」がこの夏、発足しました。奔走された諸先輩方には頭の下がる思いです。

 内容は民事部門で4つに整理されています。早速みてみましょう。

離婚

・離婚時の離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争

・離婚後に生じた離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争

※ 未成年の子供がいる夫婦の離婚は除く

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 毎回被害者さんに説明しています、「自賠責保険における後遺障害申請の流れ」を復習しましょう。    自賠責保険の契約手続きは通販を除く、任意保険会社と交わします。多くの場合、自動車購入時、車検時に自動的に契約しますので、任意保険ほど「契約した!」感はありません。

 交通事故の被害者が後遺障害を負った場合、相手の自賠責保険にまず等級の申請を行います。

 申請ルートは相手の任意保険会社を介した「事前認定」、被害者側で行う「被害者請求」に大別されます(稀に「加害者請求」、「仮渡金請求」もあります)。この申請書類は自賠責保険の引受会社・担当窓口に送られます。そこで提出書類のチェックを行い、不足・不備がなければ、「損害保険料算出機構」の下部組織である「自賠責損害調査事務所」に送致、そこで審査されます。

 そして結果は窓口である自賠責保険会社に戻り、そこから申請した被害者に通知がなされます。この通知は自賠法 16 条の 4 で「文章回答」が義務付けられています。

 自賠責側から見ますと、以下4段階となります。

 契約事務→保険金請求受付事務→審査は別機関→支払、認定結果通知事務

 自賠責保険は平成14年4月に国土交通省の管理運営を外れ、民営化されました。しかし昔も今も調査・審査業務は調査事務所です。上記の流れの通り、窓口業務を民間=損保会社が行うシステムの整備がなされた事、これが民営化の実質的な内容です。

   明日から実際の「文章回答」を載せます。今日の日誌はそのシリーズのプレリュードのつもりで書きました。被害者はもちろん、この業界の皆さんも興味津々、自賠責保険の回答パターンを特集します。一緒に考察しましょう。

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 会議や打ち合わせが今週末~来週と続きます。この半年、交通事故被害者救済業務に携わる仲間が劇的に増えました。多くは志を持った弁護士、行政書士ですが、資格自体は許可証のようなものです。当然ながら資格で許可される業務権限を守ることは基本です。しかし現実は無資格者である保険会社が「この国の交通事故解決の第一人者」であることは周知の事実です。保険会社の活躍で大多数の軽微な事故は穏便に解決されているはずです。

さて、現在多くの法律事務所が「受傷初期からの対応」「事故が起きたらすぐ相談して下さい」とスローガンを打ち出しています。以前のように、「後遺障害が残ったら相談して!」「等級が取れてから来て!」と限定的な対応しかしなかった事に比べ隔世の感があります。

さて一口に初期対応と言ってもどのような業務となるでしょうか?これが私が交通事故業務を始めるにあたって、20項目を整理した事に戻ります。その受傷直後の項目について復習してみましょう。  

1.

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 償いの為の賠償保険(対人賠償保険・無保険車傷害特約)

・・・裁判となったら判決された賠償額を払います。 teresa  契約する際、定額補償を約束した傷害保険(人身傷害特約)

・・・契約時に定められた金額、基準にて支払います。 続きを読む »

 再開します。

 傷害保険として自社基準で支払いたい「人身傷害保険」。各社約款の修正、その前に運用基準の明示に入りだしました。  

A、後遺障害を伴わないケガについてはこちらを優先適用します。  人身傷害の支払基準は約款にほぼ明示されています。各社対人賠償の基準に準じていますが、その対人賠償と同じく、後遺障害を負った被害者に対する逸失利益の計算などは約款上、「被害者の障害の部位・程度、年齢、職業、現実収入等を勘案して決定します」としています。したがって担当者がそれらを考慮して決定するのです。この決定に関わる細かなルールを運用基準(影の支払基準)としています。私も会社のサービスセンター(保険金支払い係)研修の際、この「運用基準を見せて」とお願いしましたが、「これは社員でも担当以外は見せられない」と拒否されました。これは保険の自由化後の現在でもマル秘ファイルであることは変わりません。  対人賠償や人身傷害の積算(損害額の計算)の際、この運用基準は用いられます。逸失利益だけではなく、慰謝料や休業損害、その他多肢にわたるはずです。支払保険金の削減が至上命題である担当者にとって、この運用基準の中で保険会社有利に計算することで支払額の抑制が容易に可能となります。

 さらに無保険車による受傷で自分の任意保険に請求する際、「後遺障害を伴わないケガについては人身傷害保険で」とのルールが運用基準に存在し、それを証券、パンフレット上にも明示したと推察できます。無保険車傷害特約を請求する際、各社口をそろえて「人身傷害保険で支払います」と回答し、「人身傷害が優先です!」との社内ルール(運用基準か?)を押し出してくることからそう思うのです。一方、契約者が請求したい特約を自ら選べないのはおかしな印象を受けます。 

 もっとも後遺障害を伴わないケガの場合、3000万円を超えるような損害はほとんどありえません。実際の運用上、的を得たルールです。しかし、無保険車の相手に対し、後遺障害が残らないケガでも裁判をする場合もありえます。判決された賠償額について、相手の支払い能力がないため、自分の任意保険会社に請求するとします、その場合「後遺障害がないのでAのルールを適用します。したがって任意保険会社の基準で支払います」となり、裁判の判決額は払えない事になります。

             

 これでは困ります。やはり両保険が併存して契約されている限り、永遠にこの問題が付きまといます。          

 そして、先進的に約款改定を行う東京海上、損保ジャパンは、思い切った修正をしたのです。

                                          つづく

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 昨日は日米・交通事故賠償の土壌の違いを挿入しました。アメリカでは保険会社の独自基準より、代理人弁護士による裁判基準が幅を利かせているのです。州によっても差がありますが、被害者が直接、保険会社と示談し、保険会社の基準額で解決することは一般的ではないのです。対して日本は某損保会社の数字を見ると84%が保険会社対被害者、もしくは保険会社対保険会社の示談で解決しています。

 84%・・・つまりこの国の交通事故賠償はほとんどが保険会社主導なのです。裁判や弁護士の交渉なんて、めったなことでは起きない少数例と言えます。かと言って、アメリカの「訴訟社会」を礼賛しているわけではありません。なんでもかんでも紛争を拡大し、賠償金を吊り上げ、自らの収入UPを考えている弁護士が多いアメリカはぞっとします。しかし日本の極端な「保険会社主導社会」が健全なのでしょうか。

 「保険会社主導社会」、これをどう判断するか?  

保険会社=「紛争の拡大・高騰化を防ぎ、社会秩序の安定に寄与している」   

被害者=「保険会社の囲い込みに蹂躙されている」   

 この立場を違えた評価はどちらが真実なのか、それとも陰陽、2重の側面なのか・・・

 保険会社にとって自社基準で支払う事が当たり前であると同時に、裁判規準などとんでもない話なのです。弁護士を介さず、自社の対人賠償の担当者で示談をしたい、無保険車障害特約は使わずに人身傷害保険で支払いたい、このように自社基準での「囲い込み」が至上命題となります。  

 無保険車傷害特約シリーズ、ついに核心に近づいてきました。

 つまり無保険車傷害特約と人身傷害保険はその出自(誕生の経緯)と併存(途中から人身傷害保険が輸入され、1つの保険に2つとも含まれた)から、日本の賠償基準がダブルスタンダード(裁判基準と保険会社基準)で、その両者の乖離が極端(支払い保険金が何倍も違ってしまう)であることを大々的に示してしまったのです。そして何より、どちらに請求するかによって支払い基準の差でたいへんな損得が生じてしまう!

 これに気づいた保険会社は約款の修正に入りだしました。

 いよいよ自動車保険最大のタブー、多くの論点に紆余曲折しつつも収束に向かいだします。  つづく  

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 アメリカの自動車保険事情を簡単に言いますと、訴訟社会であるが故、賠償保険が絶対的に必要です。そして無保険車が多く、ぶつけてきた相手が十分な保険に加入している、もしくはしっかり補償をしてくれるなど、まったく期待していません。移民も多い多国籍国家なので、日本と違い他人への信頼度が低いと言えます。したがって自身の補償保険も必須です。

 加入率ですが、都市部では70~80%、一方地方は加入率も当然低く、30%を切る州もあります。これは州によって最低保険の加入額や関係する法律に違いがあることが一因です。

  <一般的な内容>

■ Liability Coverage(≒自賠責保険)

 日本のように自賠責保険加入が車検の絶対条件としていません。それに代わる制度として自動車の登録・更新制度があります。更新料(Renewal Fees) の支払いとともに、スモッグチェック証明書(Smog Certification)、自動車損害賠償責任保険(Liability Insurance) に加入していることを証明するもの(evidence)を提出しなければなりません。多くの州で2年更新です。

 この強制保険には最低補償額が設定されており、それに満たない運転者には罰則で対処しています。カリフォルニア州では対人は、事故1件、1人の死傷に対し15,000ドル。2人以上に対して30,000ドル。対物として5,000ドルです。

■ Bodily Injury Liability (対人賠償)

 自動車事故により他人を死傷させた場合に、医療費や休業補償をするものです。相手が死亡する、後遺障害を負った場合、十分な額が必要です。

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 続きます。

 先週「(無保険車傷害特約の)裁判基準」か「(人身傷害保険の)保険会社基準」と書きましたが、これは正確ではありません。約款上、無保険車傷害特約も人身傷害保険もそれぞれに保険会社の支払い基準が記載されています。

 しかし、過去私が携わった、もしくは承知している無保険車傷害特約の請求は3件ですが、すべて保険会社は裁判で決まった賠償額を(渋々)支払いました。対して人身傷害特約の請求では「約款に書かれた基準で!」とかなり強硬です。この二つの保険の支払対応にはかなり温度差があります。

 なぜでしょう? これは自動車任意保険の誕生の秘密にさかのぼります。やや私の推論も含みますがお聞きください。

 加害者の賠償責任の肩代わりにより、交通事故被害者の救済を果たし、社会の安定を目指す。・・・このような社会的ニーズから自動車任意保険の販売は認可されました。社会的責任の強い商品であるからこそ、発売当時は「全社同じ内容、同じ掛け金、同じ支払基準」で販売されました(これは平成10年の自由化で撤廃されました)。その政府の認可に至る過程で、以下のような理屈が浮上しました。

 「対人賠償の掛け金を払って被害者の救済に備える契約者が、もし逆に保険を掛けていない(支払い能力もない)相手の自動車事故で被害にあったら?」

 

⇒「自分は相手に対して補償を備えているのに、無保険車に被害を受けて補償が得られない。これは不公平ではないか!」  

⇒「では対人賠償をかけている人にも救済が図れるよう、自動的に無保険車傷害特約を適用しましょう。」

 

 これは保険に「公平の原則」という崇高な理念が織り込まれているからです。

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(Q2) Aさんに昨日の「パターン1」での解決を説明しましたが納得できないようです。 「自分が悪くないのに、自分の保険を使って解決することは理不尽だ!何より無保険の上、まったく責任を感じていないBさんを許せない!」 

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 人身傷害保険について基本的な内容、特徴を抑えましょう。この保険を理解しないと明日以降わからなくなってしまいますよ。  

補償内容

 人身傷害補償保険では、けがによる治療費の実費や、働けない間の収入、精神的損害を幅広く補償します。また、会社によっては自動車による事故だけでなく、犯罪被害事故の補償もカバーします。

 

1、契約している自動車に乗っている時に事故に遭い、ケガをした。特約によってこの1の補償のみに限定することができます。

 

2、他の自動車に乗っている時に事故に遭い、ケガをした。(ただしその車についている人身傷害保険が優先的に適用されます)

 

3、歩行中、自転車搭乗中に自動車との接触事故に遭い、ケガをした。

 

4、バスや電車、船、飛行機等の交通乗用具に搭乗中、ケガをした。なぜかエレベーター搭乗中も含みます。

 

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 これから自動車保険の深部に踏み込みますが、まず自動車保険の基本的な理解が必要と思います。今更ながらですが、少しお付き合い下さい。

 自動車保険は<賠償保険>と<補償保険>そして<特約>の3つから構成されています。

<賠償保険>

■ 対人賠償責任保険  

 自動車を運転していて誰かをケガさせた。その金銭的償いと代理交渉をします。

■ 対物賠償責任保険

 自動車を運転していて誰かの物(自動車をぶつけて)壊した。その金銭的償いと代理交渉 をします。 <補償保険>

■ 人身傷害保険

① 運転者、同乗者が契約している自動車に乗っているときにケガをした場合、実際にかかった金銭の補償をします。

② 契約者とその同居の親族が歩行中や自転車走行中に他の自動車と事故になったとき、他の自動車に乗っているときにケガをした場合、実際にかかった金銭の補償をします。

③ 契約者とその同居の親族が自転車や他の乗り物(電車、バス、飛行機等、主に公共交通機関)に乗っているときにケガをした場合、実際にかかった金銭の補償をします。

★ ①②③すべて含むのが原則ですが、①のみ選択した契約も可能です。また③は各社廃止の傾向です。

■ 搭乗者傷害保険

A: 運転者、同乗者が契約している自動車に乗っているときにケガをした場合、死亡の場合、死亡金額、後遺障害の場合その等級による金額、入通院の場合、部位や重さにしたがって定額でお金がおります。

B:運転者、同乗者が自動車に乗っているときにケガをした場合、死亡の場合、死亡金額、後遺障害の場合、その等級による金額、入院や通院の場合、その日数×保険日額で計算してお金がおります。

★ 契約の際、AかBの選択となります。またAのみ販売の会社が多くなっています。またAの死亡・後遺障害を含めない契約も増えています。               続きを読む »

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