新しいパソコンを導入、昨日から事務所のシステムを大幅に改造中です。
複数のパソコンを目的別にコントロールするシステムを作っています。なかなか手ごわい作業が続いています。
所詮パソコンは仕事の道具ですが、依存度が高い為、数日間格闘することも珍しくありません。
毎度悩まされるコンピューターですが、しつけ(システム)さえしっかりすれば、よく働いてくれます。
明日の朝までにはシステム完成させます。今日は少し手抜きの日誌でした。
【事案】
自動車運転中、交差点で右手より左折してきた自動車と衝突、受傷したもの
【問題点】
受傷後六か月の時点でご依頼いただいたが、主たる治療先が整骨院であったため、早期での申請は断念。治療先の選定と治療内容について、大幅な修正が必要であった。
【立証のポイント】
MRI画像、必要な神経学的検査所見を集め、後遺障害診断書にて整合性をもって立証。治療実績については治療先を変更して着実に治療実績を積み重ね、無事に14級9号が認定された。(平成23年10月)
現在、高次脳機能障害案件を4件担当しています。 これから立証作業に入るもの、非該当から異議申立を行うもの、それぞれ受任の出発点は違いますが、この障害の立証に共通する出発点について解説します。 ※ 今年4月からの新基準となり、いくつか変更がありますが、この旧基準を基本条件と見てください。後日、新基準の解説を行います。
■ 高次脳機能障害認定の3要件① 傷病名が以下のように確定診断されていること ・脳挫傷
・びまん性軸策損傷
・びまん性脳損傷
・急性硬膜外血腫
・急性硬膜下血腫
・外傷性くも膜下出血
・脳室出血
・骨折後の脂肪塞栓で呼吸障害を発症し脳に供給される酸素が激減した低酸素脳症
② 画像所見(①の傷病名がわかる) ・XP ・・・頭蓋骨骨折とそれに伴う脳損傷を確認できます。・CT ・・・冠状断といって、輪切りにスライスした画像を確認します。連続した画像は脳委縮の確認が容易です。
・MRI ・・・T2スターで点状出血、フレアーで脳委縮、病変部を確認します。
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銀座・・・それは弁護士はもちろん、すべての士業にとってあこがれの地です。
銀座で事務所を開設したらもう、権威抜群です。
昨日は弁護士事務所に被害者と共に打合せでした。正確に言うと銀座ではなく隣の日比谷ですが、一等地のビルはゴージャスでした。窓から皇居のお堀も見えます。
都内にも活動拠点欲しいよなぁ~
しかし貧乏書士には恐ろしいまでの銀座テナント料は払えません。
埼玉~都内~神奈川の往復はしばらく続きそうです。
今朝は6時30分に事務所を出たため、日誌のUPが遅れました。鎌倉方面で、大船からモノレールに乗りました。
さて、ADRの続きです。弁護士会や保険会社や地方自治体が主催するもの以外に行政書士会のADRがあります。
裁判をする程ではない些細な紛争ついて、行政書士が解決のお手伝いをすることがよくあります。簡易裁判所の代理権をもつ司法書士は当然に140万までの訴額に対し代理解決が可能です。また労使間のトラブルでは社労士などが実質仲介を行って解決しています。正式な代理権をもたない士業が代理を行う、仲裁に乗り出すことが事実上存在しています。もちろん非弁行為で違法です。しかし弁護士過疎地である田舎では必要悪として仕方ない、暗黙の了解?とされているのでしょうか。
そこで行政書士会はADR機関を主催し、「ADRの範囲内で当事者の代理人として、行政書士に代理・弁護をさせること」を目標として、紛争代理行為の合法化を計画しています。民事上一定範囲の代理権を取得するという、行政書士の宿願に近づくためです。 行政書士の業務範囲拡大と社会的地位の向上はすばらしいことです。反対する行政書士はいないと思います。
しかし、私は若干の不安を感じています。それは制度を作る事を目的として、その機関や権利が誰の為であるかを置き去りにしていないか?です。 それはADRによる解決がそれほど実効力を持たないのではないか、と思っているからです。
例えば簡易裁判所の調停の成立率ですが、民事調停に限定すると30%に満たない地域がほとんどです。調停が成立しない=第3者を交えた話し合いでも解決できなかった・・・。これはつまり仲裁・斡旋の失敗です。裁判所がやっても調停をまとめるのは大変難しいのです。 では交通事故の場合、おなじみの紛争センターでは・・・
平成22年度の集計で、依頼件数8666件中 → 和解成立7036件 =成立率81.2%
調停成立率30%との差はなんでしょうか?
簡単です。それは紛争センターには斡旋者である嘱託弁護士の斡旋案に一定の拘束力があるからです。 保険会社は斡旋案を尊重することになっています。被害者寄りの斡旋案でもイスを蹴る事はしません。渋々ですが歩み寄ります。これは保険会社と紛争センターが被害者救済を実践している事実として賛辞すべきです。
しかし、調停では 仲裁する裁判官=あくまで話し合いの仲介者 で、当事者のどちらか一方が斡旋案を蹴ったらおしまいです。
斡旋・仲裁機関は裁判ほどの強制力を持たないとしても、一定の拘束力がなければ、もめごとをまとめる力は乏しいのです。 話を戻します。私はADRの成功はこの拘束力にかかっていると思います。
紛争中の方が当事者同志の話し合いで解決できないので、ADRを利用したとします。しかし和解成立率が2割ではどうでしょう? 調停員を交えて話し合ったとしても、「相手がイスを蹴ったら終わり」だったら・・・利用者をがっかりさせるだけです。調停の民間版では社会に根付く制度には成りえないのではないかと思います。
将来、弁護士・司法書士・行政書士がローヤー(法律家)として一つの職種に統一する構想があります。その前置としてADRの代理権獲得を推進することは、「まず形を作る」ことを急務としているように思えます。 しかし利用者の利便、社会的存在意義、紛争当事者救済 の志がないと、「とりあえず制度ありき」になってしまいます。
「仏像彫って魂入れず」 とならない事を願っています。
最近「ADR」ってよく目にしませんか
民事上のもめごと、たとえば相続分割、離婚、貸金回収、契約トラブル、傷害事件などが起きた時、どうやって解決を図っているのでしょうか?
ほとんどは裁判とならず、当事者同士の話し合いである示談で解決が図られています。もちろん交通事故もその範疇で、保険会社との示談が圧倒的です。「全交通事故の94%は保険会社が解決しています!」と保険会社の社員から聞いたことがあります。
示談はあくまで当事者同士で完結します。そこに第3者が仲介・斡旋を行うと、これを紛争処理機構と呼ぶことになります。
紛争処理は裁判所が主催する調停がよく知られています。当事者に裁判官を交えて話し合いをするものです。ちなみに離婚裁判は調停前置が条件です。(調停前置とは、「裁判を起こす条件は、まず調停をやってから」です。) 交通事故では「財団法人 紛争処理センター」がお馴染みです。他に「日本損害保険協会 そんぽADRセンター」、「日弁連 交通事故相談センター」、自治体が主催する交通事故相談・斡旋窓口も存在します。
それらは広くADRのカテゴリーに入ると思います。ではADRとは何か・・・
ADRとは Alternative Dispute Resolution の略で、訳すると 「裁判外紛争解決手続き」です。訴訟手続によらない紛争解決方法を広く指すもので、紛争解決の手続きとしては、「当事者間による交渉」と、「裁判所による法律に基づいた裁断」との中間に位置します。 ADRは相手が合意しなければ行うことはできず、仲裁合意をしている場合以外は解決案を拒否することも出来きます。アメリカ合衆国で訴訟の多発を受けてできた制度で、アメリカから日本に輸入された制度です。 紛争が多発し、裁判が追い付かないアメリカならではの制度ですが、日本でも裁判によらない細かな紛争のスピード処理に期待を込めて続々と出現しています。
行政書士会でもADRの認可が目下最大の取り組み課題のようです。町の法律家である行政書士が斡旋機関を主催し、もめごとを解決します。将来的にはこのADRの中での弁護士になるべく、ADR代理権の獲得を視野に入れています。
ADRやこれら紛争処理機構について少し意見展開したいと思います。明日に続きます。
先週土曜日は月例の相談会で赤坂に。
今回も飛び入りも含め、16名程だったでしょうか。遠方は神戸からいらした方もおります。 無料相談会の一つの心配として、「とりあえずタダだから来てみよう」といった軽薄な相談者が増えるかも?がありました。しかしそれはまったく紀優です。皆真剣に解決を模索しています。そして事故から3か月以内の早期相談者の占める割合が伸びています。 「交通事故の実利ある解決は受傷から計画的に進めるもの!」 ・・・かなり浸透してきています。
今回の案件で気になった事をいくつか挙げます。
1、味覚、嗅覚の障害は残ったけど、その原因となる外傷・傷病名が希薄。
味覚・嗅覚等の神経がやられるような衝撃と器質的損傷(骨折等)が前提です。これがはっきりしなければ、障害そのものが認められません。苦しい立証作業になります。
2、高次脳機能障害の診断で交代した主治医が否定的。
医師によって診断は当然に変わってきます。否定的な医師のもとでは立証は不可能です。医療ネットワークにより最適な病院、検査先を選定しなければなりません。
3、可動域制限はその原因となる外傷・器質的損傷がないと、説明つかない。
捻挫や打撲で関節が曲がらなく程の機能障害は常識的に起きません。骨折や靭帯損傷が前提です。そしてしっかりとした画像所見が必要です。
4、間違った説明をしてる専門家は困る・・
すでに他で相談や契約をしている方もおりますが、そこで受けた説明にかなり大きな間違いがありました。これらも早めに修正しなければなりません。
5、事前予約をしっかりして欲しい。
無料だからといって気軽に来られては困ります。他の相談者は事前に予約をしています。スケジュール通りに進まないと他の相談者に迷惑になります。また、短時間での打合せなので、事前に事故の詳細をメールしていただくと、問題の抽出が容易になります。
ほとんどの方はアドバイスに沿って順調に解決まで進めていきます。アドバイスのみなら無償ですが、どうしても専門家に頼らざるを得ない方もおります。そのような方は最適な専門家が追って有償対応しますが、できればお金をかけずに解決が図れるよう誘導して差し上げたいものです。
ボランティアと紙一重ですが、歯をくいしばって継続していきます!
さぁ今週も頑張りましょう!!!
定例相談会も告知の甲斐があり、問い合わせが多くなりました。「まずどこに相談したらいいのか?」、ご相談の予約をされた皆さんはそれを見極めた上での参加と思います。
巷には市町村・自治体、弁護士の無料相談が散見されます。しかし多くの相談者はモヤモヤが解消されず、すごすごと帰ります。そして有料の相談へシフトします。ここでも交通事故の専門外である弁護士に相談したり、専門であるけど賠償交渉まではやらない行政書士へ行ったり・・・つまり確実な窓口にたどり着くまで大変な労力と時間を費やしてしまうのです。 どうして入口で迷ってしまうのか・・・それはどの窓口も交通事故の全般に通じているわけではなく、事故の一部分の専門家に過ぎないからと思います。
例を挙げますと・・・
〇 市の無料相談で、おじいちゃん職員に相談。
元警察官なら経験があるので事故調査や過失割合には明るい部分があります。しかし民法、保険、その他知識はありません。また「お互いよく話し合って」と解決にならない回答をするおじいちゃんが普通です。公務員は民事賠償請求の専門家ではないのです。
〇 保険会社の事故相談
これから保険会社を相手に賠償請求するのに保険会社を頼っても、その保険会社の規定以上の支払基準や請求方法について教えてくれるはずがありません。それらの規定や基準は自由化で撤廃されたとは言え、どの会社も護送船団方式(全社同じ掛け金、同じ支払い基準)の名残りで各社大差はないのです。
〇 後遺障害の認定に手こずっているのに、その立証作業をやらない(できない)弁護士に相談。
賠償交渉は等級が取れて、すべての損害が明らかになってからです。時期が早すぎるので弁護士も手をこまねいてしまいます。したがって、「等級が取れたらまた来て下さい」と相談料だけ取られて帰されます。
〇 裁判を避ける、裁判でも和解ばっかり、そもそも交通事故訴訟の経験が年間数件の弁護士先生に相談。
弁護士先生といえど万能ではありません。それぞれ扱い分野が異なります。交通事故を専門としていない先生は当然ながら避けるべきです。 また賠償交渉においても、赤本(裁判基準)の70%位で保険会社と話をつけて、スピード解決&大量処理をしている事務所があります。スピード解決が依頼者のニーズであろうと、最低でも慰謝料くらいは赤本満額を果たすべきです。紛争センターの斡旋案より低い解決額では弁護士バッチが泣きます・・。
〇 交通事故専門を売り物にしている行政書士に相談。
弁護士の手が及ばない損害立証のプロたるべきです。交通事故賠償に精通し、後遺障害にしっかり取り組んでいる勉強家の先生も増えました。しかし実際多くの行政書士は賠償請求を主たる仕事に据えています。その手法は代理交渉ができないので賠償請求書を代書し、陰で書類交渉を進めるのです。これで被害者の利益最大化が図れれば問題ありません。しかし当然ですが多くは弁護士の直接交渉や紛争センター介入、訴訟より低い賠償金しか得られません。自身が弁護士のマネごとをして報酬を得たいだけで、被害者の利益最大化が置き去りです。 紛争センターへの賠償計算書を作成して高額な報酬を請求する先生は、いずれマーケットから退場すると予想します。
「立証をできない・やらない弁護士」と「中途半端な賠償交渉をやりたがる行政書士」・・・これが被害者を路頭に迷わす原因かもしれません。
〇 手前味噌ですが・・・
労災、健保、任意保険、自賠責保険、裁判判例、医療知識、病院情報、民事、道路交通法、刑事・・・事故の解決には多くの分野を網羅する必要があります。 首都圏相談会では、業界No.1の被害者救済NPO法人、後遺障害立証専門・行政書士、交通事故専門・弁護士、保険特級資格のプロ代理店、さらに専門医ネットワークを駆使するメディカルコーディネーターがスクラムを組んで待機しています。それぞれの専門家が被害者の利益最大化を目標に動くのです。
これらを読んで「ドキッ」とした被害者さんは、しっかり相談窓口を選定して下さい。
続きます・・
■ 治療
1995年に雑誌『Spine』に発表された、ある論文があります。ケベックむち打ち症関連障害特別調査団の治療に関する知見、という長い題名の論文ですが、この論文が頚椎捻挫の治療に与えた影響は大きいと思います。
この論文によれば、
(1) ほとんどの頚椎捻挫は自然経過が良好で、かつ現在行われている治療法のほとんどは、その有効性が科学的に評価されていない。
(2) 頚椎捻挫受傷後安静を保つ意味はなく、頚椎カラーは有用でない。頚椎を固定するような治療を長期間行うことは症状を長引かせ労働不能な状態を長期間持続させる。
この論文以降多くの研究論文が発表され、やはり受傷後早期から活動性を維持することが有用である可能性が高いとされています。今でも漫画やドラマなどでは交通事故の患者が頚椎カラーをまいている描写をたまに見かけるかもしれませんが、現実にはそのような治療が行われることはほとんどありません。 固定をするよりも、動くこと。仕事や日常生活を制限するのではなく、出来ることは積極的に行っていくことが、早期回復、早期社会復帰には重要といえます。
交通事故における頚椎捻挫では、長期間症状が持続し仕事や日常生活に復帰できない人達が一定数存在するという問題があります。そして、そのような人達の多くは追突などをされた被害者というのが自分の印象ですが、いかがでしょうか。自損事故などはほとんど見かけません。画像検査で器質的異常を認めないにもかかわらず遷延化する交通事故被害者の疼痛、社会復帰不能期間の長期化の影には組織の損傷といった生物学的要因だけではなく、心理社会的因子が密接に関わっている可能性があります。
リトアニアやギリシャでは追突事故被害者に対する補償が行われていないそうですが、それらの国で行われた研究によれば、交通事故が原因で生じた症状は全て回復し、症状が長期化した例は一例もなかったと結論づけられています。
長期化する痛みの原因のすべてを補償問題などの疾病利得や、加害者への他罰的意識に結びつけるつもりはありませんが、治療時には考慮しておかなければいけない問題だと思います。
<私的感想>
否定論であっても、専門医の研究結果や数的データは拝聴に値します。客観的な考察も立証の現場では大いに役に立つものです。 しかし否定論文がすべての臨床、つまり現場で実際に起きていることを否定するほどの説得力はありません。外傷性頚部症候群の患者は、外傷的な衝撃を契機として、痛みやこりのみならず、今まで経験したことのないような手指のしびれ、めまい・吐き気・不眠の自律神経失調症状を起こします。これらは必ずしも器質的変化を伴ったものではなく、画像所見が乏しいものが圧倒的です。実際に画像上の変性がなくとも、神経検査等で数値化する作業を現場の医師は行っています。その医師も常に確定的な診断結果を導くことに苦労しています。つまり神経症状の客観化は常態的な問題なのです。 今後、研究も肯定・否定とブレながら進んでいくと思います。結論を急ぐ必要はないと思います。
理論や研究結果が前提であっても、現場の事実とは必ず一致しないことは多いものです。医療の世界はまさにこれが当てはまるのではないでしょうか。
交通事故外傷で最大の勢力は「ムチウチ」の俗称でおなじみの「外傷性頚部症候群」です。
外傷性について因果関係の争いが絶えない症状です。被害者は追突されても側突されても、それが軽い接触でもとりあえず「くび(頚部)を痛めた」と訴えます。詐病?心身症?の疑いのある相談者も存在しますが、事故を契機に神経症状に悩まされる患者が後を絶ちません。
私達は被害者の利益追求のみで働く商売人ではありません。法律家を名乗る以上、倫理感を持って業務にあたっています。具体的には面談時、被害者の病態の見極めを最重要と考えています。それは被害者の訴えている症状を客観的に観察することです。「本当に訴える症状と診断名が一致しているのか?画像や検査の所見で説明できるのか?」・・・医師ではない私達にとって限界がありますが、細心の注意をはらっています。
話が長くなりました・・・保険会社は頚椎捻挫・頚部症について、事故の外傷であることに否定的な論文を根拠とし、保険支払いに消極的です。しかし事故外傷を立証する立場の私達も、それら否定的な論文のチェックを怠りません。全否定vs全肯定の単純な図式とは思っていないからです。
否定的論文で比較的新しいものがありますので、掲載します。
【頚椎捻挫 最新の医学的知見】 整形外科医 北村 大也 先生
■ 病態
頚椎捻挫の主な病態は筋や筋膜、靭帯、椎間板、関節包などの頚椎支持軟部組織の損傷で骨折は伴いません。症状としては頚部痛と可動域制限以外にも頭痛、めまい、視力低下、しびれ、上肢痛など多彩な症状を示すこともあります。しかし、その多くは原因としての器質的異常を見つけることが出来ません。
■ 検査
器質的な異常が存在しないかどうかを調べることは大事です。主に用いられる検査はレントゲンとMRIです。
〇 レントゲン
レントゲンでは骨傷がなければ頚椎捻挫の診断になります。しかしそれ以外にも、加齢による骨棘の形成や靭帯の骨化、側面像での湾曲の異常がみられることが多くあります。一般的には前弯消失(ストレートネック)や局所的な後弯変形は軟部組織損傷による一過性のものと考えられていますが、事実は違うようです。慶応大学の松本先生らは、健常者と頚椎捻挫患者のレントゲンを比較して、両者とも湾曲異常は同程度にみられたと報告しています。
〇 MRI
MRI検査は骨以外の軟部組織の描出に非常に有用な検査です。麻痺や知覚鈍麻などがあり、神経症状を疑う場合には必須の検査になります。しかし頚椎捻挫の主病変と思われる軟部組織損傷を描出することはほとんど出来ません。また、レントゲンと同様に加齢による変化も多くみられます。椎間板変性や後方への突出、それらに伴う脊髄の圧迫などです。慶応大学の松本先生らは健常者と急性期頚椎捻挫患者(それぞれ約500名)のMRIを撮影し比較した結果を報告しています。それによると、MRIで前出の異常を認める頻度は両群とも変わりなく、患者の自覚症状とMRIの異常所見に関連性はありませんでした。また10年後の所見も両群で変わりはありませんでした。
・・・明日に続きます。
山梨遠征のつづき・・・
甲府インターから中央道に乗り、須玉インターで降り、雨と霧で視界の悪い中、山道を30分走ると既にどっぷり日の暮れた温泉街に到着です。温泉街といっても山裾に数件の宿があるだけで当然コンビニや飲食店はありません。
以前からこの有名なラジウム鉱泉に憧れていましたが、山梨に行くこともなく機会に恵まれていませんでした。もし帰宅が遅くなるのならこのチャンスに行こう!と前日に決めていました。
鄙び度No.1の金泉湯は2年前に廃業となっていました。昔ながらの湯治宿が無くなるの残念です。早く来るべきだったです。したがって泊まったのは津金楼。ここも独自源泉を持つ宿です。
泉質は「ナトリウム-塩化物冷鉱泉」、ペーハー値は6.3、アルカリ泉です。源泉温度は25°~29°。 湯船は2つ、42°に加温した浴槽と27°の源泉そのままの浴槽です。
そして最大の特徴は世界最高値レベル!のラドンです。あのキュリー夫人が発見した放射線です。瞬間に大量に浴びれば当然、体に害があります。しかし微量を浴び、飲み、気体を吸引すれば、あらゆる外傷、リウマチ、神経痛、に効果があります。
特にこの源泉27°はつかると当然冷たいのですが、不思議と寒気が感じられず、手指がジリジリしてきます。この温度であり得ない反応です。「やはりこのお湯には何かが潜んでいる!」と思わずにいられませんでした。味は甘塩+森の苔臭。栃木県塩原の岩の湯を濃くした感じ。浴感はアルカリ性のヌルみはなく、濁りの濃さから含有物のキシみを感じます。 夜1時間、翌朝も1時間、しっかりラジウムを浴びてきました。
毎度の主張ですが、バレ・リュー系の自律神経失調、骨折後の神経麻痺、手術痕の癒合には温泉治療が一番です。症状固定後の残存する症状に対して、続けて投薬や徒手施術を継続したとします。しかし既に半年続けてきた処置を繰り返すだけでは改善に限界があります。温泉医の指導のもとに温泉治療をした結果、びっくりするくらい改善した患者を知っています。 温泉治療院と専門医の増加が切に望まれます。
翌朝は晴れていい景色
今度はスネの膝関節部です。スネには脛骨と腓骨、二つの長管骨があります。この骨の上部の関節ジョイント部は、顆部、近位端とも呼ばれます。診断書ではプラトー骨折、高原骨折とも書かれます。 膝の強打やタイヤで轢かれる、バイクの転倒で膝が下敷きになった等で受傷します。また周辺靭帯、半月板の損傷や膝蓋骨・大腿骨の骨折を伴うこともあります。さらに合併症は関節拘縮とならんで腓骨神経麻痺があげられます。そのような深刻な後遺障害を残さぬよう、医師の正確な診断と整復が望まれます。
診断もまず折れ方の分類から・・・
ついでに腓骨についても・・・
■ 腓骨顆上骨折
腓骨近位端骨折、もしくは腓骨頭骨折とも目にします。文字通り腓骨が脛骨とジョイントする部分です。脛骨と一緒に折れるケースが多く、深刻な可動域制限は少ないですが、腓骨神経麻痺の残存に注意が必要です。
★腓骨神経麻痺
脛骨、腓骨の骨折を原因として付近を通る神経にダメージを受け、足首や足指が自力で曲がらなくなる症状です。詳しくは実際のエピソードを参照して下さい。 → ...
太ももの大腿骨の膝関節に接する部分です。呼び方も「大腿骨遠位端骨折」、「大腿骨顆部骨折」といくつかあります。膝から路面に転倒したり、自動車運転中の場合、衝突でダッシュボードに膝を強打したときに受傷します。 多くは膝周辺の靭帯や半月板、脛骨にも損傷が及び、膝窩動脈損傷を伴う深刻なケースもあります。後遺障害としては変形癒合、人工関節、短縮障害、可動域制限で等級が認められます。
<治療>
基本通り、元通りに整復するにはプレート固定術がとられます。骨幹部(骨の両端を除いた幹の部分)の骨折と違い、ボルトの数や手間、つまり医師の技術が必要です。ひどい整復がなされると、当然、後遺障害も重くなります。 定期的にXPで癒合具合を確認してくださる医師はいい先生です。癒合の監視と運動療法が大事で、とくにCPM※を用いて膝部の屈伸運動訓練を行います。 この術後の処置が良好に進まないと、関節拘縮を起こします。これは文字通り関節が固まった状態で、可動域制限はもちろん、ひどいと足の長さが変わってしまいます。
※ CPM・・・関節可動域改善の回復訓練を促進する機械で、手術後に固まってしまった関節を改善します。「膝関節屈伸運動装置」、「連続関節可動運動機」と訳されます。(写真があるとよかったのですが・・捜索中)
<後遺障害>
以下の項目ですが、同部位の場合、一番重い等級が認定されます。痛み、しびれ等の自覚症状も含みます。
〇 変形癒合 続きを読む »
膝シリーズ再開です。 今日から膝周辺骨折に及びます。
膝を構成する骨ですが・・・まず膝蓋骨、膝のお皿です。続いて太ももの大腿骨、この膝関節部分を大腿骨遠位端と呼びます。脛骨については逆に近位端となります。またジョイント部を外顆・内顆とさらに細かく分類します。
■ 膝蓋骨(しつがいこつ)骨折
【事案】
オートバイを運転中、路外より飛び出した自動車に衝突される
【問題点】
特になし。
【立証のポイント】
主治医に、残存する症状に対する各検査を確実に行って頂き、 後遺障害診断書に漏れのない様に記入して頂いた。
(平成23年9月)
【事案】
歩行中に駐車場においてバックではねられる。
【問題点】
事故受傷から3ヶ月で保険会社から治療を打ち切られ、通院していた病院にも通院する事を拒否された。
【立証のポイント】
当事務所で治療先を紹介し診断して頂いた結果、継続治療の必要ありとの診断。 健康保険を使用し、実費で4か月の通院後、14級が認定される。 (平成23年9月)
昨日は越谷支部の有志による勉強会でした。昨年より任意で10名集まり、持ち回りで講師を務めます。それぞれ得意分野の解説はもちろん、小人数ならではのオフレコ話が聞けて大変有意義なものです。
昨日のテーマは「産業廃棄物収集運搬業の許可申請」でした。これも専門性の高い、行政書士ならではの業務です。そもそも許可申請に関わる業務は数百種といわれていますので、マニアックな分野が他にもたくさん存在します。
専門性を掘り下げることは、「交通事故業務」に通じるところがあります。つまり、「この分野なら任せろ!」のスペシャリストです。一方で「なんでもできる」ジェネラリストも存在します。看板やHPにびっしり業務が掲げられています。 どちらを目指すか・・・。行政書士だけではなくすべての士業・先生に同じく、指向が二分します。
個人的にはスペシャリストを目指していますが、だからと言って「他は何もわかりません」では相談者をがっかりさせてしまいます。そこで「仲間にその分野のスペシャリストがいますので紹介します!」と対応します。
その発想は交通事故業務の中でも重要で、「このケガなら〇〇行政書士」、「この手術なら〇〇病院」、「この裁判なら〇〇弁護士」といった専門家を揃えることです。
相談窓口の一元化(ワンストップサービス)、つまり、まず気に入った先生・事務所に相談をします。その後必要な仕事をその分野のスペシャリストに振り分ける・・・この流れがスムーズにいくことが被害者救済の最良形態と考えています。
一人の力は微細でも、「3人寄れば文殊の知恵」です。最近はネットワーク、チームワークで仕事をすることが増えました。
過去の事故相談から~
Q、犬を事故で死傷させてしまいました。
先日、自動車走行中、犬を跳ねてしまいました。即、動物病院に搬送しましたが、手当のかいもなく亡くなってしまいました。当然ながら飼い主様の悲しみは大変なものでした。できるだけの償いをしたく、加入していた保険会社と相談しました。すると「対物賠償で時価相当額の弁償ができます」との回答。しかし飼い主様にとっては大切な家族です。「物」として扱い、お金で賠償とは・・・。 予想通り、飼い主様は「お金なんていらない」と言っています。どうしたらよいでしょうか。
A、これは答えのないデリケートな問題です。
まず、保険会社の回答は正しいです。民法上、ペットなどの生き物も所有「物」とみなします。 そして損害賠償の原則から実損填補となります。この場合、時価額相当の金銭弁償です。 しかし法律通りペットショップで金額を調べて提示するなど、被害者の神経を逆なでする行為でしかありません。では相手が「いらない」、つまり損害賠償請求権を放棄したのだから、そのままでいい、も心無い対応です。被害者の心を癒すこと、また加害者の贖罪の心をも汲み取った解決が望ましいと思います。 具体的に私が指示した方策は・・
1、ワンちゃんの葬儀、お墓について全面的に支払いをさせて頂くこと。 葬儀費用の領収書をとり、あとで自動車保険の対物賠償から請求をします。
2、葬儀に参列し、献花とお線香の御許可を頂く。 香典支払い分は保険請求しません。
ついに替わりの犬の買替え代金について触れませんでした。
しかし、これで被害者、加害者とも納得の解決に至りました。保険会社支払い担当者も丁寧に協力して下さりました。
このように両者の心の機微を感じながら進めることが大事です。杓子定規な法律論ではダメなのです。