自賠責の共同不法行為に関する質問です。最近はネットのみならず、治療先からもにわか知識のアドバイスで振り回される被害者が多いようです。本件はその一例です。(内容は一部脚色しています)  

Q) 後方からの追突された事故で、被害車両に同乗していました。首の痛みから接骨院で半年以上、施術を続けています。接骨院の先生から、「後方から追突してきた車両だけではなく、同乗していた車両の自賠責保険も使えるかもしれない。現在、施術料は200万円ほどですが、自賠責が2枠使えれば限度額120万円の2倍=240万円まで大丈夫ですよ!」と聞きました。この先生は先日、施術料を相手保険会社からの打切りされてしまったのですが、自賠責に請求すれば大丈夫と言っています。本当に240万円まで請求できるのでしょうか?

tutotu 二台による事故だが・・

A) 順番に整理しましょう

1、被害車両の同乗者は双方の自動車による被害者で、双方の自動車に過失がある事故であれば共同不法行為が成立します。したがって、先生の言うように傷害支払い限度額120万円×2=240万円の支払い枠を確保できます。

2、本件の場合、被追突で明らかな0:100であれば、同乗自動車の運転手にはまったく責任がないことになります。被害者救済志向が強い自賠責保険でもさすがに過失0の相手には請求できません。

3、仮に同乗車に責任が5%でもあれば有責(ただし傷害支払いは20%減額)となります。その場合、96万円+120万円=216万円の支払い枠が確保できます。

続きを読む »

 外は雨と風がすごいことになっています。道行くOLさんの傘も飛ばされそうです。

 2月は研修が多く、今月はレジュメ等の準備に追われています。病院同行も20回以下となりそうです。それと、2月一杯まで土日がほとんど研修会、相談会で埋まります。平日に代休を取らないと体がもちません。今日も午後からお休みをいただきます。以上、日誌は近況報告でお茶を濁します。

2015011514220000

続きを読む »

【事案】

バイクで直進中に、突然左折してきた自動車に巻き込まれたもの。

【問題点】

右環指のオーバーラッピングが見られた。骨折部の関節面の不整を確認する必要があった。 c_g_j_48 【立証のポイント】

MRI撮影を依頼し、関節面の状態について明らかにする。

オーバーラッピングについては写真を添付。後遺障害診断書にもその旨ご記載いただいた。

14級7号の認定の可否が要点であったが、神経症状として14級9号の認定であった。骨癒合の状態からすると、14級9号の認定は残念ではあるが妥当であると思われる。

(平成27年1月)    

続きを読む »

【事案】

自動車で直進中に対向右折車と衝突したもの

【問題点】

不定愁訴がかなり多く顕著に現れていた。そのためか、主治医とも関係が悪く、またペインクリニック等の様々な治療先を検討する必要があった。

【立証のポイント】

通院しやすいクリニックをご紹介し、そこで通院実績の積み重ねをしていただく。それと同時に不定愁訴について一つ一つ検討し、ペインクリニックも併用して治療を受けていった。

症状固定時には医師面談を行い、後遺障害診断書の作成についてご協力いただく。不定愁訴についても一定の改善が見られ、なおかつ無事に14級9号の認定を受けた。

(平成27年1月)

続きを読む »

 歳を重ねて思う事・・それは一概に言える事が減ったことでしょうか。

 若い頃はとかく少ない情報から単純に良し悪しを決めつけて、一言のもとに断言していました。例えば、仕事のやり方一つにも「これは間違っている!」「これはダメ!」と決めつけが多かったように思います。しかし、後になって「一概に間違っているとも言えないな」「違う側面もあるな」「別の評価もできるかな」と検討の幅が広がっていきます。何事も見る角度、立場の違いで別の解釈、曖昧な評価があるものです。すると、単純に正誤・善悪・好き嫌いの二つに分けられなくなります。これが年齢・経験を重ねるということでしょうか。

 この業務日誌でもシンプルで正確な情報を心がけつつ、表現が二元論、極論にならないように配慮しています。例えば、病院に対する評価も、人それぞれの印象があるので、ここはダメ、あそこはいい、と断言することは避けています。実は内心、かなり評価がはっきりしていますが・・。また交通事故外傷の治療に関しても、接骨院・整骨院の効果を認めつつ、こと後遺障害の認定を前提とした場合は避けるべきと消極論に留めています。決して「ダメ!」と決めつけないようにしています。(断言が必要な場面もあるのですが・・)

 先日、昔の代理店仲間から「病院はダメ、病院では治らない、接骨院にすべき」との意見を聞きました。確かに大学病院や市立病院など大きな病院では手術するような大ケガでなければ、レントゲンを撮って薬を出すだけで特に何もしません。捻挫・打撲の場合、多くはそうなります。患者によっては疼痛コントロール、症状の緩和措置など、理学療法や接骨院の施術が必要となります。被害者の治療方針について、交通事故に関わる業者には適切なアドバイスが求められます。被害者は治すことと賠償の両方を考えなければならないからです。しかし「病院はダメ、接骨院にすべき」またはその逆、単純な二元論で答えるべきでしょうか?その患者にとってどのような治療手段とするか、それは簡単に割り切れるものではないのです。

 いつも言うように被害者の症状や置かれている状況から、最適な道しるべを示すことが私たち業者の最初の仕事と思います。そして被害者さんにも厳しく言えば、そのアドバイスや戦略が自分にとって納得のいくもの、ベストな選択であるかを吟味・選択する自己責任があります。何故なら先ほど「病院はダメ、病院では治らない、接骨院にすべき」と断言した仲間は接骨院と密接に提携しています。つまり、意見は商売上の立場に立脚しているからです。理学療法が充実し、優れた緩和措置を行う整形外科もたくさん存在するのに、それに対しては「・・・」です。  これは連携体制を幅広く推進している私にも言える事です。私の意見は商売上の理由から選択されていないか?常に、自問自答する謙虚さが必要と自戒しています。

 さらに例を挙げれば、ある行政書士の仲間ですが、以前は「接骨院に行くな!」と言っていながら接骨院と提携した途端、「接骨院で治療(正しくは施術)しましょう」とあっさり宗旨替えです。または、接骨院・整骨院とは提携しない方針ながら、いつの間にか提携を前提とした柔道整復師向けセミナーの講師をしている者もいます。もう、商売上の都合だけでポリシーなど無きに等しいふるまいです。これらどっちにも転ぶ者は二元論者の最悪例、困ったものです。商売上の都合で主張・立場をころころ変えていれば周囲の信用を失ってしまいます。

 病院と接骨院、それぞれやや重なる部分(リハビリや緩和など)がありますが、そもそも役割が違います。患者はそれぞれの適用場面についてベターな選択をすればよいのです。どちらが良い・悪いの断言などできないはずです。言及すべきはそれぞれ院ごとの治療・施術の質についてではないでしょうか。

 単純な二元論では私達のようなコーディネーター(調整役)の仕事はできません。被害者の複雑な問題に対してmore better、より良い選択、次善策を検討、示していくことが使命だからです。    交通事故は人が起し、解決もまた人が行うものです。交通事故の解決は「0°か1°か」温度計で判断するデジタル思考では立ち行きません。手を入れて湯加減を測るごときアナログ思考で対処することばかりなのです。   

続きを読む »

 本件は後遺障害の内容そのものではなく、後遺障害に不慣れな弁護士に依頼したため、迷走してしまった案件です。相談にいらした際、私が介入しなければまったく埒が明かない状態でした。担当している?弁護士さんは後遺障害の立証作業をやらないのであれば、安易に相談を受けないで欲しい。もしくは私のような業者に相談するなど、依頼者第一の対応をとっていただきたいものです。  もっとも、後遺障害の認定は相手の保険会社さんとお医者さんに任せて、等級が確定してから仕事をする・・これが普通の交通事故業務と思っている弁護士さんが未だに多くを占めています。近年、後遺障害に積極的に取り組む弁護士さんも増えましたが、残念ながらこれが現実です。被害者さんは代理人を選ぶ際、交通事故をわかっている弁護士なのか、しっかり見極めなければならないのです。  

併合7級:外貌醜条痕(30代男性・神奈川県)

【事案】

タクシーに搭乗中、運転手が居眠り運転で停車中のトラックに追突、後部座席から前席から飛ばされフロントガラスに顔面を強打した。額を受傷、線状痕・瘢痕は形成外科の数度の手術で回復に近づけた。その他、肩・腰部の痛み、視野の狭窄、難聴などの不調が生じた。

【問題点】

前額部の形成手術が数度に及び、治療期間が長くかかったのは仕方ないが、目や耳の検査が後手に回り、有用な検査結果を残せていない。また、症状固定に向けて様々な検査が必要でありながら、依頼した弁護士が適切なアドバイスをせず、「診断書を待っています」だけの姿勢。その後、相手の保険会社が治療打切りを打診してきたので対応を頼むと、「正式に受任していないので・・」と逃げ腰。依頼者はてっきり委任しているものと思っていたが、丸々1年何もしないで打切りを迎えてしまった。

【立証ポイント】

形成外科はもちろん、整形外科、眼科に医師面談し、実施済の検査結果の回収、追加検査の依頼に奔走する。しかし、検査結果は事故から時間が経ちすぎたので数値が回復傾向、もしくは時期を逸して有用なデータとならかった。顔の傷も手術を重ねた結果、かなり薄くなっていた。それでも顔面醜状痕は弁護士の立会いの下、面接でギリギリ7級の評価を確保した。結局、醜状痕以外は2つの14級9号の認定に留まり、併合7級となった。

早い時期に検査し、計画的に立証を進めれば、違う結果を望めたかもしれない。後遺障害を知らない代理人を選ぶと往々にして等級を取りこぼす。リカバリーするのは大変なのです。

続きを読む »

【事案】

バイクで直進中、後方より追い越ししてきた自動車が急に左折したため接触、転倒したもの。その際、右の鎖骨・肩甲骨・肋骨・橈骨・尺骨を骨折した。 5a70f3c738c69a35df4c65fb69bb2364 【問題点】

この被害者は若く体力十分、元々頑強な体で仕事も医療関係から知識も十分、そしてリハビリもアスリートのような根性で・・・結果、驚異的な回復をみせる。相談会に参加された時に「骨癒合を待ち、なるべく早期に症状固定する」方針とした。もちろん「できるだけ治す」ことが最大目標である。しかし、一定の障害が残ることが確実なケガながら、中途半端な回復によって適切な等級を取りこぼすことを懸念したからである。

【立証ポイント】

砕けた鎖骨、ぱっくり横断骨折した肩甲骨の画像をしっかり撮って提出すること、後は可動域の計測を間違いなく記録することに尽きる。主治医はもちろん理学療法士と打合せしを済まし、受傷から7か月後に症状固定、診断書を作成した。

結果、可動域は文句なしの10級、これに鎖骨と肩甲骨の双方の変形12級5号が併合された。これは写真を添付すれば一目瞭然。

普通の人なら1年間は症状固定できない受傷様態である。しかし回復力の差や体力差を考慮し、適切な時期に症状固定する必要がある。

(平成26年11月)  

続きを読む »

 続いて上肢の重症例を。

 骨の癒合が悪く、痛みから動かさず安静を長く続けた結果、関節が廃用性症候群となって可動域が回復しない・・このような悪循環をよく目にします。これは高齢者に多く、ケガの割に障害が重くなってしまうことがあります。一般にはリハビリをサボった廃用性症候群による関節可動域制限は厳しく見られます。やはり被害者には回復努力が求められます。リハビリが辛くとも甘えは許されません。しかし、本例はその逆のケース。この被害者の回復努力は称賛に値します。しかし、並外れた努力の結果、低い等級=低い賠償金になってしまう・・これは理不尽と思います。回復には個人差があります。そして何事も頃合いが大事、タイミングを逃してはなりません。

hpyou

併合9級:鎖骨・肩甲骨骨折(30代男性・埼玉県)

【事案】

バイクで直進中、後方より追い越ししてきた自動車が急に左折したため接触、転倒したもの。その際、右の鎖骨・肩甲骨・肋骨・橈骨・尺骨を骨折した。

続きを読む »

 高次脳機能障害は9級~1級の評価で、すべてシングル等級となります。やはり作業量が多くなりますが、昨年は特にボリュームのある案件を担当しました。この分野、立証と賠償すべてに完璧な弁護士事務所は私が知る限り3つしかありません。弁護士の先生方に意見具申、完璧・確実な立証作業を目指すなら遠慮なく私にお声掛け下さい。実際、今年に入って早速、首都圏だけでなく九州の弁護士事務所からも高次脳案件の相談を頂いております。喜んで力を貸しますよ!

enge⇐ 嚥下造影検査(サンプル画像)

併合6級:高次脳機能障害・大腿骨骨折(10代女性・千葉県)

【事案】

 8年前に自動車事故で両大腿骨、恥骨を骨折、頭部は外傷性くも膜下出血となる。本人・家族は後遺症を残さないことを目標、治療に全力を注ぎ、以後の小中高校生活をリハビリで過ごすことになる。しかし、歩行や生活全般に様々な不具合を残すが完治ならず。ようやく賠償問題解決に進む決意のもと相談会に参加された。

【問題点】

 長い治療年数から症状はある程度回復をみせ、微妙な検査数値・画像ばかりで後遺障害の的が絞れない。つまり、本件最大の問題ははっきりした等級に集約できないことであった。画像の保管期間5年も超過しており、集積に苦労の連続、完全取得とはならなかった。もっとも成長に伴って変化するので、頭部、骨折部すべて撮り直しを行った。

【立証ポイント】

 嚥下障害は口腔外科でVF検査を実施、脳神経外科では視覚認知検査、神経心理学検査を数種、整形外科では下肢のXP、CT検査を実施、耳鼻科ではT&Tオルファクトメーター検査、醜条痕の写真撮影・・・立証作業のオンパレード。あらゆる可能性を排除せず、徹底的な検査を重ねに重ね、病院同行は18回に及んだ。

 結果は神経症状をすべて高次脳機能障害の7級に包括して評価、下肢は短縮の13級8号と股関節の可動域制限12級7号が併合された。特に嚥下障害(11級レベル)、嗅覚障害(14級レベル)、めまい・ふらつき(12級13号レベル)・・など多くの症状から9級評価を7級に押し上げた感がある。立証側も大変だったが、調査事務所の柔軟かつ誠実な評価にお疲れさまと言いたい。

 弁護士に引継ぎ後の賠償交渉も、相手保険会社は請求額全額をあっさり認め、異例の全面勝利。また、家族契約の人身傷害保険に請求した過失分も「人傷先行するぞ!(人身傷害を先に請求する)」と強硬姿勢を見せた弁護士に対し、こちらも裁判基準での支払いを容認した。このように立証が強固であれば、弁護士の戦いも強力な論陣が展開できる。複雑かつ年数が経っている本件は、保険会社も反証にうんざりだからだろう。 続きを読む »

【事案】

8年前に自動車事故で両大腿骨、恥骨を骨折、頭部は外傷性くも膜下出血となる。本人・家族は後遺症を残さないことを目標、治療に全力を注ぎ、以後の小中高校生活をリハビリで過ごすことになる。しかし、歩行や生活全般に様々な不具合を残すが完治ならず。ようやく賠償問題解決に進む決意のもと相談会に参加された。

【問題点】

長い治療年数から症状はある程度回復をみせ、微妙な検査数値・画像ばかりで後遺障害の的が絞れない。つまり、本件最大の問題ははっきりした等級に集約できないことであった。画像の保管期間5年も超過しており、集積に苦労の連続、完全取得とはならなかった。もっとも成長に伴って変化するので、頭部、骨折部すべて撮り直しを行った。

【立証ポイント】

嚥下障害は口腔外科でVF検査を実施、脳神経外科では視覚認知検査、神経心理学検査を数種、整形外科では下肢のXP、CT検査を実施、耳鼻科ではT&Tオルファクトメーター検査、醜条痕の写真撮影・・・立証作業のオンパレード。あらゆる可能性を排除せず、徹底的な検査を重ねに重ね、病院同行は18回に及んだ。  enge(参考画像:嚥下造影検査) 結果は神経症状をすべて高次脳機能障害の7級に包括して評価、下肢は短縮の13級8号と股関節の可動域制限12級7号が併合された。特に嚥下障害(11級レベル)、嗅覚障害(14級レベル)、めまい・ふらつき(12級13号レベル)・・など多くの症状から9級評価を7級に押し上げた感がある。立証側も大変だったが、調査事務所の柔軟かつ誠実な評価にお疲れさまと言いたい。

弁護士に引継ぎ後の賠償交渉も、相手保険会社は請求額全額をあっさり認め、異例の全面勝利。また、家族契約の人身傷害保険に請求した過失分も「人傷先行するぞ!(人身傷害を先に請求する)」と強硬姿勢を見せた弁護士に対し、こちらも裁判基準での支払いを容認した。このように立証が強固であれば、弁護士の戦いも強力な論陣が展開できる。複雑かつ年数が経っている本件は、保険会社も反証にうんざりだからだろう。

被害者とご家族にとって長く険しいリハビリと立証作業だったが、その苦労は賠償の完全勝利で結実した。

(平成26年6月)  

続きを読む »

【事案】

駐車場内で着替え中、自車と駐車しようと後進してきた自動車に脚を挟まれ受傷。脛骨近位端不全(≒挫滅)骨折となる。足関節、足指の自動運動がほぼ不能となる。

【問題点】

ポキンと折れた骨折より深刻な障害を残すケースである。筋電図、神経伝達速度検査の数値は一定の麻痺を計測、しかし下腿の広範囲に筋組織の挫滅、瘢痕化もある。腓骨神経麻痺とコンパートメント症候群双方の障害と認識して立証作業に入る。7級ともなれば、曖昧な医証など提出できない。東京-札幌の飛行機往復が続く。   

【立証ポイント】

リハビリ先のPTさんがマメで下腿周径の定期計測を記録していた。それならばと、足関節はもちろん、手間のかかる足指すべての計測を共同作業で行う。さらに、実施・提出する検査結果を主治医と綿密に打合せした。とくに診断名の特定、絞込みには医師と一緒に悩んだ。

万全に医証を揃えて提出した結果、7級を抑え込む。また、下肢の装具をオーダーメイドで制作し、費用明細と写真を添えて弁護士に引き継いだ。このように準備万全であれば賠償交渉も好調に進む。

「全国対応」とうたいながら文章のやり取りで済ます専門家が多い中、被害者の一生がかかっている大事な局面に飛行機代など気にしていられない。地の果てまでも病院同行! 看板に偽りなしの対応をさせて頂いた。

(平成26年10月)  

続きを読む »

【事案】

8年前に自動車事故で両大腿骨、恥骨を骨折、頭部は外傷性くも膜下出血となる。本人・家族は後遺症を残さないことを目標、治療に全力を注ぎ、以後の小中高校生活をリハビリで過ごすことになる。しかし、歩行や生活全般に様々な不具合を残すが完治ならず。ようやく賠償問題解決に進む決意のもと相談会に参加された。

【問題点】

長い治療年数から症状はある程度回復をみせ、微妙な検査数値・画像ばかりで後遺障害の的が絞れない。つまり、本件最大の問題ははっきりした等級に集約できないことであった。画像の保管期間5年も超過しており、集積に苦労の連続、完全取得とはならなかった。

【立証ポイント】

画像をなるべく集めた。もっとも成長に伴って骨の状態も変化するので、頭部から下肢まで骨折部をすべて撮り直した。さらに下肢長差の計測も、医師にうるさがれつつも強引にお願いした。

高次脳機能障害他、神経系統の障害は7級4号の認定となった。これに下肢短縮の13級8号と股関節の可動域制限12級7号が併合され、併合6級とした。

※ 併合のため分離しています。

(平成26年6月)  

続きを読む »

 昨年は下肢の重症例も多かった。現在もシングル等級必至の下肢案件を4件お預かりしています。いずれの賠償金も高額であり、弁護士の賠償交渉を睨んだ立証作業となります。 c_h_17-2

7級相当:腓骨神経麻痺・コンパートメント症候群(30代男性・北海道)

【事案】

駐車場内で着替え中、自車と駐車しようと後進してきた自動車に脚を挟まれ受傷。脛骨近位端不全(≒挫滅)骨折となる。足関節、足指の自動運動がほぼ不能となる。

【問題点】

ポキンと折れた骨折より深刻な障害を残すケースである。筋電図、神経伝達速度検査の数値は一定の麻痺を計測、しかし下腿の広範囲に筋組織の挫滅、瘢痕化もある。腓骨神経麻痺とコンパートメント症候群双方の障害と認識して立証作業に入る。7級ともなれば、曖昧な医証など提出できない。東京-札幌の飛行機往復が続く。

【立証ポイント】

リハビリ先のPTさんがマメで下腿周径の定期計測を記録していた。それならばと、足関節はもちろん、手間のかかる足指すべての計測を共同作業で行う。さらに、実施・提出する検査結果を主治医と綿密に打合せした。とくに診断名の特定、絞込みには医師と一緒に悩んだ。

万全に医証を揃えて提出した結果、7級を抑え込む。また、下肢の装具をオーダーメイドで制作し、費用明細と写真を添えて弁護士に引き継いだ。このように準備万全であれば賠償交渉も好調に進む。

「全国対応」とうたいながら文章のやり取りで済ます専門家が多い中、被害者の一生がかかっている大事な局面に飛行機代など気にしていられない。地の果てまでも病院同行! 看板に偽りなしの対応をさせて頂いた。

 

続きを読む »

【事案】

交差点で青信号を自動車で直進中に、信号無視をした自動車に出会い頭衝突されたもの

【問題点】

相談時、MRIを撮影していなかった。

バレ・リューを思わせる症状が非常に多く、ペインクリニックの併用が必要であると思われた。心療内科に通っておられた。

【立証のポイント】

麻酔科も併設している整形外科をご紹介し、そこでリハビリ通院をしていただいた。また、MRI撮影を依頼し、画像を分析した。

通院実績の積み上げについてアドバイス行い、症状固定時には医師面談を行い後遺障害診断書の作成においてご協力を仰いだ。

事故態様がやや不利な状況と思われたため、現れている症状についてどこまで信用性を高めることができるかがポイントであった。14級9号が認定される。

(平成27年1月)

 

続きを読む »

 書きたいネタはたくさんありますが、新年からは昨年認定されたシングル等級をいくつか紹介しましょう。シングル等級とは1級から9級、一桁の等級を指します。やはり重傷の区分に入ります。弊事務所では比較的、重傷案件を多く受任しています。単に等級申請するだけではなく、弁護士と一緒に様々なサポートが必要となります。  

8級2号:第2頚椎骨折(70代女性・埼玉県)

【事案】

自動車の助手席に搭乗中、交差点で信号無視の自動車に左方より側面衝突を受け、受傷。第二頚椎を骨折、スクリュー2本で軸椎・環椎を固定した。

【問題点】

受傷箇所は命に係わる部位、医師は第1~2頚椎の安定を最優先とした。当然なが頚部の可動域は半分以上失われた。それでもリハビリ努力でかなりの回復を見せたと言える。また、比較的高齢であるので、スクリューを抜釘しないものと思っていたが、医師は1年半後に抜釘を行った。これが可動域の回復にどの程度影響するか・・2分1の以下の可動域制限で8級となる。可動域制限の理由を明らかにすることが本件のミッション。

【立証ポイント】

CT画像を精査すると軸椎と環椎の不自然な癒合がみられた。医師にそれを指摘すると、スクリュー固定中に両頚椎間の一部が不正癒合したと判断された。これを後遺障害診断書に変形と可動域制限の原因として追記頂き、確実に8級をおさえた。 医師によると、固定したままでは患者の苦痛はもちろん、予後に様々な症状が併発されるので最近は抜釘を積極的にするようにしているとのこと。  

続きを読む »

【事案】

自動車の助手席に搭乗中、交差点で信号無視の自動車に左方より側面衝突を受け、受傷。第二頚椎(軸椎)を骨折、スクリュー2本で軸椎・環椎を固定した。

【問題点】

受傷箇所は命に係わる部位、医師は第1~2頚椎の安定を最優先とした。当然なが頚部の可動域は半分以上失われた。それでもリハビリ努力でかなりの回復を見せたと言える。また、比較的高齢であるので、スクリューを抜釘しないものと思っていたが、医師は1年半後に抜釘を行った。これが可動域の回復にどの程度影響するか・・2分1の以下の可動域制限で8級となる。可動域制限の理由を明らかにすることが本件のミッション。

【立証ポイント】

CT画像を精査すると軸椎と環椎の不自然な癒合がみられた。医師にそれを指摘すると、スクリュー固定中に両頚椎間の一部が不正癒合したと判断された。これを後遺障害診断書に変形と可動域制限の原因として追記頂き、確実に8級をおさえた。 医師によると、固定したままでは患者の苦痛はもちろん、予後に様々な症状が併発されるので最近は抜釘を積極的にするようにしているとのこと。

(平成26年8月)  

続きを読む »

18 本日より事務所の営業がスタートです。まずは年末年始に届いた書類の山を整理です。急を要する案件ばかり、スロースタートというわけにはいかなそうです。年末年始は積年の疲れから、寝てばかりいました。寝だめ食いだめはできないと言いますが、とにかくいくらでも寝てられました。

 ご依頼者の皆様、関係機関の皆様、どうか本年もよろしくお願い申し上げます。  

 さて、今年の抱負ですが、例年のごとく真面目路線で行きたいと思います。昨年の交通事故業界は業者間の競争が激化した一年でした。具体的には大手法人事務所のネット攻勢による寡占化、さらに新規参入の弁護士事務所が一通り出揃った感があります。クレサラ業務は実質、昨年まで、今年で終わりです。今まで交通事故に見向きもしなかった弁護士も2匹目のどじょうを狙って活発化、行政書士はそのような激流の中、排除傾向でしょうか。当然ながら交通事故外傷は専門性が高い分野です。新規参入してもそれほど簡単にはいきません。今後、事務所の経験・優劣がより顕著に表れるはずです。依頼先を選ぶ立場である被害者さんには賢明な判断が望まれます。  

 また、目立った動きとして接骨院・整骨院との連携がヒートアップしたのが昨年の特徴です。確かに医療との密接な連携は後遺障害の立証に大いに寄与するところです。私たちグループも長年、病院情報の集積と連携構築に誰よりも心血を注いできました。何せ私一人ですら、年間200件以上の病院同行を4年も続けているのですよ! その連携体制を誇るべく、HPに病院名を羅列したいのは山々です。しかし、それはしません。何故なら、私たちは診断書・画像・検査結果などの医証を集め、障害を立証する立場の業者です。特定の医師との関係を誇示することは医証の信用性に関わるからです。

 HPで特定の弁護士、行政書士などの連携を売りにしている接骨院・整骨院が目立つようになりました。確かに交通事故に力を入れていることは伝わります。しかし、この連携を保険会社は良しと見てはいません。保険会社は整骨院・接骨院への治療費支払いに常に神経をとがらせています。さらに法律家・業者との繋がりはすなわち、その業者が関与している診断書を注視する結果となります。もちろん、不正なく、癒着なく、適切に医師とやり取りをしていると思いますが、「李下に冠を正さず」、わずかでも疑いが生じるふるまいは厳に慎むべきと思っています。それは協力頂いている医師も同意見で、良識ある医師こそ「医療と賠償問題は一定の距離を置くべき」と声を揃えています。  昨年、弊事務所にも接骨院から提携の話がいくつか入りました。しかし、その提携を誇示したいという趣旨からお断りしました。確かに弁護士・行政書士と医療機関の連携は患者にとって一見頼もしそうです。しかし前述の通り、保険会社の神経を逆なでしてまで協力関係をアピールすることなく、あくまで中立的に医療立証をすることが被害者救済のゆるぎない姿勢と思っています。(頼るべき時はそりゃ助けて頂きますけど。そのための医療連携です!)    安直な道には進みません。宣伝・商売・損得で図るのではなく、医療機関とは被害者救済を前提とした緊張感のある、ガチンコな関係を構築・維持していきたいと思います。そして、何より真摯に丁寧に、時には厳しく、最高の技術をもって依頼者さまの期待に応えていきたいと思います。

 あと、それから今年こそ痩せたいです。

ojigi5   以上、ストイック宣言でした。

 

 

続きを読む »

【事案】

渋滞で停車中、後続車に追突された。頚部と肩部に痛みを残す。いわゆる頚肩腕症の症状。後遺障害認定に向け、弁護士から当方へ対応の依頼を受けた。

【問題点】

頚椎捻挫は目立った神経学的所見なし。また、肩関節周囲炎が事故外傷によるものか否かが問題。

【立証ポイント】

肩に関してはMRI所見に加え、オブライエン・テスト、CATテスト、HFTテストにて陽性を記載いただく。肩に造詣が深い医師で助かった。しかし、決め手は症状の一貫性と比較的若い年齢。中高年の肩関節周囲炎は加齢が原因とされるからです。

頚椎捻挫もついでに14級認定、併合14級とした。

(平成25年3月)    

続きを読む »

 体力的にも精神的にも本当にキツかった一年でした。週末は会議&忘年会で赤穂です。それから残務処理をして29日には仕事を収める予定です。今日が今年最後の日誌です。営業日は一日も欠かさず更新を続けてもうすぐ4年、まだまだです。

 さて、今年の総括です。大きくジャンプするには十分な助走が必要ですが、今年一年は助走期間だったと位置付けたいところです。来年の飛躍を期して、少し振り返ってみましょう。  

 反省は例年のごとく、案件の処理スピードです。この部分について依頼者さまのご期待に沿えていません。とにかく病院に行く人手が足りないのです。こればかりは補助者やアルバイトをたくさん雇って解決する問題ではありません。人材育成・組織化を急務としながら進展しない理由は・・やはり医療調査業は特殊なのだと思います。今まで事務所内外問わず、5名の人材の指導を受け持ってきましたが、結局、一人前のメディカルコーディネーターに育ちませんでした。保険会社側の調査会社でも原因調査(事故の原因を調べる、主に物損)には人が余っていますが、医療調査は皆避けるそうです。医師との折衝は嫌な仕事なのかも知れません。だからと言って、皆が避けては被害者が救われません。1人で医師との折衝をこなし、障害を立証できる被害者は少ないのです。多くは右往左往している間に保険会社主導でおざなりに進められてしまいます。この仕事、誰かがやらねばならない、しかし誰でもいいわけではない。  医師との直接折衝で間違いのない医証を回収する・・険しくも決して譲れないセオリーなのです。

 成果は連携の成熟です。この4年間、弁護士とは12事務所、延べ40人近い先生と一緒に仕事をしてきました。なかなか方針や考えが合わない弁護士先生もいましたが、月日・件数を重ねるごとに呼吸があってきました。被害者救済という根幹さえぶれなければ、どんなに誤解・衝突を繰り返しても揺るぎません。逆に根っこのない先生とは自然に離れていくものです。

 具体的にはある弁護士から肩関節動揺性の相談を受けましたが、ストレスXPにて立証する方法を提案し、その弁護士は見事に12級6号を獲得しました。膝ではお馴染みの作業ですが、本例は私も未経験です。しかしこの成功例にて、肩関節でも実施できる検査先を確保したことにつながります。  もう一例、頚椎ヘルニアの画像所見を認めない医師に手をこまねいていた弁護士から相談を受けました。画像専門院でMRI検査し、その画像とレポートを示し、医師と交渉するようアドバイスしました。医師の面子を潰さないよう、上手に誘導する方法を細かく打合せしました。その先生は見事に医師との折衝に成功し、12級13号を獲得しました。    これら勝利のポイントは弁護士が私の策を素直に採用したことです。私はアドバイスのみの関与です。それでもさすがは弁護士、ポテンシャルを感じます。このような事例を重ねて相互の信頼関係は造成されていくものと思います。以前、行政書士の仲間から「弁護士にノウハウを伝授したら自分たちの仕事が無くなるのでは・・」このような懸念を聞きました。このような発想は「人間が小せぇ」と思います。なぜなら共に被害者を救った共闘体験はその後の信頼関係はもちろん、仕事の相互紹介に繋がっていきます。そこにはより良い被害者救済を考えた上での判断があるからです。

 弁護士に関わらず他業者との連携は時間をかけて作っていくものです。とても一朝一夕でできるものではありません。才乏しいながら粘り強さだけは私の持ち味、この姿勢を来年以降も貫いていきたいと思います。  

 医師、弁護士、行政書士、社労士、保険会社、代理店様・・その他たくさんの関係業者の皆様、一年間ありがとうございました。  そして被害者の皆様、年末年始はどうか心安らかに、良いお年を!    

続きを読む »

【事案】

自動車走行中、交差点で右方よりの自動車と出合頭衝突。

【問題点】

目立った神経学的所見はなし。事故も物損扱いのまま。また自身の過失も見込まれるため健保治療。やり辛いです。

【立証ポイント】

それでも医師面談し、神経学的所見をうかがわせる自覚症状を診断書に丁寧に記載いただき、なんとか14級の認定を得る。症状は決して嘘ではなく、それなりに重篤であっても、他覚的な所見がなければ非該当を食らう可能性があるのです。

(平成25年4月)

続きを読む »

お問い合せはお気軽に!

事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

代表者略歴を見る!

部位別解説 保険の百科事典 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

今月の業務日誌

2025年11月
« 10月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

月別アーカイブ