鼻軟骨損傷(びなんこつそんしょう)
  
(1)病態

 鼻筋を指でつまむと、左右に動かすことができるのですが、それは、軟骨であるからです。鼻の根元、鼻骨は、しっかりとした骨であり、鼻軟骨の下に位置しています。

 鼻の軟骨々折でも、軽度なものは、出血もなく、薬だけで終わります。
 
(2)症状

 事故直後から、鼻筋が、大きく左右に曲がる、中央部が凹むことがありますが、鼻骨骨折を伴っていなければ、軟骨の弾力性で一時的な変形を来したものであり、それほど心配することもありません。しかし、現場で曲がった鼻を自分の手で矯正することはタブーで、絶対に行ってはなりません。
 
(3)治療

 大きく腫れてくるまでに、急いで、耳鼻咽喉科を受診します。尾骨骨折の有無を確認するために、XP検査が行われ、触診で、ズレや曲がりがチェックされます。

 骨折がなく、皮膚や粘膜の傷が開いていない、出血が止まっている、曲がりや陥没が少ないときは、ペンチ状の鉗子で整復し、鼻孔に詰め物をして固定します。
 
(4)後遺障害のポイント

 尾骨骨折を伴わない鼻軟骨の損傷であれば、通常、後遺障害を残すことなく治癒します。ケガ自体に過度な心配はいりません。ただし、痛みが受傷から半年も一貫して治療が続けば、神経症状の14級9号の余地を残すと思います。

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