【事案】
狭い路地で歩行中、後方から自動車の衝突を受け受傷した。主な診断名は、腓骨近位端開放骨折、腓腹筋部分断裂、そして前十字靭帯損傷。前十字靭帯は再建術を行ったが、膝関節の不安定感は解消しなかった。
また、膝関節の複合的な損傷から、動揺性の程度は12級を上回っており、事実、硬性装具を常時使用していた。つまり、10級の立証が到達点と覚悟して受任した。 【問題点】
基本取り、ストレスXP(動揺関節を明らかにするレントゲン撮影)を実施、膝関節の動揺性について、専用の意見書の記載も併せ審査に提出した。しかし、わずか1か月後に「骨の癒合は問題ない」、「明らかな靭帯断裂は認められない」ことから「非該当」、ストレスXPを無視した信じられない結果に。ついた等級は、わずかに下肢の神経症状14級9号と醜状痕の12級相当のみ。
今まで、膝関節の動揺性についての読影と判断は本部審査(上部審査)がデフォと期待したが、地区審査で素人判断をされたよう。
(参考画像:テロスを使ったストレスXP)
【立証ポイント】
通常、本部審査に上がり、顧問医あるいは専門医の判断で動揺性が認められるべき案件である。仕方なく即座に再請求を行った。初回の提出資料でほぼ問題ないはずだが、今度は本部審査でしっかり見て頂く前提で、画像鑑定を依頼、前十字靭帯及び外側側副靭帯の損傷と腓腹筋断裂の影響を執拗に説明した。加えて、初回同様に該当画像の打ち出しを多数用意して提出した。
今度はまともに審査され、動揺性が認められ12級7号、最低限の回答を得た。しかし、本件はここからが勝負、再々申請に臨むことに。
初回申請はまったくの無駄。自賠責の審査に不審感が残った。
(令和2年6月)



【問題点】
【立証ポイント】
右下肢は感染症を避けることができたものの、膝関節の手術を繰り返すことになった。まず、骨癒合を優先し、完全に膝関節の可動を犠牲にプレート固定した。後にわずかの可動を得る為に受動術を施行、その結果、覚悟はしていたが動揺性を帯びることなった。このように、出来るだけの回復を期してあらゆる治療法を検討、治療の目処がつくまで、つまり症状固定までおよそ4年を要した。
【問題点】
神経系の検査は当然に実施
【問題点】







結果、膝の動揺性は認められ、12級7号が認定された。



