三井住友さん、どうした?
 

三井住友、交通乗用具やめるってよ

 それでは、東海日動、損保ジャパンを後目に、交通乗用具を堅持していた三井住友さんはいかがでしょうか? 三井住友、あいおい、AIG・・長らく交通乗用具特約を残していました。念のため、今年改定の全社約款を確認のところ、三井住友さんが廃止したではないですか!

 正確に言いますと、三井住友さんは令和3年1月1日から交通乗用具の範囲を狭めました。自転車、車イス、ベビ-カー、シニアカー(以下、表。三井住友様パンフから転載)は残して、電車・船・飛行機など公共交通機関、エレベーター、エスカレーターなどそもそも乗り物としては疑問のあるものを廃止したのです。これを新たな特約として、人身傷害から分離させたようです。
 

 「自転車・車いす・ベビーカー・シニアカー事故傷害定額払特約」です。以下、整理します。



 
 三井住友さんのパンフからですと以下表の通り

 自動車が絡まない自転車事故(自転車vs自転車、自転車vs歩行者、自転車単独事故)が残されていますので、約款の改悪とまでは言い過ぎでしょうか。確かにエレベーターや歩く歩道でのケガはめったにあるものではありませんし、そこまで契約者は期待していないでしょう。それでも、電車など公共交通機関までは補償を残してほしかったと思います。

 また、変化は交通乗用具の補償範囲だけではありません。
 
さらに、保険金の計算にも変化が・・
 

 
 この新設された特約、人身傷害の約款から分離したので、人身傷害特有の保険金計算である「実額補償」としていません。つまり、実際にかかった治療費や休業損害などの実費計算ではなく、慰謝料・逸失利益の実額計算もなく、単に死亡・後遺障害(等級によって)いくら、部位・症状に応じて入院何日以上でいくらと言った定額払い、従来の傷害保険に戻してしまったのです。

 なんと、通院はまったくでません! これは、傷害一時金特約(実治療日数の合計が1日以上5日未満であれば1万円、5日以上であれば10万円)を付保してカバーすることになります。別の特約付保、しかも部位症状別払いに戻した・・・これは先祖返りです。

 もちろん、従来の自動車(が絡む)事故での実額補償は変わりませんが・・。
 

 
 そもそも、人身傷害が画期的だったのは、損害を実額で支払う「安心の実額補償」だったはずです。
 
 三井住友さんの人身傷害は、数年前の改定より「過失分限定払い ※」としていました。自身の過失分に関係なく100%支払う「夢の全額補償」も、とうに捨て去っています。これも、人身傷害保険の画期的な補償でした。
 
※ 「過失分限定払い」とは 👉 人身傷害の約款改悪シリーズ 夢の全額補償が破壊された ④
 
 つまり、画期的であった人身傷害保険の特色と、その幅広い補償を、三井住友さんは捨てつつあります。保険商品の”健全な見直し”と思いますが、他社との比較上では”先祖返り”なのです。
 
 明日はいよいよ3メガ損保比較!

 ⇒ 人身傷害・今年の約款改定 ③ ~ 交通乗用具・三国志