内臓の障害は珍しい部位になります。内臓損傷は手術対象で、軽度の損傷はわりと手術で治るものです。

 本件は少し説明が要ります。横隔膜が事故外傷によって、下部へ突出(ヘルニア)し、小腸に圧迫したことから腸閉塞(イレウス)を併発、小腸の部分切除となりました。二次的な病変とも言えますが、骨盤を骨折していたことや、初期の診断書の記載内容から因果関係に問題は生じなかったようです。それにしても、事務所にとって貴重な経験となりました。

勉強に勉強の毎日です

13級11号:外傷性横隔膜ヘルニア(70代女性・静岡県)

【事案】

自転車で走行、道路を横断しようとしたところ、右方から自動車が衝突、受傷した。全身を強打し、頭部骨折、くも膜下出血、肋骨骨折、骨盤骨折した。複数の障害認定となったが、本件では、外傷性横隔膜ヘルニアについてまとめる。

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 未投稿であった上半期の認定例を紹介します。バラエティに富んだ部位が目白押しです。

 閲覧者の皆様のご参考になれば幸いですが、参考に留まらず、お声がけ下されば全力でサポートします。早期の相談だけでもお願いします。

山本、東京=大阪を往復、両手首の立証に成功!  

併合9級:右橈骨遠位端骨折10級10号・左有鈎骨骨折12級6号(40代男性・東京都)

【事案】

オートバイ走行中、交差点で対抗右折自動車と衝突、その衝撃で道路左側に逸脱、転倒したもの。直後から、両手首、左膝、右足首、臀部に強烈な痛みが生じる。

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保険会社の立場も分かりますが・・    先日、依頼者様が通院する個人整形外科に伺ってきました。その整形外科は以前に別の依頼者の件で大変お世話になったのですが、少しご無沙汰にしていると営業方法が少々変わっていました。

 まず、交通事故で通院される場合には、初診時に「保険会社からの支払いが止まった場合には、患者様から自由診療でお支払いしていただきます」という旨の念書に署名しなければ治療を受けることが出来ないというものです。後日、医療事務長の方にお話を伺ったところ、「保険会社が遡及して打切りを行ったため、支払予定だった機関の治療費請求が宙に浮いてしまったことがあったのです。患者さんには高額すぎて支払えないと言われてしまい、結局回収できなかったのです。」と大変憂いておりました。

 保険会社にも言い分はあるでしょう。患者さんの対応や医療照会を行った結果、治療に疑念を感じることも多いかと思います。しかし、治療費一括支払いは保険会社と病院、患者との信頼によって成り立っているのです。もちろん、お金を支払うのは保険会社ですから、病院も最後には従う他ないのです。

 現在依頼を受けている案件でも、同じようなことが起こっております。治療を継続していたのですが、保険会社から「弊社としましては、その一ヶ月前までしか治療費をお支払いできないことになりました。」との連絡があったそうです。急いで、健康保険適用の手続きと、病院へ事情を説明し、支払いについて待って頂いている状況です。

 本来であれば、まず患者が治療費を支払い、その領収書を保険会社に送付して求償するという方法が正しいと思います。しかし、治療費も高額で手続きも面倒なため、被害者救済という観点から保険会社が一括支払いを行ってくれているのです。被害者にとってはとてもありがたいことなのですが、そのような問題を残している事も事実です。現に大きな病院では、一括支払いを受け付けておらず、自由診療で患者本人から支払いを受けるところも増えてきています。大きなけがになればなるほど、治療費の額が大きくなるため、病院としても治療費の回収に難儀しているようです。

 このようなお悩みをかかえている被害者や病院も多いことでしょう。この文章がそのような方々に届くことを祈っております。  

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 学生時代は勉強嫌いで、60分も机に座っていること自体、苦痛でした。

 そのツケが回ったのか、現在、毎月のように首都圏各地でセミナー、研修会を実施しています。学生時代と違いは、講義する側になったことでしょうか。本日も、地元である越谷市で1時間ほどお時間を頂き、「人身傷害・約款、各社の違いと対策」をテーマとしました。

 本HPでも、平成24年2月最高裁判決以後の各社の約款改定に注目し、適時、取り上げてきました。現在、保険会社の、あるいは人身傷害の迷走は一応、答えを定めた感があります。各社の約款は大きく3グループに分かれたと言ってよいでしょう。その3グループの約款にもそれぞれ問題点があり、それに対する対策を間違えれば、被害者さんは大変な損となってしまいます。   (A)平成24年2月最高裁判決を受け入れ、人身傷害の請求の時期に関わらず裁判基準を認める、整合性を持ったAグループ。⇒ 過去記事 (SJNK、朝日、セコム、セゾン、ソニー、そんぽ24)

 ただし、裁判せねばダメなのか・・

   (B)頑固に保険会社基準を押し通そうとする、困ったBグループ。

  “人身傷害のゾンビ約款”と呼んでいます。⇒ 過去記事 続きを読む »

 浜松出張は今年に入って2度目でしょうか。     高次脳機能障害の案件ですが、東海地区でも高名なDr.に面談しました。初めてお会いするDr.ですが、さすがの一言です。わずかの会話で課題克服、5分で話が終わりました。後は必要な資料と診断書類を提出するだけです。

 高次脳機能障害を熟知している医師との打合せに、冗長な面談など必要ありません。患者さんの診断に付き添い、必要な情報を伝え、的確な回答と協力を得るだけ、つまり、話が早いのです。 すべての高次脳機能障害・患者が、このような専門医に巡り会うことが出来ればよいのですが・・。    6月は、高次脳機能障害の申請が早くも3件ありましたが、それぞれに苦労がありました。本件は主治医のおかげで、医証回収については問題ないようです。しかし、本件は相手が無保険です。裁判基準での全額回収まで、連携弁護士と緻密なミッションが続きます。     

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 8月末の弁護士研修会のゲスト講師の先生も決まり、近日にはご案内できると思います。毎年参加されている弁護士先生はもちろん、新たに参加される先生にも、自信をもってお勧めできる内容を準備しております。

 また、今月からの交通事故セミナーも茨城を皮切りに、7月は千葉、静岡、山梨、神奈川と続きます。    それにしても、各地の法律事務所さん共通の感触ですが、交通事故の相談・依頼が全体的に落ち込んでいるとのことです。盛況、もしくは変化なしとの事務所はなく、一様に地盤沈下の様相です。原因は交通事故の数自体が年々低下の傾向で、尚且つ、この数年で弁護士の参入が出揃い、競争の激化から交通事故被害者が分散した結果と言えます。突出して1人勝ちしている事務所はないようです。

 これは数年前から予想していたことで、特別驚くことではありません。どの産業でも繰り返すルーティンです。その中で、大予算をかけたネットでの宣伝攻勢が可能な大型法人事務所の優位は続くでしょう。より苦境を強いられるのは中間層、弁護士10人前後の法人事務所ではないでしょうか。弁護士3人までの小人数事務所は受任数がそもそも少なく、大きな減収は無いと思います。宣伝予算では、リスティング広告の費用が年々上昇、予算を吊り上げようにも、資金力には限界がありますので、体力の無い事務所からこのチキンレースを降りていくでしょう。

 すると、最後にはやはり、交通事故分野での回収力、リピート力がものを言います。中小事務所にとって試されるのことは・・迅速に良い解決を図り、高収益を上げ、尚且つ、顧客満足力から紹介の連鎖を呼ぶことです。つまり、事務所の実力がじわじわと影響してくるはずです。目先の利益のみ追いかけ、効率化だけを追求する手法は、宣伝力=資金力のある大手しかできません。その点、判例に載るような仕事をこなし、丁寧に顧客対応を続け、依頼者の満足を満たしている事務所は生き残ると思います。対して、大手のような予算も無く、後発で交通事故に乗り出したものの、ノウハウに乏しく、解決まで時間がかかり、大した結果も得られず、顧客からのクレームも多く、紹介などほとんどない、さらにリスティングの予算も限界の事務所・・これでは、早晩、撤退でしょう。

 そのようなプロセスを見るまでもなく、行政書士は真っ先に撤退組になりました。実際、ここ数年前の交通事故バブルに乗っかった行政書士は次々にネットから消えています。消えていなくとも、HPの更新もせずに放置状態ばかりです。ほとんど、ネットでの依頼はないのでしょう。遠因ですが、賠償交渉に手を染め、弁護士との業際問題から撤退せざるを得なかった書士が多かったことが根底にあります。行政書士の資格を取っただけで、なんら交通事故の知識もないのですから仕方ありません。職分である「事実証明」に叶う仕事、例えば医療調査や後遺障害の立証を果たす能力・経験を伸ばすことができた書士は、国内でほんの数人レベルと思います。多くは、医学書を買い集めて満足、実務はもっぱら交通事故110番の本をガイドブックにしているだけです。したがって、赤本片手に賠償金の計算をするだけで金になる、対保険会社、対紛争センター向けの賠償交渉に手を染めます。

 結果として、弁護士から信任を得られず、利用価値もなく・・協業でなく競業の状態に陥ったのです。そして、弁護士の本格的な大量参入の結果、行き場所が無くなりました。交通事故業界で一定の地位を築けなかったことは、非常に残念です。

 適者生存の法則・・ダーウィン 「体の大きな、強い動物が生き残ったのではない。環境に適応した動物が生き残ったのだ。」

 この業界も同じく、適者の生き残りを迫っています。 弊所の業務もニッチな分野であるがゆえ、今までも秋葉でなければできない仕事が目白押しでした。少なからずニーズがある限り、命脈を保つと確信しています。そして、ニッチ分野であるかもしれない、交通事故・後遺障害の立証は、実は交通事故解決において最重要項目であることが、いずれ一定の認識を得ると期待しています。

 日々コツコツ、求めに応じた業務を重ね、有為な人材を採用・教育し、常に研鑽を積む姿勢は不変でいたいものです。

 事務所のハイビスカスは毎日のように開花を繰り返しています。開いては散り・・生き物に新陳代謝はつき物です   

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 頭部のケガや脳内出血があれば、高次脳機能障害を疑います。当然に家族が症状を訴えますので、高次脳の立証が主作業となります。しかし、本件は高次脳機能障害が主役とならず、その他の障害の立証に作業が集中しました。額の骨折で陥没がみられましたが、微妙でしたので、外からの写真と内部からのCT画像を比較できるよう、ビジュアル的な手法を用いました。なんといっても、7級がかかっていますので力が入ります。それに比べ、やや易怒性がみられる程度で、家族もさほど深刻としていない本件の高次脳認定は、結果的に併合等級一つ上げる効果となりました。

高次脳の案件もバリバリやっています!

9級10号:高次脳機能障害(70代女性・静岡県)

【事案】

自転車で走行中、道路を横断しようとしたところ、右方からの自動車と衝突、受傷した。全身を強打し、顔面骨折、くも膜下出血、肋骨骨折、骨盤骨折となった。

【問題点】

高齢から治療は長期化したが、高次脳機能障害をスルーするほど、他の症状がより重く、数が多い。

あえて、高次脳機能障害を挙げれば易怒性か。面談時は穏やかにお話しができたが、家族の話では事故後、怒りやすくなったことを確認した。病院同行にて主治医に話を聞くが、易怒性などの情動障害については、日常生活上、問題ないレベルと診られていた。

【立証ポイント】

高次脳機能障害がメインの障害とならない珍しいケースである。上記主治医とは別に、リハビリ先の別の病院の主治医に後遺障害診断書を書いて頂くことになった。高齢者であるため、神経心理学検査は限られ、ミニメンタルステート検査等のみとなり、易怒性など検査上数値として現れにくい点については、いつも通り日常生活状況報告書で説明した。結果、高次脳機能障害は微妙ながら9級10号の評価となった。

本件では、前額部陥没骨折の7級12号が主訴となり、これまたレアな障害である外傷性横隔膜ヘルニアの14級9号を追いかける作業に終始した。これらを併せて、最終的に併合6級とした。  

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 高次脳機能障害では、毎回、難しいご依頼が続いていますが、本件も記録と記憶に残る立証作業となりました。    当たり前ですが、後遺障害とは、「ケガが治らず、症状が残存したもの」を対象としています。そして、それは現在、生きているか否かは関係ありません。しかし、死亡後は本人の診察も検査も出来ないわけですから、生前の記録しか頼れません。その点、本件ですが、自賠責は書面審査を原則としていますので、十分勝算ありと踏みました。    それでも、雲を掴むようなもどかしさの中、1年間、家族と共に奮闘しました。審査側も推認の部分が大きかったと思いますが、自賠責の好意的な調査・判断には感謝しています。

   タイムマシンと言えば、デロリアン(お台場ヴィーナスフォート)

 

死亡・非該当⇒別表Ⅰ 2級1号:高次脳機能障害(80代男性・東京都)

  【事案】

自転車で道路を横断中、自動車と衝突、救急搬送された。診断名は、頭蓋骨陥没骨折、脳挫傷、急性硬膜下血腫、くも膜下出血。脳出血は止まり、安定をみせるも嚥下障害があり、胃ろう(胃から管を通して栄養接収する)造設となる。

その後、体力の回復に従い、ひどいせん妄(脳のダメージで興奮状態となり、暴れや暴言)を発症した。

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 多くの弁護士事務所が苦慮していること・・それは、受傷直後の重傷者から依頼があった場合、その長い治療期間から、賠償交渉に至るまで待つ事ではないでしょうか。

 それが2年3年ともなれば、その間、多忙な弁護士先生が定期的にフォローしていくことは、実に大変だと思います。場当たり的なアドバイスでは、治療中の様々な局面での手伝いが及ばず、後遺障害の申請作業では、何度も病院同行できるのか心配です。

 その点、受傷直後に相談を受けた本件弁護士事務所は、迷わず秋葉に預けて下さいました。その結果は以下の通りです。秋葉事務所とのコンビで、解決まで理想的な進行となります。

任せて!

3級3号:高次脳機能障害(30代女性・千葉県)

【事案】

通勤帰宅中、原付バイクで交差点を直進のところ、対抗右折自動車と衝突した。脳挫傷、硬膜下血腫、くも膜下出血の診断で、救急搬送後、開頭手術で命を取り留めた。

その後、記憶障害、言語障害、注意機能障害、開口や嚥下にも異常があり、味覚・嗅覚の喪失も確認できた。また、てんかん発作もあり、長期のリハビリとてんかんへの警戒が続いた。

【問題点】

受傷一ヵ月後から、弁護士経由で受任となった。急性期治療が済めば、高次脳機能障害の評価ができる適切な病院を選び、リハビリと各種検査を進める必要がある。

また、てんかんの危険があるため、早期の症状固定は躊躇われた。続きを読む »

 高次脳の認定が続々届いています。ここで、今年上半期の4件を紹介します。  

 いずれの依頼者さんも長いお付き合いになっています

   高次脳機能障害の評価・リハビリが出来る病院は限られています。地域ごとに拠点病院が存在しますが、そこに運よく担ぎ込まれる患者はいません。その拠点病院の役割は主にリハビリなので、急性期の治療、手術は地域の大きな病院となります。頭部や脳への受傷となれば、救急車も脳神経外科のある大病院に向かいます。

 しかし、その後、高次脳機能障害の立証を進める上で、急性期の病院が最大の障壁となることが往々にして起こります。急性期治療の目的は、命を助けることです。その後は回復期リハビリに移行します。仮に、半身麻痺や言語障害があれば、どんな医師での障害の存在を認識します。しかし、高次脳機能障害で起こる記憶障害や性格変化など、家族以外にははっきりわかりません。また、一連の症状は急性期治療を担当する医師のフィールド外であり、軽視されがちです。

 本件も主たる治療先の診断能力と無理解から大ピンチに陥りました。とりわけ、高齢者の障害立証は迷走します。等級は当たり前に認定されるわけではないのです。  

別表Ⅰ 2級1号:高次脳機能障害(70代男性・神奈川県)

【事案】

デパートの屋上駐車場内を歩行中、前方不注意の自動車の衝突を受け、頭部を受傷した。主な診断名は、頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫、くも膜下出血。救急搬送後、脳出血への対処から地元で有名な大学病院に急ぎ転院した。

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【事案】

自転車で走行中、道路を横断しようとしたところ、右方からの自動車と衝突、受傷した。全身を強打し、顔面骨折、くも膜下出血、肋骨骨折、骨盤骨折となった。

【問題点】

面談当時、事故から額が陥没したことをご家族ご本人から伺った。見たところ凹みは確認できるが、外観上、元からと言われても違和感がない微妙な状態であった。

【立証ポイント】

額の凹みが受傷後からであることを立証するため、ご家族に事故前の写真を探して頂いた。最近に写真を撮っておらず、家族以外のサークルやご友人にも、写真を広く探して頂いた。幸いご友人との会合中の写真を見つけることに成功した。これで、受傷前後の比較が可能となった。

さらに、内部的にも頭蓋骨のCT画像を打ち出し、陥没骨折の様子を内側・外側の両面から明らかにする資料を作成した。その後、自賠責調査事務所の面談を経て、外貌醜状の陥没痕で7級12号が認定された。

 (参考画像)

本件では、他にも高次脳機能障害で9級10号、外傷性横隔膜ヘルニアで14級9号がそれぞれ認定され、併合6級となった。

※ 併合の為、分離しています。

(平成29年3月)  

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 事務所の窓際に赤い夏の花。    たった一輪で事務所が南国気分です。これから次々と開くでしょう。   

 今朝は急ぎの事務が立て込んで・・記事だしできず、すみません。今週も事務所一同、頑張ります!   

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【事案】

自転車で走行中、道路を横断しようとしたところ、右方からの自動車と衝突、受傷した。全身を強打し、顔面骨折、くも膜下出血、肋骨骨折、骨盤骨折となった。

【問題点】

高齢から治療は長期化したが、高次脳機能障害をスルーするほど、他の症状がより重く、数が多い。

あえて、高次脳機能障害を挙げれば易怒性か。面談時は穏やかにお話しができたが、家族の話では事故後、怒りやすくなったことを確認した。病院同行にて主治医に話を聞くが、易怒性などの情動障害については、日常生活上、問題ないレベルと診られていた。

【立証ポイント】

高次脳機能障害がメインの障害とならない珍しいケースである。上記主治医とは別に、リハビリ先の別の病院の主治医に後遺障害診断書を書いて頂くことになった。高齢者であるため、神経心理学検査は限られ、ミニメンタルステート検査等のみとなり、易怒性など検査上数値として現れにくい点については、いつも通り日常生活状況報告書で説明した。結果、高次脳機能障害は微妙ながら9級10号の評価となった。

本件では、前額部陥没骨折の7級12号が主訴となり、これまたレアな障害である外傷性横隔膜ヘルニアの14級9号を追いかける作業に終始した。これらを併せて、最終的に併合6級とした。

(平成29年3月)   

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【事案】

自転車で道路を横断中、自動車と衝突、救急搬送された。診断名は、頭蓋骨陥没骨折、脳挫傷、急性硬膜下血腫、くも膜下出血。脳出血は止まり、安定をみせるも嚥下障害があり、胃ろう(胃から管を通して栄養接収する)造設となる。

その後、体力の回復に従い、ひどいせん妄(脳のダメージで興奮状態となり、暴れや暴言)を発症した。

【問題点】

せん妄から、暴言、乱暴、破壊行動があり、病院を追い立てられるように退院、転院先のリハビリ病院でも異常行動が続いた。医師からは、事故前からの認知症状が急進行したと認識されていれた。その後、急激に体力が低下、事故から半年を待たず、亡くなってしまった。診断名は肺炎による心不全だが、事故との因果関係なく「老衰」と診断された。

家族は「死亡は事故によるもの」と主張し、相手保険会社と対立、弁護士に依頼した。受任した弁護士は自賠責保険に死亡保険金の請求を試みるも、非該当の結果。これを受けて、弁護士から秋葉事務所へ相談となった。弊所は生前に「高次脳機能障害になった」との観点から、後遺障害での再請求を計画した。

つまり、既に亡くなった被害者さんに対して、”事故から亡くなるまでの6ヶ月間の後遺障害”を立証するミッションとなった。   【立証ポイント】

まず、すべての病院のカルテの検証から始めた。経験上、暴れるなど問題のある患者に対して、病院の目は冷たく非協力的となる。本件でも病院の協力を取り付ける苦労が続いた。とくに、診断書の記載について、当時の主治医に面談を申し入れたが、医師だけではなく病院スタッフ同席のもと、録音下での面談となった。これは、死亡事案であるゆえ、病院側が医療過誤の指摘を警戒しての緊張であったよう。懇切丁寧に事情を説明したところ、当方の目的を理解した病院側はほっとしたようだった。 続いて、緊張が解けた医師に、生前の記録を元に後遺障害診断書類の記載を依頼した。協力的に転じた医師は、限られた治療記録から、ギリギリの診断書を作成していただいた。

さらに、数百ページからなるカルテから有用な情報を抜粋したが、高次脳機能障害の等級を確定させるほどの客観的な情報は乏しく、神経心理学検査もわずかに長谷川式スケールのみ。十分なリハビリ・検査を経ずに、数ヶ月で亡くなったのだから当然である。かつて、これほどタイムマシンが欲しかったことはない。情報の空隙を埋めるべく、看護記録や本人の破壊した設備の見積もりなど、あらゆる記録を検証した。最後に家族からの聴取を十分に分析、日常生活状況報告書とその別紙を作成して、限界まで審査書類を膨らませた。

申請後、待つこと5ヶ月、審査上不十分であろう状態から、自賠責は介護を認めた2級を認定、望みうる最高の等級がでた。ようやく、ご家族の気持ちを形にすることができた。死亡との因果関係は別として、これで故人が事故で負った障害の苦しみを主張できる。

(平成29年5月)  

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 昨日は、まさかのカストロ&チェ・ゲバラで締めくくりました。     毎回、オチを意識していますが、真面目なテーマではなかなか難しいものです。     さて、チェ・ゲバラは昭和の、いえ、20世紀の偉人ですが、かたい話題が続いたので・・世代間のギャップを感じる一ネタを。     事務所の若手でも、さすがにチェ・ゲバラを知っています。    しかし、世界史に疎い女子に、「この人、誰か知ってる?」と聞いてみました。

 すると、すかさず、  

 「缶コーヒーの人ですよね」

     

 それは、BOSSですやん!

  

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【事案】

通勤帰宅中、原付バイクで交差点を直進のところ、対抗右折自動車と衝突した。脳挫傷、硬膜下血腫、くも膜下出血の診断で、救急搬送後、開頭手術で命を取り留めた。

その後、記憶障害、言語障害、注意機能障害、開口や嚥下にも異常があり、味覚・嗅覚の喪失も確認できた。また、てんかん発作もあり、長期のリハビリとてんかんへの警戒が続いた。

【問題点】

受傷一ヵ月後から、弁護士経由で受任となった。急性期治療が済めば、高次脳機能障害の評価ができる適切な病院を選び、リハビリと各種検査を進める必要がある。

また、てんかんの危険があるため、早期の症状固定は躊躇われた。

【立証ポイント】

秋葉の主導で、地域で懇意にしている医師の元に転院、以後、計画的に作業を進めることができた。受傷初期からの依頼は大変ありがたいのです。リハビリが続く中、他院で嚥下障害のVF検査、嗅覚・味覚の検査を備え、立証の困難は2年9ヶ月に及ぶ期間のみだったと言える。

症状固定時には、カルテ開示、労災レセプト開示他、膨大な検査結果の集積となったが、万全を期して申請した。高次脳は受傷直後に宣言した通りに3級の認定を確保(嗅覚の全脱失の12級相当とあわせ、併合2級)、弁護士にお返しした。

また、残った労災の後遺障害申請を実行中。労災は年金支給となるため、大変に重要である。こちらも併合2級をノルマとしている。

(平成29年5月)  

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【事案】

デパートの屋上駐車場内を歩行中、前方不注意の自動車の衝突を受け、頭部を受傷した。主な診断名は、頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫、くも膜下出血。救急搬送後、脳出血への対処から地元で有名な大学病院に急ぎ転院した。

ご家族の説明では、見当識に混乱があり、記銘、注意機能の低下、易怒性がみられた。

【問題点】

治療先では、脳出血さえ止まれば、案の定、痴呆扱い。また、大学病院ながら、検査設備のない病院。

入院先のご本人と面談を実施、明らかに認知症ではなく、高次脳機能障害と判断できた。しかし、高齢者ゆえ、認知症との関与だけでなく、介護状態が年齢相応のものか事故外傷によるものか、この問題も常に付きまとう。それでも、主治医は高次脳機能障害への理解があり、他院で検査データを完備さえすれば、正しい評価をしていただけると踏んでいた。また、他の持病を診てもらっている以上、完全な転院とできない事情もあった。

ところが、症状固定が近づく頃、主治医が変わってしまい、交代した医師は痴呆症が強いとの認識。これでは正当な診断書は無理。主治医には診断書の記載を断ろうとしたが、診断書を書くと譲らない。仕方ないので、他院での神経心理学検査の結果を託し、十分な説明の上、仕上がりを待った。しかし、それから半年以上、未記載放置。ある意味、願ったりなので、医事課に正式に診断書記載を断り、次いで、検査を実施した病院に戻り、専門医による正確な診断書の記載となった。

これで、問題をクリアと思いきや、数日後、断ったはずの医師から診断書が届いた。しかも、内容は9級レベル!。こんなものは提出できない。当然に提出書類から外した。恐らく、長く治療してきた大学病院の診断書も要求されるだろうが・・。

【立証ポイント】

申請後、やはり、自賠責調査事務所から、「主たる治療先の診断書(神経系統の障害に関する医学的意見)」が必要との追加提出依頼がきた。これには、医師に手紙を書き、”記載を見送る”内容の回答書に署名頂いた。また、調査事務所へは、この病院の特殊性と本件の事情を説明する文章を送付、どうやら理解を得ることができた。この病院、何かと問題が生じるので、保険会社や審査機関も承知しているのかもしれない。

技術面では、本件被害者元来の頭脳明晰さと、障害による低下を切り分ける作業となった。WaisⅢでは言語性IQ100を超える成績ながら、動作性IQが言語性との比較上、低い点に注目、読み書き・計算にはまったく衰えがないが、記銘力に明らかな低下があることを浮き彫りにした。ここで、三宅式記銘力検査、リバーミードが有効となった。その他、易怒性を主訴とした性格変化なども、以前から家族に克明な記録を促し、精密な文章を作成した。申請から5ヵ月後、当方の主張した症状のほぼ全てが反映され、随時介護の2級とすることに成功した。

本件は主治医交代から当初の計画が狂い、病院と医師に振り回された。最初から転院させることが安全ではあるが、できれば、主たる治療先で医証を完備するに越した事はない。しかし、高次脳の経験乏しい医師に漫然と診断書を任せたら・・9級になったかもしれない。これからも、この大学病院に運び込まれる高次脳機能障害・患者が大変に心配です。

(平成29年5月)   

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 人生でお世話になりたくない2大先生とは? それは、医師と弁護士ではないでしょうか。    病気やケガとなれば、医師に頼ることになります。また、揉め事となれば、弁護士先生に相談、場合によっては代理人になっていただくことになります。病気も揉め事も、それが深刻であればあるほど、起きてほしくないことです。2大先生には、できれば一生お世話になりたくないものです。

 依頼者にとって深刻なことは、2大先生は共に専門分野、得意分野、そして能力差があるので、それぞれの専門家を慎重に探さなければならないことです。幸い医師は、内科・外科の各科、眼科・歯科など専門院に分かれていますので、最初のドアノック先は決まっていると言えます。例外的に、救急車で搬送された場合、患者に選択の余地がありません。もっとも、救急処置の後に、評判や症例実績、医師との相性で転院するなど、患者には自ら判断・選択する自律性が必要です。その前に、医師間のルールで、より専門性のある院や医師に紹介することがあります。患者の生命・健康がかかっているので、当然なことでしょう。

 その点、弁護士は看板に受任可能分野を表記するも、なかなか素人には解り辛く、依頼者はとりあえず弁護士なら何でもできると思いがちです。当たり前ですが、弁護士にも専門分野、得意分野があり、”何でもできる事務所は、何も出来ない事務所と同じである”とすら、言われます。どのような仕事にも、専門特化したプロと器用貧乏が存在するものです。その点、弁護士さんも医師と同じく、より専門の先生への紹介を常として頂きたいと思います。

 また、医師も弁護士も、当たり前ですが、能力差があります。ヤブ医者とはよく言いますが、ヤブ弁護士も当然に存在します。不案内な依頼がきても、他へ紹介せず、何でも抱え込み、挙句の果てに間違った方向へ・・弁護士過誤ともとれる事例を何度も目にしてきました。罪深いことですが、素人目には判断できないと思います。依頼者さんはできれば、複数の事務所を尋ね、専門性、能力、相性を吟味する必要があると言えます。

優秀2割、ダメ2割、どっちつかずが6割?

   さて、メディカルコーディネーターは、日夜、この2大先生の間を行き来しています。頑固な医師に検査を拒まれ、診断書の記載もおざなり・・困り果てた被害者さんに代わって、保険審査に必要な書類を完備させるべく奔走しています。そして、連携弁護士に有用な証拠をせっせと引き継ぎます。交通事故の場合、最も重要な証拠が、自賠責保険の後遺障害等級と思っています。

 その後遺障害認定について、被害者さんから助けを求める声が毎日のように事務所に届きます。より良い治療環境や検査可能な病院へ誘致し、医師と粘り強く折衝、後遺障害○級の”のし”をつけて、弁護士に引継いでいます。このように、弁護士を縁の下から強力にバックアップ、時には尻を蹴飛ばしながら、被害者救済の仕事を貫徹していきたいものです。    2大先生を結びつける・・まさに、私達の仕事です。  

 ちなみに、キューバ革命を成功に導いた2人、そもそもの職業は何でしょう?    昨年、亡くなったフィデル・カストロは弁護士、チェ・ゲバラは医師です。

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【事案】

通勤帰宅中、原付バイクで交差点を直進のところ、対抗右折自動車と衝突した。脳挫傷、硬膜下血腫、くも膜下出血の診断で、救急搬送後、開頭手術で命を取り留めた。

その後、記憶障害、言語障害、注意機能障害、開口や嚥下にも異常があり、味覚・嗅覚の喪失も確認できた。

【問題点】

受傷一ヵ月後から、弁護士経由で受任となった。急性期治療が済めば、高次脳機能障害の評価ができる適切な病院を選び、リハビリと各種検査を進める必要がある。

【立証ポイント】

秋葉の主導で、地域で懇意にしている医師の元に転院、以後、計画的に作業を進めることができた。受傷初期からの依頼は大変ありがたいのです。リハビリが続く中、他院で嚥下障害のVF検査、嗅覚・味覚の検査を備え、立証の困難は2年9ヶ月に及ぶ期間のみだったと言える。

嗅覚は問題なく完全脱失で12級を得たが、味覚は脳損傷との関連を直に認めず、等級はつかなかった。味覚は鼓索神経・舌咽神経領域での測定検査が望まれるようになった。これは最近の傾向のようです。

※ 併合の為、分離しています

(平成29年5月)  

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