(自分30:相手70の過失割合として)

 相手から70%の賠償金が提示された後に、自身が加入している自動車任意保険の人身傷害に、相手から差し引かれた30%分を請求すると・・   「相手の保険会社の賠償額(過失分が引かれた70%)と、人身傷害の算定額(過失をひかれない100%)の高い方を選んで下さい」  

 人身傷害保険、最大の売りは、自身の過失を引くことなく100%支払う事です。そして、人身傷害の支払い基準は、基本的に対人賠償と同水準です。相手の賠償額は相手保険会社の対人賠償ですから、上の回答でも大きな差や損得が生じないことになります。

 しかし、対人賠償は「償い」の保険ですから、請求側(被害者)との交渉によって、支払う保険会社の対人賠償基準を超えることがままあります。請求側が弁護士であれば、確実に保険会社の提示を超えます。なぜなら、仮に裁判にならずとも、裁判での請求の相場でもある「赤い本」の基準で計算するからです。場合よっては保険会社の算定基準・提示の2倍以上にも格差が生じます。したがって、上の回答でどちらかを選択させる運用が幅を利かせてくるのです。

 これですと、相手から30%の過失分を差っ引かれても、その賠償金が人身傷害の算定額100%より多くなることが多く、結果、相手からの賠償金のみを受取り、自身加入の人身傷害保険を使わされずに済みます。

 

 同じ保険と名乗るも、”つぐない”の為の「賠償保険」と、契約で金額が決まった「傷害保険」は性質が違います。賠償保険は被害者への弁償ですから、とくに精神的損害の慰謝料や、収入によって変わる逸失利益などは、交渉で折り合いをつけるものです。もちろん、それらに相場がありますが、保険金は基本的な算定基準はあるものの、弾力的な増減を予定しています。一方、傷害保険は金額が基準で決まっているのですから、交渉の余地は原則ありません。    以前、大型代理店向けの人身傷害の研修で、裁判基準と保険会社基準で大きな差があり、これが人身傷害の最大の問題であるとの解説の中、営業マンさんから「賠償社と人傷社の金額を比べて多い方を選択する(=上の損保側の回答)が普通じゃないですか?」と質問されました。代理店さんも多くはそのような認識のようです。軽傷事故ならまだしも、後遺障害を残すようなケガであれば、障害の重さにもよりますが、数十数百万円から1千万単位で損をします。代理店さんがこれでは、お客様は浮かばれませんね。    では、担当者の言う「どちらか多い方に請求を」は、保険の約款に書かれているルールなのでしょうか?     つづく  👉 後編  

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【事案】

自動車にて信号待ち停止中、追突され負傷。直後から頚腰部痛等、強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

通院頻度が整形外科<接骨院であり、主たる治療先が病院外であることは認定上、好ましくない。また、受傷機転も車の損害は小破に近い分類であった。さらに、保険会社から治療費打切りの宣告を受けており、MRI検査等も未実施であった。まさに穴だらけ。

静岡ではとくに病院が接骨院を嫌っている傾向

【立証ポイント】

ご相談を受け、すぐにMRI検査の依頼を主治医にお願いするよう指示。幸い、通院先の整形外科はこれまでも弊所が何件かお世話になっているため、主治医の性格・手順を熟知しており、難なく検査手配はクリアできた。

打切り後には健康保険を使用して通院していただき、整形外科と接骨院の通院回数が同じ程度になったタイミングで症状固定とした。受傷機転や通院回数などを考えると、認定の可能性は厳しいように思えたが、40日程度で併合14級が認定された。

これは弊所の推測だが、首都圏では病院が豊富である一方、地方では治療先の数が少なく、どうしても整骨院・接骨院への通院に頼らざるを得ない環境である。そのあたりも総合的に判断してくれたのではないだろうか。

(令和4年6月)  

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