早朝から新幹線で名古屋、続いてセントラルライナーに乗り換え1時間で中津川駅、そこから各駅で2つ目で坂下駅に到着です。どうしても決着をつけたい検査結果がありまして、先週池袋で検査した画像を追いかけての出張です。
主治医は立証に理解のある先生で、画像から決定的な所見が得られず、共に肩を落とす結果となりました。しかしこのような医師にお会いできたので遠路の徒労感はありません。手法を切り替え、再度の協力を仰ぎ病院を後にしました。
出張の恒例となりました温泉探訪は明日のレポートで。
<井田医師の意見陳述>を続けます。
④ 拡散テンソル画像は脳内の神経線維に沿った水分子の拡散の動きを見ることによって神経線維の状態を推定しようとするものであり、病変の位置が特定できている場合には脳機能と病変の関係を見ることについて有益である。ただし、形態学的に異常がない微細な脳損傷の有無を拡散テンソルだけで判断することはできない。
(解説) ビジュアル的に裁判受けします。それがためにテンソール検査を求めて病院回りしたこともあります。しかし本意見でも断定されている通り、以前からも調査事務所では重視していない画像です。
⑦ fMRIは指を動かすなどの課題に対して脳の中枢が賦活化されて、相対的にデオキシヘモグロビン量が変動することにより、賦活化された脳をMRIで画像化するというものである。脳機能を科学的に見るという面では良い方法であるが、現時点では微細な脳機能の低下に対してはまだ使える段階にはない。
前回、「高次脳機能障害認定システム」の改正前後を比べました。先に結論をもってきた形です。この「高次脳機能障害認定システムの充実」は現行システムの問題点について、専門家の委員会による合計9回の論議がもとになっています。そこから改正の骨子となった、医師の意見を具体的に取り上げていきます。 それでは前回の予告通り、「画像」について。最も重要な立証資料であることはかわりませんが、ではどの画像検査が必須なのか?臨床の医師も損害立証による画像はどれを要求しているか知りあぐねています。また立証する立場において、全国の弁護士も取りあえず撮ってあるものだけ提出し、あまたの行政書士も交通事故110番のマニュアル本を参考に進めるしか手段がありません。 必要な画像検査とは何か?読み取ってみましょう。
井田医師の意見に対して解説を加えていきます。
【井田医師の意見陳述】井田医師は画像診断学が専門である。当委員会の検討対象となっている、軽症頭部外傷後の後遺障害が器質性のものであるか否かについて、最新の画像診断技術によりどこまで判断が可能なのかについて、実際の画像を参考に説明を行った。 ① 現在の画像診断の主役はCT、MRIであるが、画像診断において重要なことは、適切な時期にきちんとした検査が行われるということである。 (解説) どんな脳神経外科でも受傷直後にCTもしくはMRIで脳損傷を観察するはずです。そこで医師に「脳は異常ありません」と言われると家族は一安心です。しかしその後も意識障害や記憶障害が続くようなら、続けてこれらの検査を依頼すべきです。 高次脳機能障害をよく知らない医師に出くわしたばかりにそのまま画像所見なしとなってしまったケースを経験しています。 この時期の画像所見が症状固定、後遺障害認定までこの先ずっと付きまといます。
硬膜下血腫、受傷1週間後。血腫に押された脳の様子がわかります。
急に寒くなりましたね。今日はコートを引っ張り出して柏市へ。よつば総合法律事務所の法律実務研究会に参加してきました。 シリーズ中の「高次脳機能障害の新認定システム」は明日から再開しますね。
秋から大澤先生はじめ、よつば事務所の弁護士の先生方と共に被害者救済業務にあたっています。交通事故業務に対する取り組みで千葉県下名前がとどろいている法人事務所です。今回は講師としてのお招きですので、まだまだ勉強の足りない身としては恐縮しきりです(焦、焦)。
内容は・・
1、交通事故相談の初期対応
2、後遺障害12級獲得のチェックポイント
3、個別事例の報告、検証
とくに初期対応、12級の立証については共に苦労している掲題なので話が弾みました。
被害者は、まず「相談」にやってきます。入り口は電話、メール、訪問と分かれますが、その際に被害者のケガの程度や今後の展望についてある程度シミュレーションが必要です。業務経験が問われるところですが、毎度苦慮する部分は行政書士も弁護士も変わりません。それについてはテクニック的な部分、”法律家でもできる神経学的検査”に焦点を当ててみました。
1時間半の楽しい勉強会となりました。また、よつば事務所の雰囲気や勉強熱心な諸先生方の人柄に触れ、温かい気持ちになりました。
さすが千葉で屈指の若手弁護士法人事務所です。今後も知識・情報の共有化を進め、よりよい被害者救済が果たせるよう務めていきたいと思います。
大澤先生、川崎先生、藤原先生、前原先生 ありがとうございました。
本改定について、まず高次脳機能障害の入り口=認定基準から入ります。もっとも注目すべきところだからです。
旧基準をおさらいします。 ・・・青字に注目
【高次脳機能障害が問題となる事案】 (旧基準) ① 診時に頭部外傷の診断があり、頭部外傷後の意識障害(半昏睡~昏睡で開眼・応答しない状態:JCSが3桁、GCSが8点以下)が少なくとも6時間以上、もしくは、健忘症あるいは軽度意識障害(JCS2桁~1桁、GCSが13~14点)が少なくとも1週間以上続いた症例 ② 経過の診断書または後遺障害診断書において、高次脳機能障害、脳挫傷(後遺症)、びまん性軸索損傷、びまん性脳損傷等の診断がなされている症例 ③ 経過の診断書または後遺障害診断書において、高次脳機能障害を示唆する具体的な症状 (注)あるいは失調性歩行、痙性片麻庫など高次脳機能障害に伴いやすい神経徴候が認め られる症例、さらには知能検査など各種神経心理学的検査が施行されている症例 (注)具体的症状として、以下のようなものが挙げられる。 記憶・記銘力障害、失見当識、知能低下、判断力低下、注意力低下、性格変化、易怒性、 感情易変、多弁、攻撃性、暴言・暴力、幼稚性、病的嫉妬、被害妄想、意欲低下 ④ 頭部画像上、初診時の脳外傷が明らかで、少なくとも3か月以内に脳室拡大・脳萎縮が確認される症例 ⑤ その他、脳外傷による高次脳機能障害が疑われる症例<解説>
この既存の5項目は以下、簡便に3要件とまとめています。
① 脳の外傷となる診断名
② 意識不明が6時間継続、もしくは軽度の意識不明、健忘症が1週間継続
③ 画像(CT、MRI)で脳の損傷が認められる
詳しくは「高次脳機能障害の認定で3つの関門」を参照して下さい。
この要件にあたらなければ、審査せず門前払いです。特に意識障害と画像について、高次脳機能障害をよく知らない医師が診てしまった故にアウトとなったケースを経験しています。
<この要件ではねられた実例>
① Aさん 受傷時に脳挫傷が明らかではなく、脳震盪とされた。 最初に書かれた診断名が1年~後の後遺障害の申請時までずっと付きまといます。 ② Bさん 受傷時の意識の記録がいい加減。 受傷時意識不明であったのに、そのように書かれていない。健忘状態が数日続いたのに、意識清明になったのは1日と記載されている。 ③ Cさん 受傷時に頭蓋骨の骨折や脳内出血がなく安心されてしまった。 MRIで少なくとも3か月後まで適時検査を続け、丁寧に画像を診ていくべきでした。脳外傷を示す脳室拡大、脳萎縮、点状出血などの病変部が遅れて出現するケースもあります。
では新システムではどう修正されたのでしょうか? ・・・赤字に注目
【高次脳機能障害審査の対象とする事案】 (改定案) A.後遺障害診断書において、高次脳機能障害を示唆する症状の残存が認められるが高次脳機能障害または脳の器質的損傷の診断を行っている)場合 全件高次脳機能障害に関する調査を実施の上で、自賠責保険(共済)審査会において審査を行う。 B. 後進障害診断書において、高次脳機能障害を示唆する症状の残存が認められない(診療医が高次脳機能障害または脳の器質的損傷の診断を行っていない)場合 以下の①~⑤の条件のいずれかに該当する事案(上記A.に該当する事案は除く)は、高次脳機能障害(または脳の器質的損傷)の診断が行われていないとしても、見落とされいる可能性が高いため、慎重に調査を行う。 具体的には、続きを読む »平成23年3月に国土交通省が「高次脳機能障害認定システムの充実について」を発表しています。 この報告書により、認定基準の修正、新基準、医学的見地の整理が公表されました。以前から主張していますが、平成13年(15、19年修正)に認定基準がやっと形作られた分野なだけに、まだ確立しているとは言い難いのです。
現実、明らかな症状を示しても、頭部外傷の画像所見が乏しいため入り口で非該当の患者が後を絶ちません。またMTBI(軽度外傷性脳損傷)との区別も医学的見地のばらつきから曖昧なままでした。
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【事案】
前方渋滞により停車中、追突される。
【問題点】
治療期間が長くなっていたので、症状固定時期について検討。
【立証のポイント】
画像診断先を紹介し、撮影して頂いたあと、当初から通院していた病院の先生と 診断書記載内容について相談。14級9号が認定される。 (平成23年11月)
【事案】
横断歩道を自転車を押して歩行中、オートバイにひき逃げされる。
【問題点】
特になし。
【立証のポイント】
ゴールドマン視野鏡で検査後、後遺障害診断書記載についてアドバイス。 13級9号が認定される。
※ 併合のため分解しています。
(平成23年11月) ★ チーム110担当
【事案】
横断歩道を自転車を押して歩行中、オートバイにひき逃げされる。
【問題点】
受傷機転及び、ケガの程度から重篤な症状が予想された。画像所見も圧迫所見が顕著であった。12級に収める必要がある。
【立証のポイント】
画像診断先を紹介、撮影して頂いたあと、当初から通院していた病院の先生と診断書記載内容について相談。画像所見と神経学的所感の一致をみた結果、12級13号が認定される。
※ 併合のため分解しています。
(平成23年11月)
前日に書いています。月曜は事務所を6時に出発、平塚の病院へ。その後横浜地方検察庁に寄って、夕方は事務所に来客2件です。ふぅ~。
事故報告や相談など電話が殺到する月曜日ですが、なんとか対応していきます。移動中は携帯にでられない場合もありますので予めご了承下さい。
先週の金曜日は行政書士会越谷支部の研修でした。講師は弁護士坂本先生です。行政書士の「代理」についての解釈は新鮮でした。
AさんとBさんで商談があるとします。
Aさんの代理で行政書士がBさんに契約を持ちかけることは、民法でいう「意思表示」です。
しかし、Aさんの代わりに行政書士が自らの判断でBさんと契約してしまっては「代理権」行使です。
代理の意味も日常の言葉使いと民法上の定義では違いがあります。ここがまさに民法の勉強度が問われるところです。
したがって、民法上の代理権行使でなければ、行政書士も相当の範囲で仕事ができるはず、との持論が続きます。
講義後の懇親会でも話は尽きません。「紛争性のある問題が仕事として利益性が高い。」、そして「しっかり民法を勉強するように」等々・・・。いろいろなヒントを与えてくださいました。
弁護士以外の各士業にはどこまでの「代理権」が許されるのか?学術上ではある程度整理できますが、実務上、法解釈はやっかいです。なぜなら3人いれば3通りの解釈が生まれる場合があります。商売上重なる部分があれば、例えば離婚業務や交通事故業務など、弁護士会としては代理権のない行政書士を排除する動きがあります。やはりこのような業際問題は全体的な働きかけ、行政書士会がきちんと有力学説を用い、理詰めで調整してくべきだと再認識しました。
まず個人としてできることは民法の勉強でしょうか。
【事案】
自動車運転中に追突されたもの。
【問題点】
MRI上腰椎が綺麗で、画像所見が無い。
【立証のポイント】
過去の記録から自覚症状の一貫性を強く主張。医師に詳細な神経学的検査を依頼。SLR、ラセーグ兆候とも陽性を示し、筋萎縮、MMTにも一定の症状が認められた。
(平成23年11月)
現在5名担当中です。症状は様々ですが、ご家族の協力のもと立証作業を進めています。
とくに後遺障害診断書を作成する段階ですとやることがたくさんあるため、本人はもちろん、ご家族も大変です。 何かと行き詰ってしまうこともありますが、着実にクリアしていきましょう。 きちんとした医証を揃えば結果はついてきます。悔いのない申請をするために私も全力でサポートします。
少し息抜き・・・WCST(ウェスコンシン・カード・ソーティング・テスト)をやってみました。
やべ、結構間違ってしまった・・・。
これは高次脳機能障害や脳卒中患者に対してよく行われる検査です。神経心理学検査の一つとしておなじみです。
内容はカードの共通点探しゲームです。色、形、並び方が一致している共通カードを4枚から選びます。要領がわかるまで少々苦戦します。
これは前頭葉の働き、例えば変化に対応する力、固執性、遂行能力が試されます。
社会復帰はしたけれども仕事の算段、スピードが落ちた方などは決まってこの点数が悪いのです。とくに9級、7級レベルの障害で、知能検査や記憶検査での落ち込みが少ない患者でも低い数値がでます。軽度の方にとって必須検査の一つと思っています。
2回連続して行います。所要時間は15~20分です。 もしご希望の方がいましたら当事務所でも実施が可能です。
つまり「自身が何等級であるか」分析する冷静さがないとダメなんです。そして認定理由を理解し、第3者が納得できる文章を書く国語力が必要です。 実践的な話に移ります。
■ 異議申立の進め方
① 認定理由をよく読む 残存する症状についてなぜ認められないか、症状別に細かく書いてあるはずです。そこをしっかり読み取って下さい。
例えば、「頚部が痛い、重い」 「腕がしびれる」 「関節が曲がらない」 「めまい、吐き気がする」 ・・・これらは自覚症状です。世の中の人間がすべて天使のように清純であればいいのですが、残念ながら嘘の症状、大げさな症状を訴える被害者も少なくないのです。審査する側はまず疑ってかかっていることを肝に銘じて下さい。つまり「どの主張が信じてもらえなかったのか?」を抽出します。
② 自覚症状と他覚症状を結び付ける
調査事務所 お決まりの非該当決め言葉 1 「同部に骨折、脱臼等の損傷が認められず ~ 自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しいことから、自賠責保険が認める後遺障害には該当しないと判断します」 否定の理由はようするに他覚的見地が乏しいのです。これはずばり医師の診断、検査・画像所見の不足を指します。
・ 不足している検査はないか 神経麻痺なら筋電図や神経伝達速度検査が行われていたか。
・ 症状を裏付ける画像は 骨折の場合レントゲンでOKですが、筋損傷はMRIじゃないと写りません。
・ 可動域制限が正しい計測か 間違った計測は測り直す必要がありますが、そもそも器質的損傷が伴わないのに「曲がりません」と言っても信じてもらえません。
③ その症状はいつから?
調査事務所 お決まりの非該当決め言葉 2 「これらの症状の出現時期は少なくとも受傷から約○日経過した平成○年○月○日以降と捉えます ~ したがって本件事故との相当因果関係を有する障害と捉えることは困難なことから、自賠責保険が認める後遺障害には該当しないと判断します」 これが一番やっかいです。受傷当時に医師が見逃した為に症状の発見が遅れたケースです。最近頻発しています。 症状の出現時期までの経過日数が長ければ長いほど絶望度は高まります。この場合、受傷当時からのカルテを回収し、せめて自身が痛みや症状を訴えていた時期を特定し、切々と確定診断が遅れた状況・理由を説明していくしかありません。 この項目がもっとも調査事務所からの信用度合が試されると思います。
④ 漏れている症状はないか
複数のケガの場合、大きなケガの認定にスポットがあたり、見逃されている症状があります
・ 神経麻痺の場合 足首の可動制限だけか?足指の可動制限が見逃されているケースがあります。
・ 前腕骨の骨折で癒合良好 しかし痺れ、手首の可動制限が残っている場合、橈骨神経麻痺を精査します。
・ 高次脳機能障害が認定 体の麻痺等の症状をすべて高次脳の等級に含めますが、嗅覚脱出やめまいなどを別系統として併合する余地あります。
自信がなければ専門家に依頼するのも良いと思います。特に異議申立てに熱心な事務所も存在します。異議申立ての成功率も7割を超える優れた先生もいるそうです。
最後に、 原則 異議申立ては受任しません。 続きを読む »
【事案】
自転車で走行中、自動車と出合い頭衝突し転倒、腰部を強打する。
【問題点】
保険会社も年齢的な腰痛との認識を持ち、医師に症状固定を迫る。医師も外傷性の起因度は低いものと認識していた。
【立証のポイント】
半信半疑の主治医に14級認定を予告、ヘルニアが年齢変性だとしても外傷性腰部症候群の引き金論を根拠に丁寧な検査を依頼する。
SLR検査、ラセーグ兆候とも陽性を示し、一定の症状が認められる。
(平成23年11月)
【事案】
病院のエントランスでタクシーに跳ねられる。おかげで即治療、入院となる。顔面を強打し、既存障害歯8本を加え合計12歯の欠損となる。
【問題点】
歯はインプラントで修復されたので後遺障害とならないような説明を受けており、後遺障害を意識していなかった。
【立証のポイント】
早速歯科医と面談、後遺障害診断書の内容について打ち合わせをする。既存障害歯と事故欠損歯の整理する。
12歯の欠損で11級、ここから既存障害歯8歯の12級を加重障害として差し引く結果に。調査事務所の正確な判定・計算は毎度正確でした。
※ 併合のため分解しています
(平成23年11月)
【事案】
病院のエントランスでタクシーに跳ねられる。おかげで即治療、入院となる。脛骨骨幹部・開放骨折、腓骨・骨顆部骨折の診断。
【問題点】
医師の尽力で骨癒合は良好。膝の可動制限も最小限に回復した。しかし、足首は下垂足を示し、足関節の可動域制限が残存するものの、根拠となる診断名のない診断書が書かれた。このまま提出を急かす保険会社に不安を覚える。
下垂足・・・足が垂れ下がったまま。尖足(せんそく)ともいう。
【立証のポイント】
骨折と足首の可動域制限から腓骨神経麻痺を疑い、主治医に針筋電図と神経伝達速度検査を依頼する。検査結果は案の定陽性を示し「腓骨神経麻痺」の確定診断に結び付けた。さらに足指の可動制限を追加検査し、母指+その他の指の用廃を加える。
足首10級+足指9級=併合8級 漏らさずきっちり立証しました。
※ 併合の為、分離しています
(平成23年11月)
原則 異議申立ては受任しません。
しかしどうしてもやらざるを得ない気の毒な被害者さんも存在します。極めて限定的ですがお引き受けすることもあります。私たち協力行政書士や連携弁護士は仕事の基本を、「受傷から解決までを間違いなく案内する船頭たるべし」としているからです。 ご自身で動き、つまづきがあった結果、かなり厳しい状態からのスタートになります。幸い異議申立てに積極的な事務所も多いので、そちらへご紹介していこうと考えています。
さて、それでも今年数件の異議申立て、再異議申立て、自賠責紛争機構への異議申立てといくつか手がけました。作業として最初に「なぜこの等級が認められなかったのか?」を分析します。そこで失敗続きの原因が浮き彫りになります。そして決まりきった失敗パターンの存在に気づきます。
■ 異議申立てが不調となる理由
・ 非該当もしくは認定された等級の理由書をよく読んでいない。
自賠責保険調査事務所は必ず「理由」を明示しています。自賠法16条の4および5 (最下段参照)で決められているからです。ですからその理由に対しての反論が必要です。それなのに「なぜ私のケガが○級なのか!非該当はおかしいのではないでしょうか!まったく理解できません!審査に納得がいきません、どうしてなんでしょうか?」・・・単に怒っている、愚痴をいっていっている、文句を言っている、再質問をしている類の文章が多いです。理由を理解しない被害者です。これでは会話になりません。
先週に続き週末3日間は赤坂のホテルに缶詰。相談会を挟んで打ち合わせも山盛りで、くたくたの3日間でした。
この相談会、先日の具体例からどんな内容か少し紹介します。 ○まず可動域の計測をしちゃいましょう
理屈よりまずその場でゴニオメーター(関節計測用定規)で測ってしまいます。
「ええと・・掌屈25°、背屈30°、このまま回復しなければ10級ですね」。
ここから後遺障害立証計画がスタートします。被害者は解決への道筋がぱっと開けます。
○ 画像を確認します
「肩の腱板損傷?じゃ画像見せて」
(T2で高輝度所見がでています)
「おお、棘上筋が部分断裂してますね」
次に手術するか先に症状固定するか検討に移ります。
器質的損傷が定かではないのに話を進めても意味ありません。画像を診ずに後遺障害を語るのはナンセンスです。
○ これが12級獲得の条件です