むち打ち(頚椎捻挫、外傷性頚部症候群など)で後遺障害を申請する際、初めから非該当が分かる件として、掲題の「肩の症状」が挙げられます。とくに、肩が挙がらない・・肩関節の可動域(伸展・外転)が12級や10級のレベルで計測・記載されていると、ほぼ「非該当」です。
何故だと思いますか?
事故の衝撃から、頚部や腰部の痛みが神経症状となって長引く事は、医学的にも説明がつきます。しかし、腕や肩に骨折や脱臼もなく、肩の痛みが半年も長引くことや、可動域制限が残ることは、ほぼあり得ない話だからです。加齢によって生じる、いわゆる五十肩やインピンジメント症候群など、事故以前から慢性的な肩関節の不調で悩まされる中高年・高齢者は普通に多いものです。つまり、審査側は、「事故に(元々の痛みを)混ぜてきたのでは?」と疑うわけです。
一方、頚部を痛めた被害者さんで、肩の痛み・不調が併発することは多く、よく頚肩腕症などと診断されることも少なくありません。これは、首から肩にかけて原因不明の痛みに悩まされる症状で、近年はパソコン操作など、長時間の事務作業の方に多く見られます。長時間同じ姿勢、慢性的な疲労、そして運動不足が原因とされています。肩こりに同じく、慢性的な症状と言えます。

すべての被害者が疑われるわけではありません。バイクで転倒し、肩を地面に叩きつけられた場合は疑いは下がります。さらに、肩関節に脱臼・骨折があれば疑われません。ところが、軽微な追突事故で肩を痛めるとは、通常あり得ないのです。もちろん、事故を契機にそのような症状に悩まされる被害者さんも存在します。よくよく分析すると、頚部痛から派生し、体幹バランスの崩れや強烈なストレスから、首から肩にかけて力が入りすぎて過緊張の状態となり、その結果、肩の不調となるのです。さらに痛みから肩を動かさなければ、3カ月で可動域制限に至ります。関節拘縮と呼びます。
そのような被害者さんは、肩を温め、動かし、一人で出来なければ理学療法士や柔道整復師の手を借りて、理学療法・運動療法を続けます。痛みがひどい場合、拘縮が進行している場合は注射を打つなど、治す努力をするべきです。そして、別の異常がなければ改善に向かうことが普通です。その期間の治療費、3カ月程度なら保険会社はみてくれます。
それが、6カ月経ってから「後遺症です」「肩が半分しか挙がりません」と訴えた瞬間、「混ぜてきたな」と自賠責保険の怒りを買うのです。そのような被害者の訴える頚部痛、腰痛、すべて「大げさ」か「嘘」、「保険金狙い」と判断されてしまうのです。過去、「むち打ちで肩関節が1/2制限」と計測された後遺障害診断書を見て、「非該当、確実です」と断じたものです。その内、何件かは2度目の申請で取り繕った事(再請求で14級認定)もありますが、言い訳に苦労します。弊所では、むち打ち申請において、最初から書いて欲しくない症状の1位と思っています。
疑われて非該当、そのような申請をすべきではありません。仮に、本当に事故によって肩に異常があっても、画像に写る骨折や靭帯損傷などがない限り、軽率に後遺障害診断書に書くべきではありません。何より、元々の症状を混ぜることは、不正な症状を訴える保険金詐欺なのです。だから、早くから秋葉に相談を、と訴えているのです。
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