音響性外傷(おんきょうせいがいしょう)
 

(1)病態

 これは、交通事故110番の相談例でも僅かな経験則ですが、交通事故でも発症しています。高速道路上で発生した20台以上のトラックや乗用車が巻き込まれた多重追突事故で、タンクローリー車が横転、爆発したときの、乗用車の運転者で経験しています。このときは、耳鳴りが主症状で、12級相当が認定されています。
 
(2)症状

 ロックコンサートなどの大音響や、爆発、銃声などを聞いた後で、聴こえが悪くなることがあります。短期間の強大音に晒されたことで、聴力が落ちるもので、音響外傷といわれています。音響性外傷では、音源に近い方の耳だけに、難聴、耳鳴りが起こります。軽いときは、1、2日で元に戻ることもありますが、そのまま難聴や耳鳴りを残すことがあります。

 実際、私のロック仲間でも難聴が多く、とくに爆音のハードロック野郎はスタジオで2時間もリハーサルすると、しばらく耳鳴りや難聴に陥るようです。
 
(3)治療

 難聴は、早期に治療を開始するほど効果が得られ、時間が経過するほど、治りにくくなります。なるべく早期に耳鼻咽喉科を受診することです。急性音響性外傷では、早期のステロイド治療が有効です。
 
 ロック歌手の氷室京介さん、53歳は、両耳難聴により引退宣言をしていますが、25年の長きにわたり、大音量の中で歌ってきた積み重ねで、騒音性難聴を発症したようです。多くのロックミュージシャンにとって職業病ですが、しばらく静養すれば回復するはずです。多くのファンはボウイの再結成を夢見ています。
 
 かつてのバンドメンバー:ジョニーは現在、ボウイのバンドを演っています。布袋役はエージさん、ロビー・マッキントッシュみたいだ。皆50歳を超えていますが、驚異的に若い!(昔のよしみで無断リンク!) ⇒ ホンキートンキークレイジー 
  
(4)後遺障害のポイント
 
  難聴の等級は? 👉 ⑤ 難聴 Ⅰ
 
 当然ながら、後遺障害として評価されるのは、交通事故に限られます。多重衝突事故で、爆音などに晒され、耳が聞こえにくいと感じたときは、直ちに、耳鼻咽喉科を受診することです。多くは、早期のステロイド療法により、改善が得られています。

 損保に確認すると、因果関係を疑い、治療費の負担を拒否する傾向です。拒否されたことを理由に、受診を遅らせると、難聴などは進行し、改善が得られなくなります。さらに、受診をしていなければ、因果関係が否定され、後遺障害も非該当とされます。

 損保が治療費の負担を拒否しても、症状があれば、健康保険で耳鼻咽喉科を受診することです。であれば、治療効果も得られ、万が一、後遺障害を残したとしても、因果関係で非該当はありません。
 
 どうしてか、損保が治療費を負担してくれないので通院できなかった?このような後ろ向きの被害者が、交通事故無料相談会でも目立ちます。症状があれば、受診、通院すべきであって、損保の回答で萎むなど、本末転倒です。厳しい言い方をすれば、「お金を出してくれるなら通院するが、出さなきゃ行かない」・・・これでは、後遺障害を審査する自賠責も「(被害者感情による症状だから)大したことない」と思うでしょう。

 ⇒ 側頭骨骨折・迷路骨折